日本原子力学会シニアネットワーク連絡会
報告
学生・教員・市民とシニアの対話会

SNW講演・対話
in北海道教育大学函館校2022 報告書概要

日本原子力学会シニアネットワーク連絡会 (SNW)松永一郎
対話会会場の様子
「環境と放射線」受講学生を対象としたシニアによる講演と対話会

講演と対話会は、北海道教育大学函館校の公開講座「環境と放射線」を受講している国際地域学科の学部1年生から4年生を対象に行われた。 講演と対話会は別々の日に実施した。講演はWEB方式で79名の学生の参加があった。対話は講演の3週間後に対面方式で実施し、講演会参加者から43名が参加した。

講演/対話のテーマは昨今の情勢を踏まえて「日本のエネルギーの現状と課題―カーボンニュートラル(CN)とエネルギー危機~激動する世界地図の中で日本の対応と進路を考える~」とした。難しいテーマだったが、学生の理解は十分に深まった。

1.講演会の概要

1)教職および公務員等を志望する学生79名が参加
国際地域学科の1年生から4年生、79名を対象にWEB(ZOOM MEETING)方式で実施された。受講は大学の講義室
国際地域学科は文系の「国際協同、地域政策」と理系の「地域環境科学」ならびに教育系の「地域教育」に分かれている。
参加者は文系:理系=1:2、男性:女性=1:1
講演は公開講座「環境と放射線」の一環として行われ、単位取得対象になっているので学生は皆真剣である。受講後にレポートを中村教授宛に提出しなければならない。
演題は「日本のエネルギーの現状と課題-カーボンニュートラル(CN)とエネルギー危機~激動の世界地図の中で日本の針路を考える~」とした。
講演会後にアンケートを実施した。講演に対して、ほとんどの学生が「満足」「聞きたいことを聞けた」と回答している。
2)日 時
6月29日(水):講演資料を学生へ配信
7月6日(水)13:00~14:20 :講演(WEB方式)
3)場 所
北海道教育大学函館校 講義室
主催者:北海道教育大学函館校 国際地域学科 中村秀夫教授
4)参加者
北海道教育大学函館校:中村秀夫教授
学生:79名(「環境と放射線」を受講する学部1~4年生)
シニア:6名:(SNW) 大野崇、針山日出夫、松永健一、松永一郎 (SNW東北)阿部勝憲、中谷力雄
5)講演
講演者名:針山日出夫(元三菱重工)
講演題目:日本のエネルギーの現状と課題―カーボンニュートラル(CN)とエネルギー危機~激動の世界地図の中で日本の針路を考える~
講演概要:日本政府は昨年10月に「第6次エネルギー基本計画」を閣議決定した。2050年に温室効果ガス排出量“実質ゼロ”を目指すもので、中間点の2030年では再エネの大幅積み上げを目標に置いている。しかし、今年2月のロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー安定供給の先行きとCNの実現性に不透明感が出始めた。そのような中、学生に現状を理解してもらうという目的から、中村教授と相談して講演題材とした。

2. 対話会の概要

1)理系の地域環境グループ所属の学部学生を中心に43名が参加
対面対話
中村教授の地域環境グループ所属の1年生から4年生37名と文系所属の6名、合計43名が参加した。そのうち6名は昨年度のWEB対話会に参加している。男女比は男性23名、女性20名
対話会は5グループに分け、対話のテーマは講演と同じ「日本のエネルギーの現状と課題-カーボンニュートラルとエネルギー危機」とした。
対話会に先立ち、学生は「講演会を聞いて理解できたこと」「講演会を聞いて疑問に思ったこと」をシニアに提出した。講演会の内容はかなりの程度理解されており、提出された疑問には本質を突いたものが数多く見られた。
シニア(各グループ1名)は学生からの質問に対して回答書を準備、回答書は対話会の前に直接グループ担当シニアから学生に配信された。対話会では学生の質問や意見を中心に意見交換を行い、深堀した効果的な交流を行うことができた。
事後アンケートでは、学生の93%が「とても満足」7%が「ある程度満足」と答えている。「聞きたいことが聞けたか」との質問には79%が「十分に聞けた」21%が「聞けた」と答えている。これは極めて高いレベルである。
「対話の必要性」「友人、後輩などへの対話会へ参加の勧め」については、いずれも95%という高い比率で「非常にある」「勧めたいと思う」という結果だった。
2)日時
7月6日(水):講演会
7月16日(水):学生からシニアへの質問
7月25日(月):シニアから学生への回答
7月27日(水)15:00~17:30:対面による対話会を開催
3)場所
北海道教育大学函館校 アクティブラーニング教室
主催者:北海道教育大学函館校 国際地域学科 中村秀夫教授
4)参加者
北海道教育大学函館校:中村秀夫教授
学生
所属別:43名(地域環境科学グループ37名、文系6名)
学年別:1年(8名)、2年(3名)、3年(16名)、4年(16名)
性別:男性(23名)女性(20名)
シニア:5名:(SNW) 大野崇、松永健一、松永一郎  (SNW東北) 阿部勝憲、中谷力雄

