「学生とシニア」の対話実施概要

−対話 in東京2008


2008.12.03R1

学生幹事  滝沢優司

SNW幹事 石井正則

1.実施主旨

 学生とシニアの対話は、原子力学会学生連絡会とシニアネットワーク連絡会(SNW)の活動の一つである。学生とシニアの交流から、エネルギー、環境、原子力の理解を深めてもらうとともに、社会人としての心構えや一般の方々への理解促進に役立ってもらいと考えから進めている。

 特に原子力を専攻する学生には、将来の活躍の場として、原子力OBに接し、原子力への取組み姿勢等について吸収できるものがあれば、吸収してもらうことも目的としている。

 対話in東京は4大学(東海大、東大、東工大、武蔵工大)の合同で、会場は各大学が持ちまわりで毎年行われている。今回の東海大学は一巡目の最後にあたり、東海大学としては初めてのホスト校をつめた。

SNW幹事)

2.対話の実施

(1)   日時 20081122日(土)13301745 (懇親会 18002000

(2)   場所 東海大学湘南キャンパス17号館2F第二研修室(17215AB

(3)   対話の流れ

1.会の挨拶、参加シニアの紹介                          13:30 〜 13:45

2.     基調講演 (講演30分 質疑10分)                  1345 〜 1425

「地球温暖化とエネルギー大消費−原子力への期待−」 講演者:小川博巳

3.休憩                                                14:25 〜 14:40

4.対話                                                14:40 〜 16:40

5.グループ発表と質疑応答                              16:50 〜 17:30

6.講評・閉会の挨拶                                    17:30 〜 17:45

講評  太組健児

7.懇親会                                                                                 1800 〜 20:00

 

(4)   参加者  合計47

学生30名、シニア 13名、教員 1名、オブザーバー 3名

@     学生

東海大学   21

東京大学    2

東京工業大学  4

武蔵工業大学  3

A     シニア

石井正則     元IHIエネルギー技術本部技監

石井陽一郎    元東電原子力原子力開発研究所副所長

小川博巳     元東芝原子力事業部技監、元アイテル技術サービス専務

岸本洋一郎    日本原子力研究開発機構研究フェロー、元核燃料研究開発機構副理事長

西郷正雄     日本原子力産業協会参事

斎藤 修     元東京電力 原子力本部部長

太組健児     元原子力発電技術機構理事 元日立原子力事業部次長

竹内哲夫     SNW会長、元東電副社長、元日本原燃社長、元原子力委員

土井 彰     元日立理事エネルギー研究所所長

林 勉      元日立理事原子力事業部長

古川和男     トリウム熔融塩国際フォーラム理事長、元東海大学開発技術研究所教授、元原研

古田富彦     東洋大学 地域活性化研究所客員研究員、元東洋大学大学院教授

松永一郎     元住友金属鉱山エネルギー環境事業部技師長

B     教員

高木直行     東海大学工学部エネルギー工学科准教授

C     オブザーバー

中島拓男     東京電力(株)原子燃料サイクル部課長(処分技術担当)

高橋 格     原子力文化振興財団エネルギー文化部

坂上千春     原子力産業協会政策推進第2

 

実施内容

(1)基調講演 地球温暖化とエネルギー大消費−原子力への期待−小川博巳氏)

 [要旨]

人類のエネルギー消費活動と地球温暖化を温室効果ガスの濃度増加から比較し、この結果から得られる今後の気球環境の気候変動の予測、発展途上国の爆発的な成長による世界のエネルギー消費と二酸化炭素排出を見通した。また、発展途上国の成長により世界のエネルギー消費量が爆発的に増加していくなかで、原油生産量の低下による第三次石油危機を懸念し、アメリカ、ロシア、フランス等がエネルギー供給源として原子力を導入し始めている。日本のエネルギー事情について、エネルギー源の約半分を石油に依存しエネルギー自給率が4%と低い現状から脱却しなければならず、国内マスメディアの不適切な報道に対する対応の課題が残っている。グローバル化している原子力産業の中での、日本は地球温暖化の回避、第三次石油危機・核拡散の回避への貢献していかなければならない。学生へのアドバイスとして、社会に対して説明責任を果たし国民の理解を得る為にも、発言する原子力屋になって欲しい。

