学生とシニアの「対話in東京2009」 報告書

 

平成22年1月10日

まとめ SNW運営委員 松永一郎・小川博巳

 

 

00集合

 

1. 実施趣旨

 2005年度から続けている「学生とシニアの対話」活動の一環として、日本原子力学会・シニアネットワーク(SNW)と学生連絡会が共催で、東京大学にて対話会を実施した。通算39回目の対話会であるが、今回は特に、「シニアと学生の共同出版」企画のうち、「シニアと学生の往復書簡」を補う対話会にしたいとの学生の希望に副って開催した。

従って参加者は、往復書簡を担当した学生とシニアを主体として、これに対話テーマに関心の高い原子力工学以外の文系学生・留学生も加わり、全国から10大学、学年もB1からD3まで極めてバラエティーに富んだ構成となった。

対話会をより効果的に実施するため、これまでに積み重ねて来たテーマ毎の往復書簡の中間報告書を、学生とシニア双方に配布して、対話への事前準備とした。基調講演は実施せず、対話開始と共に直ちに本論の議論が展開された。

 

2.対話の目的

 エネルギー問題・地球環境問題や原子力に関わる各種の課題の中から、学生間の議論を踏まえてテーマを絞り込み、シニアとの往復書簡を略半年に亘って重ねてきた。今回の対話会では、往復書簡を積み重ねた学生、或いはその中間報告書を読んだ学生が、そのテーマにつき微妙な点を対話で補いつつ更に深堀することを目指した。

シニアの原子力実務経験を踏まえた知見に対し、学生の新鮮な視点からの双方向の意見交換により、学生に将来への夢と希望を抱かせ、次世代を担う自覚を培わせ、自信に繋げてもらうことを対話の目的とした。

3.対話の実施

(1) 日時:2009125日(木) 13001800 

学生準備会:対話会開催に先立ち、往復書簡の参加学生と一般参加学生のレベル合せ等のために、約15分の準備会を開催した。

  対話会終了後の懇親会:   18001930  於・対話会々場

(2) 場所:東京大学本郷キャンパス工学部8号館3階プロジェクト演習室

(3) 参加者

@ 学生    北大   M1:2名    東北大学  M2:1名  

                  東大   B3:3名      東工大   M2:2名

                           B4:2名      早大    B1:1名

                           M1:1名    慶応大   M2:2名

                           M2:3名      茨城大   M1:1名

                           D1:2名     中大    D3:1名

                 湘南工大 B4:1名     東京都市大 M1:1名

                  社会人1年生  :2名         D3:1名 

         参加学生氏名は添付資料1 Gr編成表に表示。     計26名

                     青字部はリンクが設定してあります、以下同じ)

       A シニア 益田恭尚 路次安憲 神山弘章 宅間正夫 小川博巳

          荒井利治 齋藤伸三 松永一郎 金氏 顕 坪谷隆夫

                石井正則 若杉和彦 林 勉  金子熊夫 岸本洋一郎    

竹内哲夫 丹下 理                 計17名

       B オブザーバー 

                  山本智彦    佐藤祥次 高木俊弥          計 4名

                               参加総計47名

(4)開会挨拶要旨  竹内哲夫SNW会長

世界も日本社会も、この1年大きな変化がありました。Changeと言う言葉が流行語になり、誕生直後の鳩山政権の予算執行をめぐる事業仕分け人の議論も、先週までホットな話題で原子力も俎上に乗りました。

学生の皆さんとの対話も今回で39回目を迎えましたが、東大対話ではChange、幾つかの新しい試みがあります。

一点目は完全に学生主導で計画が進められたことです。

幹事役・嶋田君は、SNWと連携しながら「シニアと学生の共同出版」の「往復書簡」の学生執筆を進めていますが、そのテーマについて更に掘り下げた議論をしたいとして、今回の対話フレームを設定したことです。従って、学生対話としてはこれまでのジャンルを越えた国際問題、規制、テロ対策、更には劣化ウラン弾といったものまであります。国際問題や規制などは、目下の最大の問題として議論中ですが、シニアの問題の捉え方自体が、ヒョットすると既に化石化しているかも知れません。今日は若い未来志向の発想を入れて、われわれの殻も破る議論をしたいと思います。

      二点目は、学生グループがハイブリッドである事です。

東大の開催ですが、原子力工学と言う枠を超えて文系の方も参加され、しかも討議グループの構成も学生希望で、大人数からコジンマリした物まであり、正しくハイブリッドな構成です。国際問題のグループは大人数になりましたが、このグループには日本におけるこの問題の第一人者・EEE会議の金子熊夫様に、今日は特別に参加していただきました。

本日は短い時間の討議であり、シニアからすれば積年の問題点を全て紹介するには時間切れになるかとも思いますが、老若世代を超えた闊達な議論を期待しております。

 

(5)実施内容

@ グループ別テーマとグループ編成(グループ編成は添付資料1. Gr編成表を参照)

1. 原子力の社会受容性(原発周辺の環境影響を含む)

2. 原子力の社会受容性(原発の廃炉を含む)

3. 高経年化

4. 高レベル放射性廃棄物処分

5. 劣化ウラン

6. 規制、テロ対策

7. JCO臨界事故

8. 核不拡散、保障措置、日本の原子力産業の国際展開など

 

A   Gr毎の対話内容・Gr発表

   各グループの対話内容は、添付資料2.Gr対話報告書集を参照されたい。

 

(6−1)講評要旨   小川博巳・SNW運営委員

    今回の対話会の主題である、シニアと学生の「共同出版」及び「往復書簡」について触れておきたい。

「シニアと学生の対話」は各方面から高く評価されているが、「共同出版」では更に腰を据えた「意見交換の場」を設定し、学生の自主的な取組に期待しつつ、次世代を担う自覚を是非とも培って貰いたいと念じ、SNWの企画を学生に伝え検討を委ねた。

    学生からは三案の提案があった。第一は、テーマを絞って学生意見と質問をシニアに投げかけ、シニアがメールで答える往復書簡の交換だ。本日の対話会テーマは、将に往復書簡の延長戦で、これまでにない深みのある対話が出来た。学生提案のその二は、学生による後輩学生への参考書執筆。その三は、学生の夢と希望・提言などを綴って、社会に彼らの思いを届けたいとの企画であった。SNWは学生提案を是として、追加予算を申請した。学会としても、支援するべき優れた企画・活動だとして、追加予算が認められた。

    来年・春の年会では、共同出版をテーマに企画セッションが開催される予定で、注目を集めている。学生諸君はSNWと共に、それまでに出版事業を成し遂げて貰いたい。そして胸を張って企画セッションでその成果を語って貰いたい。

今日の対話会は往復書簡を補って余りある大きな成果だ。この成果を上手に「共同出版」へ反映させ、併せて、次世代を担う強い意志固めの材料として活かして欲しい。

 

(6−2)閉会挨拶要旨   齋藤伸三・SNW運営委員

今回は、竹内SNW会長の開会挨拶にもあったように、「シニアと学生の共同出版」の「往復書簡」で取り上げてきたテーマについて更に掘り下げた議論をすることを目的にした対話であったので、極めて充実したものであったと評価できると思う。
 無論、その陰には、学生幹事である嶋田君の獅子奮迅の準備活動があってのことで、実は、嶋田君は原子力学会の秋の大会で、今の学生は草食系が多いとの話題になった際に今回の対話には肉食系で揃えると断言された結果でもあると思う。広範な分野に亘り8グループで意に違わず肉食系の、かつ文系も含めた学生が参加した議論が、他のグループの雑音に悩まされることもなく出来たことも学生幹事に感謝したい。

各グループの発表を聞き、それぞれ、大変白熱した中身の濃い対話が出来たものであったことは、これまでのシニアと学生の対話でのグループ発表より格段に充実したものであったことから推察出来た。一つ一つに言及する時間はないので一点だけ述べたい。
 経年化に関するグループでは、原子炉材料の腐食、経年劣化等の研究開発の重要性が認識され、興味深く、チャレンジし甲斐のある課題であるとの報告があった。  この材料の問題は原子炉に限らず、航空機、船舶等多くの分野で重要な課題であるにも拘わらず、近年、科学技術というとナノテクや生命科学等の分野のみ重視して重点的に予算配分し、この分野の人材が払底してきたのは国にも責任がある。本日、若い方々から材料科学、構造力学に関心が高いことを聞き、力強く思うとともに応援していきたい。
 学生の皆さんは、本日の議論も踏まえて「シニアと学生の共同出版」の内容をより充実したものにされることと思うが、大いに期待している。このような皆さんの力が、皆さんの将来を切り拓く礎となると確信している。

 

4.学生の事後アンケート結果  (添付資料3.事後アンケート結果を参照

     これまでの学生対話と比較して、際立っている点を以下に列挙する;

   なお、有効回答の学生数は19人。

  とても満足した 10 ・ある程度満足した 7 ・やや不満だ 2 ・大いに不満 0

満足度89.5%  極めて高い満足度

  往復書簡への参加・希望(複数回答合計51):

    往復書簡に参加していた

    事前に勉強した

    HP質問コーナ/Blogなどがあれば活用したい: 以上合計36

    講義・研究など手一杯で参加し難い:           15

    往復書簡自体が初めての試みゆえ、今後の対応指針として本項は配慮を要す。

  対話の必要性:非常にある 17 ・ややある 2

  エネルギー危機に対する認識に変化:あまり・まったく変化しなかった 17

対話の必要性の評価と合わせ、学生の意識レベルの高さ物語っている。

  自由記述の質・量共に極めて豊富で、かつ真摯な姿勢が窺える。

自由記述については、SNWとしても真剣に検討すべき指摘が多々ある。

 

5.添付資料目次

 

青字部はリンクが設定してあります; 必要な添付資料名をクリックすると、

当該頁が開きます。 資料末尾の(添付資料目次へ戻る)から同様にして、ここに戻れます。

 

1.Gr編成表

     2.Gr対話報告書集

3.事後アンケート結果

            4.参加シニア感想集

            5.写真集

 

添付資料1.

