大学における「教員とシニア」及び「学生とシニア」の対話実施概要

−対話 in 東北大学−


 松永一郎

1.実施主旨

 昨年度から続けている「学生とシニアの対話」の東北大版。日本原子力学会の学生連絡会及びシニアネットワーク(SNW)並びにエネルギー問題に発言する会の活動の一端として、原子力/エネルギー系を主体とした学生とシニアの交流を図る。なお、今回は東北大学からの要請に従って、学生との対話に先立ち、「教員とシニアの対話」を初めて実施した。今回で通算9回目となるが、SNW主催の活動としては5月に発足してから3回目の「対話」となる。

2.対話の目的

 原子力系理系の大学教員とシニア、及び学生とシニアとの対話を通して、大学教員とシニア間、学生とシニア間の相互理解を図ると共に、今後の原子力、エネルギー産業について共に考え、これからの対話のあり方やエネルギー教育の実践あり方の参考にする。学生との対話では、彼らが社会へ出るまえに、原子力OBの経験や気概を少しでも吸収できる機会を提供し、今後の実務への自信に繋げてもらう。

 また、今回、東北原子力懇談会の協力を得て、シニア側の参加者として地元から参加してもらうことにより、今後の地方開催の対話実施のモデルケースとしての在り方の参考とする。

3.対話の実施

(1)日時 平成18年12月14日(木)

 @教員とシニアの対話  10:00〜12:45

 A学生とシニアの対話  13:30〜17:30

 

(2)場所 東北大学工学部 青葉山記念会館

 

(3)参加者

@教員27名(量子エネルギー工学専攻)

 教授8(内3名は12時頃より参加)、助教授7、講師1、助手11

A学生77名(量子エネルギー工学専攻)

 博士課程9、修士課程41、学部生26、研究生1

 他にオブザーバー1(名古屋大学D1)

Bシニア

 ・SNW会員及びエネルギー問題に発言する会会員 16名

荒井利治、石井亨、石井正則、岩瀬敏彦、小川博巳、金氏顕、岸本洋一郎、神山弘章、鈴木一雄、中神靖雄、林勉、益田恭尚、松岡強、松永一郎、山崎吉秀、路次安憲

・東北原子力懇談会関係者 6名

加藤勝也、岸昭正、後藤康宏、菅原剛彦、高倉吉久、土田正和

 

(4)実施内容

 @教員とシニアの対話

  教員4〜5名に対して、シニア4〜5名を配置した5グループに分け対話した。(8人〜10人/グループ)

教員は教授グループ1、助教授グループ2、助手グループ2であった。

  対話の主題は特に決めず、各グループで教員とシニアのそれぞれが興味のあることや、お互いの経験等について話し合った。科学技術教育、物づくり・技術伝承、学生のモチベーション、放射線教育、エネルギー・原子力の今後などが共通の話題となったほか、東北大が独自に進めている小中高校生への出前授業や地域共生フォーラム活動等が取り上げられた。

 A学生とシニアの対話

 a基調講演

  ・エネルギー問題を原点から考えよう    林 勉 氏

 b.対話

  11グループに別れ、シニア2名に対して、学生が6名〜8名ずつ付いて対話。

対話の題材は各グループで対話を進めて行く段階で、学生側の興味に準じてグループごとに決めた。

  対話終了後に各グループから対話内容のまとめが発表された。また、シニアを代表して、岸本洋一郎氏から総合的な講評がなされた。

 

5)結果

「教員とシニアの対話」、「学生とシニアの対話」それぞれについて、シニア各人から感想を収集。また、「教員とシニアの対話」に関して、東北大の各グループのリーダー教員5名から感想を収集、「学生とシニアの対話」に関して学生に事後アンケートを実施した。

 

@「教員とシニアの対話」内容と感想(個別意見をある程度集約)

 (グループ1)

教員側から現在の学生の気質を踏まえた、様々な課題や取組についての話があった。これに関連して、シニア側から日頃強く感じている「物づくりの伝承」「小中高校教育の崩壊」など、原子力専攻の大学教育にとらわれない教育に関連する課題を出し討論した。

  東北大学が取り組んでいる基礎ゼミや学生による小中高校への出前授業、あるいは地域共生フォーラムの開催などの多彩な試みはシニアにとって共感できるものであり、研究の合間を縫って、学生のモチベーションを高めることに腐心されていることにシニアとして感銘を受けた。また、それをさらに充実化するために、大学と企業や研究機関との相互連携が益々必要であると考える。

 

(グループ2)

  大学における原子力関連の学生の質、教育内容、研究内容等についてシニアから質問。

  量子エネルギー工学は“機械・航空工学科”と言う大括りの学科の一部門であり、今、人気のあるロボット、宇宙、ナノテクなどの分野の中で、どのように学生に対してモチベーションを持たせるかに工夫し、苦心しているかについて対話。ついで、教員から原子力企業の体質やマスコミ報道の問題、それらに対する企業努力などについての質問があり、シニアはそれぞれの経験に基づき答えた。

  マスコミ報道が偏向している点では共通認識を持っており、これを是正するには教育が重要であるという点で意見が一致した。東北大学では出前授業、地域共生フォーラム等を実施しており、この点シニア側も大いに共感した。

  シニアとして大学の教育の現状について理解ができたことは意義があった。また教員としてもシニアの経験が聞けたことは今後の大学教育の参考になった。

 

(グループ3)

  シニアに対する教員からの質問と言う形で進んだ。内容として、企業が学生にたいして求める能力、原子力の将来、放射線が嫌われているがその対策等々であった。学生に対する能力は基礎学力と体力とやる気、これからのエネルギー源としての原子力は益々重要性を増してくる、放射線の利用は医療、工業、農業ほか多方面にわたり、その有用性を国民に理解してもらうことが必要等との議論をした。教員側と、シニア側に原子力の現状に対する認識に多少の差が見られたが、これはシニア側が原子力をエネルギー利用の観点から原子力発電の推進ということに論点を置いているのに対して、教員側の専攻(放射線利用、核融合)が必ずしもそればかりでないということから来ていると考えられる。教員にとっては新鮮な話であり、今後の教育の参考になることが多かったのに対して、シニア側にも今後の原子力普及活動に対して、もう一工夫いるという感触を得るものであった。

 

(グループ4)

  東北大学が取り組んでいる「小中高校生を対象とした放射線教育」について、教員側からの説明を受けたあと、シニアサイドが実際に経験した「原子力立地の地元の人々の放射線に対する理解」の話が出て、そのあとに「世間一般の人達の理解」および「エネルギー教育、放射線教育、理科教育の現状」にまで話が及んだ。

  東北大学が実施しているボランティア活動としての出前授業や地域共生フォーラム活動等に感銘を受け、心強く思った。また教員としてはシニアサイドが経験した放射線の地域理解活動等に付いて知識が得られたが、全体としてそれぞれの経験を交換したという色合いの濃い対話であった。なお、人材育成の観点から最近の学生の学力低下も話題となった。

 

 (グループ5)

  教員側からシニア側に対して、最近の国際的な原子力発電ビジネスの動向と共に、我が国の抱える本質的な課題に関して、率直な質問があった。中国の電力需要急増に伴う原発建設の状況、米国の原子力政策変更による新規プラント建設見通し、日本の原発のリプレース、FBR開発等々と、それらにまつわる日本のメーカーを中心とする国際的なメーカー再編などで、それぞれについてシニア各人が答える展開となった。また、教員側から東北大学におけるエネルギー教育、出前授業、地域交流などの話の紹介があった。全体としてエネルギー教育のあり方や、学生への対応のしかたという観点の対話というよりも、お互いの知見の披露という色彩の濃い対話であった。

 

A「学生とシニアの対話」

a.シニアの感想(個別意見をある程度集約)

・今回の対話は学生数が80人弱、対するシニアが22人で総数100名、11グループという今までに無い規模のものであった。準備期間が1ケ月足らずのうちに、これだけの対話会を開くことができたのは、東北大の先生方の熱意と学生との日頃のコンビネーションのよさをうかがわせるものである。また、東北原子力懇談会、東北電力の協力を得て地元のシニアの参加も得ることができ、今後の地方開催のモデルケースとなろう。

・11グループのうち、8グループが「原子力の受容性の問題としての、放射線に対する社会の偏見」があり、その問題解決には「初等中等教育に問題が有ること」を指摘していた。彼らの育ってきた教育環境の問題点を指摘したものであり、共通の話題として取り上げられやすかったこともあるが、大学専攻として放射線、原子力を選択したことへの一抹の不安感を示しているとも言える。対話を通して、そういったことを少しでも解消できれば対話の意味はある。

・学生の反応はグループによってまちまちであり、かなり積極的に進んで発言したところから、殆どシニア側の話を聞くだけといったところまで、様々であった。林勉氏の基調講演への質問もなく、「最近の学生は支持待ち組が多い」という午前中の教員との対話における指摘事項が気になった。ただ、最後の発表を見ると、短時間のうちに問題点の吸収し答えをそれなりに出しており、一旦火をつければ自分たちで燃えて行くという感性の鋭さを感じた。

・日本、世界の原子力の現状と将来展望、原子力データの改ざん問題、マスコミのあり方、教育の現状と改善点等、日頃学生が接することの少ない、生きた情報に触れさせることは彼らの活性化のために重要である。また社会に出るための心構えとして、専門知識よりも基礎学力と体力とやる気であると言うことを認識してもらうのも重要なことであろう。

 

b.学生の対話終了後のアンケート結果概要

77名に配布し、64名から回答があった。(回答率83%)

学生とシニアの対話の必要性を感じたものは61名(95%)、対話の内容に満足したものは59名(92%)、事前に聞きたいと思っていたことが聞けたというもの40名(63%)であった。またエネルギー危機、及び原子力に対するイメージに変化があったものはそれぞれ44名(67%)、26名(41%)であった。

エネルギー危機、原子力に対するイメージに変化があったのは、それについてあまり知らなかった学生の比率を示す。

以下にその内容を示す。

回答率:64名/77名(83%)

(1) 「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?

1.非常にある     31    2.ややある   30

3.あまりない   2    4.全く無い    0 

5.無回答     1

(2)エネルギー危機に対する認識の変化はありましたか?

1.大いに変化した      6

2.多少変化した      38

3.あまり変化しなかった  16

4.全く変化しなかった       4

(3)原子力に対するイメージに変化はありましたか?

