コアグループリーダー会議議事録
第1回コアグループリーダー会合議事録(案)
日時:平成11年6月11日(金) 16時−18時
場所:(財)電力中央研究所第3会議室
出席者:(以下敬称略)
鈴木(篤)(部会長、東大)、平岡(副部会長、電中研)、芦田(東電)、池本(電中研)、伊藤
(近大)、伊東(政科研)、大森(東大)、大山(日本原電)、小川(日本原電)、小野(清)
(JNC)、小野(幸)(三菱マテ)、金子(東海大)、神田(京大)、小佐古(東大)、鈴木
(達)(東大/電中研)、鈴木(正)(東工大)、傍島(原研)、田邊(電中研)、谷口(東大)、
富田(東大/東電)、花井(JNC)、濱田(日本原燃、三島代理)、ピケット(東大)、宮沢(
京大)、武藤(東電)、村田(電中研)、持地(JNC)、山地(東大)、山田(日本原燃)
(以上29名)
[配付資料]
資料1 コアグループリーダー一覧
資料2 秋の大会部会企画セッションについて
資料3 部会英語名称(案)
資料4 部会HP、MLについて
資料5 コアグループリーダー会合メンバー名簿
資料6 入会者氏名一覧(1999.6.2時点)
資料7 幹事会(1999.3.16)議事録
資料8 設立総会(1999.3.22)議事録
[議題]
1)出席者全員の自己紹介
2)コアグループの活動について
鈴木部会長より資料1に基づいて説明がなされた。コアグループの分類に関連して以下のような意見
が出され、今後検討していくことになった。
・個別具体的にテーマをあげているが、もう少し大きなくくりがあるべき。
・経済や産業からの観点が抜けている。経営学や意志決定論を扱うグループがあっても良い。
・エネルギーセキュリティや環境調和の観点も重要。
・コアグループの「地域共生」と「対話」は対象とする内容が近いのでは。
・リスクコミュニケーションも研究テーマとして重要。→「対話」or「情報公開」?
3)春の年会口頭発表セッションについて
来年の春の年会では本部会から口頭発表をなるべく多く出すとの方針が確認され、下記のようなセッシ
ョンが提案された(カッコ内の氏名は担当者)。
・地域共生、透明性、法制度(谷口、神田、伊東)
・研究開発、核不拡散(鈴木(達))
・将来シナリオ(山地、池本)
・エネルギー・環境教育(宮沢)
4)秋の大会パネルディスカッションについて
本パネルディスカッション座長の金子運営委員より、資料2により企画内容の説明がなされた。
副題に関しては、「学際的」という言葉よりも統合的なイメージをもつ言葉を用いるべきとの意見が
出され、さらに検討することになった。
5)部会英文名称について
Social and Environmental Divisionに決定した。
6)部会HP,MLについて
部会ホームページとメーリングリストについて報告があった。
7)その他
以下のような意見が出された。
・他の学会でも似たような活動をしているところがある(エネルギー資源学会など)。学術会議
の下、そのような学会と連携して(連合体を組織して)、議論していく場を作ってはどうか。
エネルギー学は学会連合的にやった方がよい。
・大学では文系で原子力に関心を持っている先生はきわめて少ない。日本原子力学会でも発表
の場を与えてほしい。そのようになれば会員も増えていくだろう。
・部会メンバーには様々な部会活動に関する情報を提供するとともに、メンバーが参加できる
ような企画をなるべく多く、立案、実行することが重要。
次回のコアグループリーダー会合は8/2(月)の午後に都内で開催。
日時:平成11年8月2日(金) 13時30分〜19時
場所:(株)東京電力新別館3階302会議室
出席者:(敬称略)
鈴木(篤)(部会長、東大)、平岡(副部会長、電中研)、浅野(MMC)、芦田(東電)、伊藤(近大)
、伊東(政科研)、大森(東大)、大山(日本原電)、小野(清)(JNC)、小野(幸)(三菱マテ)
、金子(東海大)、神田(京大)、小佐古(東大)、傍島(原研)、田邊(電中研)、谷口(東大)、
富田(東大/東電)、花井(JNC)、浜崎(原電)、松井(エネ総研)、三島(日本原燃)、宮沢(
京大)、武藤(東電)、持地(JNC)、山崎(関電)、山田(日本原燃) (以上26名)
