学生とシニアの対話
in 長岡工業高等専門学校2026年度(第2回)報告書
- エネルギーへの関心を主眼とした、話題豊富な対話会
長岡工業高等専門学校との対話会は今回が2回目。内田先生の受け持ち授業「電気電子理論演習」の2コマを充てて頂き、2週に亘って1コマづつ講演と対話を実施した。
今回は対象が1年生ということもあり、知識や関心は十分ではなかったが、各班とも和やかな雰囲気の中で、日本の周辺リスク、2050年カーボンニュートラル、再エネ、1F事故後の安全対策、核融合開発の現状など熱心に話題豊富で楽しい意見交換ができた。 皆さん関心を持って対話に臨んでくれ、こまめにメモを取るなど意欲が感じられた良い対話会であった。
1.講演と対話会の概要
(1)日時:
- (基調講演) 2026年10月9日(金) 12:50 – 14:20 (対面)
- (対話) 2026年10月16日(金) 12:50 – 14:20 (対面)
(2)場所:
- 長岡工業高等専門学校 6号館4階463講義室
(3)参加者:
- 高専側世話役の先生: 内田雄大 電気電子システム工学科 非常勤講師
(長岡技術科学大学 量子原子力系 講師)
- 学生: 電気電子システム工学科 1年生 41名
- 参加シニア (10月9日基調講演:2名) SNW東北:嵐田 稔、本田一明
(10月16日対話:8名) SNW連絡会:大西祥作、石隈和雄、田中治邦、佐藤俊文
SNW東北:高橋 實、梅田健夫、嵐田 稔、本田一明
(4) 基調講演(10月9日(金) 対面形式、Webにてシニア参加者に配信)
- 講演者: 嵐田 稔
- 講演テーマ :「エネルギー大転換の時代~新たなエネルギー社会に向けて~」
- 講演概要:
①先ず、エネルギーは人類進化を先導・支援してきたとして人類の繋がりにつ いて説明。そんな重要なエネルギーが、今、世界中で大転換する動きが起きており、化石燃料中心の社会からカーボンニュートラル社会への移行、つまり新たな文明の幕開けへと大きな変化が進行中。 「本日は、その意識への転換の期待と共に、皆さん一人ひとりの行動に繋がる発見を期待している。」と問いかけた。
②現状と課題として、エネルギー安全保障意識の高まり、エネルギー自給率、CO2削減を説明するとともに、課題の深堀(欧州のエネルギー連携、世界の原子力の動向、各電源の課題など)を紹介。
③対策と目標について、原子力の安全性向上、CO2低減の方法、エネルギーミックスおよび、2040年の電源割合目標について説明。
④加えて、将来有望視されている技術として、ペロブスカイト太陽電池、小型モジュール炉SMR、核融合発電を紹介。
⑤まとめとして、エネルギーはどの視点で見るかで判断が変わる。単なる「賛成・反対」ではなく、その理由を深く掘り下げることなどを提案。そして100年間の電源の劇的な変遷と新技術によって2050年に向けて、自分たちもできるとの挑戦心を育てる、そのための日々のやるべき事などを示した。
2.対話会(10月16日(金))の詳細
- 対話会は、AからHの8グループに分かれて行った。
(1)Aグループ(報告者:石隈 和雄)
- 1)参加者
- 学生: 学生5名(電気電子システム工学科1年生)
- シニア: 石隈和雄
- 2)テーマ
- 基調講演を受けて、学生さんの関心のあるテーマに沿って実施した。
- 3)主な対話内容
- シニアから自己紹介後、学生各自から高専の志望動機、学びたい専門技術や趣味スポーツ等の自己紹介をして名前を確認し、発表者を決めてもらった。
- 基調講演のまとめ「言葉にして確認してみよう」とファシリテーションシートを用いて、基調講演に関する質問やエネルギーに関して疑問に思っていることを発言してもらい、みんなで考えながら対話を進めた。
- 学生からの質問は、福島第一事故後の安全対策、地震・津波への備え、安全性向上の研究開発、冷却方式の多様性、核融合炉開発の現状、原子力・放射線の利用について等、幅広く関心が示された。