3.対話会

(1)グループ1 (阿部勝憲)

1) 参加者
学生:10名(地域環境科学4年4名、3年4名、1年1名、地域政策2年1名、内女性5名)出身:岩手、宮城各2、北海道、青森、福島、群馬、石川、徳島各1
シニア:阿部勝憲(ファシリテータ)
2) 主な対話内容
対話テーマ:「日本のエネルギーの現状と課題―カーボンニュートラルと日本の危機」(激動する世界地図の中で日本の対応と進路を考える)
学生から基調講演に関連して多面的な事前質問が出されシニアから回答し、その情報を全員が共有し対話した。質問は大まかに下記のように分類できる。
  1. ① 国際的な動向:カナダのエネルギー供給の内容は、なぜフランスは原子力を継続できているか、英国の気候変動法の改定は現実的か、原子力をなくそうとする国と継続しようとする国の違いは、日本の国際的貢献の可能性は。
  2. ② 国内状況と国の方針:エネルギー危機と少子高齢化との関係は、エネルギー需要変化に及ぼすコロナ禍の影響は、元首相暗殺の影響は、国の原子依存度低減方針の理由は、政府は本気か、電力ひっ迫には様々な要因が関わるのか。
  3. ③ 社会的受容性:原子力理解の割合は、改善にはどうすればいいか。
  4. ④ 再生可能エネルギー:電力ひっ迫における太陽光発電の役割は、太陽光発電に及ぼす自然災害の影響は、バイオマス燃料の問題は。
  5. ⑤ 化石燃料:天然ガスは何に使われているか、天然ガスの需要の変化と備蓄は、化石燃料は何年持つのか。
  6. ⑥ 原子力発電:東日本大震災による原子力事故は防げなかったのか、安全ガイドラインはどのように変更されたか、新しいエネルギー開発研究は。
  7. ⑦ 核燃料サイクル:サイクル課題の解決に必要な施設の規模と数は、廃棄物の対策と周辺地域への影響は。
Q&Aを踏まえそれぞれ意見を出してもらった。代表的な内容は以下の通り。
  1. ① 社会的受容性の改善について:SNSは興味ある情報にだけアクセスしアルゴリズムがそうなっているので、やはり講演や対話会のように直接にやり取りできる場が重要との意見。
  2. ② ウクライナ侵攻もあり国内外のエネルギー問題に関心が高く、各国がそれぞれの事情で取り組んでいることを知り、我が国の将来に目を向ける機会になった。
  3. ③ 日本の技術による国際貢献は大丈夫かとの懸念が出され、ものづくりの伝統に加えて国際的な戦略の重要性について指摘した。
最後に、何人かの参加者から「学科、学年、ゼミも異なる学生が集まり、他の人の様々な質問や意見を聞いて話し合えたのは大変ためになった」という感想があり、有意義な対話会であった。
                                              

(2)グループ2 (大野 崇)

