2021年度(第21回)SNWシンポジウム報告
(2021年9月15日開催 WEB方式)
「2050年脱炭素社会の実現に向けて」
~原子力発電の新増設・リプレースが必須である~
昨年10月、政府は2050年にカーボンニュートラルを宣言しました。また、本年4月の気候変動サミットでは2030年の温室効果ガス削減量の目標値を2013年比26%減から46%減とし、さらには50%減の高みを目指すこととしました。カーボンニュートラルに向けた電力分野の政策は第6次エネルギー基本計画で具体化される見通しです。その実現にあたっては、再生可能エネルギー、火力、原子力の3電源それぞれの長所を最大限活かすとともにリスクを最小化し、我国にふさわしいバランスの取れたカーボンニュートラルにすることが重要です。
しかしながら原子力発電について既存炉33基が60年運転としても順次停止となり、建設中の3基が運転を開始しても21世紀中葉以降の原子力電源確保には新増設・リプレースが必須です。第6次エネルギー基本計画の議論において、政府は再稼働の重要性は認めるものの原子力の依存度は低減するとし、新増設・リプレースについては言及していません。こんなことで良いのでしょうか?
今回のシンポジウムでは経済産業省から第6次エネルギー基本計画(案)について伺ったあと、産業界からその取り組み状況、「エネルギー問題に発言する会」から新増設・リプレースに向けた条件整備・提言を紹介することとしていましたが、世の中は自民党総裁選へと政局が動き、エネルギー政策が一つの争点に上がりました。自民党の議員連盟、通称「リプレース議連」にシンポジウムのご案内をしたところ、議連の活動について同議連事務局長からお話いただくことになり産官だけでなく政も一堂に会する開催となりました。エネ庁小澤審議官の講演後の質疑応答では電力の安定供給、温室効果ガス削減のため原子力は欠かせない電源であり第6次エネルギー基本計画(案)には“必要な規模を持続的に活用していく”の文言を入れて新増設・リプレースの必要性を表したとの説明を伺うことができました。
今回は講演者が現在原子力界に携わっている方々であったこともあり一般参加者や学生が少なく原子力関係者に偏り、慣れないWEB方式による不手際もありましたが、アンケートでは質疑応答で示唆に富んだ討論を聞くことができて満足であったとの多くのご意見をいただきました。また、主催者としても約250名の参加申込者があり、時宜を得たとても意義深いシンポジウムになりました。
シンポジウムプログラム(pdf)
シンポジウム報告書(pdf)
司会 (SNW代表幹事 早野睦彦)
本日はお忙しいところ約250名もの皆さまにご参加申込を頂きまして誠に有り難う御座います。私は司会の早野と申します。宜しくお願い致します。本日は“2050年脱炭素社会実現に向けて ―原子力発電の新増設・リプレ―スが必須であるー”というテーマで皆様とともに課題について考えたいと思います。最初にSNW会長の坪谷から開会の挨拶を申し上げます。
開会挨拶 (SNW会長 坪谷隆夫)
第21回SNWシンポジウムの開催にあたりご挨拶申し上げます。
原子力がこの日本のエネルギー安全保障にとって極めて重要な技術であると確信し、SNWは「学生との対話会」および「シンポジウムの開催」を活動の柱としております。これまで「学生との対話会」を通じてこのような原子力利用の重要性を若い世代に継承し、共有できるよう活動を続けております。また、「シンポジウム」ではこれまで原子力利用に関わる重要課題を取り上げてシンポジウムを開催して参りました。将来に向けてのデジタル・トランスフォーメーション(DX)およびグリーン・トランスフォーメーション(GX)の第四の革命も原子力利用無くしてその果実を享受するのは難しいのではないでしょうか。
本年は、「2050年脱炭素社会実現に向けて-原子力発電の新増設・リプレースが必須である-」をテーマとすることに致しましたところ、コロナ禍における開催となりましたが、約250名の皆さまにご参加申込を頂きまして有り難う御座います。プログラムは、既にご案内の通りで御座います。 なお、自由民主党に「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議員連盟」、通称「リプレース議連」が設立されていることは皆さまご案内の通りです。このリプレース議連事務局長の滝波宏文参議院議員にSNWシンポジウムのご案内を致しましたところ、ご本人から、シンポジウムの機会に是非に活動を紹介したいとのご希望がありました。そこで、ご登壇の皆さまのご了承のもとに基調講演に先立ち滝波議員からお話を頂くことに致しました。
最後になりましたが、このシンポジウムはSNW活動に賛成するシニアの皆さまの献身的なボランティア活動と共催および後援頂いている団体に支えられて開催しております。心からお礼申し上げ、開会のご挨拶と致します。ご清聴有り難う御座いました。
来賓挨拶 (参議院議員 滝波宏文氏)
リプレース議員連盟事務局長の滝波宏文です。本日はシンポジウムに参加させて戴きありがとうございます。リプレース議員連盟の活動についてお話させていただきます。本日この後のリプレース議員連盟の会で、現在の第6次エネルギー基本計画(案)(以下第6次エネ基(案)と略)に対して下記事項を決議する予定にしております。
- “原子力のリプレース”、“核燃料サイクル堅持”を記入すること
- “可能な限り原発依存度を低減する”を削除すること
