大学における学生とシニアの対話実施概要

−対話 in 関西−

 松永一郎

1.実施趣旨
 昨年度から続けている「学生とシニアの対話(学生のキャリアデザイン&夢支援)」の関西版。日本原子力学会の学生連絡会の活動の一端として、原子力/エネルギー・環境、電気電子系他理系を主体とした学生とシニアの交流を図る。

2.対話の目的

 原子力系理系学生等とシニアとの対話を通して、学生とシニアの相互理解を図ると共に、今後の原子力、エネルギー産業について共に考え、これからの対話のあり方やエネルギー教育の実践あり方の参考にする。また、彼ら学生が社会へ出るまえに、原子力OBの経験や気概を少しでも吸収できる機会を提供し、今後の実務への自信に繋げてもらう。

 また学生側は4大学(京大、阪大、近大、神戸大)の学部生から博士課程在籍者までの幅広いものだったので、学生間の交流も目的としている。


3.対話の実施

(1)日時 11日() 14:00〜17:30   

(2)場所 近畿大学(東大阪市)

(3)参加者

 @学生  京大(13)、阪大(11)、近大(23)、神戸大(1)より

48名(学部生23名 大学院生25名)

物理科、電気電子工学科、建築科、エネルギー・環境系、原子力系、他

学生連絡会:2名(京大M2、武蔵工大M1

 Aシニア  

  エネルギー問題に発言する会会員8名

  荒井利治、石井亨、金氏顕、竹内哲夫、中神靖雄、林勉、山崎吉秀、松永一郎

 Bコーディネーター  天野治氏(電中研、日本原子力学会)

(4)実施内容 

  @総合講演 

・エネルギー問題を原点から考えよう    林氏

A対話

 8グループに分かれ、シニア1名に対して、学生が6名ずつついて対話。

 対話の題材は学生に対する事前アンケートの結果から、各グループが決めた。

   対話終了後に各グループから対話内容のまとめと説明がなされた。またシニアを代表して、中神氏から講評があった。 

5)結果

 学生に事後アンケートを実施。またシニアから感想を収集した。

(学生アンケート結果概要)回答率:45名/48名

 

  @ 「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?

回答番号

人数

(1)

非常にある

40

(2)

ややある

5

(3)

あまりない

0

(4)

全くない

0

 

  A エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?

回答番号

人数

(1)

大いに変化した

8

(2)

多少変化した

23

(3)

あまり変化しなかった

9

(4)

まったく変化しなかった

5

   注:(3),(4)の変化しなかったのは元々知識があったからである。

 

  B 原子力に対するイメージに変化はありましたか?

回答番号

人数

(1)

大いに変化した

4

(2)

多少変化した

17

(3)

あまり変化しなかった

17

(4)

まったく変化しなかった

7

   注:(3),(4)の変化しなかったのは元々のイメージどおりという意味

  C 対話の内容は満足のいくものでしたか?

回答番号

人数

(1)

とても満足した

29

(2)

ある程度満足した

13

(3)

やや不満だ

0

(4)

大いに不満だ

3

 

 

(シニア感想概要・・個別意見をある程度集約)

@     エネルギー、原子力専攻の学生の「就職先と仕事」とオイルピークの関わりについて議論。また日本の原子力技術が世界でどのような貢献ができるか議論した。日本はモノ作りの技術者がいることが重要なことであり、それを今後どう維持していくかが問題。参加した学生がちゃんとした目的意識を持っていることに感心した。

A     メンバーの中で原子力について講義を聴いたことのある学生は1人だけであったが、皆熱心で感心した。国民のエネルギーに関する関心が薄いのは、教育に問題があるということを議論したが、もう少し時間があればよいと感じた。

B     参加学生はエネルギー問題についてシニアと同じような意識を持っていることに、感心した。皆まじめで熱心で前向きで知識も高度であり、このような若者がいることに心強さを覚えた。