1.大いに変化した                        

2.多少変化した                 24

3.あまり変化しなかった   33

4.全く変化しなかった                 

(4)事前に聞きたいと思っていたことは聞けましたか?

1.十分聞けた                     40

2.あまり聞けなかった       19

3.全く聞けなかった                    

4.まあまあ聞けた       1

5.無回答           1

(5)対話の内容は満足のいくものでしたか?

1.とても満足した              40

2.ある程度満足した          19

3.やや不満だ                               

4.大いに不満だ                           

5.無回答           1

 

4.まとめ

 今回の対話は11月18日の東大における「対話in東京」から1ケ月足らずで開催されたもので、合計9回目、SNW主催としては3回目となる。

今までの対話と異なるのは、学生とシニアの対話だけでなく、教員とシニアと対話が加わったこと、参加人数が教員27名、学生77名、シニアが22名と合計130名弱と言う大人数で、今までの最大規模(対話in北大、対話in関西)60名参加の2倍以上であったことである。短時日の間にこれだけの対話会の準備ができたのは、教員側責任者の石井慶造先生と学生側責任者の鈴木求さんのお二人が揃って「対話in東京」にオブザーバーとして参加されたこと、量子エネルギー学科内の教員間のコミュニケーションが東北大学がミッションとして進めている出前授業や地域共生フォーラム等のボランティア活動を通じてよく取れていること、東北大学と東北電力を中心とした東北原子力懇談会の連携が極めて緊密でうまく行っているということによるものであろう。

「教員とシニアの対話」は5グループそれぞれの対話の進め方に多少の差はあったようだが、お互いの知見、経験の交換が主であって、ある一定のこと(例えば「日本、世界のエネルギー事情と原子力の必要性、教育のありかた」)について問題意識を共有して対話したものでなかったので、幾分、焦点が定めにくかったことは否めないだろう。ただ、互いのベクトルは合っていたので、今後のお互いの活動に対する刺激にはなったと言う感触は得られたものと思う。

「学生とシニアの対話」はシニア22名に対して、学生77名で11グループという大編成であり、シニアも東北原子力懇談会をとおして地元から参加された6名を加えて、8名が初めての参加者であったが、対話終了後の学生側のアンケート結果やシニアの感想を見ると、いずれも満足が高く成功だったといえる。ただし、一部のグループでは学生からの積極的な発言が殆どなく、シニア側からの説明に対して、学生が聞き役に回るといった「講義」的な形になったところもあったようで、問題意識の涵養に一工夫いると感じた。

なお、学生への事後調査結果では「自分たちの勉強不足」を自ら指摘しているものが、相当数おり、それだけでも対話の意味は大いにあったともいえよう。

今回の対話を成功裡におえることができた陰には、東北電力を中心とする東北原子力懇談会の惜しみない協力が存在し、今後の地方開催の試金石となったことは大きな収穫であった。

最後になりますが、今回の対話準備を精力的に進めていただいた東北大学大学院量子エネルギー専攻の石井慶造先生、岩崎智彦先生ほかの諸先生、及び学生代表として運営した鈴木求さん他の学生諸君、並びに多大なご協力をいただいた東北原子力懇談会専務理事の土田正和様、東北電力原子力部課長の横式和弘様ほかの方々に深甚なる感謝の意を表します。

 

5.今後の予定

 2月10日(土) 茨城大学における対話「対話in茨城(茨城大学、筑波大学)」

 

6.対話写真

 

7.添付資料

 添付1 シニアの感想(「教員とシニアの対話」「学生とシニアの対話」)

 添付2 教員側リーダーの感想(「教員とシニアの対話」)

    添付3 学生事後アンケート結果(「学生とシニアの対話」)



対話写真

(教員とシニアの対話)

阿部勝憲教授(専攻長)挨拶

 

対話風景 1


対話風景 2

 

対話風景 3



(学生とシニアの対話)

荒井利治SNW副会長挨拶

 

鈴木 求 学生幹事挨拶


対話風景 1

 

対話風景 2


学生発表 1

 

学生発表 2


岸本洋一郎SNW運営委員 講評

 

懇親会



添付1  シニア感想

グループ1

 

石井正則

1.「教員とシニアの対話」グループ1の概要

教員:若林利男(リーダー)、長谷川雅彦、馬場護、山崎裕道、三村均

シニア:荒井利治、岸本洋一郎、土田正和、路地安憲、石井正則(リーダー・記)

学部の主導的な先生方から、現在の学生の気質を踏まえた様々な課題や取組みを聞かせていただいた。これらに関連し、シニアからは日ごろ強く感じている「もの造りの伝承」、「小中高校教育の崩壊」など、原子力専攻の大学教育にとらわれず、教育に関連する課題を討論した。

この討論を通し、技術の伝承に対しては熱い想いを学生に伝えることが重要であること、また、理系が減少している現状に対しては、科学が面白いことを判ってもらうことが必要であることなど、危機感とそれに対する取組み姿勢では教官もシニアも同じであることを感じた。

大学の取組みのなかには、学生に対するモチベーションを与えるための実験のやり方や入学試験の工夫、中高校に対する出前講義など、前向きな取組み姿勢を伺った。大変お忙しいなかでこれらに取組まれていることに敬意を表する。

またインターンシップなどを通した原子力業界への定着など、シニアにとっても関心が深く、何らかの貢献(現役部隊との取次ぎ)ができる領域もあるように感じた。

関心事や課題、取組みに関しいくつか話題になった事項を以下に列記する。

     指示しないとやらないという風潮がある。実験も所定の結果が出るのは当たりまえと思っている。失敗を克服してうまく行くまでやらせることが重要と思う。こういう点では卒研の役割が大きい。

     一般の教科が増大しており、専門教科の時間が減少している。また、原子力業界への定着率が低い。インターシップも実施しているが、時期のマッチングが重要。

     大学の教育のほか、もの作りの楽しさを教えるため、小中高校への出前教育も行なっている。理科教育のほか、家庭科で暮らしと密着した放射線利用も教えている。また、子供達に興味を持たせることねらい、校長会への講義や、小学生以上90才まで参加するフォーラムの開催も試みている。

     将来これをやりたいという意欲のある学生のために、通常の入試の他Association Office (AO)経由で入学する方法がある。現在約30%。

     学生は入学早々、基礎ゼミを受講する。学部横断的で、特定のテーマを自分で調べ発表、議論する。その後、創造工学研修もあり、いずれ効果が現れてこよう。

     (小中高教育においては)昔は師範学校という教育のプロを養成する機関があったが、現在は「デモ・シカ先生」になっている。教え方に問題があるとのシニアの意見に、教官からは、大学では、教官は必ずしも教え方を習ったわけではないが、マインドが大事との意見があった。昔は指導教官から実験をしろと言われたが、今は単位をとるのが至上使命となっている。現場で自分の手を動かして実験装置を工夫するといったことを、学生にやらせるよう心がけている由である。

     東北原懇でも小中高の出前教育をやっている。二時間コースだが、受講態度が非常に悪い学校もある由。

 

2.シニアと学生との対話東北大学感想 

石井慶造先生と学生側の取り纏めを担当した鈴木君が、あらかじめ事前に東大で実施した対話を傍聴したうえで、規模の大きな対話を企画していただいたことに敬意を表するとともに、その期待が大きかったことが伺えた。シニア側としても地元シニアの支援を受け、新しいモデルとなるものであった。

教官と学生の期待にどれだけ応えられたかについては必ずしも明確ではなく、またその成果がすぐにでるものでもなかろう。これから継続して実施に、足りないところを補いながら定着してゆけば、かならず成果が見えてくるものと確信する。「継続は力なり」である。

私の参加したグループは核融合、放射線の高度利用(医療など)、加速器、大規模システム診断など、学生の専攻分野はかなり広範に渡っていた。その中で、共通的な関心は原子力や放射線が社会に受入れられない現状に対する懸念であろう。偏向報道等を通して刷り込まれてしまったDNAをどうやってリセットするかが課題であり、シニアがやっていることは、まさにこの一貫である。

原子力創生期の夢のある時代を築いたのも、その後のTMIやチェルノブイリを経て原子力を受入れられないような雰囲気にしてしまったのも我々シニアの時代である。この雰囲気を打破し、DNAのリセットへの熱意を示し、彼等の未来を夢のあるものしようと力を振り絞っているシニアの生き様が、彼等に伝われば幸いである。

 

荒井利治

1.教官とシニアの対話(グループ1.)

(1)大学の先生の活動には自分の専門の学問研究と学生の教育が車の両輪のように求められていると思います。

 東北大の原子力関係(発電のみでなく加速器などの応用を含む)の先生方と話して専門の研究に対する熱意(これは翌15日の「研究交流会」 の場でも同じ)を強く感じました。

一方教育面は学生の時代による変化にいかに対処するかの工夫をいろいろされていることがわかりました。例として1年1学期の「基礎ゼミ」や研究室に出かけて受ける「創造工学研修」等があげられます。今後の国際化を重視したコミュニケーション能力の向上が狙いのようです。

全体として車の両輪はかなり良くバランスを取られていると思いました。

(2)社会との接点では女川発電所の近くの子供たちと触れ合う「量子フオーラム」、小、中学校への出前授業などを学生にやらせているとのこと。現場を知ることの大切さを教える学生への生きた教育として感心しました。実験を重んじる東北大金材研の伝統を垣間見る思いでした。 

(3)先生方から見た学生の問題として、「今の学生には自分で考えて行動するより指示待ちの姿勢を感ずる。」とのことでした。これは小、中学校からの教育のあり方、その根底にある日本の社会の考え方を反映していて、教育再生会議での重要議題になるべきものです。

(4)最後に石井先生(または馬場先生?)からの「自分たちが取り組んできた気持ちと、シニアの皆さんのそれとが一致していることがわかり嬉しく思うとともに、今後の励みになります。」との言葉に感動しました。

 

2.学生とシニアの対話(グループD)

(1)   テーマは「社会に原子力や放射線を理解してもらうには」とした。学生7名の構成はM2(2名,うち1名は女性)、D1(1名)、B3(2名)、B4(2名)であり、1名を除き何かのスポーツをやっていて、見るからに純粋な学生だった。M2の2名は優秀でリーダーの素質ありと見たので、まとめ役を頼み、指示待ち的傾向の5名には、シニア側からつぎつぎと質問で意見を出させ、それをまとめてもらった。

