学生とシニアの対話
in 北海道教育大学函館校2024年度(第7回) 報告書

講演と対話会は、北海道教育大学函館校の公開講座「環境と放射線」を受
講している国際地域学科の学部1年生から4年生を対象に行われた。
講演と対話会は別々の日に実施した。講演はWEB方式で約80名の学生の参加があった。対話は講演の8週間後に対面方式で実施し講演会参加者から62名の参加があり熱心な対話が行われた。
講演/対話のテーマは昨今の情勢を踏まえて「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」と「高レベル廃棄物の地層処分」とした。難しいテーマだったが、学生の理解は十分に深まった。
1.講演会の概要
- 1)教職および公務員等を志望する学生80名が参加
- 国際地域学科の1年生から4年生、80名を対象にWEB(ZOOM MEETING)方式で実施された。受講場所は大学の講義室。
- 国際地域学科は文系の「国際協同、地域政策」と理系の「地域環境科学」ならびに教育系の「地域教育」に分かれている。
- 講演は公開講座「環境と放射線」の一環として行われ、単位取得対象になっているので学生は皆真剣である。受講後にレポートを中村教授宛に提出しなければならない。
- 演題は「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」と「高レベル廃棄物の地層処分」とした。
- 2)日 時
- 5月15日(水):講演資料を学生へ配信
- 5月29日(水)13:00~14:30 :講演(WEB方式)
- 3)場 所
- 北海道教育大学函館校 講義室
- 主催者:北海道教育大学函館校 国際地域学科 中村秀夫教授
- 4)参加者
- 北海道教育大学函館校:中村秀夫教授
- 学生:80名(「環境と放射線」を受講する学部1~4年生)
- シニア:10名 (SNW)坪谷隆夫、早野睦彦、星野知彦、松永一郎
(SNW東北)井上茂、佐藤信俊、津幡俊、高橋実、古川榮一、本田一明 - 5)講演会の詳細
- 講演1:GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~
- 講演者:松永一郎
- 講演概要:日本ではグリーントランスフォーメーション(GX)に舵が切られ、化石燃料から再エネ、原子力などCO2を排出しないエネルギーへの転換を行い、エネルギーの安定供給と経済成長を目指すことになった。
- 事後アンケート(対話会不参加者を除く)では、学生の74%が「とても満 足」26%が「ある程度満足」と答えている。「聞きたいことが聞けたか」と の質問には「十分に聞くことができた」と「ある程度聞くことができた」がそれぞれ56%と39%であった。
- 講演2:高レベル廃棄物の地層処分
- 講演者:坪谷隆夫
- 講演概要:高レベル廃棄物の地層処分には4W1Hを知る必要がある。「WHATそれは何?」、「WHICHどんなもの?」、「WHRE NOWいまどこに?」、「WHO誰が出しているの?」、「HOWどうするの?」
- 事後アンケート(対話会不参加者を除く)では、学生の77%が「とても満 足」23%が「ある程度満足」と答えている。「聞きたいことが聞けたか」と の質問には「十分に聞くことができた」と「ある程度聞くことができた」がそれぞれ61%と33%であった。
2. 対話会の概要
- 1)国際地域学科の59名の学生が参加
- 対話は対面で行った。
- 参加者を6グループに分け、対話のテーマは講演と同じ「GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」、「高レベル廃棄物の地層処分」とした。
- 対話会に先立ち、学生は「講演会を聞いて疑問に思ったこと」をシニアに提出した。講演会の内容はかなりの程度理解されており、提出された疑問には本質を突いたものが数多く見られた。
- シニア(各グループ2名)は学生からの質問に対して回答書を準備、回答書は対話会の前に中村秀夫教授から学生に配信された。対話会では学生の質問や考えを中心に意見交換を行い、深堀した効果的な交流を行うことができた。
