2021年 原子力学会春の年会 学生ポスターセッション 発表概要集

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コアタイム1➡︎3月17日(水)16:30-18:30, コアタイム2➡︎3月18日(木)16:30-18:30

発表番号がハイライトされている発表者は審査発表となります。


コアタイム1の発表者一覧
1-1改正直己東京工業大学修士2年(M2)専門:再処理 Reprocessing
タイトル: 双性イオン型刺激応答性ポリマーブラシを利用した金属イオン分離
概要: 高レベル放射性廃液からの核種分離のためには溶媒抽出やクロマトグラフィーが汎用的に用いられるが、有機溶媒や酸溶離剤が二次廃液となり、安全上及び環境負荷上の問題がある。本研究では、シリカナノ粒子上に、刺激応答性ポリマーpoly(N-isopropylacrylamide)と双性イオン型モノマー3-((2-(Methacryloyloxy)ethyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonateとの共重合ポリマーを固定化することで、温度の変化のみで金属イオンの吸脱着を制御しうる廃棄物フリーの新しい分離材を開発することを目的としている。今回、「双性イオン型温度応答性ポリマーブラシ」を創製し、その物理化学特性を明らかにすると共に、ランタノイドイオンをはじめとする各種金属イオンの吸脱離性能を評価したので報告する。
キーワード: 群分離、クロマトグラフィー、刺激応答性ポリマー、双性イオン、吸脱着

1-2細小路 楓東京理科大学学士3年(B3)専門:社会・環境 Social・Environment
タイトル: 原子力利用の世論調査と統計分析 意識に対する因子分析
概要: 本研究では,世論調査の結果に対し,国民の原子力に対する意識について,ポジティブイメージ,ネガティブイメージ,ベネフィット認知,リスク認知,理解のしにくさ,興味度の6つの因子に分けることで,それらの重要度に関する経年変化についての分析を行った.その結果,2020年度において,ほとんどの因子が減少しており,情報発信量の程度に影響していることが明らかとなった
キーワード: 社会的受容生,リスク認知,ベネフィット認知,情報保有量,社会性

1-3三嶋栞緒里東京工業大学修士2年(M2)専門:材料 Material
タイトル: コアシェル型フォトニック結晶ポリマーを用いたウラニルイオンセンサーの開発
概要: 当グループではこれまで、特定の波長を反射して色を呈するフォトニック結晶を用いて、様々な金属イオンセンサーの開発を検討してきた。本研究では、ウラニルイオンに選択性を有するピロリドン官能基を組み込んだポリスチレンコアとアクリルアミドポリマーシェルから成る、新しいコアシェル型フォトニック結晶ポリマーを合成すると共に、そのウラニルイオン検出性能を評価したので報告する。
キーワード: フォトニック結晶,センサー,ナノ粒子,ウラニルイオン,高分子材料

1-4村上 勝也東京工業大学学士4年(B4)専門:材料 Material
タイトル: 形状制御性に優れた低融点金属鏡に関する研究
概要: 反射望遠鏡の主鏡として一般に用いられている固体金属鏡は、製作や維持管理に研磨作業が必要であり、輸送などの問題も併せて、大型化が困難である。一方、これを克服するために考案された液体金属鏡は、原理が単純であること, 輸送による制限を受けないことなどから大型化が容易であるが、原理上天頂方向しか観測できない。そこで、原子力分野を中心に開発されてきた液体金属技術を応用し、鏡面を形成した高純度液体金属を固化させた状態で観測を行う”低融点金属鏡”を考案した。本研究の目的は、低融点金属鏡の概念設計を完成させ、回転する自由液面の固化時表面形状の変化、及び固化方法による表面状態を明らかにすることである。液体Woods metalを流し込み、加熱せずに固化させた試料, 加熱しながら数十分かけて固化させた試料をそれぞれ作成し、レーザー顕微鏡で表面を観察した。数十分かけて固化させた試料は、加熱せずに固化させた試料に比べ表面の凹凸が少なく、粗さが小さくなっていることが分かった。
キーワード: 液体金属, 反射望遠鏡, 液体鏡式望遠鏡

1-5畑山奨東京工業大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: 鉛リチウムを用いた核融合炉液体ブランケットの材料共存性に関する研究
概要: 鉛リチウム合金(Pb-16Li)は核融合炉の液体増殖材であり, 水素製造などを可能とする900℃以上の高温運転も視野に入れた開発研究が進められている.こうした液体Pb-16Liブランケットの実現には,材料共存性の課題の解決が不可欠である.本研究では, 炉の構造材候補を対象として, 600℃, 750℃, 900℃のPb-16Li下で250時間の静止場腐食試験を実施し,耐食性を調査した.
キーワード: 核融合炉,液体増殖ブランケット,鉛リチウム,腐食,材料共存性

