日本原子力学会シニアネットワーク連絡会
報告
学生・教員・市民とシニアの対話会

SNW対話
イン北九州高専2021 概要報告書

日本原子力学会シニアネットワーク連絡会(SNW)世話役 金氏顯
《対話会終了後の写真》
物理特論の授業の一環として学生とシニアの対話を実施した
北九州高専では2012年から毎年開催し9回目。新型コロナ感染禍にあっても授業は対面なのでSNW対話会も当初から対面の計画。昨年は開催間際になって第3波が襲来し、多くのシニアはオンライン参加のハイブリットで開催。今回はギリギリ全員対面で参加できた。
高専内位置付けは専攻科「物理学特論Ⅱ」の授業の一環として、4週連続の原子力専門講師無償派遣制度を活用した授業の後に、最終回としてSNW基調講演―2と対話会を開催。
参加学生は専攻科1年生31名で、6年間工学を基礎からみっちり学んでいること、北九州は日本の重工業発祥の地であることなどにより、大学3年生に比べモノづくり、新技術、製造業を指向する意識は強く、4月からの来年度には就職活動に入る心構えができつつあると感じられた。

1.講演

1)日時

基調講演-1:令和3年12月8日(水)10:45~12:15
基調講演-2&対話会:令和4年1月10日(月)10:50~16:30

2)場所

北九州工業高等専門学校(北九州市小倉南区)

3)参加者

先生:生産デザイン工学科:宮内真人教授、牧野伸一教授 、坪田雅功准教授
学生:専攻科1年生31名(大学3年に相当)⇒6グループ
シニア(12名):石井正則、大野 崇、金氏 顯、古藤健司、西郷正雄、坪谷隆夫、中村 威、針山日出夫、松永一郎、松永健一、路次安憲、若杉和彦

4)概要

基調講演は例年通り2回実施、1回目は対話会の約1か月前に行って、学生がグループ対話のテーマと事前の質問を考えるために、原子力とエネルギーに関する知識を提供した。2回目は対話会当日に対話会に先立って、2050年カーボンニュートラルの全貌と再生可能エネルギーと火力発電の脱炭素化の知識情報を提供し、30年後の社会を考えるきっかけとなり、対話会がより意義あるものになることを期待した。
対話会は31人の学生が6班に分かれ、各班のテーマに沿って学生リーダーとシニア・ファシリテーターが中心に、学生事前質問回答の確認や更なる質疑応答、またシニアから学生への逆質問など、活発な双方向対話を展開した。
事後アンケート結果(30人回収)は、講演の内容、対話の内容共に29人が満足、1人がやや不満、対話会の必要性は29人が「ある」、1人が「どちらとも言えない」、原発の活用については27名が「必要」、2名が「原発停止、再エネ拡大」、1名が「分からない」であった。また、カーボンニュートラルに関する質問では多彩な回答があった。

5)基調講演-1

テーマ:「原子力発電の基礎と安全確保について~世界と日本のエネルギー、原子力事情も~」
講演者:金氏 顯
講演概要:まず原子力開発の歴史を振り返った。2011年3月11日東電福島第一事故の概要と原因、安全規制体制改革、新規制基準、再稼働や廃炉の再稼働、新増設・リプレース、核燃料サイクル、高レベル廃棄物地層処分などの課題、世界は潮流は原子力推進、エネルギーの3種類、世界も日本も一次エネルギーは化石燃料依存80%以上。エネルギーの基本要件「S+3E」、ベストミックスの必要性、2015年パリ協定を踏まえ、世界は2050年カーボンニュートラルへ舵を切った。我国はこれにどう対応するか、これからの大きな課題だ。

6)基調講演-2

テーマ:「2050年カーボンニュートラルに向けてエネルギー政策と課題」
講演者:松永健一
講演概要:2020年10月に菅首相が2050年脱炭素を表明して以降、産業界はカーボンニューラル(CN)に向けて取り組みを加速している。2050年のCNを目指すうえで、国の政策やCO2排出の多い電力業界などの動向に注目が集まっている。一方,再エネの課題が次第に明らかになりつつある現在、既存のCO2を排出している設備を有効利用しながら長期的に「低・脱炭素化」を進めることが、技術的にも経済的にも現実的な選択のようでもある。
この節目にあたり、エネルギーとは何かなどの「基本」を足場固めすることが重要であろう。幅広2050年CNのエネルギー政策と課題について、参加者の皆さんと議論したい。

