「学生とシニア」の対話実施概要

−対話 in東京2007


 2007.12.23 松永一郎

1.実施主旨

 2005年度から続けている「学生とシニアの対話」の東京版。日本原子力学会の学生連絡会及びシニアネットワーク(SNW)の活動の一端として、原子力系学生とシニアの交流を図る。SNW主催の活動としては10回目の「対話」であるが、エネルギー問題に発言する会主催のものからの通算では16回目となる。

 また今年度から2巡目に入るが、東京では昨年の11月以来、1年ぶりの開催となる。

 なお、開催場所の武蔵工大では来年度に「原子力安全工学科」が開設されることになっており、激励する意味から所属教員とシニアとの対話も同時に実施する。その他、武蔵工大OBの衆議院議員(民主党)である大畠章宏氏の特別講演を準備した。

 

2.対話の目的

 原子力系学生とシニアとの対話を通して、学生とシニア間の相互理解を図ると共に、今後の原子力、エネルギー産業について共に考え、これからの対話のあり方やエネルギー教育の実践あり方の参考にする。学生との対話では、彼らが社会へ出るまえに、原子力OBの経験や気概を少しでも吸収できる機会を提供し、今後の実務への自信に繋げてもらう。  

武蔵工大、東海大、東大、東工大、東京海洋大の合同実施であり、日本原子力学会学生連絡会の学生1名(神戸大)も加わったバラエティーに富んだ構成で学生間の交流も一つの目的である。

 

3.対話の実施

(1)日時 平成19年11月24日(土)

  12:30〜18:50  (懇親会19:00〜20:00)

(2)場所 武蔵工大 3号館 メモリアルホール

(3)参加者

@学生30名

 武蔵工大18、東海大4、東大3、東工大2、東京海洋大2、神戸大1

−博士課程2、修士課程15、学部生13

  −所属は1名を除き原子力系−

A教員

武蔵工大10名(教授、准教授、講師)

Bシニア(敬称略)

SNW会員 17

荒井利治、石井正則、石井陽一郎、伊藤 睦、岩崎敏彦、岩本多實、小川博巳、加藤洋明、西郷正雄、宅間正夫、竹内哲夫、土井 彰、西村 章、林 勉、古田富彦、益田恭尚、松永一郎

Bオブザーバー 1

東電(SNW会員)中島拓男氏

Cその他

大畠章宏衆議院議員(民主党)

(4)実施内容

2部構成とした。

第1部

@講演1「日本の原子力技術 世界展望への挑戦」    SNW 石井正則 氏

A講演2 「新設「原子力安全工学科」の挑戦」    武蔵工大 堀内則量氏  

B学生&教員とシニアの対話(学生6グループ、教員2グループ)

対話 学生/シニア=5/2  教員/シニア=5/3

第2部

C特別講演  「メッセージ」           衆議院議員 大畠章宏氏

D講演3 「エネルギー・環境問題に対する原子力の位置づけ」 SNW 小川博巳氏 

Eグループ発表

 

対話の題材は事前アンケートの結果にしたがって、グループごとに決められていた。

対話終了後に学生グループ、教員グループそれぞれから対話内容のまとめが発表されシニアを代表して、宅間正夫氏から総合的な講評がなされた。

 

5)結果

シニア各人から感想を収集。学生に事後アンケートを実施した。また教員からも感想を募った。

シニアの感想概要・・・意見をある程度集約)

     武蔵工大での開催は2巡目であり、学生連絡会としての開催経験豊富な学生がとりしきったので、準備が良く行き届いていた。

     新しい試みとして2部制、3つの講演、大畠議員からのメッセージとイベント性の高い企画であったが、各講演ともに内容が深く、また大畠議員からのメッセージも学生に感銘をあたえたようでよかった。

     学生たちとの対話では、学年構成と所属大学をバランスよく配分してあり、テーマも予め決められていたので、比較的深みのある対話ができた。また発表時には参加者全員が一口トークしたのは良い企画であった。

     教員との対話では先生たちが高校を回り、学生の勧誘活動をされ、現今の中等教育の問題点に直接触れることができたなどの話があり参考になった。

     来年度に武蔵工大に開設される原子力安全工学科は工学部に原子力がつく2つ目(他は福井工大の原子力技術応用工学科)のもの。大きく育ってもらいたい。

 

(学生事後アンケート結果概要)

30名の参加者の内、25名から回答があった。(回収率83%)

@参加学生の基本情報

今回から参加する学生の基本情報として、学年、所属、進学or就職、就職の場合希望方面をアンケートに入れた。(学年、所属は3(3)@のとおり)

 就職希望者は全体の82%であり、希望方面は電力、原子力系メーカー、研究機関、非原子力系メーカー、その他とあまり偏りは見られなかったが、電力、研究機関を原子力系と見做すと74%となり、4人に3人は原子力系を希望していることになる。

A講演に対する満足度

 とても満足と、ある程度満足したが合計92%で好評であった。多少長いとの意見もあるが、4つの異なった話が聞けてよかったとの意見もある。

B対話内容に対する満足度はとても満足と、ある程度が84%で満足度が高かったといえる。その理由としては、シニアの幅広い知識や深い洞察力に触れることができたこと、シニアの熱意に大いに感化されたことなどが挙げられる。不満としては対話時間が短かったこと、シニアの話す時間が長く、自分の意見がいえなかったことなどがある。

C対話の必要性について、「非常にある(80%)」または「ややある(16%)」との回答を得た。学生によって興味が異なるため、「対話」から得た情報は様々であるが、「深い知識や経験のあるシニアと対話をする」という貴重な体験そのものが、学生に大きな刺激となったようである。なお、同年代の仲間と話ができてよかったという意見や、現役で活躍しているエンジニアや研究者と話をしたいとの意見もあった。

Dエネルギー危機に対するイメージの変化については、48%の学生が変化したと答えている。これまでの講義などで、多くの学生はエネルギーに関して漠然とした危機感を有していたが、今回の対話でより現実味を帯びた問題であると再認識した学生が多かったようである。また世界規模で問題を解決する必要性を認識し、視野が広がった学生も見受けられた。その一方で半数の学生が変化しないと答えている。これは元々のイメージどおりであったということである。

E原子力に対するイメージの変化については、変化した学生が48%であった。

参加した学生は原子力に関する分野を専攻しているので、もともと原子力に対して肯定的なイメージをもってはいたが、シニアの話を聞いて原子力の責任や高速炉の重要性、そしてエネルギー・原子力教育/普及活動の必要性を再認識した学生が多くなったようである。