 

(2)グループ討議と発表・質疑応答

 

1)      グループ編成とテーマ

「5班に分かれて対話 学生7名+シニア2名+オブザーバ1〜2

テーマは各グループ別と共通テーマを設定

グループ別テーマ

グループ

テーマ

A

原子力教育はどうあるべきか

B

高レベル放射性廃棄物の地層処分問題

C

原子力事故から学ぶ事

D

エネルギー問題について日本の役割は

E

今後の原子炉の技術展開

F

原子力技術の発電用途以外への転用

共通テーマ

Ø           “原子力村”と揶揄される原子力業界の閉鎖的な体質について

・原子力業界(メーカー、電力)の現在の姿は?

・シニアが現役の頃は今と比べてどうであったか?

・今後を担う技術者はどうしていけばよいか?

Ø         就職活動について

・学生時代にやっておくべきこと、やっておけば良かった事(英語以外)

     よい会社・悪い会社(会社を選ぶポイント)

 

2)      グループ発表と質疑

Aグループ 「原子力教育はどうあるべきか」

教育機関における原子力に関する授業への取り組みの低さが問題である。教育だけではなく教員にも問題があり、理科教員を集めて夏季セミナーを開き改善していくべきである。そのため今の大学生が原子力をしっかり勉強する必要がある。

Q:大学教育の中でも原子力以外の学部、学科でも原子力教育をしないのか?

A:一般教養として文系にも原子力の知識を広めていく。そのためにまず現在の理系の方、次に文系の方に原子力を一般教養として教育していく。

 

Bグループ 「高レベル放射性廃棄物の地層処分処理」

高レベル放射性廃棄物について本当に処分地は決定するのか?国民における原子力教育をもっと進めて国民の原子力に対するリテラシーを高め理解ある地域を増やしていく。

Q:本(前東洋町長の著書)を読むと住民、議会の理解は得られている。中止されたのは隣町など外の反対派が原因であった。住人からの依頼を待つのではなく、文献調査程度は国が行ってもいいのではないか。

Q:青森は処分地にはしないと決めてあるのか。

A:青森県は処分地にはしないとしているが、青森のように原子力に理解のある地域を増やしていき、そういった県に処分施設を設立する。

 

Cグループ 「原子力事故から学ぶ事」

過去の事故の話から、日本は原子力の事故に対して詳細な話をしないことが議題にあがったが、国際原子力事象評価尺度INESを参照しながら説明すべきとの意見が出た。また企業は国民の過剰反応の緩和、リテラシーの向上のために長期にわたる広報活動、誠実な報告が必要である。

 

Dグループ 「エネルギー問題について日本の役割は」

海外と日本での原子力に対する意識を比較した。海外では原子力が拡大傾向にあり、推進している。また、小学生の頃から放射線などの授業が存在し、国民の原子力への理解、及び依存度が高い。これに対して日本は放射能に対する教育が学習指導に入っていなかった。まずは日本国内で国民の原子力への理解を高めなければならない。

Q:日本人の原子力の無知は違うのでは?日本人は原爆の恐ろしさを知っており、外国は原爆の恐ろしさを知らない。この違いが原子力を受け入れている差なのではないか?

A:現世代は原爆を体験していないので、その差はほとんどないと考えられます。逆に日本人は痛がりすぎであり、原子力の怖さだけを教育され、そのメリットは教育されていない。

Q:フランス以外では、海外でどの程度積極的なのか?