- 原子力安全の基本は「止める・冷やす・閉じ込める」であり、福島第一事故をふまえた、電源、水源の確保、水密化や安全系統の多重性・多様性などの対策を実施。配管支持や機器の耐震性向上対策、津波に対する防潮堤など、世界一厳しいと言われる規制基準に合格した原子力発電所が再稼働していることを説明。
- 冷却材の多様性について、国内で稼働している原子力発電所は軽水炉と呼ばれるが、将来的にはナトリウム冷却の高速炉開発計画も有り、ロシアでは鉛冷却の高速炉も開発されている。
- 核融合炉については、重水素、三重水素を融合させてヘリウムができると同時に莫大なエネルギーを放出するが、太陽と同じ条件を出すための、数億度の高温・高密度のプラズマを制御することが課題でまだ実現できていない。
- 日本はじめ各国共同で南フランスに、国際熱核融合実験炉ITERが建設されており、2030年代に実証をめざしていること。プラズマ制御だけでなく、機械、 電気、電子、材料、化学など広範な技術開発が必要であり、学生の皆さん方の活躍の場があると激励した。
- 原子力はエネルギー利用だけではなく、放射線によるがん治療、健康診断の技術、農業での品種改良などの産業利用も大きく貢献していることも説明した。
- 4)所感
- 対話を終えて学生からの発表では、柏崎刈羽原発の津波対策や配管支持構造の強化など、具体的な安全対策への理解が示された。また、原子力ががん治療など幅広い分野で活用されていることへの関心も寄せられた。最後に、原子力は今後も重要な発電技術であり、電力利用を他人事とせず、学びを深め、将来その技術に携わりたいとの感想が述べられ、有意義な対話となった。
今回の対話会は、梅田氏の講評にあったように「基調講演の人類とエネルギーというところから始まり、皆さんが、自分たちとエネルギーはどう関りがあるのかと、関心を持ち続けていただくよう、この対話会を企画しています。対話会の発表では、先ほど楽しかったっていう話も聞かれて、我々、非常に嬉しく思ってます。これからもエネルギー問題に関心を持って、自らいろんなものに取り組んでいただき、学生生活が充実したものとなるよう期待しています」との言葉に集約されていると思いました。
(2)Bグループ(報告者:田中 治邦)
- 1)参加者
- 学生:5名(電気電子システム工学科1年生)
- シニア: 田中治邦
- 2)主な対話内容
- 全員が同じコースで互いを知っているとのことで自己紹介は省略。発表代表者はジャンケンで負けた者とするとの立場で最終的に負けたのは女子1名となり、その後男子1名が応援することとなった。学生の意見は以下の通り。
- 先ず日本の周辺リスクについて議論した。どう考えても対策が無いとの意見が殆どで、平和外交と防衛力の堅持が重要だが、万一の事態に備えエネルギーと食料の自給率を向上しておくことが大切との共通理解であった。
- 次に2050年カーボンニュートラルについて議論したが、全員達成困難との認識であった。電化が進んでいないこと、電化しても火力依存は無くせないであろうこと、開発途上国がCO2排出することを理由として挙げていた。5名中2名が対策として原子力を増やすべきと発言した。
- 再エネについては、全員が疑問符をつけた。不安定で効果が小さくコストパフォーマンスが悪いとの指摘や、特に太陽光発電設備のために森林伐採が行われること、機器製造段階でCO2を出すことに批判があった。
- 原子力については5名中4名が積極的に賛成とした。残る1名も反対ではなく消極的な立場である。皆、福島原発事故の反省から安全対策を強化していることを理解しており、4名は増やして事故の前の状態まで戻すべきとした。但し国民理解に関しては全員がその難しさを認識しており、安全性向上について説明して行くことが必要との意見であった。
- 以上の通り、学生に考えさせ意見を言わせることに注力したので、若干あった誤解への修正は時間が無くできなかったが、殆ど正しい理解をしていた。特に印象が残った点は再エネへの不信が強いことと、核融合に期待していることで、最近の世の中の話題が影響していると感じた。バラ色の再エネ神話は誰も信じない時代になったとの印象がある。原子力への理解は概ね正しく、日頃の学習と基調講演の効果があったことを確認した。
