会長就任にあたって
この度、シニアネットワーク連絡会(SNW)の会長を引き継ぐことになりました石井正則です。SNWはこれまで優れた指導者に恵まれ、学生とシニアの対話活動やシンポジウムでの情報提供活動の礎を築き、発展させ成果を上げてきました。私はその間、会員として対話会やシンポジウムなどの活動に参画させていただきました。東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の津波事故以降、原子力界を取り巻く環境が変容していますが、原子力がかけがえのないエネルギーであることは微塵も変わりません。これを子孫に残すのは、原子力界に育った私たちの責務との思いを強くしています。
私は1960年代の原子力の草創期にIHIに入社、原子力プラントの設計、建設に携わってきました。商用原子力発電所は1966年の東海発電所を皮切に、1970年代以降多くの発電所が電力供給に貢献してきました。1970年代の石油危機を乗り切れたのも、1950年代から開発に着手した私たちの先輩の先見の明の賜物でした。
昨今は脱原発ムードが強まっていますが、再稼働やリプレースが進まなかったら、いずれ本当に脱原発になってしまうことが危惧されます。私たちの先輩が半世紀以上にわたって築き上げてきた基盤をなんとしても整備、強化して後世に引き継がねばなりません。現在は現役の方々のご尽力により原子力界が支えられていますが、やがてバトンを引く次ぐのは次世代を担う若者たちです。学生との対話活動への期待は極めて大きいものがあります。また、原子力に対する社会の理解を得るための活動も一層重要性が高まっています。社会の様々な分野を担うであろう学生、とりわけその次の世代を育成する教育系学生、更には教員へと活動を拡げることが期待されています。このためには、シニア側の体制の整備も必要です。活動の拡がりに応えるには、私たちも層を厚くしたいものです。新しい会員の参加が期待されます。
私たちの活動の成果はすぐに目に見えるものではありませんが、私たちの子孫により良い社会を提供するうえで欠くことができないものです。皆様と一緒にこの活動を盛り立てて行きたいと思っておりますので、どうかよろしくご指導とご協力を賜るようお願い申し上げます。
末筆ながら、皆様のご健勝を祈念し、会長就任の挨拶とさせていただきます。
©2018日本原子力学会シニアネットワーク連絡会