- 現案を撤回し、衆院選後に修正すること
なかでも河野候補は核燃料サイクルの放棄を訴えられていますが、民主党政権時代に青森県から大きな反発を受けました。この失敗を繰り返してはなりません。各総裁候補にも上記決議についての回答を求めていきたいと考えております。これらの決議に拠って原子力を最大限に活用できるようにしてゆきたいとの思いです。もちろん再生可能エネルギーの活用も大切ですが、S+3Eにおいて全体にバランスの取れたアップグレードを図るべきで、環境だけに偏重したエネルギー基本計画ではいけません。
皆様へのお願いとして、是非リプレース議員連盟の活動にご支援をお願いします。具体的には皆様から地元の自民党議員及び関係者に第6次エネ基(案)にリプレースを含む現実性のある案に修正するよう働きかけをお願いしたいということです。よろしくお願いします。
講師による講演内容
講演資料
「エネルギー・原子力政策の今後」について 資料“エネルギー基本計画(案)の概要”に基づく講演であり、以下に講演要旨を記載する。
- 自己紹介
- ◎大学では原子核工学を学び、福島第一原発事故後エネルギー原子力政策を担当し、原子力の再稼働、最終処分等を約10年間担当した。
- 経産省、エネルギー庁の役割
- ◎経産省資源エネルギー庁はできてから50年だが、この間一貫して電力は安定供給を第一とし、原子力は不可欠であると考えてきた。第6次エネ基(案)には「持続的」という言葉にして新増設・リプレースの含みを持たせた。
- ◎原子力のリプレース・新増設は不可欠という事は従来から言われているが、第6次エネ基(案)には陽には入っていない。本日これまでのエネルギー基本計画(案)の策定経緯について説明する。
- 本日の講演概要(主要テーマ)
- ◎エネルギー基本計画(案)の全体像
- ◎福島第一原発事故後10年の歩みの説明
- ◎第5次エネ基策定時からの情勢の変化
- ◎2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応
- ◎2030年に向けた政策対応のポイント
- ◎2030年におけるエネルギー需給の見通しのポイント
- エネルギー基本計画(案)の全体像
- ◎2050年カーボンニュートラル、2030の46%削減、更に50%の高みを目指しての削減目標実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すこと
- ◎安全性確保を前提に安定供給確保やエネルギーコスト低減(S+3E)に取組むこと
- ◎第6次エネ基(案)全体の構成は福島第一原発事故後10年の歩み、2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応、2050年を見据えた2030年に向けた政策対応から成る。
- 福島第一原発事故後10年の歩み
- ◎事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むことがエネルギー政策の原点である。
- ◎2050年カーボンニュートラルや2030年の新たな削減目標実現を目指して再エネ拡大を図る中、原子力は安全を最優先し可能な限り依存度を低減する方針は変わっていない。
- 第5次エネルギー基本計画策定時からの情勢の変化
- ◎脱炭素化に向けて大きな世界的潮流が生じたことである。
- 2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応
- ◎電力部門は脱炭素をどこまでできるかが課題。
- ◎非電力部門は脱炭素化された電力による電化を進める。
- ◎再エネは主力電源として最優先で、最大限の導入に取り組む。
- ◎原子力は国民からの信頼確保に努め、安全性確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していく。再稼働を進め、リプレース・新増設を目指して研究開発にも取り組んでいく。
- 2030年に向けた政策対応のポイント
- ◎エネルギー政策の要諦は安全性を前提とし、安定供給を第一とし、経済効率性の向上による低コストでのエネルギー供給を実現し、環境への適合を図るS+3Eの実現に取組むことである。
- ◎エネルギーの多様性を高める必要がある。再エネ、原子力、火力のどれか一つでも支障があれば他で支援できるようにする組み合わせが重要である。
- ◎日本では自給率を上げることが重要課題。第3次エネ基(民主党)では化石を20%削減し、原子力を50%迄引き上げる動きがあったが、福島第一原発事故のため反転して原子力をゼロにする方向になってしまった。一つの方法に過度に頼るのは安定供給上危険で、バランス良く使う必要がある。
- ◎再エネについてのポイント
S+3Eを前提に、再エネの主力電源化を徹底し、最優先の原則で取組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながらで最大限の導入を促すこと、再エネは太陽光が中心だが風力も力を入れる。太陽光では山間部や低斜地への設置が増え、災害に繋がる恐れがあり条例を作って対応する必要がある。
- ◎原子力についてのポイント