[配付資料]
・第1回コアグループリーダー会合(1999.6.11)議事録(案)
・第1回運営委員会(1999.7.8)議事録(暫定版)
・今後の部会活動スケジュール
・1999秋の大会の部会企画について
・2000春の年会の部会企画について
・社会・環境部会Chain Discussionの進め方について
・社会・環境部会Chain Discussionについて(ホームページ用)
・平成12年春の年会企画案
・コアグループ一覧
・コアグループリーダー会合メンバー名簿
・入会者氏名一覧
[議題]
1)出席者から自己紹介がなされた
2)第1回コアグループリーダー会合議事録(案)が朗読され、了承された。
3)第1回運営委員会議事録(暫定版)が朗読された。
4)チェインディスカッションについて
大山氏からチェインディスカッションの進め方、および第1回開催予定について説明があった。
第1回は座長は浜崎運営委員で、テーマは「原子力の現状認識」とし、10月上旬に開催予定。さらに
大森からチェインディスカッションの説明用資料が紹介された。
5)各出席者からの自由討論(敬称略)
部会に対する意見部会に対する意見
平岡:
運営委員会でのいろいろな意見が社会・環境部会の将来に対しての期待と同時に危惧の念を示している。
横断的な部会なので学会の1部会としての体系化が可能なのか、また、意見を言うだけで学会の部会と
しての役割を果たしていけるのか心配である。本部会のアクティビティを学会全体に知ってもらう必要
がある。政策提言などをしていくのであれば、学会の性格をかなり変える可能性があり、外部からも注
目されている。アメリカの原子力学会のように戦う学会になるのか、アカデミックな枠にとどまるのか
が問題である。学会の中で浮いてしまうことは避けたい。
神田:
京大でエネルギー研究科を作る際、文部省から何をやるのかをクリアーにとの要請があった。現在、私
の研究室には博士課程の学生が10人いるが、研究テーマは原子力損害賠償法、貿易管理法、プルトニ
ウムの利用法と経済性、保険制度、排出権取引、原子力基本法の経過と課題、保障措置、多国間強制、
強制力の限界、ISO14000シリーズのあり方、定期検査のあり方、科学技術政策における原子力などであ
る。毎月1回、朝から晩まで議論しており、ここで議論されたことがほとんど法律の改正につながった。
このような研究の仕方が社会環境部会の参考になれば。
富田:
原子力発電所の地域共生について研究している。技術者がどれだけ社会というものを意識しているか、
また、それについてどれだけ社会からの要請があるのかを見極めなければならない。原子力学会にこのよ
うな部会ができたが、学会はこれまでは概して技術一本槍であり、これからは社会とのインターフェイス
の役割をはたし、広報活動をもう少し積極的に行っていくべきだ。原則公開でやる必要がある。CDはす
ばらしいアイディアだが、人文系の方だとか、反対派の方も入れるなどして、一般の人々も含めた様々な
立場の人の考えを聞くべき。
花井:
JNCで技術的な面での透明性研究を行っている。コアグループが細分化しすぎていて動きにくいので
はないか。3つか4つにくくった方が議論しやすくなる。CDは議論が拡散してしまうのではとの危惧
がある。座長がしっかり運営する必要。
持地:
核不拡散対策は原子力の専門家だけではできないことから、旧動燃内に核不拡散対応研究会を作った。
国際政治の先生方は原子力長計等、原子力の平和利用政策に関しては、必ずしも精通していない面もあ
り、原子力の推進派の人間と国際政治等、非原子力分野の人間がお互いに勉強しかつ交流するいい場と
なっている。この部会も同じように、文系理系の先生方のギャップを埋める場になれば。CDにも同じ
ようなことが期待される。コアグループでは核不拡散を担当しているが、新谷氏のグループといっしょ
になって、また、サイクル機構の核不拡散対応研究会にご参加の先生方にも協力していただいて研究を
推進していきたい。
小野(清):
FBRの導入シナリオ、FBRの投資対効果、FBRの総合評価を研究している。FBRの導入につい
ては、経済性で勝つシナリオ、アジアのセキュリティの観点から導入するシナリオ、軽水炉の放射性廃
