大学における学生とシニアの対話実施概要
−対話 in 茨城−
1.実施主旨
昨年度から続けている「学生とシニアの対話」の茨城版。茨城大学が幹事校となり、筑波大学及び原研で研究中の慶応大学、ならびに学生連絡会代表の東海大学の4校の学生が参加した。日本原子力学会の学生連絡会及びシニアネットワーク(SNW)が連携し、原子力/エネルギー系を主体とした学生とシニアの交流を図るものである。今回はSNW主催の活動としては4回目、エネルギー問題に発言する会から引継ぎ、通算では11回目となる。
2.対話の目的
原子力系理系学生等とシニアとの対話を通して、学生とシニアの相互理解を図ると共に、今後の原子力、エネルギー産業について共に考え、これからの対話のあり方やエネルギー教育の実践あり方の参考にする。また、彼ら学生が社会へ出るまえに、原子力OBの経験や気概を少しでも吸収できる機会を提供し、今後の実務への自信に繋げてもらう。
3.対話の実施
(1)日時 平成19年2月10日(土) 13:00〜17:00
(2)場所 茨城大学工学部日立キャンパス
(3)参加者
@学生 30名(学部生5名、大学院生25名)
(内訳)茨城大:23名 筑波大:5名 慶応大:1名 東海大:1名(オブザーバー、学生連絡会代表)
Aシニア
・SNW会会員12名
竹内哲夫、荒井利治、岩瀬敏彦、小川博巳、加藤洋明、齋藤伸三、田村修男、土屋毎雄、益田恭尚、村田扶美男、石井正則、辻昭夫(オブザーバー)
B大学
茨城大学工学部副学部長 前川克廣教授
茨城大学工学部超塑性研究センター 車田亮助教授
(4)実施内容
@総合講演
・一緒に考えよう!私達のエネルギーと環境 小川博巳氏
A対話
6グループに分かれ、シニア2〜3名に対して、学生が3〜4名ずつついて対話。
対話の題材は各グループで対話を進めていく段階で、学生側の興味に準じて、各グループが決めた。
対話終了後に各グループから対話内容のまとめと説明がなされ、シニアを代表して益田氏から講評があった。
(5)結果
シニアから感想を収集。学生には事後アンケートを実施した。
(シニア感想概要)
学年末の忙しい時期にも関わらず、当初の予想を越える人数と複数校の参加を得て、盛大に開催することができた。原子力の研究開発の拠点であることから、なにを今更という懸念もあったが、極めてまじめな人たちばかりで、原子力に対する認識も高かった。
その一方、議論に食い足りなさが残ったが、これはグループの人数(学生4〜5名+シニア2名)とよりは、時間が足りないのが主因ではないかと思われる。
学生の質問にある程度シニア側の回答や説明に時間がとられるのは避けられないので、シニアの基調講演を午前中また昼食時間を利用するなども一考である。事前にいくつかテーマを設定しておき選択してもらう方法などによりグループ編成が早めに設定できれば、メールで事前に質問してもらう方式なども考えられる。
(学生のアンケート結果概要)
出席者30名(オブザーバー2名含む)のうち26名より回答があった。
96%の学生が対話の必要性を感じたの回答があった。通常の授業とは違う内容から受ける刺激があったものと思う。
エネルギー危機に対する認識と原子力に対するイメージの変化したと回答した学生は約65%であった。化石燃料の不足や温暖化に関しては、ある程度の知識をもつ学生も多かったことを反映しているのであろう。
一方、事前に聞きたいと思ったことが聞けたと回答した学生は半数の50%で、半数は聞けなかったとの回答があった。時間の制約、グループ編成の問題もあろうが、一回の対話で完全な満足を得るのは難しい。年一回でも継続して行けば、卒業して社会にでるまでに複数回対話に参加することが可能と思う。
この他、学校教育や保護者に対する教育への関心と、自然エネルギーの理解も進んだように思われる。オイルピークや自然エネルギーのポテンシャルなどを体系的に理解する機会はあまりないと思うので、基調講演とその後の討論の意義は大きいと思う。
この対話集会は約92%の学生に満足してもらうことができた。
各設問の回答は以下の通りである(詳細は添付資料2参照)
(1)「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?
