大学における学生とシニアの対話実施概要
−対話 in 東京−
松永一郎
1.実施主旨
昨年度から続けている「学生とシニアの対話」の東京版。日本原子力学会の学生連絡会及びシニアネットワーク(SNW)並びにエネルギー問題に発言する会の活動の一端として、原子力/エネルギー系を主体とした学生とシニアの交流を図る。なお今回で通算8回目となるが、SNW主催の活動としては5月に発足してから2回目の「対話」となる。
2.対話の目的
原子力系理系学生等とシニアとの対話を通して、学生とシニアの相互理解を図ると共に、今後の原子力、エネルギー産業について共に考え、これからの対話のあり方やエネルギー教育の実践あり方の参考にする。また、彼ら学生が社会へ出るまえに、原子力OBの経験や気概を少しでも吸収できる機会を提供し、今後の実務への自信に繋げてもらう。
また学生側は6大学(東大、東工大、武蔵工大、東海大および東北大、茨城大)の学部生から博士課程在籍者までの幅広いものだったので、学生間の交流も目的としている。
3.対話の実施
(1)日時 平成18年11月18日(土) 13:00〜17:50
(2)場所 東京大学工学部浅野地区
(3)参加者
@学生 21名(学部生7名 大学院生14名)
(内訳)東大:8名 東工大:5名 武蔵工大:5名 東海大:1名 東北大:1名
茨城大:1名
Aシニア
・SNW会員及びエネルギー問題に発言する会会員15名
青木克忠、荒井利治、池亀亮、石井正則、伊藤睦、岩瀬敏彦、小川博巳、金氏顕、岸本洋一郎、太組健児、竹内哲夫、土井彰、西村章、林勉、松永一郎
B大学
武蔵工業大学工学部環境エネルギー工学科 吉田正教授
東北大学大学院量子エネルギー工学専攻 石井慶造教授
茨城大学副学部長工学部付属研究センター 前川克廣教授
(4)実施内容
@総合講演
・エネルギー問題を原点から考えよう 林 勉 氏
A対話
6グループに分かれ、シニア2〜3名に対して、学生が3〜4名ずつついて対話。
吉田教授、石井教授、前川教授はオブザーバーとして、グループに入った。
対話の題材は各グループで対話を進めていく段階で、学生側の興味に準じて、各グループが決めた。
対話終了後に各グループから対話内容のまとめと説明がなされた。またシニアを
代表して、荒井氏から講評が、石井東北大教授からは感想がなされた。
(5)結果
シニアから感想を収集。学生には事後アンケートを実施した。
(シニア感想概要・・個別意見を有る程度集約)
@今回の対話は大学数が多く、所属学科も様々であり、学年も学部1年から博士課程3年と幅が広くバラエティーに富んでいた。また、学生とシニアの数が殆ど同数であり、そのために、対話はフランクで一人一人に対応できる深みの有るものとなった。教育について「いじめ問題」など予期していなかったところまで話が及んだグループもあった。
さらにリピーターや昨年まで対話にいた学生連絡会OBまで加わり、熱のこもった対話とすることができ、大成功であった。
Aバラエティーに富んでいただけに、対話の主題もひろがった。それはそれでよいが、このような場合にはグループのテーマの選び方、進め方には一考を要する。学生の事前アンケート結果がシニアだけに事前配布されていたが、学生側にも配布されていたら有る程度学生間のスタンスが彼らにも予想できたかもしれない。
B深みの有る対話ができたことはよいが、やはり参加学生が多いことは必要。なぜ少なかったのか理由を解明するとともに、どうしたら数多く集められるか、事前募集方法を工夫する必要があろう。また、工学部系以外の教育学部その他の学生の参加がほしい。
C次回以降に開催予定の大学の担当学生と教官に参加してもらったのは非常に良い。進行手順や雰囲気が事前に分かり、当該大学における開催がスムーズに行く。
D「教官とシニアの対話」は是非実現すべき。東北大から参加した石井教授の提案で、早速次回の東北大で実現(12/14)するのは大変、意義のあること。
Eシニアの自己紹介
・事前に書式をきめて、あるいはきめずに自由に書いて学生側に事前に配布しておく。
・自己紹介書に自分の話したいこと、聞きたいことを一緒に書いておけばよい。
F学生は素直でまじめであるが、自分の意見を持っていないか自己主張しないように感じられる。質問の際に、もっと自分の意見を述べて欲しかった。
G学生の関心は自分の将来について、シニアの経験、人生観、処世術を参考にして色々と考えたいというところにあり、彼らの疑問にたいしてわかりやすくこたえてやることが重要。
H基調講演は今回程度が簡潔でよいが、原子力、エネルギー系以外の学生には難しかったかもしれない。
(学生のアンケート結果概要)
22名に配布し、全員から回答があった。(1名は講演のみ参加)
学生とシニアの対話の必要性を感じたものは20名(91%)、対話の内容に満足したものは21名(95%)、事前に聞きたいと思っていたことが聞けたというもの17名(77%)であった。またエネルギー危機、及び原子力に対するイメージに変化があったものはそれぞれ10名(45%)、8名(36%)であった。
エネルギー危機、原子力に対するイメージに変化があったのは、それについてあまり知らなかった学生の比率を示す。
以下にその内容を示す。
回答率:22名/22名(100%)
(1) 「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?