(3)Cグループ(報告者:佐藤 俊文)
- 1)参加者
- 学生4名(電気電子システム工学科1年生)
- シニア: 佐藤俊文
- 2)テーマ:
- 「脱炭素に有効な水素をエネルギーとして活用する方法」
- 3)主な対話内容
- 自己紹介をしてもらった後、基調講演を思い出してもらって議論を進めるため、原子力発電と火力発電の違い、U235の核分裂、各種の原子炉方式、福島第一発電所の事故後対策、高レベル放射性廃棄物の地層処分、電気料金の地域差、太陽光発電等による負荷変動の課題などについて簡単に説明した。
- 各自の興味のある分野について意見を聞いたが、エネルギーに対する問題意識はあまり高くなかった。その中で自分たちが就職に向けてどのように取り組んでいけば良いか質問があったため、自分の狭い専門分野の一つを深く追求するだけではなく、二つ、三つと分野を増やし、また幅広い知識も取得していく方法があること、また、資格取得等により能力や知識、努力を外部にアピールできるように取り組むことを勧めた。また、日本経済において安定したエネルギー供給と妥当なコストが非常に重要であり、データセンター建設などでは電源供給が重要で、エネルギー安全保障が景気や就職に直結することを説明した。
- Cグループとして何をテーマにするか話し合った結果、「脱炭素に有効な水素をエネルギーとして活用する方法」について議論することとなった。
- まず、水素を燃料とするトヨタの燃料電池車「MIRAI」について説明した。水素の製造方法についての議論では、日中の余剰電力を利用して電気分解する、石炭から水素を抽出する(オーストラリア等からの輸入)、高温ガス炉(原子力発電所)での製造などの可能を議論した。また、水素は気体の密度が低く、高圧、低温を維持する必要があるため輸送が難しいこと、水素は非常に小さい分子であり、高圧や水素脆化によって保管が難しいことについて話をした。アンモニアとして輸送、保管する可能性についても検討が進んでいるが、その毒性や効率などに課題があることを伝えた。
- 4)感想
- 高専の1年生ということもあってかエネルギーに対する問題意識はあまり持っていなかったが、就職などに直接自分に関連したテーマについての興味は高かった。技術的なベースはあまりない中でも、話題を振れば自分の意見について発言してくれたことで、グループとしての意見をまとめてもらえたことがよかった。
(4) Dグループ(報告者:大西 祥作)
- 1)参加者
- 学生5名(電気電子システム工学科1年生)
- シニア:大西祥作
- 2)対話テーマ:
- 「AIによる発電の効率化」
- 3)主な対話内容
- ⅰ)対話時間が短いこともあり学生1人に対し画用紙を1枚配布し、これを用
いてアイスブレーク並びに議論を実施した。簡単な自己紹介情報を画用紙の左上に書いてもらい自己紹介してもらった。次に司会やタイムキーパー等役割を決めた後司会者を中心にテーマ決め並びにテーマに対する議論を実施した。議論の進行は司会者が実施しシニアは議論の一員として意見表明や情報提供を実施した。
ⅱ)対話のテーマは、AIによる発電の効率化となった。
ⅲ)主な議論を以下に示す。 - 電源ソースに関わらず発電―変電-送電―配電のシステム全体に対して議論した。
- AIを適用した場合のメリット(便利、シミュレーションができるのでコストがかからない等)&デメリット(不都合があった場合の責任の所在、大電力を必要とする等)について議論した。
- 社会インフラの中でも電気の供給は重要でありAIを用いることは難しいという結論になった。
- 4)感想
- 結論を得なくてもいいが、役割分担や時間を決めて議論を学生が主体的に進めて欲しい旨呼び水を出しただけであったが、学生たちが積極的に相談・議論し対話をすることが出来た。 高専1年生と言うことも有り進行が少し心配だったが取り越し苦労であった。