1) 参加者
学生:「地域環境科学」を受講する学部4年2名、3年2名、2年2名、1年1名(男子学生3名、女子学生4名)
シニア:大野崇(ファシリテータ)
2) 主な対話内容
対話テーマ:カーボンニュートラル(CN)とエネルギー危機~激動の世界地図の中で日本の針路を考える~
学生からの代表質問をシニアと学生間で共有し対話を実施
  1. ① カーボンニュートラル実現には、水力、風力、太陽光など持続可能な資源(再エネ)の積極的取り入れが必要となるが可能か。
  2. ② ロシアからのエネルギー輸入がないとやっていけないのではないか。
  3. ③ 日本では地熱発電割合がなぜ少ないのか
上記および基調講演に関する学生との主な対話
  1. ① CNは地球温暖化が国連で取り上げられクローズアップ。炭酸ガスのせいではないという人もいるが、国連は2021年に疑う余地がないと結論付け日本もCNを宣言。
  2. ② 変動再エネはコスト、低エネルギー密度(広い面積)という点で限界がある。
  3. ③ 地熱資源は豊富でクリーンだが、小規模開発がネックで国の計画でも1%がせいぜい。
  4. ④ 太平洋側の原発は地震や津波の危険があるのになぜあるのか。迷惑施設として反対が多く地域発展を願う利害が一致した地域に建設されてきた。結果、原発は地域の経済発展につながっている。
  5. ⑤ 其の意味では北海道は良いのではないか。
  6. ⑥ ドイツは脱火力、脱原発政策をとり、ロシアからの天然ガスに依存してきた。今、ウクライナ問題で困っている。家庭の電気料金は世界1高い。
  7. ⑦ 日本にこれ以上原発を増やすことをどう思うか。世論を無視できない。事故前は容認6割、事故後は逆転。ウクライナエネルギー危機で再び容認が増えている。世論は自分の意見の反映。
  8. ⑧ 2050年CN達成。日本の排出量は世界の3%。約束しても寄与は小さい。中国などは2050年以降としてできないことは約束しない。
  9. ⑨ 「人々が安心できる原発はできないのか」原発はどうしても放射性物質がついて回る。事故を起こさないことに尽きる。日本は世界に冠たるトラブルレスの原発を作ったがそれが事故は起こらないという安全神話を生みその風潮に事故は忍び寄った。新しい規制は安全神話否定で180度変わった。

(3)グループ3 (中谷力雄)

1)参加者
学生:10 名(4 年 4 名、3 年 4 名、1 年 2 名、全員が地域環境科学科、内女性5名)
シニア:中谷力雄(ファシリテータ)
2)主な対話内容
グループ3のテーマは、基調講演及びそれを受けた事前質問の回答内容をベースに対話を進めた結果、「カーボンニュートラル(CN)達成のために何が必要か」と「函館に隣接する大間原子力発電所についてどうするべきか」を選んだ。
学生からの下記質問に対してシニアから説明
  1. ① 日本のエネルギーについての教育はどうなっているのか、再生可能エネルギーを主電力にするメリットはなにか。
  2. ② 日本の脱炭素政策で、2050年までカーボンニュートラル(実質CO2ゼロ)を目指しているが、現時点から見てこの目標を達成できる可能性はどのくらいか。
  3. ③ 去年、大間原発を見学し「フルMOX」を知った。どうして「フルMOX」に取り組んでいるのは大間原発だけなのか。
  4. ④ 原子力発電の問題として、資源問題は多く問題視されますが、環境問題として、海洋に希釈して流しているトリチウムは海洋生物に影響を与えないと言えるのか。
  5. ⑤ CNの実現は現実的だと思いますか、そうとは思わないですか。
  6. ⑥ 日本国民は、東日本大震災と福島事故を経験し、原発への不信感がぬぐえていないと考えるが、この不信感をぬぐうためには、どのような活動や政策をしていくことが必要か。
  7. ⑦ IPCCの報告では、現在の温暖化状況が進行すると2100年には地球の温度が3.2℃上昇すると考えられているが、CNの実行でこの推測から逃れることは可能か。
上記質問等への回答及び関連する質問への対話の後、2つのテーマに絞り、意見がまとめられた。
  1. ①カーボンニュートラル(CN)達成のために何が必要か:実現可能性は難しいが、日本のためには原子力の必要性を学生たち(自分たち)が広めていく必要がある。併せて政治家のエネルギーに対する認識を改めさせ、上の世代にも広めていく必要がある。
  2. ②函館に隣接する大間原子力発電所についてどうするべきか:福島事故以降、原子力発電所の安全性は高められており、フルMOXであってもなくても原子力の必要性は変わらない。
    地元の反対意見の人には、他人事にはならないよう日本全体の、そして自分たちの問題であることを認識する必要がある。
  3. ③また、対話会を通して、「自分がまず知識を得てから伝えること」、「原子力に対してプラスのイメージを持てたことが良かった」、「教師として偏った意見を保持することは良くない」等のコメントが出された。

