六ヶ所再処理施設の現状と稼動の意義

                  日本原燃(株)
再処理事業部 建設試運転事務所
大塔容弘

はじめに

日本原燃(株)の六ヶ所再処理施設は、平成17年7月の竣工に向けて建設工事が順調に進んでおり、10月末現在約78%の工事進捗率である。また、建設工事と並行して試運転に向けての準備も精力的に進めている。

本報告は、六ヶ所再処理施設の、1.我が国の原子燃料サイクル計画における位置付け、2.建設・操業スケジュール、3.その中での安全・安定操業に向けての取り組み、を紹介するものである。


我が国の原子燃料サイクル計画における位置付け

「原子力長計」は、昭和31年に最初の計画が策定されて以来、概ね5年毎に改訂がなされて来た。9回目の「原子力長計」(平成12年11月策定)となった今回の改定の中で、原子燃料サイクルについて議論され、以下が確認された。

  1. 原子燃料サイクルの持続的推進
  2. プルサーマルの推進
  3. 使用済燃料中間貯蔵の実施
  4. FBRの技術開発
  5. 高レベル放射性廃棄物の地層処分の実施


六ヶ所再処理施設の建設・操業スケジュール

六ヶ所再処理施設は、基本設計に基づく安全審査を経て、平成4年12月に事業指定を受けた。その後、建設工事工程の実態に合わせ、詳細設計に基づく設計及び工事の方法の認可申請を分割して行い、認可後の建設工事、それに係る使用前検査及び溶接検査を受検し、今日に至っている。

この間、使用済燃料受入・貯蔵施設の建設工事を先行して進め、保安規定の認可、使用前検査の合格後、平成11年12月に事業の開始を、迎えた。これまでに受け入れた使用済燃料の総量は、平成13年10月末現在約348tU(1518体)である。

再処理施設本体設備については、一部の施設ではこの4月から通水作動試験を開始しているが、大半の施設は平成15年1月までに通水作動試験を終了し、酸と有機溶媒を用いた化学試験を開始する計画である。化学試験を約8.5ヶ月間行い、引き続き天然ウランあるいは劣化ウランを用いたウラン試験を約9ヶ月実施する計画である。その後、約1年をかけて使用済燃料を用いたアクティブ試験を行い、平成17年7月に竣工を迎える予定である。

この間、法に基づく使用前検査、溶接検査、保安規定の変更認可申請等を行い、国による規制を受ける。


安全・安定操業に向けた取り組み

六ヶ所再処理施設の安全・安定運転に向けて、再処理技術の国内定着化が肝要であるとの認識から、当社は六ヶ所再処理施設建設プロジェクトの当初から以下に示す取り組みを進めて来たし、今後も引き続き進める所存である。

  1. 最良技術の選択
  2. 設計の妥当性のチェック
  3. 確証試験による採用技術の定着化
  4. 先行プラントの不具合経験の入手とその反映
  5. 建設工事管理の徹底
  6. 試運転による設備機能と性能の確認
  7. 保安規定を遵守した運転
  8. 計画的な要員の育成


おわりに

当社は、化学試験以降の試運転を主体的に実施し、通水作動試験では確認することのできない設備の機能と性能が所定の能力を有していることを確認する。その際、再処理施設の運転経験を有し、かつ技術ノウハウの所有者であるJNC、COGEMA、BNFL、そして設備の設計・製作を担当した国内メーカーからの技術支援・協力を受けることとしている。また、日本原子力学会所属の研究者や技術者の方々の知識・経験に期待する状況も予想されることから、よろしくご支援のことをお願いする次第です。

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