(上クリックでトップページに戻る。)

会長就任にあたって

2016年5月19日  河原 暲

4月1日付で会長に就任した河原 暲(あきら)です。1942 年(昭和17年)1月1日生まれのロートルでかつSNW連絡会での実活動歴の短い輩ですが、縁あってこの度会長の役目を引き受けさせていただきました。原子力発電所の燃料設計担当者から出発しこの数十年間原子力分野に一貫して従事してきた人間として、2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故以来丸5年目のこの時期にSNW会長に就任することは誠に気の引き締まる思いですが、SNW連絡会、エネルギー問題に発言する会の幹部の方々のご支援のもとに、この大役を果たしてゆきたいと考えています。

SNW連絡会の活動とその推進の仕方について以下に私の考え方を若干述べさせていただきます。我々の活動は、原子力エネルギー問題の社会への正しい発信、原子力分野の次の世代を担う学生などの若手世代との対話の推進、日本原子力学会との連携など種々多様な活動をボランティアベースで実施し、我が国の原子力エネルギーの推進をバックアップすることを目的として活動しています。しかしながら、一度失われた原子力エネルギー分野への世の中の人々の信頼の回復には容易ならざる難しさがあることを現時点で実感しているのが、現状の我々ではないかと考えています。今後も原子力エネルギー分野への世の中の人々の正しい理解を得る努力を継続して続けていくことが基本であると考えます。

さて、世の中の人々の理解を得るには、原子力は”トランス・サイエンス”に属する科学技術であるということを再認識し、我々は世の中の人々へ正しいと考えている技術論を発信し、世の中の人々と議論し、同時に技術論だけでは結論を出せない分野の問題はそのメリットとデメリットをバランスさせた政策を決める立場の政治の場の人達の参加を進めることが重要と考えています。いやな言葉ではありますが、“原子力ムラ”からの脱出が必要であると考えています。我々は科学技術の正当性を科学技術者として主張すると共に、世の中の人々のその議論への参画を通じ同意できるレベルを模索・決定するプロセスを取る必要があります。その間、我々は当該科学技術の政策を決定する責任部署である政治の場の人達の参画を求める努力をすることが必要になると考えています。

「言うは易し」です。我々は原子力分野の推進にいわば「青春と人生」を賭けてきました。原子力エネルギーは日本にとって必要不可欠な科学技術分野であると今も信じて疑いません。原子力は技術論だけでは解決できないトランス・サイエンス分野の科学技術であるということを再認識して、今後のSNW連絡会の活動を続けていきたいと考えています。 最後になりますが、皆様の今後の一層のご活躍を期待して、挨拶と代えさせて頂きます。今後ともよろしくお願いします。

以上

これまでの会長挨拶

小川博巳会長(2014/5/15~2016/5/18)