棄物を消すシナリオ、小型炉で導入するシナリオ、天然ウラン資源の制約からFBRを導入するシナリオの
5つのシナリオを作成中である。将来のエネルギー需給予測は不確実で抽象的な議論になりやすく、一般
の人にとってエネルギーが足りなくなるかもしれないということが、考えにくくなっているのが現状で
はないだろうか。本部会でも社会と技術の接点において簡単には答えが出ない問題について議論してい
き、悩んでいるという話を素直に社会に出していくことが社会に受け入れられることにつながるではな
いか。以上が本部会に対する問題意識。これをコアグループで具現化していきたい。
浅野:
リサイクルをやっている。一般社会における環境問題への対策が企業の収益に影響を与えるようになって
きた。経済成長期には安い製品を提供することでよかったが、最近では環境というファクターが生じてき
て企業の責任も問われるようになった。これが企業経営の課題になってきており、原子力事業もそうなる
であろう。アカウンタビリティーを満たしていく必要。原子力産業が環境にフレンドリになるかを社会に
問題提起していくためにはどうすればいいのか。環境会計などはエネルギー産業でも取り入れていいので
はないか。
田邊:
社会環境部会への要望をのべる。層を厚くしたい。この部会に行けばこういう研究ができ、こういう研
究者と交流ができるというようになればよい。いい論文を書いて(情報発信)、その問い合わせに対し
て相手を勧誘する。2つ目はチェインディスカッションを利用するべき。非学会員の方も参加させるべ
き。大気汚染の研究グループにも入っているが、リスクコミュニケーションをやっており、本部会と協
力できる。
伊藤:
原子力学会の企画委員をしているが、パネルディスカッションに関して少しテーマが固いのではないか
と言う意見が出た。学会支部の活性化をコアグループで担当している。今度、関東地区に支部を2つ作
るが、各支部で年1回はCDを開催するなどしていけば部会員が増える。また、電力会社の会員を増や
さなければ片手落ちになる。原子力発電はどうしても広島、長崎がイメージされる。放射線生物影響と
いう点からも活動していくべき。
山崎:
部会の趣旨がはっきりしない。原子力についての共通認識を持つところにとどまるのか、それとも社会
に対して積極的に働きかけていくことを目指すのか。前者であって会員を増やしていくのであれば、じ
っくり時間をかけて1つ1つ課題をつぶしていけばいい。社会に積極的に訴えて行くならば部会内で共
通認識をまず持つことが大切。外にいろいろなことをアナウンスする段階に早く到達できる。地元では
安全性の議論ではなく、むしろ地域振興、県民合意が大きな問題となっており、そのような場でアカデ
ミックな立場からの発言があると非常に説得力があってよい。学会のメンバーも外に出ていって、原子
力に対する理解活動をやっていく必要。
宮沢:
京大でエネルギー科学研究科エネルギー社会システム計画という講座を担当している。エネルギーの共
生社会を実現する上でどのような仕掛けが必要かをモデル化している。また、エネルギー技術の社会へ
の発信も試みている。また、大学生向けの教科書が途切れ気味ではないかということで新しいシリーズ
を計画している。コアグループの数が多すぎる。5−10にくくるべき。
小野(幸):
ウランの廃棄物について社会的な視点を加えて探求していきたい。最近、関西のコンクリート事件に対
し、土木学会がすぐ動き出した。このようなこと、すなわち原子力学会として直面する技術的問題、社
会的な問題に対するアクションが本部会でできるのではないかということで参加している。
山田:
本部会の議論は最後にまとまるのか。円卓会議も議論が百出しているが、本部会の議論も拡散しないか
心配である。CDは非常に良い企画であるが、議論が発散しないように注意が必要。
武藤:
社会的現実と物理的現実のギャップをできるだけ小さくするにはどうしたらいいのかを考えることがポ
イント。技術者のふるまいや役割のあるべき姿を学会の中で広めていくべき。合意の形成、政策の判断
などをどのように行っていくべきかを検討すべき。安全性を理解してもらうための概略の議論は部会と
