第5回研究会
講演1<講演資料> 講演タイトル:水化学によるPWR2次系炭素鋼配管の減肉抑制への取り組み講演概要:PWR 2次系において、冷却水中にヒドラジンを添加して溶存酸素を除きアンモニアを添加しpHを高めることにより構成材料の防食を図るAVT(All Volatile Treatment)処理が行われている。敦賀発電所2号機では、従来pHを9.3としていたが給水鉄濃度は4〜5ppbと比較的高く、2次系でのFAC)による減肉の抑制が重要な課題となった。このため、pHを9.8 程度まで高めるHigh-AVT 処理により、炭素鋼の平均的な腐食率を従来の〜1/5に低減できたが、配管減肉率は、部位によっては抑制されない可能性があった。そこでさらなる減肉抑制を目指して,敦賀発電所2号機(PWR)の給水中に低濃度の酸素を注入する短期試験を行った。蒸気発生器(SG)に酸素が流入するとSG 伝熱管の健全性に影響を与える可能性もあるが、High-AVT 条件下では極微量の酸素でFAC を抑制できることを見出し、さらにヒドラジンを共存させることにより、SG に酸素を持ち込ませずFACを抑制する水質制御法が成立することを明らかにした。実機試験により、High-AVT条件下での微量酸素注入という、2相流系を含めた2次系全体の腐食を抑制しつつ、給復水系炭素鋼配管の減肉抑制策が実機で成立することを実証したことが報告された。