「対話会イン北海道2009」 共通テーマに対するシニアの応答

 

09年度改定版 2009720日 石井正則

2008624日 伊藤 睦

 

2008年の事前のアンケートで学生の共通テーマとして就職活動に関して次の質問が寄せられた。

(1)学生時代にやっておくべきこと(英語以外)、(2)こんな部下がほしかった、(3)よい会社・悪い会社(会社選びにポイント)

本件は今後の各地の対話会でも出る質問であり、また対話グループ内で議論する事でもないのでシニアから応答集めこれを纏めて記録に残し、対話会では全員に配布した。

2009年の対話イン北海道でも同じ共通テーマがあり、2009年に新たに参加シニアからもアドバイスをいただいた。09年度改定版として、新たにいただいたアドバイスを追加し、2009年対話イン北海道参加者に配布することとした。

以下順不同で記載する。

 

l       嶋田昭一郎氏

1)学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

私の反省から、いろいろなことに興味を持ち視野を広めておくこと。専門分野の基礎力をしっかりつけておくことは勿論大切である。英語といえば、会話力をイメージしていると思われるが、それよりも書く力が重要である。

2)こんな部下がほしかった

ピンチの際に一生懸命協力してくれる部下。

3)よい会社、悪い会社(会社選択のポイント)

自分のやりたいことが決まっていれば、それが実現できる会社を選ぶべき。私の場合は原子力をやりたかったので、原子力の準備を始めている三菱重工業を選んだ。

 

l       土井 彰氏

 条件の設定を明確にしてからでないと、これらの項目に一般論で答えることはできない。

1)一般的に言えることは「物事を自分で考えることができる」習慣を学生時代に身に着けてほしい。最近流行の『コピぺー』レポートを書かない人であってほしい。

2)実社会においては、「自ら提案する」、「事に当たっては合理的な判断ができる人」を希望したい。

3)初めから良い会社、悪い会社、があるわけではない。自分の特徴、能力が発揮できるか否かで決まる。

自分の未来は自分で見つけ、切り開くものと考える。

 

l       石井正則氏

1)学生時代にやっておくべきこと

     生涯の友となる友人を作ること。

     学生のうちにしかできないこと・学生のうちならやれること:旅行、趣味など・・・会社人間で終わらないためのキッカケに!

     見聞を広めること

     本を読む・・・教養を深めるとともに、社会人としての心構え、礼儀作法などの好事例、悪事例にも触れられる(温故知新)

2)こんな部下がほしかった

     教科書にない世界に執念をもってチャレンジする姿勢・勇気をもっていること。「ないものを作る/やったことがないことをやる」のが仕事(作業とは違う)。

     お客、上司に自分の考えを訴え、実現させる執念をもっていること。

     NOと言わない・逃げない・言い訳がましいことを言わない

     自分より優秀な部下、自分のできないことをやれる部下

3)よい会社・悪い会社(会社選びのポイント)

     何をしたいかが明確なら企業・機関の焦点は定まる。できればインターンシップなどを利用して体験してみることが望ましい。

     良い会社とは(悪い会社はこの逆):やりたい仕事がある、やりたい仕事ができる、働きやすい、給料が良い、会社の経営状態が安定している、成熟した会社/伸び盛りの会社、成熟した事業/伸び盛りの事業、など・・・様々な視点があろう。「全て良い」はない。何に着目するか次第。但し、栄枯盛衰の予測は難しい。私なら「やりがい」最優先。

 

l         若杉和彦氏

1)              学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

@     将来取り組もうとする分野又は専門を選択すること。

専門分野は可能な限り早い時期に選択しておくべきである。これにより効果的かつつ意欲的に精力を集中することが出来る。選択するに当たっては、自身の興味、能力、社会情勢等総合的に判断することが必要になる。

A     学生仲間とあるいは先生と個人的な(人格対人格の)付き合いを深めておくこと。

書物やインターネットからの知識でなく、人と直接触れ合い、意見を交換し、自身とは異なる人格を認識出来る機会を多くもつべきである。

2)              こんな部下が欲しかった

積極的で明るい(楽観的な)性格を持つ部下。

命令されたことだけこなすのではなく、積極的に自分から行動を起こす部下が望まれる。さらに、明るく、前向きで、建設的でありたい。但し、素直で謙虚でなければならない。

3)              良い会社・悪い会社(会社選びのポイント)