(4) グループ4 (松永健一)

1) 参加者
学生:地域環境科学グループ6名(4年1名、3年3名、※2年1名、1年2名)、国際協働グループ2名(4年1名、3年1名) ※事前質問のみで不参加
シニア:松永健一
2) 主な対話内容
グループ4のテーマ:基調講演「日本のエネルギーの現状と課題-カーボンニュートラル(CN)とエネルギー危機」を聞いて疑問に思ったこと
学生からの下記事前質問に対してシニアから説明
  1. ① パリ協定は自主努力だが目標達成は可能か。エネルギー脱ロシア化はどうなるか。
  2. ② 日本がCNに貢献するために、開発に取り組んでいる技術は何か。
  3. ③ 原子力発電はエネルギー保全に有用な手段。何事にもリスクはあるものではないか。資源小国での安定安価エネルギーとは何か。
  4. ④ 電力の逼迫や自給率低下の改善に個人ができることは何か。
  5. ⑤ 原子力発電のイメージ改善はできないか。電力逼迫対策は何か。CN政策が成功する確率はどの程度か。
  6. ⑥ 太陽光発電の設置場所は十分あるのか。設置して環境破壊や生態系の崩れが心配されないか。原子力発電はどれだけ必要か。廃炉工事は安全にできるか。
  7. ⑦ 化石燃料が尽きたらどうなるか。核燃料は尽きたり、自給率が問題になったりしないのか。事故が起こっても数週間で終息する原子力発電設備は作れないのか。
  8. ⑧ 化石燃料電源比率の高い日本で、電気自動車を普及させても脱炭素にはならないのではないか。東北大震災後、原子力発電の安全審査はどの程度厳しくなったか。
上記に関する学生との主な対話
  1. ① 目標未達時に厳しい罰則を設けないのは、各国が自発的な目標をもって参加しやすくするのが目的。中国、ロシアは口約束レベル。脱ロシア化を意見交換した。
  2. ②「グリーン成長戦略」の主な技術を紹介した。欧米は国際競争力を戦略に考慮。
  3. ③ 安全とは、「許容できないリスクがないこと」であることを認識した
  4. ④ 家庭で簡単に出来る、現実的な節電対策と節電の必要時間帯を認識した。
  5. ⑤ イメージを改善すべき内容と、電力逼迫が発生するケースについて議論した。国際エネルギー機関の評価もCN政策が実現できる見通しではないことを認識した。
  6. ⑥ 太陽光の設置場所が限られ、環境破壊があることを認識した。CNのために必要となる原子力発電の数と日本における廃炉工事の実施例を確認した。
  7. ⑧ 水素エンジン車も選択肢とするトヨタ社長の「敵は(日本が競争優位にある)内燃機関ではない」や「EV一辺倒の潮流に対し水素エンジン車への選択肢を広げるのは日本の雇用を守るため」という発言に注目した。
学生だけの対話時間を設け、発表のまとめ方を協議した。結果を簡潔に発表した。

(5) グループ5(松永一郎)