1-6平木優成奈良工業高等専門学校高専5年(B2)専門:廃炉 Decommissioning
タイトル: 原子力発電所における燃料デブリの回収を想定したロボットの設計・製作
概要: 福島第一原子力発電所を廃止する取り組みの一環として行われている「廃炉創造ロボコン」に参加し,燃料デブリの回収を想定して製作したロボットについて発表を行う.
キーワード: “廃炉” “原子力発電所” “燃料デブリ” “ロボット” “遠隔操作”

1-7栗原駿介奈良工業高等専門学校学士2年 高専5年(B2)専門:社会・環境 Social・Environment
タイトル: 奈良高専生に対する原子力に関するの意識調査結果
概要: 奈良高専生に対して原子力に関するアンケート調査を行った。同じ学生の立場で調査結果を整理してみた。
キーワード: 原子力発電、廃棄物処理、環境汚染、学生の意識、アンケート調査

1-8大平 修吾京都大学修士2年(M2)専門:材料 Material
タイトル:  Zr合金酸化膜へのセルフイオン照射が水素拡散に及ぼす影響
概要: 軽水炉燃料被覆管の材料であるZr合金表面の酸化膜中を水素が拡散する様子を観察し、自己イオン(酸素イオン)照射が拡散挙動に及ぼす影響を調べた。実験データと文献調査を考察した結果、結晶構造の変化、転位ループの生成、第二相粒子の挙動が影響の原因であることが示唆された。
キーワード: ジルコニウム、鉄、照射損傷、水素拡散、第二相粒子

1-9内田昇吾東京都市大学学士4年(B4)専門:廃炉 Decommissioning
タイトル: 福島第一原子力発電所(1F)サンプル分析による燃料デブリの性状把握に関する研究-構成物質の予測評価-
概要: 熱力学平衡計算「FactSage」を用いて福島第一原子力発電所の燃料デブリ・建屋周辺から採取されたサンプルの安定相を評価した。
キーワード: 福島第一原子力発電所事故,燃料デブリ,熱力学平衡計算,FactSage,速度論

1-10増子 元海東京都市大学学士4年(B4)専門:核燃料サイクル Nuclear fuel cycle
タイトル: 重点推進研究における核分裂生成物の有効利用に関する研究-合金への水素吸蔵評価法の検討-
概要: 一部の金属や合金には水素を吸蔵放出できる性能を持つことが知られている。その性能評価のため、簡易的な水素吸蔵評価装置を作製し、水素吸蔵挙動を観察した。
キーワード: 水素吸蔵合金白金族元素PCT線図活性化金属水素化物

1-11Huynh Do Duy KhanhNagaoka University of Technology修士2年(M2)専門:材料 Material
タイトル: Calculation of new primary radiation damage indicators in iron using binary collision approximation simulation (二体衝突シミュレーションによる鉄の照射損傷指標の計算)
概要: “Athermal recombination-corrected dpa” (arc-dpa) model is a new primary radiation damage indicator. This model is based on modular dynamics and provides the number density of Frenkel pairs remain after collisional stage that can migrate in long distance and contribute to material degradation. Residual resistivity, that is proportional to the number density of Frenkel pairs in metal, has been utilized to represent the radiation damage in previous studies. Binary collision approximation code called SRIM was used to calculate the arc-dpa and compare with residual resistivity in iron irradiated by various high energy particle.
キーワード: primary radiation damage, binary collision approximation, arc-dpa, residual resistivity, SRIM

1-12福田貴斉早稲田大学博士1年(D1)専門:熱流動 Thermal Hydraulics
タイトル: VULCANO VF-U1実験における金属コリウム局所凝固挙動のMPS法による解析
概要: 福島第一原子力発電所の燃料デブリ取り出しのためには、格納容器下部に凝固した酸化物(UO2, ZrO2等)デブリ及び金属(Fe, Zr等)デブリの分布の推定が重要である。本研究では炉心溶融物が格納容器コンクリートを侵食しながら凝固する過程である溶融炉心-コンクリート相互作用(MCCI)を模擬したVULCANO VF-U1実験における溶融物金属相の局在化とその凝固挙動をMoving Particle Semi-implicit (MPS)法を用いて解析した結果を報告する。
キーワード: MCCI, MPS法, VULCANO VF-U1実験, 福島廃炉, 燃料デブリ取り出し

