日本原子力学会
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ご挨拶
 日本原子力学会では、原子力をとりまく最近の諸情勢を鑑み、当分野における関係者間の連絡を密にすべく、下記の理由で「核不拡散・保障措置・核セキュリティ連絡会」を新設いたしました。

 近年、次世代核燃料サイクルなど原子力技術の開発に当たっては、核拡散抵抗性や保障措置への考慮が不可欠となっており、関連技術の開発、設計・建設を担当する実施主体が、効率的に業務を進めるためには、設計等初期段階から核拡散抵抗性や保障措置について十分な認識をもつことが必要な状況にあります。また、米国のGNEP構想等への協力に関し、保障措置・核物質防護は重要な協力分野の一つとして期待されています。

 わが国が1999年にIAEAと締結した保障措置協定の追加議定書により、新しい概念に基づく保障措置が実施されており、さらに2004年からは統合保障措置が適用されています。原子力に携わる全ての関係者が、この状況を十分認識した上で原子力技術の研究開発を推進することが必要かつ重要です。

 2001年9月11日の同時多発テロを契機として、世界的に核セキュリティの重要性に対する認識が高まっており、その一環として、一昨年12月に為された、IAEA勧告Rev4を取り入れた原子炉等規制法の改正、原子力委員会における「原子力防護専門部会」の設置、検討などの動きがあります。また、核物質および原子力施設(最近では、放射性廃棄物施設も対象となりつつある)に対する妨害破壊行為も核物質防護の対象となるなど、核セキュリティにおける情勢は大きく変化しており、原子力関係者の理解とその対応が求められています。

 当連絡会では、2008年春の年会から連絡会企画セッションを持つなど、「核不拡散・保障措置・核セキュリティ」について部門を越えた議論ができるよう取り組んでいく考えです。原子力学会員の皆様にはおかれましては上記趣旨についてご理解・ご賛同いただき、今後の活動にご参加いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

            発起人代表 中込良廣(京都大学名誉教授)