日本原子力学会
シニアネットワーク連絡会
シニアネットワーク連絡会(SNW)
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2023年度(第23回)シンポジウム報告
(テーマ) エネルギー安全保障の強靭化が我が国の生命線
~原子力発電の持続的最大限の活用を目指せ~

総合司会 : 早野 睦彦

(原子力学会シニアネットワーク連絡会副会長)

1. 趣旨

原子力は電力安定供給の観点並びに2050CN挑戦の観点からは決定的に重要な国家的公益電源ですが、東電福島第一原子力発電所の事故による国民の信頼喪失によりここ10数年は原子力政策の停滞を余儀なくされてきました。

しかし、2021年初頭頃からの欧州発世界同時エネルギー危機に対応して我が国では2022年7月に原子力政策大転換(再稼働加速、運転期間延長、リプレース/革新炉建設)が宣言され、政治の原子力推進の意思が明確に示されました。しかし、政府のかけ声だけで果たして原子力を取り巻く不透明性は確実に排除され政策の成果が実績として積み上がっていくのかどうか予断は許されません。

今回のシンポジウムではこの重大な節目にあたりエネルギー安全保障に着目し「原子力の持続的最大限活用」をテーマとして設定しました。このテーマに照らした課題と展望についてエネルギー問題の専門家に参集願い議論を深めその結果を広く世に発信することにしました。

エネルギー問題に発言する会副会長
 日本原子力学会シニア連絡会会員
針山日出夫
[用語] CN(carbon-neutral) カーボンニュトラル(ここをクリックすると説明開く。)
  • 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること(環境省ホームぺージより)
  • 2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言した。(環境省ホームぺージより)

2. 開催概要

開催日時:
2023年9月11日(月) 13:00~16:30 (開場 12:30)
懇 親 会:
(16:40~18:30)
開催場所:
東京大学武田先端知ビル5階ホール (地図はこちら)
参加人数:
123名
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3. 開会挨拶 及び 祝辞

13:00~13:05
開 会 挨 拶
原子力学会シニアネットワーク連絡会 会長
坪谷 隆夫

       坪谷隆夫SNW会長

コロナ禍からの経済回復に伴い電力需給の逼迫が生じ、更に、ロシアのウクライナ侵攻により、資源の安定確保が世界的に困難な状況に陥っております。

我が国では、その対応として、GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議の審議を踏まえ「原子力発電所の再稼働加速、運転期間延長、新増設リプレース/次世代革新炉の開発建設、バックエンド対策推進」を政府一丸となって取り組むことを確認し、必要な法制度化もなされました。

折角の政策と法制度を国民の福祉に活用するためには、強力な司令塔としての政府の役割や産業界が真剣に取り組む姿勢と覚悟が不可欠です。

今回のシンポジウムでは、この重大な節目にあたり「エネルギー安全保障の強靭化がわが国の生命線~原子力発電の持続的最大限の活用を目指せ」を掲げ、専門の先生方におこし頂き、SNW会員も加わって問題提起と今後への対応について討論をしていただきます。

SNWシンポジウムは、昨年度の例においても、技術的なエビデンスがあり、都合の良い話だけではなく、厳しい課題も整理され良心的とのご評価を頂いておりますので、今年度においてもご期待に沿うものと考えております。

[用語] GX(Green Transformation)グリーントランスフォーメーション
  • 化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと(経済産業省ホームぺージより)
  • 2022年7月、岸田総理を議長とする「GX実行会議」が設置され、12月にGX実現に向けた基本方針(案)がまとめられた。2023年2月にGX実現に向けた基本方針が閣議決定され、同年5月には関連法が整備された。(経済産業省ホームぺージより)
13:05~13:20
 祝   辞  
日本原子力学会SNWシンポジウムに寄せて
参議院議員
滝波 宏文氏
自民党水産部会長として処理水の海洋放出の対応に奔走しています。
東電福島第一原子力発電所事故後の国民的議論の中で発電所立地地域の声を届けたいという思いで議員を志しました。従って議員としてはエネルギー政策を中心に活動してきましたが、現在は自民党の水産部会長でありアルプス処理水の海洋放出に対応する立場でもあります。今話題の海洋放出問題に関しては、科学的には安全ですが、社会的な安心がないと風評被害が起こると言われ、さらに中国からの輸入規制にあっています。これに対し国家基本問題研究所から、日本のおいしい魚を食べて中国に勝とうという意見広告がでており、1人年間千円多く、日本の魚を食べると、中国への輸出がカバーできることが謳われています。最も被害を受けていると言われるホタテなどを食べましょう。