 

 

   

 

 

          

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(添付資料目次へ戻る)

 

 

添付資料2.

 

学生とシニアの対話会イン東京2009 対話報告集 

日時:2009125日(土) 13:0017:30

場所:東京大学本郷キャンパス工学部8号館3階プロジェクト演習室

フォント調整以外は、各報告原文のまま。

対話会幹事 松永一郎  まとめ補佐 小川博巳    20100104

 

 グループ1  社会受容性 

報告者:小川 博巳

1.Grメンバー 

学 生: 岸田(北大)、桜原(東大)、村岡(東大)、原山(早大)、嶋田(東大)

シニア: 神山(SNW)、小川(SNW) 

 

2.対話の概要

シニアと学生の往復書簡テーマ「社会受容性」及び「環境影響」のうちから、学生の希望により「社会受容性」が対話テーマとして選定された。往復書簡に参加しなかった学生を含め参加者全員が、同往復書簡の現状までの報告書を予め目を通して対話に臨んだ。従って、最初からかなり核心をついた議論が展開され、加えて学生の真摯な意見も披歴されるなど、密度の濃い対話交流が達成できた。

 

3.対話の展開

3−1. 原子力不信の起源とは 

        事故、データの隠蔽

l  事業者やメーカーの体質 、技術者の心情

l  不適切な情報開示が招いた恐怖感:「むつ」の放射線もれ、

                     敦賀の放射性液体漏れ−暁の記者会見

        国民の意識の変化

l  導入初期:原子力は支持されていた

エネルギー資源の重要性に対する国民理解が高かった

            戦争の原因が資源エネルギーだった

l  近年:ある種の“個人中心主義”文化の成長

3−2. マスメディアと原子力

   マスメディアが不信を煽っているのではないか?

l  マスメディアの持つ出版事業・商業主義的な側面と、「社会の木鐸」の乖離。

l  マスメディアに期待し過ぎてはいけない。

l  今まで伝えてこなかった反省がある。

  → エンジニアが伝えなければいけない!!

l   学校教育が大切

l   原子力が必要になる背景をしっかり伝えなければいけない

3−3.社会受容性向上のために

   賛成派vs反対派という構造に注目しがち ←→ だが、国民の大半が中間層。

   中間層に如何にアプローチするかが大切

l  仏国の例:

      政策決定をストップして、国民参加の徹底的ディスカッションを半年

      そのプロセスを公開、マスコミ等も積極的に報道

l  その他、何ができるか

      広島、長崎が積極的に原子力の平和利用に関与

      電源の選択制 ”の導入(←かなり強硬策だが、一つの貴重なヒント!)

消費社会における「個人の選択」の自由度が、電源にはない。工夫が必要だ!

l  物事をもっと大きな視点で考える必要がある。

3−4.将来の原子力発電の導入について

     原子力発電には、イメージを悪くする原因がある。

(例:高レベル放射性廃棄物の処理処分問題)

     原子力のイメージを変えるためには?

u  政治家が声を大にして発言することが重要 :政策提言の事例紹介

u  国民の関心を集めることが必要

事業仕分けのように、国民に注目されるような議論が必要

3−5.「集団線量」評価  往復書簡・議論の延長戦

     集団線量の評価方法について チェルノブイリでは、被害者予測数が4000  (WHO Chernobyl Forum)と推計された。同じ評価・計算をすれば、仮想事故

で同等の被害者数が予測される可能性がある。なぜ日本では計算しないのか?

     現在の方法には課題がある。新しい評価基準が必要になるのではないか?

l  4000人は、該当数カ国の平均寿命の過大評価(平均95歳)・低線量被ばくの過大評価など等、多くの問題を抱えた推計発表である、との指摘があることを認識しておきたい。

l  チェルノブイリとTMI、軽水炉との違い、安全文化、両者の比較とパトリック・ムーア博士の大懺悔、等々の紹介。

l  「被害者予測数を示さない」ことについては、その不確実性を排除し得る適切なリスク予測条件の設定は、残念ながら国際的にも未だコンセンサスが得られていないとの審議会の見解だ。誤解を与えかねない評価は慎むべきだ、と理解したい。

l  集団線量については、原子力安全委員会「立地指針等検討小委員会」で議論中だ。「長期間にわたり広範囲の地域に及ぶ非常に低い個人線量の不適切な集積を避けるため、制限条件を設定する必要がある。線量の範囲と期間を明記すべきである」との、指摘もある。

l  対話会直前に往復書簡に上記を追記し、対話会席上で説明した。

Gr.1 以上 

 

グループ2  社会受容性

報告者: 林  勉

1.学生メンバー:

 酒井祐介(東大M2)、大川修平(湘南工大、B4)、玉村斉聖(東大、B3)

 羽倉尚人(東京都市大、D3)

2.シニア:

   宅間正夫、林 勉

3.対話の概要

   まず学生側から今回の対話で何を話したいかのテーマを出してもらった。それ

に対してシニアの考えを述べ、更にそれに対する質疑という形で進行した。

4.対話のテーマと質疑項目

1)まず嶋田君(オブサーバー)から原子炉事故時の被曝評価でがん死者予想数を出すべきではないかとの提案があった。これに対しては被曝被害の線形評価には問題があり、死者数を算出する意味がないことを説明。

2)嶋田君からは被曝してもビタミン等で細胞を活性化させることにより、細胞を再生できるので、この面の知識を普及させるべきとの意見。

3)原子力の受容性向上には市民に何を伝えるべきか。

  絶対的な解はないが国民が不安の思っていることをこちら側が感性を駆使して的確に捉えて分かりやすく広く伝えることが肝要。

4)原子力技術・情報の流出の問題は?

  核不拡散、テロ等に関連する情報は管理しているが、原子力発電に関する資料は、安全審査関係、許認可関係、トラブル情報等も広く公開されている。

5)原子力従事者には発言の自由はあるか?

  現在は従事者が「風通しよい職場作り」のもとで社内で自由に意見が言えるように配慮している。作業者からは要望とそれに応える企業側の回答をすべてオープンにした「ご意見箱」を作業場に設けている。組織の壁でいえないようなことは、シニアが自由な立場で発言するようにしている。

6)原子力はメデイアにいじめられているように感じる。

  国・電力の進める原子力と地域住民との仲介役を自認するマスコミは住民側に味方しがち。メデイアは一時期総じて反原発であった。最近は少しづつ変化しつつあるが、まだ問題が多い。シニアはメデイアにも問題報道には抗議している。

7)原子力推進体制の問題は?

  今までの半世紀の原子力は保守一党体制の下で産官護送船団という恵まれた環境、その中で現在は経産省の中に推進と規制の両組織があり、これが地方自治体から信頼されていない原因にもなっている。民主党はこの是正を求めており、期待したい。

8)「原子力ルネサンス」とは原子力人も変わると共に社会を構成する市民一人一人の意識の変化が必要、身の周りからはじめるということで、小中学校への出前授業をやっている。

  素晴らしいことだ。

9)海外から学ぶことも必要ではないか?

  フランスの例を紹介。広がりのある広報のためには、学校や地方自治体との共同教育や理解活動が必要。この点でわが国は遅れている。

10)学生は今何をしておくべきか?

  ・技術を学ぶのは当たり前。豊かな感性を持った教養人になってほしい。

  ・これからは原子力も国際化の時代。海外と交流できる語学力と幅広い教養が求められる。

11)原子力も技術系だけではなく、文系の目で原子力の理解活動をしたいがどうか?

   良い着眼点である。原子力は人文・社会系も含む総合科学技術でかつ相互依存性の強い分野。文系の目で広い視野も必要。原子力は今や社会システムである。その目的は国民の最大利益であるはずである。今は各組織が自己の利益追求に走り、この原点を見失っている。このような点を文系の目で社会に発信してもらいたい。

5.学生発表での質疑

(質問)原子力の教育問題を取り上げていたが、現在中学でも放射線などの教育をやっているのではないか。

(応答)十分ではないと聞いている。(学生)

   中学での放射線教育は学習指導要領にやっと入った段階であり、これから実施される段階であり、現状は全く教育されていないというのが実情である。(シニア)

Gr.2 以上 

グループ3  原子力発電所の高経年化    

報告者: 益田 恭尚

 

1.メンバー ; (学生) 関根 恵(北大M1)、村上健太(東大、D1

(シニア) 益田 恭尚、 路次 安憲、

2.対話内容

(1) 概要

「高経年化対策」については、今回出席できなかった加藤洋明氏を含めたシニア3名と学生側のとりまとめである関根さんとの多数回にわたる往復書簡内容を、関根さんの努力でほぼ全容(報告書案)がまとめられた状況にあった。そのようなベースに加えて、今回の対話は小人数であったこともあり、長寿命化の意義の確認と、学生が原子力発電に取り組む上でチャレンジし甲斐があるかといった話を中心に対話が行われ、学生からも高経年化技術の面白さを実感でき有意義であったとの感想に顕れている。

