SNW対話
in愛媛大学2025年度(第1回)報告書
- 愛媛大学社会共創学部でプロジェクト基礎演習の一部として対話会を実施
1.講演と対話会の概要
(1)日時
- 基調講演・対話会:令和7年10月1日(水) 12:40~17:10
(2)場所と対話方式
- 愛媛大学 城北キャンパス 社会共創学部本館 3F ラニングコモンズ2 対面実施
(3)参加者
- 大学側世話役:副学部長&産業イノベーション学科(ものづくりコース) 高橋学 教授
- 大学側参加 :産業イノベーション学科(ものづくりコース) 山本智規 教授
産業イノベーション学科(ものづくりコース) 小長谷圭志 講師 - 参加学生
基調講演 産業イノベーション学科(ものづくりコース) 2年生 14名、3年生 11名 - 対話会 産業イノベーション学科(ものづくりコース) 2年生 14名
- 参加シニア:3名(早野睦彦、古藤健司、大西祥作(世話役))
(4)基調講演
- テーマ:「日本のエネルギー政策とその課題 ~次世代に伝えておきたいこと~」
- 講 師 : 早野睦彦
- 講演概要:
- プロローグとして話の要諦を説明の後、「1.エネルギーについて(人類とエネルギーのかかわりや世界のエネルギー情勢と我が国の状況他)、2.我が国のエネルギー政策とその課題(2050年CNに向けてのGXの目論見や第7次エネルギー基本計画等)、3.次世代に伝えておきたいこと」について分かりやすく説明があった。尚、講師が移動中に交通機関のトラブルに巻き込まれたため基調講演は50分の予定が30分の短縮版となった。
2.対話会の詳細
(1) 対話の事前準備
- 対話の事前準備として、基調講演資料(事前配布)等を参考に班単位で対話テーマを検討し、対話テーマについて夏休み中に現況や課題、対応策等を調査・検討し班単位で調査結果をまとめてもらった。 尚、一部のシニアは対話の呼び水としてのミニレクチャー資料を作成し学生に送付した。 対話会当日は、事前調査結果及び基調講演の聴講をベースに班単位で対話テーマの深堀を実施した。
(2) グループ対話の概要
- ⅰ)1班
- 1) 参加者
- 学生:5名(産業イノベーション学科ものづくりコース(2年生)
- シニア:古藤健司
- 2) 対話テーマ: 風力発電に伴う環境問題について
- 3) 主な対話会内容(所感を含む)
- グループ対話のテーマは社会共創学部2年生達の「エネルギー・環境」に対する問題意識から自発的に取り上げられたもので、素直で分かり易いテーマであった。しかしながら、(風力発電)(環境問題)でWEB検索すると“分かり易い解説”と“模範解答?”がワンサカ手に入るので、「担当シニアはテーマに関するミニレクチャー資料を作成し学生に事前提供」する申し合わせであったが、ミニレクチャー資料=模範回答となるので、1班は“ミニレクチャー”なしとした。代わりに、対話会後に興味があれば目を通してもらいたい学術論文や解析レポートなどの印刷資料を提供した。
- 今回の対話会グループ対話時間は、PPT発表準備まで含んで110分なので、後半の30分は発表準備に当てる必要があり、実質の対話時間は80分程度であった。6名の自己紹介・現在取り組んでいる研究テーマなどの導入に15分程度、対話テーマの選定に及んだ経緯や問題への興味・思考などの調査とシニアから“突っ込み・感想”、そして対話の帰着:まとめへの誘導に15分程、従って、テーマに関する諸項についてのフリーディスカッションは50分程度であった。
- 学生達の事前調査資料はWEB資料の“模範回答”に準じてPPT2枚にまとめられていた。従って、通り一遍のディスカッションになるので、学科名の“イノベーション”に因んで(イノベーションは「新しい切り口」という意味もあるので)、風力発電の自然環境に及ぼすディメリット:問題点について“突っ込み論議=深堀再吟味:ホンマカイナ?”を行った。例えば“バードストライク:BS”について、「空港でのBSは旅客機大事故に繋がるが風力発電の風車へのBSは大事故に繋がらない。野鳥保護の観点であろうが発電用風車に衝突する鳥は元々健康に問題があったような特殊なケースではなかろうか?」また「山間部に張り巡らされている高圧送電線と鉄塔の自然環境への影響の方が問題ではないか?比較は?」など。
