2022年度(第22回)シンポジウム開催案内
(参加申し込みは、こちらから)

(テーマ) エネルギー安全保障と原子力の積極活用

エネルギー問題について全世界的に2050年カーボンニュートラル達成が重要課題として議論されてきましたが、2021年初頭より世界同時多発的にエネルギー価格が上昇していた折、プーチン露大統領のウクライナ侵略という狂気の蛮行によりエネルギー資源を取り巻く不安定な状況が一層加速し、世界中の産業界や市民生活に重大な影響を及ぼしています。

欧米はエネルギー危機の渦中で脱炭素政策とエネルギーの自立化政策の両立性に苦悩しつつも、「経済安全保障とエネルギー安全保障の同時強化」に舵を切りました。この様な状況下、各国は持続的なエネルギー安定確保を最重要課題と捉えて資源の確保とナショナリズムが先鋭化しています。資源小国の我が国はエネルギー安全保障の強化を最優先課題と捉え、このためには原子力発電の最大限の利活用へ機敏に政策転換することが長期的観点からも一つの解であり、国益に叶うものと考えます。

今回のシンポジウムではウクライナ危機を教訓として、エネルギー安全保障の取組みを強化すべく、今後のエネルギー政策の在り方について専門家から示唆を頂きます。

さらに当会の有志より我が国の国情に照らした「調和電源ミックス構想」の提言を発信し、関連した3つの課題について、それぞれ専門家の方からご指摘を頂いた上で、この困難な時期における我が国のエネルギー環境政策の課題と展望について皆様と議論を深めたいと願う次第です。

1. 実施概要

開催日時:
2022年9月16日(金) 13:00~16:40
開催方式:
オンライン型式(Zoomウェビナーを使用)
(オンラインが初めての方も容易に参加できます。奮ってご参加ください。)
参 加 費 :
無料
定 員 :
500名

2. プログラム

司会進行
原子力学会シニアネットワーク連絡会代表幹事
早野 睦彦
開会挨拶
13:00~13:10
原子力学会シニアネットワーク連絡会会長
坪谷 隆夫
 
13:10~14:00
特 別 講 演
ウクライナ危機と我が国のエネルギー安全保障政策
 
慶応義塾大学 特任教授
遠藤 典子氏

ロシアによるウクライナ侵略を契機に顕在化した資源供給の途絶リスクは、天然ガス調達をロシアに依存してきた欧州だけではなく、日本も直面する深刻な課題である。電力安定供給は産業・社会の重要基盤であり、日本において現状、唯一の自立電源であり、気候変動問題にも寄与する原子力発電を、短期的にも、中長期的にもエネルギーミックスの柱とした政策を実行すべきである。

遠藤典子氏略歴:

遠藤 典子 慶應義塾大学 特任教授

  • 京都大学大学院エネルギー科学研究科博士課程修了。博士(エネルギー科学)。専門はエネルギー・環境政策、セキュリティ・リスクガバナンス。
  • 経済誌副編集長を経て、東京大学にて研究活動に専念、著書『原子力損害賠償制度の研究―東京電力福島原発事故からの考察』(岩波書店)で第14回大佛次郎論壇賞受賞。
  • 2015年4月、慶應義塾大学特任教授に就任、現在は経済安全保障に関する研究事業を運営している。
  • 主な公職として、財政制度等審議会、産業構造審議会産業技術環境分科会、同通商・貿易分科会、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会、宇宙政策委員会など委員。
14:00~14:45
基 調 講 演
2050年における『調和電源ミックス』の提案
 
原子力学会シニアネットワーク連絡会
エネルギー問題に発言する会
牧 英夫

2050年の脱炭素社会に向け再生可能エネルギーに関わる課題、「電力安定供給」「発電コスト」「我が国の再生可能エネルギー資源」を定量的に評価した。

その評価結果を基に国益確保と(S+3E)達成の視点から、『調和電源ミックス』(再生可能エネルギー1/3、原子力1/3、脱炭素火力1/3)を提案する。

牧英夫氏略歴:

牧 英夫(まき ひでお)

生年月日
1936年10月25日
出身地
茨城県ひたちなか市
学歴
1959年3月 九州大学工学部機械工学科卒業
1975年12月 東京大学工学博士
職歴
1959年4月 (株)日立製作所入社
         日立研究所配属、核燃料に関する研究に従事
1971年8月 日立研究所主任研究員
1975年8月 日立工場原子力設計部主任技師
1980年8月 日立工場副技師長
1989年8月 日立工場主管技師長兼企画室長
1994年2月 日立工場技師長兼企画室長
1999年4月 電力・機電グループ原子力事業部技師長
2002年11月 (株)日立製作所退社
学会関係
 
2004年6月 日本原子力学会フェロー
2009年4月 日本機械学会名誉員
日本原子力学会シニアネットワーク会員
エネルギー問題に発言する会会員
 
課 題 講 演セッション
調和電源ミックス構想実現のための課題と展望について
分野別に夫々の専門家から講演頂きます。
14:50~15:15
(その1)
原子力の持続的活用に向けた展望と課題
 
東京大学大学院  原子力国際専攻 教授
小宮山 涼一 氏

安全・信頼性を高めた原子力発電は、エネルギーセキュリティ強化やカーボンニュートラル実現の上で有望な技術である。原子力は、電力・非電力分野双方のエネルギー安定供給と脱炭素化に加え、高速炉サイクルを通じた超長期でのエネルギー資源の有効利用と廃棄物の有害度の低減および減容化など、その持続的活用は社会に貢献しうる。原子力の価値の客観的な理解と、時代に適合した原子力エネルギー戦略の再構築が求められる。