 

各設問に対する回等は下記の通りである。

(1)講演の満足度

1.とても満足     44%   2.ある程度満足   48%

3.やや不満   8%    4.大いに不満    0

 

(2)対話の内容の満足度

1.とても満足した 44%  2.ある程度満足     40%

3.やや不満だ      16%  4.大いに不満       0

 

(3)対話の必要性

1.非常にある    80%  2.ややある    16%

3.あまりない     4%  3.全くない     0

 

(4)エネルギー危機に対する認識の変化

1.大いに変化した     16%  2.多少変化した     32%

3.あまり変化しなかった  40%  4.全く変化しなかった       12%

 

(5)原子力に対するイメージ変化

1.大いに変化した              4%   2.多少変化した              44%

3.あまり変化しなかった  40%           4.全く変化しなかった     12%

 

(6)再度対話に参加したいか

1.したい                            46%  2.知識を増やしてから     50%

3.もういい                                         4.その他         4%

 

(教員からの感想)

武蔵工大原子力研究所の丹沢富雄先生と同環境エネルギー工学科の岡田往子先生から感想をいただいた。

 

4.まとめ

 今回の対話は16回目であり、一昨年の7月に武蔵工大で開催してから2年半でスター

トした大学に戻ってきた。学生との対話に一貫して携わってきたが、当初、ここまで続く

ことは予想外のことであり、感慨深いものであった。

開催大学の武蔵工大が来年度に原子力安全工学科を新設することもあり、大学の教員も対話に加わることになったこと、学園祭の開催期間中であったので、対話とグループ発表を分ける2部制とし、グループ発表は一般来校者にもオープンにしたこと、グループ発表の冒頭に同学卒業生である大畠章宏衆議院議員の講演を入れたことなど、イベント性に富んだものであった。参加大学も6大学、30人と範囲が広かったが、学生幹事の企画、運営が上手かったために、スムーズな進行で成功したものと考える。

 対話は教員グループ2、学生グループ6に別れ、それぞれ予め決められたテーマに沿ったものであった。学生グループは自分たちで希望したテーマだったので集中できたようであり、グループ発表への質疑もそこそこあり、良かったと思う。

 教員グループにとっては来年度の船出への決意表明的な要素があったであろうが、これだけの数のシニアと学生と一緒になっての対話は大きな勇気付けになったものと思われる。 

 学生への事後アンケート結果は「対話の意義は非常にある」「対話に満足した」という答えが殆どである。また、「再度対話に参加したいか」との問いかけに対して、「参加したい」と「もっと知識を増やしてから参加したい」がそれぞれ、46%、50%あり、三巡目の対話への期待度の高さを伺わせるとともに、これを機会に知識を増やしたいとの意気込みが感じられる結果であった。

皆様には是非とも、添付2の事後アンケート結果に直接眼を通して頂けたらと思います。

 

最後になりますが、開催大学で幹事を務めた成田隼、羽倉尚人君、協力した5大学の学生幹事の方々に賛辞を惜しみません。また、陰で支えてくださった吉田正武蔵工大教授他武蔵工業大学の教員の方々に深甚なる感謝の意を表します。

 

5.今後の予定

       愛知教育大学      12月8日(実施済み)

       東北大学        12月13日(実施済み)

       八戸工大        未定

       大阪大学        3月26日or28日

6.対話写真

       対話写真欄参照

 

添付資料

添付1 シニア感想

添付2 学生側事後アンケート結果

添付3 教員感想


−対話写真−

総合司会 成田隼君

講演1 SNW 石井正則氏

講演2 武蔵工大 堀内則量教授

 

対話 教員グループ

対話 学生グループ

対話 学生グループ

講演3 大畠衆議院議員

講演4 SNW小川博巳氏

学生発表

学生発表

学生発表

学生発表

教員発表1 吉田正教授

教員発表2 松本哲男教授

講評 SNW 宅間正夫氏


添付1 シニア感想

 

荒井利治
1.会の運営:

(1)   流石に第1回の開催大学であり、しかも今回は明年の原子力安全工学科の開設を控え、3連休の中日であるにも拘らず、30名以上の学生が参加し、盛会だったことは特筆すべき事と思う。

(2)   さらに多数の教員の方方が、対話にしかも単独で2グループを編成されて学生と同時、同室で参加されたことは、初めてで、取りまとめの成田さん(手伝われた羽倉さん共)らの企画力を高く評価したい。

(3)   グループデイスカッションと先輩の大畠議員の特別講演を同組み合わせるか悩みがあったと思うが、実にうまくかみ合い,大畠氏が持ち前の歯切れのよい話で学生、教員に力を与えたと感じた。

2.グループデイスカッション:Cグループ

(1)   原子力専攻の学生なので、石井、小川両氏のかなり広範囲な講演の内容を理解し、討議できた。しかし、かなりのグループのテーマが地球、国家、といった大きな問題より、学生の本音として、身近な就職を取り上げ、企業がどのような人材を望み、大学や学生はどう対処すればよいかが話し合われた。

(2)   私のCグループでは学校での専門性が企業で評価されるか、希望が聞いてもらえるかが討議され、シニア側から、「ケースバイケースであり、希望を出しよく話をするべき、しかし企業のニーズと学生の希望がマッチしない場合があり、柔軟的に考えることも必要。しかしあくまで自分の意志を貫く積極性もある人にとっては大切なこともある。」(例としてピンポンの世界チャンピオン荻村伊智郎が周囲にほとんど妥協せず初志を貫き大をなしたことをあげた。) これが必ずしも理解されなかった。説明不足を反省。

(3)   シニア二人からのT定規(またはパイ字)論として深い専門技術はそれをささえる横の関連技術、さらに技術だけでなく広い教養(美術、芸術例えば俳句など)が大切であるとの発言は、真意が伝わらなかったようで---発表でわかった---これも反省。

(4)   今回もわざわざ休日に対話会に出席した学生の積極性は大いに買うが、やはりがむしゃらな面が少なく、おとなしさと受身の姿勢を感じた。当世の学生の共通の気質かもしれないが物足りない気分が残った。

 

石井正則

今回の対話は、大畠議員の特別参加もあり盛会であった。大きな観点からエネルギーや教育に関する国政の動向を伺うことができ、また学生諸君にとっては先輩の活躍に間近に接することができたことは、心強いメッセージになったと思う。

