チェインディスカッションについて




 日本原子力学会社会・環境部会は、原子力を取り巻く現状が混迷の様相を呈しており、それが原子力の 技術的な側面だけでなく社会的な側面に強く関わっているという認識の下で、原子力の様々な社会的側面 についての研究を推進し、人間、社会、環境、技術の相関系における原子力の望ましい在り方を探求する こと、さらに、その成果についての情報交換や普及を図ることを目的として設立されました。原子力技術 は、核軍縮問題、地球環境問題、エネルギーセキュリティといった、現在人類が直面している難問の解決 に大きな寄与をする可能性を有していますが、原子力の社会的側面についての探求は、人間及び社会と科 学技術との新たな共生関係を創造することによって、原子力を望まれる存在へと導くことでしょう。

 一方、わが国の社会システムや国際情勢は急速な変貌を遂げつつあり、これに伴い、原子力に期待され る社会的な効用や世論も当然に変化しています。従って、われわれ原子力関係者は、原子力に対して長期 的な視野を持つと同時に、原子力を取り巻く最新の情勢や様々な立場の人々の認識を知り、同時代的でヴ ィヴィッドな理念を涵養しておく必要があります。

 そこで、社会・環境部会の活動の一つとして、原子力の特に社会的論議を喚起しているテーマについて の自由討論会チェインディスカッションを開催します。この名称は、この場で行われた議論が参加者の皆 さんの活動に生かされ、また、このような議論が連鎖的に広がっていくイメージを表しています。

 当面は年に3,4回、日本各地での開催を予定しており、座長や幹事は開催の都度交代します。各回の 進行方法は座長が決定しますが、その都度結論を求めることなく、意見や情報の交換を行うことを主たる 目的として実施し、提起された課題については、以後のテーマとして掘り下げ、伝達して行くことにしま す。本討論会が学生の皆さんにも原子力の現状について知るよい機会になれば幸いです。


○チェインディスカッション常任幹事

平成11年度―平成12年度
大山正司 (日本原子力発電)
傍島 眞 (日本原子力研究所)

平成13年度―
新谷聖法(JNC)
山田耕治(東電)
千歳敬子(三菱重工)

  (この趣意書は、平成11年の第2回総会において確認されたものです。)