SNW学生とシニアの対話イン愛知教育大学2008

 最終報告書

平成21年2月28日

SNW代表幹事 金氏 顕

 

平成19年12月8日に続き、2回目の対話を下記日程、参加者、テーマで開催した。前回の経験を踏まえ、社会科学生も参加、中高の現役教員、更に長崎大先生も体験参加、午前に基調講演をし、午後は対話に十分な時間を割いて行った。結果は参加者の感想に見られるように大変効果的で、この活動を継続、また他大学へも展開を図ることとしたい。

 

1.          日程:平成20年5月31日(土)

10:25-10:40 開会挨拶:吉田先生、竹内哲夫、参加シニア&オブザーバー紹介:金氏 顕

10:40-12:10 基調講演「エネルギーの現状と未来ーこれからの社会や生活の変化ー」:SNW林勉

13:10-15:00 SNWシニアとの対話(5グループに分かれ、対話)

15:20-16:40  グループ別成果発表・質疑

16:40-17:30  指導講評(SNW:岸本洋一郎、熱田高校大津浩一、愛教大寺本潔、吉田 淳)

閉会挨拶:SNW 益田恭尚、愛教大 吉田 淳

17:45-19:30 懇親会(学生を除く先生、シニア、オブザーバー参加)

 

2.会場:愛知県刈谷市 愛知教育大学自然科学棟2階

 

3.参加者

1.          愛知教育大学

(1)   理科:吉田淳教授、平野俊英准教授、社会科:寺本潔教授

(2)   理科専攻の3年学生:約10名、社会科教育専攻3年学生約10名、大学院生数名

(3)   現職教員:附属名古屋中学校の羽澄先生、教育総合センターの櫛田さん、他

2.          SNWシニア 10名:

石井正則、伊藤睦、金氏顕、岸本洋一郎、斎藤修、竹内哲夫、西村章、林勉、古田富彦、益田恭尚

3.          オブザーバー

藤本 登:長崎大学教育学部准教授、長崎大学エネルギー環境教育研究会(当日16時過ぎに退席)

渡邉泰臣:中部原子力懇談会業務部長

須山 澄:武蔵工大大学院 原子力研究所 修士2年

大津浩一:熱田高校理科教諭

中島拓男:東京電力株式会社 原子燃料サイクル部 課長(処分技術担当)

 

4.          開会行事

 

・開会挨拶 吉田先生、竹内哲夫会長より、それぞれ今回の開催に当たり挨拶と感謝の言葉が述べられた。また、シニアからの、開催意図、学生への期待が述べられた。

・参加シニア紹介&オブザーバー紹介:金氏顕代表幹事より参加シニアとオブザーバーの紹介が行われた。

 

5.基調講演

林勉氏、テーマ名「エネルギーの現状と未来ーこれからの社会や生活の変化ー」

 

愛知教育大学の学生に望むこととして、新しい学習指導要領の要点に関連した話があった。またエネルギー事情を説明するために、以下3つのテーマをもって講演が行われた。『エネルギー・環境問題』、石油天然ガスの限界、化石燃料からのCO2発生、各種エネルギー資源の比較。『これからの社会はどうあるべきか』、CO2発生量の半減/エネルギー自給率の向上、原子力の有効利用を避けて通れない。『原子力が社会に受けう入れられるには?』、放射線、放射能の正しい理解、放射性廃棄物処理問題、安全・安心をどうするか。最後に、エネルギー・環境問題は待ったなしの状況にきている。次世代を担う子供達に真剣に考えさせる教育が必要。子供達に何を教育するか、皆さんも真剣に考え、そのための準備が必要。私たちシニアも出来る限りの支援をしたいと考えています。以上のような教育大学ならではのまとめをした。

 

6.グループ対話

6.1 テーマ

Gr.

テーマと内容

参加シニア・オブザーバー氏名

原子力発電の必要性(エネルギー事情)

伊藤睦、岸本洋一郎

 

世界のエネルギー資源争奪、我が国のエネルギー自給率など

 

放射線の性質と利用(放射性廃棄物の処理を含む)

竹内哲夫、斎藤修

 

自然放射線と人工放射線、放射能、放射線利用(工業、医療、農業)、

藤本登

 

高レベル廃棄物地層処分は電事連DVD活用

 

原子力発電所の安全性(放射能漏れ、耐震性など)

林勉、金氏顕

 

技術安全、我が国&世界の原子力事故、

大津浩一

 

耐震安全(特に柏崎刈羽地震、浜岡耐震強化の例)

 

限りある資源と地球環境問題(グリーンエネルギーの活用を含む)

益田恭尚、石井正則

 

ウラン資源量、核燃料サイクル、新エネルギー

渡邉泰臣

エネルギー教育のあり方(小、中学校における課題と方法)

古田富彦、西村章

 

色々な教材、機材、教育方法、など予め調査の要あり

須山澄

 

(吉田先生の補足説明)

●学生からの質問は、昨年度と同様に、放射能漏れや廃棄物処理、耐震性などが多いようです。エネルギー事情などの社会、経済、国際情勢などの全体的な視野に欠けています。

SNWシニアの皆様には、部分的な課題に対する問題解決ではなく、資源や経済産業などとエネルギーにおける世界(特に日本)における特質と役割から、日本人として必要な「エネルギーリテラシー(素養)」とは何か、また、小、中学生に対するエネルギー教育(これはむしろ、私たち教育者の領域?)まで、幅広くご示唆をいただきたいと思います。

 

6.2 グループ別成果発表・質疑

Aグループ『原子力発電の必要性(エネルギー事情)』

原子力発電所の必要性 化石燃料に頼らず、CO2を排出しないこと、発電に必要な燃料が少ない、プルサーマルや高速増殖炉など、燃料の再利用も可能など利点が発表された。そんな中、原子力発電が日本で受け入れられにくい理由と原子力発電の浸透について述べられた。浸透に必要とされるのは『国民全体への教育』を掲げ、フランスでは8割の賛成、アメリカでは6割の賛成があるのは、教育がしっかりしているからとの例をとし、信頼関係を深めることを提案した。また現状の高校物理では、放射線は選択範囲であり、必須範囲ではないとされ、必要性について再認識が必要であると発表された。

フロアからの補足、質問は以下の通りである。

原子力の話をされましたが、今日の対話で、賛成ですか?国民の教育に対して、最後にどうすべきであるか?プルサーマルとはどういうものなのかの説明があった。

 

Bグループ 『放射線の性質と利用(放射性廃棄物の処理を含む)』

社会科専攻、理科専攻の両面からの発表が行われた。

(社会科の教員に求められること)

自然放射線と人工放射線、放射能、放射線利用(工業、医療、農業)、高レベル廃棄物地層処分は電事連DVD活用に付いての発表があった。放射線の利用について、正しい理解を得ることが出来た。放射線=危険。放射線は身近に利用されることを知った。放射線が危険であるとおもったのは、日本に落とされた二つの爆弾のため。それを払拭するのがわれわれ社会科教員に求められることなのではないか。小学校の子供たちにどう教えればいのかについて、話し合った。午前中にうけた講義26ページを参考に、自然界にあるということを、子供たちにみせ、関心を広める、原子力の利用を教える。放射線が危ないといっているのは、身近で使われていることを知らず、感情面でしか判断をしていないのではないか、影響はメディアにあるのではないかということを感じる。学校教育で教えないといけないと、歴史面、社会面を捉えた発表であった。

(理科教育から見た面。)

原子力発電は、好き嫌いを問わず、必要であることがわかったのだけど、そのためには放射能や放射線の理解をしなくてはいけない。原子力の分野だけでなく、理科で単独に、放射線、放射能を取り扱う授業をするべきだ。放射線をある程度浴びるのであれば、健康であるという話をされて驚いたこと、放射線と放射能の区別が出来ていない現状を話された。

フロアからの捕捉、質問は以下の通りである。

日本の原子力は教育で原子力をここまで抹殺してきたのになぜ技術はここまで技術は進展してきたのか?原子力発電所が今後世界で増えて行く。そして、今後の発電所の建設には日本ほど、真面目にやる国はないと評価されているとの補足があった。

 

Cグループ 『原子力発電所の安全性(放射能漏れ、耐震性など)』

原子力発電所の安全性(放射能漏れ、耐震性など)、技術安全、我が国&世界の原子力事故、耐震安全(特に柏崎狩場地震、浜岡耐震強化の例)が行われているとの発表があった。

また原子力発電所の『安全』と『安心』について話し合い、英語で言う『安全』『safety技術』であげられること。『安心』とは日本独自の言葉であり感情的なもの、英語にはないことに触れられた。

 

安全について

活断層の上には建設しない、岩盤の上にじかに建設する。最大の地震を考慮して設計している。信頼性の高いプログラムを使用して設計評価する。大型振動台により実証試験をしている。大きな地震には自動的に運転を停止する。津波に対しても対策をして、チェルノブイリなどの事故が日本で起きないように、企業努力が行なわれていると発表

 

安心について

原子力発電所の安全性についてもっと理解できるための活動を積極的に実施

     正しい情報を知ること

     NIMBYからPIMBY

もんじゅ事故はナトリウムの漏洩だったけど、ナトリウムの危険は少なく、安全性を理解していなければ安心を得ることは出来ない。最新の知識を得ることが安心に繋がる。

     マスコミに惑わされない。

マスコミの話に惑わされてしまうことは多い、それに惑わされないことが大事。

安全面だけでなく、安心面をサポートしていかないといけない。原子力発電所の安全性はわかったが、安心であるとはまだ思えない。昔からの刷り込みは大きい。安全かつ安心であって欲しいから、初等教育から正しい知識を充実させ、偏りなく教育していくことが大事なのではないかと、安心を得るための方法が発表された。

 

対話が白熱し、まとめられなかったことがあったが残念。絶対事故がないってことはありえない、しかしその確率は低いことを正確に伝えることが大事。それぞれの原発の周りにはオフサイドセンターがある。さらに原発10km半径では防災訓練があるという話を聞いた。

 

フロアからの補足、質問は以下の通りである。

放射線を怖がらないのはいいのだけど、今日聞いただけで安心してしまわないで、正しい知識をこれから受けていけばいいのではないか?