非常にある :19
ややある :
6
あまりない : 1
全くない :
0
無回答 : 0
(2)エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?
大いに変化した : 4
多少変化した :13
あまり変化しなかった : 7
まったく変化しなかった: 2
(3)原子力に対するイメージに変化はありましたか?
大いに変化した : 5
多少変化した :12
あまり変化しなかった : 8
まったく変化しなかった: 1
(4)事前に聞きたいと思っていた事は聞けましたか?
十分聞く事ができた :13
あまり聞けなかった :11
全く聞けなかった : 1
無回答 : 1
(5)対話の内容は満足のいくものでしたか?
とても満足した : 9
ある程度満足した :15
やや不満だ : 2
大いに不満だ : 0
無回答 : 0
4.まとめ
今回は茨城大学が幹事校となり、筑波大学及び原子力研究開発機構で研究中の慶応大学のほか、学生連絡会代表の東海大学の学生1名がオブザーバーとして参加した。複数大学が参加した対話としては、「対話in関西」、「対話in東京」に続き3回目で、参加した学生数は30名と、当初の期待以上のものがあった。幹事を務めた茨城大学前川教授、直井君のご努力によるものと感謝する。
シニアも東海・日立地区在住・出身のシニア5名の協力を得て12名(内初参加5名)が参加した。対話は5グループ、各グループ学生5〜6名、シニア2〜3名であった。あらかじめアンケートにもとづき、希望テーマにそったグループ分けを行ったので、ある程度期待に応えられたとは思うが、十分聞きたいことが聞けなかったとのアンケート回答者もおり、複数回出席のチャンスがあるとフォローできるのではないか思われる。年1回定例的に実施すれば、卒業まで複数回参加する機会があり、更に満足できるようになるのではないかと思う。
また、今回齋藤氏のご尽力で茨城大学理学部など、教育に関連する学部の状況等も把握でき、原子力研究開発機構に派遣されている研究生を含め、対話の輪が更に広がることも期待されるようになったことは喜ばしいことである。
5.今後の予定
3月30日(金) 名古屋大学における対話
於名古屋大学 13:00〜17:00
6.対話写真
添付資料
添付1 シニア感想
添付2 学生側事後アンケート結果
対話写真
開会と説明
小川博巳氏の基調講演
対話風景
学生発表
懇親会
添付1 シニア感想
岩瀬敏彦
T. 全般
今回は、茨城大学、筑波大学及び慶応大学、東海大学の学部学生、大学院学生、総勢32名、茨城大学の先生、シニアネットワーク12名の出席のもとで、対話が持たれた。
今回は、参加の学生はいずれも原子力の専攻でないが、エネルギー、環境、原子力について大きな関心を持っていることが、対話を進める中で窺い知ることができ、このような対話は、原子力系或いはエネルギー、環境とは限定せずに、積極的な学生の方々へは広く参加を呼びかける方が、シニアネットワークの活動の趣旨に合致するとの思いを強く持った次第です。
U. 学生との対話
1.全般
開会の挨拶の後、小川シニアから「一緒に考えよう! 私たちのエネルギーと環境」題して基調講演が行われ、レベルの高い生活を維持、確保していく上でのエネルギーの大切さ、また安定的な確保維持のために一人一人がこの課題の大切なこと、世界のエネルギーマーケットの今後の展開と原子力がこの中での大切な役割を果たすこと、期待されることなど分かり易いお話がなされた。
2.グループ討論について(Dグループに出席、シニア3名、学生6名)
グループのまとめ担当者を決めた後、学生側から各自の専攻の概要紹介、シニア側から過去の業務内容、実績などを紹介し、意見交換を行った。
シニアからは若い人の原子力分野への積極的な理解と、可能ならこの分野での活躍を期待し、そのためにこのような対話の機会を通じて、元気づけ、動機付けが出来ることを期待していることを発言。
a.学生の主に関心を持つ事柄について
今回の参加学生は原子力専攻でないが、原子力やエネルギーなどについて関心を持つ事柄について、次のように発言があった。
・ エネルギー需給バランス、原子力と火力、或いは新エネルギーとのベストミックスはどうあるべきか?
