SNW学生とシニアの対話イン関西2009報告書

平成21年12月18日

西村 章

1.  実施主旨

2005年から続けている原子力やエネルギーに関する「学生とシニアの対話」の通算37回目で関西では4回目となる近畿大学理工学部で開催したが、近畿大学生に加えて、神戸大学、大阪大学、京都大学からも合わせて38名の学生、先生1名の参加、シニア11名、若手社会人2名、オブザーバー2名、合計54名の参加があった。

 

2.  対話の目的

今回の対話では、事前に学生から出されたテーマが高レベル廃棄物処理地層処分の立地問題企業としての利益追求と安全性の両立について、核不拡散、軍事転用といったかなり難しい課題が多く、これまでより深い議論が期待された。

対話の仕方についても、関西の4大学、B1からM2と混成だったのこともあり、今回は、いくつかの試みを実施した。一つは、対話の開始前にグループごとに学生だけ集合してもらい、約30分間、お互いの紹介やどういう質問やサブテーマをどういう順番で誰が意見を言うかなどを相談してもらった。また、グループ対話においては、ファシリテーター(FT)を学生幹事からの要望でシニアが担当し、リーダーは学生代表が分担した。サブテーマと纏めはリーダーが、全員が意見を出し合うという議論の活性化し双方向化する努力をFTが分担した。

また、東京都市大学羽倉氏にお願いして、以前に学生時代に対話を経験された2名の若手社会人にもシニアと学生を繋ぐ意味で、参加してもらった。オブザーバーとして参加して頂いたNPO元気ネット事務局長の鬼沢様にはご講演頂くとともに、ファシリテーターとして対話に加わって頂き、高レベル廃棄物地層処分の国民理解活動のワークショップを関西でも開催する為の人的ネット(近大、関原懇)構築の一助として頂いた。

 

3.  対話の状況

(1) 開催日時: 平成21年10月31日(土)

13:00-13:15               開会挨拶及び司会:学生幹事、正木 基夫(近畿大学)、

参加シニア&オブザーバー紹介:SNW西村 章

13:15-13:45  基調講演「政権交代と原子力の今後」:SNW金氏 顕

13:45-13:55  「NPO持続可能な社会をつくる元気ネット」紹介:鬼沢 良子事務局長

14:00-17:00  グループディスカッション及び成果発表・質疑

17:00-17:30  講評、閉会挨拶:SNW山崎 吉秀

17:45-19:30  懇親会(学生、教授、SNW、オブザーバー、若手社会人参加) 於:近畿大学食堂

なお対話に先立ち11:10より近畿大学の原子力施設等を含めた原子力展を見学させて頂いた。

 

(2) 会場: 大阪府東大阪市 近畿大学理工学部33号館

(3) 参加者:  合計54名

(a) 学生 38名、教授 1名

近畿大学:環境・エネルギー工学、電気電子工学、量子エネルギー工学他16名、渥美教授も懇親会へ参加

学生連絡会副委員長:正木基夫(今回の学生幹事)

神戸大学:環境応用計測化学科、量子ビーム工学研究室から10名

大阪大学:システム量子工学、環境エネルギー工学から10名

京都大学:原子核工学から2名

(b) SNWシニア 11名:石井陽一郎、金氏顕、嶋田昭一郎、高野元太、寺澤倫孝、土井彰、西村章、益田恭尚、松岡強、山崎吉秀、若杉和彦

(c) オブザーバー 2名:鬼沢良子(NPO持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長)、西川佳秀(関西原子力懇談会事務局長)

(d) 若手社会人 2名:梁瀬久史(MHI)、鈴木将(MHI)

(4) 対話グループのテーマ

Gr1:高レベル廃棄物処理地層処分の立地問題

Gr2:企業としての利益追求と安全性の両立について

Gr3:今後のエネルギー問題

Gr4:核不拡散、軍事転用

Gr5:原子力が社会に受け入れられるには

Gr6:日本のエネルギー教育の問題点と解決策は

 

(5)   実施内容

(a) 基調講演

「政権交代と原子力産業の今後」:金氏 顕氏

1.     民主党のエネルギー政策

2.     今後の我が国の原子力発電、核燃料サイクルと原子力産業

について簡潔に分かり易く話され、最後に原子力プラントとエンジニアに求められる資質、企業にとって魅力の若者、勝者の理論と敗者の論理が紹介された。

 

(b) NPO持続可能な社会をつくる元気ネット」紹介:鬼沢 良子事務局長

3年前から電気のゴミについて各地でワークショップを開催、一般の方々への理解促進活動を進めてきた。

11/21には鹿児島でもワークショップを開催し、今後9地域で開催予定。今まで、反対派との対立の場があったが、この2年間で変わってきた。先ず、既に原子力のゴミは出ていることを理解していただいてから対話をお願いし、議論を展開してきた。9月の東京ではかなり深みのある議論が出来たと思う。

 

C) 各グループでの対話及び、発表での質疑

各グループとも事前に質問や話したいことが学生からシニアに伝えられ、かなりの部分については事前に回答が作成されて学生にも提示された。従って、疑問のかなりの部分は回答が示されたことを前提として議論が開始された。

 

Gr1:高レベル廃棄物処理地層処分の立地問題

メンバー

松岡 強   

シニア(エナジス(株)顧問、前同社社長、元三菱重工業)

鬼沢 良子

オブザーバー(NPO持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長)

鈴木 将

若手社会人(三菱重工業原子力プラント技術部)

浦城 翔太

神戸大学

B4

環境応用計測科学研究室

荒井 翔平

神戸大学

B4

粒子ビーム工学研究室

横山 和也

大阪大学

D2

環境エネルギー工学専攻

中山 佳佑

近畿大学

B3

環境・エネルギー工学コース

船越 航平

近畿大学

B1

電気電子工学科

 

主な議論

・鬼沢良子様が自費で行かれたスウェーデンとフランスの最終処分場見学の経験談等、本やネットでは知ることのできないことを知ることが出来た。

・一般の人が放射線を恐ろしがるのは、実際には目に見えないからで、放射線に関する教育を子供の頃からするべき。

   原子力の必要性や一般の人の疑問に答えることで原子力に対する信頼を得る。

住民の高い支持を得られたスウーデンやフィンランドを見習う。

 

発表時のQ&A

Q:一番知って良かったことは?A:地層処分場が地震上大丈夫かが心配だったが、数百万年単位で安定していることを聞き大丈夫と思った。

 

Gr2:企業としての利益追求と安全性の両立について

メンバー

石井 陽一郎  

シニア(元東電原子力開発研究所副所長)

益田 恭尚     

シニア(元東芝原子力事業部役員待遇首席技監)

佐々木 雄基

神戸大学

M1

粒子ビーム工学研究室

三芳 侑記

神戸大学

B4

粒子ビーム工学研究室

宮田 隆永

神戸大学

B4

環境応用計測科学研究室

加藤 翔

大阪大学

B4

システム量子工学領域室

澤野 弘幸

大阪大学

B4

システム量子工学領域室

足立 佳代

大阪大学

B4

システム量子工学領域室

久森

大阪大学

 

主な議論

・学生の中には電力会社を国策会社―国の補助を受けていると思っていた。純粋民営。

・学生の関心事項

@      アジア圏への原子力企業参入

A      原発1kWhあたりのコストは正しい?リスク」を考えるもっと高いのでは?

