会長挨拶
幸い、石井正則代表幹事をはじめSNWには強力な幹事団が構成されておりますし、経験豊かで高い見識をお持ちの坪谷隆夫様が新副会長として、ご一緒して頂けることになりましたので、皆様のご指導とご支援を頂きながら、より活発な活動を展開し、SNWを盛り上げて参りたいと存じますので、よろしくお願いします。
事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために、原子力の安全と危機管理及び規制について根底から見直しが重ねられ、2012年6月に法律が制定され、同9月には原子力規制委員会が発足しました。国民の安全を最優先に原子力の安全管理を立て直し、真の安全文化を確立することが、原子力関係者を始め国の最重要課題です。原子力発電所の新基準への適合性が規制委員会で審査中ですが、更に、自治体を含めた官民の協力による危機管理態勢の整備も、原子力発電所再稼働に先立つ重要な課題です。
原子力施設の設計、運転・保守にあたる従事者の教育・訓練はどうあるべきか、また、規制機関が的確にその使命を果たしているか等々を議論しつつ、国の安全規制機関・事業者・メーカー等における取組を注視していく必要があります。これら機関の対応が納得のいくものでない限り、社会の皆様の信頼回復は望めませんし、学生を鼓舞し夢支援をすることは望むべくもありません。原子力再生への道のりは茨の道であり、今後長期間にわたると予測されますが、決して挫折させてはならないとの思いを、改めて噛み締めております。
一方、グローバルなエネルギー需給は、地球規模のエネルギー資源減耗とエネルギー安全保障、更には地球温暖化対策の観点から、極めて多くの国々が福島事故の後も、原子力発電の果たす役割を重視しています。あってはならない原子力の過酷事故でしたが、この極めて貴重な体験を活かすことこそが、我が国に課せられた国際貢献です。また人類のエネルギー文明は火の文明から化石資源の文明を展開しましたが、平和利用による原子力文明の確立こそが、人類の長い将来へ貢献する道です。
SNW会員の多くは、人生の大半を我が国のエネルギー確保に捧げてきたシニアの皆さんです。安定で安価な電源確保は、我が国のエネルギー安全保障の原点であり、国の産業と経済活動を支え、国民の生活基盤を支えるものです。会員の培った多くの経験と知見を活かし、原子力発電の原点を改めて確かめ、国民の皆様のご理解を頂くこと、次世代を受け継ぐ若い世代へのバトンタッチを支援することが、SNWの基本的な役割です。会員はじめ多くの皆様のご協力とご支援を頂きつつ、SNWは些かなりともお役に立ちたいと念じております。
©2018日本原子力学会シニアネットワーク連絡会