・ 我が国の「原子力政策大綱」、「骨太の方針2006」について、内容を知りたい。
・ 原子力施設の立地の受け入れのために立地地域住民の理解を得るために当事者はどのような対応をすべきか?
・ 我が国のエネルギー需給に於ける自立はどうすれば可能になるか?
・ エネルギー需給は今後タイトになるとの見通しが強いが、生活水準は保たれるか、またはどうなるのか?
b.グループ全体報告
学生の側からの関心テーマの発言を踏まえてのグループ討論によるシニアから学生への回答の概要は次のとおり。
・ エネルギー資源、主要生産原料である石油資源からの発電は可能な限り原子力を中心にまかせることが、資源の総括的に望ましい利用・活用である。従って電源構成は原子力を主に、石炭、石油また可能な範囲で新エネルギーとする所謂ベストミックスを推進する。原子力が信頼される電源と位置づけられるよう、関係者は問題点があれば、それぞれの立場でそれを軽減あるいは解消することに尽力すべきである。学生の方々も今後社会にでてそのような立場に入ったなら、是非がんばってほしい。シニアも信頼性の向上と一般の人々の理解を得られるよう、これまでがんばってきました。
・ 原子力立国の理念のもと、原子力に携わる技術者はその倫理を貫いて業務を行うことが求められる。
・ 原子力事故や事象についてのこれまでのメデアの取り扱い、対応は必ずしも良くなかった。事柄の内容を分かり易く一般に理解してもらえるよう努力することを彼らに求めることが必要である。
3.全体発表
5グループに分かれての対話討論の結果について、各グループより報告がなされた。
Aグループ
生活水準の維持発展のために原子力の発展は必要である。
事故・事象への反省と対応により原子力技術の改善、信頼性の向上は十分期待出来る。
原子力やエネルギーに関する教育は十分でない、マスコミの対応も適切でない。
関係者は草の根活動が必要である。
Bグループ
エネルギー資源の乏しい我が国は、原子力立国を推進すべきである。
原子力が環境への影響を与えるなら必要な範囲で規制を導入すべきである。
Cグループ
我が国でのFBRの導入と燃料サイクルの完結のために求められる、安全性、
経済性及び国民の理解のために関係者は努力が必要である。
Dグループ
エネルギー供給に於ける原子力の役割は大きく、エネルギーベストミックス論で、50%以上を目標とすべきである。
メデアの原子力についての取り上げが不十分、不適切でこの面での改善が必要である。
Eグループ
将来原子力関係の業務に携わる場合の心構えとして原子力は総合工学の集大成であり、各自の専門を通した貢献が期待できる。
入社後も研鑽を怠らない。
国際性を養うこと。
4.全体感想
参加した学生の皆様はいずれも原子力、エネルギー或いは環境関係の専攻でないにも関わらず高い関心、意識を持っていることが対話のなかで、シニアへも強く印象づけられた。このような関心のもと、原子力はエネルギー源の主要、かつ不可欠との共通認識を持ってもらうことが出来た。これはなによりの成果と言える。
原子力に携わる者として高い倫理が求められるのは世間からの信頼を得るために当然との認識を持つべきことを学生の方々は理解していることが分かった。
シニア個人として、意欲に燃えた若い人たちと前向きの対話を持てたこと、今後もこのような機会を通して、原子力の大切な事の理解を深めるために参加出来ればと思いを強くした次第であります。
小川博巳
事前準備のお礼
学生の取り纏めにあたった直江さん、ご指導下さった前川先生には、東大での対話会へのご参加以来、並々ならぬご準備を重ねられ、また当日、ご支援下さった車田先生にもお世話になりました。SNW側でご準備にあたられた方々を含めて、多くの皆様のご尽力に感謝と御礼を申し上げたい。
日常的には学外交流もないであろう茨城大・筑波大・慶応大の学生諸君が、一堂に会して交流し、シニアとの対話する機会が持てたことは、今後、新たな道を切り拓いていく上で、貴重な体験であったことと思います。
シニアの反省と学生に望むもの
毎回のことでもあるが、ついついシニア側の発言が多くなることを反省しています。