1.非常にある 20
2.無回答 2
(2)エネルギー危機に対する認識の変化はありましたか?
1.大いに変化した 5
2.多少変化した 5
3.あまり変化しなかった 7
4.全く変化しなかった 4
5.無回答 1
(3)原子力に対するイメージに変化はありましたか?
1.大いに変化した 2
2.多少変化した 6
3.あまり変化しなかった 8
4.全く変化しなかった 4
5.無回答 2
(4)事前に聞きたいと思っていたことは聞けましたか?
1.十分聞けた 17
2.あまり聞けなかった 4
3.全く聞けなかった
4.無回答 1
(5)対話の内容は満足のいくものでしたか?
1.とても満足した 11
2.ある程度満足した 10
3.やや不満だ
4.大いに不満だ
5.無回答 1
4.まとめ
今回の対話は9月26日に北大で開催された対話に続くもので、8回目となる。また、今春の「対話in関西」に続く2度目の「複数の大学が参加した対話」となった。ただ関西では4大学(京大、阪大、近大、神戸大)から48名の参加者があったが、今回は4大学(東大、東工大、武蔵工大、東海大)から19名、招待大学(東北大、茨城大学)から各1名、6大学合計で21名という、いささかさびしいものであった。
一方参加したシニア数は東京という場所柄も幸いして15名(内、初参加者4名)、オブザーバーの大学教官3名を加えて18名という人数となり、学生数とシニア数がほぼ同じという、最近では珍しい構成の対話となった。(第2回目の東工大では学生13名、オブザーバー含むシニアサイド13名)
対話そのものは、参加した学生の所属学科が原子力系だけでなく、バイオ、物理、環境、機械とバラエティーに富んでいたこと、学年が学部1年から博士課程3年までと幅広かったこと、リピーターが数名混じっていたこと、昨年まで対話の学生側の中心にいた社会人1年の三木氏(テプコシステムズ)が飛び入りで参加したなどから、各グループともにザックバランな対話ができ、密度の濃いものとなった。
対話終了後の学生側アンケートおよびシニア側の感想を見ると、いずれも満足度が高く、成功したと言ってよい。
参加学生が少なかった理由としては以下のことが考えられる
@関西では学生側が初めから計画して、4大学合同で実施するとの計画を立てたが、今回はシニアサイドからのサジェスチョンにより4大学(最終的に6大学)合同で実施することになった。
A取りまとめの中心になった山本智彦君(東大大学院原子力国際専攻)の本拠が茨城県東海村にあり、4大学を取りまとめるには地の利が悪かった。
Bシニアサイドから大学教官側への協力依頼をしなかったために、教官からの協力が得られなかった。(第7回北大、第6回九大では依頼した。)
来年度以降、再度実施する場合には、この点を踏まえて準備する必要があろう。
なお、山本君は孤軍奮闘して最終的には立派な対話会を開催、運営したことは賞賛に値することです。
対話の最後に東大原子力の重鎮の田中知先生がお見えになり、学生の発表をご覧になっていましたが、この点、大いに来年度以降に期待が持てるものと思います。
また、次回開催大学から参加された石井慶造東北大教授の発案で「教員とシニア」の対話が実施の運びになったのは、対話活動が新しい局面に入りつつあることを示唆しているものと言えるでしょう。
5.今後の予定
12月14日(木) 東北大学における対話
東北大学 量子エネルギー工学科
「教員とシニアの対話」 10:00〜12:30
「学生とシニアの対話」 13:30〜17:30
6.対話写真
7.添付資料
添付1 シニア感想
添付2 学生側事後アンケート結果
対話写真
林 勉 氏の基調講演に対する学生からの質問
対話風景
学生発表
参加者全員の集合写真
添付1 シニア感想
青木克忠
@ グループの構成: 今回たまたまそうなったのかもしれませんが、構成人数、学生とシニアの割合、学生の分布(学年、出身大学)、など理想に近かったように思えます。 特に大学からの先生の参加と対話を経験したOBの参加はすばらしいことでした。今後とも是非継続すべきだと思います。これによって、対話がダイナミック(?)になり、活性化されたようです。
A 対話: 各学生から極く自然に疑問点や問題点が提起され、シニア側もかまえることなく、自然に対応出来た。(じいさんと孫というよりは、先輩として、時には対等な立場で対話が出来たと思う)。
B 発表: 各グループの発表も上手だったと思いますが、Cグループがやったように一人一人がやるのが好感が持てた。
C 今後の拡大: 今の活動を急に飛躍させるのはどうかとも考えますが、大学の先生の参加は勿論、他学部(文系も含む)からの参加も考えて良いのではないか。また、東北大学での試みのように、大学生が主体となって小、中、高校生との対話を工夫すれば、大きな成果が期待できるのではないかと考えます。
D 懇親会: 折角広い会場を使わせてもらったのだから、御馳走を並べる机の他に、自分の皿やコップを置く机と椅子を適当に用意してほしかった。今回は料理が取りにくく、また話にも夢中になって、御馳走を余らせてしまったのが残念!