私の教員グループとの懇談では、来春原子力安全学科の発足を控え、良い学生をどうやって集めるかがテーマであった。学生集めのため各地の高校を巡った状況を踏まえた、短期的な視点でなく中高教育の問題点などにも話が及んだ。積極的に高校まで足を運んでの説明には頭が下がった。新潟や福井工大の原子力を選択した新潟や茨城出身の学生の例など紹介した。

東京にあり、原子力研究所も付属(かつて原子炉もあった)しており、原子力の教育には経験豊かな教員と長い実績があることを鑑みると、今後の発展が期待される。

良い研究と卒業生が原子力業界で活躍すること(このためには原子力業界に就職先が確保できること、これには原子力業界の支援も必要であろう)が、学生が原子力安全学科を選択するうえで、何よりのインセンティブとなろう。例えば、既に原子力業界で活躍しているOBを講師とした特別授業なども考えたらどうかと思う。

学生の発表で全員に感想を求めたのも新鮮であった。前例にこだわらず、型にはまらず、その都度担当の学生自らが企画して進めることにより、学生自身も得るものがより大きくなろう。

オーバーした時間を無理に短縮しないのは良かったが、地方で当日帰らなければならない場合など、いつもこのようにはゆかないと思う。短縮できるものは短縮し(挨拶やOBの紹介など、議論もあろうがプレゼンテーションと質疑応答)、あらかじめ多少余裕をみたスケジュールとする必要があろう。

 

井陽一郎

武蔵工大開催は3度目とのことでもあり、かなり場なれして、スムーズな運営でした。東京の会は初めての出席でしたがよい会だったと思います。運営面で大畠議員の話が設けられかつおそくまでお付き合いいただいたことも望外といえましょう。また学生諸君が総括発表のほかに各人が一口披露したのは具体性と責任度合が増す分賛成です。  彼らの内2名から我々のアンチョコの一つ原文振のエネルギー・図面集に関心を寄せたので電事連の資料とともに参考にしてほしいと照会しておきました。  化石燃料の抑制はCO2低減からはほぼ絶対なのですが、資源としても便利に使い過ぎ、それらはもちろん、随伴するものが化石燃料(にしか使えない)であるとの皮肉な見方を話したところ、学生一人もまた大畠議員もやや虚をつかれた感じでした[本件別途調査予定)。巨大な太陽エネルギーとあいまって、自然エネルギーの将来も話し合い、原子力が基幹エネルギーであることを認識しつつもエネルギーにしろ、資源にしろ一筋縄でいかないことは、学生、シニアとかなり共有の部分があるということでした。

 

伊藤 睦

1)今回は学生の企画で2部制になったが、学生幹事の熱意と大畠議員の参加で所期の目的(一般公開で学内に原子力工学部の新設をアッピールする)以上の収穫(政界にもアッピール出来た)が有ったと考える。
2)我々のグループは武蔵工大の現役の教授4名であった。テーマも「新設原子力安全工学科が企業に魅力的であるためには」とこれまでとは全く違った対話会で戸惑った、要は「企業の求める人材とは」と言う視点の議論になりそれなりの成果はあった思う。一方先生の方はこの出ロ論よりも「どうやって優秀な学生に来てもらえるか」と言う入り口論が緊繋の課題でもあったようで物足りなさが残ったと思う。
ただ、この様な議論(対話)が我々の目的の沿っているかどうかちょっと首を傾けたい。
3)グループの纏めの発表は毎回色々なやり方が出て、これぞと言う決め手は未だ無い様な気がする。
今回は全員が一言感想を述べていたが、ただ「有難うございました」だけでなく「自分にとってこういう点が良かった」と具体的に言ってさらに「この経験を生かす決意表明」までする学生が多数いたのは救われた気持ちである。このあたりにも学生幹事のは元より吉田教授のご指導と準備が行き届いていたのを感じられた。
時間が多小(30分程度?)オーバーしたことは気にしないで良い。先生や他の学生の質問や意見が活発だったのは大変よかったと思う。シニアからの質門、意見がすくなかったのは時間が無かった所為か?
4)学生の原子力に対する見方も年々変わって(良くなって)きているように思う。
これまでの様に必要性のアピールよりは、原子力開発の壁になっている課題への対処方法等にシニアの経験と思いを語らせる対話会へ重心を移すべきと思う。

 

岩瀬 敏彦

 当日は晩秋の好天に恵まれ、多摩川を望む武蔵工大キャンパスでの対話は、大いに盛り上がり、参加の学生の皆様の力強いがんばりの姿勢を強く感じました。

1.          グループ対話について

Hグループは先生方との対話で、卒業生を社会へ送り出すにあたり、企業をはじめ、実社会で期待するものは、どのような社会人卒業生であるかの人物像を、シニアとの対話から、聞き出し、学生の教育のヒントにすべく、先生方の真摯な姿勢を強く感じました。企業は、専門知識を身につけ、さらに企業活動に柔軟に対応できる、応用力を発揮できる素養と、良好なチームワークのための人格を身につけることの必要なことを小生の企業での経験をふまえての話を致しました。

さらに、先生方は、原子力や環境エネルギーに関心を持つ学生を獲得するための、学生を如何に入学、受け入れることにも心を砕いている、またそのために、全国高校の学校紹介のキャンペーンを進め、前向きの見通しあることのお話をきき、SNWのこれまでの対話での科学、技術分野に関心をむける、高校から小中学校での教育の大切なことの意見集約とほぼ同様の意見となりました。

また、武蔵工大が新年度に原子力安全工学科を新設するための、先駆として、今回の対話の大きな意味合いあることも確認できたと思います。

2.          参加学生の意識について

対話テーマをもとに議論された各グループでの対話総括報告は、昨年11月東大で開催の対話総括から大きな前向きの内容を伺うことができ、SNWのキャンペーンがステップバイステップで、目標へ向かっての前進が認められ、継続は力なりということが評価できると思う次第です。

3.          その他

今回武蔵工大卒業の大畠衆議院議員から、後輩への力強いエールと政治の場でのエネルギー、原子力などの議論の展開などを伺え、従来の対話から大きく飛躍の対話を獲得できたことに一層の成果を達成でき、大きな満足感を得られました。

 

岩本多實

今回、初めて「学生との対話」に参加させて頂きました。武蔵工大の卒業生である大畠章宏衆議院議員の参加で、エネルギーや教育について国としての動向を伺うことが出来たほか、原子力・エネルギーに関心を持つ学生にとっても心強い示唆を受けるなど、盛り上がった集まりであったと思います。