A:原子力発電を使わないと明言しているドイツも推進をしている。また他国では低コスト、大量発電できることから原子力発電を取り入れようとしている。

 

Eグループ 「今後の原子力炉の技術発展」

Thサイクルでは処理後の燃料が高い放射能を持っていることから核兵器への転用が困難であるが、世界のニーズは軽水炉に偏っている。また炉系を大型・大出力化していく流れのなかで、配管等を簡素化し故障・事故の頻度を減らしていく。国際的な展開としてアメリカなどの新しく原子力発電所の建設を計画している市場に進出していく。

Q:トリウム炉は高速炉、軽水炉などと比べてどのような利点があるのか?

A:トリウム炉では冷却材に水を使うので、冷却材が水である軽水炉の技術応用することができる。また再処理後の燃料は高い放射能を持っていることから強奪されにくく、核兵器への転用が難しいこと。

SNW幹事注:トリウム炉では溶融塩を利用した液体燃料のトリウム溶融塩炉も考えられている。

 

Fグループ 「原子力技術の発電用途以外への転用」

石油の枯渇問に対して水素を燃料とする構想があるが、この水素製造の手段として原子力発電から得られる熱エネルギーを用いて水素を製造していく。動力源として用いCO2削減にも貢献していく。その他宇宙での原子力技術として衛星のバッテリー、月面での発電が挙げられた。

Q:水素については前向きに検討するべき。原子力は発電にしか使っていないが、環境問題に対を考えると、水素製造でも原子力を利用するなどし、化石燃料を使わないようにしなければならない。二酸化炭素排出量を減らそうとしたら50%が限度であり、国際的に80%削減が叫ばれているが、実現の為には各国の協力が必要である。水素を国家戦略として強固にしていくべき。

 

(3)講評 太組健児氏

 [要旨]

依然として各グループでシニアの発言が多く感じた。しかし、その発言に対して学生からの質疑応答が活発に行われ充実した議論ができたと感じられる。議題の中で多かったものは、教育の問題、リテラシーの問題といった今後の日本の原子力を支えていく共通問題である。共通問題は今後の日本の原子力を認識していく上で重要だ。日本の原子力の技術レベルは高く、その技術を培ってきた方々と共に仕事ができることを学生は誇りに持つべきである。

 

(5)懇親会

対話会終了後、対話会では十分語れなかった分も含め、対話の延長を行うとともに、懇親を深めた。

(3項学生幹事)

4.結果

東京・神奈川地区の原子力工学専攻学生対象の対話は、これまで参加校が持ち回りで開催してきたが、東海大学は今回初めての開催となった(これまで武蔵工大2回、東大、東工大各1回開催)。

今回の対話では、ホスト校である東海大学の学生の意欲的な取り組みが印象に残った。東海大学は、日本の原子力草創期に重要な役割を担った、松前氏の創設した大学であり、営々として原子力の取り組んでこられた背景が感じられた。また、運営は高木准教授のバックアップのもとに、学部の学生が中心になって行われ、円滑の推進されたことは、学生にとっても良い経験になったものと思う。

学生の事後アンケートの結果によると、基調講演、対話ともにほぼ満足が得られたものと想定される。また、全員に対話の必要性があると感じてもらえた。その一方、約1/4の学生が十分に話が聴けなったと答えており、今後の進め方に一考を要するところである。なお、原子力の必要性については半数以上の学生があまり変化しなかったと答えているが、原子力を専攻している学生なるが故であろう。

シニアからは、ホスト校である東海大から学部2、3年生が前向きな姿勢で多数参加したこと、幅広い分野からシニアとの対話にふさわしいテーマが用意されたこと、などに対する高い評価が寄せられた。テーマや学生の知識などにより、各グループそれぞれ多様なスタイルで進められた。そのなかで、ややもすればシニアの発言が多くなり、学生が聞き役になるケースもあったようである。学生の聞きたいことに応える一方、伝えたいこともきちんと伝えたいとの思いが強かったからであろう。

短い時間のなかで、学生にとって意義があったと感じてもらえるような対話にしてゆくよう、引き続きシニアと学生が一緒に考えて行きたいと思っている。

SNW幹事記載)

 

添付

対話写真

添付資料1 対話会のグルーピング

添付資料2 シニア感想

添付資料3 事後アンケート結果


対話写真

基調講演

対話

発表

講評

懇親会


添付資料1 対話会のグルーピング

 

Aグループ:原子力教育はどうあるべきか

学生 :菅沼智行(B2)、村田史彦(B2)、藤井(B3)、関優哉(B3) 、松本裕人(B3)、豊澤英徳(M1)

シニア:土井彰、古田富彦

テーマ:小中高で放射線、原子力について学ぶ機会はほとんどなく、知るのはマスコミから得たものばかりの現状をどうするか?