滝波宏文参議院議員の祝辞
リプレース議連事務局長として現実的で責任あるエネルギー政策を立ててゆきます。
また、最新型原子力リプレース議連の事務局長として、エネルギー安全保障の観点から廃炉と新増設を組み合わせるリプレースをGX基本方針に入れることができました。今後のテーマとして、現状同一サイト内でのリプレースと限定されているものを、同一事業者の別サイトでのリプレースを可能にする件があります。
更に大きな問題として、新規投資の問題があります。何でもマーケットに任せる3.11以降の新自由主義による電力システム改革を見直し、岸田内閣の掲げる新しい資本主義の観点で電力システム改革の立て直しを行うべきと考えています。特に脱炭素電源としての原子力に新規投資・長期投資をしていく事業環境を整える制度改正が必要と考えています。様々な政治活動を通して立地地域の声を届けながら「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議員連盟」として現実的で責任あるエネルギー政策を立てていきたいと思います。

4. 講演及び討議

13:20~14:10
基 調 講 演
エネルギー危機が変えたエネルギー安全保障の世界
常葉大学名誉教授、国際環境経済研究所・所長
 山本 隆三氏

1973年の秋まで、多くの国はエネルギー安全保障について考えたことはなかったが、中東の産油国が引き起こした価格上昇と輸出制限が契機となり、エネルギー供給の多様化が実行された。

石油から石炭、天然ガス、原子力と多様化が行われたが、その結果エネルギーの世界の覇権を握ったのは世界一の化石燃料輸出国ロシアだった。ウクライナでの戦争を受け、今課題は自給率向上になった。これからのエネルギー安全保障を実現する政策を考える。

山本隆三氏
エネルギー供給の歴史
1950年、日本のエネルギー供給の85%は石炭で日本のエネルギー自給率は96%であった。1973年、日本のエネルギーの75%は中東からの石油に依存し日本の発電の8割は石油で日本のエネルギー自給率10%まで低下していた。その後オイルショックで世界中のエネルギーが多様化し石炭、天然ガスが増加していった。ウクライナ侵攻前の世界のエネルギー状況は、世界のエネルギーの8割が化石燃料でその内、石油、石炭、天然ガスが約1/3ずつで、電気について化石燃料が主流で60%であった。
エネルギー危機の原因
ウクライナ侵攻後 EUは主要供給元のロシアからの石油、天然ガス、石炭の輸入を停止し化石燃料価格が上昇した。それ以前のコロナ禍の需要低下による米国の石油生産量の減少による石油価格の上昇も影響している。
このようなエネルギー危機下の日本の経済状況と打開策
日本の民間平均給与1997年467万円、最新433万円で四半世紀下がり続けている。二人以上世帯の消費支出も2000年の年間380万円から現在350万に減っている。エネルギー価格の上昇は経済の悪化を招くが、エネルギー源の大半を輸入に依存する日本では、解決策は自給率の向上しかない。G7サミットでは再エネの洋上風力を2030年までに現在の7倍、太陽光を3倍にする計画。しかし、設備費上昇、資材上昇、金利上昇で計画達成困難。このような状況下でも中国は、EVで世界の6割近く、洋上風力設備製造能力シェア7割、太陽光のモジュール生産7割以上と市場の大部分を握っている。再エネの大規模採用は中国依存リスクを高める。
2050年のエネルギーは電気か水素になるといわれているが水素必要量は2000万トンといわれている。電気は再エネか原子力で作る。水素はどこから持ってくるのか。オーストラリアからの水素の輸送コストは2~4ドル/kgと言われている。とても採算が取れない。原子力で水素を作れるが2000万トン製造のために原子力発電100基必要、可能とは思えない。
欧州では原子力賛成国が増加し、原子力推進の欧州原子力同盟14か国+イタリア、英国オブザーバー参加となり、設備の発注も増加している。日本でも原子力を推進すべきである。
中国の風力発電製造設備製造能力世界シェア
(2023年SNWシンポジウム講演資料より)
結論
将来のエネルギーを再エネだけに頼るのは中国依存リスクを高める。また海外から水素を輸入することはコストを考えると合理的ではない。
行動経済学によれば、人の判断は合理的ではなく、損失のリスクを高く評価し、利益を小さく評価する傾向にある。特に原子力はメリットが目に見えないが、事故は目に見えるためリスクが過大に評価される。
合理的に物事を考え、再エネだけに依存せず、原子力を推進すべきである。
パネル討論 : 原子力の最大活用に向けて
モデレータ
エネルギー問題に発言する会 副会長
針山日出夫