荒井利治
1.今回の対話では、開催大学の東大は始めての経験であったにもかかわらず、山本君がよく取り纏めをされ、立派な成果が得られましたが、東工大、武蔵工大、東海大などすでに経験のある大学の学生が多く参加され、「継続は力なり」を示したことを嬉しく思いました。特に飛び入りの形で元学生連絡会の三木君が参加されたのには感動しました。
2.しかし開催大学の東大からの参加者が少なかったことについては、SNWとしてはその理由を検討し、開催時期、参加者への働きかけ、内容の説明などを率直に反省して、今後の役に立てるべきと考えます。
学生の就職に対する支援は、東京のような大都会の大学の場合と地方大学の場合とでは異なるのが当然で、よく事情を把握して行うべきと思っています。
3.今回の対話では、SNWのメンバーのほとんどが数日前に安元氏(科学技術と経済の会)の外国のエネルギー教育の講演を聞いた事や現在教育再生会議で議論が行われている事から、エネルギー教育について話し合ったグループが多かったようです。私が参加したAグループで学生より小、中、高校での経験から次のような意見が出され強い共感を覚えました。
(1)教科書でエネルギー(原子力を含む)の話を聞いたことは小、中学校では覚えがない、高校の物理でやっとウランのことがページは少ないが出てきた。一方社会の教科書では広島、長崎の原爆が出てくる。これで原子力への恐怖だけが残るのではないか。
(2)放射線、放射能については医療関係は人間に役立っていることがX線などの経験で分かり易いが、原子力施設ではそのメリットが一般の人にわかりにくい。施設の見学など体験をすることが大切では。
(3)K君は4〜5歳のころTVで毛利さんの宇宙飛行をみてあこがれた。N君は子供のころ発明家や科学者の伝記を読みそのようになりたいと思った。N君は特にきっかけは思い出せないが、子供のころから理科が好きだった。
またK君の場合は、B1だが単独でMのゼミの先生に頼み込み実験を手伝っているほど打ち込んでいる。(私見:これらの大学生が自分の経験を元に、高校、中学の後輩に話すことが理科離れの対策として有効ではないかと思う。)
(4)今の小、中、高の教育は知識の詰め込みに偏っている。もっと自分で考えさせるようにするべき。(私見:ここで私よりスエーデンなど北欧の環境・エネルギー教育がそのやり方で効果を挙げていうことを紹介した。)
4.全体の状況から、今回の対話がほとんどが理科系、なかんずく原子力専攻の学生が多くを占めていたことにも助けられ、直接本論に入れたグループが多く、かつシニアおよび先生の人数が多かったことから実り多い会になったと思います。
この経験を次回以降の対話に是非活かしたいと思います。
石井正則
学生とシニアの対話とは、シニアの伝えたいという熱意と学生の聞きたい(シニアが生きている内に聞いておきたいことや、社会で出るときの心構えなど多様な動機があろう)という熱意のぶつかりあいであることを強く感じた。当初学生とシニアの人数バランスが気にかかっていたが、熱のこもった対話ができ当初の懸念が払拭された。
然しながら、時間の制約もあり、参加者各人の関心事について十分満足のいく対話ができたわけではなかろう。在学中に複数回参加する機会が提供できれば、足りなかった点を補充することができると考える。
今回は東都四大学、更に専攻の異なる方、すでに進路を決めている方、来年以降に進路を決める方など、多様が学生諸君を対象に熱のこもった集会が実現できたが、学生リーダーの適切なアレンジと参加した学生、教官の協力の賜物と思う。
今回のスタイルは今後東京地区で行なう対話の雛形になるものと思う。各校持ち回りで、適切なインターバルで開催してゆくようにしたらと考える。
また、今回新たに計画中の東北大学、茨城大学の教官の先生とリーダーの学生の参加をいただいた。先生との対話など、この後の進め方に関する様々なアイデアが出され、大変意義ある集会となったことはご同慶の至りである。
池亀 亮
私は今回が初めての参加であり、且つ最後まで出席できなかった為、纏まった感想を述べるのは難しいが、かねて思っていたことも含めて述べて見ます。