B      原子力機器、鉄加工は利益を考えてもリスク代?お金以外の利益は他にある?

以上につき「企業としての利益追求と安全性の両立について」として、両立についてどう考えるか、安全性とは何か、企業はどうあらねばならないか説明

・安全を無視して企業は成り立たない。原子力は他の産業にくらべ際立って安全。

・利益追求と安全性は両立する。この件は学生側の最関心事項で最後のまとめ報告にももられた。

 

発表時のQ&A

Q1:企業とは、電力を指すか、メーカか?A1:どちらも考えた。

Q2:発電所の解体や地層処分を考えても原子力は安いのか?A2:その通り。

Q3:お金以外の利益とは?A3:責任感、社会貢献、企画から納品まで全て関わる人達のやりがい。

Q4:原子力は他産業と比べた安全度?A4:原子力の安全度は高い。

 

Gr3:今後のエネルギー問題

メンバー

土井 彰     

シニア(元日立理事エネルギー研究所長)

山崎 吉秀 

シニア(元電源開発副社長、元関電専務)

梁瀬 久史

若手社会人(三菱重工 神戸造船所 品質保証部)

里藤 裕隆

神戸大学

M1

環境応用計測科学研究室

深尾 裕亮

神戸大学

B4

環境応用計測科学研究室

清水 基弘

近畿大学

B4

プラズマ工学研究室

久貝 拓也

近畿大学

B3

環境・エネルギー工学コース

葛西 剛寛

近畿大学

B3

環境・エネルギー工学コース

成末

京都大学

M1

 

 

主な議論

   技術的には、発電方式それぞれに長所短所がある。

   一方で原子力では国民の理解、水素では水素ステーションのインフラ整備というように問題がある。

   技術開発のみでなく教育を含めた社会システムの充実も必要。

 

発表時のQ&A

Q1:発表中に飛行機に水素を使う話は出ていなかったと思うが?A1:確かに出ていなかった。発表を訂正する。

Q2:水素がエネルギー問題を解決する?A2:エネルギー供給源の一つとして水素がある。電気の代わりとして水素はあるが、原子力に変わるものではない。電気だけではCO削減に限りがあるが、水素の熱源としての利用他でCO2を減らせる。

 

Gr4:核不拡散、軍事転用

メンバー

金氏 顕    

シニア(三菱重工特別顧問、元常務機械事業本部長)

嶋田 昭一郎

シニア(元三菱重工炉心設計部長、NDC取締役研究部長)

松岡 祐作

大阪大学

M1

システム量子工学領域室

東村 博巳

大阪大学

B4

システム量子工学領域室

奥出 元気

京都大学

M2

原子核工学専攻

増田 正祉

近畿大学

B2

環境・エネルギー工学コース

東野 早希

近畿大学

B1

電気電子工学科

下邨 広元

近畿大学

B4

エネルギー工学研究室

西尾 和晃

近畿大学

B4

エネルギー材料研究室

 

主な議論

・原子力の平和利用は続けなければならないが、一方核兵器拡散さらには廃絶することは国際政治的に難しいのが現実である。

・非核3原則についても「核を持ち込ませず」を明言すべしとの意見と現状のダブルスタンダードを容認するという意見とに分かれた。

・我が国が核兵器を持つことは全員が反対だが、米国の核の傘に依存している状況では矛盾するのではないか、との意見も出された。

・我が国が原子力プラントを輸出する場合、軍事転用を防ぐ手段として二国間取決や燃料国際管理などのやり方もある。

 

Gr5:原子力が社会に受け入れられるには

メンバー

高野 元太    

シニア(原子力サービスエンジニアリング(株)特別参与)

若杉 和彦

シニア(元原子力安全委員会技術参与、元JNF,元東芝)

梶原 將司

神戸大学

B4

環境応用計測科学研究室

海部 俊介

神戸大学

B4

環境応用計測科学研究室

竹内 崇志

大阪大学

M2

システム量子工学領域室

川畑 智之

近畿大学

B3

環境・エネルギー工学コース

森井 義和

近畿大学

B3

環境・エネルギー工学コース

松本 裕之

近畿大学

B3

環境・エネルギー工学コース

岡本 貢

近畿大学

B4

量子エネルギー工学室

 

主な議論

・市民に正確な情報を伝えるためには、教育、法制度、広報、実体験。

・今後、不適切な報道に対しては、マスコミへの抗議。周囲の人にも原子力を伝える。自分の頭で考えられるようにする。

 

発表時のQ&A

Q1:原子力により利益を得ている大都市と放射性廃棄物の処分場のような負の負担をしている関係の見直し?