原子力の最大限活用に向けた政策転換で政府の意思は明確に示されたが、かけ声だけでは足下の諸課題や長期原発建設計画などは具体的に進展しない事を危惧している。原子力が定着するには長い道のりがある。パネル討論では課題の指摘にとどまらず課題解決に向けた新しい切り口・政府並びに産業界が具体的に取り組むべき施策・実現性のある提案・洞察に基づく示唆に期待し、パネリストの本音を引き出し広く世に発信することに努めたい。「政府の政策に喝を! 産業界に檄を! 仲間にエールを!」と呼びかけたい。

14:20~14:50
課題提起1
日本鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取組とエネルギー政策上の課題
日本鉄鋼連盟特別顧問
小野 透 氏 

以下の2点の説明と課題提起があった。

・日本鉄鋼界のカーボンニュートラルへの取組

鉄は鉄鉱石からコークスにより還元され、鋼材として使用される。使用された鋼材はほぼ全て回収され、新たなニーズに応じた鋼材に姿を変えて使用される。有史以来、今までに生産された鉄は蓄積されており、その量は世界全体で約300億トンである。これは一人当たり約4tであるが、日本や他のOECD諸国の一人当たりの鉄鋼蓄積は約10tとなっており、一人当たりのGDPと一人当たりの鉄鋼蓄積は相関関係にあることがわかる。先進国では新規の鉄鋼蓄積はほぼ飽和してきているが、中国、インド、その他の途上国の経済発展によって、一人当たりの鉄鋼蓄積は増加し、これに人口増加も相まって、巨大な人口を有するので、2050年までに世界全体で700億トンの鉄鋼蓄積が必要と試算される。

鉄鋼セクターのCN実現に向けては、蓄積量増加分の鉄鉱石還元工程の低炭素化・脱炭素化がカギを握る。鉄鋼連盟では「ゼロカーボンスチールへの挑戦」を続ける。なお、国内銑鉄生産量のすべてを水電解の水素還元製鉄にすると、100万キロワットの原発71基必要になる。

・エネルギー政策上の課題

日本のエネルギー政策の予見可能性が担保できなければ、鉄鋼業として設備投資を日本で行う決断ができない。発電能力を見た場合、東日本大震災以後、原発の発電容量は5310万キロワットから3726万キロワットに減少し、稼働寿命も最長で60年+モラトリアム期間であり、新増設も不透明である。また火力発電も自由化された電力システムの中で減少している。

将来の電力需要増に対応していくためには、短期的には原発再稼働、中期的には原発の稼働期間延長と火力リプレース、長期的には原発リプレースと火力の増強が必要である。

課題提起2
原子力政策の大転換(?)を考える-エネルギー基本計画(2021)以降の動向 から
日本エネルギー経済研究所・電力ユニット上級スペシャリスト
村上 朋子 氏

以下の2点の課題提起があった。

第6次エネ基には「可能な限り原発依存度低減」と「必要な規模を持続的に活用、原子力政策の再構築」の矛盾した表現がある。政府は原子力の最大限活用に転換したが、それは後者と矛盾しないとしているようだ。しかし「依存度低減」の言葉は残り、無かったことにはできない。どうするのか。

本年4月28日閣議決定の「今後の原子力政策の方向性と行動指針」では、「支援」という言葉が30回以上も出てくる。そこまで支援が必要なのか。政策実装にあたっては、「支援」一辺倒でなく、いろんな可能性を想定した上での実践の覚悟を事業者に期待したい。

課題提起3
原子力の定着を阻害する課題と対応
エネルギーサイエンティスト
澤田 哲生 氏

原子力発電の普及拡大・定着を阻害する要因を「内部的側面」「政策的側面」「社会的側面」に分けて分析した課題提起があった。

「内部的側面」としては、東電の福島第一原発の廃炉の不透明感、ALPS処理水の放出、関電の森山金銭授受問題、電力カルテル、使用済み燃料中間貯蔵など、また核燃料サイクルの不透明感などがあげられる。

「政策的側面」としては、第7次エネルギー基本計画をどうするか、「原子力を最大限活用する」と言っているが具体的にどうするのか、リプレース・新増設するための資金調達はどうするのかといった問題がある。

「社会的側面」としては「原子力のさらなる理解促進」として、賛否の中間層へのアプローチ、そのための信頼できるデータの提供をどうするか、またALPS処理水の風評被害問題も残されている。