事故や災害があったとき、マスコミによる風評被害から地元を守るには?

 

Bグループ:高レベル放射性廃棄物の地層処分問題

学生 :西垣卓馬(B2)、古宮宏治(B3) 、山本直毅(B4)、鈴木将(M2)、森健多(M2)

シニア:岸本洋一郎、斎藤修

テーマ:本当に処分地は決定するか?

反対の根底にある原子力技術全般への不信感、無理解をどう解決していくべきか?

 

Cグループ:原子力事故から学ぶ事

学生 :田畑 充(B2)、加藤 祥成(B3)、白川 寛也(B3)、高崎 譲二(M1)

大谷 純一郎(M2)

シニア:太組健児、石井陽一郎、松永一郎

テーマ:1979年のTMI原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故が起こってからの日本への影響は?

1999年のJCOの臨界事故、2003年の東京電力の原発トラブル隠しあって企業は変わったか?

 

Dグループ:エネルギー問題について日本の役割は

学生 :工藤辰也(B2)、滝沢優司(B2)佐藤広規(B3)、村田行広(B3)、田島秀雄、

鈴木哲(M2) (B3)

シニア:竹内哲夫、小川博巳

テーマ:海外から見て日本にはどういったことが期待されているか?

現在、経済であるがエネルギー需要はどうなっていくか?

 

Eグループ:今後の原子炉の技術展開

学生 :金宏樹(B2)、依田 朋之(B3)、中野 透(B3)、晴山 陽平(B4)、酒井 祐介(M1)、石田 真也(D2)

シニア:古川和男、林勉

テーマ:再処理、MOX燃料、高速増殖炉、超臨界水炉、トリウム炉、核融合炉・・・どこまでが実現可能か?

 

Fグループ:原子力技術の発電用途以外への転用

学生 :竹田歩(B2)、安藤光雄(B2)滑川東(B3)、北見和也(B4)、鈴木駿佑(M1)

大野雄二郎(M2)

シニア:西郷正雄、石井正則

テーマ:原子力船、原子力潜水艦、核爆弾は日本に必要か?

ある場合によるメリット、デメリットにはどんなことがあるか?


添付資料2 シニア感想

 

石井陽一郎

東海大湘南キャンパスははじめてでした。予想にたがわず広く、自然色の豊かなところだと感じました。

事前に辛口の質問も整理され、運営を含め慣れてきたなとも思いました。Cグループは安全問題がメインでした。

 チェルノヴイルという過去最大の[被害を含め]事故について将来を含めた想定死亡者数が4000人となった経緯[05年国連)、日本の報道は当初正確でなかったこと、を含め1頁の資料とともに説明、納得されたと思います。世界の原発の事故、トラブルはいち早く情報が伝わり、わが国ではほぼ完全に設計、運営に反映されていること、維持基準が制定されたこと、も同様です。原子力については専攻している学生は意識が向上しており、言わずもがなですが、一般の人の原子力に対するリテラシーの向上が必要であり、確実に上がっていくのではないかと期待します。

高木先生がYGNを引っ張っていることも大いに心強いことです。

最後に私がコメントしたこと:電気事業、車の―化石燃料をゼロにしても、実際にはありえないことですがそれでもCO2排出をゼロにするどころか、需要が現在と同じとすると、現状の半分にしかならない、(全日本で200512,9億トン,内電気事業3,7億、車2億トン強)、これはその他事業での低減、省エネ、非化石燃料による水素の活用など様々な努力が必要であることを指摘したものです。