C     必ずしもエネルギー問題だけを議論したのではなく、シニアの実社会での経験を話すことが多かったが、皆熱心で感心した。このような学生たちが原子力関係に進むのに力強さを感じるとともに、受け皿としての産業界も力を発揮させられるような場を提供しなければならないと思った。

D     メンバーは外人、会社派遣留学生等、混じり合っていたのでいろいろな意見が続出し、面白いものであった。それだけに時間がもっとあったらとの思いがある。

E     4大学合同で対話は意義深いものであった。総勢50名が集まったのは、たいしたものである。この方式は対話を今後各地で実施する場合の参考になる。ただし、幹事役の学生のオーガナイズ力がないと、なかなかやっていくのは難しいところではあるが、今後試していく価値はおおいにある。

F     日本の電力会社が原子力を推進していくにはどういった問題があるかということについて、シニアの経験を中心に議論した。皆熱心であっという間に時間がたってしまった。

G     近大の学生さん達が「エネルギー問題研究会」を組織し、近隣の小学校に出前トーク活動していることに感心した。このような活動が全国的に拡大してもらいたいと感じた。

 

4.まとめ

 昨年の7月に始まった「学生とシニアの対話」も今回で5回目を迎えた。これまでの4回は武蔵工大、東工大、八戸工大、福井大学といずれも単一大学での開催であったが、今回初めて4大学合同開催という形がとられた。この方式を提唱したのは、原子力学会学生連絡会の後藤弘行君(京大修士2年)であった。彼の狙いは

     学生とシニアの相互理解

     学生間の交流、仲間意識の醸成

     学生の進路/キャリアデザインを考えて、4月からの就職活動に備える。

という、かなり欲張ったものであったが、学生の事後アンケートとシニアの感想を見る限り、大成功といっても過言ではないだろう。

 土曜日という休日にもかかわらず、50名(内2名は学生連絡会委員)もの学生を集められたのは驚くべきことである。これには、事前に月刊エネルギー及び原子力学会誌でキャンペーンを張ったことも寄与しているものと考えられる。

合同開催方式は優れたものではあるが、学生コーディネーターの能力・努力と長時間の準備期間が要ることから、いつも採用できるとは言いがたい。しかしながら、今後のやり方として参考になろう。

なお、対話に先立ち、出力1Wの近大の研究炉の見学があった。原子力を身近に感じることができる貴重なものとの感を深くした。

 

最後になりますが今回の対話を陰で支えて下さった、近畿大学理工学部助教授の渥美寿雄様と京都大学原子炉実験所助教授の宇根崎博信様に深甚なる感謝の意を表します。             

 

5.今後の予定

5月12日(金) 16:00〜20:00 九州大学における対話

 

6.対話写真
対話写真欄参照

 

7.添付資料

添付1  学生の事後アンケート結果

添付2  シニア感想


(対話写真)

林幹事の挨拶

 

対話風景


学生の対話結果の発表

中神氏からの講評


懇親会風景その1

 

 

懇親会風景その2


近大炉 炉前における学生説明

 

 

近大炉 炉上における学生説明



添付1 学生の事後アンケート結果


(1)           「学生とシニアの対話」の必要性についてどのように感じますか?

回答番号

人数

(1)

非常にある

40

(2)

ややある

5

(3)

あまりない

0

(4)

全くない

0

  理由(回答番号)

     技術者として必要なものを指導していただいた。(1)

     原子力に対して意見を持つきっかけとなった。(1)

     原子力分野の基礎を気付いた功労者から、知らない時代の話、過去の問題と解決策などを聞くことができ、刺激になった。(1)

     自分からは見えない方向から、豊富な経験や知識に基づいた貴重なお話を聞ける機会があまりないから。(1)

     他大学とのふれあいが刺激になった。(1)

     シニアの方の経験、エネルギー業界における正しい知識を伝えるよい機会である。(1)

     情報入手、討論がおもしろい。(1)

     企業やシニアの方の考えや意識、ビジョンと、これから社会に出る学生の考えをお互い話し合うことに意味があると思う。(1)

     お話の内容からすれば、もう少し原子力専攻以外の学生に開かれるべき。(2)


(2)           エネルギー危機に対する認識に変化はありましたか?

