日本原子力学会シニアネットワーク連絡会
報告
学生・教員・市民とシニアの対話会

学生とシニアの対話
in 長岡工業高等専門学校2025年度(第1回)報告書

日本原子力学会シニアネットワーク連絡会(SNW)
世話役: 本田一明
長岡工業高等専門学校(同校HPから引用)
   
  長岡高専で初めての学生とシニアとの対話を実施

長岡工業高等専門学校との対話会は今回が初めて。高専世話役の内田先生のご尽力で開催の運びとなった。先生の受け持ち授業「電気電子理論演習」の2コマを充てて頂き、2週に亘って1コマづつ講演と対話を実施した。 対話では、皆さん積極的に発言してくれ、各電源の特徴、発電効率、革新的軽水炉、核融合の状況、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働のなど、話題豊富で明るい雰囲気のなか活発で有意義な対話会となった。


1.講演と対話会の概要

先生が対話会に当たってどのようなテーマに関心があるか事前に学生にアンケートを行ってくれたので、これを参考に講演は「エネルギー関連」と「放射線関連」の2テーマを選定するとともに対話のタネにした。

(1)日時:

(基調講演) 2025年10月23日(木)  8:40 – 10:20 (対面)
(対話)   2025年10月30日(木)  8:40 – 10:20 (対面)

(2)場所:

長岡工業高等専門学校   6号館4階463講義室

(3)参加者:

高専側世話役の先生:内田雄大 電気電子システム工学科 助教
学生: 電気電子システム工学科 3年生 33名
参加シニア (10月23日基調講演:1名)本田一明
      (10月30日対話:7名)
            SNW連絡会:石隈和雄、田中治邦、佐藤俊文、大西祥作
            SNW東北: 井上 茂、嵐田 稔、本田一明

(4)基調講演(10月23日(木) 対面形式、Webにてシニア参加者に配信)

講演者:本田 一明
講演1:テーマ「考えよう日本のエネルギー」
講演概要:
 長岡高専との対話会は今回が初めてであることから、冒頭にSNW連絡会の対話会活動について紹介してから講演に入った。
 エネルギーを考える上で大切なことは、S+3E。  安全性を大前提とし、 安定供給、経済効率、環境を同時達成すべく取組む。 電化率(最終的なエネルギー消費全体に占める電力消費の割合)は、今後とも増加。 再エネ、原子力、火力、何れも電源としての利点・課題があり、一つのエネルギー源で必要な要件を同時に満たすものはない。 このため、再エネ、原子力、火力(CO2 を排出しない)をバランスよく組み合わせた電源構成(エネルギーミックス)とすることが必要。
 エネルギーは私たちの日々の生活に密接に関わるもの。 エネルギーの問題について自分事として考えてみよう、と結んだ。
 併せて、参考として柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民意識調査の途中経過についての一部を紹介した。

講演2:テーマ「放射線・放射能の基礎」
 放射線発見の歴史から始まり、核図表を用いた放射線の発生過程、放射線の性質、放射線量の単位などの基本事項、また、放射線が様々な分野で利用されていること、私たちが日常生活で受ける線量、放射線の人体への影響などについて説明。
 原子力発電所の再稼働に関連して原子力防災には放射線・放射能に関する知識が大事であること、最後に寺田寅彦の言葉を引用して「放射線を正しく理解し、正しく怖れよう」と締めくくった。

2.対話会(10月30日(木))の詳細

(1)Aグループ(報告者:石隈 和雄)