2.対話会の詳細

1) 開会挨拶

【坪谷隆夫】

皆さん、明けましておめでとう御座います。日本原子力学会シニアネットワーク連絡会で会長を務めております坪谷と申します。北九州高専における対話会は、本年で9回目を数えます。対話会を継続的に開催できますことは、偏に宮内先生はじめ先生方のご努力の賜と深く感謝を申し上げます。

皆さんの先輩は、日本社会と北九州を背負う活躍をされていますが、皆さん同様に対話会に参加され北九州高専を巣立っています。本日は、成人の日の休日にも拘わらず専攻科の30名余の諸君と対話会を開催しますので是非ともご一緒に楽しんで頂きたく思います。

日本は、物づくりの国です。物づくりには、エネルギー、とりわけ良質な電気が不可欠です。皆さんは、これから物づくりの担い手として社会を支えることを期待されています。

どうか本日の成果がこれからの学習に役立つことを期待しています。

2) 対話会各班の概要

ア)1班:「原子力の必要性と今後について」*若杉和彦、西郷正雄
参加学生: 5名
主な対話内容
若杉様より、学生が司会を進められるならばとのことで、学生がファシリテータを引き継いで、進めることとなった。
すでに学生からの質問に対して、回答をシニアより返信しているので、その中で、各学生がさらに詳しく知りたいことを順次、質問してもらうことで、対話を進めた。
それらの内容は、以下になります。
  1. ① 宇宙に原子力発電を持っていくことは可能か
  2. ② 核燃料サイクルについて
  3. ③ 現在の原子炉は廃するべきか
  4. ④ 原子力に代わる新しいエネルギー資源について
  5. ⑤ 放射性廃棄物の処理方法
上記の質問に対して、シニアより、個々に回答を行い、その回答に対して、学生より更なる質問をすることで、会話はスムーズに進行した。
①の質問では、学生には、原子力には、やはり不安があるために、宇宙に持っていくことができればとの発想から出た質問であった。
それに対しては、シニアより、安全性として、深層防護に基づく対策を講じていることを説明し、それでも安全性に限界があると選択した場合に検討すべき課題であるということで、確認しあった。
②の質問では、「もんじゅ」が廃炉になった要因の説明を行った。
③の質問では、「核融合炉など新しい原子炉が開発された際に現在の原子炉はすぐに廃炉にする必要があるのか」との質問とのことで、原子炉のコストによっては廃炉の可能性もあるが、基本的には原子力発電は現状必要であるので運転を継続することになる旨を説明した。
④⑤では、メタンハイドレートの現状、その他の処分方法案の説明を行った。
最後に、今世界の各国が競合する中で、エネルギーを将来も確実に確保して行くには、国内だけを見ているだけではダメで、国際的な視野が必要である旨をコメントした。
イ)2班:「原子力のあり方」*松永一郎、金氏 顯
参加学生:専攻科1年5人
主な対話内容
学生から事前に下記の質問、問題提起がなされ、それぞれに事前に回答した。
  1. ① 原子力廃棄物の深地層処分以外にも処理方法はあるのか。また、廃棄物を有効活用(放射線治療、新しい素材の研究など)することはできないのか?
  2. ② 原子力発電を担う若手の技術者が減少するリスク、原子力産業が衰退していった場合の経済損失はどの程度議論されているか?
  3. ③ 原子力発電の反対派の方に対してどのように説明をするべきか?
  4. ④ 日本で核融合炉の実用化が行われる可能性はあるか?
  5. ⑤ 小型原子炉によって原子力発電の安全性は向上するか?
  6. ⑥ 大型商船(コンテナ貨物船、石油タンカー)の動力に原子力が利用されない理由は?
  7. ⑦ :核分裂反応が膨大な量を持つ原理は?
  8. ⑧ 中国、韓国で原発事故が起きた場合の日本の被害と対策は考えられているか?
  9. ⑨ :新しく建設される原子力発電所は現在稼働している原子力発電所と比べて改良点や技術的に向上している点はあるか?
当日はさらなる質問や意見交換するとともに、シニアから次のような逆質問をし、5人の学生それぞれに意見を聞き、活発な双方向対話を行った。
  1. ① 貴金属系の廃棄物は化学系触媒として利用できると思うが、どう考えますか?
  2. ② 国民の多くは原子力を当面使っていくが徐々に廃止すべきだ」と考えています。しかし、その最大の犠牲者である皆さん方はこの問題に対してどう対応したらよいですか?
  3. ③ 第6次エネルギー基本計画は菅前政権の時に作られ、反原子力の小泉環境相と河野行革相が口出しし、公明党も反原子力ですが、皆さんはどう思いますか?
  4. ④ 核融合炉は安全性や放射性廃棄物の点で利点がありますが高速増殖炉はウラン資源の活用を6000年以上伸ばすことができ、核融合が本格化するまでの繋ぎとして有望な炉型です。しかし「もんじゅ」は廃炉となりました。皆さんはこのことについてどう思いますか?
  5. ⑤ 原子力はどこまで安全なら十分に安全だと思いますか?