1) 参加者
学生:8名(4年4名、3年2名、1年2名)(内女性2名)  出身:北海道5名、青森2名、岩手1名
進路希望分野:教員2名、公務員1名、民間3名、未定2名
シニア:松永一郎(ファシリテータ)
2) アイスブレーキング
初めに簡単な自己紹介を各自行い、次に結果発表担当者を学生から互選した。
3) 主な対話内容
まず現在のエネルギー危機をどう読み取るべきか時系列的に8項目に分けて説明した。ついで学生からの事前質問に対するシニア回答に関して、分からないことや関連質問、追加質問を聞いた。
  1. ①エネルギー危機はインフラとしてのバッテリーが開発され、実用化されれば解決へ近づくのではないか?
  2. ②ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機に対して日本の取るべきエネルギー施策は何か?
  3. ③原子力発電への社会的受容性を改善するために一番効果的なことは何なのか?
  4. ④日本のマスコミはなぜ原子力利用について消極的な報道しかしないのか?またマスコミ情報と今回の基調講演との主な違いは何なのか?
  5. ⑤日本の将来のエネルギービジョンは原子力発電と再エネとの併用とのことだが、その比率はどれくらいがよいのか?
  6. ⑥地球温暖化についてはいろいろな情報が行き交かっているが、その正否を確認する上で意識すべきことは何なのか?
  7. ⑦GHGの排出量の多い上位の中国、米国、インド、ロシアの内、なぜ米国だけがカーボンニュートラルに真剣に取り組んでいるのか?
後半にシニア、学生双方から幾つかの話題を出して対話した。
  1. ①2018年9月上旬に胆振東部地震で北海道全道ブラックアウトが起こった。その時学生(北海道出身者5名)はどう感じたか。もし、1月の厳寒期だったらどうだったか。電気の重要性についてどう感じたか。
  2. ②高レベル廃棄物処分の調査が北海道寿都町と神恵内村で進んでいるがどう思うか。
  3. ③先日の福島第一事故の避難民に対する補償に関して、最高裁で「国の責任」が認められなかったが、そのことをどう思うか。
  4. ④東電福島第1原発に溜まり続けている処理水とはどのようなものか。