1)参加者
学生: 学生5名(電気電子システム工学科3年生)
シニア: 石隈和雄
2)テーマ
テーマを決めずに臨んだが、基本は「日本のエネルギーをどう考えるか?」
3)主な対話内容
最初に、私自身の原子力とのかかわりを紹介し、役割分担では、発表者は決めずに誰でも発表できるよう進めてもらうことにした。
皆さん高専に進学した理由を中心に自己紹介してもらった。電気回路に興味があった、素粒子・ミューオンなどに関心があった、父親が原子力関係だったり、モノづくりに関心があったなど、各自がしっかりと自分の将来をも見すえて夢と希望を持っているように思いました。
本田氏の基調講演「考えよう日本のエネルギー」についての再確認と追加質問がないか、をもとにして対話を始め、概ね次の4点について対話した。
  1. ① エネルギーを考える際の各電源の特徴について、基調講演をふまえての意見が出された。日本には資源が少ないので、火力だけではだめだと思う。火力は発電しやすいが、資源輸入依存、CO2発生が課題。太陽光は森林や環境破壊などが問題。九州電力の再エネ出力抑制などから、太陽光と蓄電池のセット導入などの事例もある。
    皆さんには、再エネ(太陽光・水力)、火力(LNG、石炭)、原子力などを組み合わせていくことが大事だとの意見につながった。
  2. ② 核融合の開発状況はどの程度まで進んでいるのか。日本ではどのような開発が行われているか。
    重水素、三重水素を融合させてヘリウムができると同時に莫大なエネルギーを放出することは、アインシュタインのe=mc2で説明されている。太陽と同じ条件を出すための、数億度の高温・高密度のプラズマを制御することが課題でまだ実現できていない。日本はじめ各国共同で南フランスに、国際熱核融合実験炉ITERが建設されているところ。PPT図面で原理と課題を学んだ。
    プラズマ制御だけでなく、機械、電気、電子、材料など学生の皆さん方の技術開発などの活躍の場があると激励した。
  3. ③ 発電効率の高い電源は何か?発電効率を高めていくにはどういう技術開発が必要か。
    原子力は33%程度、火力が40%程度だが、最新鋭火力のコンバインドサイクルでは、ガスタービンでの発電後、蒸気タービンでの発電もできるため、総合熱効率は60%くらい。
  4. ④ 再稼働を進めていく上では何が課題か?
    革新的軽水炉の安全性向上対策についてPPT図にて説明しながら議論。福島第一事故をふまえた、電源、水源の確保、水密化や安全系統の多重性・多様性など。万一の炉心溶融に対してコアキャッチャーなど。 学生の皆さんからは、CMやマスコミなどでもっと広報したら良い、住民との対話や理解活動なども重要との意見があった。日頃からの信頼関係も大切で、発電所見学とか対話活動なども、東日本震災時の女川発電所への住民避難の事例を紹介した。
各Gr代表の発表を聞いて、基調講演の理解と、対話によって個別の課題についても理解が深まって有意義な対話会になったと思います。
シニア側の井上氏の講評で「2030年から50年代は、君たちの活躍の場であり大いに期待したい。今日の対話会が、そのきっかけになってくれたら良いと思います。」との言葉に集約されたと思います。
4)所感
基調講演に沿って、資源小国日本において将来のエネルギーについて、各種電源の特徴やエネルギー自給率向上、将来の核融合の実現性など、真剣に考えてくれた様子がうかがえました。
5人の少人数故、皆が意見交換もでき、理解も深められたように思います。長岡という地域性か、原子力の安全性向上対策について、もっとCMやマスコミでの広報が必要という意見もありました。
学生の皆さんは、柏崎再稼働には賛成のようですが、安全性向上対策等について、広報や説明が十分には行き届いていないように思いました。

(2)Bグループ(報告者:田中 治邦)

1)参加者
学生:5名(電気電子システム工学科3年生)
シニア:田中治邦
2)主な対話内容
グループ発表者をジャンケンでIさん(女子)に決定。
最初に1週間前の基調講演を念頭に質問や意見を言うように促したが、積極的な発言を得られなかったため、あらかじめ用意した論点の提案資料(エネルギー資源の乏しい日本の課題、脱炭素の不透明性、国民理解の必要性など)を与えて、考察のきっかけとした。その後、学生の発言は原子力の安全性に関する質問が殆どであった。新潟県内では柏崎原発の再稼働を巡る報道が頻繁な為に影響を受けていると考えられた。
発表者となるIさんは対話の間、本人も質問・意見表明しつつスマホにメモを打ち込み続けており、最後に発表に備えて纏める時間をとろうかと尋ねたところ、もう出来ているとの回答で、その手際の良さに感心。
対話の最後に柏崎原発の再稼働に対する意見を一人ずつ尋ねたところ、全員が再稼働に賛成との答えであったが、言いにくそうな雰囲気が感じられた。
文系であれ理系であれ、基礎的な理科教育が重要であること、高専の学生は優秀で実業界から期待されていること、将来はぜひ専攻課程に進むべきこと、出来れば大学院も挑戦すべきこと、を伝えて終わりとした。
主な質問
柏崎刈羽原発の再稼働をシニアはどう考えているか? 安全性は大丈夫なのか?
新規制基準とはどのようなものか?
COPでの化石賞とは何か?
原子力をどう思うか?
福島第一原発事故の後、日本は全原発を一度停めたが、なぜ世界は原子力を停めなかったのか?
原発が発電する仕組みを知りたい?
原発のデメリットは何か?
安全対策設備の強化とは具体的にどんなことをしたのか?