1-13久後知大奈良工業高等専門学校高専5年(B2)専門:熱流動 Thermal Hydraulics
タイトル: ポリマー水溶液中への高温小型白金球浸漬急冷時の膜沸騰熱伝達
概要: 金属材料の機能向上策として,高温金属を液体中で急冷する焼入れは重要である。高温金属の冷却過程では蒸気膜の崩壊によって急冷が促進されるが,鉄鋼材料のマルテンサイト変態温度との関連で蒸気膜崩壊温度の把握は極めて重要である。そこで本研究では,小型白金球浸漬急冷装置による白金球温度履歴の測定と高速度ビデオカメラによる白金球まわりの蒸気膜形成・崩壊様相の観察から蒸気膜崩壊温度を明らかにし,種々の浸漬条件との関連を調べる。
キーワード: ポリマー水溶液、MHF点温度、水溶液濃度、移動接線速度、冷却速度

1-14伊部淳哉東京都市大学修士1年(M1)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: 沈殿法と蒸留法を用いた核燃料物質を含むアルカリ塩化物の除染プロセス~核燃料使用前試験~
概要: 乾式再処理試験開発により生じた試験廃塩の廃棄体化の前処理として、溶融塩に沈殿剤を添加しUを沈殿分離後、減圧蒸留にてU以外の浴構成元素を蒸発分離する2段階のプロセスを検討している。本実験ではUの模擬としてCe、沈殿剤としてLi2O、浴塩にLiCl-KCl共晶又はNaCl-2CsCl塩を用いて、沈殿剤の添加方法、量を換えた沈殿生成実験及び、蒸留条件を換えた蒸留実験を行った。沈殿生成実験ではCeの物質量に対して沈殿剤を1.5倍~2倍量添加することで97%の沈殿収率を得て、CeOClを主成分とする沈殿が生成された。蒸留実験では800℃で4時間蒸留することで89%の塩回収率を達成し、残留物はCeO2が主成分となることが分かった。さらにUでの試験を行うために、実際にプロセスで使用する予定の沈殿・蒸留装置を組み上げ、条件の検討を行い、同様の試験を行った。
キーワード: 乾式再処理,溶融塩,U分離,沈殿,減圧蒸留

1-15河野大樹東京工業大学修士1年(M1)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 相対論的平均場理論によるアクチノイド領域核の対相関力の系統性
概要: 核分裂障壁や結合エネルギーの理論予測は非常に困難であり、現在、様々な理論による計算が行 われているが 2∼3 MeV 程度の誤差が生じることが多く報告されている。本研究では、アクチノ イド領域の核種に対して相対論的平均場理論 (共変的密度汎関数法) を適用し、残留相互作用とし て BCS 対相関模型を用いて核分裂障壁を計算した。特に、核分裂障壁の実験値を再現するように 対相関力の強度を調整することによって結合エネルギーと対回転における慣性能率の精度も向上 することが分った。これによりアクチノイド領域の対相関力の系統性を導出し、その正当性が示 せたのでこれらの結果を報告する。
キーワード: 核データ、相対論的平均場理論、核分裂障壁、対相関、アクチノイド

1-16瓦井篤志東京工業大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: 電気化学インピーダンス法を用いた液体金属環境下での酸化被膜の形成/修復挙動の分析
概要: 液体鉛は高速炉の冷却材として期待されている.しかし, 構造材料との化学的共存性が課題である.材料共存性は, 保護性のある酸化被膜の形成により改善される事が分かっている.液体Pb中における酸化被膜の自己形成/修復挙動を, 電気化学インピーダンス法を用いてとらえた研究について発表する.
キーワード: 液体金属,鉛,ジルコニウム,酸化被膜,鉛冷却炉

1-17古屋 典昭東京都市大学学士4年(B4)専門:廃炉 Decommissioning
タイトル: PIXE法を用いたコンクリート内Cs浸透挙動に関する研究
概要: 福島第一原子力発電所の廃止措置によって大量の解体廃棄物が発生する。解体廃棄物の大半を占めるコンクリートに対するCsの浸透挙動を詳細に捉えるべく、Csの定量分析方法としてPIXE法を選び、その適用性を検討した。
キーワード: Cs, コンクリート, 浸透, PIXE, 廃止措置

1-18島田和弥東京工業大学博士1年(D1)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 4 次元ランジュバン模型による236Uの核分裂計算の定量性の向上
概要: 236Uなどの核分裂の機構解明は基礎研究や工学的応用の観点から重要である。従来、計算には3次元ランジュバン模型が多く用いられてきたが、3次元模型ではパラメータを原子核毎に設定する必要があり物理的根拠や予測能力に欠け、さらに運動エネルギー分布がうまく再現できないなど改善の余地があった。核分裂では多くの物理量が相関を持っているためそれらに対して統一的な記述を行えることが重要である。そこで、我々は4次元ランジュバン模型を開発した。本研究では、これまで3次元模型で決定し固定してきたパラメータを調整し、さらに物理的に合理的な新たなパラメータを導入し4次元ランジュバン計算により236Uの核分裂片TKEの励起エネルギー依存性や質量数分布の高精度での系統的再現を目指し、核データ評価のツールとして利用可能とすることを目的とした。
キーワード: 原子核物理, 核データ, 核分裂, 運動エネルギー, ランジュバン方程式