回答番号

人数

(1)

大いに変化した

8

(2)

多少変化した

23

(3)

あまり変化しなかった

9

(4)

まったく変化しなかった

5

  理由(回答番号)

     このままではエネルギーがなくなると、資源問題を身近に感じた。(1)

     危機感の足りなさを痛感した。(1)

     原子力産業の社会での位置付けが理解できた。(2)

     教育に対しては意識はあったのですが、それを対策までもっていくことを考えていなかった。法が変わらなければ難しいと考えさせられた。(2)

     ピークオイル、原子力、新エネルギー、ハイブリッドカーなど、幅広い情報を得ることができ、より具体的に考えるようになった。(2)

     もともとエネルギー危機への認識があり、その通りだった。(3)

     もともと危機意識はあり、今回認識を深めるには時間が足りなかった。(4)


(3)           原子力に対するイメージに変化はありましたか?

回答番号

人数

(1)

大いに変化した

4

(2)

多少変化した

17

(3)

あまり変化しなかった

17

(4)

まったく変化しなかった

7

    理由(回答番号)

     放っておいてこの先伸びるものだと思っていたので意外だった。(1)

     今までのエネルギー教育の足りなさを実感した。(1)

     放射線の効能、リスクを見直した。(1)

     住民のもつイメージとわれわれのものとではギャップがあった(2)

     原子力は思ったより危険ではなく、コスト的にも有利であることが分かった。(2)

     こういった活動を広めて、負のイメージを取り払うことが始まり、原子力以外でも様々なエネルギー問題を考えていく必要があると思う。(2)

     原子力専攻の中でも原子力の未来に対する展望はかんばしくないという雰囲気であったが、今回でその考えが良い方に変化した。(2)

     よく知っていたため、原子力の必要性の再認識となった。(3)(4)


(4)           対話の内容は満足のいくものでしたか?

回答番号

人数

(1)

とても満足した

29

(2)

ある程度満足した

13

(3)

やや不満だ

0

(4)

大いに不満だ

3

    理由(回答番号)

     詳しい内容の対話ができて楽しかった。(1)

     現状だけでなくアドバイスをいただけた。(1)(4)

     色々な経験を教えてもらえ、また、そこから得た話を聞かせて頂いたのは貴重であった。(1)

     ディスカッションをしていくうちに深い問題まで考えることができたから。(1)

     討論・対話という一方的でない両方的なものの機会は滅多にないので、あるだけでも満足でした。認識も深まった。(1)

     シニアの方の経験、エネルギー業界における正しい知識を伝えるよい機会である。(1)

     あらかじめテーマを決めてしまうと、それ以外の内容を聞きづらい。(2)

     もう少し踏み込めた結論も欲しかった。(2)

     グループディスカッションの内容も事前にある程度教えていただければ、より充実すると思う。(2)

     もっと多くのシニアの方と話したかった。(4)


(5)           本企画を通して全体の感想・意見などがあれば自由に書いてください。

  回答

     OBの視点が見えて有意義だった。楽しかった。また参加したい。

     普通ではなかなかお話できないようなキャリアをお持ちの方々とディスカッションができてとても良かった。

     ディスカッションが短かった。

     グループディスカッションのテーマが決まっていてもよかったと思う。

     文系の学生(教育・報道・政経)を対象に開催しては?