(3)Cグループ(報告者:佐藤 俊文)

1)参加者
学生4名(電気電子システム工学科3年生)
シニア: 佐藤俊文
2)テーマ
特に定めず、学生の関心事項に沿って対話を行った。
3)主な対話内容
進め方として、①簡単な自己紹介後、学生各自の名前を確認し、②対話テーマを決定するため、各自の関心事をそれぞれ報告してもらって、③各関心事に対して、学生各自の意見を聞くとともに、シニアの意見を伝え、④発表のために、発表者とテーマを決め、議論した内容をまとめて、⑤Cグループからの発表を行った。
各国で火力発電所や原子力発電所を運用しているが、なぜその発電方式を採用したのか?
→ 火力発電所の燃料となる石炭、原油、LNGなど、その産出国や輸送について説明した。また、ウラン燃料の優位性や燃料の安全保障について説明した。
火力や原子力発電所は広い敷地が必要になるのか?
→ 火力や原子力発電所はその発電量に対して、効率的な敷地であることを説明した。 太陽光発や風力についても説明した。また、海外では原子力発電所が川沿いに建設される事例が多く、日本では海岸沿いであることを説明した。
自分は水力発電に興味がある。発電方式には色々あるが、それぞれのメリットやデメリットは何か?
→ 水力発電の優位性とその建設場所確保の難しさについて説明した。その他、火力発電、原子力発電、地熱発電、風力発電、太陽光発電のメリットやデメリットについて説明した。揚力発電も負荷変動調整に使用されている。 また、世界における発電の状況についても説明した。特に原子力発電が60%を超えるフランスや、90%近いノルウェー、原子力発電所の建設を進めている中国についても紹介した。
原子力発電所の排水やガスはどのように放出しているのか?
→ 排水は放射性同位元素の濃度を測定して過度な汚染等がないことを測定し、規制値の数分の一に希釈して海に放出しています。ウラン燃料はペレットが燃料被覆管に入っていますが、燃料被覆管にピンホールができると、放射性希ガスが放出する場合があります。そのようなガスについても放射性同位元素の濃度を測定しており、フィルターを通して放射性同位元素を除去したり、希釈して放出したりします。
柏崎の原子力発電所が起動すると、地元への経済効果があるのか?
→ 以前の発電所稼働時の柏崎周辺の繁栄状況について説明した。また、九州、関西と関東の電気代の状況についても説明し、エネルギーの値段を抑えることが日本の経済に与える好影響についても説明した。また、半導体工場やデータセンターの建設などが膨大な電力を必要とすることを説明した。
福島第一原子力発電所の事故に対応した対策は実施しているのか?
→ 原子力規制庁によって対策の規制が制定され、事業者が対策を実施しています。津波高さに応じた防潮堤が作られ、所内電源喪失や外部電源喪失に対する対策として発電機の増設や電源車の準備など様々な対策が実施されています。
どのような発電が合理的なのか?
→ 安全を確保した上で、既に建設済みの原子力発電所を稼働することが合理的です。再生エネルギーでは、再エネ賦課金など不合理と言われる制度やあり、負荷調整も必要です。そのため、発電方式ではバランスが重要であると言えます。
4)感 想
学生さん皆さんが真面目で、色々な意見を発言してもらったことで、対話会がうまく進んでよかった。
もう少し時間があればよかった。
世界や日本のエネルギーや発電の状況、原子力発電の方式を説明した資料を渡しておけば、もっと議論が深まったかもしれない。