1-19藤尾 和樹東京工業大学修士2年(M2)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 微視的平均場模型を用いたU-236の荷電偏極の有効相互作用依存性
概要: 核分裂反応で生じる、核分裂生成物に関する核データを非経験的な手法で予測することは重要な課題である。原子核を核子の自由度から計算する微視的平均場模型は、本課題への有効な手段の一つである。微視的平均場模型の計算には有効相互作用が必要であるが、核分裂を記述する為の適切なものは整備されていない。そこで、核データが豊富にあるU-236を対象に、原子核の形状に関する多次元ポテンシャルエネルギーを計算し、断裂までシミュレートした。本講演では断裂後における核分裂生成物の荷電偏極を調べ、先行研究との比較を行い、その有効相互作用依存性について報告する。
キーワード: 核分裂、平均場模型、有効相互作用、ポテンシャルエネルギー面、荷電偏極

1-20飯塚玲雄東京工業大学修士2年(M2)専門:核融合 Fusion
タイトル: 水晶振動子マイクロバランス法による液体金属環境下物質輸送現象に関する研究
概要: 液体リチウム(Li)やナトリウム(Na)は、核融合炉の燃料増殖材や高速炉の冷却材として期待されている。構造材として用いられるオーステナイト鋼は,これら液体金属に対して溶解度の大きいニッケル(Ni)を含むため,化学的共存性に課題がある. 本研究の目的は,水晶振動子マイクロバランス法(QCM)により,液体金属LiやNaを水晶振動子のNi電極と接触させ,溶解等による物質輸送現象を明らかにすることである.アルゴン環境下のグローブボックス内で、Ni電極に0.1ccの液体金属を473Kおよび523Kの温度条件のもと600秒間, 1200秒間静的に接触させた.液体金属中におけるNi電極の質量減少は,QCMにより水晶振動子の電極板上の質量増減を振動数の変化として取り出し評価した。Niの液体金属中への微小な重量減を検出し、その結果から拡散係数等を求め物質輸送挙動を明らかにした。
キーワード: 水晶振動子マイクロバランス法、液体金属、物質輸送現象、腐食、拡散係数

1-21Wen Gaixiong長岡技術科学大学修士2年(M2)専門:材料 Material
タイトル: Irradiation effects on corrosion of zircaloy-2 claddings
概要: To analyse microstructural evolution of the precipitates such as white oxide film (ZrO2) round spot, the transformation of zirconia from tetragonal to monoclinic structure, Zr-Fe-Cr-type and Zr-Fe-Ni-type precipitates at the center and boundary and the amorphous transformation of SPPs caused by irradiation making Fe diffuse to Zr matrix and become metastable solution.
キーワード: Irradiation effects, corrosion, zircaloy-2, precipitates, diffusion

1-22高橋 尚希東京工業大学修士2年(M2)専門:核融合 Fusion
タイトル: 核融合炉の固体増殖ブランケットにおけるフレッチングコロージョンに関する研究
概要: 核融合 DEMO 炉の燃料増殖ブランケット内では,トリチウム増殖材であるLi2TiO3微小球と冷却配管壁の間に,配管振動によるフレッチングコロージョンが発生する恐れがある.本研究では Li2TiO¬3やブランケットの構造材料であるF82H 鋼等を用いてフレッチング試験を実施し,その挙動を機構論的に調べた.
キーワード: DEMO,フレッチングコロージョン,燃料増殖ブランケット,F82H鋼,Li2TiO3


コアタイム2の発表者一覧
2-1中島理紗子東海大学学士4年(B4)専門:リスク Risk
タイトル: 積雪ハザードによるリスクの定量化に関する調査
概要: 東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電所には外部ハザード等に対する確率論的リスク評価(PRA:Probabilistic Risk Assessment)が求められている。近年、地球温暖化の影響により著しい気象現象による災害が頻発しており、従来以上に気象現象に注意を払う必要がある状況である。本研究では、気象データに基づく積雪ハザードの評価を実施した。軽水炉の各地区の設計基準について、算出したハザード曲線と比較した。また、設計基準を上回る事象が発生した場合に対する積雪量の年超過確率の評価を行った。
キーワード: 積雪,外部ハザード,PRA,高速炉,炉心損傷頻度