私たちのDグループは「原子燃料サイクル」と「世界で活躍できる技術者になるには」がテーマでした。前者では、学生が日本や世界と言う広い視野でものを見た場合の現状と今後のことをあまり知らないので、これについて話がなされ、学生も理解したようです。「木を見て森を見ない」学生への教育の必要性を感じました。後者では、広い視野を持ちつつ個人と組織が目標に向かって然るべく努力することが重要であることを話し合いました。

武蔵工大が来春に開設する「原子力安全工学科」についての講演や討論報告からは、新設に向けての努力が良くわかり、学界、産業界にも働きかけられるなど、さすが東京にある大学だと思いました。小生、実は福井工業大学在職中、大学の学部レベルで「原子力」を冠する唯一の学科である「原子力技術応用工学科」の開設に関与し、平成174月に新設された後、去る3月までの2年間主任を務め、学生の入り口から出口までに気を配っていたからです。出口については、入学生に対して大学で資格取得を含めて教育をしっかりやれば良いのですが、肝心の入り口の学生募集を支えるには、まず、エネルギーや原子力について、高校の先生はもちろん、小学、中学、高校のそれぞれのレベルに応じた教育が国として必要であることを痛感しています。来春からは「原子力」を冠する学科を有する大学が2つになるわけですが、今後、原子力ルネッサンスと技術継承の必要性の波に乗って入学者が増え、全国的に原子力技術者の育成が盛んになるとを願っております。

 

小川博巳 
小川講演に対しての意見として、「EnergyEnvironment Economyの3Eのバランスが大切だと思うが、どう考えるか?」との発言に対する応答:時間が限られているので、温暖化とそれを齎すエネルギーの大消費、切り札の原子力に焦点を絞ったが、省エネはエネルギー問題の原点だ。アル・ゴア元副大統領が、映画と1000回に及ぶ講演で”ten things to do”と称して、省エネを世界の市民に訴えたのは価値がある。然しながら、世界の指導者としては省エネの訴えだけでは物足りない。肝心な、人類のエネルギー選択に触れないのは不満だ。今日は敢えて、核エネルギーへのパラダイムシフトが、人類を救うものだと訴えた。

       武蔵工大が原子力安全工学科新設に先立ってオープンスクールを企画し、その中で「対話」のイベントを実施したこと、しかも学生の発案・企画・運営がなされたことを高く評価したい。

       「学生とシニアの対話」は武蔵工大で第1回を開催して以来、既に全国2順目を経過しているが、新旧の卒業生が挙って参加し、学生に先輩たちの活躍ぶりを自ら示す姿に接し、感激した。

       6大学の学生が大学の枠を超えて、世界と日本の将来あるべきエネルギーの選択につき、共に議論し、交流する姿を目の当たりにして、我国の将来を託すに足るものが感じられた。

       新設・原子力安全工学科の教官10名が参加し、シニアの意見に真摯に耳を傾け議論を交わした上で、学生と同様にグループ討議の結果を取りまとめ、学生達に混ざってその成果を発表したのは、教育者としての姿勢を学生に示して、清々しいものがあった。

       今回初めて、原子力有識者派遣事業の扱いで3名の講師が派遣されたが、今後は「対話会」参加シニアをボランティアに頼るのではなく、願わくば対話会参加シニア全員を国の派遣講師として認定されることを強く望むものである。

 

加藤洋明

 昨年の茨城大学以来2度目の参加であったが、今回は活気に満ちた対話会であったと思う。それは、原子力安全工学科の開設を来春に控えていること、先輩である大畠衆院議員の参加と特別講演、石井、小川両氏の時宜を得た講演、当大学での対話が3回目で学生たちが慣れていたこと、幹事さんの配慮によるところが大きかったと思います。

 原子力安全工学科の開設は大学にとっても並々ならぬ覚悟があってのことと思うが、先生、学生とも大きな負荷を背負った感じを強く受けた。当事者の努力による発展を願うしかないが、原子力の将来を考え、官・産ともに色々な面からの支援が必要であろう。

 大畠議員の特別講演は、先輩でメーカーで原子力に携わった経験、政治家としてエネルギー問題に関わっている経験をふまえてのもので、学生達だけでなく先生方をも勇気づける有益な話であった。

 グループディスカッションは、事前に学生達の希望にそってグループが構成されたこともあり一応各自の意見は述べるが、突っ込んだ討議ができるまでには至らなかった。このような機会を重ねることにより、さらに実のある対話が出来るようになるだろう。対話のテーマは一つに絞ってもよいのでは。

 いずれにしても、幹事さんたちの努力のお陰で立派な対話会になったことを感謝します。

 

西郷正雄

このたび、初めて「学生との対話」に参加しましたので、今までに実施された「学生との対話」と比較した感想は述べられませんが、講演の間にグループディスカッションを盛り込んだ企画は、良かったと思います。全体が少し盛り上がったところでの対話は、学生からも積極的な発言効果を得られたものと思います。

私達のグループでは、結論めいたものとしては、「原子力の位置付けに関し、日本のエネルギー自給率の貧困さ(4%)を準国産エネルギーの原子力で賄うのが最良の方策であること、しかし、化石燃料や自然エネルギーなどとのベストミックスは必要であること」、「原子力を周りのものに如何に理解してもらうかが大きな課題であること、そのためには、自らが良く勉強して納得のいく理解をし、その上で周り(特に母)に説明して理解してもらうことである」というようになりました。

原子力のメリット・デメリットを良く理解し、日本のエネルギー事情や地政的条件などを理解して、原子力の必要性を将来を担う若者に伝承することは、シニアの務めであると感じました。ただ、現役の方々との協調を忘れて突っ走ることは、気をつける必要があるかと思います。常に縁の下の力持ちでなければならないと思います。

 

宅間正夫

武蔵工大での対話、所期の成果を十二分に達成できたものと思われ、大成功と考えます。初めて対話に参加しましたが、学生・教員・シニアメンバーとも真剣で、熱気にあふれる雰囲気に圧倒されました。これほど学生たちの「聞いてみたい、言ってみたい」という気持ちが率直に表れたのは、おそらく、学生たちにとって自分たちがこれから入ろうとする職業や専門分野の世界について、先生方以外に、対等でかつ世代を超えた交流・対話の機会が極めて乏しいからではないか、と感じました。その意味でこの活動はますます重要になると思われます。