(2)   聞くほどに学生からいろいろな意見が出された。

     原子力を知らない学校の生徒や一般の人達に対しては「パフオーマンス」が必要である。(彼らの小、中学校での寸劇・・・シナリオは学生の制作・・での経験)

     視覚に訴える事が大切、専門的なことをわかりやすく表現する。

     子供には実験、測定をやらせる。(放射能は「はかる君」を使った。)

     一般の人には身近なもの、生活に直結したものから説明をする。まず興味を持ってもらわないと何も始まらない。

など等、教育問題で我々が議論したことがほとんど彼らの口から出た。

(3)   最後に私から「ガイアの復讐」の紹介の為、竹村健一の「世相」のコピーを配布。是非皆で読み討論をしてほしいと述べた。

 

岸本洋一郎

学生との対話

(各グループの発表から)

量子エネルギー工学科の学部学生及び量子エネルギー工学専攻の学生、合計80名(77名?)の学生とシニア参加者22名の対話は、11グループを編成し、活発に行われた。

選ばれた対話のテーマと議論の概略は、以下の通り。

A)       エネルギー問題⇒もんじゅ⇒不信⇒説明不足、知識不足、過剰反応⇒中高教育。NHKに誰か入ってくれないか。

B)       オイルピーク、地球環境問題、自給率4%。⇒これから若手が原子力に取り組む。広い視野(国際、エネルギー、平和・軍事)で見るべき。

C)       サイクルの現状と今後⇒エネルギー問題と環境問題の同時解決⇒人材育成必要

D)      放射線と原子力への理解を深めるためには⇒判って貰えない、判って欲しい、難しい、判りやすくするため⇒通訳が要る。子ども、大人どもの感性に訴え、興味の持てる訴えが必要。⇒視覚に訴えるもの⇒広告、TVで。危機感は家計へのインパクトで表現。専門家の誠実さ必要。

E)       報道で大騒ぎ、安全性の理解バラバラ、原爆・原発・放射線を同一視⇒意識・認識ミスマッチ、地域差あり⇒小中教育⇒指導者必要。

F)       自分たちの世代がなすべきこと⇒対マスコミ説明、隠蔽しない改ざんしない、教育への期待⇒初等教育への組込み

G)      国際的普及には⇒核保有国中印へのIAEA査察、国際安全基準、軍事・平和目的の峻別。原子力・放射線は専門性高く、マスコミの影響受けやすい⇒判りやすく説明できるように、国際的統一スケールと、利用の実態への理解増進。教育と説明⇒正しい理解。

H)      原子力はなぜ受け入れられない⇒メディアの偏った報道、漠然とした不安、生理的拒否感⇒対面コミュニケーション、子どもの頃からの教育⇒身近なエネルギーの重要性、放射線利用の現実。隠蔽体質に対しては、情報公開と誠心誠意。

I)         原子力の社会との係わり⇒現状では日本人全体がマイナスイメージを持っているのではなく、地元では一定の理解。理解に温度差あり。これを埋めるためには⇒@隠蔽問題に対しては情報公開、A原子力全般の理解増進については、教育への取り込み。

J)        エネルギー危機に対し、世論には不信感。説明不足。問題意識を持って働くことが重要。

K)      なぜ受け入れられないか⇒原子力そのものが危ないというイメージ⇒合理的思考の不足、放射線利用教えられていない、過剰報道⇒悪いイメージの拡がり⇒工学的信頼性をアピール。

 

(以下、感想)

1.        午後の学生との対話に先立ち午前中行われた先生方との対話は、初めての試みであったが、東北地方の中心大学としての明確な使命感と、地域における教育活動の熱心な展開とに感服すると共に、企業や研究機関と大学との間の、状況の変化に応じた緊密な相互連携が益々重要であるとの思いを強くした。

2.        11グループを編成しての学生との対話では、さまざまなテーマが取り上げられ議論されたが、その内の8グループで初等中等教育に問題ありという点が共通の認識となった。今日この点が、エネルギーと環境の問題から見ても、世代を超えての重大なチャレンジテーマであることの証左であろう。

3.        隠蔽問題や改ざん問題に対しては、情報公開を通じて対処すべしとの健全な反応であり、この感覚は大事にしていって欲しい。

4.        原子力利用、放射線利用についての「分かりやすい説明」が不足していることについての認識、ともすればマスコミの報道も一面的になっているとの認識も強く、時代にマッチした改善策も多く聞かれた。これは、各地各所で工夫実行すべき課題。

5.  いくつかのグループで、エネルギー問題と環境問題の何れに対しても、国際的視野での解決への取り組みの重要性と、両者同時解決の方策としての原子力利用という認識が共有化されたことは、若い世代の将来に光明を見出した思いであり、大変に心強い。

 

路次安憲

1.教員とシニアの対話

私が参画した“グループ1”は、教員の方々が全員比較的年配の教授で占められていたこともあってシニアと感覚的に近く、昨今の重要課題のひとつである「技術維持・伝承」を主テーマに話がはずんだ。

大学にもさまざまな変革の波が押し寄せており、私が学生であった頃の先生方とは比較にならないくらい忙しくされている中で、学生を鍛えるためのさまざまな取り組みに注力されていることに感心した。とりわけ、1年次から基礎ゼミと称した、テーマを与えて学生に調べさせ発表させる授業をされていることは、指示待ち人間の多い最近の学生たち(ただし指示されたことは一生懸命するとのこと)には有効であろうと感じた。ただしこれにも、系統的ではなく一過性となる悩みがあるとのことだが。

また、地元の大学として女川や六ヶ所における出前講座をされているのは東北大学の特徴でもあり感心した次第。

教員、シニアが一致した点としては以下があった。

@今の世相の問題として小中高校における科学教育、エネルギー教育の欠如があり、子供たちへのこれら教育の重要性を訴えること、出前授業の実践等が大切である。

A学生(新入社員)に対して“ものづくり”の楽しさを伝えること、見せるだけでなく自ら実践させなければダメであること、さらに、モチベーションさえ得ればどんどんやっていくので、未来を見据えた大所高所からのモチベーションを与えることが重要である。

私は今回が初めての参加であったが、先生方の熱心な対応と、有益な対話が持てたことに感謝申し上げます。

 

2.学生とシニアの対話

“グループK”に参画した。

山崎様と二人で7名の学生とグループ討議をおこなった。全員が学部学生(3、4年生)というフレッシュな人たちだった。また、「社会に出るにあたり学生が身に着けるべき力、企業が望む能力について関心がある人たち」であることから、「原子力・放射線がなぜ社会に受け入れられていないのか」、を加えた2テーマについて討議した。ただし、学生からの意見や反論はほとんどなかったので、二人のシニアから一方的に考え方を伝授した・・・・と言うに近い。

 「企業が望む能力」については私からメモを提示し、それも踏まえて議論した。

学生たちはこれまでの学校教育において、エネルギーや原子力について体系的に教えられておらず、せいぜい原爆や原子炉事故等の否定的な話のみであり、前項でも書いたが小中高校でのエネルギー教育の重要性を痛感した。原子力・放射線の受容に向けては、長期的取り組みとして科学教育において合理的な思考を身につけさせること、現実問題としてはマスコミの偏向報道に対しては実例を挙げて抗議することなどであろう。

学生たちは我々の話に熱心に耳を傾けてもらえ、その吸収力・理解力は素晴らしく、また、グループでの討議結果としての石井君(3年生)の発表も要点を捉えた立派なものであったと考える。

ほとんどの学生が何らかのスポーツを行っていることも合わせ、素材はみな素晴らしいものがある。このような若者に夢やモチベーションを与えていない(与えられない)社会の方に問題があるのかも知れない(この「対話」も、それを解決する手段のひとつたりうるのだろうが)。

久しぶりに若い人たちと対話する機会を持てて楽しかった。学生のみなさんも今回の対話によって原子力への理解とともに、社会人としての心構えなども学びとってもらえたのではないだろうか。

最後に、大変な事前準備を含めてこの「対話」を実り多いものに仕立て上げられた、教官、学生、シニアそれぞれの幹事の皆様にお礼申し上げます。

 

グループ2

金氏 顕

1.「教官とシニアの対話」Gr.2 概況報告

教  員:岩崎智彦、長谷川晃、高橋信、新堀雄一・・・・・・・・・リーダー 岩崎

シニア:岩瀬敏彦、加藤勝也、金氏 顕、高倉吉久、益田恭尚・・・・リーダー 金氏

教員、シニアそれぞれから自己紹介(シニアは各自メモ用意)。教員はそれぞれ炉物理、炉材料、マンマシーンファクター、廃棄物処分と専門分野は様々、またシニアのほうも世代は12年以上バラツキ、経験業務もメーカーで新型炉など研究開発、電力で建設計画、メーカで軽水炉プラント全般、地元で安全対策、メーカーで軽水炉技術全般などバラエティ豊富。

共通の話題として、まず大学における原子力関連の学生の質、教育内容、研究内容などについてシニアから質問。教員から学生数300人という大括りの学科“機械知能・航空工学科”の中でロボット、宇宙、ナノテクなど今人気の分野の中での量子サイエンス専攻の学生に興味を持ってもらう為に努力している点や悩み、そして成果などにつき対話。

次に、教員の方から原子力企業の体質的な問題点、マスコミ報道の問題、それらに対する企業努力などの質問があり、シニアはそれぞれの企業での経験などを踏まえて応えた。

また教員から地元初等中等教育への出前授業や立地地域住民との交流、そしてシニアから次世代の若者との対話、地元との対話、理解促進活動など、お互いに原子力村の外への働きかけにつき対話した。

初めてで対話の的を絞れなかったが、学生との対話の前に彼らの教育を担っている教員と対話することはいろいろな意義があり、東北大では勿論、他大学でも実施したい。

 

2.「教員及び学生との対話イン東北」の感想
(1)まず、25名の教員、80名近くの学生を纏めてこの活動始まって以来の大規模なイベントにしていただいた石井慶造先生に謝意を表したいと思います。来年もぜひお願いします。次に大勢の学生を前準備から取り仕切っていただいた幹事の鈴木求さんに労をねぎらい、感謝したい。これまでのどの大学でも幹事の学生は一様に終わった後に達成感を満喫したことと思いますが、鈴木さんの場合は格別でしょう。きっとこれからの研究生活、学生生活、社会生活に良い影響を与えると確信しています。