福島第一原発事故への反省が原子力政策の出発点。安全性優先で、国民の懸念解消を図る。規制基準に合格した原子力発電所の再稼働を進める。国も全面に立ち、立地自治体等関係者との信頼関係構築を進める。再稼働審査では17基が合格した。再稼働を予定している27基全部が合格すれば原子力20-22%は達成可能であると考える。因みに本日島根2号炉は審査に合格した。研究開発では高速炉開発推進、小型モジュール炉技術の実証、高温ガス炉による水素製造に係る要素技術確立、核融合研究開発に取組む。
- 2030年におけるエネルギー需給の見通しのポイント
- ◎安定供給に支障が出ないように、施策の強度、実施のタイミング等は十分考慮する。
- ◎2030年エネルギーミックスに関する説明
((2030年現行目標);(2030年野心的な見通し))の比率を%単位で示すと再エネ:((22-24);(36-38))、原子力:((20-22);(20-22))火力:(56:41)
再エネの主体は太陽光であり、現在の約2倍にする必要がある。現在原子力の分担が少ない分、火力が補っている。野心的な見通しとして温室効果ガス削減割合を46%から50%の高みを目指している。
- ① Q&C;基本政策分科会では多くの委員から新増設・リプレースの意見があった。しかし、それにもかかわらず原子力の信頼性が回復していないとの理由で記載されなかった。実際は一部の大臣や公明党の反対圧力のためと推察するが、総裁選、衆院選を契機にその封印を解いて第6次エネ基(案)に新増設・リプレースを書き込むことに変更しては如何か。それが経産省の本音と理解するが。
- A;経産省として何をおいても電力の安定供給第一が基本である。安定的に供給できる電源は重要でありCO2,コストも考えると原子力は欠かせない電源である。従ってリプレース・新増設は必要である。但し、エネルギー基本計画は閣議決定事項なので様々な調整が必要であり経産省だけでは通らない。“持続的な活用”の文言を入れてリプレース・新増設の必要性を述べた。パブリックコメントを受けて、それを踏まえて閣議決定となる。更に議論を進めたい。
- ② Q;脱炭素問題はエネルギーだけでなく環境にもまたがる大きな課題である。国益第一に考えて縦割り行政を避けそれらを統括するエネルギー環境政策の司令塔構想は無いのか。高市総裁候補はそのような構想を述べているが。
- A:カーボンニュートラルは重要課題であるが、省庁を跨っての司令塔を作る動きはない。この問題は組織論を含む。エネルギー政策は経産省が主担当であり他の省庁とも調整して閣議決定する。原案は経産省が作成するが環境省との関係も大きい。地球環境は環境省、経産省が行っている。経産省が司令塔という自負を持って役割を遂行している。
- ③C; 理想と現実の乖離について
- 2050年は30年先であり理想を語ってもよいが、2030年は9年後であり内訳が必要である。今の計画は再エネ、イノベーションに前のめりし過ぎである。電力の安定供給は最重要項目であり、これが一部の政治家の好き嫌いに左右されてエネルギー政策・経済政策を漂流させてはならないので経産省は、毅然としてリーダーシップを発揮していただきたい。
第6次エネ基(案)は現在パブコメ中で、その結果を踏まえて最終案が決まる予定である。
質疑(Q),回答(A)および意見(C)
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ならびに2030年のエネルギー政策について (電気事業連合会 企画部長)岩田充弘氏:(原子力部長)中熊哲弘氏
講演資料
岩田充弘氏: はじめに
- 我が国は、2020年10月、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを表明し、2021年4月、2030年の温暖化ガス削減目標として2013年度から46%を削減するとの新たな方針を示した。このような流れの中で、政府は第六次エネ基(案)を公表した。
- 本日は、このような状況下での電力業界としての、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みと2030年のエネルギー政策について説明する。
- 2050年カーボンニュートラルの実現には
- ◎2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、供給側の電源の脱炭素化と需要側の電化の促進を両輪で進めることが不可欠。
- ◎供給面では、再エネの主力電源化に向けての開発促進、安全を大前提に原子力の最大限の活用、火力発電の一層の効率化と技術開発を進めて温暖化ガスの排出削減、に最大限努める。
- ◎需要面では、半数以上を占める非電力分野におけるエネルギーの効率的利用や電化の取り組みに貢献する。
- 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み
- ◎電力業界は、2021年5月、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて積極的に挑戦する旨を宣言した。2050年カーボンニュートラルの実現は極めてチャレンジングな目標であり、実現に向けた電力業界の役割は非常に大きなものと認識している。
- ◎我々は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、S+3Eの同時達成を前提に、供給側の電源の脱炭素化、需要側の最大限の電化の促進に取り組み、持てる技術、知恵を結集し、積極的に挑戦していく。
- ◎供給面の脱炭素化については各種のエネルギーを活用することである。