 石井さん・小川さん・大畑先生・堀内教授のお話も、学生たちにとってはもちろん、われわれシニアにとっても気持ちを新たにする機会になり、とても優れたものでした。

 私の属したグループの一学生が「原子力をやるにあたってどういうところを心がけたらよいのか」質問しました。おそらくこれこそ、原子力の創業期にくらべて、ルネッサンスを興し、次の世代を担う若い技術者・原子力関係者が一番知りたいところで、かつシニアがアドバイスしたいところでは、と感じました。グループ対話のテーマがおおきく「知識の伝達・継承」と「技術・エネルギー・環境・原子力などに対する思想・理念の討論」にわかれるようでしたが、後者は全員での討論、前者は学生たちの興味に応じてグループ分け、という手もあるかもしれません。対話の参加者・事務方の皆さんに深謝。なお小生の総合評価では「武蔵工大の来年の新学科立ち上げのための景気づけ」とちょっと的が外れましたが、これは堀内教授が36年前の原研原子炉研修所の同期生ですのでつい熱が入りました次第で、ご容赦くださいますよう。

 

竹内哲夫

@今回の感想印象は正しく 正の即発臨界状態で盛り上がった。メデタシで成果に酔いました。関係各位に深謝します。

この突然の好循環の要因はなんと言っても。

a.当校では2ラウンド目で、この間のSNWについての過去実績と成果の伝承があり、これを直につなぐ学生の本人参加もあリ、準備もあったこと。

b.大先輩の大畠議員のメッセージ講演もあり、直近卒業生の吉田君{原燃}の参加もあり皆が盛り上げた。

c.当校の原子力安全工学科新設のPA中で、教員達の熱い吐露があった。

d.参加学生が6大学でハイブリッドでしかも学齢が学部、修士、博士をたくみにマトリックス配置したグループ分けして、加えて討議テーマーを予め抽出した今回の方式はは短時間でも集中できた。

e.石井、小川両氏のプレゼンテーションは秀逸であり、学生の未来感の養成に役立った。

f.会話集会へのコメント:−準備した、討議項目は多種多様で学生の希望で択ばれたことは良かったが、所詮、討議時間が短く、纏めは深堀利できなかった。これを補佐するために参加者全員が一口トークした今回の試みは良かった。

Aオモロイ、ユーモラスな学園祭向きの試みで、学生、教員夫々が「原子力工学科は10年持つか?」の議論は今回のなかで一番に感動と示唆をくれた。

 学校も職場も伝統と権威でとかく硬直化されて、無駄口も無い規律優先で縛られた古い社会に、今回のような試みが学園祭であった事は大きな成果だと思う。

 今の、武蔵工大の原子力関係者(教官も学生)の今回の自由闊達な議論が、閉鎖性を飛ばす気風として今後の日本の原子力界に必要だと思った。

 

 原子力界は高度専門過ぎて世間離れして、またさほど関心のない一般国民からは隠蔽体質と一言で遮断されて来ている。今回のように育った学生が卒業し社会で評価されれば、学科の世評が社会認知され、評判が進学学生を呼ぶ好循環になり、10年どころか猛繁栄するでしょう。

 またこの全く逆も存在する訳で、生かすも殺すも関係者の努力と心意気一つです。

 

土井 彰 

武蔵工大に於ける学生との対話の感想を述べます。

1.          今回は初めて先生のみのグループを担当した。先生の関心の第一は、よい生徒をいかに集めるかにある。  2.以降のお願いをした。

2.          大学への入学でよい学生が集まらないのは、卒業生によい人が居ないからである。近く学科が発足するので、今後は出た人がよい仕事をしている姿を見せてほしい。

3.          企業は、採用後必要な項目についていろいろ教育しているので、その分野の専門知識はOJTで学ぶことが出来る。学生にはそれを受け入れる素地を作り上げてほしい。

4.          「原子力」は専門分野ではないが、その特徴は種々の専門分野の技術を総合して活用できることにある。それを意識して学科の特徴を出す努力してみることもよいのではないかと思う。

 

西村 章

今回の私達のグループは、先生方が主な対象でしたので、これまでと少し変わった議論が出来て良かったです。

例えば、先生方が高校を回られ、学生さん勧誘活動の経験を話して頂き、現在の中学、高校教育の問題点を具体的に教えて頂き、大変参考になった点。

また、将来のお母さんとなられる若い女学生に対するアンケート調査等の結果をご紹介頂き、改めて、原子力の安心についての認識のギャップを思い知らされた点等々です。

やはり、先生方との情報交換は、我々にとって大変新鮮であり、有益であったと思います。

次回の愛知教育大を含め、今後の活動に大いに期待が持てました。

 

林 勉

今回の対話は運営に色々工夫がなされていて、とても良かったと思いました。大畠議員に後輩に対するメッセージをやってもらったことも大成功でした。

中々話が上手で対話の会全体を盛り上げるのに大いに寄与してくれました。

基調講演も2部に分けてそれぞれポイントを絞ってやったことも良かったと思いました。

対話のグループ分けも興味あるテーマごとに分かれており、これもよかったと感じました。その理由は学生の何人かが自分の興味あるテーマがあるので参加したと言っていたからです。対話もずばりそのテーマに入っていけたので、今までより深い対話が出来たように思いました。そのテーマに関する知見を広げることが出来たと何人かが言っていましたので、その意味でもよかったのではないでしょうか。

既に500人の学生が参加したとのこと、この学生達が職場でさまざまな分野で活躍するのにきっと色々な面で役立っていることでしょう。

私達の活動の意義が実証されていることを体感できた「学生とシニアの対話」会でした。ありがとうございました。

 

古田富彦

「学生との対話」に初めて出席しましたが、企画・運営の工夫、講演内容、大畠議員に後輩に対するメッセージそして学生諸君の意欲的な反応から成功であったと思います。将来願わくば3割程度の女子学生が参加するようになればなおさらよいと思いました。
 議論の中で原子力を専攻するにあたり親への説得に自信ができたという発言と10年後の武蔵工大原子力安全工学科は存続するのかという質問が特に印象に残りました。
 原子力専攻の学生を増やすには「将を撃たんと欲すれば先ず馬を射よ」の譬えのとおり、今は女性や母親に原子力アレルギーを払拭させ、原子力が日本のエネルギー確保と温暖化防止に不可欠であることを理解させ、原子力が受け入れ可能なリスクであることを
 如何に認知させることかと思います。そのためには、放射能、放射線被ばくの影響およびエネルギーについての正しい知識をもってもらうことが先ず大切であると思いました。今回グループデイスカッションで放射線被ばくの影響についての知識が意外と低いことが分かったことです。放射線・エネルギー教育が今後も大切な検討課題であろうと思います。
 対話を通して学生諸君が具体的な目標、積極性、協調性、倫理観、幅広い教養、奥深い専門などをもつ未来像に少しでも参考になれば幸いと思いました。