A1:低レベルの廃棄物だったら大都市にも置けるのでは。

 

Gr6:日本のエネルギー教育の問題点と解決策は

メンバー

寺澤 倫孝

シニア(兵庫県立大学名誉教授、元東芝原子力技術研究所)

西村 章    

シニア(グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン理事)

森本 彰

神戸大学

B4

環境応用計測科学研究室

青柳 嘉一

大阪大学

B4

環境エネルギー工学専攻

杉浦 寛和

大阪大学

D1

システム量子工学領域室

正木 基夫

近畿大学

B4

電子計測工学研究室

山口 祥英

近畿大学

B1

電気電子工学科

日置 昌吾

近畿大学

B3

環境・エネルギー工学コース

 

主な議論

   若年層へどう伝えるか・・・初等教育、大学教育での原子力・エネルギー教育。

   一般の人に原子力の重要性をどう伝えるか・・・定量的に安全、重要性を説く。

   教材を作る。先生への教育。実際に現場を見てもらう。マスコミへの教育。実証を元に安全を知ってもらう。

政治も大事。

 

発表時のQ&A

Q1:マスコミに対する講義はやっているか。A1:教育はやっている。また不適切な記事に対する抗議や指導をやっている。

Q2:原子力は怖い物という所から始めるのか?A2:このように対策していることをきちんと説明するべき。

 

(d) 総評(山崎吉秀氏)

会場入り口にしっかりした看板を作ってくれて、気合が入っていた。活発な議論がなされた。Q&Aを事前に送ってもらって役立ったが、せめて1週間くらい早く送ってもらえればよかった。

各グループでの対話の中身が消化不良の点があるにしても、結構深掘りされていたなと感じた。

Gr1では、高レベル廃棄物処分の立地問題で地震に本当に大丈夫か。Gr2では安全第一が収益につながるのかという議論で安全を通り越して安心までも追求がなされていること。Gr3では、今後のエネルギーが伸びてゆくのに対し、今のままでは無理。原子力も水素もプラグイン自動車も水素も総動員。Gr4では原子力平和利用と非核3原則などに深いところまで議論して頂いた。日本にとってエネルギーは海外依存度も高く、これを捨て置いては先に行けない。皆さんが今後どうして行くべきかのヒントを得てもらえれば幸い。

 

(e) 学生連絡会の紹介(正木 基夫氏)

学生連絡会副委員長の正木基夫(今回の学生幹事も勤められた)氏より、学生連絡会の紹介、現状の説明がなされた。

 

6.学生アンケートの結果

(1)基調講演については、これからの日本の政治および原子力の将来が分かる講演だったということで、ある程度満足を含めると全員に満足され好評であった。

(2)対話の内容については、原子力の様々な疑問についてシニアにもぶつけ、他大学の方々とも議論でき有意義であり、

今回は聞きたいことが十分聞けたという回答が86%に達している。事前に質問に対する回答を用意して行ったのも奏功しているようである。

今後については、2/3の学生が、もっと自分達の知識を増やしてから対話に参加したいと考えている。

(3)ただし、まとめの時間が短くてせっかくの濃い内容が上手く伝えきれないという意見も出された。

(4)最後にグループに関係なしに質問コーナーが欲しい。学生のみの話し合いの時間をもっと取るべきという意見も出されており、今後の参考になる。

詳細は添付資料1に示す。

 

7. 感想

シニア、オブザーバーの鬼沢氏、学生幹事の正木氏、若手社会人の鈴木氏他多くの方々から感想を送って頂いた。

詳細は添付資料2に示す。

 

8.    当日の風景写真

 

           

会場となった近畿大学                             立派な案内看板    

  

学生幹事の正木さんによる開会                    金氏氏による基調講演

 

     

    鬼沢氏による元気ネットの紹介

 

   

     学生とシニアとの対話風景(1)                     学生とシニアとの対話風景(2)

 

   

学生とシニアとの対話風景(3)                  学生とシニアとの対話風景(4)

 

   

        学生の発表風景                         懇親会の風景(1)

 

  

懇親会の風景(2)                      近畿大学の原子力施設見学風景

添付資料1

SNW学生とシニアの対話イン関西2009 学生の事後アンケート結果

 

 

2009/11/11

1. 対象

 

参加学生

39

 

 

回答数

36

 

 

原子力系

23

 

 

非原子力

5

 

 

無記名

8

 

 

2.アンケート結果

 

講演の内容は満足のいくものでしたか?

 

 

 

 

とても満足した

24

ある程度満足した

12

やや不満だ

0

大いに不満だ

0

 

 

対話の内容は満足のいくものでしたか?

 

 

 

 

とても満足した

25

ある程度満足した

11

やや不満だ

0

大いに不満だ

0

 

 

事前に聞きたいと思っていたことは聞けましたか?

 

 

 

 

十分聞くことができた

31

あまり聞けなかった

3

全く聞けなかった

1

 

 

 

「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?

 

 

 

 

非常にある

27

ややある

8

あまりない

0

全くない

0

 

 

今後、機会があれば再度シニアとの対話に参加したいと思いますか?

 

 

 

 

まだまだ話したりないので参加したい

6

もっと知識を増やしてから参加したい

24

十分話ができたからもういい

2

二度も必要ないと思うからもういい

0

 

 

 

 

 

 

その他

0

 

 

 

エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?

 

 

 

 

大いに変化した

4

多少変化した

12

あまり変化しなかった

17

まったく変化しなかった

1

 

 

 

 

原子力に対するイメージに変化はありましたか?

 

 

 

 

大いに変化した

4

多少変化した

12

あまり変化しなかった

13

まったく変化しなかった

4

 

 

 

 

3.アンケートに対するコメント

エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?

原子力系

・自分の老後の事を考えると、今から動かないといけないことがわかったので。

・以前からかなり認識していると思っている。

・以前から講義等で聴いていたから。

・エネルギー教育中心の内容であったため。

・元々、危機認識はあった為。

・その話はあまりしなかった。

・石油等が騒がれているが、原子力発電に使用される燃料も少なくなっているの事はわかっていたので、エネルギー危機に関してはあまり認識しなかった。

・あまりそのような話にならなかったので。

非原子力系

・エネルギー問題に対しては以前から、注目していたが様々な方がこの問題に取り組んだことを知ったから。

無記名

・シニアの方の影響。

・前々から危機感を持っていたから。

・ある程度、自分の考えを持っていたから。

・元々、危機感を持っていたので。

原子力に対するイメージに変化はありましたか?

原子力系

・もともとのそのイメージを持っていたから。

・参加前からさほど抵抗感がなかったため。

・原子炉の耐震性については非常に参考になった。

・核兵器の話題が多かったので、それほど原子力とあまり関わらないのではないかと思いました。

非原子力系

・原子力は以前から必要不可欠だと思っていたから。

・議論していない。

無記名

・私は、原子力推進派なので、ただし自分の考えを確かめれたのがよかった。

・シニアの方々の話しから原子力が非常に安全であることがわかった。(管理や法律などにおいて)

・最後の発表。

・処理方法のこと

原子力に対する関心の低い10代、20代の若年層に対する原子力広報活動はどんな方法が良いと思いますか?