良いか悪いかは選択する本人の目的、希望等によるものであり、一概に定義できない。常識的には安定性のある大きな会社と言えるが、会社は時とともに盛衰することを心すべきである。会社を選択するに当たっては、可能な限り周囲や先輩等他の意見に耳を傾け、情報を収集すべきである。

 

l         大橋弘士氏

1)学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

     基礎をしっかり身につけておくこと

     普段からしっかりした信念を持って生活をすること

     当面する課題に真剣に取り組むこと(自分の持ち場でベストを尽くすこと)

     ・本や新聞を読む習慣をつけておくこと(常に成長し続けるためには、経験則以外の情報が必要と思う)

2)こんな部下が欲しかった

     優秀で心優しい部下を持てたので、満足している。

3)よい会社・悪い会社

       世間が言うよい会社が、あなたにとっても良い会社とは限らない。万人向きの会社はないと思う。基本的には自分で調べて、自分で考えてみてほしい。

       今の私が考えるよい会社は、まず、コンプライアンスの点で問題の少ない会社。

その上で、

(1) 明確なビジョンを持っていること、

(2) 時代を切り開いていける能力とフレキシビリティを持っていること、

(3) 常に成長し続けていること、

が重要と思う。これらの三つを持っているのがよい会社であると思う。

       当然、会社の側からも諸君に期待と注文があることを心に留めておいてほしい。

 

l         路次安憲氏

1)学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

@基礎的な学力と工学的センスを身につけること。

社会人となって担当する仕事が大学時代の専攻(研究テーマ)と何の関係もないことも多いが、実務をいろいろ担当し、あれこれと悩みながら実現させていくことを繰り返す中で人は専門家になっていく。「あれこれと悩みながら実現させていくこと」が重要で、それをなしとげるためには基礎的な学力と全体を工学的に判断する能力が必要。そういう目的を持つと勉強とは本来楽しいものだ。

A論理的に考え、論理的な文章を書く能力の涵養

論理的で説得的な論文、報告書、提案書・・・がビジネスの基礎。本をよく読むこと、世の中で発生する事象について、常日頃から本質は何だろうかと考える訓練をすること。

)こんな部下がほしかった

(そこそこの学力があることは前提になるが)議論が論理的で話が早く、何とかやって見ようと前向きに考え実行し、さらにプレッシャーの下においても冷静に自分のやるべきこと、やりたいことを地道に続けられる持久力を持った人(技術は積み重ねである)。

このような人であれば、上司も何とかサポートしてあげようと考えるもの。

やりたくないために?やれない理屈をくどくど述べる人、大向こう受けを狙ってスタンドプレイばかりする人はいらない。

なお、原子力に限って敷衍すれば、本当の意味のジェネラリストが今ほど求められている時代はないのではなかろうかと思う。この理由として、技術の高度化に伴い専門領域があまりにも細分化されすぎて、例えば巨大な工学システムである原子力発電所の全体について調和のとれた見方をできる人が不足しているからである。

もちろん、最初からのジェネラリストはいないが、ある分野の専門を極めつつ将来のジェネラリストを目指すのは有意義であろうと考える。

3)良い会社・悪い会社(会社選びのポイント)

条件次第で様々だろうから、「技術屋が働き、夢を実現させる上で」との枕詞で考える。

私自身にもそれほどの経験があるわけではないので、正確なことは言えないが、30年以上の永きに亘って社会のインフラとなるような製品、エンジニアリングを継続している会社は、経営哲学とそれを実践する組織がしっかりしており、良い会社と言えるのではないか。

株主利益ばかりを重んじて、従業員や顧客をないがしろにするところは悪い会社と言えよう。

 

l         木村隆夫氏

(1)   学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

もちろん勉強(自分はしなかったが)

自分の専門を磨くことももちろん重要だが、外(社会、産業界など)との関わりを意識すること。

原子力に関する研究テーマでは、なかなか難しいところもあろうが、できれば、アウトリーチ活動などを体験して、世の中の人が、どんな風に考えているのか、把握することも大事。

(2)   こんな部下が欲しかった

(3)   良い会社・悪い会社(会社選びのポイント)

トップが強力なリーダーシップを発揮していることはよいが、それに対して周りが自由に意見を言えないような雰囲気の会社はだめ。要は、風通しが良いこと。これがコンプライアンスにもつながる。 とりあえず、広報部門がしっかりしている会社は、しっかりした会社かな。