     原子力以外のシニアの方がいてもよい。

     もっとたくさんのシニアの話を聞ける場がほしい。今回のディスカッションでは1人のシニアの話しかきけなかったため。

     原子力賛成派、反対派を交えたパネルディスカッションのような形がとれればおもしろい。

 


添付2 シニアの感想

 

天野 治
B班では、関西電力出身の森さんを囲んでシニアと学生の対話の予定であったが、森さん不在のため、天野が代行した。学生さんに開口一番、「2010年前後にガソリンは配給制になるのでは、」と申し上げた。
今回の関西での対話では、近畿大学、京大、阪大のほかに神戸大も参加し、学生の意識が変わりつつあることを感じた。また、この会話を通じ、学生が被害者意識よりは、やる気を感じた。この対話が良い機会であると思う。
学生の興味が、就職だと思うので、原子力出身もしくはエネルギー出身の学生の就職先として、ユーザー、メーカー、研究機関、メデイア、国と規制側、自治体の仕事の内容の紹介およびオイルピークの中で、仕事がどのようになるかを議論した。
また、日本の原子力技術が世界にどのように貢献できるかを議論した。ここは学生が乗ってきたところで、日本の製造技術は世界の中でプラントを作れる唯一のものだ。ノウハウは、文書やパソコンでは引き継げない。細かいところまでは無理、肉厚のある圧力容器を作るのは、やはり、それを作った技術者が必要。
神戸大の学生さんは、社会が放射線および原子力に否定的なことに解を見出そうとしていた。参加した多くの人が目的意識をもっていることに感銘した。ただ、発言しない方も2名程度いた。ただ、目では関心を示していた。

 

荒井利治

1、今回私のグループは5人中1人だけ原子力の講義を聞いたことがあるのみであったが、全員(女性1名)意識が高く、よい対話ができたと思う。

2.男子の1名は福井出身だったが、小学校のとき先生に引率されて、原子力発電所の見学をしたとのことで、地元では外部が騒ぐのに比べて理解があるように思われた。

3、他の1名は「国民がエネルギー問題に関心が無いのは学校で教えていないからだ。このままでは日本が世界に遅れをとると思う。」と危機感を話し、彼が中心になってグループの意見をまとめた。

こちらのお株を取られたとうれしかったので、父親の職業を尋ねたところ高等学校の先生とのことで、前の2.のケースとあわせて教育の大切さを実感した。

4.話の中で、このままではだめだということは感じたようだったが、つぎのそれではどうするべきか?ということには時間も不足で突っ込めなかったきらいがある。今後の対話ではもう少し時間にゆとりがほしい。

 

石井 亨

学生の最初の発言が「原子力発電所をもっと建設するためにはどうしたらよいか」であった。原子力選択の必然性を納得させるために、先ずは石油ピークを語り自然エネルギー幻想論を展開しなければなるまいと意気込んでいたシニアにとっては実に意外に感じた。
最初は、これはきっとシニアに調子を合わせるという老人をいたわる若者たちの優しさからきたものではないかと思ったものである。

しかし対話が進むほどに学生達は、我々シニアと同じ土俵にいることを実感すると共に、対話自身も終始前向きなものであった。世の中の学生の一部とはいえ、我々シニアが日頃憂えているエネルギー問題を共有している若者たちが居ることを知ったことは誠に心強いものである。

しかも対話後の懇親会の場で知ったことではあるが、近畿大の学生は原子力エネルギー研究会なるサークルを作り近隣の小学校に出前トークをしている由。益々頼もしさを感じた次第である。了

 

金氏 顕

初めてで、かつシニア最若のひとりとして、大きな期待と若干の不安を持って参加。まず会場の近大の原子力研究所の45年前に初臨界で現役のミニ原子炉を見学させていただき、これを活用して学内だけでなく近在の小中高校などの生徒、先生がたに原子力教育をしていることに大変感心した。さらに対話が始まって、私は1つのグループ(近大学生6人、阪大大学院生1名(近大卒)含め)を受け持ちましたが、林幹事の基調講演の内容は良く承知していて、6人の内4人は学内で『エネルギー研究会』というサークル活動に加入しており、原子力についての勉強、発電所など原子力施設の見学会、さらに小学校に出向いてエネルギー・環境・原子力の講義をしている、と聞き、驚きました。