このような積極的な姿勢があれば、どのような道に進もうが心配無用との印象を受けた。 - 1)参加者
- 学生:5名
- シニア:梅田 健夫
- 2)グループのテーマ:
- 特に設定せず学生の関心のあるテーマで対話
- 3)対話概要
- 対話に入る前、自己紹介(出身地、趣味など)で盛り上がり、打ち解けた雰囲気で始めた。
①原子力発電の仕事をするには、原子力の専門的知識を持っていなければならないのか(就職を意識して)?⇒発電所での仕事の実態を説明
②1F事故の後、あのような事故を起こさないようどんな対策を講じているのか。⇒止める、冷やす、閉じ込める基本方針をベースにして説明
③将来仕事で成功するには何を勉強すればよいのか?⇒今勉強している「電気・電子エシステム工学」を一生懸命勉強するのはもちろんだが、専門以外にも興味を持って幅広い知識を身に付けた方が良いとアドバイス)
④今後、日本が安定したエネルギーを維持するには何(化石、再エネ、原子力)を目指すべきか?⇒エネルギーミックスの重要性を説明
⑤化石燃料は50年から100年で枯渇すると言われている。将来どうしたらよいのか?⇒蓄電技術の進歩に期待。高速炉など未来の技術について説明 - 4)感想
- 先週の基調講演(エネルギー大転換の時代)に興味をそそられたようで、エネルギーに関心を持ってもらうと云う目的は達成されたような気がした。
(5)Eグループ(報告者:梅田 健夫)
(6)Fグループ(報告者:高橋 實)
- 1)参加者
- 学生5名(電気電子システム工学科1年生)
- シニア:高橋 實
- 2)主な対話内容
- 最初簡単に自己紹介をしてもらい、その後今日の対話会で、先日の基調講演の内容を含め、話し合いたい事項について述べてもらった。各自の話し合いたい内容は以下の通り。
・福島1の事故があり、原子力の安全性に疑念がある。安全性について教え
て欲しい
・進路を決めるのに考えるべき事は何か
・学生時代にやっておくべき事
・仕事の中で困難だったこと、辛かった事
・新しい発電方法にどんなものがあり、何が有力か - それぞれ大きな内容で、私の方から、私自身の個人的な体験も踏まえて、話をした。高専の1年生であり、当然知識は十分ではないが、お祖父さんの年代の私の話を人生の先輩として興味を持って聞いていたようだ。少人数のせいもあり、各参加者個人と一対一で対話している雰囲気で、うなずきながら聞いてくれたのが印象的であった。原子力の技術的な深い話までは行かなかったが、皆さんエネルギー問題を考えるきっかけにはなったと思う。
(7)G グループ(報告者:嵐田 稔)
- 1)参加者
- 学生5名(電気電子システム工学科1年生)
- シニア:嵐田 稔
- 2)主な対話内容
- 講演会資料を基に、関心がある内容をヒアリングし、次のような意見交換となった。
Q1:新しい電源ってどんなものがあるのですか。
A1:実用化に近いのはSMRという小型原子炉で、新しい考え方で安全を向上させ、工場で組み立て現地据え付けのスタイル。現在カナダで建設中であるが、世界の20ヵ国から導入意欲が示されている。その他、ペロブスカイト太陽電池は今年度から積水化学が積極的にPRを開始した。パナソニックもガラスに埋め込んだものを作り、ビル用ガラス窓として売り出し、都会のビル全体を発電所にと努力している。核融合発電も最近聞くが、ヘリカルフュージョンが第一段階の設備を2030年までに作り、その後第二段階を建設し2030年代に実証すると計画している。
Q2:電気は、作る側の問題と消費する側の問題がある。消費を減らすためにはどんなことができるか。
A2:数年前まで、日本は人口減少で消費電力も減るとされていたが、AI社会で増える予想となってきたので、消費を減らす技術がより重要になってきている。その大きな技術は光化である。ビル間の情報は光ファイバーになったが、これからは建物内部での光化、コンピューターラック内の光化、光スイッチ、半導体本体の光化とどんどん進んでいく。それによってデータセンターの消費電力は1/100になる。携帯電話の充電は1回/年で間に合うとか。NTTが世界の企業140社ほどと推進協議体を結成しているが、NVIDIAが単独で進める動きもある。