原子力系

・イベントなどの面白、可笑しく広報活動

・原子力に関する教育を行うのが一番だと思うが、個人で考える力をつけることも大切だと感じた。

・地道に伝えていくこと。

・今回の様な対話や原子力に関する授業を増やす。

・より身近に、また端折った説明による“子供だまし”で終わらないようコンスタントに発信していく必要があると考える。その為にまず適した媒体を選定する必要がある。(ネット、CMなど)

・小学校から段階的に教育・教師一人一人にセミナーなどに参加させる。

・教師の意識改革がそれにつながっていくと思う。(特に10代に対して)

・講演会等で、安全やエネルギー、二酸化炭素等の問題を教えていくべきだと思います。

・一ヵ月電気なしで生活させる。

・学校教育。

やはり教育方法を改めるべき。

・学校での教育

TVやCM

・テレビ報道やエネルギーについての各自の話し合い。

・大学生による実験教室。

・証拠を提示した上で、説明を行う。

・マスコミ

・公立学校で教える。電気の使い方を教えるなら、電気の成り立ちも教える。

非原子力系

CM、番組、授業。

・視覚的に伝える。

・原子力ガール、年少時からの教育、TVCM、大都市に原発を建てる。

・義務教育で原子力の見学などをすべきだと思う。

・小学生くらいの子でも楽しんで見学出来る施設をつくる。

無記名

・興味を持ってもらう。

・学生+教育者に教育する。

・まずは大人から。

・義務教育の段階で原子について勉強は行くことが重要と思います。

・若手層が行きそうなイベントと一緒にやる。

・安全性、エネルギー危機をもっと教えるべき。危機感を持たせないとダメだと思う。

・自分の身の周りからでも原子力に対して知ってもらう。

・できるだけ詳しくした方がいいと思う。

 

本企画を通して全体の感想・意見などがあれば自由に書いてください。

・原子力は安全性と利益の両面ですぐれているということがよく理解できた。

・シニアの方と話す機会が全くないので経験したことや現状が聞けて大変参考になった。また、自分が思いもしなかった視点からの話が聞けて非常に良かった。

・普段聞けない内容だったので非常に有意義な時間でした。

・シニアの方が具体的にどう考えているのか、又実際に現場ではどのような事を行っているのかを聞けて知識が深まった。班の発表でも同じ意見が多く出ていたので、まず初めに行っていくべき事は決まった気がします。

・原子力発電を行なっていくにあたって最も大きな問題は一般の方にどれだけ理解してもらえるかであるので、伝え方を考えていくことが重要だと感じました。

・学会発表やポスターより、近い目線でお話や議論でき、非常に新鮮で面白かった。

・貴重な意見を伺って大変勉強になりました。1つのテーマに対しても、各シニアの先輩方の種々な意見、考えを学べて良かったです。ありがとうございました。

・シニアの方々の意見を聞き、それに対して思う事、感じる事を質問できるのは貴重な体験だと思いました。質問の内容はまとを得てないようなものばかりだったかもしれませんが、しっかりとした返答、理解が深まる内容を頂けました。

・非常に有意義な時間を過ごすことができました。討論内容を発表することについては疑問。

・対話の内容をまとめる時間をもっととってほしい。

・まとめの時間が短か過ぎると思います。せっかく内容の濃い話ができてもまとめの時間が少ないと話の内容が上手く他の人達に伝えられないと思いますし、誤解も生じます。もう少しまとめの時間を増やしてくれたら、今後、良いまとめの発表ができると思います。

・最後にグループ関係なしの質問コーナーが欲しいと思いました。

・班の決め方、資料の配布など準備が遅い。

・部屋が狭い(話が聞き取りにくい)

・テーマの希望が通っていない。

・学生のみでの話し合いの時間をもっと作るべき、机の距離が近く話が聞き取りづらい。

 

 

添付資料2 感想(順不同)

学生幹事 正木基夫(近畿大学)

 私は、今まで2回対話に参加しました。’07年に行われた近畿大学と’08年に行われた大阪大学の対話です。また07年の対話では、近大幹事の補佐の元、対話運営に携わってきました。

今回、自分が対話運営を行うと決まった時は正直、不安でありました。

でも、SNW世話役の金氏様、西村様、松永様、渥美先生、各大学の幹事の皆さんのおかげで今回の対話は無事に成功できたと思います。誠にありがとうございます。

毎回、イン関西の対話は3部構成をおこなっており今回も3部で提案致しました。今までだと1部は原子炉見学でしたが、少し違う事を行いたいという考えの末、なるほど原子力展見学を行なった次第です。しかし、参加人数の手等の準備に関する時間配分をもう少し考えておかなかったのが原因で参加人数がギリギリになるまで決まらなかったという最悪の事態になってしまいました。これは学生幹事の私に責任があります。誠に申し訳ありませんでした。

この経験を生かして、今後努力していきたいと思います。

最後に、ご参加頂きましたシニアネットワークの皆様、誠にありがとうございました。


学生 奥出元気 (京都大学)

 今回の対話は、私にとって非常に有意義なものになりました。私は第3グループで「核不拡散・軍事転用」について議論したのですが、大学で再処理の研究をしている身としてはこのテーマは避けては通れないものです。非常に難しい問題で正解を出すことは出来ないようなテーマですが、それを前提とした上で、学生、シニアを問わず自由に議論を進めることができました。

金氏氏の政権交代と原子力の今後に関する講演も私にとって非常に有意義なものになりました。原子力産業は多かれ少なかれ政府が舵取りを行っているので、政府が原子力に対してどのような立場を取っているかは、原子力に携わる人にとって無視できない関心事であると再認識しました。

 反省点として、京都大学の学生幹事として京都大学からの参加者を集められなかったこと、グループリーダーとして全ての参加者に満遍なく意見を言ってもらうという配慮に欠けていたこと、が挙げられます。この反省を、今後の参考にしていただきたいと思います。

 最後に、学生幹事のリーダーを務めていただいた正木基夫さまに深く感謝いたします。

 

学生 里藤 裕隆 (神戸大学)