そういうわけで、彼らに原子力の重要性など釈迦に説法という訳で、勢い対話は彼らから事前にもらっていた質問への回答、特に「企業は何を学生に求めるか?」や「学生はどのような力をつけておくべきか?」といった話が中心になってしまいました。まさに「シニアの経験と活動的学生の対話」になった次第です。なお、別の質問への回答として原子力タービンについての資料を持参し手渡したら、後日下記のようなメールをもらいました。彼らの原子力に対する情熱を感じ、彼らのような熱心な若者がいる限り日本はまだまだ捨てたものではないな、と感心するとともに、政府、産業界は彼らを受け入れて存分に実力を発揮できる舞台を構築しなければならないという思いを強くしました。

 

『金氏 顯 様
 こんにちは。
 先日、「学生とシニアの対話」で、左隣にいました、近畿大学、エネルギー研究会「NEDE」の元会長の石橋隆一です。
 「学生とシニアの対話」では、金氏様に社会人としての使命や、社会に出る上で、学生生活においてやっておくべきものを教えていただき、今現在、就職活動に励んでいる私たちとしましては、大変貴重な情報となりました。ありがとうございました。
 また、別の機会に、金氏様と会えることを楽しみにしております。
 あと、金氏様が、エネルギー研究会「NEDE」にくださった、タービン技術の資料ですが、模型作成の参考にしたいと思っています。
 実は、私たちは、原子力発電施設(PER)の模型作成などもしておりまして、毎年、4月の初めに行われます、原子燃料工業株式会社、熊取事業所の一般見学会や、11月の初めに近畿大学などで行われます、なるほど原子力展、などのイベントで、模型を展示し、原子力発電のしくみを見学者の方に説明したりしております。
 そこで、圧力鍋から、タービンに蒸気を当て、実際に発電しております。もちろ
んタービンは手作りです。
 また、見学会などに来る機会がありましたら、ぜひ一度見ていってください。
 金氏様の資料を元にしたタービンが完成しましたら、また写真を送りますので、未熟な我々に、ぜひ金氏様のご指導をお願いします!

竹内 哲夫

 関西の4大學合同という初めての試みで、これまで以上に、大人の議論になったと思います。八戸や福井は学生自身も、専門特化された語論に直ぐはいレタが、今回は、メンバーも多角化して、フランスからの留学生、会社からの派遣留学生も入り、バックグラウンドが多岐多様であった。従って面白い意見が続発したため、逆に、チームの纏めの発表は「しまらなかった。」と思う。
我々のチームでも出たが、会のメンバーの多くの人が発言していたが、何せ全体の時間が短すぎる。一日半くらい議論したかったという、学生もいた。纏めに格好つけを優先するチームがなかったものの、良い刺激効果はあったと思う。
 率直に、全体の時間が倍くらいあると、意思疎通は4倍くらいになるのではないかと思いました。
 結局、私自身、この議論の続きで、帰りの新幹線の中で「入試に・・・・」を着想、構想を練って、皆さんに配信したわけです。

 

中神靖雄

3月11日(土)に近畿大学で開催された、学生とシニアによるエネルギー、環境、原子力を一緒に考え、対話する会合は、大成功だと感じました。

まず、幹事役を務められた学生側のオーガナイズ能力が高く、近畿大学、大阪大学、京都大学、神戸大学から50人の学生が集まり、それぞれ持っておられる質問や疑問、不安等を真摯にシニアにぶつけ、議論が出来たことは、お互いに学ぶことが多かったのではないかと思いますし、問題意識をかなり共有出来たと感じました。私が対話したGグループは、メーカーへの就職が決まっていたり、或いはメーカーの仕事に関心を持っている方々が多く、製造業の将来をこういう方々が背負っていってくれたら、大いに頼もしいと思いました。一方こういった若い人達が、未来に夢や希望を持って活躍出来るような場を原子力産業が用意出来るよう、OBである我々も更に努力していかなければならないと、あらためて思った次第です。             