通販の話が出たが、通販で反対活動をみたことがあるか?その情報がどこからでていたものか?

社会のかたにも考えを知ってもらえれば、原子力が増えてもいいのではないか?

安全面については納得できたが、安心できたわけではないと学生の意見。

ナトリウム事故がないといっておきながら事故を起してしまったこと、事故映像を採っておきながら、編集してマスコミに流してしまったことから、原子力に対しての不安を抱く。一回不倫をすると信頼を取り戻すことは出来ないと例を挙げた。

もんじゅの取り上げ方は、海外では何も取り上げられているわけではなく、日本人独特、日本人の言霊なのではないか。

 

Dグループ 『限りある資源と地球環境問題(グリーンエネルギーの活用を含む)』

ウラン資源量、核燃料サイクル、新エネルギー

原子力はもちろんですが、そのほかのエネルギーの現状について質疑応答が行われ、その発表があった。

内容は以下の通りである。

現場の技術者シニアの方々には非常に沢山のアイデアがある。事業になるか?実験室で出来て、大規模で出来るのか?が問題になってくる。

現実的なエネルギーで考えたとき、風力や太陽光発電、そして原子力が考えられる。

その中でもクリーンエネルギーを考えると、日本は不利である。風力はドイツに多いが、風力が不安定なときは、フランスから原子力の電気を買える。また太陽光での余剰電力を買い取ってくれるなど政府が守ってくれている。

現在の問題点は、エネルギーが限りある資源でまかなわれていること。原子力発電のマイナスイメージが払拭しきれないこと。知識がないことで恐怖感の倍増すること。

生活に関連付けて教えることで理解の促進、小学校に関しては、放射線を視覚的に見ることのできる実験もある。

 

フロアからの補足、質問は以下の通りである。

なかなか原子力を教えることは難しいから、はかる君や霧箱などを使っていけばいい。

是非何か活用意見があればいいなと。

放射能、放射線を教えなければいけない!

 

Eグループ 『エネルギー教育のあり方(小、中学校における課題と方法)』

まず、教育者として教えるために、教育者自身が知らなくてはいけないと、放射線の種類と放射能。放射線の影響として線量などの話が行われた。また教育者として必要なものとして、『イメージ』を挙げ、視覚的に捉えやすいもの(log表記など一般にはなじみの無い表現をなくす)想像しやすい表現、報道機関によるイメージを自分なりに判断できる育成を目標としてあげた。
 班の総括として行われた、『自分ならこういう教育をする』では正しい知識を身につけさせる。はかるくんを使って実物を知ってもらう。知識が無いから正しいものを理解できないから、身近なものでまずは知識をつけてもらう。原子力のイメージを一新させるためにドラマ、映画化をする。自分で判断をできる育成をする。マイナスイメージ、誤解していることを気づかせること。原子力発電所の説明は放射線なくしてできないから放射線をまず教える。教育現場では、やりたいと思える夢を与えることで、その道を知るきっかけをつくる。など、シニア、オブザーバー、学生の全員から、おのおのの視点で発表があった。

 

学生発表光景から・・・

 

7.講評、指導

SNW:岸本洋一郎  

原子力のスケールはlogスケールを意識して行う。まさにlogがないと行えないことであり、教育者として、是非、logスケールをどうやって教えるかを考えて欲しい。

 

熱田高校:大津浩一

熱田高校で仕事をしていると、なぜここで、現場で、こういうことをやっていることを評価されないのか?原子力教育をやりたくても難しく、管理職の壁があついから、そこをうまくやっていける教育者になってほしい。

 

愛教大:寺本潔 吉田淳

安心についての英語はない。安心できるということは信頼できるということだと思う。原子力発電所を信じたわけではなく、今日はシニアの熱意に安心したのではないか?教員になったら忙しく、正しいことをやろうとしたら、ものすごく忙しくなって、こんなことは出来ないけど、今日来ている学生さんに期待をする。数値までを言って初めて安全を言えるとおもう。理科教育の重要なことは情緒と論理性と『夢』を与えていただきたい。原子力を使わなかったときのことを考えてほしい。正しいことを伝えることとそれを膨らませること!

 

8.参加学生、教員の感想(代表的な1件ずつ、詳細は添付−3参照)

(1)学生:原子力について全くと言っていいほど知識がなかった私にとって、午前の講義に始まり、 午後からのシニアの方々を含めたグループ活動はとても有意義なものでした。今の日本のエネルギー危機の問題に始まり、放射線の正しい理解は将来を考える上でとても大切なことだと思いました。また、理科と社会専攻の生徒を対象にすることで「日本人の原子力嫌い」の解決の方法を探ることができました。世代の違うシニアの方々はもちろんのこと、今まで関わりのなかった理科専攻の人たちと交流ができたこと、全体の発表の場を通してさまざまな意見を交換できたことが、本当に自分の成長を高めるものになったと思います。この知識、理解をこのまま自分自身の中に閉じ込めてしまうのではなく、もっと人にしっかりと話せるように学び、将来、授業時間がなかなかとれない中で子どもたちに分かりやすく、正しく原子力について教えたいと思います。これからもこの会が、私たちの後輩へ引き継がれることを願っています。吉田先生を含め、わざわざ遠くから来られたシニアの方々、その他先生方、本当にありがとうございました。

(2)教師:私は、今までエネルギーに関しては小、中、高の学校の授業で行っただけで特別な知識があるわけではなく、また、原子力の必要性についてもそれほど関心を持っていたわけではありませんでした。しかし、このフォーラムを通して原子力、放射線への正しい知識や、これからのエネルギー教育にとても興味を持つことができました。 他のエネルギー資源に比べ原子力には多くのメリットがある点、原子力発電所の安全性や自然放射性物質の存在、普通に生活していても年間1.0mSvの放射線を浴びていることなど今までの原子力に対するイメージを変える内容ばかりで、このことをより多くの人、子どもたちに伝えたいと強く感じました。

しかし、今までの原子力に対する考えで、一つだけ変わらなかったことがあります。それは原子力発電はとても安全で優れたものだとはわかっていても、それが実際に自分の町に建設されることになったら、私はおそらく反対するだろうと思います。それはやはり、議論の対象にもなっていたが、安全とわかっていても安心していないからだろうと思います。現に、原子力はとても安全であるが原子力の発電については反対の意見を持っている人も少なくありません。そのような人たちは原子力について謝った理解していることもあると思いますが、そのような人たちが一方的に間違っていると断言するのも良くないと思います。よって原子力について授業を考えた場合、一方的に原子力は安心だからというのではなく、反対している人の意見も尊重していくことが大切だと思いました。原子力の必要性を学んだ上で生徒にはより多面的に物事を考えることが大切であると思うので、なぜ原子力に反対か、問題点は何かを考えることも必要であると思います。さらに言うと、このフォーラムも原子力賛成の一つの視点ではなく、私としては反対の意見を持つ人からもお話が聞けるとよかったと思いました。 ただ、まだエネルギー教育については考え始めたばかりで、知識は何もない状態なので、このような機会を与えていただきうれしく思います。とても充実した時間を過ごすことができました。

 

9.参加シニア、オブザーバー(代表的なもののみ、詳細は添付―4,5参照)

(1)シニア(竹内哲夫):吉田先生の類稀な情熱と、地元教育で実務に当たっている大津先生、羽澄先生などが参加されて,段取りから周到に下準備されて、そのため本番でも 順調に行われて成果があったことに敬意と深謝を表します。一般の学生が、それまでの小中高の教育でいかに原子力、放射線などにタッチしてこなかったことは学生との対話で実感しました。放射線、放射能のことなど全く考えた事はなく、ただ、「怖いもの」というのが若者の相場だと分かりました。参加された学生は、純粋無垢で初心で知識欲l旺盛で、短時間に彼等の所信表明に繋がったが、中島拓男さんが指摘したように、反対派の工作にも直ぐに染まる危険な要素を持っている。

エネルギー危機のほうは分かったようだが、「原子力が世間に容認されにくいのは放射能の知識に偏見があるから」という事は若者には分かっていない。「霧箱」実習みたいな物で、偏見の原点を直す必要があると思う。

(2)熱田高校理科教諭大津浩一先生:安全は論理から、安心は感情からくると思いますが、諸先生方の情熱的な態度で、学生さんたちは分析を十分することなく感情から安心側に動いたと思います。批判的精神の欠如という見方もできますが、安全を論理で理解してもらうチャンス(耳目を開いている)とも思います。いろいろなフォローが考えられますが、その 意味で浜岡原子力発電所の見学は効果的な企画だと思います。