 

小川博巳

ホスト校の東海大は、学部2・3年生が多数参加し、彼等の前向きな姿勢を評価したい。対話のテーマについても、原子力教育問題から地層処分問題、国際的な視点から見た日本の役割など、シニアとの対話に相応しいテーマが設定され、それぞれ多様性のある議論が出来た。

毎回の対話に際して感じるのは、学生達の「発言に対する訓練」が十分でないことだ。今後の原子力を担うべき次世代は、社会への説明責任が殊に重要で、メディアへの情報発信の在り方も含めて、的確な発言能力が求められる。講演の中でも「発言する原子力屋になれ」と強く訴えたが、意識的にその訓練を積ませる必要がありそうだ。

 

岸本洋一郎

オブザーバー参加の中島拓男氏(東京電力)がグループ対話に参加。当グループのテーマは、高レベル放射性廃棄物の地層処分問題で、…本当に処分地は決定するか?…反対の根底にある原子力技術全般への不信感、無理解をどう解決していくべきか?

関心のポイントは、@処分地決定までのプロセス、A研究開発予算をすべて広報に回して進めるべきという意見があること、B東洋町の件、C我が国の取り組みの歴史など。@、Bについては、当方で用意した資料(添付)を使い説明。

歴史については、用意した資料で、10年前の高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書が処分政策の基礎となったことを説明。しかし、それ以前の歴史については触れる時間なし。広報予算に限らず、処分関係資金・予算の流れ、地下研や研究開発の必要性は、口頭で簡単に説明。

なかなか前進が見られない国家的重要テーマであるため、対話の進め方もあらかじめ考えておかないと効果的には進まないということが反省点。改善策としては、こうした大テーマの場合、疑問点の所在をあらかじめ明らかにし、整理しておくことが、分かりやすい対話の進め方を見出す一つの方法ではないか。

共通テーマ:「原子力村と揶揄される原子力業界の閉鎖的な体質について」については、配布のメモで説明した。

 

西郷正雄

今回のFグループでは、学生6名の予定が、4名と2名の欠席であった。しかし、4名の学生は、最初すこし緊張しているようであったが、慣れるに従って、いろいろと質問が出てきて、まずまずかなと思う。テーマが、「原子力技術の発電用途以外への転用」ということから、最初「医療関係などRI利用」についてのことが飛び出した。そこで、原子力の利用という場合には、エネルギー利用と放射線利用に分けられること、そして、エネルギーとしては、現在発電が中心となっているが、熱利用があることを説明した。また、熱利用には、暖房や海水脱塩など、さらに高温の熱を使って水を熱分解することで水素を製造することができることも説明した。

「水素」の話をすると、皆さん関心があるようで、燃料電池による自動車へと話が移り、

プラグインハイブリッドの話(CO2を出さない原子力発電による電気の利用)なども行った。

また宇宙に関心のある学生からは、原子力バッテリの話、電中研の方が月面に持っていく原子炉の研究をしていた話など、原子力の多様な利用に学生も夢を持ったのではないかと思う。ただ、どうしても情報量がシニアに多いために話す機会がシニアに偏る傾向となってしまうのが残念である。両者が同等に話すことができるようにするのには、学生にあらかじめ絞ったテーマについて勉強して臨んでもらうなどの工夫が必要と思う。

 

斎藤 修

1.対話集会の運営が大変良かった。学生中心に上手に運営されていた。このような会を上手に運営出来る能力を身につけることは、今後の彼らにとって大きなアドバンテイジになる。

2.あまり表面に出られなかったが、東海大学の原子炉物理担当の高木先生の指導も良かったと思う。

彼は今年4月に東海大学に来られる前に、東工大におられたので、彼の顔みしりの東工大の学生も3人見えていた。

高木先生は、2006年に金子熊夫さん、辻さん、私とともにインドの原子力調査に行った人で、当時は東京電力に所属し、東工大でFBRの研究をやっていた、

3.共通テーマについては、今回は事前の時間がなかったが、全員が意見を述べるのは重複の感がある。

幹事が1テーマについて1-2名の人を選んで、選ばれた人が意見を用意するのが良いと思う。

 