小宮山涼一氏略歴:

小宮山涼一 東京大学 大学院工学系研究科 教授

  • 1998年東京大学工学部卒業、2003年東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了、博士(工学)。
  • 同年日本エネルギー経済研究所入所、主任研究員、東京大学大学院工学系研究科准教授等を経て、現職。
  • 2007年~2009年米国ローレンスバークレー国立研究所客員研究員、2011年~2012年カリフォルニア大学バークレー校客員研究員。
  • 専門は、エネルギー・電力システムの数値シミュレーション分析、エネルギー・環境論。
  • 著書に「Alternative East Asian Nuclear Futures, Volume II: Energy Scenarios」(NPEC 2018(分担執筆))、「Resilience: A New Paradigm of Nuclear Safety」(Springer 2017(分担執筆))、「レジリエンス工学入門:「想定外」に備えるために」(日科技連 2017(分担執筆))、「Reflections on the Fukushima Daiichi Nuclear Accident」(Springer 2014(分担執筆))など。
  • 経済産業省エネルギーレジリエンスの定量評価に向けた専門家委員会座長、経済産業省総合資源エネルギー調査会臨時委員等。
  • 日本機械学会原子力・再生可能エネルギー調和型エネルギーシステム研究会主査、日本原子力学会原子力アゴラ調査専門委員会地球環境問題対応検討・提言分科会主査等。
15:15~15:40
(その2)
電力貯蔵技術の課題と展望
 
(一財)電力中央研究所 上席研究員
三田 裕一 氏

カーボンニュートラルに向けて、エネルギー供給と消費の両サイドでの低炭素化と高効率利用が求められる。電力供給は需要サイドとの協調が求められるが、太陽光発電や風力発電等の普及に伴い拡大する電力需給の時間的・空間的なズレの調整には、エネルギー・電力貯蔵技術が必要となる。系統安定化での寄与が期待される電力貯蔵技術について、リチウムイオン電池など蓄電池技術を中心に紹介する。

三田裕一氏略歴

三田裕一(みた ゆういち) 上席研究員

所属:

一般財団法人電力中央研究所
 
エネルギートランスフォーメーション研究本部 研究統括室
兼)同 エネルギー化学研究部門
兼)グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

略歴:

1990年3月
早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻 修士課程修了
同年4月
財団法人電力中央研究所入所
 主に、住宅用小型蓄電システムの開発、リチウムイオン電池の劣化評価研究に従事
1992年-2011年 NEDOプロに従事
 
「分散型電池電力貯蔵技術開発」(1992-2001年度)
「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発」(2007-2011年度)等に従事
2021年7月より現職
 
現在、各種定置用蓄電池の性能評価試験研究、リチウムイオン電池加速劣化試験・劣化評価研究に従事
15:40~16:05
(その3)
2050年カーボンニュートラルの対応策:CCUSの役割と課題
 
(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)
 システム研究グループ  主席研究員
秋元 圭吾 氏

カーボンニュートラル実現のためには、原則、再エネ、原子力、化石燃料利用についてはCO2回収・利用・貯留(CCUS)を行うことが求められる。ただし、CO2除去技術(CDR)を用いることでCCUS無しの化石燃料排出も許容できる。費用対効果の高い対策のためには、いずれにしても様々な技術の組み合わせが必要である。本講演では、特にCCUSに焦点を当てて、コストやポテンシャルなどを踏まえた役割と課題を中心に議論を行う。

秋元圭吾氏略歴

秋元 圭吾(あきもと けいご)

略歴

  • 平成11年 横浜国立大学大学院工学研究科博士課程修了。博士(工学)。
  • 同年 財団法人 地球環境産業技術研究機構 入所、研究員。
  • 主任研究員を経て、平成19年、同 システム研究グループリーダー・副主席研究員、平成24年11月、同 グループリーダー・主席研究員、現在に至る。
  • 平成18年 国際応用システム分析研究所(IIASA)客員研究員。
  • 平成22~26年度 東京大学大学院総合文化研究科客員教授。
  • 平成24~令和2年 日本学術会議連携会員。
  • IPCC第5次および第6次評価報告書代表執筆者。総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会委員、同 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会委員、調達価格等算定委員会委員など、政府の各種委員会委員も務めている。
  • エネルギー・環境を対象とするシステム工学が専門

3. 参加申し込み方法

  1. 下記「シンポジウム参加申し込み」をクリックして申し込みをしてください。
  2. 申し込みに当たり、「原子力学会員」の申し込み事項が若干複雑なため、補足説明を以下に示しますのでご参考としてください。
  3. 申し込み後、自動的に参加受付返信メールが送付されますので内容をご確認ください。
  4. 返信メールが配信されない場合、ご自分のパソコンの迷惑メールフォルダー内をご確認の上、以下のメールアドレス宛お問合せください。(snwシンポジウム事務:山本文雄)
  5. 「参加申し込みの締め切り」は9月7日17時です。
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(〆切:9月7日17時)
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  2. 「受付番号」「お名前」は必ず記載して下さい。

4. 主催・共催・後援

主 催 :
(一社)日本原子力学会シニアネットワーク連絡会(SNW)
共 催 :
 エネルギー問題に発言する会、エネルギー戦略研究会(EEE会議)
後 援 :
(一社)日本原子力産業協会、(一財)日本原子力文化財団
(一社)原子力国民会議

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