(4) Dグループ(報告者:大西 祥作)

1)参加者
学生4名(電気電子システム工学科3年生)
シニア:大西祥作
2)対話テーマ
次世代原子炉及びそのロードマップ
3)主な対話内容
まず初めに以下の3点を実施した。
ⅰ)アイスブレークとして簡単な自己紹介を、シニアを含め実施した。
ⅱ)対話会における役割分担(発表者、タイムキーパ)を学生間で相談し決めた。
ⅲ)対話テーマや対話方法について学生間で協議し決定した。
結論:テーマは上記2)の通リ。
対話方法:まずテーマに沿った情報・知識をシニアから説明しそれに対し学生が質問 する方法とする。
次世代原子炉として代表的な革新軽水炉、小型軽水炉,高速炉、高温ガス炉、核融合炉の特徴を他大学&他高専の対話会の資料も用い説明した。(学生は4名なのでノートPCで何とか見れた)
また、現在の主流である原子力発電所の方式(軽水炉(BWR&PWR))やその燃料(ウラン235)についても説明した。
学生達から①次世代炉の開発・実用化には相当な時間が必要であることが分かった。②日本のエネルギーを確保するためには、原子力発電所の再稼動や増設による繋ぎが必要ではないか?等のコメントが出たことより、この対話会により原子力エネルギーの課題を大局的に理解してくれたと感じられた。
参加学生は熱心にシニアの説明を聞いてくれ、質問も出たが、対話時間の7割強を説明に費やしてしまった為、議論する時間があまり取れなかった点が残念である。

(5) Eグループ(欠)

担当シニアが急遽参加できなくなったため、Eグループ参加者を他のグルークに割り振った

(6) Fグループ(報告者:井上 茂)

1)参加者:
学生5名(電気電子システム工学科3年生)
シニア:井上 茂
2)主な対話内容
先週の講演資料が学生の手元にない状況を踏まえ、シニアの方から日本のエネルギーに関する話題を提供し、学生が意見や質問を述べる対話形式で進行することとした。
1960年頃、オイルショック前、東日本大震災前後、現在のエネルギー自給率の推測を求めたところ、実態に近い数字を挙げた学生もいた。
オイルショック後の脱石油対策について、省エネや石炭・LNGによる多様化が挙げられたが、柏崎刈羽発電所が近隣にあるのにもかかわらず原子力については言及がなかった。
トレードオフの関係にある「3E」のうちで最も重視する項目について、安定供給が1名、経済性が2名、環境が2名と、意見が均衡した。
電気料金の再エネ賦課金や、固定価格買取制度について、全員が自宅通学である生活環境の影響もあってか理解度が低い状況だった。
GXに伴う大規模投資について、CN技術の未来に関心があるものの、GXという言葉やその戦略についての認知度は薄かった。
柏崎刈羽発電所の再稼働が進まない理由として、「何かあったら怖い」「技術力への懸念」「安全性が伝わっていない」との声が挙がった。
再稼働に対する安心感を得るために必要な事業者の対応として、「安全対策や避難計画についてのわかりやすい説明」、「広報活動(CM)・講演・対話の実施」、「学生や地域の人向けの見学会の実施」、「SNS・ネットを活用した情報発信」などの意見が挙げられた。
3)所感
関心が薄いと思われるテーマに対しても、積極的に対話に参加する姿勢が印象的で、非常に好感が持てた。 他校との対話を通じても感じたことだが、再稼働に向けた安全対策に関する情報は、我々が想像している以上に伝わっていない印象を受けた。専門的で理解しづらい側面もあるが、若者が新聞やテレビよりもSNSやネットを中心に情報を収集する傾向にあることを踏まえると、伝えたい情報が十分に届いていないことが懸念される。理解促進のためには、わかりやすく、伝わりやすい形での情報発信が不可欠であると改めて感じた。

(7) Gグループ(報告者:嵐田 稔)