(3)藤本 登(長崎大学教育学部准教授):午後は放射線にしか参加できませんでしたが、放射線について何も学んだことのない学生さんに対しては、良い情報提供ができたと思います。特に、家庭科の先生方から学んだ内容と今回の話のギャップに、学生はかなり驚いていました。ただし、この辺りの突っ込みが少なく、個人的には対話会の時には、学生への問いかけを多くして頂きたいと感じました。また、全体を通してですが(15:30までしか居なかったので、それまでですが、)原子力についての理解を深めてもらいたいという気持ちからか、少し姿勢に偏りがあるように感じました。古い言い方かも知れませんが、ベストミックスとしての個人の判断をもう少し促して頂ければと思いました。

(4)渡邉泰臣(中部原子力懇談会):何をおいても、テーマを通じてシニアの方の人生観(大袈裟かもしれませんが)が聞ける点が魅力です。学生さんの参加動機も、お聞きできたらよかったかと思いました。誘われて参加したにせよ「初めて知った」と言われる学生さんは、きっと触発されたに違いないと思いました。

(5)須山澄(武蔵工大M2、学生連絡会運営委員):教えたいことでも、学習指導欄で出てきてしまったものは、やらざる、えないのが教員です。そして教育を社会に浸透させるには20年がかかって出来ることですが、少しずつ、教育を進めていく必要があるのではないでしょうか。また来年も愛知教育大で対話が開けたらと思います。

 

10.愛知教育大学学生の浜岡原子力発電所見学会報告(詳細は添付―6参照)                               

愛知教育大学における5月の対話集会に続く行事として、同大学学生の浜岡原子力発電所見学会が開催された。

10.1.月日

 平成20年6月28日(土)

10.2.参加者

愛知教育大学から理科教育の吉田教授、平野準教授、学生18名、付属高校理科の林田教師、付属中学の理科中村補助員の計22名が参加。

中部原懇からは渡邉泰臣部長、SNWから金氏顯、岸本洋一郎、斎藤修の3名が、掛川駅にて合流し同行した。

10.3.浜岡発電所見学

見学は、涌永隆夫発電部長、酒井弘光原子力館副館長及び同原子力館の女性館員2名による案内で、原子力館から始まり、発電所構内、5号機、研修センターの順に、12時30分から15時30分まで3時間に亘って行われた。2班に分かれて見学したので、金氏さん、岸本さんの意見も含めて述べる。

まず原子力館展望台の眺めに全員感嘆。発電所の全景が眺められ素晴らしい景観である。

また実物大の原子炉模型では、炉心下部の床位置から、炉心断面、原子炉圧力容器断面、冷却系統配管、原子炉格納容器断面などを見上げ、あるいは見渡すことができる。そのなかで、制御棒の動き、炉心水面高さ、水・蒸気系の流路、燃料ペレット、燃料棒他5重の閉じ込め、格納容器の鉄筋コンクリート構造などの説明を聞いた。圧力容器上部からの蒸気の流れを模して配管の周囲に設けられたネオンの照明が光ると、オーッ!!と歓声をあげていた。

5号機を見学。一般見学者の入域は厳しく制限されているが、今回皆さんには特別に発電所内部も見学頂くというアナウンスが学生に伝えられた。制御室をガラス窓越しに見学。2交代の当直シフト表に女性が1名いることに、「給料はいいのでしょうね」と女子学生が興味を示す。この5号機が世界最先端のABWRであると説明があった。

原子炉格納容器のオペフロの炉心上部、燃料交換機、燃料プールを窓越しに見学。初めて見る原子炉上部の様子に感動したようだった。高圧タービン、低圧タービン、発電機が見えるタービン室を見学。タービン羽根の損傷模型に興味を示した。遮蔽窓の耐震性と厚みにも感心。

研修センターでは、運転員の教育・訓練のため最新の5号機用運転訓練シミュレータを見学。湧永部長に誘われて手を挙げた3人の女子学生が手動スクラムのボタン押し操作を順次体験。スクラムした時、ディスプレイに複数のレベルの警報・情報が順次表示される様子を見て、システムの高度さ、複雑さを理解した様子。これだけの規模のシミュレーション・ソフトを作るのも大変だとの感想もあった。一通りの訓練を終え一人前の運転員となるのに4年を要すると聞き、納得していた。

「トラブルの歴史」コーナーでは、蒸気配管曲がり部のスチームによる減肉の実物(関電美浜3号機よりずっと早く経験)、平成13年11月に浜岡1号機で起こった余熱除去系蒸気凝縮系配管にたまった水素が急速に燃焼し破断した事故の配管の実物、平成18年6月に発生した浜岡5号機低圧タービンの損傷した羽根の実物など、その時々の新聞記事などと併せ展示してあるものを見学。最初の原子力館での概況説明時に、余熱除去系配管での水素爆発事故の原因はとの質問があり、これについては「曲がりをもち、水素がたまる可能性のある配管に設計変更されたのは、当社の技術力の不足。」との説明であった。

 

10.4.質疑

見学中にあった質問の一部について帰りのバスの中で追加のQAを行ったが、主な質問は以下の通り。

Ÿ           放射線の生物影響、特に低レベル放射線の人体への影響は?

Ÿ           タービンが放射性物質で汚れるので、タービンの分解点検は設置場所の傍らで行えるよう、建屋内を広く取ってあるという説明があったため、スチームが汚れるのか、なぜ汚れるのか?

Ÿ           北朝鮮で爆破された建造物は何か。(前日の6月27日、北朝鮮・寧辺の核施設にある実験用黒鉛減速炉に付属する冷却塔を爆破する作業が行われ、その映像が放送されたため)。

 

10.5.感想

SNW3人の感想から主なものを取り上げて、次に記します。

 (金氏)昨年に続いて学校での対話の後、発電所見学というパターンは大変効果的であり、彼ら・彼女らの頭の中で将来の授業の構想が具体的にイメージされたように思う。素晴らしい教育者・中電トップの理解・SNWの協力と3者がうまくかみ合ったからである。

帰りのバスで少し対話したが、あまり時間がなかった。もっと学生達から話を聞きたかった。

(岸本)全体に、学生達にとって大変に刺激があり、彼らの興味や疑問に対し手応えのある、充実した見学ではなかったかと思う。さらに疑問などあれば対応してあげたい。将来教師として巣立つ学生へのこうした企画は、その影響と広がりを考えると大変に重要であると考える。

(斎藤)対話集会および発電所見学会を通じて、日ごろの指導の素晴らしさがうかがわれるとともに、学生達の意欲の高さに感心させられた。このようなモチベーションを持ち続けて、エネルギーや環境に関するよき理解者となり、近い将来小中学生の指導に当たられることを祈念する。

 

11.添付資料

添付―1.愛教大学内案内資料

添付―2.学生からの事前の質問

添付―3.学生の感想

添付―4.参加者の感想など

添付―5.参加者からのメッセージ(6月28日の浜岡見学会にて配布)

添付―6.愛教大学生の浜岡原子力発電所見学同行記

 

 

 


添付―1

エネルギー環境教育フォーラム2008

SNWシニアとの対話&原子力発電所見学

in

愛知教育大学

 

(1)第1回目           「エネルギー問題と教育:SNWシニアとの対話」 

平成20年5月31日(土) 10:30-17:15 愛知教育大学自然科学棟2階 

(2)第2回目           浜岡原子力発電所見学   

平成20年6月28日(土)  (第一希望)     6月21日(土) (第二希望)

 

【募集人員】

(1)理科専攻の学生(3年生を原則として):約15名

   社会科教育専攻(3年生を原則として):約15名

   大学院生(M1を原則として)     :数名

(2)現職教員:数名も参加

 

【日 程】

 5月31日(土)10:20                       集合

            10:25-10:40             開会行事

                      10:40-12:10               基調講演「これからのエネルギーの課題」

          12:10-13:10               昼食(希望者には弁当を用意します(\500)

13:10-15:00               SNWシニアとの対話(質問などで6グループに分かれ、対話します。)

15:00-15:20               コーヒーブレーク

15:20-16:40               グループ別成果発表・質疑

16:40-17:10               指導講評

17:10-17:15      閉会行事

 

6月28日(土)または21日(土)9:30〜17:30 浜岡原子力発電所見学

(見学には住所、電話番号、生年月日が必要です)

2008年4月30日までにお申し込みください。<理科教育吉田研究室または社会科教育寺本研究室>

-------------------------------------------- キリトリ-----------------------------――――---―

  (1) 第1回目  (   )   (2)  第1回目  (   )に申し込みます。

 

氏 名             専 攻            学生番号            

 

生年月日   年   月  日

 

住所                       携帯等電話番号              

質問事項などをご記入ください。

 

 

添付―2

学生からの事前の質問

 

次の通りで、基調講演である程度説明し、各グループ対話で更に答える事にしたい。

・これからのエネルギーの課題と教育への適応(教員)

・増加する廃棄物の安全な処理方法

・廃棄物を地中で処理する際の生態系への影響

・放射性廃棄物の反応速度(半減期)を加速(短縮)する方法はあるのか

・原発周辺で発生する地震に対する対策はどの程度か

・原子力以外のエネルギーで、今後有望なものは何か

・原子力発電は二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーですが、原料の枯渇や廃棄物の問題はどうか