 

林 勉

1.「対話 in 関西」ということで、初めて広域で実施したことに大きな意義がある。今までは個別大学対応であったがこれでは大学数が多くなりすぎて長期的継続的な対応は困難になる。全国を幾つかのブロックに区分けして行うことで、無理なく行える。しかしこのためには、ブロック内の大学をうまく纏めていくことが必要であり、とりまとめを行う学生側の組織を充実させることが必要である。その意味で今回はその試金石となるものであった。この経験を生かして今後の対応強化に結びつけていかなければならないと思います。

2.近畿大学、大阪大学、京都大学、神戸大学の4校の学生約50名が参加し、いままでで一番充実した、対話集会となったことは大きな成果であった。回を重ねる毎にシニア側の対応も、学生側の対応もより充実してきており、今後のより良い展開が期待できます。

3.今回の学生さんは皆さんエネルギー問題に強い関心と問題に立ち向かう真摯な態度が伺え、大変頼もしく感じました。学生さんたちも得るところが多かったのではないかと思っています。

4.近畿大学の学生さん達が「エネルギー研究会」を組織し勉強していることは大変に良いことで感心しました。ぜひこのような活動を全国の大学に拡大していただきたいと思っています。どなたか今回参加された学生さんの中から、その組織化に注力しようという意欲のある方が出てくれることを期待しています。

 

山崎吉秀

私にとって関西はホームグランド、そこでの学生との対話ということで、ルンルン気分で出かけた。

 私のグループには電力会社に就職が決定、または来年目指すという学生が6人。もう端からその世界に身を置いたような熱気で、我々、今原子力世界に何が出来るかといったことが最大の関心事。原子力が何となく元気が無く見えるが、世間への訴え方が不足しているのでは。そのために何をすべきかといった議論を進めていくうちに、あっという間に予定時間終了となった。

そのためにも、先輩アドバイザーとしては、社会に出たら、最初の数年間が殊の他、重要。まずしっかりとした技術を身につけ、自らの足元を固めると共に、世界のそして日本のエネルギー情勢等、幅広く知見を蓄えてゆくよう、己を鍛えぬくことを心掛けよ、ということで締めくくった。

 期待通りの元気さには何よりの心強さを、そして次代を背負って立つ若者に、きっと育ってくれるということを実感した次第。

 

松永一郎

近大、京大、阪大、神戸大と4大学が揃って合同で実施したが、48名、8グループに分かれての対話は壮観であった。学生は彼らの専門やエネルギー・原子力に関する知識レベルといった属性でグループ分けされ、テーマも異なったものであったが、今回は時間も多少長めにとってあり、それなりに充実したものであった。

私たちのグループは皆、原子力に関する知識を有しており、「なぜ日本はエネルギー資源が無いのに、原子力が伸び悩んでいるのか」という話題を中心にディスカッションした。学生からのかなり高度な意見、質問も多く、今まで武蔵工大、東工大、八戸工大、福井大学と4つの大学で実施してきた中で、一番手ごたえを感じた。

なお、大学別で行うよりも、今回のように合同で実施した方が学生間の競争意識がはたらき、効果ははるかに大きいと考えられるが、コーディネーターとしての学生連絡会リーダーの力量に負うところが多く、今回は後藤君(京大修士2年)という人を得たことによるもので、いつもできるとは限らないだろう。ただし、試みとしては面白いので、今後東京でも同じ形式ですることを学生側に提案することは考えてもよいだろう。

 

対話に先立ち、近大にある研究炉(出力1W)の見学があった。近所の一般人にも時折公開して、原子力への親近感を深めてもらっているとのことであった。炉が小さいだけに、親しみやすい感じ。「ニックネーム」を付けたらどうかとアドバイスした。