太組健児

     in 東京) での3回目であり、学生 シニアともに慣れてきたこともあり、総じてスムースに運営された。シニアは大部分のメンバーが慣れているのに対し、学生側も 連絡会などを通じて継承されてきており、好ましい傾向であった。

     グループ対話においては、一部のグループを例外としてまだまだシニア側の発言が多く、学生は主として聞き役と質問に偏る傾向が見られた。

     東海大学の 高木先生が 他大学に声をかけられてメンバーをそろえられたことが全般を活気付ける結果となっていた。

     今回の学生の参加者は B2 B3が比較的に多く将来の進路についてもこうした会合を通して情報を得ようとの意欲が感じられた。

     全般を通じて、教育とメディアリテラシー、さらには広報の重要性が認識され「継続は力なり」を痛感した。

 

竹内哲夫

。対話の時間が短いのはいつもの通りです。ただ、今回は対話テーマを学生が選んでグループ分けをした。

この効果は結果して、最後の発表のグループ別に、発表の内容と程度に極めてバラツキが出ました。

シニアの喋りすぎを厳禁して、学生からの質問・疑問だけに応える方式に徹したわがグループ(D班)では対話おしゃべりは進んだが、学生の総意集約は全く出来ずに発表は散漫になった。

逆に、新型炉やトリウムを扱った(E班)はシニアの講義の集約サマリーのような整然とした発表であった。

これから、逆に類推すると、班編成で全く違った形式・雰囲気で対話は進んだと思う。この優劣を論じたリ、敢えて整合を取る積もりも無いが、シニア学生対話は講義の補修ではなく、世代を超えた対話・人生相談、世の中の見方の違いを学生に気付かせる事に意義があるので、しいて言うとシニアしか分からない専門高度なテーマを講義調にする事だけは避けるべきと思う。

b。 日本の原子力招聘留学生が当グループに参加した。インドネシアからで、来日3ヶ月で日本語対話にいまだ難があったが、意欲と人柄ともに有望な留学生だった。かようなメンバーを多く集めた対話集会など、将来は考えたら如何と思う。

 

土井 彰

学生幹事を含め、幹事の皆様の努力と準備で有意義なミーティングが持てたと思います.

以下に、東海大に於ける学生との対話の感想を述べます。

1.          若い学生の物事に取り組む真摯な姿に触れることができ、とても気持ちがよかった。学生は、国家や社会の将来とともに自分の今後について強い関心がある。

2.          自分に関すること以外では、新聞などマスコミで話題になっている事柄とくに原子力の将来、教育の重要性に興味を示している。

3.          学生が考えている『自分はこのままでよいのか?』、『自分の人生で何が達成できるのか?』などの不安や疑問に対して分かりやすく話し合いをすることが重要と考える。

4.          学生から見ると、シニアは人生の大成功者に見える。ただでさえ威圧感を感じているので、これをあまり強調するような自己紹介を避け、抑え目にしたほうがよいかもしれない。

 

林 勉

今回は各グループのテーマが明確に区分されており、発表を聞いた結果として、それぞれのグループがテーマに沿ってきちんと討論され、それを良く纏めていたように感じました。その点では学生側の事前準備が手馴れてきており、整然とこなされているように感じました。

希望としては、原子力の学生以外にも学内の掲示板等で、積極的に参加を呼びかけるような活動もしていただきたいと思いました。今度東大でやるときには是非その点配慮して欲しいと東大学生の嶋田君には伝えておきました。

シニア側の反省としては、まだまだシニアがしゃべりすぎることを感じています。シニアの役割は自分の意見、考えを一方的に伝えるのではなく、学生達がより問題点を理解し、これからの勉強や社会に出たときの心構え等に対して支援することであることを再認識すべきであると感じています。お互いに学生達にもっともっとしゃべってもらうように努力すべきであると感じています。

