2022年 原子力学会春の年会 学生ポスターセッション 発表概要集

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3月16日(水)16:30-18:40の発表者一覧
1-01CHEN XINRUNNagaoka University of Technology博士2年(D2)専門:材料 Material
タイトル: Ion-irradiation Effects on Hardness and Microstructures in RPV Model Alloys with Higher Mn-Ni-Si Concentrations
概要: To investigate the details of Mn-Ni-Si precipitation evolution in reactor pressure vessel (RPV) steels, Fe-4.6wt.%Ni-1.7wt.%Mn-0.7wt.%Si alloys were irradiated by 2.8 MeV Fe ions at 573K up to 0.3 and 0.9 dpa at the dose rate of 10-4dpa/s. Irradiation induced hardness of 1.6 and 2.8 GPa were observed using nanoindentation in different dose, respectively. In addition, Transmission Electron Microscope (TEM) and Atom Probe Tomography (APT) analysis are considered to be conducted to figure out the details of precipitation.
キーワード: Hardening, High Mn-Ni-Si RPV model alloys, Ion Irradiation, Nanoindentation

1-02島田 和弥東京工業大学博士2年(D2)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 4次元ランジュバン模型によるモード別核分裂片平均全運動エネルギーの研究
概要: 核分裂で放出されるQ値の9割以上を占める、分裂片のTKE(全運動エネルギー)は、励起エネルギーが増加すると減少することが実験的に知られている。本研究では、対称分裂するSuper-long(SL)モードと非対称分裂するStandard(ST)モードそれぞれの平均TKEの励起エネルギー依存性を計算した。その結果、励起エネルギー増加に伴う全体のTKE減少は、ほぼSTモードによって決定されることが分った。
キーワード: 核データ, 核分裂, ランジュバン模型, 運動エネルギー, フィッションモード

1-03北本 和馬東北大学修士2年(M2)専門:材料 Material
タイトル: 隙間部からの塩化物イオン排出速度に及ぼす無害アニオン添加効果の評価
概要: すきま腐食の生起・進展防止のための実用性の高い隙間内環境浄化手法として、無害アニオン (MoO4 2-,WO4 2-など)を利用した「化学的ポンピング操作」を提案する。 本発表ではその効果の1 つである隙間内Cl-の排出促進効果について、実験と数値解析による評価を 行い、純水のみを用いて隙間内を希釈するよりもCl-排出速度が大きくなることを示した。
キーワード: ステンレス鋼,すきま腐食,防食技術,隙間内水質の改善,拡散・泳動

1-04佐藤 侑太郎京都大学修士1年(M1)専門:地層処分 Waste disposal
タイトル: Zr,Ce 酸化物固溶体の固相分析と溶解挙動に関する研究
概要: 将来的な燃料デブリの地層処分では、地下水シナリオに基づいて UO2-ZrO2マトリクスの溶解挙動を把握することが求められる。 そのため、Uのアナログとして、Ceを用いたCeO2-ZrO2の酸化物固溶体 溶解挙動をXRD,XAFSなどの固相分析と絡めて検討した。
キーワード: ジルコニウム、セリウム、固溶体、溶解度

1-05Randrianasolo Falitiana東京工業大学修士2年(M2)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: Facile, Efficient and Selective Recovery of Palladium from Simulated High-Level Radioactive Wastes through Chemical Reduction Catalyzed by Coexisting Chalcogens
概要: Chemical reduction of Pd by N2H4 in HNO3aq was studied to demonstrate facile recovery of Pd from simulated HLW. Full and selective recovery of Pd with co-precipitation of Se can be achieved by addition of 60.5 mM N2H4・H2O. First, a yellow amorphous phase containing Pd(II) is formed, followed by its reduction to Pd(0) under a catalytic effect of the concomitant Se.
キーワード: High-level radioactive waste, Pd recovery, N2H4?H2O, chalcogen, chemical reduction

1-06佐々木 華蓮東京工業大学修士1年(M1)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 原子炉ニュートリノ生成核データの研究
概要: 原子炉では、核分裂生成物のβ崩壊に伴って反電子ニュートリノ(以下「原子炉ニュートリノ」)が放出され、核セキュリティーや保障措置の観点から原子炉内部及び使用済み核燃料の情報を探る手掛かりとなるとともに、ニュートリノ振動に関するシグナルとなる。本研究では核分裂生成物の総和計算を基に、原子炉ニュートリノの収率とエネルギースペクトルを計算するための核データの整備を行う。
キーワード: 原子炉ニュートリノ,ベータ崩壊,核データ,総和計算,大局的理論

1-07稲垣 潤東京工業大学修士1年(M1)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 4次元ランジュバン模型によるメンデレビウム同位体の核分裂機構の研究
概要: 4次元ランジュバン模型に基づいてメンデレビウム同位体の核分裂片の質量数、全運動エネルギー、変形度等の分布の計算を行った。JAEAが測定したデータとの比較検討、質量数分布の二山から一山分布への変化の可能性を調べ、この質量数領域での核分裂機構の変遷についての情報を得た。
キーワード: 核分裂,メンデレビウム,4次元ランジュバン模型,核データ

1-08正木 晴也東京工業大学修士2年(M2)専門:材料 Material
タイトル: 核融合炉固体ブランケットにおけるフレッチングコロージョンに関する研究
概要: 核融合炉の燃料増殖ブランケット内部では、冷却管の振動によってトリチウム増殖材と構造材料の間でフレッチングコロージョンが発生する可能性がある。本研究ではトリチウム増殖材の候補であるチタン酸リチウム(Li2TiO3)の微小球と、構造材の候補である低放射化フェライト鋼(F82H)平板試験片のフレッチング試験を、試験片温度を室温、100℃、200℃、300℃と変化させながら、大気環境下で行い、フレッチングコロージョンの挙動や温度による影響を調べた。
キーワード: フレッチング, フレッチングコロージョン, チタン酸リチウム, ブランケット, 低放射化フェライト鋼

1-09向原 悠太東京工業大学修士1年(M1)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 反対称化分子動力学計算による重イオン入射粒子生成断面積の平均場模型依存性
概要: 重イオン入射核反応は、近年がん治療や遺伝子変異の誘発、創薬等に用いられ、基礎と応用ともに盛んに研究がされている。しかし核子や軽イオン入射反応と異なり、標準となる計算手法が確立しておらず様々な計算コードが多種多様な模型を用いている。その中でも反対称化分子動力学はフェルミ粒子多体系としての性質に加え、平均場効果と2核子衝突の効果が含まれる優れた模型である。本研究では重粒子線治療で発生する12C+16O反応を例にとって異なる平均場模型が粒子生成の予測にどのような違いをもたらすかを調べる。
キーワード: 反対称化分子動力学, 粒子生成, 平均場, 2 核子衝突, 核データ