2-2荒木 浩考長岡技術科学大学修士1年(M1)専門:リスク Risk
タイトル: IRIDMを活用した原子力事故の複合災害を考慮した事業継続計画の提案
概要: 原子力複合災害は,放射性物質の放出による被爆リスクに加えて地震や津波における被害のリスクも考慮しなければならず,その対応には複雑な意思決定が求められる.本研究ではIRIDMを活用することで,多様な事業目的を有する大学機関に対して事業継続計画及びその策定手法を検討する.
キーワード: IRIDM,原子力防災,意思決定,リスク,事業継続計画,

2-3文元太郎東京工業大学修士2年(M2)専門:炉物理 Reactor physics
タイトル: MPS法を用いた実機規模での燃料デブリ水中落下シミュレーションによる臨界安全解析
概要: 福島第一原子力発電所の燃料デブリ回収作業中に燃料デブリが水中に落下し、水と最適な混合率となることで意図しない核分裂連鎖反応による臨界事故に繋がる可能性がある。本研究の目的は、実機規模体系での燃料デブリ水中落下シミュレーション臨界性評価の可能性を明らかにすることである。MPS法によるシミュレーションでは、最適なパラメータの設定による実機規模体系での計算速度向上とサーバーのメモリサイズ等による制約の可能性について検討した。シミュレーションの結果を用いたモンテカルロ法による臨界計算を行い、実機規模体系でのシミュレーションと臨界計算が現実的な計算時間で可能であることを明らかにした。
キーワード: 福島第一原子力発電所事故, 臨界安全, 燃料デブリ, 粒子法, モンテカルロ法

2-4大石啓嗣東京大学博士1年(D1)専門:核融合 Fusion
タイトル: 核融合炉構造材F82Hの高温酸化に関する研究
概要: 本研究では500℃、600℃の条件の下、ドライカラムを通し脱水処理したHe+0.1% H2スイープガス環境下でF82H試験片(6mm×6mm×1mm)を最大2000時間加熱保持する実験を行った。実験後、XRD及びSEM/EDX測定を実施し、F82H表面生成物の同定、F82H中の酸素の拡散距離の測定を行った。その結果、F82H表面に500℃ではFe3O4が、600℃では純鉄が生成されていることが確認された。熱力学計算を行ったところ、実験条件において生成される安定な鉄酸化物はFe3O4であり、実験結果と一致した。また、500℃と600℃でF82H表面における鉄の形態が異なった理由は鉄が酸化するのに要求される雰囲気中のH2O/H2比がそれぞれの温度の場合で異なるからだと考えられる。
キーワード: F82H, 水素雰囲気, 酸化鉄, 腐食, 拡散係数

2-5張旋東京工業大学修士2年(M2)専門:核データ Nuclear data
タイトル: 4次元ランジュバン模型を用いた核分裂片形状とそれに基づく核分裂機構の研究
概要: 今までの研究では我々が開発した4次元ランジュバン模型により,個々の核分裂片の形状を表す四重極モーメントQ20及び八重極モーメントQ30の計算を可能にし,ウラン領域核ではQ20の核分裂片質量数依存性は即発中性子の鋸歯構造と非常に似た構造を示すことが分かった。核分裂片の四重極モーメントQ20の質量数依存性が鋸歯構造,つまり重い分裂片側のQ20が小さくなる要因は,ウラン領域においては二重魔法数を持つ132Snで,超重核においては132Sn以外に、同じく二重魔法数を持つ208Pbも加わったことを本研究で明らかにした。
キーワード: 核データ,核分裂,ランジュバン模型,核分裂片

2-6譚 欣長岡技術科学大学修士2年(M2)専門:廃炉 Decommissioning
タイトル: Liquid CsOH - Stainless Steel Reaction Experiment in Relatively Low Temperature Region
概要: The uncertainties in the reaction between CsOH and stainless steel(SS) in relatively low temperature region are rather large because of meager experimental data and model. Liquid CsOH – SS reaction would be a predictable phenomenon in relatively low temperature region because condensing of CsOH vapor. Experiment is designed to observe result and build a reaction model of time and temperature dependent Cs uptake to describe the reaction.
キーワード: Cesium hydroxide, Stainless steel