 

古川和男

小生、二回目ですが、遥かに充実した話し合いが出来、十分な充実感がえられました。感謝致します。

ただ、やはりgroupでの話し合いの時間が、実質70分位で、余りに学生の話が聞けませんでした.例えば、次のような改善は困難でしょうか?

a)全体時間をあれ以上取れないとしましたら、「基調講演」は事前に 見て置いてもらって、簡潔な補足説明と質疑応答にする。

b)講師の紹介も事前に配り、その日は質問あればそれで補足。学生さんの方の紹介も、事前に少なくも2,3行?(2−300字??)位は書いて貰って置く。(私には、さっぱり正体が掴めませんでした。)

 質問事項などの記述が、小学生の作文見たいでなかったでしょうか?もう、23倍の内容がかける筈。

 勘違いしているかも知れませんが(私には測り知れない privacy感覚の社会なのかも知れませんが)、まだ充実したものに出来る、また学生は希望していると思うのですが、如何でしょう?

 お世話は大変と思いますが、それはその代償が回収できるのではないでしょうか?? (お互い知られたくない社会なのでしょうか?)盲言多謝。

 

古田富彦

1.学生幹事の滝沢優司君、陰で支えた鈴木将君、高木直行先生のご努力で対話会は、時間の制約や事前準備などの問題がありながらスムースに運営され、グループ別テーマも時宜を得たトピックスが選定され、意義ある対話会であったと思う。

2.Aグループでは、原子力教育について具体的な問題点、対策、自分で判断するリテラシーの重要さが話し合われ、まとめられたと思う。また、就職活動、組織・社会人のあり方なども話題となったが、学生により多く質問させ対話するよう努めたのがよかったと思う。

3.事故・トラブル時のマスコミによる風評被害については、特ダネ・事件ハンターであるマスコミの本質、時宜を得た的確な広報のあり方、一般住民のマスコミに対するリテラシーが話題となったが、問題点は認識・納得されたと思う。

 

松永一郎

1.4大学から5大学の学生を集めての「対話in東京」は今回で3回目ですが、大学が分散していることや、各大学に幹事役の学生がいるかどうか、各大学の日程的都合が合うかどうかなどにより、なかなか学生を集めにくいようです。今回は幹事校の東海大学学生幹事の努力で4大学から30名以上の学生が集まり対話ができました。このことだけでもまずは成功したと言えるでしょう。

2.対話のテーマがグループ別に予め決められており、なおかつ、それぞれのテーマについて具体的な疑問点が挙げられていたのは対話の焦点がはっきりしており、対話を深化させる意味でよかったと思います。ただし、それだけに学生側の知識とシニアの知識レベルの差が大きくなり、シニアからの説明が対話の多くを占めることに繋がります。また、決められたテーマを外れたことについて対話ができにくいという欠点があります。この兼ね合いをどうするかが今後の問題かと思います。

3.対話の運営はなかなか手馴れたものとの印象をうけました。学生幹事を努めた滝沢優司君の力量は勿論のこと、陰で支えた鈴木将君、高木直行先生のご努力があったからと思います。

 

石井正則

東海大学にとっては初めてのホスト校であった。自大学のほか他大学も含めての学生集めなど苦労もあったと思うが、円滑な運営が図られ、ホスト校としての役割を果たしたことに敬意を表したい。今年から東海大学に赴任された高木先生のバックアップにも厚くお礼申し上げる。今回の運営にあたっては、とりわけ幹事を務めた学部生のグループのご尽力が大きかったが、幹事学生にとっても大変良い経験となったものと推察する。

これで東京・神奈川地区原子力系4大学がすべてホスト校を務めたことになり、対話in東京も2順目に入る。この経験を生かして、この対話をより充実したものにして行くよう、次の幹事に伝承して行ってもらい。

対話でいつも感じることは、シニアの発言が多いことである。より多くを伝えたい、短い時間を有効に使いたいとのシニアの思いが大きいとはいえ、学生の聞きたいことに応える、より多くの質問に応える、あくまで主役は学生である、ということを念頭に対話に臨むことを徹底する必要を感じた。長崎大学で行った対話のグループにファシリテーター役が必要かもしれないと思った。


添付資料3 事後アンケート結果

 

 (1)講演の内容は満足のいくものでしたか?その理由は?