1-10甲斐 晟豪東京工業大学修士1年(M1)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: 乾式除染装置による小口径配管の除染メカニズム解明に関する研究
概要: 廃止措置における除染作業用の乾式ブラスト除染装置による,小口径配管の除染メカニズムの解明を目的とし,本報では小口径配管に対するブラスト研磨機構の除染領域の調査を行った結果を報告する.
キーワード: 乾式除染装置による小口径配管の除染メカニズム解明に関する研究

1-11平野はるか東京工業大学修士1年(M1)専門:核データ Nuclear data
タイトル: Total Monte Carlo法による核分裂性核種の断面積相関がベンチマーク体系核特性の不確かさに与える影響の解析
概要: 断面積と角度分布の相関が炉物理量の不確かさに与える影響を調べるために、235Uデータに対してTotal Monte Carlo法を適用しGODIVAとFLATTOP体系の核特性の不確かさ解析を行なった。MCNP計算の結果を統計処理し、実効増倍率、核分裂数、漏れ中性子数などの分散及び相関を求め、核データの標準形式には含まれない相関が計算結果に与える影響を検討した。
キーワード: 核データ,TMC法,T6,不確かさ解析

1-12山﨑 晃也東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:再処理 Reprocessing
タイトル: 金属モリブデン粉末を用いた各種硝酸濃度溶液への溶解挙動
概要: 各種硝酸濃度の溶解試験を行ったMo粉末に対してXRD測定、溶解液に対してはICP-OES測定を実施した。XRD測定より1.0 M~1.5 M硝酸に溶解し析出したMoはMo(CO)6である可能性が示唆される。
キーワード: ファイン,白金族元素,モリブデン,高レベル放射性廃液

1-13Wagner Romain東北大学修士2年(M2)専門:核融合 Fusion
タイトル: Buoyancy Force Direction Influence on Porous Cooling System Characteristics for Remountable High Temperature Superconducting Magnets
概要: In this presentation, we will report the influence of buoyancy force direction on both pressure drop and heat transfer performance of a porous cooling system designed for remountable HTS magnets. In addition, an improved heat transfer correlation implementing this influence will be introduced.
キーワード: Porous cooling system, Remountable HTS magnets, Pressure drop, Heat transfer

1-14祝 梁帆京都大学修士2年(M2)専門:材料 Material
タイトル: 軽水炉圧力容器鋼における溶質原子クラスター形成のシミュレーション
概要: 原子炉圧力容器鋼における照射脆化の原因となる溶質原子クラスターについて,その形成エネルギーを分子動力学式と正則溶体近似を参考にモデル化し,モンテカルロシミュレーションを行い,溶質原子がクラスターの形成に与える影響を解析した.
キーワード: 材料照射損傷,照射相関,溶質原子クラスター,モンテカルロシミュレーション

1-15岡島 大耕岡山大学修士1年(M1)専門:地層処分 Waste disposal
タイトル: 緩衝材中の熱ー水(T-H)連成現象に関する解析
概要: 高レベル放射性廃棄物の地層処分において,人工バリアシステムは長期にわたってその機能を維持することが求められる.しかし岩盤からの地下水の侵入による緩衝材の膨潤変形,廃棄体中の核種の崩壊熱による膨潤などの影響を同時に受ける.ここでは,緩衝材中の熱と水が及ぼす影響について,数値解析手法(差分法)を用いた解析を行い,実測データと比較することで長期的な解析手法の適用性について検討した.
キーワード: buffer material, bentonite, diffusion equation, coupled processes, difference method

1-16吉田 智哉東海大学修士2年(M2)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: 解析的アプローチを用いた銅コーティングオーバーパックの腐食評価
概要: 本研究では緩衝材中の化学反応や物質移行を考慮して銅コーティングオーバーパックの寿命評価を行った。その結果、銅の腐食に関わる硫化水素濃度は増加する場合があるものの、銅コーティングを大きく減少させるには至らず、長期にわたって性能を維持できる可能性が示唆された。
キーワード: 銅コーティングオーバーパック, 地下水組成, 硫化水素濃度, 分配係数Kd

1-17尾形 優一東海大学修士2年(M2)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: 地層処分における断層が 周囲岩盤の物質移行特性に及ぼす影響の検討
概要: 本研究では、断層が周辺岩盤に与える水理学的影響について解析を行った。その結果、岩盤内を移行する粒子の平均流速、平均移行距離ともに変化が見られたが、その量は小さく安全評価への影響は小さいと見積もられた。
キーワード: 水理解析、粒子追跡線解析、断層、亀裂性媒体、多孔質媒体

1-18太田 耕市東海大学修士2年(M2)専門:核燃料 Nuclear fuel
タイトル: Gd添加燃料内の温度・核反応の連成解析と検証
概要: 軽水炉に用いられるGd添加UOX燃料内では、燃焼初期に温度と出力が大きく変化するため、温度と核反応を連成した解析を実現し、計算値と照射試験炉の測定値の比較により検証した。
キーワード: Gd添加燃料, FEMAXI-8, MVP-3.0, MVP-BURN, HBWR

1-19小野 遼真東京工業大学修士2年(M2)専門:再処理 Reprocessing
タイトル: 2つの不斉中心を持つ架橋2-ピロリドン誘導体による硝酸ウラニル錯体の cis/trans異性
概要: trans-1,2-シクロヘキシル基によって架橋されたビス(2-ピロリドン)配位子のラセミ体および(1R,2R)光学異性体を硝酸水溶液中でUO22+と反応させた。その結果、ラセミ体を用いた場合はtrans-型、(1R,2R)体を用いた場合はcis-型のエカトリアル面を持つ硝酸ウラニル配位高分子がそれぞれ得られた。
キーワード: 硝酸ウラニル, 錯体化学, 使用済み核燃料再処理, 結晶構造