・原子力発電の原料は、60年程度で枯渇すると言われていますが、その後はどのような発電方法になるのか

・原子力発電の使用済み燃料の処理方法は、また、再利用はできるか

・原子力発電所の安全性はどの程度か。希に放射能漏れがあるという報道があるが、健康上の被害はないのか

・もし、化石燃料が枯渇してしまったら、どのような世界(生活から産業経済)になるのか。また、それまでに代替燃料は間に合うのか

     原子力発電、火力発電、水力発電を比較し、それぞれのメリットデメリットは何か


添付―3

SNW対話イン愛教大2008学生の感想

平成20年5月31日開催

1.       「エネルギー問題と教育」について学んでみて、原子力発電所の重要さと安全性がよく分かりました。SNWシニアの方と対話を通して初めて知ることがたくさんあり、貴重な時間でした。今回学んだことを踏まえて、原子力発電所に対して今まで否定的に考えていた自分の考えを見つめなおし、肯定的に理解していきたいと思います。また、原子力の社会受容性向上に向けて、小学校や中学校で正しく教えられるようにしていきたいと思います。

 

2.       (小学校教員)昨日はSNWシニアとの対話に参加させていただきありがとうございました。昨年度も参加させていただきましたが,午後の対話では,様々な話し合いができ有意義な時間を過ごすことができました。さすが,シニアの方々は深い知識をもっていらっしゃり,原子力発電の仕組みや,放射線・放射能に対する正しい知識伝達の重要さを再認識することができました。

私は,小学校教諭で,エネルギー教育を行うにはクラブの時間や総合の時間でできるのではないかと思いました。理科の時間で詳しく行うには,まだまだ時間が十分に取れないかもしれないとも思いました。しかし,エネルギー問題は地球環境問題と密接しており,重要なもので伝える必要を十分に感じました。

 

3.       私は、今までエネルギーに関しては小、中、高の学校の授業で行っただけで特別な知識があるわけではなく、また、原子力の必要性についてもそれほど関心を持っていたわけではありませんでした。しかし、このフォーラムを通して原子力、放射線への正しい知識や、これからのエネルギー教育にとても興味を持つことができました。 他のエネルギー資源に比べ原子力には多くのメリットがある点、原子力発電所の安全性や自然放射性物質の存在、普通に生活していても年間1.0mSvの放射線を浴びていることなど今までの原子力に対するイメージを変える内容ばかりで、このことをより多くの人、子どもたちに伝えたいと強く感じました。

しかし、今までの原子力に対する考えで、一つだけ変わらなかったことがあります。それは原子力発電はとても安全で優れたものだとはわかっていても、それが実際に自分の町に建設されることになったら、私はおそらく反対するだろうと思います。それはやはり、議論の対象にもなっていたが、安全とわかっていても安心していないからだろうと思います。現に、原子力はとても安全であるが原子力の発電については反対の意見を持っている人も少なくありません。そのような人たちは原子力について謝った理解していることもあると思いますが、そのような人たちが一方的に間違っていると断言するのも良くないと思います。よって原子力について授業を考えた場合、一方的に原子力は安心だからというのではなく、反対している人の意見も尊重していくことが大切だと思いました。原子力の必要性を学んだ上で生徒にはより多面的に物事を考えることが大切であると思うので、なぜ原子力に反対か、問題点は何かを考えることも必要であると思います。さらに言うと、このフォーラムも原子力賛成の一つの視点ではなく、私としては反対の意見を持つ人からもお話が聞けるとよかったと思いました。ただ、まだエネルギー教育については考え始めたばかりで、知識は何もない状態なので、このような機会を与えていただきうれしく思います。とても充実した時間を過ごすことができました。

 

4.       今回の参加によって角界の重責を担ってこられた方々と対話させていただき、とても良い経験になりました。今まで核兵器や原子力についてはあいまいな知識のままですごしてきてしまいましたが、子どもたちに正しく教えるためにももっと勉強していかなければならないと感じました。またあれほどの年齢層の中での発表も貴重な経験になりました。ありがとうございました。

 

5.       最初は本当に役に立つのかと疑っていました。しかし、いざSNWシニアの方々と対話をしてみて本当に楽しかったとともに、将来子どもたちに教えてあげられる知識を得ることができました。今では当初のつまらないのではないかという考えは微塵もなく、シニアの方々に対し感謝の気持ちでいっぱいです。今回の対話をとうして、今月の28日の浜岡原発で、原子力発電とはどのような施設で行っているかを確かめる目でしっかりと見てきたいと考えています。

 

6.       エネルギー教育や(一時的な代替としても)原子力発電の必要性などに触発され考えていくよいきっかけになり、シニアの方々との対話は広い視野の考え方など多く学ぶところがあり、とてもいい経験になりました。

 

7.       まず率直な感想としては今回の会に参加するまでの、原子力を中心としたエネルギーに対する漠然とした自分の考えや印象が実際とどれだけ異なっていたか、という驚きでした。自分はこれまで原子力エネルギーの内容や、それを利用した発電について特に注目することなく、メディア等で放送される原子力発電・原子力エネルギー利用への否定的な活動や意見をそのまま鵜呑みにして、単に「危険なもの」と認識していました。しかし、SNWシニアの方々との対話でいかにその認識が誤ったものであるかを痛感しました。原子力発電のシステムといった具体的なものだけではなく、放射線,放射能といった基礎的な言葉の意味さえ正しく理解していなかったことを改めて知り、根本的な部分さえも理解することなく否定的な考えを持っていたことを恥ずかしく思います。

自分のような誤った先入観にとらわれて否定的であることが、原子力エネルギーだけでなくこれからの日本,世界に必要とされる重要な技術やシステムの導入・推進することを制限してしまうのであれば、開発・推進側としてそれほど悲しいことはない、もっと原子力について知ってほしい、という熱い思いをシニアの方々から強く感じ、誤った認識を持った人々に本当の意味を知ってもらえる場面を儲けること、そして次の世代を担う子供たちに早期からのエネルギーに対する正しい知識を教えるエネルギー教育の必要性を実感しました。

 

8.       原子力について全くと言っていいほど知識がなかった私にとって、午前の講義に始まり、 午後からのシニアの方々を含めたグループ活動はとても有意義なものでした。今の日本のエネルギー危機の問題に始まり、放射線の正しい理解は将来を考える上でとても大切なことだと思いました。また、理科と社会専攻の生徒を対象にすることで「日本人の原子力嫌い」の解決の方法を探ることができました。世代の違うシニアの方々はもちろんのこと、今まで関わりのなかった理科専攻の人たちと交流ができたこと、全体の発表の場を通してさまざまな意見を交換できたことが、本当に自分の成長を高めるものになったと思います。この知識、理解をこのまま自分自身の中に閉じ込めてしまうのではなく、もっと人にしっかりと話せるように学び、将来、授業時間がなかなかとれない中で子どもたちに分かりやすく、正しく原子力について教えたいと思います。これからもこの会が、私たちの後輩へ引き継がれることを願っています。吉田先生を含め、わざわざ遠くから来られたシニアの方々、その他先生方、本当にありがとうございました。

 

9.       今回のフォーラムに参加する前は、放射線や原子力発電所の知識なんて全く有りませんでした。しかし今回、講義を受けたりシニアの方々と対話をしたりする中で、放射線の正しい知識や、原子力発電所について知ることができました。中でも放射線は私たちの身の回りにたくさんある事を初めて知り驚きました。その他にも、5重の壁があるという原子力発電所の建物の構造や、効率の良さなどを知る良い機会になったと思います。

地球温暖化対策で二酸化炭素削減を目指すための原子力発電所の役割は大きいものになっていると感じますが、正直日本国民が受け入れる状況であるかは疑問を感じます。今回、原子力発電所について学んだ私でも明日私のうちの隣に原子力発電所ができると言われたら、まだまだ受け入れられないと思います。自分が納得いくまで調べたり知ろうと努力しなければいけないと思います。そして、国民全員の理解を得るためには、やっぱり信頼を築いて安心できるまで安全についてなど十分知らせないといけないと思います。

これから、効率の良い太陽光発電など新しいエネルギーを開発するにしても、原子力発電は必要だと思います。これから、子どもたちに放射線や原子力発電についての正しい知識を教えられる教師になれるようさらに理解を深めようと思います。

 

最後になりましたが、このフォーラムに参加できて本当に良かったです。

お忙しいシニアの皆様にも対話に参加頂き感謝しています。

また、このような機会があったら参加したいです。


添付―4

 

SNW対話イン愛教大2008 参加者の感想など

平成20年6月14日

 

1.はじめに

5月31日に開催した「学生とシニアの対話イン愛教大2008」にSNW側から参加したSNWシニア会員10名とオブザーバー参加した4名の方々から次の項目で感想やご意見を頂きましたので、それぞれ50音順で掲載しました。これから@、A、Bなどに個別に括ってそれぞれ報告書、愛教大へ提出などします。

 

@対話会の感想など⇒報告書、HPに掲載します。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営などについてのご意見、要望など⇒次回以降に反映します。

B対話相手の学生、先生へのメッセージ⇒纏めて愛教大にお伝えします。

Cその他、ご意見などありましたら。

 

2.SNWシニア会員

◆石井正則  

@対話会の感想など

今回は理科の他社会科の先生を目指す学生も交えての対話で、シニアとしてもやりがいのある会となった。放射線が簡単に測定でき、また霧箱で見ることもできることがわかってもらえれたと思う。また、環境、資源問題、さらには温暖化の影響は地域により様々なことを、社会科を目指す学生にも理解してもらえたことは、有意義であった。吉田先生、羽澄先生、大津先生の熱意には頭が下がる思いである。