- 事後アンケートでは、学生の75%が「とても満足」23%が「ある程度満足」と答えている。「事前に対話したいと思っていたことは対話できたか」との質問には61%が「十分対話できた」37%が「ある程度対話できた」と答えている。
- 「対話の必要性」「友人、後輩などへの対話会へ参加の勧め」については、それぞれ74%、84%という比率で「非常にある」「勧めたいと思う」という結果だった。
- 2)日時
- 5月29日(水):講演会(WEB)
- 6月8日(金):学生からシニアへの質問
- ~6月26日(木):シニアから学生への回答
- 7月17日(水)12:40~14:30:対面による対話会を開催
- 3)場所
- 北海道教育大学函館校 講義室
- 主催者:北海道教育大学函館校 国際地域学科 中村秀夫教授
- 4)参加者
- 北海道教育大学函館校:中村秀夫教授
- 学生:59名
◇学年別:1年(8名)、2年(25名)、3年(21名)、4年(3名)
◇専攻別:理系(13名)文系(35名) - シニア:12名
(SNW)田中治邦、坪谷隆夫、長谷川信、早野睦彦、星野知彦、松永一郎
(SNW東北) 阿部勝憲、井上茂、佐藤信俊、津幡俊、高橋實、本田一明
3.対話会の詳細
(1)グループA(報告 坪谷隆夫)
- 1) 参加者
- 学生:11名(1年-4年、地域協働専攻の国際共同グループ、地域政策グループ、地域環境グループ)
- シニア:津幡俊、坪谷隆夫(ファシリテータ)
- 2) 主な対話内容
- 実施計画に沿いアイスブレークでシニアおよび学生の自己紹介を実施。配属された学生の出身地は札幌等北海道、青森、宮城、秋田、石川、兵庫県で、また現在2名程度が教員を目指すとのことでした。
- グループ対話に先立ち、対話の概要を発表する学生を2名決定した後、事前QAのテーマに関わらないエネルギー問題で知りたいことを聞いた結果、2名の学生から、それぞれ能登半島地震に関し志賀原子力発電所の状況および新しい技術が社会に受容される際の課題について聞かれたのでシニア側が答えました。次いで、GX事項として、自給率やエネルギーミックス、温暖化ガスの削減の課題、原子力発電の社会の支持について学生から出された意見について学生同志で意見交換の時間を取りました。特に、事故の被害や風評で原子力発電の安全を心配していたが、授業を受けて思っていたより安全ではないかと考えるようになったとの意見がありました。地層処分事項について、地層処分のデメリット、地震と処分場の安全、海外処分について学生から意見が出され、学生同士でも意見交換を実施しました。これらの意見について、シニアが適宜意見を述べました。
- GXと地層処分という社会的にも重要な課題を設定された結果、回答作業を通じてシニアも改めて学習をすることができました。本日の対話会の運営とともに課題設定にご指導を頂いた中村先生に感謝を申し上げます。
(2)グループB(報告 早野睦彦)
- 1)参加者
- 学生:9名(1年1名、2年3名、3年4名、4年1名)
- シニア:佐藤信俊、早野睦彦(ファシリテータ)
- 2)主な対話内容
- 学生達は回答について読んでいたとのことであり、それを前提に更問による深堀を目指した。しかしながら更問は前の質問の域を出ず回答を口頭説明することで終わったのはいささか残念であった。
- 質問は、エネルギー変換によるロス、炭素税による抑制効果とその社会的影響、エネルギーミックスとして望ましいバランスをどのように考えるか、高レベル廃棄物や原発再稼働についてどのように地元理解を進めているか等である。
- これらに対する説明は、エネルギー変換によるロスは物理的に不可避な必然であること、炭素税などによる温暖化ガス排出の抑制効果だけに注目するのではなく経済やエネルギー安全保障にも目配りした社会的にトータルなバランスを考えることが大切なこと、一次エネルギーは化石燃料、再エネ、原子力の3種類しかなくそれぞれに一長一短があり、上手に使い分ける知恵が求められていること、我が国はとりわけ資源小国であり、エネルギー問題は国の命運を掛けたテーマであることなどもっと根本に戻って考えることが大切であると伝えた。