1-20西尾龍乃介東京工業大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: 核融合炉液体金属ブランケットにおけるFeCrAl合金酸化被膜のMHD圧力損失抑制に関する研究
概要: 核融合炉の炉心を取り囲むブランケットはエネルギーの回収、トリチウムの増殖、中性子遮蔽を行う。液体鉛リチウム合金を用いる液体ブランケットでは、強磁場下におけるMHD圧力損失は解決すべき大きな課題である。一方で核融合炉内液体金属機器の構造材料の候補とされるFeCrAl合金は、1273K程度の大気下でα-Al2O3被膜を形成し、鉛リチウム環境下ではLiAlO2を自己形成する事が分かってきた。本研究では、FeCrAl合金に形成されるα-Al2O3やLiAlO2などの絶縁被膜によるMHD圧力損失の抑制効果について検証した。モデル計算を行い、流路内面に形成された1μm程度の絶縁被膜がMHD圧力損失を十分に低減させることを確認した。
キーワード: 核融合炉, 液体金属ブランケット, MHD圧力損失, 電磁流体力学, FeCrAl合金, 酸化被膜

1-22木林 政人東京工業大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:核融合 Fusion
タイトル: 核融合炉内液体金属機器における積層造形材の適用性検討 (1)316L 積層造形材と液体金属との共存性について
概要: 本研究では、電子ビーム積層造形法により316Lオーステナイト積層造形材(Fe-17.3Cr-12.5Ni-2.1Mo) を新たに製作し、金属組織や化学組成の均一性を明らかにした。熱処理を施すことによる金属組織や化学組成の変化を明らかにした。更に、核融合炉や高速炉等で用いられる液体金属冷却材(錫や鉛ビスマス)との化学的共存性を500°C 、250 時間の静止場腐食試験により調べた。
キーワード: 積層造形材,腐食,316L,液体金属

1-23北村 嘉規東京工業大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: 核融合炉内液体金属機器における積層造形材の適用性検討 (2)Al添加型積層造形材の耐食性について
概要: 液体重金属に対して優れた耐食性をもつAl含有鋼の課題として溶接性・加工性が挙げられるが、積層造形技術により製造することでシームレスなAl含有鋼製機器を製造することが可能となる。本研究では、FeCrNiAl鋼の積層造形材を3種類製造し、核融合炉や高速炉の冷媒として期待されている各種液体金属(錫(Sn)、鉛リチウム(Pb-16Li)、鉛ビスマス(Pb-Bi))との化学的共存性を500℃,250時間の静止場腐食試験により調べた。
キーワード: 積層造形,液体金属,腐食,保護性アルミナ被膜

1-24譚 欣長岡技術科学大学博士1年(D1)専門:原子炉安全 Safety
タイトル: 600℃以下の模擬事故環境下での水酸化セシウムとステンレス鋼の酸化鉄との反応
概要: Specimens with different molar ratio of Cs and Fe were heated at 300-600℃ under both inert(Ar) and vapor(Ar-H2O) atmospheres. XRD is used to identify the composition of specimens after heating. As a result, lower temperature and molar ratio of Cs and Fe would prevent formation of CsFeO2.
キーワード: Cesium, Iron oxides, Chemical reaction, Low temperature zone

1-25中角 弘樹東北大学修士2年(M2)専門:廃炉 Decommissioning
タイトル: ウラン-ジルコニウム酸化物の化学的安定性評価のための逐次抽出法の開発
概要: 東京電力福島第一原子力発電所における燃料デブリの化学的性状の調査は今後の取り出し作業や中長期の保管のためにも必須である。しかし、現状では化学的安定性の評価指標が無く、研究グループ間で結果を定量的に比較することは困難である。そこで、本研究では地球化学分野で土壌の化学的性状調査に用いられている逐次抽出法を応用した燃料デブリ版逐次抽出法を開発した。本手法をウラン-ジルコニウム酸化物固溶体に適用し、安定性の評価を試みた。
キーワード: ウラン-ジルコニウム酸化物,福島第一原子力発電所事故,逐次抽出法,燃料デブリ

1-26箕輪 一希東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:核燃料サイクル Nuclear fuel cycle
タイトル: アルキルジアミドアミン 吸着材中希土類の局所構造解析
概要: MA回収プロセスの最終工程であるMA相互分離プロセスで有効なアルキルジアミドアミン吸着材の性能評価として、希土類錯体のXAFS解析を行った。単元共存系に比べて共存系は吸着量が減るが、硝酸濃度依存性は1 M付近で最大になり、配位数も1 Mで最大になることが分かった。
キーワード: ADAAM吸着材,高レベル放射性廃液,La,Ce,Nd

1-27細工 拓馬国立岐阜工業高等専門学校学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:核融合 Fusion
タイトル: 環状磁場閉じ込め装置における垂直位置移動現象(VDE)の研究
概要: トカマク型装置ではプラズマ閉じ込めが突如崩壊されプラズマ電流が一瞬にして消滅するディスラプションと呼ばれる現象が発生する。これが発生すると膨大なエネルギーが解き放たれ周辺の装置に大きな負担がかかる。その際に発生する垂直位置移動現象(VDE)はプラズマが急激に移動する現象であり、装置負荷を発生させる原因の1つである。 そこで、本研究ではVDEの発生メカニズムに着目し、ディスラプションシミュレーションコードDINAを用いた研究を実施した。
キーワード: トカマク型磁場閉じ込め核融合炉,ディスラプション,垂直位置移動現象(VDE)

1-28福田 陽太福島工業高等専門学校学士3年 高専専攻科1年(B3)専門:材料 Material
タイトル: 金属粉末を添加したFRP遮蔽材の高性能化
概要: 現在、福島第一原子力発電所の廃炉に向け、ロボットが建屋内の状況を調査しています。 しかし、このロボットに使用されている半導体は、高線量下では寿命が短いという問題があります。そこで、本研究では、ロボットを保護するために、軽量で強度が高く、遮蔽性の高い材料を作製することを目的とした。 実験では、エポキシ樹脂にガラス平織り繊維と金属粉(BaSO4)を配合したシールド材の放射線遮蔽効果と強度を調査した。 その結果、金属粉末を添加すると、遮蔽効果は高まるが、材料強度は低下することがわかった。しかし,5[%]程度の添加で,粉末を添加しない場合と同程度の強度を得ることが可能であった。 以上より,エポキシ樹脂に硫酸バリウム粉末を40[%]添加したシールド材は,高いシールド効果と十分な強度を得ることができることがわかった。
キーワード: 放射線,遮蔽材,福島第一原子力発電所,廃炉