  6. ⑥現在の商船や客船の燃料である石油、天然ガス、石炭が非常に希少もしくは枯渇したら、これらの船の駆動はどうすれば良いと思いますか?
  7. ⑦九州にも原子力反対運動団体がいくつもあるが対岸の中国原発の反対運動をしたことは聞いたことがありません。何故だと思いますか?
最後に、来年にはどんな進路(大学院、企業など)を考えているか、またどのような技術者になるのが夢か、などを話してもらって終了した。
ウ)3班:「原発の未来と安全対策」*大野 崇、古藤健司
参加学生:専攻科1年 4名(制御・情報3名、機械1名)
主な対話内容
本対話会はリモート形式ではなく対面形式であったので、学生からの事前質問に対するシニアからの回答書(1):Q1~Q5と(2):Q6~Q11について、当日は別途パワーポイント版を用意し、プロジェクターを使って質問に対す回答を説明しつつ問答を進めていくやり方を試みた。各自が紙面資料を手元にして事前質問の回答の説明を聞くよりは、スクリーンに投射されている説明・資料を全員が注視して議論するので効果的かつ効率的であった。事前質問に対する回答に加え、派生する問題等を話題として取り上げ、相互に問答することによって共通の認識を確認し合うという形で対話は進行した。学生諸君は予め良く回答書に目を通しているようであった。「まとめ」については、回答書にある内容だけでなく当日話題になった内容まで整理できていたと思われる。要点はしっかりまとめられていた。
事前質問は5名(1名欠席)で11問:①なぜ北九州が高濃度放射性廃棄物の最終処分土地に適しているのか?②もし高レベル放射性廃棄物を北九州に埋めるならどこになるのか?③もし玄海原発が福島原発のようになった時にどこまで放射能が飛んでくるのか?④原子力関係の若手技術者の減少が及ぼす影響?⑤原発の新規建設数の低下に伴うメーカーの技術力の継承問題?⑥世界的な原発の増加に伴うウラン需要の増加は日本の原発に影響を及ぼすか?⑦スロッジング現象よる原子炉の破壊は起こりうるか?⑧原子炉制御部がサイバー攻撃を受けて暴走するということはありうるか?⑨燃料被覆管材料はジルコニウム以外に利用できるものは?⑩原発が無くなったら日本のエネルギーはどうなるか?⑪他国から攻撃を受けた場合の原発の防御はどうなっているか?であった。高専専攻生諸君の積極的な姿勢が伺えた。質問は工科系の学生らしく客観的な内容であった。また、流体力学系の研究室に所属しているとのことで、専門技術的な質問をするなど科学的な問答もでき、アカデミックで有意義な対話会となった。
エ)4班:「原子力と私たちの生活との関わり」*坪谷隆夫、中村 威
参加学生:生産デザイン学科専攻科1年生 5名
主な対話内容
基調講演のあと、教室に移動し、昼食をとりながら、自己紹介を行い、対話の雰囲気作りを行った。
学生側から、先に提出されていた質問事項6件について、追加、疑問点の有無を確認したところ、特に発言はなかったが、次のような質問、疑問などが呈された。
  1. ① 原子力に反対する人、世論に対してどのように対応するのか。
  2. ② 原子力について正しい情報を得るにはどうすれば良いのか。
  3. ③ 最終廃棄物処理量が増加した場合の必要土地確保の問題。
  4. ④ 小型炉の導入設置について。
以上の問いかけに対して、シニア側から逐次説明を行い、対応方法などについて対話が進められた。
  1. ① 原子力を否定する意見、反対派、マスコミなどの存在はそれを認めた上で、それらを黙認するのではなく、その仕組み、地域との関わりなど原子力発電所を見学するなどして自らが実際の原子力を知ることが必要である。
  2. ② 将来の脱炭酸ガス社会における原子力についての位置づけなど、現在、政策的にも十分とはいえない。米国大統領には彼を補佐する技術系ブレーンが存在し、アドバイスなどしている。我が国施政者にもそのような理系ブレーンや、国策関係者への理系人物が必要ではないかなどの考えを述べた。
  3. ③ 発生する高レベル放射性廃棄物の量は少なく、地層処分する土地を多く確保する心配は無い。
  4. ④ 小型であるとはいえ、その導入設置に際しては、地元の理解、冷却水の確保、送電網等検討課題が多く、大型炉と複数小型炉との経済性など考慮されるべきで、課題は多いのではないかなど説明した。
    限られた時間の中でのグルー対話であったが、原子力について勉強することが必要であるというように感じられ、対話会少しは役立ったかなという印象であった。
    オ)5班:「再生可能エネルギーの拡大と脱原発における課題点」*松永健一、石井正則
    参加学生:専攻科1年生5名
    主な対話内容
    事前に学生から11件の質問や意見が出され、全てにシニアから回答を送付した。主な事前質問や意見は以下の通り
    1. ① フランスやウクライナのように、日本の原子力発電の割合が50%を超えることがあるのか?