- ◎再エネの活用の施策として、電源開発はもとより、系統制約を解消する取り組みが必要である。
- ◎確立された脱炭素化電源としての原子力発電に関しては、早期の再稼働、安全が確立された既設炉の徹底活用、リプレース・新増設、これらに取り組む必要がある。
- ◎火力発電は調整力として一定の役割が必要である。炭素排出量の抑制に向けては、例えば、CO2フリー燃料である水素やアンモニアの活用、CCUSに代表されるCO2の回収、貯留に取り組む。
- ◎需要側の取り組みとして、電源の脱炭素化が大前提であるが、民生部門のみならず産業部門・運輸部門等のあらゆる面に対し、最大限の電化に貢献していく。
- 再生可能エネルギーの最大導入に向けた取り組み
- ◎事業者として、再エネの技術開発に取り組むとともに、安定供給及び経済性を考慮しながら開発促進を図っていく。
- ◎現在、再エネ導入拡大に向けた系統整備に関するマスタープランが取りまとめられているところである。こうした計画を踏まえ、系統の有効活用の検討、次世代ネットワーク投資をしっかり取り組む。
- 火力発電の必要性
- ◎火力発電は、太陽光発電や風力発電の調整力を担うため引き続き重要な役割を求められている。
- ◎また、再エネ電源が増加すると、系統全体の慣性力や同期化力の減少が想定されるため、電源脱落時等の周波数変動に対し安定供給に支障をきたすおそれがある。火力発電をいかに脱炭素化するかがカーボンニュートラル実現に向けた大きな課題である。
- 火力発電の脱炭素化に向けて
- ◎火力発電の脱炭素化に向けて、水素やアンモニアといったCO2フリー燃料の活用やCCUS/カーボンリサイクルによるCO2の貯留・資源化のイノベーションが重要である。こうしたイノベーションには投資が必要となることから、取り組みを後押しする政策的支援があればありがたい。
- 電化の促進について
- ◎カーボンニュートラル実現のために、供給側の脱炭素化を進めることは大前提であるが、需要者側の電化を進めることも不可欠と考える。
- ◎事業者として、創意工夫によりサービスやメニューの提供等を取り組みに努めるが、需要者側の理解促進やメーカーによる技術開発、国による政策的支援を頂きながら、一丸となって取り組んでいく必要があると考える。
- ◎また、需要家の設備は化石燃料等のある種類の熱源が設備として一度選択されると、設備更新時にはそれまでの熱源と同じ種類の熱源が使われ続けるという、いわゆるロックイン効果がある。建物の選択にあたっては、2050年を見据えて、足元から電化を選択する必要があると考える。
- 2030年の電源構成について
- ◎2030年においては、S+3Eを大前提に、バランスのとれたエネルギーミックスを検討することが必要と考える。
- ◎具体的には、再エネの主力電源化に取り組むとともに、原子力発電比率の実現と火力発電の段階的な脱炭素化を進めていくことが重要と考える。
- 再生可能エネルギーの最大導入に向けた取り組み
- ◎再エネの最大限の導入に向けて、事業者は洋上風力にも積極的に取り組んでいる。また、バイオマスや地熱発電等についてもノウハウを活かしつつ継続的に進めていく。
- 再生可能エネルギーの最大導入に係る課題
- ◎再エネ導入を進めることは大事であるが、2030年という時間軸を考慮することも重要である。電源のリードタイムを考慮した目標を設定して、バランスのとれた電源構成の検討が重要であると考える。
- ◎また、こうした取り組みを進める中で、足元ではFIT賦課金等の国民負担が増えることも想定される。消費者の皆さんの理解を得ながら導入拡大を進めていく必要があると考える。
- 火力発電の段階的な脱炭素化
- ◎火力発電は、当面は再エネの変動性を補う調整力・供給力として役割を果たす。火力の中でも、LNG、石油、石炭それぞれの特徴を生かしながらバランスを図っていくことが一層のレジリエンスの向上に資すると考える。
- ◎事業者として、火力全体の脱炭素化の取り組みをしっかりと進めていきたいと考える。
- 非効率石炭のフェードアウト
- ◎非効率石炭火力のフェードアウトや更なる効率向上に取り組みながらも、高効率石炭火力は引き続き活用していくことが必要である。
中熊哲弘氏:
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- 原子力発電の中長期的な活用
- ◎福島第一原発事故のような事故を2度と起こさないとの強い決意の下、新規制基準への適合に取り組んでいるが、それに止まることなく自主的かつ現実的な安全性向上に取り組んでいる。
- ◎その様な中、柏崎刈羽原発の核セキュリティを中心とした不適切事案が続いたことは、我々として重く受け止めている。これまで、核セキュリティ分野は各社がそれぞれで情報共有しながら実施してきたが、これから電事連大で情報共有しながら改善を行うことに取り組んでいる。徹底した再発防止に取り組んで行きたいと考えている。
- ◎今後、安全性を追求し続けるとともに、まずは早期再稼働そして安全性を高めた既設炉の安全安定に稼働し、最大限活用していくことが一義的に我々に与えられたミッションであると考える。
- ◎加えて、将来の見通しが得られずに不安を抱いている立地地域の皆さまに如何に安心感を醸成して頂くことが必要であると考えている。産業基盤の維持そして原燃サイクルの推進を両輪で廻していかなければならない。