1-29綱川 裕樹福島工業高等専門学校学士3年 高専専攻科1年(B3)専門:材料 Material
タイトル: 光硬化樹脂遮蔽材の開発
概要: 現在、福島第一原子力発電所の廃炉に向けて、ロボットが建物の内部状態を調査していますが、高い放射線レベルの活動により、ロボットの寿命は短くなってしまいます。 したがって、この研究の目的は、屋内のロボットで使用できる、軽くて強い放射線遮蔽材料を作成することです。 実験では、硫酸バリウムと光硬化樹脂を用いて放射線遮蔽材を作製し、それらの放射線遮蔽効果を調べました。 その結果、光硬化性樹脂に硫酸バリウムを添加すると、遮蔽材の密度が高くなり、高い遮蔽効果が得られることがわかりました。 また、最大で約50%の遮蔽効果が得られました。
キーワード: 放射線,遮蔽材,福島第一原子力発電所,廃炉

1-30加藤 伸啓舞鶴工業高等専門学校学士3年 高専専攻科1年(B3)専門:材料 Material
タイトル: 回転円錐の外表面を上昇する液膜流れと濡れ性の関係
概要: 本研究では回転円錐の外表面を流れる液膜流と濡れ性の関係について実験を行った.実験では,様々な金属製の円錐体を用いて,回転速度を変化させたときの水と円錐体の接触角を測定した.その結果,回転速度を上げると,接触角も大きくなった.また,金属の種類によってその挙動は異なっていた.また,液体に低融点金属を用いた場合は,円錐の周りの低融点金属が沈み込む様子が観察された.
キーワード: 濡れ性

1-31篠藤 かのこ近畿大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:放射線工学 Radiation engineering
タイトル: 近畿大学原子炉を用いた放射化実験実習用の放射線仮想測定器の制作
概要: 近畿大学原子炉において学内外の学生向けに行う「放射化実験」に使用する目的で、ソフトウェアの放射線カウンタを2種類制作した。放射化実験に現在使用している測定器からの出力信号を利用して、PC上で動作する測定器とした。1つはマルチチャンネルスケーラー、もう1つはWebサーバ上で動作する計数率計である。これによって誘導放射能の減衰が分かりやすく観察でき、また参加者全員が自ら測定することができるようになった。
キーワード: 近畿大学原子炉実習,放射化実験,マルチチャンネルスケーラー,Webサーバ,放射線カウンタ

1-32近松 優真東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: 荷電粒子誘起発光を用いた分析手法の基礎検討
概要: 使用済み核燃料に含まれる三価のマイナーアクチノイド(MA)は長寿命核種であり、他の核分裂生成物(FP)と分離し、核変換の対象となる。MA分離技術として採用されている湿式分離法の抽出挙動の理解に役立てるよう、荷電粒子誘起発光(IBIL)分析の分析手法についての基礎検討を行った。PIXE分析法、荷電粒子誘起発光(IBIL)分析法とルミネセンスデータを併用して岩絵具の化学組成を明らかにするとともに、これらを併用した測定方法の有用性を明らかにした。
キーワード: 都市大タンデム,荷電粒子誘起発光(IBIL),MA分離,PIXE分析

1-33武雄 諒長岡技術科学大学修士1年(M1)専門:社会・環境 Social・Environment
タイトル: 福島第一原子力発電所事故後の土壌環境中137Csの動態解明
概要: 福島第一原子力発電所事故後の表層土壌における放射性セシウム(137Cs)の動態を評価した.飯舘村で採取した土壌中の137Csは,事故から1年後では超純水中ではほとんど溶出しないが,イオン交換態では約1%溶出したことが明らかになっている.そこで,事故から10年経過した土壌においても同様の評価を行ったところ,超純水中・イオン交換態の両方ともほとんど溶出しなかった.よって,土壌中の137Csはより溶出しがたくなっている.
キーワード: 137Cs,土壌,樹木,福島第一原子力発電所事故

1-34鈴木 大夢東北大学修士2年(M2)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: 熱中性子照射場の開発と実験的線量評価
概要: 本研究では、ホウ素中性子補足療法の実験的線量評価を行うため、青森県量子科学センターの中性子照射ラインにおいて、モンテカルロ計算コードであるPHITSを用いた減速体系の設計を行い、熱中性子照射場を開発した。また、熱中性子照射体系において線量分布の実測を行いPHITSによるシミュレーション結果と比較評価を行った。
キーワード: 加速器,中性子,BNCT,PHITS


3月17日(木)16:30-18:40の発表者一覧
2-01西村 洋亮東京大学修士2年(M2)専門:核燃料 Nuclear fuel
タイトル: 高温ガス炉空気侵入事故時における SiC 燃料コンパクトの酸化研究
概要: 第四世代原子炉として期待される高温ガス炉において、燃料コンパクトには従来の黒鉛に替えて SiC を用いることが推奨される。本研究では、空気侵入事故時の環境を模擬した実験装置において酸化実験を行い、 SiC の持つ優れた耐酸化性能を定量的に示すとともに, 後にシミュレーションで用いるための新しいSiC酸化モデルと基礎構成式を提案する。
キーワード: SiC 酸化、passive 酸化、active 酸化、酸化速度、活性化エネルギー

2-02中野 秀仁東京工業大学博士2年(D2)専門:核データ Nuclear data
タイトル: パラジウム107 の中性子捕獲反応断面積の共鳴領域測定
概要: 核変換研究において、長寿命核分裂生成物(LLFPs)の1 つであるPd-107 の広いエネルギー領域での高精度 の捕獲反応断面積データ測定が必要とされている。J-PARC においてPd-107 の中性子捕獲断面積の測定を行 った。本発表では背景、実験、共鳴解析について発表する。
キーワード: パラジウム107,中性子捕獲反応断面積,核データ,J-PARC,共鳴解析

2-03直江 翔太岡山大学修士2年(M2)専門:社会・環境 Social・Environment
タイトル: ラドンの健康影響研究 -ラドン吸入による免疫調節機能の亢進効果の基礎検討-
概要: ウランの子孫核種であり自然放射線源の半分を占めるラドンの健康影響に関して注目されている。このため,本研究ではラドン吸入がマウス血清中のサイトカイン代謝などに及ぼす影響に関して,正常とリウマチモデルマウスを用いて比較検討した。各種サイトカイン濃度の変化特性から,helper T(Th)1, Th2, Th17細胞,または制御性T細胞(Treg)の免疫応答を評価した結果,両マウスでは異なる作用で免疫調節機能が亢進することを示唆できた。
キーワード: ラドン,サイトカイン,免疫調節機能,リウマチマウス