(2)さらに、東北電力、東北原子力懇談会の皆様の精神的かつ人的ご支援に深く感謝します。シニアネットワークを東京だけの活動にせず、全国展開したい、ネットの輪を広げたいと会長以下熱望してますが、東北の方々の団結、熱意には逆に圧倒されるくらいでした。これを機会にぜひ皆様にSNWに入会していただき、活動への色んな形での参加をお願いします。

(3)今回の対話の会は参加人数の多さ、学生だけでなく教員と対話、また地元の電力、懇談会との対話も行い、面としても拡がったエポックメイクなイベントでした。反省点は細かな点ではありますが、それぞれで核になる方(大学、学生、電力、懇談会)またSNWも対話担当、地域担当、学生連絡会担当と適材適所であったし、皆さんの連携も素晴らしかったと思います。今後のこの活動の一つの雛型になると思います。

 

岩瀬 敏彦

T. シニアと教員との対話

1.全般

今回は、東北大学の先生方の要請で、初めてシニアと先生方との対話が学生の方々との対話に先立ち行われ、先生方の非常な熱意が感じられました。大学学科研究科の先生に加え、研究所所属で原子力の研究及び教育に関係される先生までが参加されたことは、我々の活動に熱い期待とまた原子力の各分野での実務の実績を直に受け止め、学生の教育の一助にとの真摯な心意気を感じた次第です。

2.先生方の意見について(グループ2に出席)

意見交換に先立ち、先生方からは現在の研究分野を、シニアからは担当した業務につき概略を紹介しあった。

先生方から、学生は学校での専攻に於ける研究テーマを主眼に学ぶ関心をおいている。社会に出て、何が期待されるか、必ずしも明確な意識を持てない、社会からの期待が情報としてつかみ切れないのが実情であるとのお話があった。また、原子力について、負の面を強調したメデイアの情報伝達にも良くない面が有るようである。但し、メデイアは、原子力に関する社会の関心にたいする情報伝達がビジネスの一である故、良い知恵を出しながら付き合い、良い対処策をとることが解決の一方向となり得るとの意見交換がなされた。

3.全体集約

各グループでの対話のまとめがグループリーダーより報告され、その幾つかは以下のとおりです。

     研修などを通じて研究発表の場を与える

     技術伝承の大切な事を理解させるためのモチベーションを与える

     社会との係わりを理解させるために企業や社会の求めるものを情報提供する

それにより原子力専攻を決定する強い動機付けとなるであろう  

     我が国、世界のエネルギー動向について教育の場で分かり易く教える

     マスコミのエネルギーや原子力について理性ある報道が必要である

     放射線に対する理性的な理解を進めることが必要である

     原子力やエネルギープラントなど大規模プラント設備の製造能力はほぼ日本だけであることを理解させ、発展途上国への技術移転についても理解させる

先生方は産業界での経験や実績を持つシニアから若い方への思い入れを幾分かを理解頂けたと感じる次第です。

  

U. 学生との対話 

1.全般

東北大学の原子力分野を学ぶ機械系学科及び専攻科の総勢81名の学部生及び大学院生学生の皆さんが今回対話に出席され、産業界を中心に種々の経験及び実務実績を持つシニアが、真の技術をもってエネルギー分野の種々の課題に如何に対処されたかを膝を突き合わせた交流の場としてとらえようとの熱意を強く感じた次第です。学生の皆さんの意欲は大いに期待出来ると実感しました。

  2.グループ討論について(グループFに出席、シニア2名、学生7名)

    グループのまとめ担当者を決めた後、学生側から各自の専攻の概要紹介、シニア側から過去の業務内容、実績などを紹介し、意見交換を行った。

    シニアからは若い人の原子力分野での活躍を期待し、そのためにこのような対話の機会を通じて、元気づけ、動機付けが出来ることを期待していることを発言。

    主な意見

    ・原子力事業者は一般の理解を得るための努力としての説明責任をさらに果たす必要がある

    ・メデイアの理解促進のための当事者としての努力、信憑性の疑念につながるようなデータ改ざんなどはしない

    ・原子力報道に関し、センセーショナルな報道にならないよう、事業者として誠意ある対応をする

3.全体報告

各グループの討論の概要が学生リーダーから報告された。

主要な討論テーマとしては次のようなものであった。

     エネルギー問題を理解させるための教育、原子力が問題軽減の大きな1要素であることも教育する

     原子力、放射線についての理解促進を図る

     原子力に携わる企業関係者と一般の間の解離を解消することが必要である

     マスコミなどへの適切な対応工夫が必要である

     今後の発展途上国へも原子力の普及が進む、従って原子力安全に関する国際基準などを整備していくことが必要である

     原子力と社会との係わりに関する一般の理解を促進するための情報公開を図ることが必要である

     原子力、放射線の理解を図るための教育が必要である

  4.全体感想

来年3月に卒業し、社会に飛び込む学生もおり、その方達には、シニアの社会経験の話に何某かのヒントを得ることができ、方向付けの一助になり得たと感じた次第です。

 

益田恭尚

1.教官との対話

対話参加者

教官:岩崎智彦(リーダー)、長谷川晃、高橋信、新堀雄一

シニア:金氏 顕(リーダー)、岩瀬敏彦、加藤勝也、高倉吉久、益田恭尚

対話を通しての感想

シニアも含め殆ど初対面の方で、自己紹介に結構時間を費やす結果になった。

話題は、原子力関連の学部構成、学生の質、教育・研究内容などの大学の現状説明から始められた。原子力に良い学生が集まりにくい現状、集める努力と悩みは、一般常識として想定してはいるものの身につまされるものがあった。しかし、教官の悩みとは裏腹に、午後からの対話会で学生がそれなりの心構えを持っている現状を見聞きし、安心するとともに、教官の努力の結果と感心させられた。尚、大洗に東北大学の照射材が扱える研究室があることは、参加するのは一部大学院学生に限られるとはいえ、放射線や放射能教育の一助になっているとの印象を受けた。

続いて、原子力業界の体質的な問題について議論が移り、シニア側は経験を踏まえ率直に対応した。続いて、大学側から受託研究乃至は共同研究の発表等が制限を受けている現状に話が及んだ。産学協同、原子力への理解増進の立場からも大学側が自由な原子力研究ができる体制の建て直しが望まれるところである。

マスコミ報道の偏向は共通認識であった。これを改めるには教育が重要なことについても意見が一致し、教官が地元初等・中等教育への出前授業や立地地域住民との交流を進めておられることには大いに共感し、我々からもその活動の一環を説明した。

大学教育の現状についてある程度の理解ができたことは意義があった。今後、何か議題を絞った議論ができれば良いのかも知れないと感じた。

 

2.学生との対話

対話参加者

シニア:加藤勝也、益田恭尚

学生:山本裕子M2、千葉M1、平山M1、水谷M1、宮下M1、松本B4佐竹D2(後半参加)

対話を通しての感想

M2の学生に議長をお願いし、双方の自己紹介後、アンケート結果を基に対話に入った。

自己紹介で原子力に入った動機についてはあまり触れられなかったが、原子力あるいは放射線利用にそれなりに関心があって入ってきたとのことであった。M2の学生は重電メーカーに就職が内定したが、就職に当り母親からそんな恐ろしい所に就職していいのと大分心配されたと話していた。

学生が4学年以上であったせいか、林運営委員の「エネルギー問題を原点から考えよう」については、概要に付いてはある程度の知識があり、大きな違和感もなく、ついていけたとのことであった。

石油問題についてはオイルショックでの石油価格の高騰と今回の石油値上がりは違うことについて理解が得られた。

放射線については理解を持っているようであったが、一般の人達の理解が得られないのは教育とジャーナリズムの報道の偏りによるところが大きいとの共通認識が得られた。M2の学生は修士論文に一般国民の原子力の理解をテーマにしたこともあり、地元の人たちとの対話などで深く感じているようであった。

原子力の隠蔽体質についてはシニアーから経験を踏まえ率直な意見を述べた。その中で、近年に入り一般社会でも情報公開が進んできたが、原子力はむしろ最先端をいっていることに理解を求めた。学生の一人から友達の経験として産学の共同研究について情報開示の制限を受けるとの苦情を聞いたとの話を受け、Know Howの問題もあるから一概に言えないが、学会発表等は大分緩和されて来ている。産学協同、原子力への理解増進の立場からも大学側が自由な原子力研究ができる体制の確立が望まれることを説明した。

企業が学生に望むのは、専門知識よりも基礎学力とやる気であることを説明した。

学生側から出来るだけ発言を引き出したかったが、どうしても聞き側にまわってしまう点に付いては、今後とも双方工夫が必要であろう。学年の組み合わせ方は、高学年者の発言が多くなる点を考慮して決める必要があろう。

 

グループ3

 

松岡 強

シニアと教員との対話(グループ3)

シニア:山崎吉秀、岸昭正、鈴木一雄、松岡強

教員:佐藤伊佐務(金属材料)、佐藤裕樹(材料関係)、寺川貴樹(放射線がん治療関係)、Hosseini(流体関係)

対話概要と感想

企業としては、学生にどの様な能力が求められるか? 原子力の将来は? 放射線が嫌われているが、どうすればよいか?  等の教員側の質問に対し、「基礎能力が十分にあれば体力とやる気があればよい。材料と流体力学等の専門分野も必要であるが、これも基礎がしっかりしておれば会社に入ってその部署につけば身につく」「原子力について、ここ数年の予測は難しいが、もっと先を考えると原 子力は必ず必要であり、伸びる産業である」「放射線医療等、放射線が広く利用されていることを国民に認識してもらうことが必要である」等々の回答をした。

だが、教員の質問に対するシニアの回答という形が主流で、双方向の対話を深めるという形にするにはもう一工夫必要であると感じた(現在の大学ではどうも、専攻が原子力発電ということにベクトルが向いていない方達の方が多いようなので、少し気をつかった方がいいのではと思う。すなわち、原子力村の押し付けにならないよう、しかし結果としては広い意味での強力な理解者に、そして引いては原子力発電の人材にも育ってくれるように仕向けてゆくという気配りが必要なのではと感じた)。

 

  学生とシニアとの対話(グループC

シニア:岸本洋一郎、松岡強

学生:百瀬元紀、佐藤友影、湯瀬琢己、立花孝洋、弐又裕文、遠藤裕介、坪井真太郎、小口一雄

対話概要

・核燃料サイクルの将来見通しは?