Q3:火力発電の仕組みの進化について
A3:化石燃料を燃やして電気を発電するが、ボイラー、タービン、発電機それぞれの部分の改善で効率向上させながら進化。30年以上前からコンバインドサイクルとして天然ガスを燃やしてガスタービン・蒸気タービンの2段階発電で発電効率は高いものが登場した。ガスなので石炭よりは少ないがCO2が出るので、何らかの対策は必要である。新潟県においては、東新潟火力や上越火力の発電所で活躍しているが、世界最先端の高温度のガスタービンである。三菱重工、GE,シーメンスの3社しか作れない。
Q4:水素エネルギーの可能性はどうか
A4:水素は、実用化しているのが燃料電池自動車であるが普及はしていない。6年前からトヨタがガソリンに代わる水素エンジン車を開発中。液体水素のタンクの中に超伝導ポンプを入れ水素を送り出す技術は、専門家の中でも度肝を抜くと評価され24時間耐久レースで毎年性能向上を図っている。発電では天然ガスの代替として構想されているが、自動車分野で使用され、更に水素の価格が下がってきてからの検討になるのではないか。
Q5:火のエネルギーによって人類が人間になった話は面白く印象に残ったが、もう少し詳しく教えてほしい。
A5:脳は社会性を考える必要性から常にエネルギー不足であった。そこに火を使った料理が出現したことによって、雑菌がなくなり、また温かくてやわらかな食べ物となるため、効率的に摂取できエネルギーにも余裕ができた。そのため、需要と供給が一致し脳が活性化したというのが有力な仮説で、人間誕生の立役者でもある。エネルギーとの深い繋がりによって、我々人類が生まれ、火の防犯、暖房、灯りによって命を繋いできた。エネルギーとの深い繋がり、そしてエネルギーに対する感謝と敬意を感じそれを心に刻んでほしい。また、エネルギーの安定供給が人間活動には大変重要であることを学び、継続的な関心を持ってほしい。 - 3) 感想
- 自分たちが社会に出た時のエネルギーがどのようになるのかについての関心が高く、多様な面からの質問があった。特にAI社会が本格的に来た時、エネルギーをどうやって供給できるのか、すべきなのかに関心を持ち続けていきたいという発表は、ずっと私も言ってきたことなので大変うれしく感じたところです。
(8) Hグループ(報告者:本田 一明)
- 1)参加者
- 学生6名(電気電子システム工学科1年生)
- シニア: 本田一明
- 2)テーマ
- 特に定めず、学生の関心事項に沿って対話を行った。
- 3)主な対話内容
- 自己紹介から始め、趣味の話題などでアイスブレーク。 続いて先週の基調講演への質問、普段エネルギーについて感じていることなどについて順番に述べて貰いそれらについて対話した。
- エネルギーに関しての意見、質問は、「エネルギーは身近にあるものの、ふわっとした感じで深くは知らない」、「これからの新しい発電方法にはどのようなものがあるのか?」、「各発電方式のエネルギーへの変換効率は?」など。
- 原子力に関しては、「他の発電方法と比べて怖い」、「柏崎では警備の問題があり怖い」、「これから原子力発電は増えるのか?」、「国内の原子力は知っているが海外の原子力情報は知らない。」などの感想と質問。
- 福島第一原子力発電所事故は1歳で生まれて間もなくの頃であり、当然のことながら記憶には無いようだ。 柏崎の警備の件と発電所の安全性(放射性物質の危険性を顕在化させない仕組み)との関連について意見交換。
- 今後の原子力発電については、第7次エネルギー基本計画と2040年代・2050年代に向けた建て替え規模を紹介。 海外の原子力については欧州で原子力の見直しが行われており、世界でも原子力活用の方向に進んでいること。しかし、建設はロシアと中国が圧倒的なシェアを占めており、これは国家の関与が大きく、日本にも期待したい。