2-04Raka Firman Baskara PermanaThe University of Electro-Communications博士1年(D1)専門:熱流動 Thermal Hydraulics
タイトル: Experimental Study on Onset Condition of Boiling Entrainment from Falling Liquid Film with Gas Sheared Flow
概要: Droplet entrainment from a liquid film is an important phenomenon to ensure safe operation in industrial boiling systems. Study on the entrainment in annular two-phase flow has been investigated by many researchers. However, the knowledge on the entrainment due to nucleate boiling is still insufficient. The authors categorized the boiling entrainment into two types and identified the dominant one called filament-type. The purpose of this study is to develop a model to identify the onset condition of the filament-type boiling entrainment. The visualization experiment has been conducted to clarify the boiling entrainment types and the influence of various parameters on the onset condition of the filament-type boiling entrainment. Then, we developed a model for the onset condition of boiling entrainment in a falling liquid film.
キーワード: Annular Two-Phase Flow, Boiling Entrainment, Boiling System, Dryout, Experiment

2-05家入 大周京都大学修士2年(M2)専門:核融合 Fusion
タイトル: 堆積層のあるプラズマ対向壁における水素同位体交換の過程
概要: 核融合炉内ではプラズマ対向壁上に堆積層が形成される。SUS316を母材とする堆積層試料での水素同位体交換を、NRA(核反応法)を用いて測定した。2種類の実験を行い、同位体交換の律速過程と同位体効果について検討した結果、温度による変化が見られた。
キーワード: 核融合炉材料, トリチウム除染, 水素同位体交換, プラズマ曝露, イオンビーム分析

2-06アルザハラーニ ハニーン東海大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:熱流動 Thermal Hydraulics
タイトル: 自由液面からのガス巻込み評価手法に関する研究 -非定常後流渦解析に関するAdaptive Mesh Refinement法の適用-
概要: 自由液面を移動する非定常渦のガス巻込み現象の解析において後流渦を精度よく再現するために、解析メッシュの詳細化に関するAdaptive Mesh Refinement法の適用性を検討した。 Q<0(渦流れが支配的であることを示す)と圧力勾配を条件として、メッシュの詳細化を行って比較した。圧力勾配を条件としたメッシュの方が平板上流のよどみ領域を細かくすることに成功しており、平板手前や横の圧力分布が一様詳細メッシュと同様となる結果が得られた。
キーワード: 高速炉、ガス巻込み、AMR法

2-07藤原 輝静岡大学修士1年(M1)専門:材料 Material
タイトル: 機能性セラミックス被覆の電気特性と水素同位体透過挙動に与える重イオン照射影響
概要: 核融合炉ブランケットにおけるトリチウムの透過漏洩を抑制するために、セラミックスを材料としたトリチウム低透過性の被覆が研究されてきた。近年では炉内の放射線環境の模擬として重イオン照射が実施され、被覆の微細構造や水素同位体透過低減性能に与える照射影響が詳細に調べられた。しかし、これらの特性は破壊検査によって評価されることが多く、また試料加工や前処理に多大な時間と労力がかかるため、実機で利用する材料には適用し難い。本発表では、種々のセラミックス被覆に対して簡便な手法である電気化学インピーダンス測定、および従来の手法である重水素透過試験を実施し、電気特性と水素同位体透過挙動に対する照射影響を調べ、被覆の評価手法としての電気化学インピーダンス測定の適用性について報告する。
キーワード: トリチウム、透過、被覆、照射、電気化学インピーダンス測定

2-08中島 理紗子東海大学修士1年(M1)専門:リスク Risk
タイトル: ナトリウム冷却高速炉における異常降雪事象に関する CMMC法を用いた定量的リスク評価 
概要: 地球温暖化に伴い異常な降雪事象が増大する可能性がある。本研究では地球温暖化を考慮した降雪のハザード曲線を作成し、ナトリウム冷却高速炉について、動的PRAである連続マルコフ過程モンテカルロ法(CMMC法)を用いてプラントに与える影響を検討した。
キーワード: 異常降雪,外部ハザード,PRA,地球温暖化,CMMC法

2-09鎌田 凌河東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: ビームスポット位置を考慮したセシウムを含むコンクリート試料の同一断面上での定量評価に向けた基礎研究
概要: 本発表では、2018年から稼働している都市大タンデムを用いたPIXE分析法から得られたスペクトルを定量評価するために、スペクトル解析ソフトGUPIXを用い、岩石標準試料に対する定量評価の検討を行った。また、セシウムを含むコンクリート試料の定量評価において、プロトンビームによるビームスポットの照射位置を適切に把握し、試料の同一断面上における濃度分布評価を行った。
キーワード: 都市大タンデム,岩石標準試料,コンクリート,PIXE,GUPIX

2-10陳 昱婷京都大学博士3年(D3)専門:材料 Material
タイトル: 照射カスケード損傷による鉄の欠陥クラスター生成に関する統計的な研究 分子動力学シミュレーション
概要: 核融合及び核分裂反応によって生成された中性子は、構造材料の構成原子と衝突し、カスケード損傷を引き起こす。 この衝突によって生成される非熱欠陥クラスターは、材料のミクロ構造に影響して、それによって材料の機械的性質に多大な影響を及ぼすことが知られている。 この研究では、分子動力学法によって鉄のカスケード損傷プロセスをシミュレートし、クラスターの生成率やサイズ分布を調査した。
キーワード: 照射損傷、照射クラスター、クラスター形成率、クラスター体積分布の統計的評価

2-11中尾 友彦京都大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: 高速イオン衝突による気相アデニン・グアニン分子の解離経路
概要: 孤立気相中の生体分子の解離現象について知見を得ることは,生体の放射線損傷過程を理解するための基盤として意義があるといえる.そこで本研究では核酸塩基であるアデニンとグアニンに焦点を当て,高速イオンビームを用いた実験と量子化学計算によってその解離過程を解明することを目指した.その結果アデニンでは特徴的な解離パターンの存在が示された一方で,グアニンの解離においては解離経路がより複雑であることが認められた.
キーワード: 生体分子,高速イオンビーム,加速器,飛行時間型質量分析,量子化学計算