1)参加者:
学生5名(電気電子システム工学科3年生)
シニア:嵐田 稔
2)主な対話内容
10月23日に実施したSNW東北本田幹事の講演会資料を示しながら、関心を示した部分やエネルギーを知るうえで重要なポイント部分について説明する形で進めた。
放射線の影響については、どの程度理解したかを聞いたところ、ほとんど反応がなかった。そこでP31の生活習慣(飲酒、運動不足など)や放射線量によって、がんの相対リスクがどの程度増加するかを話したところ、一定の関心が出たように感じられた。
また、100mSv以下はリスク増加が確認できないこと、原発の作業者は50mSv以下で管理されているが、これはパイロットやキャビンアテンダント、レントゲン技師なども同じであること、福島原子力事故による福島県民の最大線量が25mSvであったこと(福島県の報告書も見せながら)など、比較することで理解できたとの声があった。
次に、エネルギーの資料では、エネルギー自給率はドイツの1/3程度しかないこと、これを上げるには再エネと原子力の必要性を説明。どうしても火力発電を残す場合にはCC(U)Sとなるが、コストが高くなることとの見合いでどうするか、皆さん世代が決めていくことになると説明した。
また、日本の発電量ではLNGが4割程度で最大であるが、在庫が2週間ほどしか確保できない。その点、原子力はその燃料を原子炉内で約3年も使えることから、エネルギーの安全保障上は、安心感があることを説明した。
海外との違いについての問いがあったので、P10の図で、欧州は膨大な送電網とガスパイプラインが網の目のようにあるため、国同士の相互融通が可能でリスクも分散できることから、それぞれの国が自分の得意分野を増やせることを説明した。
1973年の石油ショックとその後の脱石油対策として、LNGや原子力が増えた、その当時は石油の代替電源としての期待が大きかったことを説明した。
あまり知られていないが、P20の太陽光発電所の設置密度を比較すると日本がダントツの世界一である。そのため最近は、自治体と事業者側が係争している場面が多くなったこと、これからは新たな技術や考え方での対応が必要で自分の考えを持つことが重要と話した。
新たな発電技術の質問には、核融合の話をした。世界8極で開発中のITERの概要、また民間のベンチャー企業の米国コモンウェルス社、日本のヘリカルフュージョン社等の話をした。投資家を納得させる技術があれば、ベンチャー企業でも相当額の資金を集めて研究できる時代が到来したことは画期的と新たな動きの話は、興味深く聞いていたように感じた。
核分裂と核融合の違いについて聞かれたので、原子力発電所では重い原子核であるウラン235などに中性子が衝突して核分裂と連鎖反応が起こり、その時にエネルギーが放出されること、一方、核融合では軽い原子核の重水素と三重水素が高温高圧下で融合しより重い原子核(主にヘリウム)と中性子が作り出される時にエネルギーが放出されると説明し、核融合分野は、技術系の活躍の場であると推奨した。
一番の不安は地震に弱いということであるとの話があったため、女川の地震基準580ガル→1000ガルにしたこと、防潮堤14m→29mと2倍以上、水素爆発防止装置の設置、更に高台への電源や冷却水、テロ対策等にも対応しており、柏崎刈羽も同じように対応し安全性は格段に向上した。そのため原子力規制委員会も了承しており、新潟県の判断待ちであると話した。また、地震多発国の日本では、これまで地震対策は相当厳しく対応してきた。福島の事故は津波による被害が決定的で、それは、米国基準のハリケーン対策が最重点で津波対策は不十分であった米国の仕様をそのまま日本に持ち込んだ、これが大きな問題であったと説明した。
3)発表と所感
Gグループの発表は、日本のエネルギーは海外からの輸入に頼りすぎているため、自給率が低い。日本の中で作れるエネルギーを大事に育てていくことが重要と感じた、という趣旨であった。
また、所感としては、学生の5人は関心度合の幅が大きく、質問数もばらつきが大きかった。質問数の少なかった学生は、最後に地震のことを聞いてきたので説明したが、よほど心配していたのだろうと推察され、そしてその話を説明したので本人にとっても安心したのではないかと私も安心した。海外からの留学生に母国の地震のことを尋ねたが、ほとんどないとの一言であり、想像が難しいのかなという感じであった。