4. 学生アンケート結果のまとめ

1)講演会後のアンケートの概要
講演会のあとに学生アンケートを実施した。(68人、回収率86%)
  1. ①満足度・・とても満足(62%)、ある程度満足(35%)
    殆どの学生が満足している。満足した理由として、「世界と日本のエネルギー情勢について、リアルな話を聞くことができた」「日本の電力不足、エネルギーの消費量、海外依存度などを学び、課題を考えることができた」「授業で原子力発電について調べる機会があり、興味を持っていた」「各国のCNに関する政策を知り、日本の政策との比較ができた」「文系でも分かる嚙砕いた説明だった」等
  2. ②聞きたいことが聞けたか・・十分に聞けた(35%)、聞けた(47%)、聞けなかった(15%) 80%以上が聞けたと回答している。
    聞けなかった理由として「時間が限られていて、質問できなかった」が多い。 なお、対話会に参加しなかった学生32名からの質問を集め、後日個別に回答した。
  3. ③今回の講演で得られたことは何か(複数回答可、全88件)・・新しい知見(64)、マスコミ情報との違い(13)、将来の進路の参考(4)、教育指導の参考(4) 「新しい知見」がダントツである。
  4. ④シニアによる講演の必要性・・非常にある(63%)、ある(35%)
    殆どの学生があると回答している。必要がある理由として「長い経験を積んだシニアから、専門的な話を聞くチャンス」「若者と視点の異なった話が聞ける」「マスコミ情報よりも深い知識がえられる」等
  5. ⑤友人、後輩などへの講演会へ参加の勧め・・勧めたいと思う(82%)、どちらともいえない(16%)
    勧めたい理由としては「有識者の専門的な話を聞く機会はあまりない」「少しでも興味があれば、その価値は十分にある」「聞くことでさらに問題意識が持てる」「原子力に関して分かりやすく学べる」「教員を目指す人にとって有益」等
放射線/放射能、原子力発電、2050CN/エネルギー危機に関する質問
  1. ①放射線/放射能に対する認識(複数回答可、全105件)
    やはり怖い(19)、恐れる必要はない(36)、理解できた(25)、生活に有用(25) 大多数は一定のレベル以下であれば恐れる必要がないことを知っているが、一部は「やはり怖い」と思っている。
  2. ②原子力発電必要性の認識
    強く認識/削減・撤退すべきでない(40%)、原発必要の認識は変わらない(29%)、原発を早期に削減・撤退すべき(10%)、原発停止・再エネ拡大(1%)、分からない(19%) 7割は原子力発電の必要性を認めている。
  3. ③2050CN政策の必要性
    必要であり実現可能(10%)、必要であるが実現不可(81%)、分からない(9%) 殆どが「必要ではあるが実現不可能」と考えている。
  4. ④世界的なエネルギー危機への認識
    大変厳しい状況である(40%)、厳しい状況である(53%)、それほど厳しいとは思わない(1%)、分からない(6%) 殆どが厳しい状況を認識している。
  5. ⑤我国として2050CNの実現とエネルギー危機への対応(複数回答可、全144件)
    多い順に「不安定な太陽光や風力には限界がある(52)」「原子力を最大限活用すれば可能(28)」「排出されるCO2の分離、活用、隔離をすれば可能(23)」
2)対話会後のアンケートの概要
対話会のあとに学生アンケートを実施した。(43人、回収率100%)
  1. ①満足度・・とても満足(93%)、ある程度満足(7%)
    殆どの学生が「とても満足」しており、講演会(62%)に比べて30%増しである。 理由として、「事前の質問に詳しく説明してもらった」「対面して話をしてもらうことで、より直接的に理解力を深めることができた」「様々な人の意見を聞くことができ、それが大きかった」「一人ひとり発言する機会があり、能動的に発言することができた」等
  2. ②聞きたいことが聞けたか・・十分に聞けた(79%)、聞けた(21%)
    全員「(十分に)聞けた」と回答している。「十分に聞けた」は講演会(35%)の倍以上である。 理由として「自分が聞きたいことだけでなく、+αの新しい知見が得られた」「回答を見て不思議に思っていた部分も聞くことができた」「一人ずつ話す機会を作ってくれた」「事前質問だけでなく、対話時に思いついたことも聞けた」「アットホームな雰囲気で聞きたいことが聞けた」等
  3. ③今回の対話で得られたことは何か(複数回答可、全88件)・・新しい知見(40)、マスコミ情報との違い(11)、将来の進路の参考(6)、教育指導の参考(9)
    「新しい知見」がダントツであるが、「マスコミ情報との違い」「教育指導の参考」もかなりある。
  4. ④学生とシニアの対話の必要性・・非常にある(95%)、ある(5%)
    殆どの学生が「非常にある」と回答している。「非常にある」は講演会(63%)に比べて30%増しである。 理由として「自分で調べるだけでは得られない情報が得られる」「情報や意見を共有し、深めることができる」「疑問に思ったこともすぐに聞ける」「知識量に差がありすぎるので、すべて吸収するには対話が必要」「年季と言葉の重みが違い、説得力があるから」等
  5. ⑤友人、後輩などへの対話会へ参加の勧め・・勧めたいと思う(95%)、どちらともいえない、未記入(各2%)
    「勧めたいと思う」比率は講演会(82%)より10%以上増えている。 勧めたい理由としては「知ることで興味がわく」「学びを深めることができ、今後に繋げることができる」「絶対に将来のためになる」「参加することでエネルギー・原子力への興味を持つきっかけとなる」「教員を目指す人には是非参加してほしい」等
放射線/放射能、原子力発電、2050CN/エネルギー危機に関する質問
  1. ①放射線/放射能に対する認識(複数回答可、全72件)
    やはり怖い(8)、恐れる必要はない(18)、理解できた(25)、生活に有用(21) 大多数は一定のレベル以下であれば恐れる必要がないことを知っているが、一部は「やはり怖い」と思っている。「やはり怖い」と思っている比率は講演会後のアンケート結果19%(=19/105)よりやや低い11%(=8/72)
  2. ②原子力発電必要性の認識
    強く認識/削減・撤退すべきでない(65%)、原発必要の認識は変わらない(30%)、原発を早期に削減・撤退すべき(5%) 9割以上が原子力発電の必要性を認めている。この割合は講演会後のアンケート結果の7割を2割以上こえている。
  3. ③2050CN政策の必要性
    必要であり実現可能(9%)、必要であるが実現不可(81%)、分からない(9%) 殆どが「必要ではあるが実現不可能」と考えている。この割合は講演会後のアンケート結果と変わらない。
  4. ④世界的なエネルギー危機への認識
    大変厳しい状況である(30%)、厳しい状況である(63%)、それほど厳しいとは思わない(2%)、分からない(5%) 殆どが厳しい状況を認識している。この割合は講演会後のアンケート結果とよく似ている。
  5. ⑤我国として2050CNの実現とエネルギー危機への対応(複数回答可、全90件)
    多い順に「不安定な太陽光や風力には限界がある(33)」「原子力を最大限活用すれば可能(31)」「排出されるCO2の分離、活用、隔離をすれば可能(10)」 この割合は講演会後のアンケート結果とよく似ている。

5.別添資料リスト

(報告書作成:2022年8月29日)