学生諸君の率直な質問や意見を引き出し、それに極力丁寧に応えようとするのだが、対話の性格上やむを得ないところでもあろうか。
学生側での事前アンケートに際して、メーリングリストを活用した事前の意見交換の場が持てれば、更に焦点を絞った活発な対話が持てるのではないかとも思われる。幹事役の負荷が増えて無理であろうか? 学生連絡会での検討を待ちたい。
原子力シニアの最大の反省は、現役時代に社会へ向けて「口を閉ざして来た」ことだ。
このことが、エネルギーと環境問題、なかんずく原子力に対する社会の理解と受容性を後退させている一因でもある。これからの社会人は、「口を閉ざした専門家」ではなく、「発言する専門家」、「自ら道を切り拓く専門家」でなくばなるまい。社会の抱える課題に対して、或いは自らが取組んでいるテーマに対して、学生諸君は自らの視点で捉えた問題意識と、それへの意見を率直に述べる鍛錬を積んで欲しい。殊に、ビジネスがグローバル化される昨今は、「発言する専門家」が強く求められるのではなかろうか。
加藤洋明
学生との対話に初めて参加した。小川博巳さんの「一緒に考えよう! 私達のエネルギーと環境」と題する基調講演のあと、グループに分れて対話を行った。対話の中で、原子力の状況、必要性などの話が出るたびに、基調講演の内容を例示することができ、学生達にとって大変有効な講演であった。
アンケート調査結果に基づいて、課題毎に5つのグループに分け対話を行ったが、話題に集中させる点でこれは有効であった。
私は石井さんとともにEグループに参加した。このグループは、@原子力専攻ではないが、原子力産業界は受け入れるか、どんなことを学んでおけばよいか、A原子力の社会への受容性、について話し合った。
学生達は、原子力は学んでいないが原子力産業界は受け入れてくれるかということに予想以上に強い関心をもっていた。私達の経験から、原子力は総合技術であらゆる分野の人を必要としているので、原子力専攻でなくでも全く問題はない。各々が専門とする分野を十分に学び力をつけておくこと、さらにはエネルギー、原子力に関心をもつことが大切なことを伝え、納得してもらった。
原子力の社会の受容性について、それぞれの意見を出し合ったが、原子力技術者が大衆に積極的に説明していくこと、マスコミ対策、小・中・高校でのエネルギー教育支援が大切であるが、さらには将来先生になる人達、例えば教育学部の学生に対し今回のような対話が有効ではないかと指摘された。なるほどと感じた。
対話後の懇親会はざっくばらんな会話ができ、効果上々であった。
対話というには、シニアが少し話し過ぎたきらいはあるが、このような機会を重ねることにより若い人達の発言も増し、世代を越えた本当の対話が実現出来るのではないかという期待が抱けた一日であった。
齋藤伸三
先ず、今回このような会合の準備をされた関係者の努力の甲斐があって、土曜日にも拘わらず、遠くはつくば市からの参加も含め学生側が約30名集まり、シニア側12名とバランスのとれたものとなったことは成功であったと思います。また、小川氏によるエネルギーと環境の問題点を網羅的に要領よく説明されたのは、学生にとって大変分かり易かったのではないかと思います。5つのグループに分かれたので、他のグループのことはよく分かりませんが、小生は「核燃料サイクルと高速増殖炉」を主題とするグループで対話をしましたが、時間が限られていることもあり、ほとんどシニア側からの説明となり、高レベル放射性廃棄物処分場、再処理、サイクルコスト、高速増殖炉実用化の課題等々について必ずしも鋭い質問はなく、その意味では、もう少し時間的余裕を持ってより突っ込んだ議論を期待したいと感じました。
全般的には、各グループの発表で、すべからく、一般の人はより一層エネルギー問題、原子力問題に関心を示し学習をすべきであり、マスコミは原子力のネガティブキャンペーンばかりせずまっとうな報道をすべきであるとまとめていたことは高く評価され、彼等がそれを仲間や家族、隣人に拡げてくれることを望みたいところです。