最近の北電は良いと思いますよ。

 

l         金氏 顕氏

1)学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

B     涯続けられる趣味の基礎を作ること。スポーツ関係、文化関係(音楽や美術など芸術、歴史、その他なんでも)のひとつ以上にのめり込むくらいに熱中することが出来る時間と情熱は学生時代にしか持てない。

C     異なる専攻の友人と付き合うこと。出来れば工学系以外の医学系、文科系(特に法科系)。“生涯の友とすべき人は医者と弁護士”という諺もある。実利的なご利益以外にも社会人になってからお互いに切磋琢磨、発想の転換など出来る。

D     やっておく必要がないことは、単なる観光目的の海外旅行、暇つぶしの遊び。

 

2)こんな部下が欲しかった

@     新入社員に必ず言ったこととして、一人前になるのは最低5年間かかる、1年目には先輩のやることをただ真似ろ(盗め)、批判や自分の考えなど出すな、2年目は自分だったらこうする、と考えろ、しかし口に出すな、3年目はそれを口に出せ、そして4年目は口に出してそのように行動しろ、5年目には口に出さずとも自分の考えで仕事をやって後輩を引っ張っていけ、と。先人の仕事のやり方には必ず何かある、まずそれを会得するのが先決。

A     有言実行の部下が一番だが希少価値でなかなかいないし、いたら後継者にする。しかし後継者は一人だけ、次に有言不実行と不言実行とどっちが良いか?有言不実行は本人は駄目だが誰か他の者が実行できる。不言実行は自分ひとり、したがって有言不実行が良い。不言不実行は論外。

 

3)良い会社・悪い会社(会社選びのポイント)

@     その製品や分野、地域などで一番の会社を選ぶこと。23番だったら追いつくまでに余計な苦労を強いられるし、その会社の中でも低い価値の部門であるから陽が当たらない。会社の規模の大小ではない、その製品、分野のシェアである。

A     産業のサイクルは3040年、今隆盛の産業分野は今は給料もいいかもしれないが、課長、部長になるころは衰退産業、リストラの憂き目の公算あり。

B     将来性のある会社というが、なかなか分からない、まずは子供のころからの夢とか好きな分野とか憧れの職業を第一に考える。万一運悪く外れても自分の決めたことだから、好きなことがやれたから、満足感だけは得られる。

 

l         斎藤伸三氏

1)学生時代にやっておくべきこと

難しい質問であるが、最近の新人について良く聞く話は、真面目で言ったことはやるが、それ以上がないと言うことである。そこで、

@     ら思考して豊かな創造性を養うよう常日頃心がけておくことが大事ではなかろうか。そして、それに基づいて積極性を発揮し、言われた以上のことを行う、研究で言えば、自ら何が問題であり、どう解決すれば良いか考え、積極的に取り組むことである。

A     いずれ、大なり小なりのグループのリーダーになることを考えれば、何でも良いがグループリーダーを経験しリーダーのあるべき姿を熟考しておくことも、将来役に立つであろう。

2)こんな部下が欲しかった

上記したことを満たすような人間。彼に任せておけば心配ないと言う部下。

3)よい会社・悪い会社

小生は、会社勤めの経験がないので良く分からないが、優秀な人材を育て、個々の能力、適性に合わせ適材適所の人事配置を行う会社が良いのではないか。

 

l         西村 章氏

1)学生時代にやっておくべきこと
  a)生活の面
  ・良き友人を持つこと。

  ・スポーツでも、文化面でも良いが一つのことに打ち込んでやること。リーダー役を率先してやること

 b)勉学面
  ・基礎的な知識をしっかりつけること。
    将来困難な問題に直面したときの問題解決力になる。
  ・できれば、外の社会が見えるような何らかの活動が出来ると良い。

 2)こんな部下が欲しかった
  ・困難なことに対しても、前向きに、あきらめずに粘り強く取り組む人
  ・しっかりした技術力を持ち、客観的に、多面的に判断が出来る人
  ・上司に対してもきちんと自分の考えを言える人(これには年月が掛ると思うが)
 3)良い会社、悪い会社(会社選びのポイント)
  ・企業は人なりと言う感じ。そこに働いている人の人的、能力的な魅力がある会社。