- ◎その様な観点から、リプレースをしっかりと将来的なビジョンとして我々が実施できる環境にしなければいけない。これは、政策面、制度面を含めて、そのような環境が必要であると考える。その準備として、まずより安全性を高めた軽水炉に加えて、様々な炉型の研究開発を重ねているので、技術の潮流を見極めているところである。
- ◎現在の炉規制法上では、原子炉は40年、それから1回申請が可能で60年運転が認められている。21頁の図にあるように、放って置くとだんだん発電電力量が落ちていく。それを補うためには、当然既設炉の運転寿命を更に延ばすことを目指さなければならないし、またリプレース・新増設を実現しなければならない。
- ◎また、既に直近の建設終了から10年以上経過しているので、早く新設プラントの計画を立てていかなければ、メーカーをはじめとする産業基盤が毀損してしまうことが非常に危惧されるところである。
- 再稼働・新規制基準適合審査の状況
- ◎最近では、7月27日に美浜3号が本格運転を再開(40年超えプラント初の再稼働)、9月15日に島根2号が原子力規制委員会の安全審査に合格した。その結果、再稼働はPWRが10基、許可済みながら未稼働のPWRが2基、BWRが5基となった。
- 原子力発電比率の達成に向けて
- ◎最近、泊原発、志賀原発の地盤関係の審査で次のステップが見られるようになった。審査上の明るい兆しである。
- ◎電力会社間の協力の様相であるが、A社の審査が先行しているという状況になれば、B社からA社へ人材を派遣して一緒に審査対応する。B社自身の審査が始まる前に戻ってきて、そこで得られた知見・力量を自らの会社の審査に活かす、といった取り組みを行っている。
- ◎新規制基準への対応であるが、地震・津波に代表される自然現象に対する大幅な頑健性を向上させた。加えて、電源設備の多重化そして冷却機能の強化といったところを実施している。
- ◎特定重大事故等対処施設(特重施設)に関しては、テロ対策に対する頑健性を強化した。また、新規制基準適合後も様々なバックフィットの要求があった。それに対して、対応してきている。
- ◎先程、60年以上の運転を目指す必要があると述べた。よく、外部から老朽化プラントなどと云われているが、炉周り、タービンを含め赤字で示した設備は全て交換をしている。青字の部分は当該部分のリフレッシュを行っている。我々としては、長い期間のプラントは機器のリプレースをしていることから、何とか長期運転に繋げていきたいと考えている。
- ◎蒸気発生器や高圧給水加熱器等の取替工事の現場写真を示す。
- ◎安全性向上という観点では、産業界にATENA(原子力エネルギー協議会)、JANSI(原子力安全推進協会)を震災後に設立し、ATENAは共通技術に関するガイド作成等、JANSIは自主規制機関としてのピアレビュー活動を行って寄与している。
- ◎また、アメリカ事業者とのペアリングを行って、様々な情報共有を行い、双方の発電所運用に活用している。海外の力も借りながら、また産業界と友好な体制を取りながら安全性強化に取り組んでいる。
- ◎2030年20~22%を達成するために、昨年末電事連内に「再稼働加速タスクフォース」を立ち上げた。電中研等関係機関にも入ってもらい、業界全体で協力体制を更に強化した上で色々議論をしているところである。
- ◎加えて、稼働基数を増やすのみならず、長期サイクルあるいは定検短縮により稼働率を上げていく取り組みを震災前はそれなりに強力的に行っていたが止まってしまったので、検討を再開し、なんとか20~22%を達成するという強い意識で進めている。
- ◎既設炉の運転期間の見直しという観点では、昨年7月29日原子力規制委員会から見解が示された。
- ◎それによると、炉規制法の40年、60年という期間は原子力の利用の在り方に関する政策判断であると委員会は述べている。運転期間40年とする定めは、委員会の立場から見ると、あくまで評価を行うタイミングでしかない。かかる時期をどのように定めようと、科学的に評価を行うことができる、という見解を出している。
- ◎こうしたことを踏まえて、運転期間制度を含む原子力の利用の在り方に関する諸課題について、今後関係機関、国等と協議を進めて行きたい。
最後に
- 電気事業者は、電力各社の知恵と経験等を結集させて、2050年カーボンニュートラルの実現にむけて主体的・総合的に取り組み、地球温暖化防止と我が国の社会全体の進化・発展の両立に貢献していきたい。
- 原子力発電について、既設炉の早期再稼働が第一であるが、将来的なリプレース・新増設に向けて今後の見通しを得るべく精力的に検討していきたい。
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講演2—1カーボンニュートラル実現に向けた三菱重工原子力事業の取組み (三菱重工業株式会社 常務執行役員)加藤顕彦氏
講演資料
原子力はカーボンニュートラルに必須
原子力はカーボンフリーかつ大規模・安定電源であり将来に亘ってその活用が必須である。そのため我が社は既設プラントの再稼働推進、核燃料サイクルの確立、次世代軽水炉、将来炉(小型炉、高温ガス炉、高速炉、マイクロ炉)、核融合炉について取組んでおり本日はその取り組み状況についてお話する。
- 既設プラント再稼働/特重設置の推進
- ◎新規制基準に適合させるべく電力事業者を支援し、各種解析・評価・試験・多数の安全対策工事、特重施設設置工事等を推進中である。
- 核燃料サイクルの確立に向けた取組み