シニアの対話も学園祭等の機会に、第一部は一般市民、文系も含めた学生とし、第二部で参加人数を絞りより突っ込んだ密接な対話とすることも一案ではないにかと思います。
竹内哲夫
当日直後に感想めいたものを送りましたが、正式ではなかったので、若干付記します。
@今回はSNWに対して学生比率が高かったので、学生前員の意見発表の機会が少なかった。全員ナイーブ過ぎて、質問や彼等の意見陳述が殆どなかったのは物足りない。
A対話会の時間が短すぎるので、後半はグループ発表という儀式、セレモニーに捕らわれてジュニア相互の議論に時間がなく、発表の体裁ばかりの議論になってしまった。
B誰かと同じ意見だが、SNWの論説(今回小川さん分担)は食事中または午前にして、ジュニアの理解と消化にもう少し時間を与えたほうが良いと思う。
C当校は、真面目で、素直でいう点は良いが、議論に深みがなかった。(福井大の専門職型とは違うが、入り口論にとどまったことは、物足りなかった。)
D準備期間が短かったのに、予想以上に参加者を募り、会運営も順調だったことには先生方はじめ関係者、裏方のご尽力に深謝します。
田村修男
長らく若者の原子力離れが続き原子力の将来を懸念しておりました。今回は地元開催ということも有り、最近の若い人達がどのように原子力を捉えているのか知りたく、また原子力に対して不安やら心配やらを抱いているようならそれを解きほぐす助けになれればと思い、初めて参加させて頂きました。
原子力専攻の学科のない大学からの参加者ということで、どんな話が飛び出すかいささか心配しておりましたが、学年末の忙しい時期に参加する位ですから原子力に関心の有る人達であることに間違いなく、また身近に東海村が有ると言う土地柄の所為か、面談した学生さんはみな原子力は必要と認識している素直な人ばかりで、若者に有り勝ちなやや屈折した考えの持ち主は見当たらず安心しました。
会の進行は極めてスムースで、関係された学生さん、裏方の先生方のご努力の賜物と先ずは感謝したいと思います。小川さんの基調講演も格調高く、今後のエネルギー事情と原子力の位置付けを解説され、それに対する十分の理解が得られたことは懇親会での学生さんの反応でも明瞭でした。
ただグループ討論の際のテーマ選定で、同じような問題に関心を持った人達ということでグループ分けされているにも関わらず非常に時間が掛かり討議の時間が少なかったことと、学生さん達があまり積極的に発言してくれず熱心な討議とならなかったのが残念なことでした。
今後の対応として、グループ分けが同人数にならないかも知れませんが、事前アンケートの際にテーマ案を提示しておいて各テーマ毎に希望者を集めるということを考慮しても良いのではないかと感じました。またそのテーマ毎に担当のシニアをアサインしておけばシニアもそれなりに準備して臨めることになり実り多い討議となるのではないでしょうか。
また今回の会合で折角知り合ったシニアと学生の関係も1回限りで終わらせるのは惜しいように思います。初対面ではなかなか話しづらいという面も有るでしょう。分科会的なものででも面談の回数を重ねればもっと本音の話も聞けるのではないでしょうか。(これを契機として事後交流が出来ないものかと思いグループの学生さんに、話足りなかったことが有ればなんでも言ってとメールを送りました。現在の所反応は1件)
懇親会で出来るだけ学生さんの話を聞くようにしましたが、学生さんの関心は社会人になるに当たっての心構え、研究者・技術者として心掛けるべきことに有るようで、極めて真面目な人達ばかり。十分原子力の将来を託すに足る人達だと安心しました。それからシニアの人達がいずれも大きな仕事を成し遂げて来た人達であり、原子力に並々ならぬ愛情を持っているということに感動したと言っておりましたので、我々の原子力に対する熱い思いは十分に伝わったように感じました。
土屋毎雄
初めて参加させていただいた土屋です。OBの皆さんが原子力を理解してもらうために努力されている場に立ち合わせていただき、感謝しております。どうしてもシニアの皆さんの発言が多くて、対話までいけないところがありましたが、日本人のシャイな習性を直して、積極性・元気を養うことを含めた活動をされている様子に感銘を受けました。今後ともよろしくお願いいたします。