討論と意見交換
15:10~16:30
パネル討論
モデレータ: 現在の状況をどう見ているか。
小野 透氏;最近は若い人の原子力支持が増えている。これは、原子力に対する正しい理解と、将来の安定供給などへの不安から冷静な判断であると見ている。岸田政権の原子力政策は一歩前進であるものの、実際には電力会社の投資に繋がるかが重要。第7次エネ基では2025年までのNDC見直しへの対応をすることになるので、原子力をさらに一歩進めるような修正が必要である。
村上朋子氏;最上位目標として理想論が書かれることが重要である。それは、実現が難しいものでも構わないが国民が納得できるものでなければならない
澤田哲生氏;最大限活用を書き込むべきである。原子力を増やすしかない。
モデレータ: 鉄鋼業界は2013年比30%減、2050年CNを実現可能か。
小野 透氏;2030年目標は高炉の生産量を減らすということで実現可能であるが、世界の粗鋼生産が増える一方、日本が減らすことが良いのか考えるべき。2050年CNの為には、水素還元製鉄が吸熱反応であるという技術的課題の克服、必要な電力の確保、資金の確保と回収という3つの課題を解決しないと無理である。

小野透氏
モデレータ: 国の支援はあるか。
小野 透氏;国のGI基金は出るものの期間限定であるし、これからの温暖化対策は、従来のベクトル(電力安定供給、コスト低減、省エネ)と比べ全く逆のベクトル(コストがかかっても温暖化抑制)であり懸念している。
モデレータ: 電力会社の有利子負債が増大している。支援策が必要ではないか。
村上朋子氏;支援が必要とは言いたくない。責任を他人になすりつけ、支援に頼るのではなく、電力が自ら捨て身になって取り組むべきである。

村上朋子氏
モデレータ: 原子力への賛否は好転したが、将来とも3割の反対は残る。処理水の問題にも学会は何も発言していない。IAEAが多国間公開討論をすべきではないか。
澤田哲生氏;反対意見は残り、時代と共に少しずつ減るだけであろう。若い人の成長に期待している。中学・高校の間の教育が重要である。若い人はネットで情報に接するので推進側もネット対策が重要である。処理水の問題は中国の反発にあり、科学的説明の通る相手ではない。学会が発言せず期待できない。

澤田哲生氏
[用語] NDC( Nationally Determined Contribution )国が決定する貢献
  • 2021/10/22「日本の温室効果ガス削減目標」を以下のように決め、国連に提出した。(地球温暖化推進本部)
  • 2050 年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、我が国は、2030 年度において、温室効果ガスを2013 年度から46%削減することを目指す。
  • さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく。 (経済産業省ホームぺージより)
[用語] GI基金(Green Innovation Fund)グリーンイノベーション基金
  • 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、NEDOに2兆円の基金を造成し、野心的な目標にコミットする企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する。
  • グリーン成長戦略において実行計画を策定している重点分野であり、政策効果が大きく、社会実装までを見据えて長期間の継続支援が必要な領域に重点化して支援する。(経済産業省)
フロアから質問
Q:「既設炉の再稼働や運転延長は短期間に実現できるだろう。次世代炉は不確実性が大きい。何かアイデアは無いか。
A:Fit-CFD、RAB、故澤昭裕氏提案などがある。
Q:電調審が無く、司令塔が見えないのが問題ではないか。
A:総括原価の再現は敷居が高い。
Q:高温ガス炉は製鉄所の中に置くのか。
A:そのFeasibility studyはやっていない。製鉄は純民間であるし、スペースもない、地元合意取得など難しい。未来永劫に無理とは言わないが。
Q:(学生)仏国は70%が原子力であるが、電力需要変動に対してどのように対応しているのか。
A:原子力の負荷追従運転は可能であり、多くの国で実施されている。
[用語] FIT-CfD(Feed-In-Tariff Contract for Difference)差額契約型固定価格買取制度
  • FIT-CfDは、英国内において新規の再生可能エネルギー電源に適用されてきた「固定価格買取制度」の一種で、事前に買い取り価格(ストライクプライス)を定め、市場価格がそれを上回る場合は超過分を払戻し、下回る場合は不足分が補填される仕組みとなっている。英国政府は、民間の投資を促進をする措置として、これを新規原子力発電所にも適用した。
  • しかし、FIT-CfDを適用した最初の原子力発電所のストライクプライス(2013年)は、卸電力市場の約2倍と高水準となり、以降の原子力発電所の新設計画は困難な状況にある。
  • FIT-CfD適用の背景:英国内の原子力発電所は、2020年代に廃炉を迎え、そのままでは原子力発電量が低下して脱炭素目標達成が困難となることから、新規原子力発電所への投資を促す手段として適用した。
  • ストライクプライス高水準の背景:この制度では、売電収入は安定化するものの、建設費が高騰して利益が減少するリスクは投資家が負担することとなっているため、このリク負担を考慮した高い収益率を要求せざるを得ず、事前に設定するストライクプライスの上昇につながった。
  • 主な参考資料:服部徹、"英国における新設原子力発電所の資金調達手法「規制資産ベース(RAB)モデル」の導入をめぐる議論"、電力経済研究 No68(2022年1月)
[用語] RAB(Regulated Asset Base)規制資産ベース
  • RABモデルは、英国のインフラ事業の資金調達に用いられる仕組みで、事業者は経済規制当局の許可を受けてインフラ設備の建設や運営にかかるコストを消費者から徴収することができる。
  • 英国政府は、原子力発電事業につて、FIT-CfD以外の資金調達法としてこのRABモデルの適用を含む「原子力資金調達法案」を2019年に公表し、2022年3月に「原子力融資法」を制定した。
  • 2022年6月にはRABモデルによる資金調達手続きが進展している事例が担当大臣により公表され、このモデルでは、売電価格は総括原価で設定されること、建設中から料金回収が可能で、プロジェクトの確実性の観点で民間の投資家に安心感を与え資金調達も容易になることから、最終的に消費者の電気代が削減されるなど適用の見通しが述べられている。(2022/6/15原子力産業新聞)
  • 主な参考資料:服部徹、"英国における新設原子力発電所の資金調達手法「規制資産ベース(RAB)モデル」の導入をめぐる議論"、電力経済研究 No68(2022年1月)、・原子力産業新聞(2022/6/15)・経済産業省「エネルギー・原子力に関する国内外の動向」(2022/8/9)
≪閉  会≫
16:30