- 「ウラン1Kgでどのくらいの発電をするのか?」との質問には、 直径1cm長さ1cmの燃料ペレット1個で一般家庭1軒の1年分の電力であることを紹介。原子力のエネルギー密度の高さを実感したようだった。
- また、再生可能エネルギーでは、ペロブスカイト太陽電池が話題に。将来の発電方法については、核融合発電に加えて宇宙太陽光発電を紹介したところ、興味を示していた。
- 学生の皆さん積極的にエネルギーに関する疑問、質問を出し、意見を述べてくれて、双方向の対話ができた。 電化率はどのくらいと思うかとの質問をしたところ、皆さん80%程度と回答。 電気を身近なものと感じており、40%弱に意外だったようだ。 今回の対話会で一層身の回りのエネルギーに関心を持ち、自分事として考える一助となれば幸いである。
3.講評(シニア:梅田 健夫)
以下の趣旨の話があった。
- 今回の対話は、皆さんが1年生と云うことで、技術的なこまごました話より、「人類にとってエネルギーとは何なのか」と云うことを知ってもらい、エネルギーに関心を持ってもらうことを主眼に取り組んだものです。
- 先週嵐田講師から、人類とエネルギーの関係を講演してもらいましたが、聴講した皆さんがエネルギーに関心を持ってもらえたことを嬉しく思っております。
- 各グループの発表を聞いて感じたことですが、1時間と云う短時間の対話でエネルギー問題についてここまで発表できることに感心しました。
- 技術的な細かいことは、生成AIですぐ調べられる便利な世の中になっていますので、エネルギーに関するいろんなことに興味を持って調べ、知識を深めてほしいと願っております。
- これからの学生生活が充実したものになることをシニア一同心より願っております。頑張ってください。
4.閉会挨拶(内田先生)
以下の趣旨の話があった
皆さん対話会お疲れさまでした。シニアの先生方、有難うございました。会場を見て回りましたが、各グループとも熱心に対話を行っているようで安心しました。今回も思いましたのはシニアの対話に当たっての圧倒的な知識の量、引き出しの多さです。何も見ずにどんどん話が進んでゆく様に感心しました。私たちはこれからもエネルギーに関心を持って、勉強してゆきましょう。
5.学生アンケート結果の概要(本田 一明)
- (1)参加学生について
- 参加学生41名のうち、38名から回答を頂いた。 (回収率 93%)。
- 進路(希望)は22名が進学、15人が就職希望(この質問への回答は37名)。
- (2)対話会について
- 基調講演「エネルギー大転換の時代~新たなエネルギー社会に向けて~」は、「とても満足」25人(92%)、「ある程度満足」3人(8%)であり、回答者全員に満足頂けた。
事前に聞きたいと思っていたことは、全員が「十分に聞くことが出来た」「ある程度聞くことが出来た」ようだが、「説明時間不足」3件、「内容が難しかった」(2件)と感じた方もいらした。 - 対話の満足度は「とても満足」35人(92%)、「ある程度満足」3人(8%)であり、全員に満足頂けた。
事前に対話したいと思っていたことは、全員が「十分対話が出来た」「ある程度対話が出来た」ようだが、 「対話時間不足」(6件)、「希望内容を対話出来なかった」(1件)が挙げられた。 - 今回の講演や対話会で「新しい知見が得られた」が37件(97%)、「自分の将来の参考となった」24件(63%)となった。 また、その他の回答として「AIのできることと、できないことや発電への活用などを考えることができました。」との感想があった。
- シニアとの対話会の必要性は「非常にある」(92%)、「ややある」(8%)を合わせて100%であった。また、友達や後輩へ対話会への参加を薦めるかどうかについては、「薦めたい」34人(92%)、「勧めたいと思わない」1人(3%)、「どちらともいえない」2人(5%)」であった。 勧めたいと思わない理由は、「このような素晴らしい話をしてくれた方々に、複数人いるやる気のない人がいる可能性がある集団に説明をさせるのは、失礼だと思うのと、時間をとって申し訳ないから。」というものであった。
- (3)意識調査について