2-12工藤 仁美東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:リスク Risk
タイトル: 固定屋根付き円筒タンクにおける非線形スロッシング現象の数値流体解析
概要: 原子力発電所の耐震設計における基準地震動レベルの増大に伴い、重要施設のより現実的な応答評価が 求められている。このため、本研究では固定屋根付き円筒タンクにおける非線形スロッシング挙動のVOF法を用いた数値流体解析を行い、この現象に適切な解析条件を明確にするため、乱流モデルについて実験値との比較・検討を行った。また、モデル化を行った抑制板の抑制効果についてシミュレーション解析について検討した。
キーワード: スロッシング現象,固定屋根付き円筒タンク,OpenFOAM

2-13藤野 大生東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: エポキシ塗料へのセシウム及びヨウ素の浸透挙動
概要: エポキシ樹脂をCsI溶液に浸漬させることで、エポキシ樹脂に対するCs及びIの浸透挙動をXRFにより観察した。また、EXAFS測定によりCs及びI元素周りの局所構造を調査した。その結果、Iが選択的に浸透を引き起こし、CsはOとの相関を高める事を確認した。
キーワード: 東電福島第一原子力発電所,XRF,XAFS,エポキシ樹脂,CsI

2-14頓名 龍太郎京都大学修士2年(M2)専門:廃炉 Decommissioning
タイトル: 合金系模擬燃料デブリからの核種溶出に及ぼす炭酸影響
概要: ジルコニウム合金やステンレス合金を初期組成に含む模擬燃料デブリを調製し,核分裂生成物(FPs)およびウランの水への溶出率を評価した。特に, 核種溶出挙動に及ぼす炭酸イオンなどの海水成分の影響を評価し,デブリの安定性について検討した。
キーワード: 燃料デブリ,核分裂生成物,溶出挙動, 海水, 炭酸

2-15平田 詩織静岡大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: QUEST装置にてプラズマ曝露したタングステン試料における不純物堆積と水素同位体滞留挙動の壁温度による影響
概要: 核融合プラズマ対抗材料であるタングステン中の水素同位体滞留挙動の解明は、燃料リサイクリングの観点において不可欠である。本研究ではQUEST 2020S/Sキャンペーンと2021S/Sキャンペーンにて行われた長時間放電にタングステン試料を導入した。2020S/Sキャンペーンでは壁温度が200 ℃、2021S/Sキャンペーンでは400 ℃にて長時間放電が行われた。プラズマ曝露された試料表面を透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡によって観察し、X線光電子分光法にて化学状態測定を行った。また重水素イオン照射を行った後、昇温脱離法を用いて水素同位体滞留挙動を評価した。発表では、壁温度の違いによって不純物堆積や水素同位体滞留挙動にどのような影響が及ぼされたのか発表する。
キーワード: タングステン, QUEST, 水素同位体滞留挙動

2-16宮川 幸大東京工業大学修士2年(M2)専門:核融合 Fusion
タイトル: 液体ダイバータにおけるFeCrAl合金の効果について
概要: 液体金属錫(Sn)は液体ダイバータの候補材料であるが構造材料との化学的共存性に課題がある。そのため、液体金属Snによる構造材の腐食量の把握や耐食性の優れた材料の開発が求められている。本研究では、FeCrAl合金と液体金属Snの腐食実験(773 K, 250~986 hours)を静止場・流動場の条件で実施し流れによる腐食の影響を観察した。一部のFeCrAl合金は予備酸化処理により試験片表面にアルミナ膜(α-Al2O3)を形成した。アルミナ膜により液体金属Snの腐食を抑制できる事がわかった。
キーワード: 液体ダイバータ, 液体金属錫, 腐食, FeCrAl合金

2-17五十川 浩希九州大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: リチウムロッド模擬試験体を用いた水素状トリチウムの透過挙動
概要: 核融合炉の安定運転のため、高温ガス炉を用いたトリチウムの生産が期待されている。課題の一つは高温状況下における炉内でのトリチウムの閉じ込め技術の開発である。本研究では、リチウムロッドを模擬した試験体を用いて、高温状況下におけるHTを主成分としたトリチウムガスの透過挙動を観察し、実験結果より模擬試験体におけるトリチウムの物質移動と条件について報告を行う。
キーワード: トリチウム 高温ガス炉

2-18増田 健太郎九州大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:核融合 Fusion
タイトル: W堆積層形成過程における水素透過量測定と微細構造分析
概要: 重水素とトリチウムを燃料とするDT核融合炉においてプラズマ対向壁における水素同位体透過挙動の理解は燃料密度制御、トリチウム安全管理の観点から重要である。本研究では、炉壁候補材であるタングステン(W)がスパッタされ、対向壁上に形成することが想定されるW堆積層における水素透過挙動の把握を目的として実験、分析を行った。水素透過フラックスの経時変化と堆積層微細構造の観察結果から、それらの関連性を調べた。
キーワード: タングステン, 堆積層, 水素透過

2-19阿部 哲東京大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:原子炉安全 Safety
タイトル: 弱教師あり深層学習による異常の多クラス分類
概要: 現在、弱教師あり学習を利用したDNNモデルによる異常の早期検知の研究が行われており、実際に異常の早期検知に成功している。一方で、従来のモデルでは特定の異常を含んでいるかどうかのみしか判断ができないので、複数の異常を識別するには異常の検知器を複数個用意する必要がある。本研究では、従来のモデルを改良することで異常の多クラス分類を可能にした。これにより、学習時の負荷低減と異常の分類の迅速化が可能になった。
キーワード: 弱教師あり学習、DNN、異常検知、多クラス分類

2-20花澤 庄潤哉東京大学修士2年(M2)専門:社会・環境 Social・Environment
タイトル: 人為起源ヨウ素129の時空間分布に関する研究
概要: 人為起源のヨウ素129の環境中への拡散・移行挙動を把握することは重要であるが,先行研究では,データが北半球に偏っている。本研究では,南緯20度までのインド洋表層海水,南極の氷床アイスコア中のヨウ素129の分析を行い,南半球におけるデータを補完した。
キーワード: ヨウ素129,加速器質量分析,インド洋,南極アイスコア,再処理工場,大気圏核実験

