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倫理規程

用語集

ここでは、より一層、倫理規程の理解を深めるため、使用している語句について、原子力学会倫理委員会としての解釈を記載しています。
そのため、一般とは異なる、あるいはより狭義・広義の場合がございます。
ご注意ください。

◆倫理
福島事故後に行われた倫理規程改定の議論において,原子力学会として考えるべき「倫理」についてもさまざまな議論があり,そもそもの前提として,①学会という組織の特徴,②個人と組織の係わり合い,③倫理観を実務に実装する重要性,④安全文化との係わり合い,⑤「○○してはならない」といった消極的倫理にとどまるか否かといった5点をどうするが議論に多くの時間を割いた。このうち⑤の議論が,原子力学会における倫理のとらえ方となるが,ここであらためて日本原子力学会の活動の目的である「公衆の安全をすべてに優先させて,原子力および放射線の平和利用に関する学術および技術の進歩をはかり,その成果の活用と普及を進め,もって環境の保全と社会の発展に寄与すること」に立ち返って考えるならば,原子力学会の会員の倫理観は,「〇〇してはならい」にとどまらず,「〇〇をしよう」といった前向きな,積極的なものを含めることが必要と考えるべきであるとの結論となった。 この結果を受け,倫理規程の前文には技術の正の側面と負の側面についての理解および技術の問題も技術だけでは解決しない状況であることへの認識を新たにすることを求めるとともに,「チャレンジ精神」といった言葉も取り入れている。もちろん,福島事故の反省が足りないのではないかといったご批判もあろうが,原子力発電所を稼働や廃炉に関わらず,人類の立ちはだかる諸課題に対して学会員が果敢に取組みチャレンジすることは学会員の社会貢献と考える。

◆規範
正しい目標,心構え,言行を示す指針。
無理やり矯正する型枠のようなものではなく,正しい理解の基に自主的に従うものでなければならない。

◆教条主義
個々の事例の特殊性を調べて考慮することなく,機械的に原理原則を適用する態度,及びそれを正しいと考えること。

◆会員
正会員,推薦会員,学生会員及びシルバー会員ならびに賛助会員を含む日本原子力学会に登録された個人または組織をいう。

◆環境
会員をとりまき,それとある関係を持って,直接,間接の影響を与える外界で,大気,水質,土壌,天然資源,動植物,人類など,及びそれらの相互関係をいう。
とりまくとは,会員の組織内部から地球規模までの範囲をいう。

◆原子力
原子力発電,核燃料サイクル等のエネルギー利用から,理学・医療・農業・工業等における放射線や同位体の利用技術,並びに加速器,レーザー等の原子力科学技術を含む極めて多岐にわたる分野を含むものである。又,これらには基礎基盤研究から産業として成立しているものまでの幅広い段階のものがある。

◆人類
過去,現在又は未来を問わず,地球上で生活したことがあるか,現に生活しているか又は生活をする可能性のある人々。

◆生存の質の向上
最低限,健康で文化的な生活を送ることができるようにし,さらにはより多くの幸福を追求すること。発展途上国では最低限の条件も満足されていないことに留意しなければならない。

◆持続性原則
倫理規程の要件として持続性原則がある。倫理規程における持続性原則とは,持続性のある社会を可能にする配慮が必要であることを意味している。(補足:そのための原子力の役割があり,従って,原子力も持続性が求められる。)
あらゆる技術は,その技術自身,必ず正の部分と負の部分を持っている。その技術が社会で持続していくためには,正の部分を最大限に活かして,負の部分を最小にしなければならない。従って,原子力学会の倫理規程では,原子力のもたらす便益に対し,積極的に取り組む姿勢の重要性とともに,原子力がもたらす負の部分を防止する慎重さ,社会への説明責任などの配慮が重要であることが明記されている。
また,同時に,原子力が社会に受容されて持続していくためには,原子力技術を取り扱う技術者自身が社会に信頼されることが不可欠である。この視点から,技術者一人ひとりが正直・誠実であることが必要である。