(2)内容

@初対面の村上君の研究課題の説明を聞いた。東大関村研究室で、原子力プラントの情報の整理と、中性子照射脆化およびSCCの研究とのことであった。

Aシニア側からは、前日まで行われていた東北大学での保安セミナーの説明をすると共に、一部テキストを参考用として手渡した。

Bプラント長寿命化・高経年化対策の意義、膨大なデータから将来に役立つ知識として各組織がどのように活用しているかについて、再確認の議論を行った。

C村上君からABWRの開発の経緯と各要素を何故採用したかの説明を求められた。

技術的に成熟しきっているかに見える軽水炉に学生が興味を持ちにくい(「原子力業界はR&Dが遅い」という間違った印象と発表)のでそのような話を聞きたかったとの説明があり、まだまだやるべきことが沢山あることの理解を深めてもらう一助になった。

D国民が不安に思っていることを分かりやすく広く伝えることが肝要との認識でも一致。

5.学生発表での学生間の質疑

(Q)コンクリートの劣化も重要事項とされているが、どのような検討がなされているのか。

(A)コンクリート劣化はゆるやかに進行するものだが、強度に影響するものなので重要とされている。「中性化」が一番の問題で研究と定期的な点検がなされている。

(Q)高経年化などという難しい言葉を使っているが、要は老朽化対策ではないのか。

(A)運転開始後の年月が永いプラントでは、主要な機器はほとんど更新されていて、機器によっては全国の発電所の中で一番新しいという状況のものもある。そのようなプラント全体を老朽化と呼ぶのはふさわしくない。

Gr.3 以上 

 

 

グループ4  高レベル放射性廃棄物処分   

報告者: 石井正則

 

メンバー 学生 :アレックスクーパー(東大M2)、宇部道子(東大M1

     シニア:坪谷隆夫、石井正則

 

1.対話の概要

往復書簡の延長線上で、これまでの往復書簡を補足し完結するというねらいと理解していたが、出席者は往復書簡にたずさわっておらず、また、あらかじめ質問が用意されておらず、戸惑いながら対話を進める結果となった。

参加学生の関心事に応える型で対話を進めたが、往復書簡にはなかったテーマであり、編集すれば往復書簡に追加することができよう。

 

2.対話の主なテーマ

1)処分の領域は実現するのが相当先で、研究開発をしても、実現の喜びを味わえない。どういう気持ちでやってきたか?

実際に長年研究開発にたずさわってきた坪谷氏から、世界の先端技術を開発しているという自負や、各国の先端技術を学び、競合しあえるという環境があり、やりがいのある仕事だとの体験談が披露された。

2)日本の技術はどの程度か?

世界で最先端グループの一員。

3)社会とのかかわりが重要

処分場の選定が進まないのは技術的な問題より社会的問題。この点では、カナダ(学生メンバー、アレックスの出身国)の進め方が参考になる。カナダでは,オンタリオ電力が進める低レベル放射性廃棄物処分場の例でも住民の意見も聞きながら進めており、住民の意向を踏まえ、処分場の深さを当初計画より深くした。この住民参加により、住民の意向を反映しながら進める方法を学ぶ必要がある。

4)処分の方法に関して

処分場としては、地盤の安定性の点から技術的な課題(地震、噴火、地下水など)を満足すればよいし、規模も40000本である必要もないので、東京の地下も含め、検討対象としては非常に柔軟性に富んでいる。

 

3.発表における主な質疑

Q 高レベルには様々な物質が入っており、その中には貴重な金属もある。それらを回収することはできないか?

A それらの金属のなかには放射性のないものもあり、回収は可能であるが、問題は経済合理性。ボランティアとして研究することも可能なので、興味のある方はチャレンジしたらどうか。

 

4.所感

往復書簡を担当していなかったメンバーということもあり、学生の準備は十分とはいえなかったが、原子力を専攻している院生であり、当該テーマに絞られた対話ができた。カナダからの留学生はこの分野の研究開発の動向や進め方に関心があるようで、参考になったものと思う。

残念ながら往復書簡を補充、完成させるというねらいが十分伝達されなかったため、このねらいが不明確になってしまったが、今回の対話のなかから、これまでの往復書簡になかったテーマを補充し、充実させていただきたい。

Gr.4 以上 

 

グループ5  劣化ウラン    

報告者:若杉和彦

1.対話参加者

(1)学生:成田隼(東北大M2)、上西沙耶加(東京都市大M1

嶋田和真(一部参加、東大D1

(2)シニア:丹下理、若杉和彦

 

2.対話概要

 湾岸戦争等で多量に使われた劣化ウラン弾による環境汚染と人の健康障害に関する懸念について、往復書簡の内容に基づき上西君、成田君の2名から補足質問と意見を聞き、それに答える形で対話を進めた。また、嶋田君が途中で一部対話に参加した。

3.主な質問事項とシニアの回答・意見

(1)劣化ウランの放射線による健康障害が「湾岸戦争症候群」又は「バルカン症候群」

 等と呼ばれているが、どう考えるか。

  −原子力に反対する組織等から感情的な情報が氾濫しているが、事実に基づく科学的

 な資料を読んで判断して欲しい。国連やIAEAが行った組織的な調査報告では、劣化ウラン弾による顕著な環境汚染や健康障害は認められていない。

−但し、地下水等への低いレベルの環境汚染や人に対する疫学調査は今後も行われる予定である。このことはIAEAWHOも同じ立場である。

(2)原子力の平和利用の過程で生まれた劣化ウランが兵器として利用されていることについてどう考えているか。

−「原子力の平和利用の過程で生まれた劣化ウランが兵器として利用されている」という言い方は原子力反対派が言いそうな偏見であり、実際は、イラク戦争等で使われた劣化ウラン弾は、米国等核兵器保有国が原爆製造のために行ったウラン濃縮の結果発生した膨大な量の劣化ウランの一部を利用したものである

  −いかなる戦争も避けられるものであれば避けるべきであり、劣化ウランが戦場で使われないに越したことはないが、戦争当事者者から見れば、ウラン弾で敵の戦車を破壊して味方の兵士の命を救うのを選ぶのは当然のことである。しかも、ウランの環境への影響があるかないかの微々たるものであれば尚更である。

  −戦争では劣化ウランよりはるかに殺傷力の大きいミサイル、地雷、クラスター爆弾、生物兵器等が使われており、禁止されていない。原爆ですら場合によっては用いられるかも知れない。このような状況の中で、劣化ウラン弾を取り上げて危険性を今議論してみても意味のあることとは思えない。

(3)劣化ウラン弾が規制されるべきかどうかについて意見を聞きたい。

  −前記の国際情勢や海外派兵して戦争はしないとする日本の国際的立場から、劣化ウラン弾使用規制を国際的に発言する立場にはないし必要もない。

  −我が国の劣化ウランの状況について触れると、日本原燃のウラン濃縮施設で多量に取り扱い、シリンダーにUF6の形で安全に保管している。また、核燃料物質としてIAEAの査察を受け、兵器に転用される恐れはない。劣化ウランは弱いアルファ線と微弱なベータ線、ガンマ線を出し、重金属の影響もあるが、天然ウランよりも比放射能は低く、体内に取り込んでも容易に排出されるので、環境への影響や人の健康への影響は小さい。

(4)原子力をさらに普及させるために、劣化ウランの問題をどのように取り扱うべきか、また私たち学生として出来ることは何か。

劣化ウランは貴重なウラン資源であり、将来ウラン価格が上昇した場合には現在のテイル濃度でも再濃縮すれば経済性が成り立つ。また高速炉が実用化された時ブランケットでPU-239に転換するために使われる。このように我が国では劣化ウランは燃料資源として平和利用に徹して活用される。

  ‐一切の国際紛争にかかわることを避けている我が国が米国等世界にこのウラン弾の問題を提起することは出来ないしその必要性もないと思われる。

  −原子力の普及のために、原子力の持つプラス面とマイナス面の両方を透明裡に公表する考えには基本的に賛成である。しかし、劣化ウランや劣化ウラン弾の問題をこちらから提起し議論することは、予備知識を持たない一般市民に混乱を招き、不安を助長しかねないと思われるので避けるべきである。

  −一般市民が原子力に対して正確な知識を持つことが第1に大切であり、今まで原子力やエネルギーの教育がほとんど行われてこなかったことこそ問題である。原子力の普及のため、このような問題に対してこそ学生からも大いに発言し、政府や社会に積極的に働きかけて欲しい。

(5)放射線の人体への影響評価に関して「集団線量」が使われているが、今の使われ方  

 について問題はないか。(嶋田君が対話の途中に参加してこの問題を提起した。)

−安全委員会で安全目標を策定した際に、集団線量は使い方により一般の誤解を招く 

 等の議論があった。ただ、この問題は対話会での議論からやや外れており、また大きな課題をはらんでおり、別の場で議論すべきであろう。

4.学生発表時の質疑応答 特になし。

Gr.5 以上

 

グループ6  テロ対策・規制    

報告者:荒井 利治

1.メンバー

  学生:小林遼太郎(慶大M2)、堀口晋(経済産業省S1),谷口善洋(三菱重工S1)

  シニア:竹内哲夫、路次安憲、荒井利治

2.対話の流れ

 今回学生が1名(小林、嶋田両君のうち嶋田君は全体統括のためグループ対話に出れず、代わりに社会人1年の同期生2名が参加)であったので、ベースを作るためシニアが下記参考資料を持参し紹介した。

 ・主なテロの未然防止対策の現状―内閣官房(平21.11.25)

 ・安全規制の現状と問題点―竹内哲夫

 ・原子炉規制の法の在り方―西脇由弘

 ・安全思想の変遷・・・私の歩んだ原子力安全の道―石川迪夫

 

次いで小林君からこれまでの書簡往復で理解できなかった点を質問し、それにシニアが答え、同時に全員が討議に加わることで対話を進めた。

3.対話の概要

()テロ対策

 ・原子力発電所のテロ対策はどの程度されているか?