してできるのではないか。アクセプトしてもらうということが必要になるわけだが、その際リスクとい
うことが問題になるので、放射線リスクの議論が部会でできればいい。学会には世の中から中立性を期
待されている。
芦田:
東電で社会的受容生を向上するための方策を研究している。原子力に関係していない人との会話から、
対立の構造が見えてくる。是々非々の議論がよいが、なかなかそうもいかない。なぜ社会が懐疑的にな
っているかを考えてみると、他の領域(ダイオキシンなど)と同様であって、ネガティブな意見が広ま
っていることが問題。また、どうしてもそれぞれの立場を超えられない。一歩下がった視点で共通点が
見出せないか。文明の持続的発展の必要性では意見は同じ。各論になってくると、対立が起こる。この
原因は事実認識(リスクの理解)、価値観の違いである。専門家が社会にわかるような言葉で話すこと
が重要。原子力学会の中だけの議論に収まらず、外に説明していくことが重要。このあたりを外部と協
力しながら研究していくべき。
大森:
学会の中の部会として、工学のバックグラウンドを生かし原子力の社会的な側面についての研究に寄与
できるはず。外部に対する宣伝も重要であるが、まずはアカデミックな成果を上げることが重要。成果
が上がれば外部からも注目され、いろいろな分野からメンバーが入ってくるのではないか。
伊東:
米国エネルギー省は、昨年、議会(下院)科学委員会の要請により、京都議定書による温室効果ガスの
排出規制が、米国のエネルギー市場や経済活動にいかなる影響を与えるか、総合的なモデル分析を行っ
た。 その結果、環境対策コストの内部化により、風力やバイオマスの競争力が改善されるだけでなく、
近年、米国のエネルギー市場で全く競争力を失っていた原子力も、ある段階から急速に普及し始める可
能性があると指摘している。 すなわち、電力市場の自由化政策(競争政策)と環境政策の統合化によ
り、米国の電力市場におけるエネルギー源間の競合関係は、今後、持続可能なエネルギーミックスの実
現に向けて、激しく変貌し始める可能性が高いと予測している。社会環境部会では、原子力の社会的性
格に十分留意しつつ、中・長期的な原子力の社会的受容性の改善に向けて、社会・人文科学的な研究や
政策研究を多角的に推進していくことが望まれる。 安全保障関連や市場と環境関連の検討は、かなり
行われてきているが、「社会心理とリスク管理」、「民主主義と統治形態」の検討、なかでも、後者の
検討は、かなり立ち遅れている。 特に、原子力の社会的性格やその信頼醸成に留意した場合、新たな
制度的枠組みや手続きの創設を含むこれらの課題領域の統合的な政策研究の推進が極めて重要であるが、
現状では、やっとその途に着き始めた所といってよい。今後の本格的な基礎研究や政策研究の展開に向
けて、当部会でも所要の検討を深めていくことが望まれる。
大山:
発電本部の安全担当および品質保証担当をしている。本部会ではCDの幹事になっている。CDの議論
の結果を消費者に発信し、対話していくことが必要。CDをとりあえずやっていき、共通認識を持って
いくことも重要だが、消費者と対話していくことが特に重要。情緒的な部分が理知的なものに代わって
いく必要。
傍島:
本部会の役割は対内的な啓発と対外的な啓発の2つがある。両方必要。技術者は視野が狭い、これが
原子力が逆風をうけるようになった原因。社会との関係で必要なことは何かを、技術者がもう一度考え
る必要がある。対内的な議論の場を設けて、いろいろな人の認識がどうなのかをまず互いに知る。そう
した積み重ねの上でメッセージを社会に発信していく。技術者の言っていることは信用されなくなった。
信認を獲得することが大切。学会内外から注目される行動が重要。
浜崎:
CDの最初の座長を務めることになった。CDは斬新な企画であるが、議論が発散してはまずいので、
意図を持ちながらやっていかないといけない。これまで原子力は国策でやってきていた。国策とは長期
計画であった。メーカーもビジネスになるのでやってきた。しかし、核燃料サイクルが非常に遅れてい
る。このまま行ったのでは日本の原子力はもたないという意識がすべての原子力関係者にあるのではな