- 最後にメディア汚染に関する注意喚起として、量的評価のない報道に注意してメディアを鵜吞みにしないこと、とりわけ放射線被ばくについては桁が大きくてイメージとして左右されやすいので注意することを伝えた。
(3)グループC(報告 星野知彦)
- 1)参加者
- 学生:10名(4年1名、3年4名、2年4名、1年1名、内 男性4名:女性6名)
- シニア:井上 茂、星野知彦(ファシリテータ)
- 2)主な対話内容
- 学生及びシニアそれぞれ自己紹介を行った後、対話終了後の口頭発表兼対話記録書記を決定した(本人立候補)。その後2件の基調講演に関する事前質問の回答内容をベースに対話を進めた。事前質問に対するシニアからの回答は事前に学生に配布されていたこと、また、対話の時間が限られており質問の数も多いことから、質問を2~3にグルーピングしてシニアが学生の疑問点に対して解説していきながら対話を行った。
- ①GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ
シニアより質問を「再エネの可能性と原子力発電の必要性」、「CNに対する中国、インドの考え方、諸外国の動向」、「GXに対処していくには」の3つのテーマに分けて要点を説明し、それぞれに対して学生から意見、質問等を受けた。 シニアから、再エネにはコストがかかること、原子力発電を一定の割合確保するためには人材、サプライチェーンの維持が必須でそのためには早く新規建設が望ましいこと、日本で火力発電をゼロにするのは厳しく日本の高効率発電システムを導入していく必要があることなどを説明した。
また、対話会に参加している学生はCNの2050年に40代後半~50才となって社会を牽引していく世代であり、GXを推進する立場になることを認識してもらった。
学生からは、学校教育では温暖化の話はあるもののGX、CNの話はあまり聞いたことがない、「自分の強み」を炭素中立型に転換するためには学校教育に取り込み、全ての国民が「自分ごと」としてとらえるべきという意見が出た。 - ②高レベル廃棄物の地層処分
初めにシニアより、学生が事前質問について対話の時間内に回答を理解できなかった場合のため参考図書を紹介した後、質問を高レベル廃棄物の「処分方法・技術」、「制度」、「地域への理解活動」の3つのテーマに分けて要点を説明し、対話を行った。
質問をこれらの3つに分類すると、関心が高かったのは「地域への理解活動」、「処分方法・技術」、「制度」の順であった。 大学のある道内で2ヶ所の文献調査が行われていることもあり、報道等を通じて地層処分というテーマについて関心が高いことが対話を通して伝わってきた。
GX、高レベル廃棄物地層処分とも自分たちの世代が真剣に取り組む必要があることに学生自ら気づきを得てくれたことが今回の対話会の大きな成果だったと考える。
(4)グループD (報告 高橋 實)
- 1)参加者
- 学生:3年(女3、男1)、2年(女2、男3)、1年(男1)計10名
- シニア:田中治邦、高橋 實(ファシリテータ)
- 2)主な対話内容
- 最初に、シニア、学生の簡単な自己紹介、次に代表報告者を決めるよう求め たところ、上級生に構わず手を挙げた2年の男子学生がおり、質疑応答の中で も最も積極的に発言していた。この学生は教員志望とのこと。主な質疑は以下の 通り。
- ①東海村で事故があったが2度と起こさぬよう何に努めているか。
→ 非常に初歩的な失敗だった。その後も小さなトラブルはあるが、チョルノビルや1F事故のようなシリアスな事故を発生させないことが大切。 - ②再稼働には賛成だが人材不足と聞く。デリケートな技術で心配。
→ 学生、若い技術者の養成が重要と認識。 - ③小学校時代に福島に住み、1F事故は怖かった記憶あり。地層処分は住民の理解が得られなかったらどうなるか。
→ 住民の理解が無ければ進められず、文献調査だけで白紙に終わる。 - ④メディアが科学的に見て突拍子もないことを書く。どうするか。
→ 情報公開は大切だがトラブル発生の報告のみでは批判に曝されるだけ。正 しいこと、前向きなことの日常的発信も重要。聴く側も事実確認等メデイアに対 するリテラシイを持つことが大事。 - ⑤ペロブスカイト太陽電池は鉛が心配。どのぐらい使っているか?