  対策の内容は公表されている限り9・11以降前と比べ格段と厳しくなっている。

  入門の厳しさは格段で、見学者も限られたルートを通るだけでかえって危ない施設だとの感じを持たせている。塀の構造や監視装置も強化された。海上も巡視艇が監視をしている。

しかしどの程度の武器の攻撃に対して施設が持つかという具体的内容は発表されていない。これは敵に手の内を知られては意味がないので当然である。

  原子炉がテロの攻撃に対して安全上大丈夫だとの保証ががない限り国民の安心が得られないのではとの気持ちは理解できるが、想定するテロの戦略、武器の威力など考えれば際限がないので、議論ができないと思う。

  

 ・テロ対策担当と原子力発電所側との情報交換が必要ではないか?

  当然必要な情報交換はされている。保安院が担当で自衛隊・警察が入っていて手持ちの小型ミサイルの防災の実験はやっているようだが具体的な内容は分からない。まして中、大型ミサイルによる攻撃など戦時下の対応を完璧主義でやることは経済的にも問題である。今日の議論は具体性がないのでこれ以上進めないこととした。

()規制

 ・データー改ざん、事故の隠蔽等の不正の原因を取り除けないか?

 ・法律体系の不備が隠蔽、改ざんなど不祥事が生じた遠因となっている。これまで先送りにされてきた法体系の整備を是非やる必要がある。

  食品の偽装問題と原子力の不正が同レベルで論じられているのは残念である。食品の場合はもうけるためにやった。原子力は当時維持基準がなかったので新品化が求められ、社会のためという動機でやってしまっている。もちろん違反はあくまでただされねばならない。

 ・炉規制法と電気事業法の関係が問題で、電気事業法は事業者規制であり技術を規制するものでは無かったが、原子力が登場してこの2つの規制によるダブルチェックが行われるようになった。

 ・その他規制に対する問題点として次のような指摘があった。

1)原子炉の認証と事業者の認可

米国では型式認定として原子炉に認証を与えている。それに対し、日本では認証を与えるという行為が規制にはない。電力会社に対して発電事業に認可を与えている。

これはメーカーが原子炉の輸出で国外に出る時に競争力にハンデイを与えている。

国の検査に対してはメーカーは直接関係はないが、製品を作る側として知っておくべきことがあるので勉強した。

2)法は簡単には直せないので、下部の省令、法令、行政指導にたいし、事業者とメーカーは相談しながら対処してきた。行政指導は個人の判断にゆだねられる面が多く、日本の社会は官尊民卑であることから問題が生じやすい。

基準がない問題に対し箸の上げ下ろしにまで指導があると規制される側はやる気をなくしてしまう。この点米国では自主性を重んじ、規制のあり方を変えて設備利用率の改善に結びつけた。

3)国の規制の権威を自治体が認めない例が出てきて混乱している。これを安全に関しては一人の権威在る責任者がone voiceで安全だと宣言するべきである。

4)現在経産省の中に原子力の推進と規制の両機能があるが、これを分離すべきとの意見がかねてからあり、民主党もその政策集INDEX2009でこれを唱えている。

・以上限られた時間での討議で小林君の抱えている疑問「国民が原子力は安全だと思うには不正隠蔽をただすとともにに規制の強化が必要ではないか?設備利用率を向上するには規制を緩和するべきか、それが安全を損なわないか?」が十分解消されたとは思えないが、考えを進める糸口は得られたのではないか。

 

5.グループ発表時の質疑応答

Q1 事故、データー改ざん、隠蔽があると規制を強化せよとの意見が出されるが

どう思うか。

  A1 マスコミなどはそれを強調するが、食品の偽装事件とは同一視できない。食品の場合は金儲けのためだが、原子力では電気の供給と動機が異なる。

  Q2 テロ対策で小型ミサイルとあるのはどの程度のものか。

  A2 人が手で持って発射するものを考えているようだ。

  Q3 規制の不備とあったが、これに対し何かできることは。

  A3 過去には事業者は国が上意下達で指示することに従ってきたが、これからは

     対等な立場で話し、改善してゆくべきと思う。

  Q4 (斎藤伸三前原子力委員長代理のコメント)現在東大の斑目教授を委員長として「技術と法の構造分科」で規制についてどうあるべきかが検討されている。21年度にまとめられる予定でその結果をふまえて改善が図られると思う。

 

Gr.6 以上

 

グループ7  JCO臨界事故   

報告者:松永一郎

1.対話参加者

(1)学生:菊地貴宏(茨城大M1)、カムパナート シルワ(東大B4)、

嶋田和真(東大D1

(2)シニア:齋藤伸三、松永一郎

2.対話概要

 主として往復書簡内容に関して菊地君、シルワ君の2名から補足的な質問を聞き、それに答える形で進めた。嶋田君は最後に1つだけ質問を持ってきて参加した。

3.対話のテーマと質問事項

(1)何が事故を誘因したのか

・元々、ウラン粉末で納入していたものが、ウラン溶液となり、更に均一ウラン溶液で納入というように、要求がだんだん上がっていった。また納期もきびしくなっていった。

・一方それらの要求に対応した許可を得た設備がないにもかかわらず、「顧客サービス」ということで要求を受け容れ、作業の簡略化、効率化を進めていった結果事故になった。

JCOとしてそのような要求を拒否する事は各段階でできた。過剰サービスの結果が事故になったのであり、皆に迷惑をかけ全くの逆サービスになった。言い訳はできない。

(2)臨界終息作業の立案・実施はどうしたか

・原研に対策本部をおいて沈殿槽のジャケットの水抜きをすれば終息するだろうということで、水抜き隊(JCO)を編成し実施し、その結果終息した。

・水抜き要員の被ばくを緊急時許容線量限度100mSvの1/2以下に抑えるために、各人3分以内の作業時間とした。その結果50mSvを超えるものは出なかった。

(3)事故時の村民への対応などはどうしたのか

東海村の諸機関、諸施設が一団となって対応した。諸外国からも問い合わせが相次ぎ、米国からは「臨界収束に関し専門家を派遣しようか」という申し出まであったが、その必要はないと断った。

(4)村民、作業従事者等の被ばく線量はどのようにして出したのか

・沈殿槽からウラン溶液50mlをサンプリングし、Mo-99等評価上適切な4核種の生成量を測定し、これに基づいて総核分裂数を求めた。これに臨界収束までの出力変動を考慮し距離と時間を関数とした中性子線、γ線による実効線量当量を求めた。各個人の被曝線量については、このデータを基に沈殿槽からの距離、遮蔽物、その場所の滞在時間等の聞き取り調査を行い算出した。総核分裂数については転換試験棟外のSUS製ネットの放射化からも評価を行い検証しているので、これ以上精度は上げられないといえる。なお、原研の研究者の中には近くの民家にあった10円玉の放射化により総核分裂数を推定した者もいた。

(5)事故前後で何がどう変わったのか

・防災指針で「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)」が正式に定められた。JCOのような燃料加工施設では500m。これはたまたまJCO事故のとき東海村が出した350m以内の避難勧告に近い。

・全国の原子力施設所在地にオフサイトセンターが作られた。

・事故訓練を提案していたがJCO事故以前では受け容れてもらえなかった。それ以後は毎年実施するようになった。

・消防など事故時対応する者の被ばく線量は100mSvである。事故以前はあまり認識されていなかったが、事故後に自治体関係者から教育して欲しいとの依頼が相次いだ。

(6)10km圏内の屋内退避はオーバーな措置ではなかったか。

・当時の状況からはやむを得なかったが、後で不要であった事を公表すべきであった。

・10kmとしたことが風評被害を大きくしてしまった。

(7)原子力防災対策実施指針の「屋内退避及び避難等に関する指標」の予測線量のうち、内部被ばく線量は100〜500mSvで屋内退避となっている。事故時は誰がどう判断するのか

・現実問題として事故発生から短時間で被曝線量を評価出来ない。したがって安全側に判断するしかないだろう。判断するのは、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣である。

 

4.学生発表時の質疑応答

Q:作業員が臨界についてあまり理解しなかったので事故が起こったと聞いている。そのような議論はなかったか。

A:もっと広い観点からの対話だったので議論はなかった。

  従業員に毎年臨界安全に関し教育をすることになっていたが、実際には行われていなかった。(シニア補足説明)

Gr.7 以上

 

グループ8  核不拡散・国際展開

報告者:金氏 顕

1.学生メンバー:

堀尾健太(東大原子力、M2)、芝 知宙(東工大原子力、M2)、

渡邊浩一(中大法学部、M2)、木島佑一(東工大原子力、M2)、

中村博紀(慶大理工学部、M2)、田崎真樹子(東大原子力、D1)、

新宮清香(東大法学部、B4

2.シニア:

金子熊夫(元外交官)、

岸本洋一郎(JAEA研究フェロー)、

金氏 顕(三菱重工特別顧問)

3.対話の概要

 まず学生側からひとりずつ自分のバックグラウンドと、このテーマへの関心事項を述べた。その後はグループリーダーの堀尾君がファシリテーターとして対話を進めた。

4.対話のテーマと質疑項目

1)学生7人のこのテーマに対する関心事として次のようなことが述べられた。(順不同)

