ファシリテーションと対話への適用要領

H21.7.24.

金氏 顕

<まず、日本ファシリテーション協会による入門から>

1.ファシリテーションとは?

ファシリテーション(facilitation)とは、「促進する」「容易にする」「円滑にする」「スムーズに運ばせる」というのが原意です。人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶように舵取りするのがファシリテーションです。あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。またその役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、分かりやすく言えば、裏方で黒子のリーダーです。会議で言えば、メンバーの参加を促進し、プロセスの舵取りをする人がファシリテーター(進行役)です。

2.ファシリテーターはプロセスに関わる

ファシリテーターは、チーム活動の二つのプロセスに関わっていきます。一つは、段取り、進行、プログラムといった、活動の目的を達成するための外面的なプロセスです。もう一つは、メンバー一人ひとりの頭や心の中にある内面的なプロセスです。チーム活動を円滑に進めるには外面的なプロセスが大切ですが、成果や満足感を左右するのは内面的なプロセスです。メンバーの考え方の枠組みや様々な思いがぶつかりあって、感情も関係性も常に変化しています。変化するからこそ、新しい考えが生まれたり、対立している人と合意形成ができます。まさにこれこそがチーム活動のダイナミズムであり、ファシリテーターは両方のプロセスに関わることで、人と人の相互作用を促進しているのです。

3.ファシリテーションの四つのスキル

1. 場のデザインのスキル 〜場をつくり、つなげる〜

何を目的にして、誰を集めて、どういうやり方で議論していくのか、相互作用がおこる場づくりからファシリテーションは始まります。単に人が集まればチームになるのではありません。

2. 対人関係のスキル 〜受け止め、引き出す〜

自由に思いを語り合い、あらゆる仮説を引き出しながら、チーム意識と相互理解を深めていきます。ファシリテーターは、しっかりとメッセージを受け止め、そこにこめられた意味や思いを引っ張り出します。

3. 構造化のスキル 〜かみ合わせ、整理する〜

発散が終れば収束です。論理的にもしっかりと議論をかみあわせながら、議論の全体像を整理し、論点を絞り込んでいきます。図解を使いながら、議論を分かりやすい形にまとめていくのが一般的です。

4. 合意形成のスキル 〜まとめて、分かち合う〜

議論がある程度煮詰まってきたなら、創造的なコンセンサスに向けて意見をまとめていきます。ここで様々な対立が生まれ、簡単には意見がまとまりません。ひとたび合意ができれば、活動を振り返って個人や組織の学びを確認し、次に向けての糧とします。参考文献: 堀公俊 『ファシリテーション入門』(日経文庫)、 『組織変革ファシリテーター』(東洋経済新報社)

<SNW対話活動での具体的な適用方法>

1.FT(ファシリテーター)の主導により、まず自己紹介を兼ねてグループの全員がA4の紙を3分し線を引き、マジックインキで上段に氏名、中段に「今日の対話に期待すること」、下段に「今日聞きたい質問、疑問、要望など」を書く。一人ずつその紙を見せながら自己紹介と説明をする。FTは話を聞きながら中段の要望や下段の質問、疑問をその背景や理由など聞きながら、ポストイットに1件ずつ記入する。

2.FTは、ポストイットの要望、質問、疑問などを類別し、分類ごとに主にシニアがなるべく短時間で回答しながら、皆で意見交換し、さらに質疑を発散、できれば最後に集約する。一通りポストイットに書かれた要望、質問などについての回答、意見交換を対話終了30分くらい前まで行う。

3.全員がA4の紙に上段に名前、中段に最初に中段に書いた「今日の対話に期待すること」に対して「今日の対話の成果」を、下段に「今日の対話の感想」を書き、順番に発表する。時間がなければ発表は省略しコピーしてグループ全員へ配布。

4.グループ対話発表までに約30分、学生が主体にPPTに発表資料を作成する。PPTはテンプレートを当日各グループPCに搭載します。

◆ワークショップ10カ条

1.  聖域をつくらない。2.人の話をよく聴く。3縄張り意識を持たない。

4. 最後まで諦めない。5相手を非難しない。6.思い込みを捨てる。

7.肩書きや立場を忘れる。8.強がりを言わない。9.愚痴や文句を言わない。

10.楽しく議論する。

◆ファシリテーションマインド

1.場に主体的に関わる、2.メンバーの参加を促す、3.多様性を大切にする

   4.個人を尊重する、5.公平性をもち議論に中立に関わる、

   6.忍耐強く合意をめざす