→ 含有量は不詳だが、有害物質で廃棄時点での取り扱いが課題。 - ⑥1F事故の責任はどこがとるのか。
→ 訴訟は複雑だが、原子力損害は全額を東電が賠償する。 - ⑦太陽光パネルを家庭に普及させるのは効果的か。
→ 正しい方向ではある。新築家屋では良いと思うが、古い家屋への設置は、構造上の問題、コストの問題がある。大規模の設置には系統上安定供給の問題が派生する可能性がある。 - ⑧EVもCO2排出があると聞いた。どういうことか。
→ 電気がどうやって作られたかが問題。電池の製造もCO2を出す。 - ⑨ウクライナ侵攻で電気代が上がっており原子力をやるべきだが、ウラン
は国内で採れるのか。
→ 国内では採れないが、世界に広く存在し政治的に安定な国から輸入可。原子 力は備蓄効果あり、更に出力コーストダウンしながら発電継続可。 - ⑩現在火力が7割だが、今後の技術革新で切り札となる燃料は何か。
→ CO2フリー水素、アンモニアを期待。 - ⑪再エネは何割を占めることになるか。
→ 2030年に4割、2050年には6割を目指すが、現実的には火力もCCS等の技 術開発動向によるが使用せざるを得ないだろう。 - ⑫原発事故時に日本語に弱い外国人を守れるか。
→ 原発事故に限った話ではない。災害情報を流す国・自治体の課題。 - ⑬ニンテンドーダイレクトのように、メディアを使わずに直接に国民へ情
報を伝える手法はないか。
→ 国、電力等、インターネット、SNSで様々な努力はしている。 - ⑭地層処分立地について地元での対話会は効果が低いと感じる。そもそも
教育の問題ではないか。
→その通り。義務教育の段階で原子力の要素を学ばせることが大切。 - ⑮自分は教員志望。道徳の時間を使うべきと考える。
- ⑯インターネットでも「とんでも科学」が流れ、それを規制できない。正し いことを有識者が発信して行くことが大切である。
- シニア高橋實よりまとめ
政府は正しい情報を発信している積もりだが、いい加減な情報に負けないよう なアピール性が重要と認識。 - シニア田中治邦よりまとめ
文系・理系を問わずどのような分野に進もうと、基礎的な科学リテラシーの重 要性を忘れないで欲しい。 - 感想 SNW側は学生間で自由に意見交換させる予定であったが、指導教官(中村秀夫先生)が最初に「良い機会であるからシニアにどんどん質問せよ」と宣言してしまった為に、専らそのような進行となった。しかし、一人として眠そうな学生はおらず、熱心に質問をしてくれた。特に積極的な学生は目が光っているように感じられた。
少人数のグループ分けをしてシニアが2人ずつ配置されたが、全学生の前で全シニアに自己紹介をさせたのは時間ロスであったと考える。学生には自分の属するグループに来たシニアがどんな人間であるかを知れば充分の筈だった。
教育大学であるものの、教員になる意志を持つ学生は極めて少ないとのことで、予め当方が持っていた期待(将来は子供達へ教育)は外れたが、いずれの学生も理科教育が重要との認識を持っており、この学生達がどの分野に進もうともエネルギー問題への正しい理解を維持してくれると期待できた。
学生の授業出席は、ICチップ入りの学生証カードを教室入口近くの壁のカードリーダに当てることで記録され、教官は出席簿を作らないで済む現代風。
(5)グループE (報告 本田一明)
- 1) 参加者
- 学生10名(3年4名、2年5名、1年 1名。 男性7名:女性3名)
- シニア:長谷川信、本田一明(ファシリテータ)
- 2) 主な対話内容
- シニア及び学生各自の自己紹介を行った後、基調講演及び事前質問への回答内容をベースに対話を進めた。
- 学生から出された質問や意見の趣旨は概略以下のとおり。
- ①中学校社会科の先生を目指している。話題の地層処分については、今の大人が決めたものに対して、次の世代が責任を負うことになるのではないか。どう伝えてゆけばよいのだろうか。
- ②非営利事業に関心を持っている。原子力に関連してどのような事業が考えられるか。
- ③世界では将来的にも原子力発電を利用する国が多いが、どのような国でどのような炉型が最先端となっているか。
- ④倶知安に住んでいた時に、泊原子力発電事故時の避難訓練があった。原子力発電の安全性は向上しているとは言うものの、万一事故が起きた際の避難先、避難ルートは確保されているのだろうか。
- ⑤福島第一原子力発電所事故後のマスメディアはネガティブ報道が多いように感じる。再エネと同様に原子力も大事なことが国民に伝わっていない。寿都町、神恵内村の住民のように当事者とならないと原子力と向き合うことは無いのではないか。ポジティブに向き合うにはどうすれば良いのだろうか。
- ⑥文献調査に関連して行われている「対話の場」のメンバーに若い人は参加しているのだろうか。若い人の参画が大事であり、若い世代が学び考えないと将来同じ事が繰り返されるのではないか。
- ⑦原子力の新規建設が進んでいない。SMRなど次世代革新炉の導入を進めるにはどうすればよいか。