A準備、スケジュール、当日の運営など

午前中に講演を行ったことは、午後の対話に余裕をもって望め、良かった。

B学生へのメッセージ

理科の先生を目指す学生に:放射線は簡単に実験で確かめることができるので、ぜひ活用してもらいたい。社会科の先生を目指す学生に:温暖化の影響が各地で現れている。地理などでも取り上げてもらいたい。

Cその他意見

長崎大、静岡大など、この輪が広がる見通しができたことは、大変喜ばしい。

 

◆伊藤 睦

@感想

今回は社会学科の学生さんと教師も参加されて昨年とは少し違って、雰囲気が和やかで柔らかく感じた。今回も前回同様、学生さんがあまりにも率直に我々の話を受け入れてくれたのには少し戸惑いを感じが、逆にいえば、無垢で純粋な彼(彼女)等にこそ、この様な活動が大切ということを実感した。

A当日の運営などについて

吉田先生の指揮の基で、準備が良く行きとどいており大変よ良かった。

一つだけですが、最後の懇親会はやはり学生さんも出席して、立食形式の方が良いと思います。

B学生、教師の皆さんへのメッセージ。

純粋で無垢な学生さんに正しい知識を与える先生方の任務は大変重要です。学内の協力がなく御苦労されて居るようですが、日本人の科学リテラシー向上のためにも、ご健闘を期待します。

学生さんについては、我々の話だけで納得しないで、もう一度書物を紐解いたり、自分でインターネットで多面的に情報を調べた上で、納得するよう努力して欲しい。

 

◆金氏 顕

@     感想:昨年に続き2回目の教育系で同じ愛教大での開催は、昨年は初めてでもあり吉田教授の責任で行える理科専攻学生だったが、その成功を基にこの活動に大変関心をお持ちの社会科専攻の寺本教授に声をかけて2回目の今年は社会科専攻学生にも対象を広げたのは大きな試みだった。私は対話グループはBで、理科と社会と半々だったがエネルギー、原子力、放射線に関しての基礎知識は元々両方とも同等に少ない状態なので対話は問題は無かった。しかし、発表の段階になって両者が一つの発表をせず別々の発表をしたのは、受け取り方や今後の教育に求められることが異なると認識していると知り実に興味深かった。この学生達が原子力や放射線について同じ知識レベルでそれぞれ別の観点から生徒達に授業をすることは大変に有意義なことと思われる。彼ら彼女らの最大の共通関心事はやはり放射線、今年は秋に長崎、冬に静岡で教育系が予定されているので、放射線についての話、教材、機材をもっと充実させる必要がある。

A     運営など:2回目だったので事前の準備も前回より軽くて済み、当日も殆ど困らなかった。特に10時半から午前中に基調講演を済ませ、午後は対話とその纏めに十分な時間を割くことができたのは大変効果的で、原子力系大學との対話でも時間が許せばそうしたい。事務的なことで反省点は、基調講演などの資料のコピーをカラーで大學にお願いした為にかなりの出費を負担していただいたこと、吉田先生には請求をお願いしたが愛教大は大きな大學で予算的にも余裕があり固辞された。今後は原文振の原子力有識者派遣事業にもなるので、資料のコピーは原文振に大學への郵送含めお願いすることとしたい。

B     学生や先生へのメッセージ:自然資源の無い我が国が海外から資源(エネルギー、鉱石等)や食料を輸入できるのは自動車やデジタルデバイスをはじめ工業製品輸出による貿易黒字のお陰。これらを支えているのは優秀で豊富な科学技術人材とそれを支える社会の仕組み。人材こそが我が国の最大唯一の資源です。皆さんは我が国、そして社会の成り立ち、仕組みについて高い視点からの情報を常に仕入れて、それらを如何に生徒達に学校教育を通じて興味を持って学んでもらうかに尽力していただきたいと思います。21世紀の我が国の帰趨は教育にあり、皆さんの双肩にかかっているといっても過言ではありません。

 

◆岸本洋一郎

@教員養成系大学での学生とシニアの対話は、昨年12月に愛知教育大学で初めて行われ、今回2回目も同大学で行われました。まずは理科教育ご担当の吉田淳先生の熱意とご努力の賜物と思い、感謝致したいと思います。

1回目は主に理科教育専攻の3年生が対象でしたが、今回は社会教育専攻の学生にも声をかけ、参加がありました。また、前回同様、現役の教員の皆さんの参加もありました。

今回の対話を通じて認識を新たにしたことが何点かあります。

理科系、社会系のどちらの学生にも共通のこととして、

a.放射線、放射能なることばは、皆さんにとって、危険、怖い、おぞましい、といった響きを伴うものであること

b.「原子力」についても、多くの皆さんがネガティブなもの、あるいは無しに済ませればいいもの、といった感覚を持っていたこと(今回の対話の前までは)、であります。また、初等中等教育で原子力がどのくらい触れられているか、愛教大附属中学校、附属高等学校の場合、

c.中学校の教科書には、理科/社会に数行の記述

d.高校では、物理IIを選択し、かつその中の最後の部分「原子と原子核」を教える場合に3ページ程度が現状ということであります。

新しい学習指導要領では、中学の理科で、エネルギー資源の利用や科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深める一環として、様々なエネルギーとその変換利用を学習(従来の指導要領でも様々なエネルギーのひとつに原子力は入っていましたが、エネルギー変換については、従来の指導要領では触れていません。)することと併せ、さらに「放射線の性質と利用にも触れる」こととなる(これは昭和44年以来のことといいます。)ので、当面その教材や教育方法など、準備が大切であり、またそのための関係者の支援も重要になると思われます。

教育系の学生と対話をさらに進めていくにあたっては、今回は益田さんの「−放射線の話―」や「はかるくん」が用意されましたが、そうした新学習指導要領への現場での対応にも役立つよう、工夫し準備することが今後とも肝要かと思いました。講義中に回した「はかるくん」のクリック音は今回も効果的であったと思います。

A準備、スケジュール、当日の運営など

午前中の講演は、エネルギー環境問題全般に亘る内容であり、教員志望学生対象にふさわしいものでしたが、やや時間不足気味でした。

B学生、教師の皆さんへのメッセージ

エネルギー問題、環境問題は、世代を超え、国境を越えて解決に向け努力を続けるべき問題であり、人類の知識と技術と知恵を必要とするものですので、皆さんの努力で道が開かれると期待しております。

 

◆斎藤 修

@対話集会の最後の学生の報告をう聞いて、我々の説明が素直に受け止められているのが、わかり安心しました。余分な情報が入っていない分、理解が早かったのだと思います。若い人には可能な限り早く、正しい情報を伝えることが肝要であると、改めて感じました。そういう面から言うと、我々シニアのやるべきことがまだ沢山あるとおもいます。

A吉田先生をはじめ学生の皆さんの準備のよいことに感心しました。改めて感謝申し上げます。

B今回の集会を機会に、いろいろな人の意見・感想を聞くことに、関心を持ってもらいたいと思います。

C益田さんのご紹介で、大津先生の放射線に関するご質問に答えてあげました。お役に立ったかどうかはわかりませんが。

大津先生のような小中学校の先生の参加は、大変よいことと感じました。教育経験のある、いわば教育大学生の先輩にあたる、現職の先生の語る言葉は、大変重みのある言葉だと思います。

 

◆竹内哲夫

@対話会の感想など

a.吉田先生の類稀な情熱と、地元教育で実務に当たっている大津先生、羽澄先生などが参加されて,段取りから周到に下準備されて、そのため本番でも 順調に行われて成果があったことに敬意と深謝を表します。

一般の学生が、それまでの小中高の教育でいかに原子力、放射線などにタッチしてこなかったことは学生との対話で実感しました。放射線、放射能のことなど全く考えた事はなく、ただ、「怖いもの」というのが若者の相場だと分かりました。

b。参加された学生は、純粋無垢で初心で知識欲l旺盛で、短時間に彼等の所信表明に繋がったが、中島拓男さんが指摘したように、反対派の工作にも直ぐに染まる危険な要素を持っている。

エネルギー危機のほうは分かったようだが、「原子力が世間に容認されにくいのは放射能の知識に偏見があるから」という事は若者には分かっていない。「霧箱」実習みたいな物で、偏見の原点を直す必要があると思う。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営 次回以降

学生を交えて、終了後  短時間でもビール会でも行ったらどうか?未成年で飲酒禁止か?他大学並みにやるべきだと思った。

 

◆西村章

@感想

・学生さんと、先生が一緒に参加されたのが良かった。私達SNWと学生さんの間に入って頂いて、助言や支援をして頂いたのが双方にとって大変有益だった。

・今回、初めて原子力についてまとまった話を聞いたと学生さんは言われていたが、それにしては、理解も早く、また短時間で良くまとめられて、発表も立派であった。

・学生さんが素直すぎると言う意見が一部にあったが、やはり、本物を見分ける目はあると思う。これまでのマスコミ報道などから原子力や放射線に対するネガティブキャンペーンは十分にご存知のはずで、その上で今回の受け止めに繋がっていることと思う。