原子力の技術開発よりも社会的問題のほうに関心が移り、現在は核不拡散を専門に研究している。

核不拡散の工学面を専門に研究している。

燃料の核拡散抵抗性研究を専門にしている。

来春原子力メーカーに就職が内定しており、メーカーの海外進出のことに興味がある。

法学部で国際法が専門、国連平和活動に関心を持っているうちに核不拡散に興味を持つようになった。

20年前に大学法学部卒、動燃に就職、今はJAEA核不拡散センター勤務、その延長でドクターコースで核不拡散を研究中。

広島出身、核による安全保障に興味あり、来春外務省専門職員に内定。

2)金氏より、メーカーの海外進出の実態と課題について三菱重工を例に説明。米国W社の買収に関連して、W社技術の所有権と使用権について質疑やり取りがあった。また、メーカーの海外進出に伴う様々な原子力特有の問題点について議論し、火力プラントや化学プラント輸出に比べリスクは非常に大きく、国を挙げての支援が必要であることを認識した。

3)1)2)を踏まえ、核不拡散・原子力平和利用についての議論を行った。なお、参加者それぞれの意見を記したものであり、とくに編集はしていない。

そもそも「(日本として)なぜ核不拡散に取り組む必要があるのか」というところから議論がはじまる。「原子力平和利用」や「被爆国」であることなどが挙げられたが、究極的には世界平和に貢献するためだろう

原子力の発見当初から「核拡散は防げないだろう」(オッペンハイマー)と言われている

IAEAの役割はWatch Dog(番犬)と言われるが、ほえるだけで噛み付けない。結局Early Warningしかできないのが現状

天野さんを日本全体でサポートしていくべき。外務省だけでは不十分

非核の日本であるからこそ原子力の輸出をすべき

インド、イラン、北朝鮮など核不拡散・原子力に関わる事例は数多くあるが、それぞれの事例の本質を捉え、問題を切り分けて対応すべき

北朝鮮の核はすぐれて政治的な問題。原子力の利用とは関係ない(原子力輸出をすると北朝鮮のような国が増えるというのはナンセンス)。ブッシュは叩きたかった。

イスラエルはイランを叩くタイミングを狙っている

インドは、自分たちの力で大部分の核開発能力を手に入れた。今後2030年は核を保持し続けるだろうが、核を拡散(垂直・水平ともに)させることも少ないだろう。NPTに入っていないからといって、蚊帳の外にしておいていいのか(米印原子力協定の根拠)

名目ではなく、実質的に核拡散が起こるかどうかの判断が必要では?

インドと原子力協定を結ぶことはNPT体制を揺るがすことになり認められない。特に日本は核に対して敏感であり、到底受け入れられないだろう

しかしインドのような国の核問題に取り組まずして、核不拡散・核軍縮を重要課題として取り組んでいると言えるのか?

インドのNPT加盟の準備のために協力するのは可能ではないか?CTBTFMCTの批准などを要件にして、将来的に核廃絶の流れになったときにスムーズに取り込んでいくべきでは?原子力協力協定がないと、インドとの間で核・原子力の対話を行うことができない

理念に縛られて、世界の問題に対してhands upしてしまっては意味がない。

日本としては、政界や産業界、市民社会などが一丸となって取り組むべき。立場・主張は違うが、最終的に目指しているゴール(グローバル・ゼロ)は一緒。具体的なプロセスを考えるべきだ。               Gr.8 以上

 

(添付資料目次へ戻る)

 

添付資料3.

「学生とシニアとの対話イン東京09事後アンケート集計結果

学生連絡会代表・嶋田和真

 

先日の「シニアとの対話」につきまして、お忙しい中ご参加いただき大変ありがとうございました。皆様の手厚いご協力、積極的な姿勢もありまして、無事終了することができました。

シニアの皆様に対して、学生の率直な感想、生の声をできる限りお伝えしたいという私個人の意向で、要望、意見をほぼそのまま掲載しております。不適切・失礼にあたる表現もあるかとは存じますが、次回以降のイベントをより良いものにしたいという学生側の意識の高まりでもありますゆえ、何とぞご高配のほどよろしくお願いいたします。

 

有効回答数19

参加者24名 学部7名 修士15名 修士28名 博士4

原子力系17名 非原子力系7

進路希望(電力3、原子力メーカー5、その他メーカー1、研究機関2、その他1、進学7

 

 

質問回答

(2)   今回の対話会は、「シニアと学生の往復書簡」のテーマについて、更に深堀する対話会という

      これまでにない企画でした。 そこで伺います(複数回答可);

 

 

(3) 対話の内容は満足のいくものでしたか?その理由は?

l  話が発散しすぎてしまった

l  今まで考えていなかった分野について知り、考えさせられた

l  シニアの方の率直な意見が聞けた

l  裏話を十分に聞くことが出来た

l  難しいし、感情論になる問題を、考え直して整理できてよかった

l  時間が足りない、最後のプレゼンは一班2分程度にして、対話を長くするべき

l  聞けなかった。一つのテーマに深入りしすぎた、話を打ち切ることを学びたい

l  テーマについての双方向の議論が不十分だったため、もっと時間があれば深いところまで話せたため

l  事前に論点が明確に示されていたので、ポイントを絞って議論できたから

l  私の場合は、東京大学の博士課程の村上さんがアドバイザーのような形で入っていただいたおかげで、私の知りたかった以上の話題に触れることができました。

l  元発電所所長のシニア方の実体験をお聞きする事ができ、社会受容性について深く考え、学ぶ事が出来た。往復書簡の資料により、論点をはっきりさせ、多くの観点から議論し、考え、知識を共有させて頂く事が出来た。

 

 

(4) 事前に聞きたいと思っていたことは聞けましたか?

l  時間が短かった

l  シニアの方々はさすがによくしゃべられますね

l  ある程度は聞けたが、時間が厳しくあまり深くはできなかった

l  事前準備、勉強不足

l  進行が上手くいかなかった

l  何十年も現場にいた人の思いを聴けてよかった

l  今回は事前調査を十分に行ったため

l  事前に論点が明確に示されていたので、ポイントを絞って議論できたから参加者が良くお話して下さる方だった。(本当は、こちらが上手く汲み出す仕組みが必要だが、今回はシニアの性格に依存する所が大きく、反省している)高経年化というテーマに関して、技術の面と規制の面での相関や、高経年化に関する魅力、それに携わる方々の苦労や面白さが分かった。

l  往復書簡だけでは聞くことのできなかった、細かい政策等の事項が聞けた。

 

 

(5) 今回の対話で得られたことは何ですか?

l  知見

l  原子力に対する政治的なバックグラウンドを知ったこと。日本人としてどのように考えて海外展開するべきかしれたこと

l  現場で頑張ってこられた方々だからこそ言える意見を聞けた。原子力推進かつ理系の立場の方々の考え方が知れてよかった

l  違う視点での意見、見識

l  シニアの方がどのように考えているのか、必ずしも解決策を持っているわけではなく、自分たちの世代が重要となる

l  改めて、原子力は他分野にわたる巨大産業で、様々な協力や支援が必要であると感じられた

l  シニアと親密になれた、これからの交流に役に立つ

l  他国での取り組みについてもっと知ろうとおもった。得られたのは学習意欲です。

l  規制の新たな視点

l  世代間のコンセンサス

l  問題意識の共有、シニアとの又学生同士のネットワーク

l  原子力の“安全”と“安心”の違い

l  持てる情報を人に伝えることの難しさ(メディアの性質を含む)

l  ABWR開発の経緯に関するかなり具体的な知識を得ることができた。保安院の制度設計に関する話は十分に引き出せず、残念。

l  原子力の社会受容性を高めるためには、技術者として何が出来るかという点をよく学ぶ事が出来ました。原子力の最先端知識を取得し、原子力の安全に貢献する事は重要な技術者の役割です。しかし、それだけでは不十分です。技術者は、市民の目線に立った目を持ち、原子力技術を技術者だけでなく市民のものにしていく努力をすること、すなわち、市民の目線に立って、原子力技術の真実を分かってもらう努力をするということが、加えて必要であるということを学び得ました。

l  シニア、他大学の学生、就職した方々との交流を通し、キャリアパスの再思考を行うよいきっかけになった。

l  電力会社、メーカの組織体制が、どう変化したかという踏み込んだ点まで質問する事ができたので、大変良かったです。

 

 

(6) 「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?その理由は?

l  忙しくない人(M1,B3)を呼ぶといいと思う。

l  経験を積んだ方の話は重みがあり、裏話もきけるから

l  シニアの方々が現場でやってこられた時代背景と、今の私たちの背景は異なる。だからこそ学生が過去を学ぶ必要+シニアの方々が学生たちの現状を知れる必要があると思った

l  実際に原子力の現場経験のあるSNWの方々と対話することで、現実を知り、今後の糧に出来ると思うから。

l  長年経験したものを、受け継げる希少な機会だと感じる

l  大きなきっかけになる

l  学生が勉強すればよい機会

l  形式は検討の必要有り

l  大学にいると自分と同年代の若い人と話す機会に恵まれる一方、シニアと話す機会はない。非常に刺激的でした。

l  このような機会が非常に得難いものであるから

l  「対話」は非常に重要だと思う。特に、考えの異なる人の意見に耳を傾けることは重要だと思う。

l  一般常識として先達の知識はとても重要であるが、一方で(研究者としては)「しゃべる暇があれば手を動かして実験しろ」とも思う。

l  シニアとの対話で私が一番よいと思っているところは、シニアが学生を尊重し、学生に絶対的な期待・信頼を寄せていることだと思います。そのような振る舞いができる大人は実力・経験不足の学生に対して、実はめったにいないと思います。また問題意識の高いシニアの人柄に引かれて原子力を志したいという学生がどんどん増えるのではないかと思うからです。

l  シニアの実体験、またそれ基づく広い考え方は、大変参考になります。

 