- ◎主幹会社として六ヶ所再処理工場、MOX燃料加工工場の早期竣工に向けた工事を推進中である。また、六ヶ所施設竣工後の安全・安定運転を支援する保全計画を策定推進中である。
- 次世代炉開発の取組み
- ◎2030年代半ばの実用化を目指し、高い経済性、革新技術による世界最高水準の安全性・安心追及した120万kW級の次世代炉を開発中である。放射性物質の放出防止により万一の事故時にも事故影響を敷地内に限定、3系列+シビアアクシデント専用システムによる多重性・多様性、炉心が溶融しても格納容器を防護する溶融炉心対策、高度サイバーセキュリティー対策、格納容器への大型航空機衝突対策、2倍以上の耐震性・耐津波等の自然災害対策強化、日負荷追従・周波数制御運転による再生可能エネルギーとの共存設計等が特徴である。
- ◎原子力は、プラントメーカ3社、原子力特有の技術を持つ企業400社以上並びに汎用技術により原子力部品を提供する多くの企業からなるサプライチェーンを構成するが、福島事故以降厳しい経営状況が続き事業撤退が拡大傾向。メーカーも維持努力をしているが早期の新増設が必要である。
- 将来炉開発の取組
- ◎多様化するニーズに備え、国プロや電共研での一体型モジュラー炉IMR設計を発展させた~30万kWの小規模グリッド向け発電炉や原子力船「むつ」開発経験を生かした~3万kWの舶用搭載炉を自社技術で開発推進中である。
- ◎小型発電炉は、原子炉容器内に蒸気発生器等を内蔵した配管破断想定を不要とする一体型自然循環冷却、パッシブ安全システム採用、原子炉建屋の完全地下立地による航空機衝突対策、事故時放射性物質閉じ込め対策等を特徴とする。
- ◎鉄鋼業界をはじめとした産業界の脱炭素に貢献する、大量かつ安定的な水素製造が可能な高温ガス炉を開発していく。
- ◎高速炉開発については、常陽・もんじゅの開発建設の経験を活かし、資源有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害物の低減を目的とした国の核燃サイクル政策に基づき、日仏国際協力は参画するとともに国内の厳しい耐震条件などを考慮した独自のプラント概念を中核企業として開発中である。
- ◎その他コンテナ収納可能なマイクロ炉を米国と協調しながら開発中である。
- 核融合炉の開発
- ◎核融合炉の開発を世界の主要な先進国と共同で推進中。ITER計画の2025年ファーストプラズマに向けた主要機器の製造等を通じて貢献するとともに、ITER計画後の原型炉概念設計活動にも参画している。これまでトロイダル磁場コイルを製作出荷し、プロトタイプダイバータも受注した。
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講演資料
世界の原子力市場の動向
世界の原子力新設は中国の躍進が著しくロシアはリプレース建設が堅調である。他国は既設プラントの活用に力を注いでおり、米国は稼働率向上、60年、80年の運転延長の方向にある。最近は、カーボンニュートラル、新型炉開発の動きが活発で、本日は当社の次世代原子力プラントの開発について説明させていただく。
カーボンニュートラルに向けた原子力の貢献
カーボンニュートラルに関し、原子力は以下の貢献が期待されています。この貢献のためには、既存炉の再稼働、新設炉の開発、燃料サイクルの各分野での社会的受容性向上の取組みが重要と考えています。
- 電力部門の脱炭素化に貢献(石炭火力の代替、再エネの調整(負荷追従)と系統安定化(慣性力))
- 非電力部門の脱炭素化に貢献(熱源としての利用、水素製造)
- 産業・医療への貢献(国内技術・人材の育成、RI製造・中性子利用、宇宙産業の動力利用)
- カーボンニュートラルに向けた日立の炉型開発
- ◎既存のABWRに国際標準設計、日本規制要求を採用した大型炉ABWRを開発していく
- ◎既存技術をベースに、革新的技術、静的安全性を導入した小型モジュール炉を開発していく
- ◎プルトニウムの利活用、使用済燃料削減、長半減期核種削減を目指した燃料サイクルに貢献していく。
- 日立の国内ABWR建設実績と今後の建設
- ◎福島第一原発事故対策並びに欧州における規制要求を導入したABWRを開発していく。(過酷事故対策、専用建屋からの代替注水・電源供給、航空機衝突を意図した強化原子炉建屋・制御建屋を防御する建屋配置、区分分散配置による安全系のN+2化)既に英国においてGDAを取得した。
- 日立が取組む新型炉の目的と特徴
- ◎資源エネルギー庁のエネジットプログラムにより小型沸騰水型軽水炉(BWRX-300:電気出力300MW級)、小型ナトリウム冷却高速炉(PRISM:電気出力311MW)、軽水冷却高速炉(RBWR)の開発を進めている。
- 小型軽水炉:BWRX-300の概要と特徴
- ◎これまでGEと開発してきた中小型炉シリーズ(SBWR、ESBWR(米国設計認証取得済み))の技術を活用して開発。
- ◎革新的安全システム(隔離弁一体型、自然循環力崩壊熱除去システム)、短く確実な建設(国内実績のあるモジュール工法)、優れた経済性(システム単純化による物量低減)、柔軟性(負荷変動対応、EPZの縮小)が特徴
- ◎カナダのOPG社はSMRの一つとして選定し規制当局の許認可手続きを開始。また、米国では認可済みのESBWRからの変更点について規制当局が審査中。
- 燃料サイクルに貢献する新型炉開発