いか。まさに現在は原子力の転換期であり、この点が今度の長計にも反映されることになる。結局、現
状を評価することが重要でこれをやらないと次の世代への橋渡しにならない。原子力と社会の境界条件
は非常に複雑で幅が広い。本部会が中立的な立場で提言できるようになれば価値は大きいが、トータル
な社会の中でどうすればいいのかが問題。これまで縦割りであったことを横断的にしていかなければい
けない。本部会はうまくオーガナイズさせていけばいい成果を生み出せるであろう。CDの参加者は2
0?30人程度か。なるべく早くCDをスタートさせたい。
松井:
本部会はユニークな存在。注意しておく必要があるのは、情報発信というときに、知らない連中に教え
てやるんだというスタンスでは通用しない。また自身を喪失して卑屈になるよう大衆迎合主義もだめ。
金子:
私はこの中でただ一人の文系。原子力との関係は、外交官として軍事問題からスタート。NPTに入るかい
なかの議論が最初の仕事であった。核の傘は日本にとって必要かどうかの議論をしてきた。平和利用の
方も外務省にいたころには、日本の再処理にカーター大統領が待ったをかけてきた。そのときの激しい
討論の結果再処理が認められているが、そのときの騒動の渦中にいた。日本のプルトニウム利用に関し
ては、条約は整備させたが運用上でアメリカにやられる可能性がある。戦後の前半の20年と後半の2
0年で大きく様変わりした。特にパブリックの態度が大きく変わった。迂遠なようでも民主主義社会に
おいては国民の教育が必要である。やっと原子力の環境整備ができたと思ったとたんに、いろいろな事
故が起こった。気がついてみたら、原子力技術体系の中はシロアリが食っていて、いつか倒れてしまう
のではという懸念がある。民衆や政治家に見放されれば下降線をたどっていく。民衆を教育する必要が
ある。民衆はわからないものには反発感をもつ。民衆のレベルでいろいろやっていかなければならない。
東海大学で教えているが、原子力工学のような難しいことをやる学生はごく少数。ほとんどの学生はエ
ネルギーや原子力には縁がない。民衆を納得させないと民主主義社会は成り立たない。大学では、文科
系の学生を対象にしてエネルギー、原子力、環境などを題材にしてわかりやすくやっている。時間を
をかけてやっていくしかない。チェインディスカッションもいいが、忙しい現代、パソコンで電子会議
などをしてもいい。テーマをきめて優秀な人2,3人に問題提起型のペーパーを出してもらって、これ
に対して世界中の人にコメントを書いてもらう。それを少しエディットする(これは大変)。
谷口:
現在、東大の寄付講座で原子力社会工学を研究しているが、行政に携わった経験から言えば、社会と技
術の橋渡しは言うは易し、行うは難しである。何故これまでやってこられなかったのかを考えるとやは
り難しかったからであろう。社会や環境のほうが原子力よりはるかに大きなシステム。原子力はサブシ
ステム。おそらく社会や環境をシステムとして捉えようとすると、原子力システムよりはるかに複雑。
地域共生などの問題について議論していると、地域の複雑さを、学問あるいは実践的工学の名に値する
ものとして研究していくことは難しい。社会学や政治学は彼ら(学者)の中でさえ行き詰まっている。
そういう中でどのように社会と技術の橋渡しをするかは非常に難しい。原子力の研究は過去50年、や
っている人には非常に面白かったと思うが、出来上がったものはクレディビリティがく、社会からの信
認を受けていないのが現状。そういう中で、橋渡しをやろうとすると極めて質の高い知性が望まれる。
下手をすると、橋渡しをする試みが、原子力の信認に逆効果になるリスクがあるのではないかと思って
いる。従来型の工学的な知性だけではなく、鋭い感性が必要。これから部会でやっていこうとするから
には社会からの信認を得る方向で行かなければならない。部会に対しては、地域共生や地球環境問題な
どのテーマを期待する。問題が複雑であると同時に、議論が政治的な取引の場になっており、客観的な
立場を学者の立場でも維持しがたい傾向がある。20世紀はハードパワーの時代。21世紀は情報や知