2-7岡﨑 陽香福井大学学士4年(B4)専門:核燃料 Nuclear fuel
タイトル: 非定常平面熱源法によるペレット半径方向の熱伝導率測定技術の開発
概要: 高速炉の照射済燃料ペレットは高燃焼率になると、半径方向にFP複合酸化物が生成され、熱伝導率が低下するだけでなく、ペレット軸方向と半径方向で熱伝導度が異なる可能性がある。本研究では、非定常平面熱源法であるHD法およびTCi法を用いて、ホットセル内でペレットの半径方向の熱伝導率を評価する技術を確立することを目的とする。今年度は軸方向と半径方向で熱伝導度が異なるTiO₂の単結晶ペレット、Al₂O₃単結晶ペレットを用いて半径方向の熱伝導率の測定手法を確立した。
キーワード: 高速炉燃料、熱伝導率、照射済みペレット、高燃焼度

2-8井野惠介早稲田大学修士2年(M2)専門:原子炉安全 Safety
タイトル: 機械学習による高速炉ナトリウム漏洩検知法
概要: 高速増殖炉の蒸気発生器での漏洩を早期に検知する必要がある。本研究では模擬として加速度計からデータを取得し空気流量を分類した。解析結果より異なる性質の特徴量の組合せにより分類精度が向上し、またノイズ耐性効果が異なることが確認された。
キーワード: 予知保全, 高速増殖炉, 加速度計, AI, 気泡検知

2-9渡邊 直人長岡技術科学大学修士2年(M2)専門:核融合 Fusion
タイトル: 重イオン慣性核融合の爆縮過程における低密度層での半径方向輻射輸送による先行加熱の影響
概要: 重イオン慣性核融合炉実現に向けて、燃料を均一に爆縮するため燃料ペレットの構造に発泡金属を用い、円周方向の輻射輸送を積極的に利用することが検討されている。しかし、半径方向の輻射輸送により燃料を先行加熱し、必要な圧縮率を得られない可能性もある。本研究では、1次元輻射流体計算コードを開発し、爆縮過程における低密度領域での先行加熱の影響を検討することが目的である。作成した計算コードにより爆縮過程の解析を行った結果、燃料球の低密度層内を輻射が伝播することで内側に設置されたアルミニウム層が先行加熱されることが明らかとなった。この先行加熱により外側に膨張したアルミニウム層と燃料中心へと向かう衝撃波が干渉することで爆縮速度が低下することを明らかにした。
キーワード: 重イオン慣性核融合、爆縮、輻射輸送、先行加熱、爆縮速度

2-10Junshuang FanHokkaido University博士1年(D1)専門:炉物理 Reactor physics
タイトル: Implementation of SP3 method calculation capability to FRBurner module of CBZ code system: (2)Component-wise sodium void reactivity results investigation and comparison
概要: We developed a SP3-Perturbation (SPP) method for fast reactor sodium void reactivity analysis through combining SP3 and perturbation theory. We find the SPP method could give well-agreed results on sodium void reactivity calculation comparing to the results given by the transport solver. The key point is how to categorized twp types of scattering-component reactivity. This discovery is studied with four fast reactor cores provided by one OECD/NEA benchmark with various methodologies.
キーワード: SP3, perturbation theory, void reactivity, component-wise

2-11宮川幸大東京工業大学修士1年(M1)専門:核融合 Fusion
タイトル: 核融合炉液体Snダイバータにおける鉄鋼材料の化学的共存性に関する研究
概要: 核融合炉の液体錫(Sn)ダイバータ―の開発において、構造材料との共存性が課題とされている。本研究の目的は、液体Sn中における様々な鉄鋼材料の化学的共存性を明らかにする事である。Fe, Fe-5Cr, JLF-1 (Fe-9Cr-2W-0.1C), SUS410 (Fe-12Cr), SUS430 (Fe-18Cr), SUS316L(Fe-18Cr-12Ni-2Mo) の短冊状試験片を、500℃の液体Sn中に250時間浸漬した。各材料の表層断面のSEM/EDX分析を実施した結果、FeとSnの合金層が形成されている事が分かった。また、試験片の重量損失を測定した結果、鉄元素の濃度が高い鉄鋼材料ほど、液体Sn中において腐食する事が明らかとなった。材料中のCr濃度と腐食量の相関は見られたかった。
キーワード: 核融合炉、液体ダイバータ、錫、腐食、鉄鋼材料