- ◎国の燃料サイクル政策(資源有効利用、プルトニウム削減(日米協定))に貢献する、軽水冷却高速炉(RBWR)および小型ナトリウム冷却炉(PRISM)を開発していく。
- ◎PRISMは、革新的安全システム(受動的崩壊熱除去、金属燃料使用)、長半減期核種低減、優れた経済性と建設性(機器の原子炉容器内収納一体化、小型モジュール化)、拡張性(高中性子密度利用、蓄熱システム)を特徴とする。
- ◎RBWRは、四角格子燃料によるプルサーマルの高度化並びに六角格子燃料による高速炉サイクル実現を特徴とする。
- グローバルな開発連携体制
- ◎BWRXとPRISMはGEHおよび国内外パートナーと連携した日米共同開発で実用化(北米で初号機or試験炉建設)していく。
- ◎RBWRは日米英協力を軸とした国際共同開発体制を構築していく。
- 技術維持、人材育成への取り組み
- ◎設計から建設・運転・保守までの技術維持、人材維持に新増設・リプレースは欠かせない。
- ◎国内建設プロジェクトの再開を通して日立の建設技術(大型モジュール工法、全天候型工法)維持を図っていく。
- ◎IT化を技術維持に活用していく。
- ◎若手技術者に2年間の訓練機会を与える(日本一世界一へ挑戦)、訓練を通した人材育成、トップ技能者をリーダーとした技能レベルの底上げにより人材育成を図っていく。
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講演資料
第1章 わが国の1970年代から2000年代初頭までの
建設ラッシュ時代の苦難と成功体験
- 日本の原子力発電の50年の歩みと時代区分
- ◎2070年~2000年までの30年間は原子力発電所の建設ラッシュが続いた。
- ◎この間、米国からの技術輸入から始まり、運転経験を蓄積しつつ、経産省の改良標準化計画に則り技術改良を重ねた。
- 軽水炉改良標準化の歩み
- ◎「輸入と国産化(第1世代)」「建設経験、運転経験の反映、信頼性の向上(第2世代)」「経済性、信頼性・安全性の更なる向上(第3世代)」と進み最終的に日本型軽水炉のAPWR,ABWRを完成させた。
- 設備利用率の変遷
- ◎1980年頃からトラブル発生件数、計画外停止率が著しく減少した。
- ◎1995年以降2002年までは稼働率80%台を達成し米国を凌駕した。
- ◎2002年以降、各種不祥事、事故やそれによる規制強化などで稼働率が急降下した。
第2章 2000年代初頭より暗転、2011年福島第一原発事故以降
原子力を取り巻く環境激変と原子力業界の現状、課題
- 原子炉メーカー・電力の建設空白期間
- ◎メーカー:東芝16.5年、日立10.5年、三菱重工12年
- ◎電力:北電12年、東北電力20年、東電24年、中部電力16.5年、関電28.5年、中国電力10.5年、四電27年、九電24年、日本原電34.5年、電源開発10.5年
- 原子力「新増設」に必要な技術と人材育成
- ◎項目:基本設計、詳細設計、製作、建設、試運転
- ◎原子炉メーカーの設計・建設経験者は約1/3に減少
- ◎各メーカーの技術維持伝承と新技術開発努力:国内外の安全対策・保全工事を通じたOJT、Off-JTを継続している。
- 原子力「新増設」に必要なサプライチェーンの維持
- ◎一部企業が廃業したり、サプライヤーで撤退したところがある。
- ◎代替メーカーの開拓や図面を移管して内製化するなどして対応
第3章 1990年代後半~2010年代の仏・米の失敗と中・ロ・韓、
また1970~2000年代の日本の成功、それぞれの要因
- OECD・NEA原子力新設コスト抑制専門家会合
- ◎2017年に日本を含む10か国とIAEAの専門家が会合し欧州・米のプロジェクがなぜ高コスト化したのか、その原因を究明
- ◎究明に当たり、中・ロ・韓と1970~2000年の日本の成功事例を比較
- ◎根本原因:長期的に新規建設が途絶えたことに起因する。
- ◎新規建設が途絶えたために「サプライチェーンが崩壊」し「品質保証問題が続発」その結果「建設の直接/間接費の増大と、工期延長に伴う資本コストが増大」
- OECD・NEA専門家会合からの8項目の提言
- ◎「先進国における第3世代炉初号機の建設プロジェクトの経験・教訓をしっかり学習し、共有する」他、全部で8項目の提言がなされた。
- ◎すべての提言は我が国のこれからの次世代軽水炉建設に当てはまる。
- 日本の場合
- ◎1970年~2000年:1980年代に建設コストが高騰したが、US$4000/kW以下
- ◎2011年以降:安全対策の追加コストUS$1400/kW(初期建設コストの1/3に相当)は今後の不安要因
- フランスの場合
- ◎EPR建設の失敗を糧にして、2018年にフラマトムを発足し、EPR2の開発を決定
- ◎EPR2:仏国内6基、英4基、インド6基建設する計画
第4章 国、規制委、電力、メーカー、産業界など関係者への提言
- 2050カーボンニュートラル達成のための次世代型軽水炉24基の建設の提言
- ◎SNW・エネルギー会有志3名からの提言:達成のためには原子力発電の寄与率1/3を堅持することが不可欠
- ◎このためには、次世代型軽水炉(PWR120万kW、BWR138万kW)各12基合計24基の建設が必要である。場所は電力会社現有敷地内、2020年代の初めに設計を開始すれば、2050年に間に合う。
- ◎機械学会の「原子力・再エネ調和型エネルギーシステム研究会」の検討結果:2050年の原子力エネルギー比率35%となり、SNW提言と一致