とても満足した 16

ある程度満足した 5

やや不満だ 0

大いに不満だ 0

・現役の人の生の声が聞けてよかった。

・とても理解しやすかった。

・的確にエネルギー問題等について聞けた。

・内容がわかりやすかった。

・シニアならではの、講義では聞けない事が聞けた。

・わかりやすい内容でよかった。

・素人の私でもいけました。

・シニアの方の経験談が聞けた。

・分かりやすかった。

 

(2)対話の内容は満足のいくものでしたか?その理由は?

とても満足した 14

ある程度満足した 7

やや不満だ 1

大いに不満だ 0

・いろいろなことが聞けてためになった。

・色々なことが聞けたが他のグループの内容にも非常に興味がありそれらも聞きたかった。

・いろいろな新しい知識が入った。

・大変リラックスして話し合う事ができました。

・様々な人と意見交換できたから。

・具体的に聞きたいことを決めていなかったので。

・学生間でもう少し話をしたかった。

・自分自身の知識がなさすぎた。

・シニアの方の経験談が聞けた。

・原子力について意見を深めることができた。

 

 

(3)事前に聞きたいこと思ったことは聞けましたか?

十分に聞くことができた 17

あまり聞けなかった 5

全く聞けなかった 0

 

(4)今回の対話で得られたことは何ですか?

・原子力に対する

・シニアの知識→技術の大切さ

・伝える力の大切さ。

・教育の重要性。

・事故後、企業はどのように変化したか分かった。

・見識の高い方々の意見を聞くことができた。

・やっぱり教育。

・自分の考えを発達させることができた。

・原子力と水素は密接に関わっている。また、材料も重要。

・いろいろ。

・原子力に対する考え方。

・日本の教育の低さ。

・自分の考えの深さ。

 

(5)「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?その理由は?

非常にある 18

ややある 2

あまりない 0

全くない 0

・意欲的になる。

・意見交流できるから。

・経験が上がる。

・もっともっと学生の意識を支えていく必要がある。

・原子力の実際に触れることができたから。

・学生は知識がない。

・経験に基づく考え方を勉強できる。

・自分に持っていない意見が聞ける。

 

(6)今後、機会があれば再度シニアとの対話に参加したいと思いますか?

まだまだ話したりないので参加したい 6

もっと知識をふやしてから参加したい 12

十分話ができたからもういい 3

二度も必要ないと思うからもういい 0

その他 1

・時間が…。研究したかった。

 

(7)エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?

大いに変化した 5

多少変化した 9

あまり変化しなかった 8

全く変化しなかった 1

・原子力の必要性を感じた。

・元々、それを専門に勉強していたので、危機的だと最初から思っていた。

・原子力の重要性が良く分かった。

 

(8)原子力に対するイメージに変化はありましたか?

大いに変化した 1

多少変化した 4

あまり変化しなかった 6

全く変化しなかった 4

・だいたい何となくわかっていました。

・イメージ通りだったため。

 

(9)原子力に対する関心の低い10代、20代の若年層に対する原子力広報活動はどんな方法が良いと思いますか?

・ポスター。

・直接的に話をする。

・マンガ、ドラマ(近未来、原子力のない未来)

・講演。

・ビデオ、イラスト。

・発表にもあったが、義務教育の中で、教える必要がある。

・義務教育。

・もっと具体的にわかりやすく、かみくだくと良いと思います。

・出張授業など(学生主体の)。

・義務教育。

 

(10)本企画を通して全体の感想・意見などあれば自由に書いてください。

・凄くためになりました。

・大変有意義な集いでした。

・良好。

(以上学生幹事)