この度は、学生とシニアの対話の会を設けて頂き誠にありがとうございました。知識豊富なシニアの方々と対話することができ、私自身非常に勉強になりました。私は、グループ3の学生リーダーをさせて頂き、「今後のエネルギー問題」について議論を行いました。研究室では放射線計測の研究を行っており、対話の中では、他大学の学生達に比べて、基礎的な質問を行ってしまったと感じております。しかし、そのような質問に対してもシニア並びに若手研究者の方々から一つ一つ丁寧なご返答を頂き、臆することなく自分の意見を述べることができました。二時間という短い時間ではありましたが、和やかな雰囲気の中討論が進み、皆さん活発な意見交換を行えたのではないかと感じております。また、参加した神戸大学の学生からも「参加して良かった」、「原子力により一層興味を持った」といったご意見を多数頂きました。学生にとって、大学で研究を行っているだけでは、企業の方々と対話する機会はありません。このような意見を伺うことができたことからも、この度の会を開催した価値があったのではないかと私自身感じております。一つ心残りがあるとすれば、シニアの方々と学生が対話した内容を発表する際に、私が要点を上手くまとめることができなかったことです。修士になり国内外の発表を行っているにもかかわらず、対話内容を要約できなかったことは、反省すべき点であると感じております。

この度の対話を通して、私が感じたことは、今後CO2削減を目指すために大きく貢献できる安定したエネルギー供給源は原子力であるということです。しかし、エネルギーの大半を原子力に頼る時代になると、世間の目は、より一層原子力発電の安全性に対して厳しいものになると考えられます。現在の原子力に対する世間の間違った考えを変えていくこと、化石燃料枯渇に伴う新たなエネルギー源の開発は、これからを生き抜く若い世代の重要な役目であると対話を通して感じました。またそれに伴い、私が研究を行っている放射線の計測も原子力の世界を支えるうえで重要な役割を担うと思います。それらの思いを胸に、今後の研究活動に取り組んでいきたいと思います。

懇親会では、シニアの方々からお声を掛けて頂いたうえに、今後の研究活動に対する激励のお言葉を頂き、私自身励みとなりました。有難うございました。

「シニアとの対話2009 in 関西」において、有意義なご意見を頂きましたシニア及び若手研究者の方々並びに学生達の総指揮を行って下さいました近畿大学正木 基夫様に謹んで感謝申し上げます。

 

若手社会人 鈴木将

原子力学会の組織であるシニアネットワークが主催で、関西の原子力系の学生との対話会が行われた。会の形式としてはじめにシニアからの基調講演があり、その後シニア2人、学生6人の8人ほどのグループ6つに別れ、事前に決められたテーマでディスカッションが行われ、最後に学生による各班の発表がされた。今回、就職して原子力若手としての参加ということでのグループ討論の流れ、感想、改善点を記載する。

私の班では高レベル放射性廃棄物の地層処分をテーマに話がされた。まず学生は自己紹介と質問したいこと、シニアは過去の経験を話した。テーマの問題点として2つ、技術的な問題と立地地域との合意形成について話が進んだ。技術的な問題は学生からの事前質問がまとまっていたのでそれに対する回答がシニアの松岡さんからされ、概ね了承された。合意形成の問題では鬼沢さんが自費で海外に行き現地の雰囲気を見てきた話が話された。フランスでは原子力の情報を一度海外に出してから公開し公平性を保っている話、スウェーデンの地層処分担当職員は買い物の最中でも質問をされるので24時間仕事中と考えている地域密着型の広報など他国の現状が話された。

対話の感想として学生は概ね満足していたように見受けられる。わかりやすい例を使って知りたい、否定的な部分も知りたい、という学生の要望に、海外の事例や、過去は海に処分を考えていた話など回答がされた。ファシリテーターの鬼沢さんが学生に専門を選ぶことになった動機について質問をするなど学生も加わりながら話をすすめた。

改善点としてより学生が話せる場にする必要性があると感じられた。原子力のテーマについて経験豊かなシニアの話が主になるのは当然だが、学生に質問を投げかけると驚くほどしっかりとした意見を話してくれた。シニアから学生に、その専門を選ぶことになった動機、周りの原子力に対する姿勢はどうか、など聞くことでより良い会になると思われる。

 

オブザーバー 鬼沢 良子

大変いい経験ができた1日になりました。ありがとうございました。

全国各地で放射性廃棄物の地層処分に関するワークショップを運営してきて、今回の学生だけの対話集会には、今、原子力や放射線を学んでいる学生さんから、どのような質問や意見が出されるのか大変興味がありました。

自己紹介をかねて一巡し、質問は、事前に出されていて、それに対して専門的立場の松岡様が回答を用意されていたので、説明いただいた。

技術的質問に対しては、資料もあったためか、再度の質問がなく、学生の皆様にたくさん発言いただくように「なぜ、この分野を専攻されたのか」を聞いてみました。小学校の先生の一言がきっかけだったりで、おもしろかったです。

事前の質問項目にもあった、合意形成について意見を出し合ったが、あまり活発な意見交換にはならず、私が夏に訪問したスウェーデンとフランスの紹介をして、少し話しすぎたと反省しています。

学生の皆様は、事前準備もされるなど大変熱心でしたが、聞く側になってしまい残念でした。もっといろんな意見や感想を聞いてみたいと思いました。

ぜひ、大阪地区で今回の学生や市民の参加によるワークショップを開催してみたいです。学生幹事の方々、いかがでしょうか?検討ください。

 

シニア 石井 陽一郎

年に一度の原子力展でにぎわっており、出席学生数は当初の30名そこそこから40名になったことはよかったことの一つである。

民主党政権になって初めてとしての金氏氏の冒頭レクは時宜を得たものであろう。

われわれの第2Gの関心事項は「企業の利益追求と安全性の両立」、「原子力発電のKWHのコストはほんとに安いのか、リスクを考えたらもとかかるのではないか」はよいポイント。

・冒頭 学生は電力会社を国策会社―国の補助を受けているーと思っていた向きもいた。シニアは純粋民営なることを簡単に説明。こんな所にも誤解があるものだ。

・別紙「1kWhあたりの電源別発電コスト」により説明、学生は原発のネガチブな情報に接する機会も多く、最初原発には大分サンクコストがあると思っていたようだがかなり氷解されたと思う。

・JCOの中性子被爆 で死亡者まで出た、会社はつぶれた。国際的にはTMI2号(73年米)、チェルノブイル4号(84年ソ連)の炉心事故によりどれだけ長期間、大規模な損害がでた。安全を無視しては企業は成り立たない。原子力が他の産業にくらべ際立って安全なことを、別図「安全確保の仕組」で説明、別図ラスムッセンの自然災害、人災と原子力のカーブ(1970年代WASH1400)および全米原因別死亡リスクから原子力が他の産業に比べ際立って安全なことを強調した。放射線についての誤解として、放射能のベクレルで数値だけは大きいベクレルで発表、人間に対してはシーベルトで言わなくてはいけない。