最近の新聞で六ヶ所のことが悪く書かれているようで、六ヶ所の将来に不安を持っているようであり、岸本氏より再処理の状況と将来について詳しく説明。

・企業の将来性は?

今、世界の原子力産業界は日本メーカ(東芝、日立、三菱)を中心に大きく再編されつつあり、将来の発展のためにも若い人材を必要としている。また団塊の世代の退職期に入っておりますます原子力の人材は必要とされるであろう」等説明

・地球温暖化とエネルギーとの関係は?

林氏の基調講演のオイルピークの話を補足。環境については、ラ・ブロック氏の「ガ  イヤの復讐」の紹介をして、「もはや自然エネルギーの実用化等未開発のものに頼るような時間的余裕はない。今技術が確立している原子力エネルギー以外の選択の余地はない。」と補足説明を加え説明。

・原子力はなぜ嫌われるようになったか?

「公害問題以降、国や大企業がマスコミに攻撃され、その代表として原子力が悪者になった」「トラブルや改ざんが多発しているのに対し、マスコミが攻撃して、原子力の信用が落ちた」「現在はすべて国民に公開することで信用を回復しつつある」等を説明。

感想

原子力を専攻している学生なので原子力には賛成であるが、将来その方面に就職して一生をかけるにふさわしいかどうかについては不安を持っているようであった。かといって明確な不安のイメージも表現できずになにかもやもやとした感覚を持っているようであった。原子力の将来性について説明したが、それが彼らにどの程度影響を与えたかは分からないが何らかの形で今後ともこのもやもやを解消してやることを考えていく必要があろう。地球温暖化に興味がある者が3人ほどいて、「「ガイヤの復讐」の説明「時間的余裕はない。今技術が確立している原子力エネルギー以外の選択の余地はない」には非常に共鳴したようである。

 

鈴木一雄

「対話イン東北大学の感想

シニアと教員との対話(グループ3)

シニア:山崎吉秀、岸昭正、松岡強、鈴木一雄

教員:佐藤伊佐務、佐藤裕樹、寺川貴樹、Hosseini

・リーダの主導の下、シニアと教員の対話が初めての取り組みで あったことから、対話の論点、両者からのインプット、目標等を設定することからはじめました。

・グループ3は、原子力発電分野に特化したシニアと原子核利用研究の先生との組み合わせであり、両者が活性反応することにより面白い成果を産むと考えられます。

短時間で活性反応を引き起こすために、両者が共通にイメージできるような問題を特定する。その問題に対する議論のアウトプットは、両者が何ができるか。両者は、活性反応しているか。であると考えます。

・今回、試みに踏襲した「学生との対話」の形式(グループ討論、発表)は、活性反応を促進する(教員版の)新形式を確立していくことになると考えます。

 

学生とシニアの対話
シニア:石井 亨、鈴木 一雄
学生:

・学生さんに現場の話をすると、眠そうな顔の目がパッチリし身を乗り出してきました。現場は、湯気が上がっている熱い話がたくさんあります。これは、産業界に限らず研究の場でも同じであると考えます。

・学生さんが、熱くするものを自分で探し出し、自分の力でさらに熱くしていって欲しいと考えます。研究所でも会社でも大学でもまた、どんな分野でも自ら動き、熱い活性反応の実践を期待します。                                                                 

 

山崎吉秀

80人もの学生と先生方も大勢参加されての対話、大変活気があって、こちらもつい熱が入って楽しい一日を過ごすことができました。

ただ私だけの思い過ごしかもしれませんが、一つだけ気になった点を述べてみたいと思います。

今回私の参加したグループには、先生方との対話にも、学生達との対話にも、いわゆるエネルギー (原子力発電) に直接たずさわっている方がいなくて、加速器とか、放射線利用あるいは核融合材料といったことに係る方たちばかりでした。

対話は“何故原子力が日本社会に受け入れられないか”とか、“社会産業界に出るに当って自分達が何を心掛けるべきか”といったテーマについてでしたから、それなりに熱心に議論もはずみ、先方にも喜んでもらえたと信じています。

ただここで、私達にはもともと、原子力発電推進ということが腹にあるものですから、基調講演も含め、とかく話のなかに、そのあたりのことが、出すぎるのではないかと。これを彼等が心底どう受け止めているのだろうかと。現在の大学ではどうも、専攻が原子力発電ということにベクトルが向いていない方達の方が多いということが解ってくるにつけ、少し気をつかった方がいいのでは。

原子力村の押し付けにならないよう、しかし結果としては広い意味での強力な理解者に、そして引いては原子力発電の人材にも育ってくれるように仕向けてゆくという気配りが必要なのではと思う次第です。

 

グループ4

 

松永一郎

1.「教員とシニアの対話」グループ4 概況

教 員:最上忠雄、松山成男、岡本敦、伊藤悟、菊池洋平・・・・リーダー最上忠雄

シニア:神山弘章、中神靖雄、後藤康宏、松永一郎・・・・・・・リーダー松永一郎

シニア側から一人一人が自己紹介し、続いて教官が自己紹介した。

話は東北大学が取り組んでいる「中学生を対象とした放射線教育」について説明をうけ、シニア側が実際に経験した「原子力立地の地元の人々の理解」の話が出て、そのあと「世間一般の人々の理解」あるいは「エネルギー教育、放射線教育、理科教育の現状」にまで話が及んだ。

(具体的内容)

1.東北大学の取組

・小学生、中学生を対象とした出前授業・・99年頃から始めた。

・中学生を対象とした「寸劇―怪盗X」・・放射線は良い働きをする

・オープンキャンパス・・・加速器について→身近な磁気カードを利用した説明

・中学生による模擬裁判「原子力、放射線は悪者か」→必要だ(裁判結果)

・小中学生対象の場合あまり直接的に原子力の話をせずに、PETなど放射線医療の話から持って行くと、受け入れられやすい。

2.エネルギー教育、放射線教育、理科教育について

・日本では高校までにエネルギー教育、放射線教育は殆どされていない。量子エネルギーを専攻する学生でも、大学に入るまでに放射線の種類を知らないものが多い。

・日本では「リスク」教育がなされていない。原子力の事故自動車事故や航空機事故よりはるかに低く、一般人が放射線による影響をこうむることは殆ど無いにもかかわらず、不安感が大きい。

・小学校、中学校ではゆとり教育のためか理科の時間が減らされ、仙台周辺では少子化の影響もあってか、理科教員のいない学校も出てきている。

・核融合の話に至っては話題にならず、話題になるのは政治がらみで幾らお金が落ちるかと言うような話ばかり。

3.立地地域とその他の地域

・原子力立地地域では、昔と違って最近では情報が十分に行き届いているので、一般の人達の理解度は結構高い。立地地域の周辺地域が問題。

・何かトラブルがあったときに話をすると理解してもらいやすい。また、直接的な話よりも世間話をしながら、徐々にもっていくのがよい。

・JCO事故では東海周辺10Kmが屋内退避となった。これは過剰であった。事故時はやむをえない措置だったかもしれないが、後のフォローがなされず、不安感だけが残った。

・東海村では事故を契機にして、学校の放射線教育が充実した。

・一般のシニアを対象にした講習会を開いたが、幾ら説明しても「やはり不安」ということであった。

 

(感想)学生との対話は今回で9回目であるが、大学教員との対話は初めてであった。教員側の関心は大学生を頂点としたそれ以前の世代(高校生まで)であり、シニア側の関心は大学生をはじめとするそれ以後の世代(実業人、一般人、シニア)で、共通の接点は「大学生」であるが、話題は大学生を挟んだ前後の世代へのエネルギー、放射線、理科教育論であった。東北大学がミッションとして東北地区の放射線教育、原子力教育に力を入れているということは事前に耳に入ってはいたが、実際に担当して進めておられる方々からお伺いし、非常に感銘を受けた。小中学校への出前授業は学生が行っているとのことであり、年齢が近いだけに生徒も親近感が湧くであろうし、学生にも大いに勉強になるであろう。ただ、私たちと教員の皆さんとの対話が今後の「意識改革」にどれほどの効果があったのかについては未知数である。時間の関係上、基調講演を省略していきなり対話に入ったが、時間があれば基調講演をして「日本、世界のエネルギー事情と原子力の必要性」について問題意識を共有してから進めたいと感じた。

 最後に特別な予算措置もとらずにボランティアで地域の放射線教育、理科教育の浸透に携わっておられる教員の皆様に敬意を表します。

 

2.「学生とシニアの対話」

 今回の対話は東北大学量子エネルギー工学科の学部3年から博士課程(後期)の学生80名が集まるという、今までにない多数の学生との対話であった。シニアサイドも急遽人員を取り揃えて対応し、結果としてシニア2名に対して学生が7〜8名と何とか対話ができる状態にまで漕ぎ着ける事ができた。なお、全部で11グループの構成とし、シニアの配分は各グループ「対話経験者1名、未経験者1名」とした。

(1)学生へのアンケート結果(参加78名、回答率82%)から見ると、対話の意義について「非常に意義あり48%」「やや意義あり47%」あわせて95%が意義を感じており、成功だったといえる。

(2)グループ別では発表の状況の観察やシニアからの感想から判断して、「学生がかなり積極的に発言した」ところから、「殆どシニアからの説明で、学生がそれを聞いた」と言うところまで、かなりグループにより異なっていたようである。

(3)私のグループは学生に自ら話をしてもらうために質問を出したが、答えが無く、仕方なくこちらからの説明を多くする状況であった。通常は対話の最後に配布する「シニアの考え」を途中で配り説明した。また、メーカー志望の学生が多かったが、日本の3重工(日立、東芝、三菱重工)を核とする世界の原子力業界の再編についてもあまり知らなかった。

 このような対話は今までの経験ではなかったことである。理由として上げられるのは、今まで他大学における対話の学生は、学生連絡会が主体となって集めたところが多く、もともとエネルギー、原子力問題に大きな関心を持っていたのに対して、今回はそれほどでもないと言うことであろう。しかし若者としての感性の鋭さにさほどの差はなく、それに点火すれば後は自分で燃えて行くものが多いことも事実である。シニアとして、今回のような場合には、対話の仕方に一工夫いるなと悟った次第である。

 

神山弘章

1.教官とシニアとの対話、G4

東北大の教授、助手の方が、率先して地元の小学生、中学生に原子力、放射線に関する出前教育をしていることを聞いて深い感銘を受けました。出前教育の劇のシナリオなどもご自身で作られるとのこと。都会の学生はとかく世知辛く、自分のことにこだわり勝ちなのに、忙しい時間を割いて、原子力、放射線の正しい知識普及のため積極的に活躍されていることに敬意を表します。