益田恭尚
対話参加者(グループC)
シニア:斉藤伸三、辻 昭夫、益田恭尚
学生:井口将秀M2、A.BucheeriD1、北岸茂M1、坂井雅之M1、大和正明M1、岡田和也M1
対話を通しての感想
M2の井口君に議長をお願いし、双方の自己紹介後、アンケート結果を基に対話に入った。皆、修士の学生で、原子力を専門にしている学生は少なかったが、将来のエネルギーは原子力が主流であるとの認識を持ち、原子力についての認識は高かった。
高速炉に関心が高いグループということで、斉藤伸三先生が用意された数枚のパンフレットを基に説明に入った。
学生側がどのような点に興味を持っているのか聞き出す努力はしたが、どうしてもシニアの説明が主になってしまうのは、毎回のことではあるが反省事項である。
今回のグループCのように何かを中心に話し合うのと、広く浅く学生の意識を聞く方法と、大きく分けて2つの行き方があり、私としては後者を選びたい気がするが、一長一短である。
学生6人は多すぎるのではないかとの反省も多いようであるが、2:6と云うのは相当贅沢な組み合わせであり、これを変える必要はないと思う。それよりも時間が短いのがどうも食い足りなさを生む原因ではなかろうか。
開場設定の難しさ、双方の負担という点はあるが一度、午前中講演、短い昼食(有料サンドウイッチ又は握り飯)休憩の後、もう少し時間を掛けた討議をしてみるのも一案であろう。更に、質問したい人は、事前にE―MAIL等で質問を出してもらう工夫(今回も結構事前に問題提起をしている人もいたが)も必要であろう。学生の自己紹介もEXCELで書式を作ってシニアと同様配布すれば(これも世話役が大変であることは理解できる)話題も出しやすいように思う。
村田扶美男
1.前川先生の努力で結構な人数に集まってもらった事は収穫です。(齊藤伸三さんの影の御尽力があった事を知りました。有難うございました)
2.小川さんの丁寧な説明が好評でした。
3. 前川先生から学園祭での催しでやったらどうかという提案が有り、これも嬉しい話です。
4.人数的には1チーム6人で若干多すぎたのきらいは有ります。20人参加という初期設計が誤算でした。
5.人数が多いと一人当たりの話す機会が少なくなってしまいます。学生の反省会にあったようにもう少し1チームの人数を少なくした方が良かったですね。シニアを多くしておいた法が良いかもしれませんね。
6. 構専門的な話題を聞きたい人も居り、丁寧な回答を心がけたいと思います。
7. ンケート結果にバイアスがあったとしても、好評裏に終わりました。関係者の協力を多謝します。又シニアの方々の来茨城を感謝します。
石井正則
茨城県は研究開発や発電所の立地県でることから、原子力に対する意識はかなり高く、シニアの熱意が空回りするのではないかとの懸念を抱いていたが、学生達は極めてすなおであった。報道における過剰な反応や小中高校における教育問題なども含めと、シニアの熱意に共感してもらえたように思う。
しかしながら、対話を通して学生からの質問にシニアの回答というパターンから脱しきれず、物足りなさが残った。時間が足りないのが主因とは思うが、質疑応答から脱し討論を通して何かをつかんでもらうという段階に進める必要性を強く感じた。なにものにも負けない力強さ、粘り強さが、将来の原子力を担う若者に期待したいからである。
また、学生側の質問にすべて応えきれたわけではないので、学生の充足感が不足しているという面もあろう。一回ですべて満足というのはなかなか難しいと思うので、年1回開催できれば卒業までに複数回経験することができ、このような点は少しは解消するのではないかと思う。
一方、教員養成に当る理学部などの学生なども対話の対象となりうることや、茨城大学の学園祭の活用など、シニアの活動の幅が広がる可能性があるこが判明したことも収穫である。
添付2
学生側事後アンケート集計結果
総回答数:26名
(1)「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?