  ・ビジョンを持ち、それに向かって誠実に取り組む会社。
  ・上司に対しても言えることが言える風通しの良い会社。

 

l         伊藤 睦氏

1)              学生時代にやっておくべきこと

勉学基礎的な知識教養は十分に身につけておくことは当然として、それ以外には

@     合理的なものの捉え方、分析力、自己主張に仕方を身につけておく事。

A     生涯頼りになる友人を作ること。

B     生涯の趣味(スポーツ、囲碁、手品など)の基本をマスターする。

2)              こんな部下が欲しかった

@     健康で明るく、前向きな思考をする。

A     創造力が豊か。頼んだ仕事はやり遂げる。

3)              よい会社・悪い会社

@     一般的には決算報告書、財務諸表などを見て(事業内容。借金が少ない。利益率が良い。売り上げの推移など。)調査し評価すること。

A     自分に合う会社か良い会社。ただ、会社はあなたの思うようにはならない。その会社に尽くすと言う気概と情熱が持てる会社であること。

B     そのためには、よくその会社を調べて納得する必要がる。

 

l         小川博巳氏

自分自身の経験と反省を籠めて、列挙する:

1)学生時代にやっておくべきこと、 2)こんな部下が欲しかった

創造的に生きるための訓練を開始しているか?

創造する喜びを、出来る限り早い時点で体験し、創造することの難しさを知り、如何に困難を克服するか、発想に独自性があるか、更に洗練・ブラッシュアップ出来ないか、己の創造する喜びを如何にしたら他者と共有できるか、等などの訓練を、学生時代にこそ開始したいものだ。

創造とは、真似ごとを脱し自分で造り出すことだ。文学・音楽・美術などに限らず、スポーツ・産業・社会システムなどあらゆる分野に求められ、最も人間的で最も高度な精神活動だ。何か身近な興味あるものを対象に、先ず第一歩を踏み出し、生涯をかけて練磨する自覚を保ち続けたいものだ。

君はどの様に考えるか?

歴史・政治課題・G8サミットなど現代社会は目まぐるしく変貌し、情報が氾濫するが、それらの社会的な事象を君はどの様に考えるか? 折にふれ事に触れ自分なりの判断を重ね、自分の考えを整理することを勧めたい。残念ながら日本の教育は、ここが欠落している。学生時代に、自ら補い切磋琢磨したい。グローバルな社会では、日本流の「大勢に倣う」判断と、平均指向では誰にもアッピール出来ない。

オリジナリティーのある君の考えを理路整然と主張し、大方の同意を得ることは至難だが、日頃からのトレーニングが求められる所以だ。

君の誇りは何か?

やがて社会に出てグローバルな活躍が期待されている君にとって、誇れるものは何か?

例えどんな小さな事であれ、自分自身の持つ何かを誇りに出来るか否か、或は日本の誇る文化を海外の友人に君は胸を張って説明できるか? グローバル社会ではどのような些細なことでも、誇りをもって話ができる「人物か否か」が問われ、言葉以上に重視される。小さな「誇り」を持ち、それの積み上げが、何物にも代え難い自信につながる。

3)よい会社・悪い会社

     チャンスは、世の興廃時にあり!

古人は「国の興廃に、千載一隅の機会あり」と名言を残している。国が戦いに勝ち、或は国が敗れる程の興廃ではないが、今や世界は大きな転換点にあり、日本も大きく変わろうとしている。

国の経済が活況を極め、行け行けドンドンの社会環境では、若者に限らず多くの機会に恵まれ、進路選択は思いのままだ。一方で最悪の経済破綻・社会破綻の環境では、殆どの規定概念が否定され、新たなルールが形成される。その様な変革の時こそ、「自らの目標達成の機会と捉え、チャンスを自ら掴め」との訓えだ。

新入社員だけでは企業の命運を左右できる筈はないが、若手社員であれ、達成すべき目標を明確に定め、「社長の首は自分が預かる」との意識と気概をもって、先輩を活かして業務に取り組んで貰いたい。

「良い会社、悪い会社」のシニアの言は、飽くまで参考。良い会社にするも、悪い会社にするも、それは君自身の今後が決めることになるとの自覚に、期待する。ご奮闘を祈る。

 

l         石井陽一郎氏

1、基本的なこと

       人として良心とは何か、良心をもて、世の中生きるにあたってそんなきれいごとばかりいっていられない。の本音があります。

       それには感動とか共感をもつ機会を豊かにすることがあります。人は100%文系、理系ということはありません。あったとしてもそのように思いこまし、思いかまされた部分が多いのではないでしょうか。