 

(7) 今後,機会があれば再度シニアとの対話に参加したいと思いますか?

l  その他の意見

l  時期さえ合えば。

l  保全、高経年化、燃料安全といったトピックスが取り上げられるのであれば、研究を公示する義務も感じますし、必要に応じて喜んで参加させていただきます。

 

(8)   エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?その理由は?

l  エネルギー問題はこれからも真剣に考えていかなければならない問題だと以前より考えていたから

l   このトピックスに関しては、あまり知らない話は出なかった

l  特に社会受容性の発表を聞いて、まだまだ原子力技術者・関係者の仕事があると再認識したから

l  元々、エネルギー危機に対する認識と原子力の必要性の認識を持っていたため

 

 

(9)    原子力に対するイメージに変化はありましたか?その理由は?

l  原子力の社会受容性は、市民のリテラシーや問題意識の変革により、大いに変えられる可能性を持つという認識を得たため

l  シニアとの対話、懇親会を通して仕事のやりがいがあると再認識した。

l  このトピックスに関しては、あまり知らない話は出なかった

 

 

 (10)    原子力に対する関心の低い10代、20代の若年層に対する原子力広報活動は

どんな方法が良いと思いますか?

l  大々的なYes,Noの投票とか

l  学校教育の強化

l  大学生がたくさん直接話すこと

l  教科書などに内容を盛り込むのが一番手っ取り早い方法だが、中学高校で学ぶ分野が多く、それに加えゆとり教育のおかげで授業数も減っているので、実現するのは難しいと思われる。従って、高校への出前講義やマスコミを利用した広報活動をするほかないと思われる。

l  ゲーム形式など、工夫ある媒体選択 あとは、エネルギー教育が大切だと思う。

l  教育への適切な導入、修学旅行への繰り込み

l  エネルギー保障、資源における原子力の役割を伝える

l  テレビ番組CMなどで原子力の重要性を訴える

l  原発や核兵器などは現実の社会生活とはかけ離れているという印象を持たれやすいため、放射線や廃棄物処理の環境影響など、少しでも身近なところから関心を広げてもらいたい

l  大学生が小・中・高校生に対して、エネルギー・環境問題を説明しに行くような出前授業の仕組みを作ることが重要。大学生にとっても伝えることで勉強になるし、それを聞く児童・生徒は、先生やシニアよりも年齢の近い、いわば同世代のお兄さんお姉さんからそういう話を聞いたほうが、一緒に考えてくれる可能性が高いと思うから。草の根活動としてはすでに各所で実行されているが、その運動をもっと盛り上げていく仕組みが必要であると思う。

l  現場を見学する機会をもっと作ること。テロ対策などといって、一般の人を中に入れないようではダメだ。仕組みをきちんとすれば、問題ないはずだ。ぜひ、多くの人が、原子力発電所を中心とする、原子力の現場を実際に目で見られるようにしてほしい

l   原子力が絶対という「押し付けの教育」は避け、自然利用を含めたエネルギー技術全般を伝えるべき。その中で原子力が有用であることは自ずと理解できる。安全性については、放射線の身近さから伝える。

l  二つの考え方: A:魅力を伝える/ B:誤解を取り除く

               A: 原子力発のサイエンティフィックな進捗や、他分野にも応用されている技術をアピールする。  (キュリーやフェルミの話だとか、シミュレーション技術だとか)

              B: 体験型の学習が最適だと思います。

                (体験型:霧箱やGMを持っていって、宇宙線や塩やコンクリートを測る)

              二つに共通して含めるべき要素=原子力業界の個々人の気合い

              (現場の体験談、特に困難や失敗を克服したストーリーが分かる教材)

l  大学生と義務教育機関の夏休み期間が違うことを利用した大学生による出前授業

l  全国の義務教育機関にサーべイメータを支給し、クラス単位による自然放射線の測定

l  エコポイント制のようなもの。たとえば、原子力に関する教育ビデオをネットで配信し、視聴するたびにポイントがたまって商品と交換できるなど、インセンティブを高めるような工夫。

l  出前講義、イベント⇒原子力・放射線を学ぶきっかけつくりを多く行う。

l  技術者との本音の対話会⇒実際の従事者のお話を聞けば、間違った認識、先入観を減らせるの

では。       

l  実際に会って話す事は、10代、20代の若年層にとって大きなきっかけ、経験となる。地道に行っていくしかない。

 

 

(11)  本企画を通して全体の感想・意見などがあれば自由に書いてください。

l  対話の枠組みをある程度決め手も良いと思います。

l  対話の時間をもっと長くして欲しい

l  ここに集まっている人々も社会の中の多様な見方のone of themであることを意識した上で、議論されるとさらによくなると思いました。

l  有意義だった是非次回も参加したい

l  対話会がますます進化していっていると実感しました。実施にあたっては、困難なことも多いと思います。しかし、やはり継続は力で、続けていくことは大切であるとも思います。実施のペースを落としてもいいと思いますので、途絶えないようにしていただきたいと思います。今回準備に当たられた、嶋田さんをはじめとする皆様のご努力に感謝いたします。お疲れ様でした。

l  今回はグループのジャンル分けを細かくしたことで議論はスムーズなものとなったが、あえて分野の違う学生を混ぜても面白くなる可能性がある(極端な話、純粋な文系学生の参加も)。ただしその場合はファシリテートの強化が必須。

l  目的設定(過去/未来のどちらを語りあうか?何を伝えたい・教わりたいか?)をうまくやれば大変有意義な企画であると感じています。受け手には、話を仕分けするだけの知識と度胸が必要ですので、各グループに適切な人材が配置される必要があります。テーマ設定は、今回は現在トピックスとなっている事柄を挙げて頂きましたが、次回は「シニアが完全にリタイアする前に頂いて置くべき情報」という観点から設定した方が、話が進みやすいのではないでしょうか?例えば、「チェルノブイリの時の企業の対応」とか、「発電所立地決定に関する裏話」とか、「メーカ三社が原子力に手を出すにいたった経緯」とか、「海外との業務提携ノウハウ」とか。適当に挙げましたが・・

l  懇親会のとき、名札があったら良いなと思いました。運営委員の皆様、よい企画ありがとうございました。お疲れ様でした。

l  事前に、往復書簡の資料により、対話会の論点を明確にした点は良かったと思います。

      ⇒いつもinputで終わりますが、今回はinputした内容を踏まえて、どう解決するかというoutput

までよく出来たと思います。

l  やはりまだ、シニアの方が話しすぎるところがあります。学生は会話のキャッチボールが出来ていますが、シニアは一回一回の返答が長い。

以 上

(添付資料目次へ戻る)

 

添付資料4.

「学生とシニアの対話イン東京2009」 シニア感想集

                        シニア感想はグループ編成順、フォント調整以外は原文のまま。

対話会幹事 松永一郎  まとめ補佐 小川博巳   20100104

 

神山弘章氏  「社会受容性-1」 感想 

 

1. 原子力が社会より信用されなくなった要因

 TMI-II事故、チェルノブイリ事故により、世界的に原子力について消極的になってきたが、わが国では、記録の隠蔽が大きな要因になっていると思う。物事の大小に拘わらず、隠蔽は人間不信になる。

 昔は、公益事業に携わる者は、担当する業務に誠意をもって対応すれば何れ世間が評価してくれるので、自ら宣伝するのは“はしたない”と云う認識であった。現在は異なる。国民全体の意識が変化してきたのだ。透明性が重要。

 

2. 今後どうしたらよいか?

 1) エネルギーは国の根幹の問題

学生が将来のエネルギー問題を研究していることは大変頼もしく思う。これはシニア全体が賛同していると考えて良いだろう。ただ、理想に走り過ぎるところもあるのでシニアの苦労話も参考にして頂きたい。

 2) 中間層を捕らえよ

原子力の理解促進に当たっては、中間層を取り込むことの重要性が指摘された。フランスの例等が話題になったが、他のグループと同様に「教育」の重要性が再認識された。

 3) 原子力の選択と個人の責任

自らが手術を受ける場合、医者を選ぶのは自分の責任である。原子力を選択する場合、良きに付け悪しきに付けその結果は自らのみに留まらない。エネルギー、食糧、軍事、外交等の共通事項の決め方については十分に討論出来なかった。

 

 

小川博巳氏 「社会受容性-1」 感想

 

講評の中でも触れたが、「シニアと学生の共同出版」及び「シニアと学生の往復書簡」の発想の原点は、「学生との対話会」も意味深い活動だが、もう一つ腰を据えた「シニアと学生の交流の場・意見交換の場」を設定し、学生諸君に次世代を担う思いを是非とも培って貰いたいと念じたものであった。

学業と研究等の合間を縫って往復書簡を重ねてきた学生諸君の努力を多とし、シニアの皆様の誠実なご支援とご指導に、「言い出しっぺ」として深く感謝したい。今回の対話会は、将に往復書簡の内容を深耕するもので、これまでにない密度の濃い対話が出来た。往復書簡には参加していない学生も、往復書簡レポートに予め目を通し、或いは学生のグループ活動などで既に真剣に取り組んで来たテーマに関連しての対話であったので、率直な意見・考えを対話の中でブッツケ合い、双方向の意見交換が出来たのは意義深い。

学生にとっても確かな手応えが得られたであろうし、往復書簡を補って余りある成果が得られたと確信する。

 

 

林 勉氏 「社会受容性-2」 感想

  