    2. ② 原子力発電再稼働について、国民と立地地域住民の反対意見にどんな違いがあるのか?
    3. ③ 処理水問題では基準を満たしているにもかかわらず韓国、中国などが反対している。一度ついてしまった悪いイメージをどのように払拭するのか?
    4. ④ 原発は廃棄物処理に莫大なコストがかかり、決して安い電力ではないのではないと思うが実際はどうか?
    5. ⑤ 浮体式洋上風力はあらゆる海域で設置可能なので、技術開発の必要はあるとしても十分に原発の代わりになり得るのではないか?
    6. ⑥ 放射性廃棄物の処理場選定を進める必要があるが、どのように自治体や住民を説得するのか?
    上記の質問や意見に対し、まずシニアからその質問や意見の意図を学生に質問したうえで、以下のような質疑と意見交換を行った。
    1. ① 軽水炉新設の見通しが立っておらず、原子力が50%を超える可能性はない。なお、日本のような地政学的に孤立した列島国にとっては、原子力、再エネ、先進的高効率火力を適度に組み合わせて運用してエネルギー供給の安定を図ることが、経済面の安全保障上重要である。
    2. ② 発電所立地地域と大都市圏住民などの電力消費者とでは理解に差があるのは現実である。科学に立脚した合理的判断(正しい理解)ができるよう国民が賢くなる必要がある。
    3. ③ トリチウム水は各国の原発からも日常的に放出されている。日本のマスコミもそうした事実を報道すればよいのだが、他国の都合の悪いことは触れたくないようだ。少なくとも国内の風評被害をなくす報道を期待したい。
    4. ④ 放射性廃棄物の処理コストは発電コストに含まれている。一方、変動再エネはコストが低下したと言われるが、講演でも触れたようにバックアップ電源を含めた統合コストでは火力、原子力より高くなる。
    5. ⑤ 洋上風力は設置面積に関してのポテンシャルは高いが、離岸距離が大きくなると設備コストはもとより送電コストも高くなる。政府は洋上風力に限らず太陽光、風力の大量導入を計画しているが、変動再エネは希薄で広い設置面積が必要で、活用できる土地や経済性の面から限界がある。
    6. ⑥ 反対意見は報道するが、賛成意見が報道されることが少ない。自治体は民意を気にかけるが、その民意はこのような報道姿勢に左右され易い。一方、地域住民は地域の発展という視点で合意形成が可能と思う。地域住民には自分達の子孫のためを考えた地域振興を期待したい。
    カ)6班:「再生可能エネルギーと原子力発電にどう向き合うべきか」*針山日出夫、路次安憲
    参加学生:専攻科1年生6名
    主な対話内容
    昼食を採りながら、出身地、希望する進路、趣味を盛り込んだ自己紹介を行うことで、フランクな雰囲気づくりに心がけた。
    学生からは事前質問として11件が出されていた。そのうち、シニアの回答に全員が基本的に納得したものや重複しているものを除いて、主な議論となったのは以下の4件である。
    1. ① マスメディアの原子力の取り上げ方は「危険」に偏っているのではないか。
    2. ② 自然災害が多発する日本で原子力を押さねばならない理由。
    3. ③ 放射性廃棄物処理問題。
    4. ④ 2050年CN対応で、再エネと原子力だけで電力需要を賄うことは可能か。
    上記の問題提起について学生とシニア間で以下のような対話が行われた。
    1. ① 学生もシニアもマスメディアがそのような傾向にあると感じている。日本における「原子力」の歴史的な経緯にも遠因があるが、マスメディアが事実よりも感情を重視している点にも原因がある。各人が事実を学びながらメディアリテラシーを培うことが重要。
    2. ② “S+3E”を満たす十分な電力量が得られる見通しがないため。新規制基準に基づく原子力発電所は自然災害にも十分な耐性を保有している。議論の発展形として確率論の話となるとともに、分かりやすい安全目標の確立や事故後のアフターケアの重要性にも話が発展した。
    3. ③ 国土の広さにはほとんど関係せず(そんなに広い土地を必要としない)、政府と住民との対話の歴史、互いの信頼度の醸成等が重要であると認識。カーボンニュートラルで世界的に原子力の活用が増えてくれば改めてこの問題がクローズアップされるだろうとの意見もあった。
    4. ④ 限りなく不可能に近いだろうとの見通しで一致。さらに2050年カーボンニュートラル自体も、大切なことではあるが実現には懐疑的であった。他国の(特に欧州の)真似をするのではなく、国益を考えながら一歩一歩進めることが大切。但し技術開発は重要。
    シニアから、「さまざまな分野で世界は変革期に入った。世の中の転換期は個人の飛躍のチャンスでもあるがみなさんはどのように感じているか」と問いかけたところ、「チャンス到来という気もないではないが、自分は安定志向派なので好きな分野でコツコツと進んでゆきたい」との意見が多数であった。