(8) Hグループ(報告者:本田 一明)

1)参加者:
学生5名(電気電子システム工学科3年生)
シニア: 本田一明
2)主な対話内容
自己紹介から始め、趣味の話題などでアイスブレーク。 続いて先週の基調講演への質問、普段エネルギーについて感じていることなどについて順番に述べて貰いそれらについて対話した。
柏崎刈羽原子力発電所の関連で新潟県が9電力体制の中で東北電力の管内に入っている経緯を説明。 特に違和感はないようだ。
発電効率についての質問があり、各種発電方式の発電効率についてクイズ形式で意見交換。水力発電は、水の位置エネルギーで直接タービンを回すので効率が高い。火力、原子力は熱エネルギーをボイラーで蒸気に変えてからなので、カルノーサイクルで限界があり30~40%。 最近の火力は燃焼ガスでガスタービンを回し、その排熱で更に蒸気タービンを回す熱の二段利用で、上越火力では60%を超える、太陽光は20%前後の効率であることなどに皆さん興味・関心を示していた。
メタンハイドレート、水素、核融合が話題に上った。メタンハイドレートはメタンガスが低温・高圧の環境下で水分子に包まれて氷状になったもので、南海トラフ沖や日本海側にもある。国産エネルギーで自給率向上に期待されるが未だエネルギー源として使われない理由を採取技術、コスト、エネルギー収支の面から説明。
水素は2050年カーボンニュートラルでこれからのエネルギーとして持て囃されてはいるが、二次エネルギーであり、現状化石燃料から製造されていること、水の電気分解ではエネルギー効率が悪く、再エネ由来の水素は高価なものになるなど課題がある旨説明。
核融合はシニアが子供の頃から「地上に太陽を」と人類究極のエネルギーとして期待されてきたもの。核融合炉でプラズマの熱を吸収し、蒸気を作るブランケットなどの機器は技術的に難しく、現実的な実用化は2050年以降と見込まれるが、最近では高市総理もご執心で、エネルギー政策の重要な柱と位置付けており、2030年代に発電実証を目指す方針を示している。
将来的には人類のエネルギーはフュージョンエネルギーと再生可能エネルギーで賄われるであろう。核分裂炉はその繋ぎの位置づけ、との話に皆さん興味を示していた。
学生の皆さん積極的にエネルギーに関する疑問、質問を出し、意見を述べてくれて、双方向の対話ができた。 今回の対話会で一層身の回りのエネルギーに関心を持ち、自分事として考える一助となれば幸いである。

3.講評(井上 茂)

以下の趣旨の話があった。
先週、今週と、エネルギーや放射線について真剣に考え、さまざまな意見を交わしてくれたことに感謝します。エネルギー問題は、私たちの暮らしや経済、そして環境に深く関わる重要なテーマです。2030年代から2050年代は、皆さんが第一線で活躍する場です。今日の対話が、考えるきっかけになれば幸いです。これからも、身近なところからエネルギーや環境のことに関心を持ち続けてください。


4.閉会挨拶(内田先生)

以下の趣旨の話があった
初めての対話会どうだったでしょうか。 私も、どのようなものか気になって会場を見て回りましたが、各グループとも熱心に対話を行っているようで安心しました。 また、聞いたことのないこともない話もポンポンと出ており、シニアの莫大な知識量は凄いものだと感じました。 私たちはこれからもエネルギーに関心を持って、勉強してゆきましょう。


5.学生アンケート結果の概要(本田 一明)