 原子力開発の初期の頃は原子力に携わる技術者は信頼されていましたが、最近は悲しい状態です。このような時期に中立的な大学が地域の理解促進に努力されることは非常に大きな意義があると思います。益々のご活躍を期待致します。

 

2.学生との対話、BGr

 大きな声で活発な討論をしているGrもあったが、我々のGrはシニアに対して積極的な質問もあまり無く、シニアの問題提起にも積極的な意見も無かった。初めてのことなので、要領が判らなかったこともあるが、性格的に謙虚な学生が集まったのかもしれない。プルサーマルを知らない学生もいた。

 今の学生は忙しくて時間が足りないのかもしれないが、新聞の記事を理解する程度の常識は持っていてもらいたい。そこで提案ですが、学生の希望者に対して、シニアが原子力開発の歴史や国際情勢などを説明するボランティア活動(1回/月)を初めては如何ですか。運営委員会で検討してください。

 

中神靖雄

1.「教員とシニアの対話」

私のグループは、助手の方々との対話で、シニア松永さんが会話をリードしつつ、一般の人達が原子力/放射線に不安を持ち、原子力発電や放射線利用への理解が得られないのは、どこに原因があるのか、また、大学やシニアがどのような行動をとっているか意見交換をした。また人材育成に関連し、学生の学力低下も話題になった。

東北大学の一般社会への理解促進活動として、出前講義や模擬裁判形式のディベート等を通じて、問題意識を高める活動を積極的に行っていることに、大いに感心した次第である。しかし、これらがボランティア活動的に行われており、予算がつかない等の悩みがあり、今後拡大していくには大きな課題と考えられる。

2.「学生とシニアの対話」

私のグループ(グループA)は、学部、修士、博士(後期)課程併せて8人と、シニア2人の組合せで、学生から問題提起し、それにシニアが答える形で進められた。予め質問が送られて来ていたので、添付の対話用のメモを用意し配布した。(特に説明はせず、対話の中で引用するにとどめた。)学生の関心は、シニアの経験(それぞれの時代で原子力がどのように社会に受け止められていたのか)、日本の原子力の将来、高速増殖炉の将来、何故原子力がなかなか社会に受け入れられないのか、原子力でデータ改竄等が何故起こるのか、海外との比較等、多岐にわたり、メーカ/研究開発推進での立場から私が、電力会社の立場から岸さん(東北電力)がそれぞれ別の切り口で話をし、学生にとっても良かったのではないかと思われた。シニアにとっても、若い世代が何を考え、何に不安を感じているのか、討議を通じて勉強になることも多く、このような機会を通じ、エネルギー/環境問題、原子力の将来を、多くの人達が考え、行動の輪が広がっていくことを期待したい。

後藤康宏

1.          教員とシニアの対話

(1)   私が参加したグループのメンバーは,シニアと教員がほぼ半々でそれぞれ4,5名と対話にはちょうど良い構成だったと思います。

(2)   東北大学では,県内の学校に出向いて放射線関係について出前教室的なことを実施しているということです。このような地道な活動の継続が,一般の人たちの原子力・放射線に対する理解を着実に押し上げていくのだと心強く思いました。

2.          学生とシニアの対話

(1)まずは学生の参加者の多さに驚きました。全員とは言わないまでも多くの学生がシニアとの対話に興味を持っていたのだと思います。対話を行う場合,一人ひとりが興味を持って参加することが大切で,その意味で参加者数を見ただけでも今回の企画は大成功だったと言えるのではないでしょうか。

(2)学生参加者が多かったことから,グループのメンバーは学生7人に対してシニア2人となってしまいましたが,荒井さんが学生一人ひとりに声をかけ皆さんが考えていることをうまく聞き出していただきました。

できればもう少しシニアの方が多ければもっと踏み込んだ対話ができたかと思います。

荒井さん本当にご苦労様でした。

(3)対話の翌日に同じグループだった学生の一人(本田さん)からメールが届きました。このように仕事上や学内では会えない人たちと対話によって知り合いになれるということも,この企画の大きな成果のひとつだと思います。これを機会にいろいろな相談や情報交換を続けて行ければと思います。

 

 

グループ5

 

小川博巳

「教官とシニアの対話」Gr.5 概況

シニア: 石井 亨、菅原 剛彦、林 勉、小川 博巳(リーダ・記)

教 員: 山村 朝雄、阿部 陽介、二田 伸康、佐藤 学(リーダ) 

中国の電力需要の急増と原発建設は、かつて30年まえの日本の状況と較べてどうか? 米国での政策転換に基づく新規プラント建設の見通しは? またそれらに関連して、メーカの国際的な再編をみると、アグレッシブで大きなうねりを感じるが、国際展開への期待はどうか? リプレースの見通し、FBRの商業炉の見通しはどうか? 京都議定書に於けるCO2削減と原子力の貢献は? などなど、国際的な原子力発電ビジネスの動向と共に、我国が抱える本質的な課題に対して、若手教官の率直な質問が投げかけられた。

シニア論客の、それぞれ異なった視点からの見解が極めて積極的に示され、大学内では味わえないであろう活発な議論が展開された。ともするとシニアの発言が、教官の発言機会を奪いかねないので、セーブする配慮が求められた程の、熱のこもった対話の中から、新進気鋭の教官の皆さんの、感度の鋭い理解が得られたものと思われる。

また、エネルギー教育・出前授業・学生交流・地域交流などについてもご紹介頂き、東北大学が取組んで居られる前向で真摯な姿勢を伺うことが出来た。

 

小川 感想

○ 大学の積極的な取組みについて

阿部専攻長殿が大号令を掛けられて、全教官・学生への参加を呼びかけられた姿勢に、まず敬意を表したい。東北大学が独自のミッションとして掲げておられる「東北電力と青森原子力拠点への人材教育と提供」に、如何に真摯に取組んでいるかが伺われ、その気概が参加された教官と学生に漲っていたと感じられ、感動すら覚えた。良い意味でのこの緊張感を、是非とも持続して欲しいものだ。

また学生との対話会に臨む教官側の指導と協力が、如何に大切であるかを訓えられた。

 

○ 十分な準備について

企画から実施までの期間が必ずしも長くはなかったが、東大での対話会に石井教授及び鈴木君が参加され、良きにつけ悪しきにつけジックリと検討し、ご準備頂いた成果が遺憾なく発揮されて、極めて手際の良い対話会であったことに感謝申し上げたい。殊に参加学生数80名に及ぶ対話会、教授陣から若手教官の殆どが参加された対話会、アンケート調査とグループ編成或いはリーダーの指名など、予め配慮の行き届いたご準備には、目を瞠るものがあった。大学と学生のコンビネーションにも、賞賛の言葉をおくりたい。

 

○ 学生の纏めと発表について

各グループの発表では、日頃この様な機会に恵まれないにも拘らず、それぞれにユニークな纏めが出来たのは評価される。殊に際立っていたのはシニアの受け売りでなく、ごく短い対話の中から自分達の感性で、かなり難しいテーマについても妥当性はともあれ、「対策」が提示されたのは素晴らしい成果であった。このことに、「次世代を担う」ことに対するシカとした自覚があると見受けられ、原子力の新たな陽光が東北に昇る感激を覚えた。

東北大学の自ら掲げるミッションに基く、的確なご指導によるものと敬意を表したい。

 

○ 地元シニアの積極的なご参加について

地元シニアの多数の皆様がご参加頂いた初めてのケースであったが、極めて積極的なご発言とご指導と共に、電力殿のご支援をも頂き、感銘の深い対話会が出来たことに感謝したい。地域の特性を踏まえ、密度の濃い学生支援を展開するには、地元シニアの皆様の参加なくしては到底達成できないが、その意味からも全国展開への素晴らしいモデルケースが築けたことを、共に喜びたい。

更に、SNW東北支部の結成についても、率直な意見交換とご内諾が得られたことは、今後の発展に大きなステップとなるものと確信する。この気運を是非とも大切にしたい。

 

 

石井 亨

1)教員との対話

彼らの関心あるテーマが見出せない中で、話題となったものに原子力ルネッサンスを迎えての海外、国内の動向はどうなっていくかが話題となった。シニア側それぞれは多様な見方を開陳したが、結果として一方的な語りかけになった。それ故教員側の真に関心あるテーマであったのか、どこまで理解して貰えたか等把握できないままに終わった。

今後双方向の意見交換を活発化し対話をより一層有意義たらしめるためには、相手側からの積極的な問いかけがない場合を想定して、彼らが共に語り合えるテーマを如何に探り出すか、その術を身につけておかなければならないと痛感した。
(2)学生との対話

林氏の基調演説および事前アンケートによる学生の関心事項を参考にして対話テーマの絞り込みを試みたが、学生側の主体的な反応は見られなかった。

また多岐に亘る事前アンケートの関心事項についてシニア側が逐一見解を述べる運びとしていたことが、結果として対話の場を支配することになり、シニアの語りかけに学生は聞き役として終始する構図となってしまった。(対話の態を成さなかった)

今後の対話に於いては、学生が常に特定の問題意識を持って臨むとは考えられず、大方は漠然と対話に参加するのであろうから、これを迎えるシニアとしてはそれなりの工夫が必要であろう。

少なくとも今回行ったアンケートは回答者がそれほどの関心を持っていなくても複数の設問から選択せざるを得ないという選択形式の弱みがでているので、今後アンケートを採るのであれば何を対話のテーマとしたいか直裁的に問いかけ、自由表記させるのも一つの方法であろう。

                         

.林  勉

1.教官との対話

今回の東北大学での対話は、学生80名、教官20名強という大規模なイベントが無事成功裏に終了することが出来たことは、「学生とシアの対話」の歴史に残るものとなりました。これも石井先生はじめ教官先生方の並々ならぬお力入れのおかげと思っています。この点は今後の計画に対する大きな示唆を与える物であり、この事例を元に次回以降の「対話」計画に、教官側の支援が非常に大切であることを反映していただきたいと思います。

教官との対話は初めてのことであり、とまどいましたが結果的にはスムーズに展開し、なによりでした。シニアとしては教官側の質問なり、要望なりに対応していけばよいということで、さしたる問題はなかったと思いますが、教官側はどうだったのでしょうか。原則教官側は全員参加の命令で、様々な業務を調整されてのご参加であり、それなりに大変なことであったと思います。それを勘案しても本当にメリットがあったのか、本音を聞かせていただければと思います。本音でやはり良かったということであれば、今後他大学にも展開していくよう働きかけるようにしてはいかがかと思います。