益田恭尚

対話in東京2007は武蔵工大の原子力安全工学科発足に向けて多数の先生方の参加、卒業生としての大畠衆議院議員の特別参加と盛りだくさんな催しとなり、幹事の努力と、時間も比較的十分とれたこともあいまって、対話会は大いに盛り上がった。

対話の題目も比較的絞られた題目が選ばれていたので、学生が希望する議論に参加できたことも良かったのだろう。

私はAグループの担当であったが、皆、学校も学年も違い学生同士も初対面であった。リーダーの山本君はD-1であり、学会の若手グループでも活躍中で上手く司会をしてくれたと思う。私も出来るだけ学生の意見を聞くように努めたが、放射線に対する世間の過剰な心配に対しては、シニアと同じように感じているようで、よく理解してくれていると頼もしい思いであった。日本企業は世界の牽引役になれるかという議題についいては、課題が多いことも説明し、その解決はこれからの皆の努力に掛かっているということも理解してくれたようだったが、纏めではその点が触れられていないのはどのように理解してくれたかちょっと心配であった。

回を追う毎に学生の理解が進んでいるように感じたが、その域に達していない学生が参加しにくくなっていないか今後フォローする必要があろう。

 

松永一郎

今回の対話は16回目であり、一昨年の7月に武蔵工大で開催してから2年半でスタートした大学に戻ってきた。学生との対話に一貫して携わってきたが、当初、ここまで続くことは予想外のことであり、感慨深いものであった。

開催大学の武蔵工大が来年度に原子力安全工学科を新設することもあり、大学の教員も対話に加わることになったこと、学園祭の開催期間中であったので、対話とグループ発表を分ける2部制とし、グループ発表は一般来校者にもオープンにしたこと、グループ発表の冒頭に同学卒業生である大畠章宏衆議院議員の講演を入れたことなど、イベント性に富んだものであった。参加大学も6大学、30人と範囲が広かったが、学生幹事の企画、運営が上手かったために、スムーズな進行で成功したものと考える。

 対話は教員グループ2、学生グループ6に別れ、それぞれ予め決められたテーマに沿ったものであった。学生グループは自分たちで希望したテーマだったので集中できたようであり、グループ発表への質疑もそこそこあり、良かったと思う。

 教員グループにとっては来年度の船出への決意表明的な要素があったであろうが、これだけの数のシニアと学生と一緒になっての対話は大きな勇気付けになったものと思われる。

Dグループのテーマは「核燃料サイクル」と「世界で活躍する技術者になるためには」というものであった。知識レベルに差があるために、どうしても当方からの話を学生が聞くというスタイルになってしまう。もう少し質問を随時いれ、彼らの本音を聞きだすようにしなければ・・というのが反省事項である。なお対話で「資源のない日本では、君たち自身が資源である。」といったところ、グループ発表で「資源になれるか分からないが、なれるよう努力したい」と学生の一人が言ったが、これが対話の最大の効果であると再認識した。


添付2  「学生とシニアの対話in東京」 学生事後アンケート結果

 

以下に事後アンケート結果をまとめる.参加学生30名中25名分(83%)の回答があった.

 

 

 

記述回答結果

 

講演の満足度

     原子力業界というよりも社会に対する視野が広がりました

     グローバルな視点や政治的な話など話題が多くて興味深かった

     今までの対話と異なり,政治家のコメントや武蔵工大原子力安全工学科の紹介を聞けてよかった

     講演の内容はすばらしいものばかりでとても満足でした.それ以外にほかの学生や企業の方の巧みなプレゼンテーション能力に,見習うべきことが多いなと感じました

     有意義な話を聞けた

     話が長く対話する時間が少なく感じた

     大畠さんの話は,ほかではあまり聞けない内容であり,とても面白かったから

     講演者の「現状をかえなければならない」という想いが伝わってきたから

     シニアの見識の深い話しが聞けてよかった

     あと少しだけ誇示炎的にいろいろ質問できる時間がほしかった

     大畠議員の話を聞けたこと.政界にも厚い情熱を持った人がいることがわかりうれしかった

     講演の内容をもう少し違うものに.幅を広くして3つとも同じような話になってしまう

     温故知新でした.定量的な説明など面白く理解できた

     石井正則さんの原子力産業の情勢についての講演は、原子力系の学生にとっては興味深く、また必要な情報であると感じた。シニアとの対話での講演では今まで触れてこなかった話題なので新鮮だった。

     講演者を減らしディスカッションの時間を延ばしたい

     シニアの方が持つ情報量の多さ,わからなかったところなど今回でわかることができた

     参考にはなるが少し長い気もする.講演2はいらなかったと思う

     実体験、というか現実味のある話が聞けたから

 

対話の満足度

     シニアの方々はとてもたくさんの話の引き出しがあってとても面白かったです.ただ時間が少し短かったです.

     シニアの方から深い考えと同じ学生から厚い意見が出てとてもいい刺激が得られた.

     ディスカッション能力を鍛える意味では満足したが,私の議論したい内容に行き着けなかったので不満

     資料がネットからは得られない貴重なお話を聞くことができ,また,普段あまり論議する機会の少ない原子力関連のお話が白熱したのがとても身になりました.もう一つの議題に触れられなかったのが残念でならないです

     対話ではなく講義になっていた.就職関係のテーマだと致し方ないことか

     参考になる話を多い聞けた

     自分の知りたい就職に関することが聞けた

     あまり特別な内容はなかったと思う

     シニアの方々の「エネルギー問題を何とかしなければならない」「若者を育てたい」という想いが伝わってきたから

     せっかく良いテーマが決められていても,話の方向がそれすぎた

     時間がもう少しほしい

     現場の状況が聞けた

     もう少しディスカッションの時間がほしかった.シニアの方のお話は刺激的であった

     時間が足りない.内容そのものはよかったのだが

     視野を広げること,また実社会の現状認識に役立ったから

     バイオマス,国家全体でのエネルギー教育など

     今回初めて参加した学部3年やM1の方たちが積極的に発言をしてくれたことは、うれしかった。研究室の先生が、対話に参加しなかったことは非常に残念だった。

     意見を言えるまでに時間がかかってしまい,壁を感じずに入られなかった

     今話題になっている耐震や情報公開についての話をたくさん聞けたから

     対話できる人数が限られていた点,年一回

     中小型炉開発の目的,耐震基準について知ることができた

     同上。希望したテーマについての話が聞けたので満足でした。

 