A当日の運営などについて

・吉田先生のご尽力により、準備は大変良く行きとどいており、深く感謝。

B学生、教師の皆さんへのメッセージ

マスコミ始めとした、原子力への批判や、事実無根の反対運動等が多い環境下でのエネルギー教育は大変ご苦労のこととお察しします。一人一人の力には限りがありますが、少しずつでも皆さんが努力され正確な知識を生徒さんに伝えて行くのが結局は、大きな力に繋がると信じています。

子供さんたちの可能性は大変大きなものがあると思います。その子供さん達が自分達の未来に夢を持って誇りを持って(できれば原子力やエネルギーに少しでも関連する分野に)取り組んで行けるよう是非、指導して上げて頂けたらと思います。

 

◆林  勉。

@対話会の感想

全般的な感想としては、吉田先生のご努力により、充実した良い対話会ができたと思っています。対話グループが学生さんたちの興味のテーマごとに分けられていたので、集中的にかなりまとまった話が出来たように思います。学生さんたちの発表は、大変に素直で学んだことをしっかり理解し、これを将来活かしていこうという意欲も示され素晴らしいものであったと思いました。願わくはその場だけの一過性に終わるのではなく、今回の学習がきっかけとなり、学生さん達自らが学び、生徒達への教育に結び付けていただけたらと思います。

今回は吉田先生のご要望で前回と同様な内容で基調講演をやってくれと依頼され準備しました。新しく反映すべきこととして、「新しい学習指導要領」と「中越沖地震」への言及を織り込みました。それと約半分の学生が社会科の学生ということで、より具体的に分かりやすく説明することに心がけたため前半がやや丁寧になり後半は時間の関係でややはしょり気味になり、わかりにくかったかと反省しています。ただ学生達の反応を見ながら話しましたが、ほぼ全員がきちんと聞いてくれており、その点愛知教育大の学生さん達のレベルは確かなものと感じました。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営など

特にありません。

B対話相手の学生、先生へのメッセージ

私達のCグループのテーマは、安全・事故対応等でしたが、学生さん全員の質問に効率よく答

えることが出来たと思っています。このテーマだけでも学生さんたちの疑問点は多くあり、所定の時間では不足ぎみでした。従って対話というよりは質疑応答の時間が多かったということで反省もありますが、それだけ理解も的確に深く出来たのではないかと感じています。このようなやり方で良かったのか参加された学生さんたち、先生方の感想をお聞きしたいと思っています。

学生さんたちは、率直に疑問点、不安な点を述べてくれました。発表ではこれに対する理解がしっかり示されていたと思います。参加された先生方はその経験から的確な助言をしていただいたと思っています。

 

 

◆古田富彦

@対話会の感想:

理科のみならず社会科志望の学生も対話の対象に入れたことは啓蒙活動として大変よかったと思います。参加した学生は前向きに真摯に対応し分かりがよいと感じましたが、1回のみの対話会では知識は十分に定着しないので6月28日(土)に浜岡発電所見学会を計画されたことは「百聞は一見に如かず」の例えのとおり意義あるものと思います。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営など:

全般的にはスケジュールがよく準備されていて充実した良い対話会であったと思います。 Eグループで「はかるくん」を用いた授業案を提示しましたが、紹介のみで試行する時間がほとんどなく、大津先生のご提案のように昼食時などに自由に自然放射線を観察してもらうのもよい試みかと思います。

B対話相手の学生、先生へのメッセージ:

原子力、放射線、放射能と聞いただけで危険、怖い、おぞましい、と感じられるのはリスク認知の観点から無理もないと思いますが、放射線被曝(シーベルト)によるリスク(身体的影響と遺伝的影響)を定量的に把握して正しく怖がって下さい。

同時に、日本のエネルギー自給率(4%)、迫り来る化石燃料の枯渇、石油価格の高騰、二酸化炭素排出量の低減、新エネルギー活用と省エネルギーの限界等の観点から原子力発電が切り札であることを理解して下さい。

Cその他、ご意見:

参考として、なぜ一般の人々は比較的小さなリスクを強く怖れ、確実に大きな危害につながるリスクをそれほど怖れないか、を理解するのに役立つ「リスク認知因子」は、以下の10項目です。(ハーバード・センター広報誌、2003年6月)

1.恐怖心(それが怖いか)

2.制御可能性(自分でコントロールできるか)

3.自然か人工か

4.選択可能性(自分で選択できるか)

5.子供の関与(子孫に影響するものか)

6.新しいリスクか(未知であるか)

7.意識と関心(よく知られていてより深い関心が寄せられているか)

8.自分に起こるか

9.リスクとベネフィット(便益)の取引(リスクに伴う便益はあるか、便益の有無でリスクが小大に認知される)

10.信頼(信頼できるか)

 

 

 

◆益田恭尚

@対話会の感想

:吉田教授の努力と周到なアレンジ、大津先生や羽澄先生の熱心さには頭が下がる。学生の大部分は今までエネルギーや放射線に殆ど関心がなかったのに良く参加してもらえた。質問意見を云ってもらうよう努力したが、どうしても一般的な質問になってしまい。シニアーが説明役に回ることになるが、理解は早いように感じた。以前も別な対話会ででたと記憶するが「放射線がそんなに怖いものではなさそうだということは理解できたが、今まで怖い怖いとの印象が刷り込まれていて、そう簡単に考えは変えられない」という感想は正直なところであろう。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営などについてのご意見、要望など

:午前講演午後座談会は非常に良かった。

レピーターは含めないで、社会科の学生が入ったのは一つの試みとしてよかった。

若しレピーターで希望者がいればレピーターのグループを追加しては如何

B対話相手の学生、先生へのメッセージ

:早速羽澄先生からのお礼状、大津先生からのお礼と質問を頂き対応した。

Cその他、ご意見などありましたら。

:先生方から40年近くの空白を経ての教育指導要綱の改定で、今後の方向は見えないもののなんらかの対応が必要であるとの認識が提示されたが、今後は教員養成や再教育等についてもっと広い範囲のシニアが出来るだけのことをしなければと思う。

 

2.オブザーバー参加の皆様

◆大津浩一(愛知県立熱田高校教諭)

@対話会の感想など

安全は論理から、安心は感情からくると思いますが、諸先生方の情熱的な態度で、学生さんたちは分析を十分することなく感情から安心側に動いたと思います。批判的精神の欠如という見方もできますが、安全を論理で理解してもらうチャンス(耳目を開いている)とも思います。いろいろなフォローが考えられますが、その 意味で浜岡原子力発電所の見学は効果的な企画だと思います。

 A準備、連絡、スケジュール、当日運営などについてのご意見、要望など

はかるくんの音は効果的だと思いました。試料も適当においておけば、昼食時などに興味を持って、自然放射線を観察してもらえるかと思いました。

B対話相手の学生、先生へのメッセージ

Cグループで発表した院生さんの発言は現実だと思います。子供のころからの間違った(あるいは正しい)イメージは、論理ではなかなか変わりません。ぜひ、子供へのアプローチをお願いしたいと思います。

 Cその他、ご意見などありましたら。

改めて、吉田先生はじめ、大学の諸先生方とSNWの諸先生方の熱意と、その活動の有意性を感じました。

 

◆須山 澄(武蔵工業大学M2)

@対話会の感想など

学生の私から見た感想を述べさせていただきますと、原子力の知識がないせいか、質問ばかりになってしまい、学生からの主張を聞くことが出来なかったのが残念です。しかし、発表のしかた、まとめかたなど、聞かせ方が上手だと思いました。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営などについてのご意見、要望など

班ごとに部屋わけをしてくれたおかげで、対話に集中することが出来たのでよかった。学生たちの考えの変化を見せてもらうために、基調講演、対話の前に『原子力は○○だから不安だ』などの発表をしてもらいたい。また、毎回どうかはわからないが、学生が懇親会に参加してくれても面白かったのではないでしょうか?かしこまった対話中には出来ない話などが聞けると思います。

B対話相手の学生、先生へのメッセージ

対話中メモをとったり、率先して発表するなど、積極的な学生が多く質の高い対話が出来たと思います。しかし、原子力に対しての知識が無いからといって、シニアの方々の説明を鵜呑みにしすぎだとおもいました。シニアに対して自分の意見を言うのは、とてもプレッシャーがかかることかもしれませんが自分の考えを上司にぶつける。正しいことを上司の反対を押し切ってでも行えるような行動力のある教員になっていただきたいです。

 

◆中島拓男(東京電力原子燃料サイクル部課長(処分技術担当))

@感想

最後の学生の報告を聞いて、シニアの説明が正しく受け止められているのがわかりました。これは、彼らにまだ偏見・思い込みがないからだと思います。その反面、彼らがあまりにも率直にシニアの話を受け入れてくれたことには、少し心配になりました。と言うのは初めて接した(受けた)情報が逆のものであっても同様に素直に受け止めてしまうのではないかということです。

このことから、若い人にはできるだけ早く、正しい情報を伝えることが重要だと改めて思いました。

A当日の運営などについて

準備が良く行きとどいており大変良かったと思います。但し、懇親会には学生も参加したほうが良いと思います。

B学生、教師の皆さんへのメッセージ。

現役の先生へ:日々のお仕事が忙しく大変な中、このような試みにご尽力されいることには頭が下がります。今後ご健闘を期待します。

将来の先生へ:先生は、子供たちの考え方や将来の進路に大きな影響を与えます。将来の日本人が物事を、自らの頭で、科学的・合理的に考えられる力をもてるような教育をお願いします。また、シニアの話を簡単に信用しないで、もう一度自分で色々な情報を確認し、自ら納得した上で、自らの意見を持ってください。