私のグループは助手の方々でした。学生との対応のしかた、エネルギー教育のありかたと言うような視点よりは、原子力の今後の発展の見通し、国際展開に対する日本企業の対応など、大学の中ではなかなか知ることの出来ないような内容に対する質問が主体でした。楽観的見通し、やや悲観的見通しなど、それなりに本音での話し合いができたと思っています。このような観点での対話で今後の原子力の展開に対する深い理解をしていただけたのではないかと思っています。

 

2.学生との対話

 原子力関連学生80名との対話と言うかってない大規模な物となりました。シニア側も各グループ2名、しかも1名は経験者ですが、もう1名ははじめての参加という対応で心配もされましたが、結果的には各グループともに実りある対話ができたようでよかったと思います。

 今回はシニア側の人数を急遽倍増する必要に迫られ、東北原子力懇話会、東北電力の方々などのご支援により対応できたわけですが、このことは、それぞれの地方での対応ネットワーク構築という観点で大きな示唆を与えてくれました。今後の計画にもこの点を反映していくように検討していただきたいと思います。

 私のグループでは学生8名で、「原子力の理解を社会にどう浸透させていけばよいか」という点に興味が強いグループでした。

 対話は原則学生主体で展開していただくようにお願いしました。その上で発表者を最初にみんなで決定するようにしました。結果として2名の発表者をきめそれぞれが、「原子力関連問題」「就職問題、会社生活での心構え」について纏めることを決めて、この2名がそれぞれの観点について対話をリードし、最後に纏めるようにしました。途中いきづまることもありましたが、おおむねうまく展開し、十分な話し合いができたと思っています。最後の15分ぐらいでOHPにまとめていましたが、それなりに自分達の見解や対応策も含めて纏めたのはさすがであると思いました。

 



添付2 教員側リーダーの感想

グループ1

若林利男

各人の自己紹介の後に行われた議論の概要、感想を以下に示す。

     シニア、教員側とも、早い時期からの子供たちの科学技術教育(如何に科学技術、原子力に興味を持たせるか)が重要であるとの認識を確認した。関連して、東北大学の共生フォーラム、女川での活動、高校での出前授業について紹介した。シニア側からこのような活動は良いことであり、引き続き進めてほしいとの要望が出された。

     学生のカリキュラムについて、基礎知識、専門知識のどちらに重きをおくかについて議論を行った。産業界側からは、専門知識については企業に入ってから教育するので、どちらかと言えば基礎知識を重視してほしいとの意見が出された。

     教育において、学生たちのMotivationをどのように引き出すが重要である、との共通認識を持った。関連して、東北大学の入学後の早い時期から行っている基礎ゼミ、創造工学研修について紹介した。シニア側から、このような興味を持たせる活動は、長い目で見て、継続して行うことが重要であり、今後の成果に期待するとの意見が出された。

     物づくり、技術伝承について、企業として危機感を持っている。工学系学生の現場のエンジニア希望が少なくなってきており、学生に物づくりの面白さを分かってもらえるような教育も考えてほしい。インターシップなどをどんどん活用してもらいたい。(シニア側より)

     シニア側の、今まで長年、原子力や関連する技術に携わってきて得られたノウハウも含めた多くの経験を、紙だけでなく、自らの言葉で若い人たちに伝えたい、という熱い思いが、ひしひしと伝わってきた。

 

○グループ1

              シニア:荒井利治、石井正則、岸本洋一郎、土田正和、路次安憲

        教員:若林利男、馬場譲、山崎浩道、三村均

 

グループ2

長谷川晃

 今日の原子力を第一線で作り、支えてきた大先輩方との対話はたいへん有意義であったと思います。原子力の黎明期から発電所の建設ピーク期に現場に立たれた皆さんであったので、1つのプラントを作り上げるまでのたいへんさと、設計から発電開始までを現場で携わるという経験が技術者を育てるうえで非常に重要であるというお話しを伺い、モノ作りには目で見て、体で感じることが大切であることをあらためて感じました。

 また皆さんはスリーマイルから始まり、チェルノブイリでピークとなった原子力のいわゆる冬の時代も経験されたわけですが、そのような時期にあっても、エネルギー供給のため粛々と建設が進められ、多くの技術者が一生懸命働かれていたことを話されました。かくして今日の世界に冠たる日本の軽水炉技術ができあがってきたわけですが、重厚長大でありながら細かな点に至るまで高い安全性を求められる原子力については、時代の雰囲気に流されず、技術の開発と確立を着実に進めていくことが必要であることを実感しました。私たちも大学における原子力関係の教育の現状を紹介させて頂きましたが、この対話の中で、原子力の技術を引き継いでいく人材を育てる大学への皆さんの期待が大きく、大学での学生の志望動向をたいへん気にかけておられたのが印象に残りました。あらためて私たちの原子力教育への責任を感じました。

 原子力をこれからになう優れた人材を育てていくためには、資源枯渇や二酸化炭素排出抑制、地球温暖化などの問題を解決していかなければならないこれからの時代において、原子力がいかに重要な技術であるか、私たちがもっと世の中に発信していくことが大切であるという点で私たちとシニアの皆さんの意見が一致しました。私は工学技術を学ぶ際には、実際にどのように使われているのか、その課題や将来の夢や展開を知ることも重要だと思っています。シニアの皆さんは原子力の技術の裏も表も良くご存じで、幾多の課題を解決してきたその技術に誇りも持っておられると思います。いろいろな体験をされた方のお話しは、私たちの教育(講義や研究)に多いに参考になりますし、大学生だけでなく、高校生や中学生にも工学技術の面白さを伝えてくれると思います。今後もこのような「技術者の思いの伝承」の機会を設けて頂ければと思います。

 

グループ3

金属材料研究所 佐藤伊佐務

我々のグループは、シニア4名(3名が電力関係、1名がメーカ)教員4名であった。

話題は原子力の現状、トラブルに関すること、教育問題等多岐にわたったが、印象に残っていることは以下のとおりである。

現在原子力がおかれている状況をシニアの方々からお聞きした。原油高騰、地球温暖化等の環境問題からアメリカ合衆国・欧州・アジア各国において原子力発電所建設ラッシュがおきている。そのためか、マスコミの原子力に対する姿勢も以前とはかなり異なっているとのことであったが、地元(仙台)では原子力発電所及び再処理工場のトラブルが続いたため、地元マスコミの姿勢は以前と変化がないと感じられていたので、新鮮な驚きであった。

原子力(放射線)教育では、小学生・中学生を対象とした教育をもっと推進するとともに、大学における原子力関係を専攻する学生に対して「夢」を持たせる教育を行うべきであるとの進言があった。東北大学では、大学には機械・知能系として入学し、3年に進学する際に学科を選択するシステムとなっている。現状ではロボット等の機械系に人気があり、量子エネルギー工学科は2次、3次希望の学生が進学することが多い。従って気力の乏しい学生も見受けられることがあり、その打開策として今回の「シニアと学生との対話」を継続すること、また、シニアの方々をはじめ、民間の方々に夢のある講義をしていただくのも一つの方法であると思えた。

 さらに、現在の大学における研究領域は狭く深い方向へ向かっているが、学生が卒業して企業に就職すれば、大学時代に研究したことはほとんど役に立たたないことが多く、企業側からすれば基礎学力、気力及び体力があれば十分であるとのことであった。たしかに我々団塊世代の学生時代には各種スポーツ大会があり、積極的に参加していたという記憶がある。大学における教育にもこれらの観点から再検討したほうがようのではないかと思えた。

 対話を通じて、シニアの皆様の原子力に対する情熱が十分感じ取れ、充実した時間であった。

 

グループ4

最上忠雄

先ず、シニア側の4名の方々からの職暦等を伺いました。お一人の現職の方も含め長らく原子力関連の仕事に携わって来られた方々ばかりでした。量子側の5名の教員から現在の教育・研究内容の紹介があり以後、グループ対話に入りました。

日本の原子力技術・学術の維持と継承と正しい原子力の理解の為に次世代を担う若手及び学生との各世代間の連携を通して、エネルギー問題を将来の自分たちの問題として考え、原子力技術・学術の発展に積極的に貢献する事を熱く述べられておられました。特に印象に残った事項は、

1.      教育(放射線)に付いてマスコミはもっと正確に報道すべきだ。

JCOの事故以降、茨城県では副読本(10Km圏内等)を作成している。

2.      原子力発電所近くの地域住民の方には、地元でのトラブル時にはこまめにPRしているが、現地見学をする位しないといけないのではないのか。

3.      六ヶ所村に於いては先ずは世間話から。

4.      トラブル時に於ける初期時の判断とその対応、そして事後のフォローが重要だ。

 

    ○  シニア側: 神山弘章、中神靖雄、後藤康宏、松永一郎

        量子 側: 松山成男、岡本 敦、伊藤 悟、菊池洋平、最上忠雄

 

グループ5

佐藤 学

私の加わったグループでは重電3社と電力会社のご出身のシニア4名と助手3名で対話を行いました。30年以上前に原子力発電所の建設がどんどん進んだ当時から設計、建設、運用にご活躍なされたシニアの皆様と対話させて頂きました。当時建設した原子炉は寿命が近づき更新を考える時期になりつつある状況や、中国、インドなどのアジア諸国の経済成長エネルギー需要は伸びが著しく、30年前の日本のように国策として軽水炉の建設が進められている状況を考え、設計、建設、運用、廃棄まで原子力発電所の寿命サイクルを経験なさったシニアの皆様の経験から、今、次のサイクルを始まりつつある状況について、どのように進んで行くのがよいかについてこれまでを振り返って意見交換させて頂ければと思いながら参加しました。

原子力ルネサンスと言われるように日本を含め、アジア諸国、欧米諸国でも原子力が見直されてきていると思われますが、日本に関しては報道などからは一部で社会的に十分受け入れられていないような印象をまだ受けます。そもそも始まりの頃はどうであったのか、なぜ原子力が進んだのか。シニアの皆さんの答えは国策であったからということでした。1次エネルギーを確保することこそが重要だった以前の日本や今の中国、インドとは異なり、エネルギー需要が伸び続けるというよりもこれからの日本では均衡を保って維持されていく状況と考えられます。当初の国策ということだけではなく、次のサイクルでは社会とのより成熟した関係の中で原子力が受け入れられるようにしてゆきたいと思いました。

その後の懇談会でも原子力について一般の方々によく知ってもらうにはどうしたらよいかという点で言葉を交わしました。これからのことを考えると小学生、中学生、特にある程度の知識をもった高校生に放射線やエネルギーのことに興味をもってもらうことは大事と思います。大学教員が小学生や中学生に直接に話をする機会は多くありません。しかし、小中学生が普段の担任とは違う人に教えてもらえる機会があれは印象深く残るでしょう。専攻で行っている原子力共生活動などは望ましい活動であるとの認識を再確認できました。また、最近の履修単位不足問題に見られるように受験は高校の最大の関心事項ですから、受験科目の中で原子力関係の問題を出すことが高校生および高校の先生方に最も効果的に原子力に興味をもってもらえる方法ではないかということで一致した意見になりました。

原子力は総合工学であるということを大学入学時に聞かされました。確かに熱もあれば材料も計測も化学もあるからと当時は思いました。原子力については社会的、政治的、経済的な側面もあり、アジア諸国との技術移転、もの作りのための設備技術の継承というような工学だけでは不足な領域にも広がっています。これらのことを再認識する大変よい機会であったと思います。



添付3 学生事後アンケート結果

 

総回答数:64名

 

(1)「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?その理由は?