- 原発新増設・リプレースの環境整備-国への提言
- ◎長期原子力活用方針の政策の明確化
- ◎科学的根拠に基づく国民への正しい情報発信と理解の促進
- ◎運転期間の法的見直し(40年制限の撤廃、審査期間の控除)
- ◎原子力規制の国際的視点からの法改正(IAEA、米国・英国など)
- 原発新増設・リプレースの環境整備-原子力規制への提言
- ◎新増設・リプレースに向けた法令・基準・規則・指針等の整備
- ◎審査のスピードアップ、標準審査期間の設定、不服申立制度の導入
- ◎安全目標制定、確率的リスク評価導入による審査予見性の向上ほか
- 原発新増設・リプレースの環境整備-電気事業者への提言
- ◎電力自由化の下で、新規建設資金調達/投資資金回収を容易にする新たな料金体系の制度をつくること
- ◎世界の主流は複数企業のプロジェクトファイナンス・モデル
- 原発新増設・リプレースの環境整備-原子炉メーカーへの提言
- ◎関連する各種工事やプロジェクトを通じて技術維持伝承と新技術開発に努め、人材育成とサプライチェーンの維持に取り組むこと
- ◎島根3号、大間、東電東通1号の建設早期再開、原子炉メーカー協業
- ◎次世代軽水炉の初号機を想定し、基本設計、詳細設計、建設コスト評価までを標準化しておくこと。また新技術開発、プロジェクト管理技術開発、新建設技術開発にも取り組むこと
- ◎国際協力:世界中で進行中の建設プロジェクトに参画して知見・経験を取得すること(例えば英国のヒンクレーポイントC(EPR)、米国等のSMR建設等)
新増設初号機実現の4大重要取り組み課題
- 国の原子力活用政策の明確化
- 規制の予見性の確保
- サプライチェーンの再構築
- 投資資金調達方式の構築
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1. 電事連への質問
- 1)2030年~2050年に向けて40年運転、60年運転をするとのことだが、それで発電容量はカバーできるのか?新増設が不可欠だと思うが如何か?
- ◎2050年時点を見ると60年運転で見ても、廃炉になるものが出てくるので当然間に合わない。米国に倣い、60年超の運転を視野に入れて、いろいろなデータを集め始めているところである。
- ◎新増設に関しては島根3号、大間、東電東通以降の計画は見えていない。
- ◎新増設は多額の初期投資が必要であり、それを回収できることが制度面で担保されないと踏み出せない。
- 2)六ケ所再処理工場の稼働によるプルトニウムの蓄積をどうするのか?
- ◎昨年の12月にプルサーマル計画を公表した。2030年時点で少なくとも12基をプルサーマルに当てることになれば、6.6トン/年減らせる。
- ◎六ケ所再処理工場は稼働してもいきなりフル稼働するわけではなく、それで漸減させていくことで十分対応できると考えている。
- ◎なお今まで自社分のプルは自社で消費するのが原則であるが、その中でも各社協力して消費を促進することを検討している。仏国にある後発組電力のプルトニウムを英国にある先発組電力のプルトニウムと交換して使うということなどである。
- 3)原子力発電所のセキュリティ対策はある程度できているが、再エネへのサイバー攻撃や電磁波による攻撃への対応は大丈夫か?再エネに大きく頼ると送電能力に支障をきたし、電力の安定供給が阻害される怖れがある。
- ◎この問題は再エネだけでなく、すべての電源に対していえることであり、事業者間や関係機関等との情報共有や分析を進めるとともに、万が一サイバー攻撃を受けた際には外部ネットワークと接続を遮断するなど、電力の安定供給に万全を期していく。
2. 日立、三菱重工への質問
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講演資料一覧
以下に講演資料を添付します。なお、資料名は講師の所属名で代表させていただきました。
基調講演 「エネルギー・原子力政策の今後」
- (経済産業省地域経済産業審議官)小澤典明氏
- 経済産業省資料1(pdf、0.9MB)
- 経済産業省資料2(pdf、0.9MB)
- 経済産業省資料3(pdf、5.5MB)
講演1 2050年カーボンニュートラルの実現ならびに2030年のエネルギー政策について
- (電気事業連合会企画部長:岩田充弘氏、原子力部長:中熊哲弘氏)
- 電気事業連合会講演レジメ(pdf、0.3MB)
- 電気事業連合会講演資料(pdf、5MB)
講演2 安全性・経済性を高めた次世代軽水炉の開発設計
講演2—1 カーボンニュートラル実現に向けた三菱重工原子力事業の取組み
- (三菱重工業株式会社常務執行役員 加藤顕彦氏)
- 三菱重工業講演レジメ(pdf、0.5MB)
- 三菱重工業講演資料(pdf、4MB)
講演2—2 安全性・経済性を高めた次世代原子力プラントの開発設計
- (株式会社日立製作所執行役常務 久米正氏)
- 日立製作所講演レジメ(pdf、0.2MB)
- 日立製作所講演資料(pdf、9MB)
講演3 次世代軽水炉新増設・リプレースに向けた条件整備と提言
- (エネルギー問題に発言する会会長金氏 顯)
- エネルギー問題に発言する会講演レジメ(pdf、0.2MB)
- エネルギー問題に発言する会講演資料(pdf、1.6MB)
全資料
- (一括ダウンロード用)
- 全講演レジメ(pdf、1.2MB)
- 全講演資料(zip(解凍してご利用ください)、24.9MB)