 

◆藤本 登(長崎大学教育学部准教授)

@     対話会の感想など

午後の放射線にしか参加できませんでしたが、放射線について何も学んだことのない学生さんに対しては、良い情報提供ができたと思います。特に、家庭科の先生方から学んだ内容と今回の話のギャップに、学生はかなり驚いていました。ただし、この辺りの突っ込みが少なく、個人的には対話会の時には、学生への問いかけを多くして頂きたいと感じました。

また、全体を通してですが(15:30までしか居なかったので、それまでですが、原子力についての理解を深めてもらいたいという気持ちからか、少し姿勢に偏りがあるように感じました。古い言い方かも知れませんが、ベストミックスとしての個人の判断をもう少し促して頂ければと思いました。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営などについてのご意見、要望など事前にアンケート?によってグループ分けをしている点は良いと思います。

できれば、昨年や今年度参加された学生が運営にくわ合ってもらえるような会になればと思っています。吉田先生、お疲れ様でした。

B対話相手の学生、先生へのメッセージ

環境問題への理解と実践は、これからの世界平和に欠くことのできないものです。その中でエネルギー問題は中心的内容です。人間は労働をエネルギー消費に置き換えることで近年の発展をなし遂げました。今教育がしなければならないことをしっかりと考えてください。

Cその他、ご意見などありましたら。

教育学部の学生が、今回のような方々の話を聞く機会、逆に、これから教員になる学生の現状を皆さんに知ってもらう機会はとても有り難く、必要です。色々な意見はあると思いますが、是非続けて頂きたいと思います。一応、私も学会員ですので、サポートできることろはしたいと思います。

 

◆渡邉泰臣(中部原子力懇談会)

@対話会の感想

:何をおいても、テーマを通じてシニアの方の人生観(大袈裟かもしれませんが)が聞ける点が魅力です。学生さんの参加動機も、お聞きできたらよかったかと思いました。

誘われて参加したにせよ「初めて知った」と言われる学生さんは、きっと触発されたに違いないと思いました。

A準備、連絡、スケジュール、当日運営などについてのご意見、要望など

:ご準備、ありがとうございました。よかったと思います。

B対話相手の学生、先生へのメッセージ

:これがきっかけになればと願ってます。質問など中原懇に出して頂いても結構です。

霧箱など実験のお手伝いも出来ますので、遠慮なくご相談ください。

Cその他、ご意見などありましたら。

:私としては、熱田高校の大津先生からの高校物理の教科書の内容と学校での取り組みのお話は新鮮でした。また、羽澄先生の教育現場での様子などもお聞きできて大変有益でした。

私たちの原子力懇談会としても、学校の先生向けに、何をしていったらいいのか考えながら行っているつもりですが、先生を目指している学生さんや現場の先生の貴重な意見交換の機会を得ましたことに感謝しております。

いくらかでも支援していきたいと思っております。今後もよろしくお願い申し上げます。

 


添付―5

SNW対話イン愛教大2008 参加者からのメッセージ

(6月28日の浜岡見学会にて配布)

平成20年6月28日

SNW代表幹事 金氏 顕

 

1.はじめに

5月31日に開催した「学生とシニアの対話イン愛教大2008」にSNW側から参加したSNWシニア会員10名とオブザーバー参加した5名の方々から、対話相手の学生、先生へのメッセージを頂きましたので纏めてここにお伝えします。

 

2.SNWシニア会員より

 

石井正則(元IHI) 

理科の先生を目指す学生に:放射線は簡単に実験で確かめることができるので、ぜひ活用してもらいたい。社会科の先生を目指す学生に:温暖化の影響が各地で現れている。地理などでも取り上げてもらいたい。

 

◆伊藤 睦(元東芝)

純粋で無垢な学生さんに正しい知識を与える先生方の任務は大変重要です。学内の協力がなく御苦労されて居るようですが、日本人の科学リテラシー向上のためにも、ご健闘を期待します。

学生さんについては、我々の話だけで納得しないで、もう一度書物を紐解いたり、自分でインターネットで多面的に情報を調べた上で、納得するよう努力して欲しい。

 

◆金氏 顕(三菱重工)

自然資源の少ない我が国が海外から資源(エネルギー、鉱石等)や食料を輸入できるのは発電設備、自動車、電気製品、船舶、鋼材など工業製品輸出による貿易黒字のお陰。これらを支えているのは優秀で豊富な科学技術人材とそれを支える社会の仕組み。人材こそが我が国の最大唯一の資源です。皆さんは我が国、そして社会の成り立ち、仕組みについて、特にエネルギー確保について、広く高い視点からの情報を常に仕入れて、それらを如何に生徒達に学校教育を通じて興味を持って学んでもらうかに尽力していただきたいと思います。21世紀の我が国の帰趨は教育にあり、皆さんの双肩にかかっているといっても過言ではありません。

 

◆岸本洋一郎(原子力研究開発機構)

エネルギー問題、環境問題は、世代を超え、国境を越えて解決に向け努力を続けるべき問題であり、人類の知識と技術と知恵を必要とするものですので、皆さんの努力で道が開かれると期待しております。

 

 

◆斎藤 修(元放射線影響協会)

今回の集会を機会に、いろいろな人の意見・感想を聞くことに、関心を持ってもらいたいと思います。

 

◆竹内哲夫(元原子力委員)

一般の学生が、それまでの小中高の教育でいかに原子力、放射線などにタッチしてこなかったことは学生との対話で実感しました。放射線、放射能のことなど全く考えた事はなく、ただ、「怖いもの」というのが若者の相場だと分かりました。

エネルギー危機のほうは分かったようだが、「原子力が世間に容認されにくいのは放射能の知識に偏見があるから」という事は若者には分かっていない。「霧箱」実習みたいな物で偏見の原点を直す必要があると思います。

 

◆西村章(GNF)

マスコミ始めとした、原子力への批判や、事実無根の反対運動等が多い環境下でのエネルギー教育は大変ご苦労のこととお察しします。一人一人の力には限りがありますが、少しずつでも皆さんが努力され正確な知識を生徒さんに伝えて行くのが結局は、大きな力に繋がると信じています。

子供さんたちの可能性は大変大きなものがあると思います。その子供さん達が自分達の未来に夢を持って誇りを持って(できれば原子力やエネルギーに少しでも関連する分野に)取り組んで行けるよう是非、指導して上げて頂けたらと思います。

 

◆林  勉(元日立)

私達のCグループのテーマは、安全・事故対応等でしたが、学生さん全員の質問に効率よく答えることが出来たと思っています。このテーマだけでも学生さんたちの疑問点は多くあり、所定の時間では不足ぎみでした。従って対話というよりは質疑応答の時間が多かったということの反省もありますが、それだけ理解も的確に深く出来たのではないかと感じています。このようなやり方で良かったのか参加された学生さんたち、先生方の感想をお聞きしたいと思っています。

学生さんたちは、率直に疑問点、不安な点を述べてくれました。発表ではこれに対する理解がしっかり示されていたと思います。参加された先生方はその経験から的確な助言をしていただいたと思っています。

 

◆古田富彦(東洋大学)

原子力、放射線、放射能と聞いただけで危険、怖い、おぞましい、と感じられるのはリスク認知の観点から無理もないと思いますが、放射線被曝(シーベルト)によるリスク(身体的影響と遺伝的影響)を定量的に把握して正しく怖がって下さい。

同時に、日本のエネルギー自給率(4%)、迫り来る化石燃料の枯渇、石油価格の高騰、二酸化炭素排出量の低減、新エネルギー活用と省エネルギーの限界等の観点から原子力発電が切り札であることを理解して下さい。

 

 

◆益田恭尚(元東芝)

学生の大部分は今までエネルギーや放射線に殆ど関心がなかったのに良く参加してもらえた。質問意見を云ってもらうよう努力したが、どうしても一般的な質問になってしまい。シニアーが説明役に回ることになるが、理解は早いように感じた。「放射線がそんなに怖いものではなさそうだということは理解できたが、今まで怖い怖いとの印象が刷り込まれていて、そう簡単に考えは変えられない」という感想は正直なところであり、教育の重要性を再認識しました。

 

 

2.オブザーバー参加の皆様より

 

◆大津浩一(愛知県立熱田高校教諭)

Cグループで発表した院生さんの発言は現実だと思います。子供のころからの間違った(あるいは正しい)イメージは、論理ではなかなか変わりません。ぜひ、子供へのアプローチをお願いしたいと思います。

 

◆須山 澄(武蔵工業大学M2)

対話中メモをとったり、率先して発表するなど、積極的な学生が多く質の高い対話が出来たと思います。しかし、原子力に対しての知識が無いからといって、シニアの方々の説明を鵜呑みにしすぎだとおもいました。シニアに対して自分の意見を言うのは、とてもプレッシャーがかかることかもしれませんが自分の考えを上司にぶつける。正しいことを上司の反対を押し切ってでも行えるような行動力のある教員になっていただきたいです。

 

◆中島拓男(東京電力原子燃料サイクル部課長(処分技術担当))

