第2回研究会
講演2<講演資料> 講演タイトル:FACに係わる各因子の影響評価研究講演概要: 電中研におけるFAC研究の全体概要として、基礎的な減肉率予測式の構築、実機配管を考慮した減肉率予測式の構築、および、実機配管の減肉率分布予測に関する取り組みを紹介。次に、FACの流動因子に対する基礎的研究として、実機水質・材料条件でのFAC減肉実験の試験部(乱流促進板を設置)の概要、レーザ変位計による可視化による減肉量計測手法、実験条件の例、実験結果として試験片の外観観察結果と時間変化、実験前後の減肉面形状と減肉量時間変化が紹介された。また、実験体系での流動数値計算を実施し、減肉率分布と流速、変動流速分布との比較評価を実施し、局所的な減肉量と流動の相関を紹介。まとめとして、試験片の局所的な流速や変動流速は共に一部の高い減肉傾向を示したデータを除き、局所減肉率に対してほぼ比例する相関が得られたとの評価結果を紹介し、今後の課題として流速と変動流速の影響度合の定量化等を上げた。
次に、FACの水化学因子に対する基礎的研究として、カナダのNew Brunswick大学、日本原電との共同研究の概要を紹介。目的はFACによる減肉量と水化学因子・材料因子や流速との相関の解明とし、基礎的FAC減肉実験(電気抵抗による減肉計測)、電気化学挙動評価、水化学因子主体の減肉速度予測手法の開発、FAC抑制法の提案が紹介された。これまで得られた成果の概要として、pHの影響、溶存酸素濃度の影響が紹介された。
更に、配管オリフィス体系における流動の評価として、常温大気条件での流動可視化実験、流動数値計算、実機オリフィス体系での減肉領域の推定を実施しており、実験装置の概要、数値計算結果例、実験と数値計算の比較、実機減肉領域評価結果を紹介された。結果のまとめは、液単相流配管のオリフィス下流域におけるFACによる減肉事象に対して、顕著な減肉は壁面近傍の乱流極大の剥離領域内でおきること、配管径・オリフィス絞り比によらない評価式を構築したこと、実機プラントの一般的なオリフィス仕様範囲内では、現行JSME規格の規定の検査範囲で十分に保守的な管理が可能な旨紹介された。将来的には、実機プラント配管の減肉分布予測手法の構築を目指す旨説明。
会場からは減肉による表面形状の変形を考慮した流動特性変化の評価の必要性に関して質問があり、表面粗さ変化により流動特性にも変化は生じ得るが、時間に比例するFACの進展特性を考慮すると、表面形状の変化はFACの進展にあまり影響を与えていないとも考えられるとの回答であった。また実験にて過度に顕著なFACによって酸化皮膜が殆ど形成されない場合の現象の律速過程に関して質問があり、その為には実験試験片の詳細観察により酸化皮膜の形成状況を把握することが必要との回答であった。更には高流速条件において局所的な減肉量と流動特性との比例関係から外れる傾向に関する質問があり、試験水に含まれる微小な鉄粒子によるエロージョンが重畳している可能性がある旨の回答であった。