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会長挨拶

平成26年5月15日 小川 博巳
前会長の突然の退任を受けて、副会長としてはお断りすることも侭ならず、昨年10月以降、会長代行を務めて参りました。改選期を迎えるにあたり、多士済々のSNWの皆様の中から、相応しい方をご推挙頂きたいとお願いして、ご相談頂きました。
はからずも、会長・役員推薦委員会のご推挙と会員の皆様のご承認で、第4代会長を拝命し、身の引き締まる思いであります。

幸い、石井正則代表幹事をはじめSNWには強力な幹事団が構成されておりますし、経験豊かで高い見識をお持ちの坪谷隆夫様が新副会長として、ご一緒して頂けることになりましたので、皆様のご指導とご支援を頂きながら、より活発な活動を展開し、SNWを盛り上げて参りたいと存じますので、よろしくお願いします。

SNWは、会員それぞれが培ってきた知見と経験を活かし、地球規模のエネルギーと環境問題に対する原子力の果たすべき役割について、真摯に考え、社会に向けて発言と提言を積極的に行うとともに、世代間の対話と様々な交流を通して、原子力技術の伝承と人材育成に協力し、真の理解者を広げることを目的として、創設以来、活動して参りました。
しかしながら、2011年3月の東北地方太平洋沖地震と巨大津波による福島第一原子力発電所の事故は、地元住民をはじめ多くの方々に艱難辛苦を強いる結果となり、原子力に携わってきた者として慙愧に堪えず、心からお詫び申し上げます。
福島の過酷事故は、決してあってはならぬ事故であり、国民の皆様の原子力発電への信頼が大きく損なわれたことは、誠に残念です。

事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために、原子力の安全と危機管理及び規制について根底から見直しが重ねられ、2012年6月に法律が制定され、同9月には原子力規制委員会が発足しました。国民の安全を最優先に原子力の安全管理を立て直し、真の安全文化を確立することが、原子力関係者を始め国の最重要課題です。原子力発電所の新基準への適合性が規制委員会で審査中ですが、更に、自治体を含めた官民の協力による危機管理態勢の整備も、原子力発電所再稼働に先立つ重要な課題です。

原子力施設の設計、運転・保守にあたる従事者の教育・訓練はどうあるべきか、また、規制機関が的確にその使命を果たしているか等々を議論しつつ、国の安全規制機関・事業者・メーカー等における取組を注視していく必要があります。これら機関の対応が納得のいくものでない限り、社会の皆様の信頼回復は望めませんし、学生を鼓舞し夢支援をすることは望むべくもありません。原子力再生への道のりは茨の道であり、今後長期間にわたると予測されますが、決して挫折させてはならないとの思いを、改めて噛み締めております。

一方、グローバルなエネルギー需給は、地球規模のエネルギー資源減耗とエネルギー安全保障、更には地球温暖化対策の観点から、極めて多くの国々が福島事故の後も、原子力発電の果たす役割を重視しています。あってはならない原子力の過酷事故でしたが、この極めて貴重な体験を活かすことこそが、我が国に課せられた国際貢献です。また人類のエネルギー文明は火の文明から化石資源の文明を展開しましたが、平和利用による原子力文明の確立こそが、人類の長い将来へ貢献する道です。

SNW会員の多くは、人生の大半を我が国のエネルギー確保に捧げてきたシニアの皆さんです。安定で安価な電源確保は、我が国のエネルギー安全保障の原点であり、国の産業と経済活動を支え、国民の生活基盤を支えるものです。会員の培った多くの経験と知見を活かし、原子力発電の原点を改めて確かめ、国民の皆様のご理解を頂くこと、次世代を受け継ぐ若い世代へのバトンタッチを支援することが、SNWの基本的な役割です。会員はじめ多くの皆様のご協力とご支援を頂きつつ、SNWは些かなりともお役に立ちたいと念じております。

以上