対話の必要性

     シニアの方の経験を引き継ぐためにも必要であると思います

     学生にとってはめったにない機会

     原子力にあまり触れる機会のない学生がいるので継続は望ましい.ただ,開催場所に依存する面があるので東海大などで行ったほうが良かったように思う

     普段は研究室にこもって研究に没頭してばかりなので,シニアだけでなく同年代の人とお話ができただけでもその必要性はあったと思います

     人生について学ぶとても良い機会

     世代の交流を図ることは重要である

     シニアの方には,その内容の得意不得意があると思う.前もってシニアの方と内容について話し合ったらよいのではないか

     エネルギー業界、人生の大先輩の方々の考えや想いを聴くチャンスが多くないから

     シニアの経験を聞くことも大切だが,それ以上に,現役で活動している方の話を聞きたい

     社会に入ってからはなかなか話せる人ではないため

     めったにない機会で,普段聞けない話が聞ける

     シニアの方が人生を通じて取り組んできたことを若手に言葉で伝えてくれる場は重要.考え方,経験,価値観など学ぶことは多い.これは対話という形でしか成り立たないことだと思う.

     老若男女すべてから話を聞くべき.経験は聴くだけでも参考になる

     視野を広げること,また実社会の現状認識に役立ったから

     この機会がなければ経験豊富なシニアとグループディスカッションできない

     シニアの方から、積極的に学生の意見を聞き出そうとする姿勢が良かった。対話の名に相応しい雰囲気だったと思う。最後のグループ発表で学生全員が意見を述べるスタイルは、今後も続けた方が良い。

     もっと大きく,国で行うのもよいのではないか?こういう教育は必要だ

     原子力会を支えてきた先輩の話を聞くことはとても大事なことだと思う.その上で,改めることと新しく取り入れることを考えるべきだと思うから

     今回の対話で知見が広がったと感じたため

     もう少し原子力系以外の学生に参加してほしい

     いかに自分に知識がないか、ということに気づかされたから。

 

エネルギー危機に対する認識の変化

     エネルギー系学科出身だったため

     エネルギー危機に対する認識はもともとあったので変化はあまりないです.再確認したような感じです.

     身近なところから始められるエネルギー教育という視点が変化した点

     オイル価格高騰で100ドル/バレルに近づいていることにショックであった

     もともとの認識と変化なし

     あまり特別な話はなかった

     講演で具体的な図や数値を見たため

     対話の前から危機を感じていたから

     高速増殖炉の必要性を改めて感じた

     シニアの方の話を聞いてより認識が強まった

     エネルギーは無限にあるわけではなく,絶えず考えていかなければいけないこと

     最初から危機感を持っていたから

     シニアの方の、「利用できるエネルギーは何でもいいから使わないといけない状況に来ている」という発言は、少しショックだった。

     自分もどこかどうにかなると思ってしまっている

     様々なソースから危機感はありましたが,これからは自分だったらどうするかを考える機会となったため

     もともと危機意識を持っていたから

     講演で総合的な目線からの説明があったので、改めて考えさせられた。少し原子力よりかな、とも思ったけど。

 

原子力のイメージの変化

     現在原子力選考に所属しているので

     原子力は将来性がすごくあると考えていましたが,推進していくためには原子力の知識を知識のない人に知らせていかねばならないと感じました

     正しい情報を伝えることが共通認識だった

     社会の変化は早い.何回対話に参加しても新しく得られることはある

     特に変化はなかった.しかし,シニアの方の大きな視点から見た原子力に対する姿勢には感銘を覚えました

     もともとの認識と変化なし

     原子力業界の人たちだけだから

     講演や対話のなかで原子力の魅了を知ったため

     対話の前から必要と感じているから

     高速炉の重要性

     電気自動車は,あまり関係ないものと思っていたが電気自動車の電気を原子力で作ることもできることに気づき,ある意味新エネなのだと思った

     もともと悪いイメージを持っていなかったため再確認という形となった

     一般人がマイナスのイメージを持っているというイメージ

     少しでも勉強していれば負のイメージはないから

     シニアの方の、「原子力が新エネルギーを育てる」という発言で、原子力の責任を改めて感じた。(ただ、発電するだけではいけない)

     100%依存は無理だとわかり,少し減らしてもいいのではないか

     安全性について原子力産業は企業努力をしているということがわかった

     もともと原子力は必要だと思っていたから

     原子力の技術に対するイメージはあまり変化しなかったが、技術を支えてきた人たちがいる、という点でイメージの変化があった。

 

若年層に対する広報の仕方

     放射線利用商品にラベルをつける 身近なものにする

     様々なエネルギー源がある中で,環境問題,エネルギー密度などを踏まえて,原子力は必要であることをアピールするといいと思います

     エネルギー教育の充実

     学校教育や原子力産業の出前授業

     幼年期からの教育はもちろんのこと電力自由化による競争をより激しくして,電力事業者間での広報戦を促進させる方法があればと思います

     ゴアさんの映画のような原子力版を作っては

     地道な活動が最大の近道だと

     中学や高校で原子力の授業を増やし理解させる

     最初から原子力について話すのではなく,エネルギー全般のことからはじめればよいと思う

     10,20代からのPR活動では遅い

     学校教育,受験に必要なテーマとして位置づける

     原子力発電以外の平和利用や,安全性について,また放射線についての正しい理解を学校の教科書に取り入れる

     まずは関心を持たせることが必要であるので,その戦略を考えるべき.TVCMで各企業が発信する.深い話はできなくとも関心のきっかけにはなると思う(NUMOがモグラのCMをやっているのも然り)

     何をもって関心が低いといっているのか?どの程度であれば高いといえるのか?

     学校でしっかり教える.テレビでの片寄った報道をやめさせる

     学校教育.効果は長期的に見るべき

     原発が全て止まった時の生活を、体験してみる。

     エネルギーに対して危機感がなく,他力本願な部分がありどうにかなると思っている.一度とめてもよいのではないか?

     関心を持つ前に,まず知る機会がなさ過ぎる.学校の授業,実験を増やし,もっと原子力/放射線について知ってもらうCMなどをやるべきだと思う.