1. 今回はシニアの参加が多かった(東大生の参加が少なかった)こともあって、シニアと学生の数が接近した小さなグループに分かれたが、シニアと学生の距離が近くなると言うメリットがある反面、シニアが会話をリードしがちに成る。対話が学生にとって有益なものとなるために、グループ毎のテーマを予め決めて希望者が参加する方式を検討しては如何。
2. 終戦後間もなかった我々の学生時代と違い、恵まれた環境に育ったせいか、一般に今の学生諸君は自分の意見を持っていない、或いは主張しないように思われる。出来れば質問の際に自分の意見を述べて欲しかった。
3. シニアの略歴は事前に学生に渡るように出来るとベター。略歴の後にシニアが話したいこと、聞きたいことを書いておけばグループ分けの参考になる。
4. 先生との懇談は是非実現して欲しい。我々シニアの体験は先生の世代から今の学生に伝えられるのが自然の姿。先生の世代には、シニアの体験が良く理解できる素地があると思います。
5. 学生に発電所等の現場を見せることは重要であるが、具体的にはどうなっているのか良く分からなかった。場合によっては我々が役に立つかも知れない。
伊藤 睦
1)土曜日を潰して参加した事でも解るが、参加した学生さんのシニアの話を聞くという意欲が強く感じられ、これまでになく充実した対話会であった。
2)シニアと学生がほぼ同じ人数で、対話が上手くいくか心配されたが、逆に密度の濃い対話ができ、発表も纏まりがあった。
3)人数が少ないので、発表はCグループのように全員発表がよいと感じた。
4)先生との対話は是非実現してほしいが、対話のテーマ、目的をよく吟味しておく必要がある。
5)全参加者に対してのシニアの自己紹介は今回程度が適切である。(参加学生はシニアの経歴、経験をベースに話を聞く。)
6)グループでの自己紹介は簡単にして、むしろ自分の主張や話したいことを間単にまとめたものを準備して対話の前に自己紹介とあわせ話すとよいと感じた。
岩瀬 敏彦
1.全般的なこと
会場の広さは、出席者数に対してほぼ見合って、お互いに袖振り合える距離で親しく会話を進めることが出来ました。
学生の皆様への事前のアンケートの実施と集計結果を予めお教え頂け、おおよその学生の皆様の関心、意識の概要を知ることができ、実際の対話の参考に出来て良かったです。
2.グループ分け
学生とシニアの組合わせはランダムに割り振ったと思われますが、特に出席者の背景(学生の場合は、専攻内容、シニアは現役時代の担当業務など)はあまり、むしろ考慮しないほうが良く、今後もこのようにグループ分けすることを希望します。
3.対話の進め方 学生がシニアへの期待する要件を明確にする、その上でシニアからのアドバイス、参考になる発言などにより一層の交流が図られると思います。
4.対話の結果について
参加者の真剣な対話結果がグループごと総括の形で全員へ報告され、今回対話成果としての共通認識がなされ、あらためて学生の方々の前向きな意識を強く感じた次第です。とくに小さいころからの科学や工学、環境などに関心を持たせる教育、動機付けの大切なことが、大きく浮かび上がったことは、この会の今後の目指す方向の1を示唆すると思います。
5.その他
今回の対話開催日は週末にも拘わらず、盛会の状況で何よりでした。今後の開催に際して、学生の方々の出席、参加をうまく盛り上げる方策として、今回の成果を事前にPRすることも一案かと思います。
小川 博巳
学生とシニアの比率が従来と大幅に異なること、参加大学も6大学に及び、学生の専門もかなりバラエティーに富んでいるなど、聊か心配な面も予見されましたが、結果的には大成功であったことを、共に喜びたい。
○ 交流の意義と効果
6大学の参加であったが、ほとんどの学生に違和感や躊躇するところが見られず、伸びやかな交流が出来たかに見受けられる。内心では、かなりの緊張もあったかもしれないが、数年先にはさらに厳しいグローバルなビジネス、或いは研究交流の場に参加する使命を負う彼らにとって、緒戦のマイルドな経験は相応しいものであったのではなかろうか。何人かの学生の発言によれば、日常的にエネルギーや環境問題に関するこの手の議論が殆どない彼らにとっては、色々な意味で刺激になったことと思われる。
○ たった一回の対話!?