その理由は?
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非常にある:19
ややある : 6
あまりない: 1
全くない : 0
無回答 :
0
理由
○非常にある
・ 第一線で活躍していた経験等が聞ける貴重な時間だから
・ 様々な知識を持った方々と直接お話できるのは非常に勉強になる
・ シニアの方々の話を聞かせていただいて分からないことが分かったから
・ 原子力に対する理解を深めるために重要な役割がある
・ 経験を聞ける機会があまりないから
・ 講義とは比べものにならないくらい刺激を受ける(生の声)
・ 長期間原子力の状況を見てこられた方の意見を聞くことは重要だから
・ 原子力についてよく知れる非常に有意義なものであるから
・ 原子力は必要不可欠なエネルギーであり,大切なのは国民,行政への理解である
・ 経験された事を聞ける
・ 様々な実体験を含め.現状の事態を知れる貴重な機会だから
・ 貴重な先輩の意見を聞く事ができるから
・ シニアから普段聞けない事を学ぶいい機会であると思う
・ 伝えたい思いがあり,伝わる環境がないから
・ 日本,そして世界の置かれているエネルギー事情,原子力関係の背景がわかったので
・ 誤解や正しい判断をするのに必要な事だと思った
・ 原子力に一緒魚を捧げた人の話しを聞く機会がないから
・ 現場にいた人の話が生で聞ける
・ 自分谷の世代にない熱さと責任を感じたから
○ややある
・ 教育では正しい情報が得にくいので,今回は正しい情報を得られたと思った
・ 原子力について知識や現状を知ることができるから
・ 原子力についての正しい知識を学ぶため必要
・ 昔を知って現状を見ている人の意見は大切
(2)エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?その理由は?
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大いに変化した : 4
多少変化した :13
あまり変化しなかった : 7
まったく変化しなかった: 2
理由
○大いに変化した
・ 改めて,これからのエネルギーの必要性を認識したから
・ 地球温暖化などを未時価に感じていたから
○多少変化した
・ ある程度理解はしていたが,もう少し危機感を持つべきだと思った
・ オイルピークなど得る知識も多く,それにより変わった
・ 中国の原子力事業の拡大を知って
・ 現状をより詳しく知ることができた
・ やはり未来を考えるとアブな愛と思った.今がいいだけではまずいと思った
・ 原子力の必要性を再認識した
・ エネルギーに対する危機感はあったが,多少見方が変わった
・ エネルギー枯渇の問題において,自給率を高める事は大事であると感じた
・ 以前から騒がれていたから
・ 様々な人の話を聞けたため
○あまり変化しなかった
・ この会に参加する前から危機感を持っていたから
・ 化石燃料の不足などは何度も聞いたことのある内容だった
・ 以前より持っていた
・ 何度も聞いているから
・ 元々認識していたため
・ 考えていた事と同じだから
・ 危機意識を広める決め手がなかった
○まったく変化しなかった
・ 基からある程度の認識があったので
(3)原子力に対するイメージに変化はありましたか?その理由は?