◆公衆
会員の行為に関心をもつか又はその影響を受ける人々すべてを公衆という。
その範囲は,年齢や性別,地域,国籍,知識などいかなるものにも限定されない。

◆公正
公平の原則の基に,正当な手続きを経て決められた規則に則り行動すること。あるいはその態度。

◆公平
かたよることなく公正・平等に物事に対処する態度。

◆事実の尊重
観測される事実が自らの利益に反するときも,無視せず,あるがままに受け入れ,考察すること。会員は科学的合理性に従った判断をするよう心掛けなければならない。
しかしながら他者の感情等に対する配慮も忘れてはならない。科学的合理性と感情への配慮を整理しないままの判断は避けるべきである。

◆専門能力
ある特定の業務の遂行に必要な知識,技能,資源などの能力をいうが,この能力には科学技術に関するものだけではなく,業務に関する法規制要求事項の知識,業務に関するリスク評価の技能も含まれている。

◆能力
知識,技能及び資源を用いてものごとを成し遂げる個人または組織の力を能力という。

◆安心
ある事象,ある事物などに対するリスクが受容可能範囲にあることを自ら理解するか,もしくは自らが信頼している関係者によってリスクが受容可能範囲にあることが確認されたことによって生じる心の安らぎをいう。
安心は他から押し付けるものではないことに,会員は留意すべきである。

◆安全
死亡,傷害または疾病,財産の損害,職場環境,地域環境,地球環境の損害などの危害,又はそれらの組合せからのリスクが受容できる範囲にあることを確認したとき,ある事象,ある事物などを安全だという。リスクの評価は客観的基準及び客観的証拠に基づく必要がある。リスクの受容範囲は,個人,状況などにより異なる場合がある。

◆依頼者の受託者
依頼を受けて行動するときは明確な契約関係がなくても受託者の立場にある。

◆関係者
自ら属する組織及びその組織の構成員,株主,顧客,取引先,地域の住民の方々,行政機関,マスメディアなど,会員の行為に関心をもつか又はその影響を受ける個人または組織をいう。
関係者には,直接/間接の利害関係は無いが,会員の行為に関心を持っている個人または組織も含まれる。

◆契約
ある効果を発生させる目的で,二人以上の当事者の申込み,承諾という意思表示の合致(合意)によって成立する行為を契約といい,組織の構成員は,組織のために業務を実施するという契約を組織と結んでいる。
契約はこれ以外に製品供給に関するもの,サービス提供に関するものなど幅広い概念を含む。

◆公的資格
原子炉主任技術者,核燃料取扱主任者(原子炉等規制法),第1種,第2種放射線取扱主任者(放射線障害防止法)のような原子力特有の資格のみならず,危険物取扱者その他多くの法令等で定められた資格。
海外での業務においては米国のProfessional Engineer など外国の資格も要求されることがある。

◆雇用者の代理人
被雇用者は仕事の従事中は他者に対しては契約によって雇用者の代理人を務めていることになる。

◆資源
資源には人的,物的,財政的及び情報があり,会員の活動には人的資源及びその他の資源が何らかの形で関与する。

◆周囲の者
所属する組織の者,顧客,規制当局の者,マスメディア関係者等。

◆情報の公開
関係者がある事象,ある事物などに関して,ある評価を行うに必要な基準,証拠などにアクセスできる状態を情報が公開されているという。

◆職務
実施する義務を負っている仕事。

◆説明責任
会員の業務に関連する事象,事物などについて,その内容が関係者によく理解されたことをもって説明責任を果たしたという。
関係者がある事象,ある事項などをよく理解するか,否かは,会員の説明内容によるものであり,関係者の能力によるものでないことを認識すべきである。

◆組織
公的か私的かを問わず,独立の機能及び管理体制をもつ企業,官公庁,教育機関,研究機関,学協会などの人々の集まり,又はその一部もしくはその結合体をいう。

◆非公開情報
原子力関係では,核物質防護,核不拡散,財産権の保護,外交交渉に関する事項等の公開については慎重に判断することになっており,非公開の場合は理由を示すこととなっている。
この他,個人情報,経営上の秘密事項,開示によって安全を脅かされる恐れのある情報なども公開の必要はないが,公開しない理由を明確にしておくことは必要である。

◆利害関係の相反
会員は普通一人の個人としてもいくつもの職業的及び私的立場を有するが,違う立場では追求する利害関係に差異が生じることを利害関係の相反という。
自分と他者との間では利害の対立に伴う緊張関係が存在することは自然である。しかしそれが一人の人間の中に存在することは避けなければならない。

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