「卒業するまでに、更に何回かの対話を経験したい」
との学生の発言には、大いに耳を貸す必要がある。また、武蔵工大の複数学生のリピーター、およびOBの参加があったことも、それを実証するものであった。次回の東北での対話については、地元シニアの参加をえて、継続的な開催の下地作りに尽力する心算である。
○ 先輩のフィードバック
学生諸君にとっては、先輩の経験とsuggestionは大きな意味を持つものと思われる。
参加学生の体験談を、後輩へ伝える工夫についても、学生連絡会のHP活用、或いは個別大学の連絡機能を活用したいものだ。
○ シニアの自己紹介について
学生の立場から見れば、今回のシニア自己紹介程度が適切であったと思われる。
更に欲を言えば、事前に彼らの手元に何がしかの情報が届いていれば、更に活発な質疑応答も期待出来よう。この場合、あまり定型的なものではなく、むしろ個性の読取れる簡略なものが望ましいのではないかと思われる。
○ 教員との対話会について
東北・石井教授のご提案にあった、教員との対話についても実現したいものだ。出来れば今後の定例化を検討したい。その為には、大学の積極的な協力が不可欠であるが、そのことが学生参加を更に促す原動力になるものと期待される。
金氏 顕
@参加学生とシニアの数が今までと比べアンバランスになったが、その分学生の一人一人の疑問質問などに応えた対話が出来、それがまた質問者ではない学生にも良い勉強になった。またシニアも一人より複数の方が異なる経験・知見・意見を学生は聞く事になり、偏らず,良かった。これからも1つのグループは学生4〜5人、シニア2名がよい。
A今回、結果が良かっただけに、やはり参加学生が少なかったのは反省。より多くの学生に参加してもらうように、事前の募集など工夫する必要があり、その点は今回の4大学の取り纏め者の本音が聞きたい。
B参加学生の事前のアンケート結果は我々シニアには配布されていたので、どんな対応をするか心構えがある程度できた。しかし、学生にはこれが配布されてなく、他の学生がどのようなスタンスで参加するのか予め分かってなかったのは反省点。
C原子力やエネルギー系でない学生にはいきなりオイルピークや原子力は難しい。各エネルギーの長所短所比較、原子力発電の原理と安全性などについての概要説明が必要。なお、副読本として松岡強氏作成のPA小冊子などを配布したら彼らの参考になる。
D次の開催予定の大学の先生と学生に参加していただいたのは良かった、次回が楽しみ。なお、旅費は学生分のみSNWより支給。来春の名古屋のために、東北か茨城には参加していただくよう、案内します。次回の東北では教官との対話も午前にやりたいと石井先生からの案が出たのも先生が事前に参加されたからでした。この教官との対話も是非定着するようにしたいと思います。
岸本洋一郎
今回のグループ対話では、原子力以外の学生も参加されたため、シニア側からの原子力と核燃料サイクルの情勢説明には、サイクルとは何かの初歩的説明も要し、相当の時間を費やすことになったが、それはそれで有益だったのではないか。中国からの留学生の日中協力への関心や、日本の学生からの米ロの原子力の動きへの関心もあり、国際情勢の説明も必要となった。
参加学生にバラエティが出てきたことは、歓迎すべきことであるが、彼等の関心や知識がマチマチであるが故に、混成グループでのテーマの選び方あるいは進め方は、今後、一考を要する。あるいはグループ対話を始めるときに、テーマの選択や進め方を、学生と一旦打ち合わせ、時間不足になれば議論できないものも出ることをお互い了解しておいた方が良いかも知れない。
また、今回は、参加2度目の学生もいた。既に対話経験済みの場合には、過去の経験から、新たな関心事や興味を持って参加しているであろうから、あらかじめ、その点を聞いてから始めるのが良いように思う。
要は、多様な学生が参加する場合には、対話の進め方についての“緩いオリエンテーション”を、各グループ自らで少し議論し、それから進めるようにする方が良いかも知れない。ただし、対話の中でお互いに話題が飛ぶことはむしろ有益で、そこに相互の触発が生まれるから、準備しすぎるのは禁物だろう。
全体の時間配分は、前回よりも改善されたように思う。
太組健児
1.グループ対話の総括発表
発表者の資質に依存した要素が大きく、その意味で今回の発表者は良く取りまとめていたと思います。今回は学生の人数が多くなかったので、C組のように全員の発表が、より良く学生の意見が聞けてよいのではないかと思います。
2.全体の運営について
大変良く組織化されていました。進行もスムーズでした。山本君の努力の賜物と思います。
3.基調講演について