識などソフトパワーの時代。原子力をどうするかは、技術と社会の橋渡しがなければ難しくなるのでは
ないか。
三島:
プルトニウムのコアグループを担当しているが、関係する方に参加を打診している。当面は春に向けて、
準備をしていこうと考えている。解体核プルトニウムについての研究会に参加しており、メンバーの国
際政治学者にも入会を呼びかけをしているが、会費の問題もあり、なかなか進まない。学会同士の連携
という形で共同研究、意見交換をしていってはどうか。
部会活動を社会にどのような形でアピールしていくべきか
山崎:
学術的な討論を一般の人に聞いてもらうこと、また、日頃、マスコミと原子力に対して一般論と
して議論するようなチャンネルを持つこと。この2点を恒常的に。ただし、まずは部会としてペーパー
を出す段階でとどまるか、その先を行くかを決める必要がある。
金子:
パネルディスカッションに関しては、学会員以外でもOKになった。かなり集まる。中村さんの
原子力報道を考える会(早速声をかける)をはじめマスコミの方に入ってもらうべき。
谷口:
ウェブサイトに工夫をするべき。これからは伸びる。
金子:
この部会はむしろ役所とか電力のHPとは異なり、どこに行けば情報が得られるかということを
載せるのがよい。CDのテーマとしては、日本原子力学会は役立っているかなどが面白いのでは。
傍島:
オープンにするかクローズにするかは区分けが必要。たとえばマスコミを入れると発言が制約され
る恐れがある。CDは部会メンバーの認識を共有するというのが目的である。インターネット方式は管理
する人に膨大な労力とお金がかかる。幹事会では無理という結論になっている。CDは初めはオープンに
しない方針。
神田:
学者は中立と思われているか?マスコミは中立か?マスコミ対応組織を本部会に作るべき。
山崎:
マスコミからの問い合わせが部会にくるようになればよい。
平岡:
マスコミとの付き合いは最後は信頼関係。この人の言うことならまあ信用しようかと思うかどう
か。この部会がマスコミの窓口になれるだけの信頼感をまず植え付けることが肝要。ただし、学会の宣
伝部になってはいけない。ペーパーを出していくことが前提条件として必要。信頼される部会になるこ
とが重要。
小佐古:
どういう範囲でやるのかが重要。閉じた議論をやるのではあまり意味がない。せっかくできた
のだから、外の人も交えるような議論があっていい。
鈴木:
愛媛大学の学会でこの部会の有志がマスコミとの懇談会を設けてみるのも一案。マスコミから本
部会にどういう人がいるのか見えるほうがよい。
谷口:
プレスとの対応の時に、部会組織と対応するのはリスキー。専門家個人として対応する方がよい。
意地悪に解釈される可能性があり、慎重にしたほうがよい。
神田:
あそこなら中立的な立場で答えてくれるなというセンスが重要。逃げてはいけない。
鈴木:
マスコミとのチャンネルを整備しておくことが重要。また、部会としては学術的な討論を充実さ
せていくことも考えていかなければいけない。伊東さんと田邊さんで論文を出してみてほしい。
コンピューター会議、インターネットの活用
鈴木:
大変ではあるが、こう行ったことを考えていかなければいけない。
金子:
お金を出す企業があるのではないか。
宮沢:
やり方によっては、初期費用として300万円、メンテナンスに月に100万円かかる。
鈴木:
どのようなやり方でやったらいいかという原案を金子先生、宮沢先生、大森さん、富田さんで検
討してほしい。
鈴木:
試みにテーマを決めて、どなたかにペーパーを書いていただいて、それに対して意見を集めるな
どというのも一案。
金子:
電子メールのメーリングリストを活用(部会員だけになるが)
コアグループの再編
研究関連のコアグループを以下のように統合することになった。各グループで次回までに研究テーマ案
を出す。
国際政治・戦略、核不拡散、核軍縮技術協力 → 伊東、持地
リサイクル、ウラン、環境基準、安全・安心 → 伊藤、小佐古
プルトニウム、SF貯蔵・輸送、高速炉、研究開発 → 池本、三島
透明性、情報公開、法制度、地域共生、対話、オープンスクール、学校教育、基礎教育(文系)
→ 神田他
この他、金子先生、大山先生で研究グループを結成。