2-21保坂 龍広東京工業大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: 先進核融合中性子源における液体金属伝熱促進材の材料共存性向上方法に関する研究
概要: 先進核融合中性子源(A-FNS)の照射試験において、低放射化フェライト鋼F82Hは伝熱促進材である液体Li、Naに覆われている。中性子照射の影響のみを観察するためには伝熱促進材によるF82Hの腐食を最低限にする必要があるため、腐食抑制材としてCr3C2粉末を液体Li、Naに添加し温度823 K、250時間または295時間の条件でF82Hの腐食挙動を調査した。添加剤によって液体金属中の化学反応を調整することで腐食を抑制することが可能であった。
キーワード: 核融合炉,伝熱促進材,液体金属,低放射化フェライト鋼,粒界腐食

2-22山中 健吾岡山大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:地層処分 Waste disposal
タイトル: 粒子拡散モデルに基づく緩衝材内の密度分布変化を考慮した周辺岩盤亀裂への緩衝材の侵入挙動に関する研究
概要: 現在,地層処分実施に向けて様々な研究が行われている.その研究の一つに岩盤亀裂への緩衝材の侵入挙動がある.そこで侵入挙動を拡散現象とみなし,円筒座標系の半径方向の拡散方程式を用いた解析を行った.また緩衝材内の密度分布変化を考慮したモデルを構築し,密度分布評価の解析を行ったところ実測結果と概ね一致した.それに加えて侵入距離の経時変化について時間に伴い収束する傾向を示し,実測結果と概ね一致したことを発表します.
キーワード: 高レベル放射性廃棄物,地層処分,岩盤亀裂,拡散方程式,粒子拡散モデル

2-23Ariel Christ GaynelliusTokyo Institute of Technology学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:材料 Material
タイトル: Corrosion Behaviors of Nickel Bearing Materials in Molten FLiNaK and LiCl-KCl
概要: The corrosion behaviors of Ni-based alloys and stainless steels in molten salts FLiNaK and LiCl-KCl were investigated by means of static corrosion tests. The corrosion was caused by the depletion of Cr from the material surfaces. The formation of Ni-rich layer was detected on the specimen surfaces. The formation of chromium oxide layer beneath the Ni-rich layer was also detected.
キーワード: molten salt, corrosion, coolant, thermal energy storage, Ni based alloys

2-24松井 隆祥東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: 都市大タンデムにおける大気PIXEビームライン構築に関する基礎研究
概要: 東京都市大学タンデム加速器を用いたPIXE分析法を今後行っていく上で、生体試料や液体試料の分析を行うためには大気中に陽子ビームを引き出す必要がある。本研究では、使用する偏向電磁石の性能確認と大気中でのエネルギーロスを評価、大気PIXEによって得られたスペクトルを解析した。
キーワード: タンデム加速器,PIXE,In-Air PIXE,PHITS

2-25眞壁 風東海大学修士2年(M2)専門:放射線工学 Radiation engineering
タイトル: 小型Eu:LiCaAlF6シンチレーション検出器による中性子源+黒鉛散乱体系内の中性子束分布の3次元計測
概要: Eu:LiCaAlF6シンチレーション検出器を用いて、241Am-Be中性子源と黒鉛ブロックからなる散乱体系内の中性子束分布を3次元で計測した。計測結果を連続エネルギーモンテカルロ輸送計算コードPHITS及びMVP-3.0による解析値・中性子拡散理論値と比較し、検証した。
キーワード: Eu:LiCaAlF6,241Am-Be,黒鉛,輸送計算,拡散理論

2-26菊地 漱祐東京都市大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: 都市大タンデムのイオン種変更のための基礎検討 酸素負イオンにおけるビームの引き出しと質量分析実験
概要: 都市大タンデムの加速管導入前のイオン源部分において、原料ガスを水素ガスから加速器室内空気に変更した状態でビームの引き出し及び質量分析試験を実施し、新たに酸素負イオンの入射FCでのビーム電流ピークを観測した。また、今後のイオン種変更の方針を検討した。
キーワード: タンデム加速器, 冷陰極PIG負イオン源, ビーム電流, 酸素負イオン, 偏向電磁石

2-27珍田 啓秋田工業高等専門学校学士3年 高専専攻科1年(B3)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: コヒーレント光発生のための光クライストロンの最適化
概要: 短波長領域のコヒーレント光を発生させる手法に光クライストロンを用いる方法がある。本研究では, 光クライストロンを用いた紫外から軟X線の短波長領域におけるコヒーレント光の発生を目的とし, 光クライストロンの各パラメータの最適化を行なっている。これまでは, 電子ビームとレーザー光の相互作用についてシミュレーションすることによってシードレーザーパワーの値を求めた。今後は, 電子ビームに集郡効果を与えるために必要となる電磁石の磁場強度値の最適化を行う。
キーワード: 電子加速器,電子ビーム,コヒーレント放射光,自由電子レーザー

2-28橋詰 雪弥長岡高専学士2年 高専5年(B2)専門:核融合 Fusion
タイトル: 核融合炉壁の損傷評価に着目した拡散方程式の解についての検討
概要: 核融合炉壁の候補材料としてタングステン(W)が用いられている。しかし、核融合反応により発生する高エネルギーのヘリウム(He)がWに照射され続ける。それが、材料内部に蓄積することで壁が損耗することが知られている。従って、W中のHeの拡散挙動を知る必要がある。先行研究では、数値計算が用いられていたが、計算時間がかかるという問題点があった。本研究では、W に照射したHeの挙動を調査するため、拡散方程式の解を導出し、その解を検討する。
キーワード: 核融合炉壁,拡散方程式,シミュレーション

2-29朱 泓瑾Nagaoka University of Technology修士1年(M1)専門:核データ Nuclear data
タイトル: Benchmark Validation of the Eigenvalue Problem of Calculating Time for Monca Program
概要: The time eigenvalue(α)is a very important parameter in reactor physics, which reflects the behavior of the neutron field with time, and has great significance for the study of the criticality of nuclear system. In this paper, MCNP4C software is used to simulate the eigenvalues, eigenvalues and their neutron flux distribution in the GODIVA benchmark problem and its five variations, namely, the supercritical, critical and subcritical states of the system. The results are in accordance with the theoretical expectation and the simulation results of reference questions in other existing literatures, which indicates that the results of MCNP4C software in calculating the time eigenvalue are in good agreement with each other. At the same time, it also provides a reference for the development and improvement of subsequent time eigenvalue calculation methods.
キーワード: MCNP, Time eigenvalue, Godiva benchmark problem, (α,k) iteration