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大いに変化した : 5
多少変化した :12
あまり変化しなかった : 8
まったく変化しなかった: 1
理由
○大いに変化した
・ 安全性の面での意識が以前よりもよくなった
・ 自己に対するメーカーの取り組みなどを伺って
・ 原子力の安全性が理解できた
○多少変化したあまり変化しなかった
・ エネルギーとして考え得ると良いが,まだまだ国民の理解が足りず難しい問題であると感じた
・ 今後の日本にとって非常に重要なものであるということが分かった
・ 資源の浪費が少ないだけでなく,エネルギー生産効率も非常に高いことは知らなかった
・ 原子力関係者が差別を受けていった時代があったと聞いた
・ 今度,生活水準を維持していくには,必要不可欠なものだと分かった
・ 原子力に対してある程度の知識を持っていたが,より深まった
・ より興味を持った
・ 環境問題においては,二酸化炭素の排出量が低いのでいいかもしれないが
・ 自給率という面ではウランの確保に難があるように思える
・ 原子力を仕事としていた人々の”安全”という言葉に納得したので
・ シニアの方々の話を聞いたため,原子力はますます重要であると感じた
○あまり変化しなかった
・ 昔から知っていることなのでイメージに変化なし
・ 原子力は必要だけれどやはり.現状の社会では受け入れられないという印象は変わらなかった
・ 元々これから必要だと勉強していたため
・ 既に講義で一通りは知っていたから
(4)事前に聞きたいと思っていた事は聞けましたか?
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十分聞く事ができた:13
あまり聞けなかった:11
全く聞けなかった :
1
無回答 :
1
(5)対話の内容は満足のいくものでしたか?その理由は?
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とても満足した :
9
ある程度満足した:15
やや不満だ : 2
大いに不満だ : 0
無回答 : 0
理由
○とても満足した
・ 幅広い話が聞けて大変ためになった
・ いろいろな考えを聞くことができてとても満足である
・ 原子力の最前線で活躍されている方の生の声が聞けたので
・ とてもわかりやすかった
○ある程度満足した
・ 対話の時間が思ったよりも短く感じ,皆いいたいことを言い切れていない感もあった
・ いろいろなことが聞けたから
・ 近い位置で議論ができたから
・ 対話というより講義になってしまったため
・ 自分の考え以外のことを聞けて良かった
・ いろんな事を知っているのですごいと思う
・ 学生側もある程度準備しないと,対話にならず,講義になってしまう
・ もう少し時間があれば
・ 非常に参考になる話を聞けたが,ディベートできるほどの知識,考えが学生側になく残念だ
・ 質問に対する回答がもらえたから
○やや不満だ
・ 聞きたい内容の話題のあるグループではなかった
(6)原子力に対する関心の低い10代、20代の若年層に対する原子力広報
活動はどんな方法が良いと思いますか?
・ 学校での保護者を交えての教育
・ 学校での教育から変えていくべきだと思う
・ 学校教育の中で変えていくことが重要だと思う
・ 学校等の訪問をして,アクティブに講演をしてみる
・ プレゼンテーションに著名人を起用する
・ 親への情報伝達
・ 小学生の頃からの教育
・ TVでエネルギー問題について正しい情報を発信していく
・ 原子力の教育を進める
・ CM
・ 養育,マスコミを用いて行う方が良い
・ 難しい.地道に後援会等で説明するしかない.
・ 実際にふれあって生の声を聞く事が一番よい
・ メディアを通しての広報活動
・ 炭鉱と原子炉の死者を見せる
・ 学校の授業に組み込む事が必要であると考える
・ 教員への教育
・ 教育指導要綱に入れる
・ 漫画やアニメーション(PR用)を用いる
・ 無関心なので,悪いイメージさえ出さなければ何もしなくても大丈夫だと思います
・ 小,中学校で出前授業
・ 対話と誠意
・ 実際に見学にいくとよいと思う,その方が話を聞くより興味を持つ
(7)本企画を通して全体の感想・意見などがあれば自由に書いてください。
・ シニアの方々の貴重な話が聞けて非常に良かった
・ 対話の時間がもっと欲しかった
・ 非常に有意義なものだったので今後も是非やった方がいいと思った
・ 自然エネルギー,太陽エネルギーなどに関する,間違った理解をしていた
・ 勝手にグループ分けするのは良くない
・ 非常に参考になるお話を聞けて良かった
・ 参加してよかった.原子力に興味はあったが,実際に仕事として自分が行う際のイメージがつかめた
・ 自分の中の意識も大きく変わり,今回参加でき本当によかったです
・ 自給率の面では,原子力より風力等の方が自給率が高いと言えるのではないかと思う
・ 満足な時間を過ごした
以上