5. 講演資料一覧及び本シンポジウム報告書のダウンロード(pdf)版

●各講師のご厚意により、シンポジウム当日の講演資料を下記に掲載させていただきました。なお、掲載資料の全部または一部を転載、引用するなどの場合は著作権者である各講師の了解が必要です。
(基調講演)
エネルギー危機が変えたエネルギー安全保障の世界
常葉大学名誉教授、国際環境経済研究所・所長
山本 隆三氏
(パネル討論)
原子力の最大活用に向けて:モデレーター
エネルギー問題に発言する会 副会長
針山日出夫
(課題提起1)
日本鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取組とエネルギー政策上の課題
日本鉄鋼連盟特別顧問
小野 透 氏
(課題提起2)
原子力政策の大転換(?)を考える-エネルギー基本計画(2021)以降の動向から
日本エネルギー経済研究所・電力ユニット上級スペシャリスト
村上 朋子 氏
(課題提起3)
原子力の定着を阻害する課題と対応
エネルギーサイエンティスト
澤田 哲生 氏
(全資料)
全講演資料

6. アンケート結果の概要

2023年シンポジウムは、123名の方々に参加して頂きました。この参加者全員に対しシンポジウムに参加してのご意見、ご感想などについてアンケートを実施し33名の方から回答を頂いたので、その概要を以下に示します。

アンケート回答では、” 現在の状況と今後の方向性がよくわかった。冷静な意見と挑戦的な本質をえぐった意見があり面白かった。新しい情報が得られた。” などのご意見が多く見られ、約90%の方々から大変満足、満足とのご感想を頂きました。また、“欲を言えば、パネル討論の質疑応答時間をもっと増やして、パネリストと会場参加者の直接の応答が欲しかった。パネル討論は提言をまとめて欲しかった。”とのご意見もあり、今後のシンポジウムやSNWの活動にご示唆を頂けました。

7. 報告書作成SNWメンバー

早野 睦彦:(全体とりまとめ)
齋藤  隆:(写真撮影)
船橋 俊博:(報告書作成とりまとめ)
田辺 博三:(アンケートとりまとめ)
松永 一郎:(報告書作成)
山本 文雄:(ホームぺージ作成)
田中 治邦:(報告書作成)
石川 博久:(報告書作成)

8. 主催・共催・後援

主 催 :
(一社)日本原子力学会シニアネットワーク連絡会(SNW)
共 催 :
 エネルギー問題に発言する会
 エネルギー戦略研究会(EEE会議)
後 援 :
(一社)日本原子力産業協会、(一財)日本原子力文化財団
(一社)原子力国民会議

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