    3)講評

    【若杉和彦】

    皆さんは講演2回と対話会に参加して、大切なエネルギーや原子力の諸課題について勉強され、多くの知識を吸収したと思います。家に帰ってから今日学んだことをぜひお父さんやお母さん、また友達に話してほしいと思います。他の人に話すことによって知識が深まります。学んだ知識を自分の言葉で話すには、その知識を深く理解しなければなりません。また、自分の意見を人に話すことは、社会に出てから常に必要であり、それがその人の評価に繋がります。

    もう一つ言いたいことがあります。20年後又は30年後には我々シニアはもういません。シニアの通り、死にニア近いのです。エネルギーが我々の生活にも社会にも大切であり、重要であることは皆さんが学んだ通りです。30年後には皆さんは50歳ぐらいになって社会の中堅となって働いていることでしょう。その時のエネルギー政策を決めたり、社会を動かすのは君たちで、我々シニアではないのです。君たちの責任であり、覚悟を持ってほしいです。その意味で、今日学んだことをしっかり身につけてほしいと思います。

    【中村 威】

    授業の一環としての対話会への参加、祭日(成人の日)にもかかわらず、多数の出席を得て、基調講演、グループ対話、発表等滞りなく終えることが出来、ありがとうございました。 各班の発表会の結果を見るに、原子力についての問題、疑問などについて熱心に討論され、理解を深めようとしていることが感じられ、この対話会を計画、準備された先生方に感謝の意を表します。

    日頃、自分たちの勉強に専念し、周囲を見回すことはあまりない中で、福島事故後の原子力に関する状況や高レベル廃棄物の最終処分場の地点問題等、我が国の現状について、対話会を通じて、勉強できたのではないかと思います。

    一方、世界に目を向ければ地球温暖化という人類にとっての大きく、避けられない問題が、目前に提起され、各国がその対応2050CNに迫られている中で、温暖化の元凶であるCO2を排出しない原子力エネルギーが見直されるなどの動きが出てきております。

    これからの時代30年、今学生である皆さんが、中堅として、あるいは中心となってこの日本を支える時代であり、その中でこの問題に取り組む中で、原子力エネルギーとどのように付き合っていくか、自分や子供たち自身の問題でもあります。美しい日本であり続ける為に皆さんに期待しております。 今日は、ありがとうございました。

    4)閉会挨拶

    【金氏 顯】

    6つの班の対話テーマに共通して見られるように、エネルギーの中でも原子力に対する関心は非常に高く、事前質問は大変的を得た質問が多く、各班の対話も充実し、学生発表もしっかりしていたのは、北九州は日本の工業発祥の地であること、事前の4回の原子力講義や宮内先生の日ごろの教育指導の賜物です。

    基調講演2の2050年カーボンニュートラルに向けた世界や日本の動向が日本の製造業に及ぼす負の影響も想定されます。今後もこれらの動向にはメディアや先生からの情報に関心持ってフォローしてください。そして多くの先輩に続いて、北九州、また日本の工業界を支えるしっかりした技術者になっていただくことを大いに期待しています。

    3.参加の先生とシニアの感想

    報告書を参照下さい

    4.学生アンケート結果

    報告書を参照下さい

    5.別添資料リスト

    (報告書作成 金氏顯 2022年2月15日)