(1)参加学生について
参加学生33名のうち、32名から回答を頂いた(回答の実質は31名)。 回収率 97%)。
進路は24名が進学、8人が就職希望。
(2)対話会について
基調講演1の「考えよう日本のエネルギー」については、「とても満足」24人(78%)、「ある程度満足」8人(22%)であり、回答者全員に満足頂けた。
しかし、事前に聞きたいと思っていたことがあまり聞けなかった、全く聞けなかった方もおり、その理由としては質問時間不足(4件)、内容が難しかった(3件)ことが挙げられた。
基調講演2の「放射線・放射能の基礎」については、「とても満足」24人(77%)、「ある程度満足」7人(23%)であり、回答者全員に満足頂けた。
こちらの講演も同様に、事前に聞きたいと思っていたことがあまり聞けなかった、全く聞けなかった方もおり、その理由としては質問時間不足(4件)、内容が難しかった(2件)ことが挙げられた。
何れの講演も時間いっぱいまで講演を行い、質問時間が取れなかったことが 現れているものと反省する。
対話の満足度は「とても満足」27人(87%)、「ある程度満足」4人(13%)であり、全員に満足頂けた。しかし、やや不満、大いに不満/あまり対話出来なかった、全く対話出来なかった方もおり、その理由として「対話内容が難しかった」(3件)、 「対話時間不足」(2件)、「シニアの話が長かった」(2件)が挙げられた。
今回の講演や対話会で「新しい知見が得られた」が28件(90%)、「マスコミ情報と講演や対話の情報に違いがあった」6件(19)%及び「自分の将来の参考となった」15件(48.4)となった。
対話会の必要性は「非常にある」、「ややある」を合わせて100%であった。また、友達や後輩へ対話会への参加を薦めるかどうかについては、27名(87%)が「薦めたい」と回答し「どちらともいえない」が4名(13%)あった。
(3)意識調査について
① 放射線・エネルギー・環境について
放射線・放射能の危険性については「一定レベルまで恐れる必要はない」26人(84%)、「怖い」は5名(16%)であった。また放射線・放射能の生活における有用性についても「知っている」29人(94%)で、認知されていた。
原子力発電については全員が必要性を認識しており、「再稼働を進めるべき」18人(58%)、「将来に向け新増設リプレースを進めるべき」5人(16%)、「2030年目標(原子力発電20~22%)を達成すべき」8人(26%「)であった。
また、再エネ発電については、「環境にやさしく利用拡大」24人(77%)、 「天候に左右されたり、自然破壊につながるので抑制すべき」とする意見が3人(10%)、自然環境破壊につながるので、利用は抑制的にすべき」が4人 (13%)であった。
② カーボンニュートラルとエネルギーについて
2050年カーボンニュートラル(脱炭素)について、関心や興味が「大いにある」15人(48%)、「少しはある」14人(45%)、「あまりない」2人(7%)で、関心項目としては「エネルギー資源の確保」18件、「これからの社会変化全般」13件、「主要国の動向」10件、「原子力発電や再生可能エネルギーの役割」、9件がこれに続いた。
日本の2050年脱炭素化社会の実現可能性については、「実現するとは思えない」8人(27%)、「相当いいところまで到達する」12人(40%)、「分からない」10人(33%)で拮抗していた。
また、脱炭素に向けた電源の在り方については、「原子力発電、再エネ発電、化石燃料発電をほぼ均等」12人(40%)、「再エネ中心」6人(20%)、「原子力と再エネの組合せ」11人(37%)であった。
③ 高レベル放射性廃棄物の最終処分について
高レベル廃棄物の最終処分については、「関心や興味が大いにある」9人(30%)、「少しある」15人(50%)、「あまりない」が4人(13%)であった。「近くに処分場の計画が起きたらどうするか」については「反対しないと思う」が8人(27%)、「反対すると思う」が6人(20%)、「分からない」が16人(53%)と過半数を占めた。「地層処分について興味や関心がある項目」については「技術」が最も大きく、次いで「処分地の選定」、「制度」の順であった。
対話会全体の感想・意見として、「使用するエネルギーの移り変わりやこれからのエネルギーに対する政策について学ぶことにより関心を持つことができた。」、「電力について実践的な話を聞けてよかった 自分の考えが変わった」、「とても興味深いお話を聞けて楽しかったです。自分がどう関わっていけるかを考えるきっかけになりました。」、「以前まで知り得なかった、原子力や今後のエネルギーに関しての知識を得られたため、今後の参考になりました」などの感想を頂いた。

アンケート詳細については別添資料を参照。

5.別添資料リスト

基調講演1:テーマ「考えよう日本のエネルギー」 
基調講演2:テーマ「放射線・放射能の基礎」
アンケート結果詳細
(報告書作成:本田一明 2025年11月7 日)