・利益追求と安全性は両立するかについてるる話し合い、両立するとの大方の学生の返事を得た。この件は学生側の最関心事項で最後のまとめ報告にももられた。二次会を通じ有意義な日を送った

 

シニア 金氏 顕

私の今回の世話役としての感想などを以下にお送りします。 

1.  関西@近大での対話は2年ぶり、学園祭開催中であり、しかも1か月前で参加学生は22名と予定の36名より少なく心配したが、近大幹事の頑張り、阪大と京大の先生への支援お願いなどにより最終的には4大学から40名の学生が参加し盛況となった。結果は良かったが、もっと1カ月早く準備を開始すべきだったのが反省点。

2.基調講演テーマは学生提示の全体テーマ「これからの原子力」に合わせて、今回の政権交代で原子力の将来がどうなるか、をテーマとしたが、熱心に聞いてタイムリーであったと思います。時間は当初予定の45分を30分とし、また開会あいさつなど出来るだけ簡素にし、グループ対話時間を出来るだけ多く、結果的にはまとめを入れて2時半半になり、良い時間配分になった。

3.グループ対話ではシニアがファシリテ―タ―を務め、リーダーは学生が務めたが、こういう役割分担も旨く行ったと思います。

4.私は第4グループ、テーマは「核不拡散、軍事転用」、難しいテーマでしたが、正解は無いので学部1年生から修士2年生、そしてシニアまで、皆がほぼ均等に意見を出すように促して、適宜シニアが補足説明し、良い対話になったと思います。

5.  会の準備、進行は近大幹事の正木基夫君が一生懸命に行い、ご苦労様でした、きっとプロジェクト推進の良い経験になると思います。原子力展の見学も含め万全でした、渥美先生のご指導もあり、有難うございました。

6.  参加した学生は、原子力の研究や産業に夢と希望を持ってくれていることが7月の北海道でも9月の九州でも、今回の関西でも窺えて、我々のこの活動も夢や目標だけでなく、今回のように具体的な課題や将来の問題に一緒に考えていくようにしていく形にして行く必要があると感じた。

7.今回、東京都市大羽倉さんにお願いして、関西在住の対話経験学生OBに参加を呼び掛け、3名が参加(内1名は前日に盲腸炎の為に欠席)した。過去の対話会に参加した経験者であり、彼らにとっても学生にとっても、またシニアにとっても彼らの成長が窺えて、非常に有意義だった。初めての試みだったが、今後も出身校での対話会や在住地での開催にはYGNにお願いして参加を呼び掛けたい。

8.松田美夜子原子力委員の紹介により、NPO元気ネット事務局長の鬼沢さんもオブザーバー参加していただき、対話ではファシリテーターもやっていただき、有難うございました。元気ネットは高レベル廃棄物地層処分の市民との対話WSを全国各地で開催予定、関西は未定だったが今回の対話会で関西原子力懇談会や各大学の学生たちと知り合いとなって、関西で開催する切っ掛けが出来たのは良かったと思います。

 

シニア 嶋田 昭一郎

金氏氏の基調講演『政権交代と原子力産業の今後』は時期を得た内容で説明も明快で非常に良かった。また、第4グループの議題に関係深いものであった。

参考資料として「今後のわが国の」原子力発電、核燃料サイクルと原子力産業」を金氏氏が配布した。私は質問のうち、第1と第2についてはショートメモを作成し、配布していただいたはずであるが、配布が遅かったのか、学生が事前に読んでいた様子はなかった。

まず、FT金氏氏からA4の紙を各人にはいふして、3分割して、1.名前、2.本対話に期待すること。3.原子力への思い。を書く様指示があり、まずその作業を行い各人が自己紹介を兼ねて内容を紹介した。核兵器を保持すべきか否かに関心が深いのに多少驚いた。

核兵器を持つことは、原子力平和利用の技術を築いてきたわが国の努力が外国からの圧力により、維持できなること、わが国は平和利用に徹するべきことを理解してくれたようであった。まとめの発表は今回学生の発言を重視し、まとめを自主的に行わせたようすが伺えるものであった。

懇親会での最後の挨拶にわれわれ第4グループのB1の平成生まれの女子学生東野早希さんが「わたくしのようなものまで発言させてもらい、意見を聞いていただいたことに感謝します。」と感想を述べていただいたように、FTの努力で学生の発言を多く出来たことは成功であったと思う。

近畿大正木君の準備が行き届いて折り、参加学生の数も多く、対和会がスケジュールどおり進行し、懇親会への学生の参加も多く、対話の議題以外のテーマについても話し合うことfができ、充実した対話会であった。 

金氏氏の基調講演に続いて行われた、『NPO持続可能な社会を作る元気ネット』の鬼沢良子事務局長氏の紹介もこのような女性の団体が活躍していること知りよかった。

私自身も刺激を受け、これからの原子力会を担う若者と接することができ、彼らの考えを知り、参考になった。

 

シニア 高野 元太

全体運営につきましては 午前中の見学、午後の基調講演、グループ討議と非常に良かったと感じます。学生さんの参加も4大学から38名と多く、またその内訳も学部3年から博士2年までと幅広い階層で申し分ありませんでした。学生幹事の御努力に敬意を表する次第です。

私はグループ5“原子力が社会に受け入れられるには”の討議に参加しました。

このグループでは“エネルギーに対して興味を持ってもらうには”、“国民全員が原子力について知識を得るには”、“民間の原子力に対する意見と原子力関連の人々との温度差”、“マスコミの原子力関連ニュースの取り上げ方、仮に誤りがある際の是正点”、“原発建設の際の住民への説明内容”、“CM等で訴えられている原子力の重要性、廃棄物処理の必要性をもっと社会に広めるには”等について討議いたしました。シニアは学生さんの質問に対し、自分の経験および過去の対話例をベースに回答致しました。ただし、私は初めての参加であり、十分にグループ討議をサポートできなかったものと反省しております。

学生さんは私共の回答も参考にされて、“学校教育(小学校から大学まで)の実施”、“法律により安全性が確保されていることの理解”、“広報を上手にやる事”、“展示館等を活用してもっと皆に体験させる事” が民間の方に理解してもらう為に必要。 そして、今後のアプローチとして “誤った報道に対してはマスコミへの抗議を根強く行う”、“周囲の人に原子力をよく知って貰う”、“原子力ありきではなく、自分の頭で考えて、どのエネルギーが良いか考える”と取り纏められました。皆さんの理解が深まり、良い討議が実施できたものと考えます。