2-12佐竹大樹富山高等専門学校高専専攻科1年(B3)専門:放射線工学 Radiation engineering
タイトル: 線量計測を目指した有機半導体放射線検出器による放射線分布計測
概要:  有機半導体には、柔軟で軽量であるという長所に加え、生体と同様の元素で構成されているという特徴がある。そのため、放射線計測に適用することで、人体への放射線影響の直接推定が期待されている。測定による人体への放射線被曝の評価には、人体を模擬したファントムが用いられる。本研究では、ファントム材料としてプラスチックシンチレータを用い、その発光を生体等価な有機フォトダイオード(OPD: Organic Photo Diode)で測定することにより、人体への被曝量の正確な評価を目指す。実験では、複数のプラスチックシンチレータを重ねた上で内部に複数のOPDを貼り付け、体系全体における放射線強度の平均値や放射線入射方向特定の可能性を評価した。単一のOPDの貼り付け位置を変えてX線照射実験を行ったところ、シンチレータ中でのX線の減衰に伴うX線誘起電流の低下が確認できた。また、同様の体系で行ったシミュレーションとも結果が一致し、測定の妥当性が示された。今後は、照射するエネルギー等を変化させて種々の条件での応答を評価し、分布測定に適した測定条件を検討する予定である。
キーワード: 放射線計測,X線,有機フォトダイオード,プラスチックシンチレータ,ファントム

2-13木本裕子東京都市大学修士1年(M1)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: コンクリート構造材へのストロンチウム浸透挙動評価
概要: 東電福島第一原子力発電所の廃炉においては、それに伴う解体廃棄物を安全かつ合理的に管理することが必要である。そのためには、原子炉建屋等において大量に存在するコンクリート構造材への放射性物質の付着・浸透メカニズムを把握しその性状に応じた処理・処分を施す必要がある。そこで炉内に大部分が残留していると予想されている核分裂生成物のうちストロンチウムに着目し、その水溶液を用いたコンクリートへの浸透試験及び浸透後コンクリートのEXAFS分析、蛍光X線分析(XRF)を実施した。XRFにより、表面から3.0mm深さまでSrCl2及びSr(OH)2ともに有意に浸透していることが確認出来た。EXAFSによるSr近傍の構造解析より、SrCl₂は、Sr(OH)₂と比べSrの吸着量が大きい結果を示し、XRFと類似した傾向を示す結果が得られた。
キーワード: 福島第一原子力発電所,コンクリート,Sr,XRF,EXAFS

2-14三成映理子東京工業大学博士2年(D2)専門:地層処分 Waste disposal
タイトル: MOX燃料利用における廃棄物量と処分面積削減のための処分方法最適化の検討
概要: プルサーマル発電によって発生した使用済MOX燃料は,発生量を鑑みれば放射性廃棄物量全体に与える影響は僅かだと考えられるが241Amによる発熱の影響が大きいため,成立性が十分に見込める処理・処分方法を検討し,廃棄物量と処分面積への影響評価を実施する必要がある。本報告では使用済MOX燃料の直接処分シナリオと再処理シナリオを想定し,熱的観点からの処分方法最適化を検討する。再処理シナリオにおいてはMA分離やUO2-MOX混合ガラス固化体といった技術オプションを導入した場合を検討し,最適化における技術オプションとなり得るのかも併せて検討する。
キーワード: プルサーマル発電,放射性廃棄物管理, 核燃料サイクル,ガラス固化,地層処分

2-15坂下航輝東京都市大学修士1年(M1)専門:廃棄物 Waste Managament
タイトル: 高レベル放射性廃液中の不溶解残渣(白金族合金)の構造解析
概要: ガラス固化時において白金族元素は合金の形態で不溶解残渣廃液及び高レベル廃液中に含まれており、この合金はガラスへの溶解度が低い。このため、本研究では白金族元素の合金を作製し、合金の模擬性、化学形態及び構造に関する情報を得るため、EXAFS 測定を用いて Mo、Ru、Rh 及び Pd 原子周辺の原子の存在状態を評価した。
キーワード: 核分裂生成物不溶解残渣白金族元素”ガラス固化X線吸収微細構造

2-16林凌祐東京都市大学学士4年(B4)専門:炉物理 Reactor physics
タイトル: 小型原子炉の自律的負荷追従の簡易な動特性解析
概要: 太陽光・風力発電の増加に伴い電力需要変動が予想される。需要変動が引き起こす周波数の変動を抑制するための方法の一つとして、小型原子炉の負荷追従運転に注目した。本研究では原子炉の固有安全性である反応度フィードバック効果だけを利用する自律的負荷追従の特性を評価した。
キーワード: 周波数変動,自律的負荷追従,動特性解析,反応度フィードバック効果,小型原子炉

2-17山本啓太長岡技術科学大学修士1年(M1)専門:原子炉安全 Safety
タイトル: レベル3PRAによる立地地域の被ばくリスクプロファイル評価
概要: 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構により開発された確率論的事故影響評価コードOSCAARを用いて、柏崎刈羽原子力発電所において様々な条件を付与しリスク評価を試行した。
キーワード: レベル3PRA