今回の「対話イン東京」は従来の物とは一線を画す画期的なものであったと思っている。

その理由は、嶋田君が自ら画期的な対話会にするという強い意志を持って臨んでくれたことが大きい。嶋田君が中心になって事前に計画を進めていた、「学生とシニアの往復書簡」出版における論点を中心にして学生を集め、グループ分けを行い、事前勉強を十分にしてシニアとの対話に臨んでくれたことが全てであると思う。

従来やっていたシニアの基調講演はやめて、その分対話に集中したことも新しい画期的なことであった。

実際対話に参加して、学生たちがそれぞれ問題意識を持ち、対話したい内容を持っていたので、対話の内容も深くなり、本音で語ることができ、学生たちも何が問題であるかをより深刻に理解し、考えることができたのではないかと思っている。結果として大成功であったといえる。

ただこのやり方が全てのケースに当てはまるとは考えられないが、原子力系で何回もやっているところでは、このやり方を参考にして学生側の事前準備ができれば採用することは良いことと思う。

 

 

益田恭尚氏 「高経年化対策」感想

 

議論の経緯は報告書に譲るとして、「高経年化対策」は関根さんの纏めている「往復書簡」により略完了している。今回初参加の東大村上君は高経年化技術についての研究をしていることもあり、認識が深く、有効な対話会が実施できた。

今回の対話会は、濃縮されたE-MAILによる対話の後に実施したという、学生・シニアーにとって初めて経験であった。その上、パーティーの挨拶にもあったように報告者の内3名が女性と云う画期的な対話会であった。そのようなバックグラウンドにより、学生の報告のいずれもが、短時間に纏めたものとしては良く纏まっていた。

対話会と直接関係はないが、もう一つ感じたことを述べ感想としたい。

進路として原子力を選ぶ過程において、特に女性の場合、なにか事件に触発されて良く調べているうちに、原子力に興味を抱き、必要性を認識するケースが多いということである(一例はJCO事故、もう一例は減損ウラン弾丸の害)。勿論それで原子力嫌いになるケースは多いであろうが、矢張り何とかして原子力に興味を抱いて貰う動機づけの必要性を痛感する(今の、マスコミや普通の小・中学校の先生では殆ど期待薄であるが)。地球温暖化がその起爆剤の一つになることを期待している。

 

 

路次安憲氏 「高経年化対策」感想 

 

第3グループの課題である「高経年化対策」は、報告書にも記したとおり、本来の目的である「往復書簡」を精力的に実施してきており、学生側とりまとめの北大関根さんの努力もあって、“テキスト原案”とでも呼べるものがまとまっていた状況にあった。さらに、今回初参加の東大村上君は中性子照射脆化やSCCを研究していることから高経年化技術評価に関する知見も豊富で、基礎的事項の説明なしに本来意図している「学生とシニアの対話」が成立し、密度の濃い対話が出来たと思う。

 

今回の場合は、テーマ別に関心の高い学生が集結し、往復書簡での基礎的なやり取りを経た上で成立したものであるから特殊な例ではあろうが、今後の対話の活性化へのヒントが含まれていると思われる。

 

同様の事情から、最後の学生発表会の内容も優れたものであったと思う。各学生が要点を簡潔に、堂々とした態度で発表できたことに感心し、昨今“学力低下”が喧伝される中で意を強くするとともに、2極分化がますます加速しているのかなと考えた込んだ次第。

 

共同出版までにはまだまだなすべきことが多いと思われるが、対話によって深められた成果を活用する学生諸君の奮闘を期待するとともに、私もできるだけのお手伝いをさせてもらおうと考えている。

 

 

石井正則氏 「高レベル廃棄物」所感

 

往復書簡を担当していなかったメンバーということもあり、学生の準備は十分とはいえなかったが、原子力を専攻している院生であり、当該テーマに絞られた対話ができた。カナダからの留学生はこの分野の研究開発の動向や進め方に関心があるようで、参考になったものと思う。

残念ながら往復書簡を補充、完成させるというねらいが十分伝達されなかったため、このねらいが不明確になってしまったが、今回の対話のなかから、これまでの往復書簡になかったテーマを補充し、充実させていただきたい。

 

 

坪谷隆夫氏 「高レベル廃棄物」感想

 

      グループ4の報告にあるようにこのテーマで新しい学生諸君と対話ができたことが成果なのではないかと思う。

      グループ4に参加した学生は小佐古先生のところでラドンの研究をしているアレックスクーパー君(カナダ・ケベック州出身、M2)と長崎先生の講座の宇部道子さん(M1)。

      往復書簡を読んでいないようで高レベル放射性廃棄物について今学習中の立場からは特に技術的な疑問や社会的な課題についてあまり関心が高いとは言えない諸君であったようだ。

      このような参加者の知識レベルが予め予測できたのであれば、他のグループで試みたような若干のスライドを用意すれば良かったのかもしれない。

      しかし、一方であまり先回りして予備知識を与えるのも良し悪しでもあろう。

      やはり往復書簡に関わった学生が参加することが大事なのではないかと思うが、これは今後の課題としておきたい。

      大学では「放射性廃棄物」を体系的に教育する場が設けられていないと聞いているが、このような問題も若干今回の状況の背景にあるのかもしれない。

 

 

若杉和彦氏 「劣化ウラン」感想 

 

 私はGr.5を分担し、「劣化ウラン」について2名の学生(東北大と東京都市大)と対話した。学生から提示された論点は、既に往復書簡で示されているとおり、劣化ウラン弾が湾岸戦争等で多量に使われ、そのための環境汚染と人への健康障害が報告されており、大変心配である、原子力を一般に普及するためには劣化ウランのことも含め良いこと悪いことを透明に広報し、間違った偏見を払しょくすることが大切である、このために何をすべきかシニアの意見を聞きたい、であった。

 シニアから説明した内容をまとめると、第1に科学的な事実に基づく情報を収集し、正当でバランスある判断を下すことが大切であること、第2に劣化ウラン弾使用への反論は我が国の国際的立場から難しいこと、さらに劣化ウラン反対に特化した意見をPRすることは予備知識を持たない一般中間層に不安の種を植え付けることになり、時宜を得ないばかりか、原子力普及には逆効果になりかねないこと、であった。特に第1の論点については既に国連やIAEA等から組織的な調査報告が多数公表されており、多くの専門家の結論として、戦場での劣化ウランの環境汚染は軽微であること、従軍した兵士から劣化ウランに基づく顕著な病変は見つかっていないこと、ただし長期的な疫学調査は今後も継続されること等の事実を正確に知るべきであると説明した。特に原子力反対を唱える組織からPRされている「湾岸症候群」、「何十万人が死ぬかも知れない」等の感情的な論調をしばしばインターネット等で見かけるが、どこまでが事実に基づくものか十分注意して読む必要があることを伝えた。

 学生の視野が経験豊富なシニアと比較して広くないのは当然であるが、純粋で真摯にテーマに向き合う態度は大変好ましいと感じた。また、今回の対話会には丹下様が急遽参加され、日本原燃での劣化ウラン安全管理の経験に基づく説明は学生にとって十分説得力があったものと考える。対話会後の懇親会を含めて、学生代表嶋田君が全体を計画し、大変スムーズに且つ効果的にまとめていただいたことに感謝致します。

 

 

竹内哲夫氏 「テロと規制」感想

 

テーマがこれまでの学生対話実積からは逸脱するジャンルのものだけに議論の時間配分に苦労した。メンバーがケ慶応大M2のほかは今春就職した2人(MITIとMHI、嶋田君の同期)であり、この種の議論にはふさわしい構成だった。結論は議論前に相当なイントロがないと無理であると思った。

@テロについては学生・シニア共に一般的な情報として、政府広報の資料類を紹介して、知識の共有化を図ることにとどまった。テロが使用する戦略、武器の想定、それに耐える炉構造物の強度などの議論もあったが、今のテロ対策は不法侵入、警戒、放射能撒き散らしなどの社会撹乱戦略に対する対策が主でミサイルによる炉を標的にした攻撃などは戦争行為として、今回の議論の範疇を越えるとした。

A規制の問題:電気事業の原子力職場に適応されている現行の規制体系は法として無理があり、職場の活性化、ひいては原子力の稼働率にも影響している事の理解は得られたと思う。事業法、炉規制法との関係、更にわが国のメーカーの海外戦略に必要な原子炉の型式認証の必要性などの話はあったが、この限られた時間でバックグラウンドからして十分な理解には無理があった、と思う。

 

 

荒井利治氏 「テロと規制」感想

 

 今回の対話は学生が各自のテーマをかねてから持ち、対応するシニアと書簡である程度の交歓が行われていてそれをベースに対話会がもたれたので、必然的に質の高いものであったことが発表を通して分かった。

また女性の発表者が8グループ中3グループを占め、これはこれまでの対話会でみられなかったことで特筆に値する。しかもその内容、態度は男性に勝るとも劣らぬものであったと思う。

1. グループ6での対話は学生が小林君1名で、ファシリテーター(FT)、発表者と記録者の一人三役であったので気の毒であった。しかも書簡の相手のシニアが私一人で、竹内さんはピンチヒッター、路次さんは他グループとの掛け持ちでありFT補佐を命じられた私の力不足で皆さんにご迷惑をかけてしまった。

2. 一番助かったのは社会人1年生の嶋田君の同期生堀口(経産省)、谷口(三菱重工)の両君が嶋田君の要請でグループ6に出席されたことであった。ともすると難しい内容を要点だけで話すシニアたちの傾向を察知し、小林君への翻訳者的役目を果たしてもら