- ⑧六ケ所村の再処理工場は竣工時期がこれまで何度も延期されているが、今回は大丈夫か。
- ⑨エネルギーミックスの再エネに関連して、ダムなど水力発電の開発は進んでいるのか。
- ⑩最終処分地選定に当たっての文献調査で、地域の意見が反対となってしまった場合には、その地域は選ばれなくなってしまうのか。
- 自身はエネルギー、原子力に関して詳しくは知らないとの参加者が多かったが、的確で良く考えられた質問・意見が多く出され、皆さん基調講演内容及び事前質問の回答を理解して臨んでくれた様子が伺えた。
- 新聞を購読している方はおらず、情報入手手段は主にインターネットとの ことである。マスコミはエネルギーに関して再エネ礼賛、反原子力の報道傾向が見 られることから、フェイクニュースに注意しつつ多方面からの一次情報を入手し、 事実を基に自ら考えることが大事であることに話が及んだ。
- 参加者全員からの質問に丁寧を心掛けて応えたことから時間が若干足らな くなった感がある。話題のテーマを絞るとともに、原子力の社会受容についても っと深く意見交換しても良かったのではないか、また、双方向の対話を心掛けた もののシニアが話過ぎたのではないかと反省。
- Eグループには1年生~3年生が参加され、知識レベルに差があると感じ た。そのため、話題を絞って対話を行う場合には、全員が話題に参加できるよう に、話題設定やグループ分けを工夫する必要があるような気がした。
- グループ発表からは対話内容を良く把握していることが窺えた。今回の 対話会が参加された皆さんのエネルギー及び原子力について自分事として考 える機会になれば幸いである。
(6) グループF(報告 松永一郎)
- 1) 参加者
- 学生:学生:9名(3年生3名、2年生4名、1年生1名) 出身:北海道(函館、札幌)4名、青森2名、福島2名、岩手1名 進路希望分野:教員1名、公務員2名、福祉関連1名、メーカー1名、未定4名
- シニア:阿部勝憲、松永一郎(ファシリテータ)
- 2) 主な対話内容
- 学生、シニアそれぞれの自己紹介のあと、事前質問/回答について確認した。学生は全員、その内容について読んでいるとのことだった。
- 次に参加者全員に対してGXについて感想を答えてもらった。全員がGXというのは講演で初めて聞いた言葉とのこと。主な感想はつぎのとおり
- ①これだけ大切なことが国民に知られていないのは問題である。
- ②エネルギー問題は重要であり、話を聞いてもっと知識を付けなければならないと感じた。
- ③電気代は身近なものだが、話を聞いてよく分かった。他
- 以上に対してシニアから説明
- ①GXはここ数年の話で急速に進んでいる。政府のPR不足は感じている。
- ②DXの変化は身近な話なので分かりやすいが、GXは政策的な話なので分かりにくい。
- ③電気代等、エネルギー問題についてよく知識を付けてほしい。GXはここ10~30年の間のエネルギー源の大転換であり、現在の学生世代が社会に出てすぐに直面する話である。
- 続いて、地層処分に関して感想を全員に答えてもらった。主な感想は次の通り
- ①放射性廃棄物が溜まり続けるのはよくない。地層処分は最もよい方法だと思う。
- ②処分地はマイナスイメージがある。リスク評価をしっかりして、処分地としてメリットがあることを説明する必要がある。
- ③処分地周辺の地元の理解がとても重要である。他
- 以上に対してシニアから説明
- ①処分候補地としては北海道の寿都町、神恵内村の他に、最近では九州の玄海町が手を挙げている。
- ②寿都町、神恵内村では20回近くの対話会を開き、技術的な話だけでなく、周辺地域の将来的な繁栄をどうするかなどの話もしている。そろそろ文献調査結果が出る。
- その他、5/29の講演で原子力の話がなかったので、簡単なペーパーにより説明した。
- 参加学生は皆まじめであり、Q&Aはよく読んでいることは感じられたが追加質問は出なかった。GXも地層処分も重要性についての認識は得られたようだが、自分事として考えるにはまだ距離があるようだ。
- NUMOによる寿都町、神恵内村への訪問の話が中村先生からあったので、ぜひ応募したらよいと勧めておいた。
(7)シニア講評(SNW会長 早野睦彦氏)
お疲れさまでした。今回のテーマであるGXや高レベル廃棄物の地層処分は長期にわたる問題ですぐに結論が出るものではありません。これから日本を背負って立つ諸君は安易に結論を出さず、じっくり自分の頭で考えてください。世の中すべて良いことと悪いことの一辺倒で済まず、多様な意見があることを知ってください。そしてエネルギー問題は国の命運をかけたテーマですから常に関心を向けていただきたいと思います。そのためにもサイエンスリテラシーとメディアリテラシーを磨いてください。
4. 学生アンケート
- ①講演と対話に関する一般的な質問
- ②放射線・エネルギー・環境に関する意識調査