エネルギー問題について 簡潔に纏めてあり、良かったと思います。但し、エネルギー関係でない学生には 判りにくい用語もあったかも 知れません。
4.其の他
今回参加した学生の求めるものに完全に応えていたかという観点では足らざるものがあったのではないかと思いました。特に環境関係の学生の場合、出来れば彼らの問題意識を より具体的に 事前に調べておく必要があるように思いました。
竹内哲夫
@学生とシニア比率が同等に近い、そして大学数が多い、いわばハイブリッド型では初めてだが、議論は早く進んだ。それには多数回の経験の学生が混在した効果が大きいと思う。(おそらく、今後はこのスタイルが多くなるであろう。)極力このスタイルにしたほうが良い。
A短時間の議論で、班別に立派な提言が纏まる筈もないが、その中で今回の発表は素直でよかったと思う。こんなことが議論されたという紹介でも、学生側の勉強効果になる。脱線しても、a自分の就職方針の不安、bオモロイ意見「イジメ教室の解明」、が出るくらい、エスプリの利いた、ざっくばらんな発表スタイルは良かった。(それだけこの会の意義が打ちとけた雰囲気になったのは、学生連絡会羽倉さんほかの努力、今年就職の先輩の参加、それに多大学、多学科でハイブリッドになって肩が凝らない会になったからだろう。)
B SNW側の自己紹介のための経歴データー(Who' Who的なもの)をあらかじめ提供したほうが良い。毎回使うのでフォーマット化したらどうか。丁度1週前の東大パネルシンポジウムで使ったのがあるので例示に添付します。
(夜のパーテイであまり沢山の学生に囲まれて、長時間、私の人生経験を聞かれたのに驚いた。今、彼等が一番欲しがっているのは先の人生、社会における処世術みたいなもの、オヤジ、ママに聞けぬ話が欲しいのだと思った。)
土井 彰
1.若い学生の物事に取り組む真摯な姿に触れることができ、とても気持ちがよかった。但し学生は、国家や社会の将来よりは自分の今後についての方に強い関心がある。
2.自分に関すること以外では、新聞などマスコミで話題になっている事柄に少し興味を持つに過ぎない。
3.学生が考えている『自分はこのままでよいのか?』、『自分の人生で何が達成できるのか?』などの不安や疑問に対して分かりやすく話し合いをすることが重要と考える。
4.学生から見ると、シニアは人生の大成功者に見える。ただでさえ威圧感を感じているので、これをあまり強調するような自己紹介を避け、抑え目にしたほうがよいかもしれない。
西村 章
1.事前アンケート
話を始める上で、学生さんたちの関心事が何か、何を考えているかが分かり、これは大変良かった。これは、学生さん達にも配布されたほうが良い。
このアンケートの中にあった、参加しない理由として、「時間が長すぎる」というのがあったが、今後参考にすべき。
例えば、学生さんの発表は懇親会の場で行うとか、少しでも時間短縮の工夫を考えた方が良い。
2.シニアの自己紹介
人によりかなり温度差があり、顔写真を掲載するとか、書き方については、ある程度揃えた方が良い。
3.教員との対話
東北の石井先生の提案である教員の方たちとの対話というのも是非実現したい。
できれば高校の先生とか中学の先生方とも別の機会を作ってやりたいが。
4.その他
懇親会での話題はもっぱら人生観とか人生経験に関することが多かった。
エネルギー問題は主題としても、若者が私たちに求めているのは、こういうことなのかと改めて知らされた感じがした。
林 勉
今回は6大学の学生が参加したり、オブザーバーもいたり、シニアの新しいメンバーも参加したりということで、今までにない編成で実施できたわけですが、結果的には討論もバラエティのあるものになり、大成功であったと思います。今回の経験から思いついたことで次回以降の参考にしたいと思うことを下記します。
1.東北大学の石井先生がご提案になった、教官との対話は次回東北大でます実施することになりましたが、これは次回以降も出来る限り実施するようにすべきであると思います。
2.シニア側の自己紹介のA4、1枚は写真入でフォーマットを決めてきちんと準備した方がよいと思います。そして事前に相手側に送信した方が良いと思います。
3.何とか教育学部の学生も加えたいと思います。東北大学で何か手がかりは出来ないでしょうか。先生のつてあるいは学生交友関係などでできないか当たっていただけたらと思います。
松永一郎
1.「学生とシニアの対話in東京」と銘打って、複数の大学の学生を集めて実施するのは、今年3月の近畿大学における「学生とシニアの対話in関西」以来である。関西では学生が50名近く集まったが、今回はその半分以下であった。対話会ではシニア1名に対して3名ほどの学生がいるのが理想的であり、その点では多少、物足りなさを感じた。