反省点・改善点として気付きますのは次の点です。 このような質問に答える方式では ともすれば学生さんからの質問にシニアが答えて終了となりがちです。シニアの答えに対して さらに学生さんが質問し、またシニアが答えて連鎖反応的に参加者全員が意見を述べ合うような工夫、テーマ選定が重要と感じました。シニアと学生さんとでは経験の差、知識の差があるために、シニアの回答に 学生さんは次の突っ込んだ質問を し難いものと考えられます。どうすれば良いか考えたいと思います。

 

シニア 寺澤 倫孝

1.     大勢の若い学生が対話に参加してくれ原子力エネルギーについて議論できたことは有意義なことだったと思います。このような試みが原子力エネルギーの将来の展開に有効に繋げられることを期待します。

2.     予め学生の質問を出してもらったことは、彼らの興味、知識、感じていること、思っていることを事前に知ることができ、当日の議論を進めるうえでおおいに有効でした。

3.     第6グループ(テーマ:日本のエネルギー教育の問題点と解決策)の対話に参加しましたが、予め出された質問は(1)エネルギーに関心を持ってもらうには?(2)教育の現状は?(3)原子力の安全性はどうしたら納得してもらえるか?

に要約できるので、これに対する回答を中心に対話しました。

4.質問(1)については、「大人にとっては、温暖化、CO2問題、原油コストの変動・高騰、資源輸入の難しさ、など今やエネルギーは避けて通れない問題となっているため意識しないわけにはいかない。子供にはこのことを日ごろの日常の接触のなかで、家庭、学校で取り上げていくことが重要です」と答えたが、どうしたら親子あるいは先生と生徒の間で充分な接触を取れるかをもっと議論するべきだったと感じています。

5.     質問(2)については、「小・中学、高校で教育に携わる教員候補の学生が大学で原子力の講義を受けていないため原子力問題が正しく教育されていたとは思えない。理工系学生でも、原子力の講義を開講する大学(原子力学科のない一般の大学)は少なかったため知識のないまま社会に出る例が大部分ではなかったか。」と指摘したが、この解決は相当の難問で議論は持ちこしになってしまいました。

6.     質問(3)については、

「日本の原子力発電所のgood practiceの実績を示すこと」に尽きることを指摘した。

7.シニアの回答はよく聴いてくれたが、学生の意見を引き出す努力をもっとして議論を活性化するべきであったと反省しています。しかし学生一人ひとりの知識、認識、レベル、分野も違うため活発で有効な議論にするのは難しそうです。これらがある程度揃っていれば二つの組に分け、甲、乙の論を戦わせて、シニアがコメントするというような形式が実現して面白くなるかも知れません。

 

シニア 土井 彰

1.   若い学生の物事に取り組む真摯な姿に触れることができ、気持ちがよかった。学生のレベルがやや不ぞろいであり、討論のレベルが落ちた。

2.   学生が考えている『自分はこのままでよいのか?』、『自分の人生で何が達成できるのか?』などの不安や疑問に対して分かりやすく話し合いをすることが重要と考える。

3.   若いが故に知識の範囲が狭く、その範囲ですべての物事を判断してしまおうとの傾向は見られるが、今後、知識や経験が広まるにつれ、原子力に対して技術者としての正しい判断ができるようになる。今後、若いオピニオンリーダーとして活躍することを期待したい。

4.   自分の意見と相反する意見の他人と意見を述べあって討論する習慣がない。討論を深める中で、問題を掘り下げてゆく訓練をしてほしい。

学生から見ると、シニアは人生の大成功者に見える。ただでさえ威圧感を感じているが、今回新たに導入した討論の方式は学生の意見を引き出すのにも有効であった。

 

シニア 西村 章

1.     第6グループでの討論について

l       事前に質問を出してもらっていたが、それぞれ簡単に記述してあるために、その意図や背景については、実際に対話してみて始めて分かることも多く、予め用意した回答と必ずしもうまくかみ合わないきらいもあった。

l       このグループの関心のテーマが「日本のエネルギー教育の問題と解決策は」というものであったため、なかなかポイントが絞り難いこともあった。

l       学生からの質問に対して回答は次の3つに分類して準備した。

1)        エネルギーに対する関心、

2)        教育の現状、

3)        安全を納得してもらうには

議論もこの3点に絞って進めようとしたが、それぞれが大きな問題であり、安全についても耐震問題からマスコミ対策等についても更に質問があり、各々議論を深めるところまではなかなか行かなかった。

l       テーマを絞って議論を深めるか、それとも広く浅くいろんなテーマについて議論をするかは、その時のグループ員のレベルやテーマの内容、学生さんが何を期待しているか等にもより、どうするのが適当か事前に判断するのはかなり難しい。今回の反省からするともう少しテーマを絞った方がやり易かったように思えたが。一方で、できるだけ全員を議論の場に引き込むには話題が多い方がやりやすい。

l       結局、テーマの選定というのは、かなり結果の出来、不出来を左右するようで、学生さんが自主的に選んでいることにシニアが口出しするのも難しいが、シニア側から質問の背景を確かめるなど、事前に何らかのフィードバックができると良いかもしれない。

 

2.     近畿大学原子力施設の見学

近畿大学の原子力施設を見学させて頂いたが、いろいろな制約の中で工夫されてうまく教育に活用されていることに感銘を受けた。このような施設が極めて少なくなっている現状では、大変貴重な設備であり、今後も益々必要性が増すと思われる。関係者の引き続きの御尽力に期待したい。

 

シニア 益田 恭尚

2グループの指定議題は「企業としての利益追求と安全性の両立に付いて」というもので、ファッシリテーションの題目としては比較的向いている議題であった。

会場での各人の質問は

@      「安全と経済性の両立」「企業の安全に対する努力」「コストベネフィットはあるのか」「利益を求めると機器のコスト削減等考慮し安全面が損なわれないか」「廃炉コストは誰が負担するのか」「放射性廃棄物処理コストは」「メーカーに入社した時の心構え」

A      「安全の程度(どこからが安全なのか)

B      「原子力発電の発電コストはリスクを考えるともっと高い」(事前質問)

「原子力は利益がよりもリスクが高い。他に利益があるのか」(事前質問)

C      「アジア圏の原子力業界への企業参入は」(事前質問)