- 学生達だけで、事前調査資料をベースに“突っ込み論議”の成果を加味し(一味加え)、上手に対話をまとめることができたと評する。PPTスライド2枚を使った全員によるプレゼンテーションと質疑応答も上手くこなせた。学部2年生であり、これからの成長が楽しみである。
- ⅱ)2班
- 1) 参加者
- 学生:5名(産業イノベーション学科ものづくりコース2年生)(女性4人、男性1人)
- シニア:早野睦彦
- 2) 対話のサブタイトル:
- 現在の各エネルギーの使用割合と環境への問題、環境負荷の低減に向けた代替エネルギーの考案について
- 3) 主な対話会内容(所感を含む)
- 簡単な自己紹介後、学生たちが上記サブタイトルについて調べた結果を説明してもらい、一方で事前に作成した早野のミニレクチャ資料を参考にして調査内容について議論した。
- 学生たちの調査のベースとなる問題意識は主にエネルギー消費による環境問題と我が国の エネルギー自給率が低いことにより安定的なエネルギー供給が難しいという視点からなっている。即ち、エネルギー安全保障と環境の2点の視点までで3番目の経済性の視点の意識(知識)が低いことが分かった。
- この問題意識を基に各発電方式(火力発電、原子力発電、再エネ発電)についての問題点を指摘し、上記の2点の視点から今後の望ましいエネルギー源として原子力、メタンハイドレード、水素、アンモニアを挙げている。但し、これらについても課題があってそれを解決するためにはどのようなことが必要かを考えたいとして結んでいる。
- 以上の調査内容はシニアの目から見ると量的評価がなく摘まみ食い的であるため、経済性がないと社会実装は難しいこと、環境原理主義は社会を崩壊させることなどのコメントをすると、それに対して各人から質問やコメントが返ってきた。このような反応は他校ではあまり経験しないことで積極的に意見を言うように教育がなされていることが後の高橋先生との話し合いからよく分かり、好感を持った。
- 対話会として愛媛県は最後の原子力立地県であるが、松山市は伊方からの距離も遠くあまり原子力についての関心が高くなさそうである。同じ原発立地県でも静岡大学はもう少し原子力への関心が高い。
- ⅲ)3班
- 1) 参加者
- 学生:4名(産業イノベーション学科ものづくりコース2年生)(女性3人、男性1人)
- シニア:大西祥作
- 2) 対話テーマ: エネルギー問題~バイオマス発電とは何なのか~
- 3) 主な対話会内容(所感を含む)
- まず初めに簡単な自己紹介をしてもらった後に、種々あるエネルギー問題の中からなぜバイオマス発電に関するテーマを選んだのかを説明してもらった。高校生の時にバイオマスに関する研究を実施した経験のある学生がメンバーにおり、今回バイオマスについて深堀りしようと提案し、他の学生もそれに賛同したためであることが分かった。
- 対話の進め方について学生間で相談してもらい、まずミニレクチャー資料をシニアから説明した後に学生たちが調べた結果について議論することにした。
- ミニレクチャー資料によりバイオマス発電の特徴や現況並びに課題について説明した。 学生たちの調査結果もほぼ同様な内容であり、夏休み中の調査ではあったが、しっかり調査していることが分かった。
- バイオマス発電は第7次エネ基でも電源構成の中に考慮されているが、再生可能エネルギーの主力というよりは地域振興等他の目的の方が軸足であると考えられる旨説明した。
- 対話を重ねてゆくと、バイオマス発電に対する見方が少し違ってきたという発言をした学生もおり、学生のバイオマス発電に対する理解がより深まったものとなったと感じた。