- ① 放射線・エネルギー・環境について
- 放射線・放射能の危険性については「一定レベルまで恐れる必要はない」26人(70%)、「怖い」は11名(30%)であった。また放射線・放射能の生活における有用性についても「知っている」35人(92%)で、認知されていた。
- 原子力発電については「危険だから、早期に削減または撤退すべき」1名、「分からない」 4名(11%)を除く33名(87%)が必要性を認識しており、「再稼働を進めるべき」16人(42%)、「将来に向け新増設リプレースを進めるべき」7人(18%)、「2030年目標(原子力発電20~22%)を達成すべき」10人(26%)であった。
- また、再エネ発電については、「環境にやさしく利用拡大」26人(68%)が多く、「天候に左右されたり、自然破壊につながるので抑制すべき」とする意見が5人(13%)、自然環境破壊につながるので、利用は抑制的にすべき」が3人(10%)と少なかった。
- ② カーボンニュートラルとエネルギーについて
- 2050年カーボンニュートラル(脱炭素)について、関心や興味が「大いにある」17人(45%)、「少しはある」19件(48%)、「あまりない」3人(8%)で、関心項目としては「エネルギー資源の確保」19件、「エネルギー資源の確保」12件、「原子力発電や再生可能エネルギーの役割」12件」、「温暖化の影響と対策」11件がこれに続いた。
- 日本の2050年脱炭素化社会の実現可能性については、「実現するとは思えない」15人(40%)、「相当いいところまで到達する」15人(40%)、「分からない」8人(21%)で拮抗していた。
- また、脱炭素に向けた電源の在り方については、「再エネ中心」15人(40%)、「原子力と再エネの組合せ」14人(37%)「原子力発電、再エネ発電、化石燃料発電をほぼ均等」17人(18%)であり、再エネ人気であった。
- ③ 高レベル放射性廃棄物の最終処分について
- 高レベル廃棄物の最終処分については、「関心や興味が大いにある」7人(18%)、「少しある」15人(40%)、「あまりない」が14人(37%)で関心の度合いは高くはなかった。「近くに処分場の計画が起きたらどうするか」については「反対すると思う」が12人(32%)、「反対しないと思う」が11人(29%)、「分からない」が15人(40%)と拮抗していた。 「地層処分について興味や関心がある項目」については「技術」21件が最も大きく、次いで「処分地の選定」15件、「制度」10件の順であった。
- (4)対話会全体の感想・意見
- アンケート詳細については別添資料を参照下さい。
数多くの肯定的な感想・意見を頂いた。
例えば「今の発電の現状と今後の方針を知ることができて非常に有意義な時間だったなと思った。」、「非常にためになりました。このような凄い方々から話を聞けていい体験になりました。ありがとうございました。」、「福島県の事件について教えていただきました。これから、世界にも人体にもクリーンなエネルギー生産方法が見つかることを願います。エネルギーを身近に考え、いい解決策、アイデアを出していきたいです。」、「エネルギーについてたくさん知れてとても良い機会でした。エネルギーへの関心を忘れないのようにしたいです。」「専門の方々から、原子力や現在の課題、エネルギーの今後について詳しくお話しいただきました。
私は原子力発電に対する知識が乏しく、原子力発電には怖いという印象がありました。しかし、福島第一原子力発電所の事故からの対策強化や仕組みについて詳しく説明頂いたことで、原子力はとてもエコなエネルギーかつ開発の可能性があることを実感しました。また、エネルギーの課題を自分事として考えることで少しでも地球温暖化の対策になることを知って、限りある資源を大切にしたいです。
とても有意義な講義になりました!本当にありがとうございました!!」など。
5.別添資料リスト
- 基調講演:テーマ「エネルギー大転換の時代~新たなエネルギー社会に向けて~」
- アンケート結果詳細