えた。

3. テーマ「テロ対策・規制」は専門的に難しい内容であり、特に前者は公表されにくい問題で、これを小林君が取り上げたのは、原子力の安全の担保として対策と規制の関係を合理的に納得したいという思いからだと考えるが、その点で不満が残ったかもしれない。今回シニアが提供した資料を読み考えを深化されることを期待したい。

 

 

齋藤伸三氏 「JCO臨界事故」感想

 

  今回は、グループごとに予めテーマが絞られ、事前に学生さんからの質問とシニアからの回答が往復書簡の形で行われていたので、密度の濃い掘り下げた議論が出来た。また、隣のグループの議論に妨げられないよう対話をやりやすい空間が準備されていた点も良かった。

小生は、JCO臨界事故に関し事故の発生要因、臨界収束作業の立案、作業実施の計画策定、臨界収束後の作業、村民や現場作業者等の被曝量の評価方法、これらの過程において遭遇した様々な問題等について細かく説明した。学生側では、タイのシルワ君がいずれ自国に戻って同種の事故が発生した場合には、自分が指揮をとらなければならないかも知れないのでと言うことで真剣に質問を投げかけてきたことは印象的であった。

その他、このような事故時の住民の屋内退避、避難の必要な線量当量レベルの設定の妥当性、その見積もりの難しさ、避難訓練、あるいは、組織の中の従業員として行動判断等、JCO事故をベースに一般化して対話することが出来た。これらの議論も含めて「往復書簡集」が充実したものになることを期待したい。

学生幹事の嶋田君が肉食系の学生を集めて対話をしたいとの目的は、グループ発表をした3人の女子学生を含めて成功したのではなかろうか。また、技術系の学生との対話は、今回の例を参考に、当日ぶらっと参加するのではなく、ある程度準備をしてきたものにしたいものである。

 

 

松永一郎氏 「JCO臨界事故」感想

 

第7グループは「JCO臨界事故」というテーマであり、参加した学生は主として菊池君(茨城大M1)、カムパナート・シルワ君(滞留学生B4)の2名であり、最後に嶋田和真君が参加した。菊池君は東海村出身で事故時は中学1年でそれ以来関心をもっており、専攻も重粒子線関連であり、対話では事故前後で諸事項がどう変わったか知りたいとのこと。シルワ君は帰国後、タイ国のエネルギー省に勤めることがほぼ決まっており、今後同国が原子力を導入した場合に事故がおきたらどう対応すべきかについて、知識を得たいとのことであった。両君共に動機ははっきりしており、質問も的確でとぎれることがなかった。当方も齋藤伸三氏と私とは立場こそ違え、事故については熟知しており、彼らとしても十分に聞きたいことが聞けたものと思う。

全体的な印象としては、今回の対話は「往復書簡」の内容を補完するという位置づけであったために、参加した学生は予めその内容を熟知している(往復書簡の当該学生)か、あるいはテーマについて関心をもって往復書簡をよく読んでおり、その意味から本来意図している「学生とシニアの対話」になったものと考えられる。

最後の全体発表の内容、発表態度も各グループともに今までの対話の中で出色ともいえるものであり、学生のレベルの高さを表していた。大学の数も9大学で学科も原子力系、工学系、文系で海外留学生も2名加わっており、バラエティーに富んだものであった。これだけの対話会は往復書簡を補完する対話という明確な目的があり、また学生連絡会長としての嶋田和真君以下、協力した学生諸君の多大な努力がなければ達成できないものであろう。彼らの努力を賞賛するとともに、この成果をもとに来年の共同出版が実を結ぶ事を期待します。

 

 

岸本洋一郎氏 「核不拡散・国際展開」感想 

 

今回の対話は、通常の会合とは異なり、既に進んでいた別企画(学生連絡会の出版企画)の流れに合流して行われたため、学生の選択した各テーマに集中したレベルの高いものとなった。

 

私の参加したグループのテーマは「核不拡散・国際展開」であり、参加学生は、文科系3名、理科系4名の計7名、学生それぞれの関心領域は、原子力と社会の関係、平和構築・核軍縮、安全保障、核不拡散の技術面や工学分野、原子炉炉心設計など様々であった。

 

学生の内5名は予備会合を持ち、今回の進め方を議論したとのことであり、グローバル・ゼロが目標であるという共通認識は既に生まれていたようである。議論は概ね学生の想定した筋書きで進められ、最終段の「日本としてはどうすべきか」というところまで何とかたどり着くことが出来たように思う。ただ、テーマがテーマだけに、日本の原子力の国際展開の現状についての一般的理解、核不拡散に関する基本的・一般的理解に関する対話にそれ相当の時間を要し、インドとの協力の進め方や極東の問題をどうすべきかといった具体論、時事論まではとても行き着かなかったが、それは止むをえないことである。

 

なぜ核不拡散・平和利用が重要かについても、またなぜグローバル・ゼロが目標であるのか、グローバル・ゼロとはどういう目標なのかについても、きちんと掘り下げて議論しておくことが重要だろう。このテーマの対話を、世代を超えて行うことは極めて大切であり、さらに継続できればと思う。

 

今回の対話では、劣化ウラン、テロ対策、高経年化など、他のテーマにもユニークなものが並び、異色で幅の広い展開となったことは、特筆に値しよう。

 

 

金子 熊夫氏 「核不拡散・国際展開」感想 

 

G8に関する限り、当日の議論は全く初歩的なもので、忌憚なく言えば、記録に留めておくに値する内容は無かったと思います。学生諸君の基礎的な知識があまりにも不足しています。今後もっとしっかり勉強した上で、さらに議論を深めなければなりません。

 

そのために必要であれば(学生側に強い要望があれば)、小生も時間の許す限り彼等の勉強の手助けをするに吝かではありません。続編的な勉強会を2,3回集中的に開くのも一案。その旨を先方にサジェストしておいて下さい。あとは彼等がどれだけ真剣にこの問題に取り組み、勉強していく意欲と意思があるかです。ちょっと齧ってみよう程度の中途半端な気持ちなら、協力するつもりはありません。

 

なお、金氏さんがまとめて下さった概要メモは、これはこれでOKです。本来補足加筆すべきことは多々ありますが、上記の状況に鑑み、今の段階で小生がいくら加筆しても意味が無いと思うので、止めておきます。

 

 

金氏 顕氏 「核不拡散・国際展開」感想 

 

私は、国際関係のなかの特に日本の原子力メーカーの海外へのビジネス展開という部分で、メーカー代表として参加した。学生は理工系、文科系半々でしたが皆さんが国際展開に大変関心を持っていた様子なのは嬉しことではありました。私から原子力プラントメーカーの仕事内容や海外展開(プラント輸出)に伴う色々なリスクをお話ししたら色々と質問があり皆さんの理解に役に立ったのではないかと思います。

核不拡散は、私はシニアというよりも学生と同じかそれ以下の知識意識レベルでしたので、学生と他のシニア特に金子氏との対話が興味がありました。もともと難しい問題で、金子さんとの知識、意識の差が余りにも大きく、対話にはならず深入りが出来なかった様子でした。学生はもっと勉強してから、金子さんを学生が囲んで良く対話をやる必要があると感じました。

なお、核不拡散と我が国原子力技術の国際展開は全く異なるテーマではないかと思います。

 

 

佐藤祥次氏 「オブザーバー参加」感想

 

初めて「学生とシニアとの対話」にオブザーバーとして参加させていただいた。

私はオブザーバーとして、どのグループにも入らず、対話の様子を外から眺めさせて貰い、グループの発表と質疑応答を聴かせていただいた。

以下にその感想を述べたい。

今回の「対話」では、事前に学生とシニアとの間で、往復書簡のやり取りがあったと言う事で「対話」に臨む学生の熱心な取組みに感心した。これによって、単なる「対話」では掘り下げられない学生の問題意識や疑問等について、シニアとの間で事前に意見交換がなされ、密度の濃い対話がなされていたように思った。

この点は「グループ発表」の場で特に顕著に感じられた。それぞれのグループのテーマの大きさ、専門性の深さに較べ、2時間の対話では十分な掘り下げ出来ず、時間不足に終わるのではないかと心配したが、それぞれ短時間にパワーポイントで要領よく対話の概要をまとめ、力強い発表がなされていたのに驚いた。

質疑応答もいろんな大学からの参加者が、掘り下げられた課題、残された課題等について、活発に意見交換をしていたのに好感が持たれた。

各グループがそれぞれ専門性の高いテーマについて、熱心に勉強し、若い力を発揮しようとしていることに、大変強い感銘を受け、若い人達の今後一層の活躍を期待して「対話」に参加させていただいた感想としたい。

 

シニア感想集 終り

(添付資料目次へ戻る)

 

 

添付資料5.写真集  編集  松永一郎 対話幹事

 

竹内哲夫SNW会長 開会挨拶
PICT0002.JPG

G1「社会受容性−1」対話
PICT0004.JPG

 

 

G2「社会受容性−2」対話

PICT0005.JPG

G3 「高経年化」対話

PICT0006.JPG

 

 

G4 「高レベル廃棄物」対話

PICT0007.JPG

G5「劣化ウラン」対話PICT0012.JPG


 

 

G6「JCO事故」対話
PICT0011.JPG

G7「規制・テロ対策」対話

PICT0010.JPG

 

 

G8「国際問題」
PICT0012.JPG

学生幹事・嶋田和真君 講評・小川博巳氏
講評小川・嶋田

 

 

懇親会風景 その1
PICT0076.JPG

懇親会風景 その2
PICT0080.JPG

 

 

(添付資料目次へ戻る)