       本音と建前がある  両方必要です。建前は生活の中で身につける部分が多い。本音はモノゴトの真実です。自分で考える癖ガベースです。公開情報のなかにはおかしなのがたくさんあります。真贋の眼を養いたい。

       情報化の発達した世の中です。単なる受け売りや「コピペ」万能は情けない。 ボロが出ます。頭に汗をかいてもらいたいものです。

       私個人ではあまり本はよまないが,「坂の上の雲」―司馬の代表作の一、事実に限りなく即し、明治の群像を活写した。事実に即しというところがポイント。「相対性理論」に関するもの、音楽にはいろいろあります。映画、戯曲も少ないがそうです。

       人に強制する柄ではありません。ようするにその人の波長にマッチしたものでよいものに接し、涵養する機会を持つことです。学校(でよい成績をとる)や企業で会得することは一部にすぎません。スポーツ、演劇何にでもあるでしょう。私自身はほかに能力がなかったせいもあり、うまい下手は別として、「囲碁」にはかなりのめり込み―いまでもそうですが、できごとを囲碁に還元してみる癖がついています。碁の仲間は財産と言えるでしょう。

       一芸に秀いづることは「人の本性]に沿っている。「天は自ら助くるものを助く」というではありませんか。

2、学生時代にやっておくべきこと、

音楽の演奏、スポーツすべては早々とあきらめた。しかし胆力を煉るため[武道]はやるべきだったかな。

3、よい部下

協調的でよく勉強している部下、必ずしも部下とはかぎりません。

4、よい会社

若いころ、木川田一隆社長の高邁な理念と行動力には感銘しました。曰く「社会的経営」、現在は環境問題ですが、当時は公害対策と言っていた。安全と公害が会社の「利益」以前の基本というのが次第に浸透していいたのではないでしょうか。したがって「短期間の利益」を優先するあまり「公序良俗」を犠牲にする会社は良くない。

       よいものを作り出していく所は「よい」と言える条件の一つだと思います。よいものとは、結果的に長く続いているものです。LNG火力とコンバインドサイクル、ハイブリッドカー、低燃費車、原子力システム、省エネ製品、環境対策のよいもの、廃棄物の適切な処理・利用、創造力を活かす姿勢のあるところ。

       よくない例:高金利融資、手抜き工事、低品質(すぐ壊れる、使い勝手が悪い、技術者などの押しつけがましさが目立つもの)、労働酷使

 

l         大塚英司氏

1)学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

(自分の反省に基づき申し上げます。)

       学生時代の自由さと時間を使い、感性、知性を磨いて下さい。

       一番は読書と思いますが、映画、音楽、絵画、人との交流、旅行、新聞などを好きになって下さい。自分が気づいていなかった事を知るのは楽しいことです。

       私も含め多くの人が、もっと勉強しておけばよかったと思っているようです。基礎学力を意識して身につけて下さい。特に先生の選ばれた教科書には素晴らしいものが詰まっていると思います。

 

2)こんな部下が欲しかった

多くの職場は組織として目標を達成しようとします。従って以下のような人がありがたいです。

 ・どんな仕事でも、常に自分の責任を果たす人。

 ・有効性、効率性等仕事を良くしようと工夫する人。

 ・人間関係を良好に保とうとする人。

 

3)よい会社・悪い会社(会社選びのポイント)

個々の生き方によって見方が変わるので、一概には言えません。

まず、自分の力を生かせると思える会社であること、そして、安定性、将来性も私は重要と思います。

本来重視すべき経営哲学、職場環境等は外からでは正確にはわかりません。実績を積んでいる会社は、これらも優れている確率は高いと思います。

 

l         三谷信二氏

以下の回答例は他のシニアの方々の模範回答と少し違うと思われるので、受け取る側の責任で背景にある意味を読み取って頂き、気を悪くなさらないことを希望します。

(1)   学生時代にやっておくべきこと(英語以外)

知識だけでなく知恵を身に付ける訓練をすることが大切である。そのためには、勝負事(例えば、囲碁、将棋、麻雀、高級なゲームなど、)もある意味素養の一つかもしれない。運動部(同好会でなく体育会系の激しいやつ)で苦労するのもよい。そのときの経験は社会に出てから必ず役に立つことが多い。知識ばっかり沢山身につけるより、 (今はやりの)自頭力を駆使できる人間(フェルミ推定などを使って自然と即決断の出来るような人)になった方が、会社に入ってからでも後の人生相当楽が出来ると思う。今からでも遅くはありません。