2.対話そのものは、逆に学生数が少なかったことと、次回以降の開催を視野にいれてシニアサイドが東北大学、茨城大学に声を掛けた結果、当初4大学だったものが6大学まで拡大した結果、3大学から3人の教授まで加わり、非常に密度の濃いものとなったと感じられた。
3.参加学生の専攻は原子力、バイオ、物理、環境、機械と幅広く、また学年も博士3年から学部1年までと、縦にも広がっており、しかもリピーターがいるという、バラエティに富んだものであった。グループ分けは同じ大学が重ならないようにすること、学年もできるだけ分けることにしたために、知識レベルや興味レベルがばらついていたが、それが逆に面白い対話となっていたようである。
4.今回のような対話は今まで、6回実施した中でも特異なものであるが、学生の満足度が高かったのは「学生とシニアの比が高かった」「対話時間が長かった(2時間、従来は1時間30分)」ことによるのだろう。
5.飛び入りで昨年まで対話活動の中心にいて、今年社会人1年の三木君(テプコシステムズ)が参加したことは、学生にとって良い刺激になったものと思われる。
添付2 学生事後アンケート結果
「学生とシニアの対話」 事後アンケート
日本原子力学会・学生連絡会・シニアネットワーク共催「学生とシニアの対話」にご参加いただきありがとうございました。本対話を通して感じたことを記憶の新しいうちにまとめてみてください。本企画は、今後もさまざまなところで継続的に行っていく予定です。皆様よりいただいた感想は次回以降の開催に役立たせていただきたいと思っております。
− アンケート −
(1) 「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?その理由は?
非常にある 20・ ややある ・ あまりない ・ 全くない ・ 無回答2
理由 非常にある
今まで培った経験・知識・意見を学生が聞ける機会は重要だ
「技術の伝承」などについては、これまでの受け売りの知識しかなかったが、あらためてその重要性を確かめることができた。
普段接することのできない方々から意見をもらえる
日常的にこうした場があればよいと思う。
技術、文化等の継承
生の声を実際に聞くことができる機会は良かった。
シニアの方の「プレゼン力」すばらしかったです。参考になりました。
刺激を受けることができたから
こんな機会じゃないと会えないから
原子力の分野について「生」の意見が聞くことができることは良かった。
エネルギーに限定せず、シニアの意見を聞くことができた。
現状認識を正しく持てるから
若い世代とリタイヤされた世代での意見交換は認識の共通点や違う点が明らかにできるので
実際に企業で長年勤めていた経験やそれを生かしたOBとしての広報活動の実体を聞く機会は貴重だった
政治レベルまで達している
実際に社会の第一線で活躍した方々と話す機会は少なく非常に重要
経験を伝えていく必要があるから
昔の話を含め、普段聞くことのできない話がきけた
意見を交換することで知見が深まり視野が広がる
無回答
原子力のことだけでなく、これから自分がどうすればいいかなども考えることができた
関心の薄い方までお呼びするのはどうなのでしょうか?
(2) エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?その理由は?
大いに変化した5 ・多少変化した5 ・ あまり変化しなかった7 ・ まったく変化しなかった4 ・無回答1
理由 大いに変化した
「自分の孫の代」のことを考えることを気付かされました
技術的な問題でなく、各国の思惑を教えていただくいい機会になりました
石油問題、値上がり
自然エネルギーを過大評価していたから
多少変化した
化石燃料は本当になくなる。
自分が生きている間は石油は枯渇しないだろうと思っていたが40年しかもたない
コストパフォーマンスを考えるようになった
エネルギー危機は前から学校などでギロンされていたのでさらに深まった
あまり変化しなかった
もともとの認識に合致する内容であった。
エネルギー危機自体だけではなく、その周辺の話がおもだった
以前に「シニアとの対話」に参加していたため
元々、危機的なものを感じていたので
元々エネルギー問題については学部の際にある程度学んでいたので
そこまで新しい情報はなかった
まったく変化しなかった
もともと関心が高かったから
危機意識はもともとある
無回答
せっかく各分野の経験者がいらしたのですから、それぞれ質問を適切に振っていただきたく思いました
(3) 原子力に対するイメージに変化はありましたか?その理由は?