- 課題解決型のワークに慣れているためか、学生の調査結果は良くまとまっていた。但し欲を言えば、エネルギー問題としてのバイオマス発電のあるべき姿等今後どのようして行けばいいかという点ではもう少し積極的な取り組みが欲しかった。
3.学生アンケート結果の概要
- (1)参加学生について
- 参加学生(14名)の内、13名が回答。 (1名は対話会には参加していたが、別件があり対話会終了後離席)
- 回答者は社会共創学部産業イノベーション学科に所属する学生であり文理融合型の教育を受けている。
- 2年生であるが進路は全員、就職である。
- (2)対話会について
- 基調講演の満足度は「とても満足」、「ある程度満足」を合わせて100%であった。基調講演の実質的時間が少なくなったためか、説明&質問時間不足等の意見もあり。 基調講演以外で聞きたいものとして「シニア会だから語れる世界の実情と現実、それにどう立ち向かうのか」等の要望があった。
- 対話会の満足度は「とても満足」、「ある程度満足」を合わせて100%であったが、事前に対話したいことについて全く対話できなかったと回答した学生が1名(8%)居た。内容的に対話時間不足、内容が難しかった、シニアの話しが長かった等改善点の指摘があった。一方、今回の講演や対話会で「新しい知見が得られた」が92%、「マスコミ情報と講演や対話の情報に違いがあった」及び「自分の将来の参考となった」がそれぞれ30%、38%とあり一定の評価があったと言える。
- 対話会の必要性は「非常にある」、「ややある」を合わせて100%であった。また、友達や後輩へ対話会への参加を薦めるかどうかについては、11名(85%)が「薦めたい」と回答し「どちらともいえない」が2名(15%)あり少し回答に矛盾があると考えられる。
- (3)意識調査について
- 放射線、放射能については、「一定のレベルまでは恐れる必要はない」が61%であった。一方「怖い」が5名(39%)あり、放射線に関する基礎教育の必要性が感じられた。
- 原子力発電については、「必要性を認識しており再稼働を進めるべき」が39%、「新設、リプレースを進めるべき」が15%あり、「2030年目標を達成すべき」は31%であった。尚、分からないが2名(15%)あり。
- 再エネ発電については、「環境にやさしく拡大すべき」が69%、「天候に左右されるので利用を抑制的にすべき」がそれぞれ23%となった。尚、「分からない」が1名(8%)居た。
- カーボンニュートラルとエネルギーについては、「地球温暖化や脱炭素社会の実現に関心」は 「大いにある」と「少しある」を合わせて100%の回答であった。尚、関心が「ない」、 「あまりない」の回答はなかった。 「興味や関心があるのはどの項目でしょうか?」については幅広く関心を示したが「温暖化の影響と対策」が多く38%、ついで「エネルギー資源の確保」「主要国の動向」「脱炭素化の技術開発」がそれぞれ31%あった。 「日本の2050年脱炭素化社会の実現可能性」については、「実現するとは思えない」が61%、「相当いい所まで到達する」が8%であった。一方「わからない」が31%となった。 「脱炭素に向けた電源の在り方」については、「原子力発電と化石燃料発電を最小とし、再エネ中心が望ましい」は、15%、「化石燃料発電を最小とし原子力発電と再エネ発電の組み合わせが望ましい」が8%、「原子力発電、再エネ発電、化石燃料発電をほぼ均等に組み合わせることが望ましい」が69%となった。尚、ここでも「分からない」が1名(8%)居た。
- 高レベル廃棄物の最終処分については、「関心がある」と「少しある」を合わせて77%の回答であった。他方「あまりない」「ない」が23%あった。 また、「近くに処分場の計画が起きたらどうするか」については、「反対する」が38%、「わからない」が47%であった。 「地層処分について興味や関心がある項目」については「技術」が62%、「制度」、「処分地の選定」がそれぞれ23%であった。
詳細は別添資料(事後アンケート結果)を参照ください。