(2)   こんな部下がほしかった

大体このような質問が出てくること自体「入社してから模範的部下になるための正解」を求めているように思えてならないのは私の邪推でなければ幸いである。

一般解などない。強いて言えば「島耕作」も答えの一つであるが、そんな人はそういないし、会社や職種、業界で違ってくる。私の経験からすると多くの良い部下や上司に恵まれて幸いであったと思う。お互いが呼吸を合わせて良い仕事が出来ればこれほど良い関係はない。(1)で言った自頭力を鍛えてどんな上司でも適応できること、上司になったら「こんな部下がほしかった」などとおくびにも出さずに、どんな部下でも大切にし、力を引き出してあげられる人になれること。

(3)   良い会社、悪い会社(会社選択のポイント)

北大の皆さんが選択出来る範囲の会社では悪い会社など一つもありません。どのような会社でも自分に合う職場(部門)、合わない職場(部門)はあるかも知れない。仕事の内容の向き不向き、上司や仲間との相性等人により正解はマチマチである。重要なことは、どのような会社に入っても心を開いて相談出来る人、一番相性が合い世話になれる人を困ったときの相談相手(会社の人とは限らない)として決めておくことが大切だと思う。会社の善し悪しは会社のカンバンで決まるものではなくて、トップを含めそこの会社の構成員(入社したら自分もその内の一人)で決まる。会社選択のポイントは、理系の場合なら専門分野などから、まず自分が自分の力で何がやれるかをしっかり見極めて、どの会社が自分と相性が合いそうかで決めることが先ではないか。

 

l         岸本洋一郎氏

(1)   学生時代にやっておくべきこと

人生の中で学生時代は、人生の友を得る大きなチャンスであり、自らの趣味を見出すチャンスでもあるから、そうしたマインドを持って過ごしたら良い。

社会に出て遭遇し、あるいは取り組むことになる技術上の問題は、教科書には書かれていない問題ばかりである。解決には基礎力と応用力が同時に必要になる。したがって学生時代にこうした力を磨く勉強と訓練をしておくのが良い。

私自身学生時代の様々な活動を通じて学んだことの一つに、「与えられた状況のなかで自ら引受けたことには責任を持ってあたらなければならない」というモットーがある。最近ある政治家が、「ブレない、こびない、投げ出さない政治を」ということを言っておられるが、「ブレ、こび、投げ出す」ことが平気で行われる風潮への戒めでもあろう、最近の日本の社会に、こうした乱れを感じる。しっかりした生き方の基本を身につけるのも学生時代ではないかと思う。

(2)   こんな部下がほしかった

どんな仕事でも、それを成し遂げるためには、多くの人々の理解と協力が必要であり、部下の協力、助言も重要な部分を占める。仕事の大きな目的に向かってそれぞれが努力を払うことを理解し、人々と協力し、ひとつひとつの課題解決に向かって、共感しつつ共に前に進む、こうしたことに喜びを感じるチームが理想である。

もうひとつ、技術の仕事は、その現場にそのすべてがある。現場には、ハードウェア、ソフトウェア、設計図書、マニュアル、記録等の現物があり、そしてその現状を知る現場マンがいる。現場において、技術の状況をどれだけ的確に把握できているかが、技術マネジメントの成否を握る。ここでもやはり人の役割が圧倒的に大きい。技術は正直であり、手を抜けばそれなりの反応しかしない。技術と真摯に向き合うことのできる人材が最も貴重である。

(3)   よい会社・悪い会社(会社選びにポイント)

初めから良い会社、悪い会社があるわけではないし、何を以て良い悪いと言うかも様々であろう。ただ、どのような会社や組織であれ、それを支えるのは結局人であるから、人を大事にするということ、したがってコミュニケーションの面で風通しの良いことが、発展する組織には不可欠の条件のひとつだろう。

もうひとつ、経験的に言えそうなこととして、どんな組織でも、同じミッションのまま30年経ったら様々な組織病にかかり、変革を必要とする事態に至るということがある。実際に私も経験した。何十年もの間ひとつの固定的方針でいたら、世の中の変化や技術の革新に対応しきれず、したがって企業組織と社会の間に乖離が生じ、改革と是正を必要とすることになるということである。皆さんが社会人として活躍するこれから何十年かの間には、こうした改革を一度は経験することになるのではないかと思う。社会の変化や技術の革新に対して、対応力と適応力に優れた組織が望ましいということになる。

 

以上