 

非常にある:31

ややある :30

あまりない: 2

全くない : 0

無回答  : 1

 

 

 

 

理由

○非常にある

・教科書には無い生の体験(経験)を聞けるから。

・普段、聞く事の出来ない貴重な話を聞く事ができたから。

・教科書には載ってない初期の裏話などとても魅力的。

・新しい知識を得る事ができる。

・知識の不足を実感し、又、知識を広げる機会になった。

・現場経験者の意見・見通しは貴重。

・学ぶ事が多い。特に学生は知識がないから(世間から隔離されているため)

・原子力に対する知識を深める事ができた。

・貴重な話が聞ける。

・原子力のことだけじゃなく、色々な話を聞けて良かった。

・経験からくるものがある。

・現場の方々の意見が聞けるため。

 

     ややある

     先人の経験が聞けるのはいい機会だ。

     現場の声や、感覚を話しから聞けるから。

     原子力の問題が明確になった。

     シニアの方々が伝えようとしていることを、自分達も次の世代に伝えていかなければ、と思いました。現場のリアルな話を聞けて、自分が考えたことや思っていたことの間にギャップがあり、認識を改めることができた。

     シニアの興味深い話が聞けた。

     話がまとまらない・・・。

     実際にいろいろ経験のある方と話すのはためになる。

     今までの経験を伝えてもらえるのは、大変役に立つ。

     伝承は必要。

     世代の違う人と話せる貴重な経験になった。学校外も交えて話したい。

     先人の知識・経験を受け継ぐことは重要である。

     自分とは違う時代を生きてこられた人の意見は大変参考になります。

     経験者の話が聞けるから。

     単純におもしろかった。

 

○あまりない

     講義や指導教員から聞く話がほとんど。

     むしろシニアよりも一線で活躍している世代の方がいい気がする。

 

 

(2)エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?その理由は?

 

大いに変化した    : 6

多少変化した     :38

あまり変化しなかった :16

まったく変化しなかった: 4

 

 

 

 

 

 

理由

○大いに変化した

・リプレースの話などは知らなかった。

・エネルギーは何だかんだで大丈夫だと思っていましたが、危機感が増した。

・エネルギー自給率4%

 

 ○多少変化した

     少なくとも他のエネルギー源ができるまで原子力が必要だから。

     自分達よりも豊富な経験や知識を元に非常に興味ある話を聞けたから。

     基本的に知っていることばかりなので大きな変化はなかった。

     石油が後40数年で無くなることは授業でも拝聴していたことだとはいえ、シニアの方々の生々しい現場の話を聞けて、よりリアルに、より身近に実感することができた。

     元々、エネルギー危機の意識はあった。

     より深い話を聞けた。

     石油はないと・・・。

     具体的な数字や、エネルギーに対する意識の変遷を知る事ができた。

     あらかじめ危機意識はあったけど、再認識する良い機会となった。

     エネルギー危機がより切迫してると知ったから。

     今まで認識していたつもりだったけど、まだ知らなかった事があり、新たな知識を得られて良かった。

 

 ○あまり変化しなかった

・元から認識していた。

・ためていた考えをすべて話してもらった感で。

・再確認といった感じ。

・既知の事が多かった。

・これに関しては以前から勉強していたため。

・事前に知っていた事が多かったから。

・やはりエネルギーは重要。

 

○まったく変化しなかった

・既知であることが多かった。

・元々認識があったから。

 

 

(3)原子力に対するイメージに変化はありましたか?その理由は?

 

大いに変化した    : 2

多少変化した     :24

あまり変化しなかった :33

まったく変化しなかった: 5

 

 

 

 

 

理由

○多少変化した

     自分達が出来る事、期待されている事がより明確になったから。

     原子力に対するイメージは、さらに人類が求めなければならないエネルギー源であるという認識が持てた。

     今まで知らなかった事が分かったから。

     企業体質に対するイメージが少々。

     理解してもらうことが必要。

     自分もシニアの年代になってもこの業界に関わっていたいと思った。

     もともとのイメージと同じ結論であった。みんながかなり楽観的であることに驚いた。

     今まで認識していたつもりだったけど、まだ知らなかった事があり、新たな知識を得られて良かった。

 

○あまり変化しなかった

・元から同じような考えを持っていた。

・元からよかった。

・思っていた通りだった。

・話の大枠は思っていた通りだった。

・すでに原子力のことは知っていた。

・再認識をできたが変化はない。

・元からあまり悪いイメージがなかった。

・既知の事が多かった。

・今まで考えていたものと変わらなかった。

・自分のイメージと大体同じでした。

・大体知ってる事だったから。

 

 ○まったく変化しなかった

・既知であることが多かった。

・元からの原子力が重要という認識に変わりはない。

・元々ある話とは大きく違いなく感じた。

 

 

(4)事前に聞きたいと思っていた事は聞けましたか?

 

十分聞く事ができた:40

あまり聞けなかった:19

全く聞けなかった : 3

無回答      : 1

まあまあ聞けた  : 1

 

 

 

 

 

 

 

(5)対話の内容は満足のいくものでしたか?その理由は?

 

とても満足した :40

ある程度満足した:19

やや不満だ   : 3

大いに不満だ  : 1

無回答     : 1

 

 

 

理由

○とても満足した

・事前に聞きたいことが聞けたため。

・いい話を聞くことができた。

・新しい話を聞くことが出来たから。

・やはり生きた経験からくる話には重みがある。

・まとめる時間が短くて大変だった。

・シニアの方々の個人的な意見が聞けたので。

・今まで知らなかった事を知る事ができたから。

 

○ある程度満足した

・ほぼ聞くだけであまり話せなかった。

・ちゃんと聞きたいことが聞けなかった。

・シニアの方の意見を聞けて、普段聞けない話を聞けたので。

・とてもおもしろく、ためになる話を聞けた。

・聞くことに精一杯になってしまった。

・諸事情により、全てに参加できなかったため。

・原子力産業を一から作り上げた方々の話が大変興味深かった。

・たくさん話を聞けたため。

・結局自分は勉強不足だ!

・現場にいた人の考えを聞けた。

・シニアの1人の話した量がもう一人より圧倒的に多かった事から。

・貴重な話が聞けて良かった。

 

○やや不満だ

     バックグラウンドに差があり、一般的な話しかしなかったため。

     シニアの席から一番遠い位置に座ってしまったせいか、話し声がうまく聞き取れなかった。シニアの席はグループの中央に取るべきだと感じた。また、学生の話す方向もシニアに対してであり、グループ全体感の討論の場として困難な部分があった。

     圧迫面接のようだった。

 

○大いに不満だ

・学生の知識・意欲不足

 

 

(6)原子力に対する関心の低い10代、20代の若年層に対する原子力広報活動はどんな方法が良いと思いますか?

     もし日本の原子力発電所を全て停止させたら・・・などといった極論を展開することにより、原子力発電がベースロードを担う中核的電源であることを理解させることが良いと思われる。また、原子力発電の安全性については、5重の防護壁を採用していることなどチェルノブイリ原子力発電所との違いを強調し、住民に健康被害が及んでいないことを再認識してもらうことが良いと思われる。

     まずは原子力について正しい知識をもってもらえるようにしっかりと説明責任をはたすことだと思います。

     学校教育改革と有名タレントを用いたPR活動が考えられます。学校教育は少なくとも15才以下の人に原子力の必要性を教えることができ、タレントによるPR活動には無関心の人も集めることができるからです。特にメディアとタイアップしてタレントがスポーツを観戦すると、観客が増えることからも有効であると言えます。

     原発に関わる人たちの明るい笑顔・やりがいがあふれる様子・・・などが是沿面にでるTV放送!

     現在の生活には、電気は必要不可欠であることを示した上で、火力、水力、原子力発電が、重要であることを示す。現在主に用いられている、火力発電は原油の輸入に依存し、CO2排出など環境にも問題がある。もっとクリーンな発電へとシフトしてある状況にあることを示し、原子力発電を教える。原子力は、取り扱いを間違えなければ、危険なものではないことを強調する。現在の電力依存を明確にするため、もし電気がなかったらというシミュレーションなどを映像化すると、とっかかかり易い。

     原子力だけではなく、それに携わった人の生き方や経験したことを話していくと良いと思います。自分のこれからと照らし合わせて考えやすいと思います。

     さんま御殿やダウンタウンDXのような若者の見るトーク番組に出演してうったえるのが良いではないでしょうか

     現代の若年層に最も密接であると考えられるメディアとして、テレビでの広報活動に力を入れる。

     実験的な授業などを行う事で、原子力にかぎらず、理科や科学に興味をもってもらうことが大事だと思う

     技術の現状やビジネス面からの話をすることでもっと知りたいなあと思う人が増えたりするのではないでしょうか

 

(7)本企画を通して全体の感想・意見などがあれば自由に書いてください。

     おもしろかった

     やはりシニアの方の言葉が精錬されていた

     自分が字が汚い。良かった。またやりたい。

     学生のディスカッションでの積極的参加が必要

以上