第1回研究会
講演2 講演タイトル:BWR原子炉水環境下における酸化チタンによるSCC緩和効果講演概要:BWRプラントにおける原子炉内構造物のSCC緩和技術として開発中である酸化チタンによる環境改善対策について紹介。
原子炉内構造物の腐食電位を低下させることによるステンレス鋼のSCC抑制技術には水素注入やNMCAがあるが、主蒸気系線量率の上昇や、燃料への影響に関する運用上の配慮事項等がある。また、原子炉内上方では腐食電位低下効果が低いと推定されている。より広範囲に有効で副次影響が少ない環境緩和対策として,酸化チタンと原子炉内のチェレンコフ光を利用した腐食電位低減対策を研究している。ラボ試験結果や実機炉外試験によると,チェレンコフ光を模擬した水質環境下において酸化チタンは水素注入無しで腐食電位を低減させることを確認した。またHalden炉においてBWR模擬試験ループを設置し,炉心環境下で腐食電位が低下した。またHWC環境下では従来よりも少量の水素注入により腐食電位が低下し,チェレンコフ光が届かない再循環系でも効果が期待できる可能性が示された。
会場からはγ線などの放射線による防食効果に関してコメントがあり,今後は電気化学的な詳細検討の必要性などが議論された。