D      放射線利用は

等であった。

何故このような質問が出たか聞いてみると、「原子力業界に入りたいと思うがどう考えるべきか」から発しているようで一先ず納得。

我々OBが一番驚いたのは 「原子力発電は政府の補助のお陰でやっているのではないか」また、「安全性向上のためには、企業利益が出ないほどの費用が掛るのではないか」というところから上記疑問が発せられていたことである。この点は我々の盲点の一つであろう。一般学生は勿論、社会人に話す時にもその辺の説明をするところから始めないと永久に誤解が解けないのではないかと大いに反省させられた。

「原子力の技術は安全性の技術であり、原子力は経済性と安全性を両立させる技術である」との説明で、発表にもあったが、安全と利益追求は両立するという点は良く理解してもらったと考える。

また、企業はどうあらねばならないかについてもある程度の理解は得られたと考える。

その他の感想

@      4つの大学の参加(グループ2はたまたま2大学)であったが、多少とも事前話し合いをする時間があったためか、まとまりは比較的良かったと思う。客人のためか1校だけの場合に比べ服装も良く好感を持てた。

A      近畿大学は新制大学制になってすく開校した大学であるが、門前町も発達し原子炉まで持った地域に密着した立派な学校だと感心した。ただ、原子炉を持ちながら学生が集まらないため原子力工学科がないのは近畿大学だけではないとはいえ寂しい限りである。

B     関西懇談会を初め関西NPOや関電・三菱重工、放射線影響学会等の応援を得て原子力関係の学園祭の展示が立派なのにも感心した。グループ2の参加者が見学していないとのこと残念に感じた。

 

シニア 松岡 強

     全体的には項目別にグループ分けして議論を深めたこと、人数も10人未満で、時間も2時間程度と十分に議論できる雰囲気であったと思います。

     私が参加したテーマは、第1グループの高レベル放射性廃棄物についてでしたが、今問題になっていて、原子力については避けては通れないテーマなのでよいと思いました。

     議論の進め方としては、最初に事前に学生からあった質問につき、項目ごとにシニアで作成した回答を説明し、その後質問および議論を始めた。

     ファシリテーターの鬼沢良子様が自費で行かれたスウェーデンとフランスの最終処分場見学の経験談は非常に興味のある内容であった。外国での事情が良く分かるものであった。

     学生の質問に対する回答に多くの時間が費やされ、議論の場が少し少なかったのではないかという反省はある。学生も質問や議論をしたいようであったが、うまくまとまらないようで、沈黙が続くと、やはりファシリテーターやシニアの話が場つなぎのために入り、学生の発言が少なめになったようである。

    学生はインターネットなどで事前調査をしているようであったが、生の経験や知識を伝えることができたことは有意義であったと思う。

 

シニア 山崎 吉秀

 先般、九大での学生との対話の所感で申し上げましたが、金氏さんが事前に出かけ講演されていたのが、対話の活性化に大いに役立っていたと。今回の、事前Q&Aも対話を盛りあげるのに、グッドアイデアであると感じました。一般論として、学生の皆さんエネルギー問題全般を俯瞰するには、まだまだ無理な面、自分たちの若い時分を振り返ってみても、やむを得ないと思います。だからこそ事前に、我々が予備知識をもって貰うために努力しておく必要があると、痛感します。そのことが、当日の対話をもっともっと有意義なものにすると、確信めいたものを感じました。

 講評でも申し上げましたが、各グループでの対話の中身が消化不良の点があるにしても、結構深掘りされていたなと感じました。例えば、高レベル廃棄物処分の立地問題、併せてその技術的裏付けの問題。安全性を追求することが何故、企業収益に一番効くのか。原子力平和利用と核拡散問題でも核心部を突く問答が。原子力が優れているのなら、何故フランスの様にもっともっと割合を増せないのか。原子力理解を進めるに、逆にマスコミを何故利用出来ないか。等々 こうした問題意識、そこに係わる対話が出来たのも事前Q&Aのお陰と見受けた。欲を言えば、もう少し事前時間に余裕を持てれば、より醸成されるで有ろうと。ただそのためには、シニア側にも、大学、学生側にも負担がからんで来るので、どの程度が受容されるかのバランス感覚も求められるところ。

 何れにしても、学生達には冒頭の基調講演、続く対話の中で我が国にとって、エネルギー問題が避けて通れない大きな課題であると個々人に程度の差はあれ、何かを感じ取って貰えてのでは。そしてどの様な道を選択してゆくか、若者達これからの思慮の上に何かのヒントを得ることになったと信じている。そして、その選択肢の中での原子力という、ツールの意味あいも。

 

シニア 若杉 和彦

 近畿大学をはじめて訪問したが、第12回なるほど原子力展「地球を学ぶ!原子力を学ぶ!」が盛大に開催されており、子供づれの一般市民が多数来場していることにまず驚き、好感を持った。全国でも稼働中の原子炉を持つ施設は数えるほどしかなく、その強みを生かして原子力の一般への理解を進めていることに敬意を表したい。

 対話会ではグループ5に参加し、「原子力が社会に受け入れられるには」のテーマで会話を進めた。学生幹事正木君他の準備が行き届き、川畑リーダーの下7名の学生、シニアは高野氏と私の二人の合計9名でスムーズで活発な対話が行われた。シニアが少ししゃべり過ぎのきらいはあったが、学生側が聞きたいと思っていた項目についてはほぼ対話が出来たのではないかと思っている。学生側は促さないとなかなかしゃべってくれないが、言葉の端々にかなり原子力の技術的な内容、政府やマスコミの動きなどについて知っており、関心の高さがうかがえた。対話後の懇親会ではだんだん学生の方から口火を切ることが多くなり、「仕事を選ぶ時はどんなことを考えていましたか?」、「原子力に携わってこられて不安を感じたことはありますか?」等々、気安く会話が出来、成功だったと思う。対話会、懇談会を通じて学生側に強調したことは、地球温暖化問題は皆さんの問題だから、原子力以外のオプションも含めて、他人任せでなく自分の頭で対処方法を考え、外に対して積極的に発言して欲しいことであった。

 学生幹事正木君他が十分な準備活動をすることが出来、学生38名、若手技術者他5名、シニア11名の合計54名が集まって活発な対話活動が出来たことは、近畿大学渥美寿雄教授他関係者の皆様のご指導・サポートの賜物であり、深く感謝したい。

 

以上