大いに変化した2・ 多少変化した6 ・ あまり変化しなかった8・ まったく変化しなかった4 ・ 無回答2
理由 大いに変化した
原子力はただの技術ではなく、産業であり、ビジネスにもなりうる
多少変化した
技術伝承、ということが心に残った。
必要性の認識が強くなった。
FBRの経済性vs軽水炉 こんな内部事情を知りませんでした
意外にクリーンとわかったが、詳しくはわからなかったから
原子力を勉強していても不安はぬぐえない部分があったが現場の方々のお話でだいぶなくすことができたので
あまり変化しなかった
原子力に対する知識はある程度あったので、イメージは悪くなかった。
以前に「シニアとの対話」に参加していたため
次世代のエネルギーも支えるのは原子力である
必要・不可欠であるという認識を以前からもっていた
まったく変化しなかった
もともと関心が高かったから
話の大きな流れとしては、授業等で聞いた内容でした
無回答
必要であると痛感している
せっかく各分野の経験者がいらしたのですから、それぞれ質問を適切に振っていただきたく思いました
(4) 事前に聞きたいと思っていたことは聞けましたか?
十分聞くことができた 17・ あまり聞けなかった 4・ 全く聞けなかった ・ 無回答1
無回答
第一人者であられる田中先生や木村先生がおられなかったのがやや空回りを招いていたと思います。
(5) 対話の内容は満足のいくものでしたか?その理由は?
とても満足した11 ・ ある程度満足した10 ・ やや不満だ ・ 大いに不満だ ・ 無回答1
理由 とても満足した
自分の聞きたいことを聞けたから
教育に対する議論に非常に興味が得られた
アツイ人が多くて楽しかったから
世代間で率直な意見を交わすことができたので
原子力専攻ではないけど、世界の動きがわかるようになった
大変内容の濃い話だった
各質問に対して、丁寧に答えてくださった
様々な話題を話せたため
非常に様々な意見が
ある程度満足した
シニアの方々にしゃべらせたら止まらないが、有用な情報をいろいろ引き出すことができた。
発言が足りなかったと思う。
もう少し自分の中で準備してくればよかった
自分の考えを十分言えなかった
自分の準備のいたらなさを痛感しました
無回答
シニアの方々とのマッチングについて、ある程度の配慮が欲しいと思いました
(6) 原子力に対する関心の低い10代、20代の若年層に対する原子力広報活動は
どんな方法が良いと思いますか?
実験的な授業
教育方針の転換(原子力に限らず、技術の重要性をもっと教えるべき)
実際、原子力にかかわったことのある人が講演する
映画をつくるべし。
有名人(SMAP)などの活用
学校の教育カリキュラム
NGO/NPO
原子力にかぎらず、理科や科学に興味をもってもらうことが大事だと思う
体験をすること
インターネット
掲示板
小〜高校で集中学習を課すのがいいと思います(エネルギー戦略全体として)
エンターテイメント
学校行事に「施設見学」、「講演」etcを組み入れていくこと
小中学の若年層への早いうちからの教育
小中学校のタブーを破る!
積極的に小中高などに講演などを行う
技術を先に教えるのは若年層に興味をもたせるのは難しいと思う。
原子力技術の現状、動き、ビジネス面では話からすれば多少もっと知りたいなあと思う人が増えるかもしれない
百聞は一見にしかずという言葉があるように実際に原子力関連施設に見学することがよいと思う
学校への訪問
学校を利用した教育面からのアプローチ
まずは自分の周りから!!
子どもだましの安易な広報をやめるべきだと思います
(7) 本企画を通して全体の感想・意見などがあれば自由に書いてください。
おつかれさまでした。お招きいただき、ありがとうございました。
ぜひ、教育学部学生との対話をしてほしい
原子力やエネルギーを学んでいる人といない人の間の知識・情報の格差が大学生であっても思ったより大きいということに気づきました。
やはり、最低限どんな知識が必要なのかを明確にしてくれるとありがたいと思った。
いい企画だったと思います。おつかれさまでした。
技術だけではなく国のレベル、世界のレベルの話もできておもしろかった。また実際に就職してからどんな方向に研究すべきかについても分かることができる
理科系の学生だけではなく文科系の学生も集めた方が良いと思う。
東京・神奈川で行われればぜひ参加したい!!
来賓でなく学生が仕切っていたことに疑問を抱きました(意見ばかりになってしまいましたが、本日は貴重な機会をご提供いただき誠にありがとうございました)
以上