現役の先生へ:日々のお仕事が忙しく大変な中、このような試みにご尽力されいることには頭が下がります。今後ご健闘を期待します。

将来の先生へ:先生は、子供たちの考え方や将来の進路に大きな影響を与えます。将来の日本人が物事を、自らの頭で、科学的・合理的に考えられる力をもてるような教育をお願いします。また、シニアの話を簡単に信用しないで、もう一度自分で色々な情報を確認し、自ら納得した上で、自らの意見を持ってください。

 

 

◆藤本 登(長崎大学教育学部准教授)

環境問題への理解と実践は、これからの世界平和に欠くことのできないものです。その中でエネルギー問題は中心的内容です。人間は労働をエネルギー消費に置き換えることで近年の発展をなし遂げました。今教育がしなければならないことをしっかりと考えてください。

 

◆渡邉泰臣(中部原子力懇談会)

これがきっかけになればと願ってます。質問など中原懇に出して頂いても結構です。

霧箱など実験のお手伝いも出来ますので、遠慮なくご相談ください。 以上

 


添付―6

愛教大学生の浜岡原子力発電所見学同行記

2008712

SNW 斎藤 修、岸本洋一郎、金氏 顕

 

6月28日に愛知教育大学の学生の浜岡原子力発電所見学に同行した感想を述べます。

 

岸本洋一郎

愛知教育大学からの参加者は、理科教育の吉田淳教授、平野准教授、学生18名(前回5月31日の学生とシニアの対話イン愛知教育大学 <エネルギー環境教育フォーラム2008>に参加した理科系の学生の他にも多数参加)、付属高校の理科教師林田先生、付属中学の理科補助員中村さんの計22名。中部原懇からは渡邉泰臣部長が全行程に参加された。SNWから金氏顯、斎藤修、岸本洋一郎の3名が、途中掛川駅にて合流し同行。

 

見学は、涌永隆夫浜岡原子力発電所発電部長、浜岡原子力館酒井弘光副館長及び同原子力館の女性館員2名による案内で、原子力館から始まり、発電所構内、5号機、研修センターの順に、12時30分から15時30分まで3時間に亘って行われた。

 

浜岡原子力館の実物大の原子炉模型では、炉心下部の床位置から、炉心断面、原子炉圧力容器断面、冷却系統配管、原子炉格納容器断面などを見上げ、あるいは見渡すことができる。そのなかで、制御棒の動き、炉心水面高さ、水・蒸気系の流路、燃料ペレット、燃料棒他5重の閉じ込め、格納容器の鉄筋コンクリート構造などの説明を聞き、皆感心の様子。

 

5号機を見学。一般見学者の入域は厳しく制限されているが、今回皆さんには見学頂くということも、学生に伝えられた。制御室をガラス窓越しに見学。2交代の当直シフト表に女性が1名いることに、「給料はいいのでしょうね」と女子学生が興味を示す。この5号機が世界最先端のABWRであることも伝えられた。

 

原子炉格納容器の上部クレーン空間の、燃料交換機、プールを窓越しに見学。原子炉容器上部の蓋の持ち上げ方法に関心。高圧タービン、低圧タービン、発電機が見えるタービン室も窓越しに見学。タービン羽根の損傷模型にも興味。遮蔽窓の耐震性と厚みにも関心。

 

研修センターでは、運転員の教育・訓練のため最新の5号機用運転訓練シミュレータを見学。ディスプレイに、下位の複数のレベルの警報・情報が順次表示される様子を見て、システムの高度さ、複雑さを理解した様子。これだけの規模のシミュレーション・ソフトを作るのも大変だとの感想もあった。一通りの訓練を終え一人前の運転員となるのに4年を要すると聞き、納得していた。湧永部長に誘われて手を挙げた3人の女子学生が手動スクラムのボタン押し操作を順次体験。

 

トラブルの歴史では、蒸気配管曲がり部のスチームによる減肉の実物(関電美浜3号機よりずっと早く経験)、平成13年11月に浜岡1号機で起こった事故で、余熱除去系蒸気凝縮系配管にたまった水素が急速に燃焼し破断した配管の実物、平成18年6月に発生した浜岡5号機低圧タービンの損傷した羽根の実物など、その時々の新聞記事などと併せ展示してあるものを見学。最初の原子力館での概況説明時に、余熱除去系配管での水素爆発事故の原因はとの質問があり、これについては「曲がりをもち、水素がたまる可能性のある配管に設計変更されたのは、当社の技術力の不足。」との説明であった。

 

見学中にあった質問で、一部の回答を帰りのバスの中で行ったものは以下の通り。

Ÿ           放射線の生物影響、特に低レベル放射線の人体への影響は?

Ÿ           タービンが放射性物質で汚れるので、タービンの分解点検は設置場所の傍らで行えるよう、建屋内を広く取ってあるという説明があったため、スチームが汚れるのか、なぜ汚れるか?

Ÿ           北朝鮮で爆破された建造物は何か。(前日の6月27日、北朝鮮・寧辺の核施設にある実験用黒鉛減速炉に付属する冷却塔を爆破する作業が行われ、その映像が放送されたため)。

 

全体に、学生さん達にとって大変に刺激があり、彼らの興味や疑問に対し手応えのある、充実した見学ではなかったかと思う。さらに疑問などあれば対応してあげたい。将来教師として巣立つ学生さんへのこうした企画は、その影響と広がりを考えると大変に重要であると考える。

 

斉藤 修

1.当日は梅雨の最中であり雨が心配されたが、幸い天気に恵まれよい見学日和であった。

 発電所に向かうバスで自己紹介をしたが、この7月からバスの座席も運行中はシートベルトが義務付けられたとのことで、学生さんの顔を見ながら話をすることが出来なくなり、不便であった。

 

2.浜岡原子力館の展望台の眺めには皆さん感嘆の声をあげていた。発電所の全景が見られるので大変良い構造である。私自身は3週間前に地震対策について勉強のために当地を訪れていたが、改めて立派な設備に感心した。

 館内の実物大原子炉モデルを使った説明は分かりやすく、学生は熱心に説明に聞き入っていた。 圧力容器上部からの蒸気の流れを模して配管の周囲に設けられたネオン照明が光ると、オーッ!!と歓声をあげていた。オーラルの説明も大事だが、模型による説明の分かりやすさに、改めて感銘した。原子力有識者としてエネルギーなどの問題の説明に当たることが多い。我々は説明に模型を使うことは出来ないが、できるだけ分かりやすいイラストを工夫するなどの必要性を改めて感じた。

 

3.研修室での手動によるスクラム操作には、一人の男子学生が自ら名乗りをあげて操作にあたり、操作盤の事故後の状況を全員で身をもって検証することができた。 点滅する事故表示の多さに改めて感心していた。

 

4.中央制御室の見学室には、当直員の班編成が写真付きで表示されていたが、その中に女子の操作員が一名表示されており、みなびっくりした様子だった。見学に参加した学生の半分は女子であり、改めて発電所が身近なものに感じたのではなかろうか。

 

5.帰りのバスの中で、放射線の人体に対して良い影響があるのかどうかという質問や、タービン室の蒸気が汚れるというのはどういうことか?というなかなか鋭い質問があり、感心した。はじめての発電所見学にこのような質問が出てくるのは、皆さんが原子力発電所にそれだけ関心が高いということの表れであると、その意識の高さに改めて感心させられた。

 

6.対話集会および発電所見学会を通じて、愛教大の日ごろの指導の素晴らしさが窺われるとともに、学生の意欲の高さに感心させられたが、このようなモチベーションを持ち続けて、エネルギーや環境に関するよき理解者になり、近い将来当たられる小中学生の指導に当たられることを祈念します。

 

金氏 顕

1.              昨年の初めての愛教大学生との対話の2週間後も浜岡に見学した。対話、そしてしばらく間をおいて原子力施設見学、というパターンは学生にとって大変効果的であり、これらの体験で彼ら彼女らの頭の中では将来の授業でどのように教えようかという構想が出来上がりつつあると思う。これは吉田先生と言う素晴らしい教育者と中部電力さんトップが理解活動に大変熱心であること、それにSNWと3者がうまく噛みあったからだと思う。教育系大学へのSNWとしての活動の一つのパタンとなるので、秋の長崎大学との場合は九州電力さんとうまくやるようにしたい。

2.              中部電力さんは湧永発電部長さんが陣頭で案内していただいたが、これは6月初めにEEE会議のメンバーと耐震裕度向上工事視察の時にこの話をしていたおかげで感謝である。

3.              昨年は研修センターには行かなかったが、ここでシミュレーター、失敗の回廊(トラブルの展示)を見たのは学生にとっては大変な驚きだったのではないだろうか。特に後者は“不正・隠蔽・改ざん”の電力会社という悪いイメージを一掃したと思われる。

4.              参加した学生の中に1年生女子学生3人がいたが、3ヶ月前はまだ高校生であったことを考えると、偉い!と感動した。3人は大変仲が良くて見学中も興味深々の様子で、4年後には教壇に立つことになるがこういう熱心な先生が理科を教えると想像すれば理科嫌いなんて解消するだろうと、大変印象的だった。

5.              往路のバスでは3人の自己紹介に続き、5月31日対話の会に出席したシニアとオブザーバーの“先生と学生たちへのメッセージ”、また原文振の教材“放射線ってなんだろう”、さらに中部電力から先生へのセミナー資料などを配布した。帰路は質疑応答しているうちに掛川駅に着いた。対話のときも懇親会に学生は参加しなかったので、もうすこし学生たちから話を聞きたかった。

以上