2-18牛島 康貴東京都市大学学士4年(B4)専門:加速器・ビーム Particle accelerator and Beam Science
タイトル: 小型波長分散型PIXE分析装置の開発のための画像処理方法の検討
概要: 本学タンデム加速器に取り付け可能なサイズの波長分析チャンバを開発するために、使用する分光結晶の性能の確認と、CCDによるX線の輝点の取得および画像解析を行い、室温における画像処理時の設定値の検討を行った。
キーワード: タンデム加速器,PIXE,波長分散型,CCD,画像処理

2-19Neli NikolovaUniversity of Tokyo博士3年(D3)専門:材料 Material
タイトル: Evaluation of Tensile Hoop Properties of Zircaloy-4 Nuclear Fuel Cladding: Development of High Temperature Advanced Expansion due to Compression Test
概要: Advanced Expansion due to Compression (AEDC) test was developed as a mechanical testing method for deriving the fuel cladding material properties in circumferential (hoop) direction. The design of the experiment is based on modifications to the conventional expansion due to compression test (EDC), such as using a metallic inner pellets, reducing the size of the cladding tube specimen, changes in the piston to inner pellet and cladding configuration. However, the AEDC tests have not been successfully conducted at high temperature range, due to the softening of the Cu inner pellet, resulting in hourglass-like deformation of the pellet. Obtaining results at temperatures in the range of reactor normal working conditions or transient conditions is necessary in order to better asses the feasibility of new candidate materials for fuel cladding. In order to increase the experimental temperature, new inner pellet materials with good thermal stability at high temperature were investigated. Bronze and stainless steel were selected as possible candidates for the inner pellet at elevated temperatures and tests results confirmed their usability for AEDC at the desired temperatures.
キーワード: advanced expansion due to compression, fuel cladding tube, mechanical testing, Zircaloy-4, high temperature test

2-20勅使川原応恭富山高等専門学校高専5年(B2)専門:放射線工学 Radiation engineering
タイトル: 高速炉配管の画像再構成による残留Na可視化に関する研究
概要:  高速増殖原型炉もんじゅの廃止措置は、配管内に残留したNaを抜き取とった上で行われる。しかし、一部残留するNaは水や空気に触れると爆発、発火する可能性があるため、安定化ガスを流して、NaOH等に変換し、安定化させてから配管の切断や解体を行う。そこで、配管内の残留Naを非破壊で可視化し、NaOHと判別することが重要となっている。本研究では、X線透過撮影結果に基づく画像再構成により、配管断面の残留Naの可視化、およびNaOHとの判別を行う可能性について検討した。Naまたは、NaOHが残留したサンプル配管に複数方向からX線を照射し、透過光子数をフラットパネルセンサで計数することで、投影データを取得した。これらの投影データにML-EM法を適用し、配管断面の再構成画像を作成した。また、放射線輸送計算コードEGS5によるシミュレーションを行い、実験結果との比較を行った。再構成画像では、Na、NaOHの像が現れており、Na、NaOH可視化することができた。また、再構成で得られた減衰係数からNa、NaOHを判別できる可能性を示した。今後は全体を一体化し、測定時間短縮、高精度化を図る予定である。
キーワード: X線非破壊検査,高速増殖炉,もんじゅ,廃炉,画像再構成

2-21重清直也東京工業大学修士1年(M1)専門:地層処分 Waste disposal
タイトル: PARC-MAを用いたMA簡素化分離プロセス検討に基づく環境負荷低減型地層処分に関する研究
概要: マイナーアクチノイド(MA)簡素化分離プロセスの検討に基づき,そのラフィネート組成を考慮したガラス固化体のインベントリを評価し,地層処分場の専有面積削減効果を検討した.
キーワード: MA簡素化分離,再処理,ガラス固化,貯蔵年数,地層処分

2-22藤原輝静岡大学学士4年(B4)専門:材料 Material
タイトル: 重イオン照射した酸化ジルコニウム被覆における電気化学特性と水素同位体透過挙動との相関
概要: 核融合炉ブランケットでの使用が検討されている機能性セラミックス被覆において、実機で想定される照射効果の検討はきわめて重要である。本発表では、重イオン照射した酸化ジルコニウム被覆に対する電気化学特性と水素同位体透過挙動の検討から、両者の相関性について報告する。
キーワード: トリチウム、透過、被覆、照射、電気抵抗

2-23横山 諒東京大学修士2年(M2)専門:熱流動 Thermal Hydraulics
タイトル: MPFI法による溶融金属の溶融凝固モデルの開発
概要: 燃料デブリ拡散挙動推定に資するために,MPFI法を用いた溶融凝固解析手法を構築した
キーワード: シビアアクシデント,燃料デブリ,粒子法,溶融,凝固

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