     NUMOCMの様なものが非常によかったです.CMやインターネット広告などで軽い宣伝をすることで親しみを持ってもらえるのではないでしょうか

     展示館,発電所や原子力施設見学の機会を多く設けるようにする.東大,京大がもっと原子力に力を入れる(受験制度など)

     地道に工場見学を行う。学校の授業の一環にしてもらえれば効果は高いと思う。

 

その他

     学生とシニアの対話旅行でもあると面白いかもしれません

     予定を見たときは時間が十分あると思ったが実際に時間の進むのが早くてとても面白かった

     もっと他大学学生が集まれば,交流をより充実したものにできると思う

     ほかの業界の方や主婦のグループなども参加するともっと面白かったと思う

     シニアの方々の経験談や考えはとても面白く、時をたつのも忘れるほど楽しい時間だった。スケジュールの時間厳守を徹底して欲しい。

     時間の管理をしっかりとやったほうが良い

     グループ発表の時間が長かったので,もう少しだけ短くし,懇親会の時間を長くしてほしかった

     自己紹介カードのようなものを事前に参加者が作ってきたらいいと思う.ディスカッションの背理がスムーズになる.テンプレートを用意して,参加表明連絡時にメールで提出してもらうとか

     原子力のイメージ=不安,危険,など負のイメージが多いというのはどこから来たのだろう?爆弾から?とりあえず面白い話ができてよかった

     対話をした結果得られた具体的な成果を、見つけられるか?どのように発信するか?が今後の課題だと思う。事後アンケート以外で、何か成果が分かる指標はないだろうか?休み時間は、1時間に10分位は必要であると感じる。武蔵工大の話が多くて、他大学の方には少々申し訳なく感じた。

     対話をもっとやったほうがよいと思う.同年代だけでなど話しやすい環境が必要だ

     今回のような対話は僕にとって非常に貴重な体験でした.今後もこういった企画があれば参加したいと思います.できれば参加する各グループごとで打合せをできるよう,取り計らいをしていただけるとありがたいです.

     グループディスカッションにおいて対話する時間とまとめる時間をはっきり区切るほうがよい.事前にグループリーダーを設定しておきながら,その人にグループリーダーが何をやる人なのかを周知していなかったことは問題であると感じた.教授の質問が長すぎる→もっと簡潔かつ明瞭に!

     進行が問題あり。


添付3 教員の感想

「学生とシニアの対話in東京」に参加して

武蔵工業大学原子力研究所

丹沢 富雄

 20071124日に武蔵工業大学で開催された標記の「学生とシニアの対話」に参加させていただきました。初めての参加です。「対話」、懇親会も含めて散会後、とても爽やかな心持になりました。シニアの方々も、学生の皆さんも、素直に、率直な意見を述べ合い、かつ「対話」になっていたからだと思います。

 私はシニアと武蔵工大の教職員で構成され、「企業の求める人材とは」が基調テーマのグループに参加しました。民間企業で重責を務め上げた方々の経験に裏打ちされた確かな見識にふれることができました。学生が、こういった方々と直接に対話できること、それ自体、得がたい経験になると思います。

 「エネルギー・環境問題に対する原子力の位置付け」と題する講演は、客観的な統計データを実に良くまとめた説得力のあるものでした。全体討議の中で、“「新エネルギー」と「原子力」とをどう考えるか”について、競争ではなく、相互補完、つまり「ベストミックス」の追及、このことが大事、という見解が示され、と同時に「省エネも大切さ」との意見が出されました。同感です。省エネの実行には「ライフスタイル」も変えていく必要がありそうです。大畠議員は「エネルギー政策は、国が責任をもって一貫した政策を確立しておくことが肝要」との趣旨の話をされました。エネルギーという社会インフラは、国が積極的に関与して、長期的展望にたった整備を進めるもの、その「核」として、「原子力技術」を大事にしていくことが必要、そのためにも、「まとめ」の報告で原子力の専門家と社会のコミュニケーションが重要、との発言は、当を得たものでした。

 とても有意義な会に参加できました。会を準備されたスタッフの皆さんのご努力に敬意を表するとともに、御礼申し上げます。継続していくことを期待しています。

 

武蔵工業大学工学部

環境エネルギー工学科

岡田往子

初めて「学生とシニアの対話」に参加させていただきました。同時に原子力オープンスクールを開催していることもあり、後半からの参加でしたが、学生の発表を聞いて非常に有意義な対話であったことを感じました。学生一人ひとりの感想・展望は、新しく学科を立ち上げる私たちにとって心強い限りです。今の学生は地域社会での年配の方々との接点が少なく、さらに彼らにとって大学の教授はある意味利害関係で結ばれ、時には自分の親父から話を聞いているようなうるささがあります。学生にとってすこし距離のある尊敬できる人物と話をする機会は非常に貴重だと思います。そういった意味でも、今回の対話は非常によい経験だったと思っています。

私は会終了後で羽倉君にしかられましたが、直接シニアの方々と対話はできませんでした。役目としては女性としての提言もできたのではないかと反省しています。小川氏がおっしゃっていた「日本は経済優先なのか」という部分は非常に心打たれるものがありました。工科大学としてもそのところの議論がなされるべきではないかと常日頃考えています。簡単に持続可能な発展とは言うものの、環境を維持するには本当に発展はあるのかどうかについても議論されるべきだと考えています。私は中学生のとき(40年前)に「地球は怒っている」という作文を書きました。そのころは公害、公害と叫ばれたころで、私自身非常に怒っていました。あのときでさえ、平凡な中学生の私が感じていた地球の危機、いろいろな方々が感じていたはずですが、やはり発展を重視してきたのでしょう。今、本当に地球は瀕死の状態であることをもっと叫ばなければならないと思います。原子力ありきではなく、もっと根本から話し合い、原子力の必要性を訴えていかなければならないと思っています。(生意気ですが)そのためには、多様な考え方を導入していかなければならないと思います。その多様性のひとつとして女性も取り込み、柔軟な原子力の今後を考えて行ってどうでしょうか?「原子力ルネッサンス」は若い力が結集してこそ生まれます。さらに私たちを生み出した母なる地球は人間として男性・女性も生み出しました。その英知を合わせることで、本当の意味での地球環境を守る力が生み出されるのではないかと考えています。そんなことを今回の「学生とシニアの対話」で考えました。シニアの皆様、ありがとうございました。そして、近未来の学生の力に感謝しています。ありがとう。

以上