2-30稲葉 陽樹東京大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:原子炉安全 Safety
タイトル: 功利的意思決定の相互作用を考慮した安全文化の強化について
概要: 「個人が他者の行動を予測しつつ功利的で利己的な判断を下したとしても安全が脅かされずに寧ろ高まるような仕組み」が安全文化の強化に貢献するという仮説を、モデル分析によって検証しました。結果として安全文化の観点を用いて、マクロな組織の改善活動とミクロな組織の構成員の利害関係の相互作用の両方をモデル化することができ、個人の功利性に訴えて未熟な構成員を誘導できることがわかりました。
キーワード: 原子力安全, 安全文化, 意思決定, 組織因子

2-31藤平 晃太朗東京工業大学修士2年(M2)専門:原子炉安全 Safety
タイトル: レーザ誘起蛍光法を用いた気液物質移行の可視化に関する研究
概要: 原子力発電所の安全対策として,過酷事故時に炉外へ放出される核分裂生成物の量を評価する解析コードが使用されている.解析精度の向上には,実際の物理現象に即した計算モデルの構築が必要となるが,特に気泡から液相への物質移行については未解明な部分が多い.そこで本研究では,気液物質移行メカニズムの解明へ向け,レーザ誘起蛍光法を用いた物質移行挙動可視化手法を考案した.
キーワード: Laser Induced Fluorescence, Bubble, Mass transfer, Visualization

2-32沼田 恒範東京工業大学学士4年 高専専攻科2年(B4)専門:"核不拡散・保障措置・セキュリティ Nuclear nonproliferation, safeguards, nuclear security"
タイトル: フィルタベントシステム高効率化におけるベンチュリノズルの流動特性に関する基礎研究
概要: フィルタベントシステム(FCVS)は、ベントガスから放射性物質を除去してからベント作業で環境に放出します。また、フィルタベントシステムによる放射性物質の除去効率は、ベンチュリノズルの流動様式に大きく影響されます.しかし,これまでの研究では,ベントガス流量の変化による流動様式の変化は明らかにされていません.そこで,本研究では,ベンチュリノズルに流入するベントガス流量を変化させ,ノズル内外の流動様式を明らかにしました.
キーワード: FCVS,ベンチュリノズル,流動様式,除染係数

2-33中野 玲東京大学修士1年(M1)専門:リスク Risk
タイトル: リスク情報を活用した緊急時の意思決定プロセスの考察
概要: 安全性向上評価届出書を参照し、原子力発電所の事故時における住民避難のための意思決定プロセスに貢献する手法を、レベル3PRAの解析システムであるOSCAARコードを用いて研究している。住民の避難を考えるに当たり、避難経路に依存した被ばく線量の変化を取り入れ、さらに外的事象の影響をも考慮することによって、より適切な緊急時の意思決定支援が可能となるような研究を行っている。
キーワード: Level 3 PRA, Nuclear safety, Emergency planning


国際原子力人材育成イニシアティブ事業紹介の発表者一覧

国際原子力人材育成イニシアティブ事業紹介の報告時間は17:40-18:40です。


A-1黒崎 健 先生京都大学
タイトル: 事業ならびにコンソーシアムANECの概要紹介
概要: 文部科学省の国際原子力人材育成イニシアティブ事業において、参画する機関が連携し、各機関の強みをいかし弱みを補いながら、拠点として一体的に原子力人材を育成しようとしている。これを実現するために構築されたコンソーシアム「未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム:Advanced Nuclear Education Consortium for the Future Society (ANEC)」を紹介する。
発表日程:3月17日(木)17:40-18:40

A-2小崎 完 先生, 中島 宏 先生北海道大学
タイトル: オンライン教材を中心とした新たな原子力教育の展開
概要: 大学・企業等多数の機関が連携することにより,各機関の強みを活かしたオンライン教材を制作・公開するとともに,それらに対応した実験・実習の機会を提供することにより,教育効果を高めた原子力教育を展開します.また,海外の大学,研究機関とも連携を行い,国際研鑚の場として,海外インターン等を促すとともに,国際セミナーを開催します。さらに,高専での教育,社会人教育活動に活用可能な教材開発にも取り組みます.
発表日程:3月16日(水)17:40-18:40、3月17日(木)17:40-18:40

A-3小原 徹 先生東京工業大学
タイトル: 原子力イノベーター養成プログラム
概要: 東京工業大学では国際的センスとマネジメントに優れた人材の育成を目的とした原子力イノベーター養成プログラム(NICP)を実施いたします。具体的な活動としてはイノベーティブな活動と起業の精神を有し国際センスのある人材の育成する合宿スタイルのセミナー(NICC)、原子力分野にイノベーションをもたらすことが期待される研究実施のための米国主要大学への留学(SANI)の実施を計画しています。
発表日程:3月16日(水)17:40-18:40、3月17日(木)17:40-18:40

A-4高田 英治 先生, 鈴木 茂和 先生, 箕田 充志 先生高専機構(富山高等専門学校, 福島工業高等専門学校, 松江工業高等専門学校)
タイトル: ネットワーク形成を通じた高専における原子力人材育成の高度化
概要: 高専在校生および高専卒業生向けオンライン教材を制作・公開し、各専門知識を踏まえて原子力に関する理解を深める取り組みを行います。また、高専や連携機関及び電力会社等での実習により原子力の基礎を体験的に理解させるとともに、バーチャル研究室を企画・実施し、高専における原子力関係の研究を底上げします。さらに、海外連携機関で研鑽を積む場を設け、高専生の国際性を高めます。小中学生などを対象とするセミナーを開催し、原子力に関する知識の普及にも努めます。
発表日程:3月16日(水)17:40-18:40、3月17日(木)17:40-18:40

A-5宇埜 正美 先生福井大学
タイトル: 福井県の原子力施設を利用した実験・実習プログラム
概要: 福井大学では福井工大、JAEA、日本原電、関西電力などと連携し、福井県の原子力施設を利用した実験・実習を行います。毎年秋に開催する5日間の「つるが原子力セミナー」では、初日に基調講演を行った後に、2日目かの3日間は廃止措置に関するセミナー、RI施設を利用した実習、原子力施設のインターンシップ、原子炉シミュレーターを用いた実習、レーザーや非破壊検査に関する実験など7つのメニューから選んでそれぞれの施設で実習等を行い、最終日は報告会を開催します。
発表日程:3月16日(水)17:40-18:40、3月17日(木)17:40-18:40

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