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* 放射線工学部会ニュースレター    2012−15号(467号)*
*                     2012年 9月 1日 *
*                       放射線工学部会発行 *
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国産安全解析コード開発戦略検討WGの活動について


放射線工学部会の皆様

 原子力学会・放射線工学部会では、部会として、福島の事故に対する社会貢
献として何ができるか検討を行っています。また、学会事故調査委員会が立ち
あがり、学会全体として、その貢献の明確化を図っています。そこで、部会で
は、その一環として、部会ホームページにある4項目に関し、WGを設置し、具
体的な作業を行っています。
 国産安全解析コード開発に関しても、その検討を進めているところですが、
その活動を本格的なものとするため、本件に関係する専門家の方々にお集まり
いただき、本WGで更に具体的にご検討いただきたく思います。
本件、趣旨ご理解の上、ご賛同いただけますよう、よろしくお願いします。

 なお、ご賛同いただけます方は、幹事・佐藤(sato@mri.co.jp)、中島
(nakashima.hiroshi@jaea.go.jp)まで、ご一報いただけますよう、よろしく
お願いいたします。

趣旨、目的
 1F事故 にかかるシビアアクシデント解析のために、国産安全解析コード開
発の機運が高まっている(下記参考資料参照)。そこでは、RELAP、MCNPに対
応するものが挙げられている。また、廃炉、除染及びそれにかかる廃棄物処理
における安全評価も今後の重要な課題として挙げられる。原子力学会では、か
ねてよりモデリングシミュレーション技術の開発戦略を検討しており、3月に
は本部会を含む4部会合同で、ワークショップが開催された。
 そこで、それに呼応して、本部会にWGを設置し、 放射線工学に関連するソ
フトウェアの 開発戦略を検討することを目的とする。

名称:国産安全解析コード開発戦略検討WG
主査:平山(KEK)
主要メンバー:上松(東芝)、森島(三菱)、田山(日立)、
       小迫(清水建設)、高木(MRI)
幹事:佐藤(MRI)、中島(JAEA)
検討内容:下記参考資料参照
開発のあり方の検討
 維持、管理の体制の検討

====================【参考資料】====================
国産安全解析コード開発戦略検討WG実施計画

1.目的
 放射線工学に関連する国産安全解析コードを開発し、その維持管理体制を確
立するための戦略を検討することを目的とする。
 具体的には、これらの解析コードに求められる機能要件を整理して、この要
件を満たすコードを開発・保守するための体制を検討して、原子力推進及び規
制行政及び原子力産業界に対して示すことを目的とする。

2.背景
・福島第一原子力発電所事故に係るシビアアクシデント解析のために、国産安
 全解析コード開発の機運が高まっている。
・廃炉、除染及びそれにかかる廃棄物処理における安全評価も今後の重要な課
 題として挙げられる。
・原子力学会では、かねてよりモデリングシミュレーション技術の開発戦略を
 検討しており、2011年3月には本部会を含む4部会合同でワークショッ
 プが開催された。
・資源エネルギー庁では、平成24年度から「発電用原子炉等安全対策高度化技
 術基盤整備事業」を開始し、この中で安全評価手法の基盤整備の一端として
 「モデリング・シミュレーション技術の高度化」も取り上げられようとして
 いる。

3.参加者
 主査:平山(KEK)
 幹事:佐藤(MRI)、中島(JAEA)
 主要メンバー:上松(東芝)、森島(三菱)、田山(日立)、高木 (MRI)
 他、放射線工学部会員

4.対象
 炉規法及びRI法対象施設に関する放射線工学関連解析コード
 粒子輸送コード:簡易計算コード、モンテカルロコード、(Snコード)
 放射能インベントリー計算コード

5.検討内容
 A. 機能要件の検討
  原子力安全基盤の構築を目的として、放射線工学関連解析コードが満たす
 べき機能要件を検討する。原子力安全基盤の定義とは、より安全な原子炉や
 加速器・RI取扱施設を実現化すること。
  以下、その検討例。

  安全基盤機能要件として満たすべきもの
  1.国産であること。
    諸外国の政策・戦略等、即ち輸出制限に影響されないこと。
    日本の技術開発戦略の基盤となり、技術輸出展開戦略に適用すること。
    自国における技術継承を可能とすること。
  2.最新知見を反映しているものであり続けること。
    自国における研究開発成果の反映を可能とすること。
    それにより、研究開発体制を自国に保有し続けること。
    諸外国における進展の反映を可能とすること。
    諸外国との情報交換を常に行う体制を維持すること。
    情報システムの発展に対応した開発環境を保持すること。
  3.インターフェイスが充実しており、QMSに対応すること。
    ユーザーフレンドリーであり、使用者の負担を軽減させること。
    入力ミスを低減させ、業務合理化が図れるものであること。
  4.規制、ユーザー両方の観点から構築されていること。
    安全審査に用いられるものであること。
    標準化されていること。
    コード品質保証がなされていること。
    それが文書化されていること。
    常に最新情報が反映されていること。
    これらが国家認証されていること。
  5.上記要件を満たすために、維持・管理・保守及び補助が可能な体制を
   構築すること。

 B. 原子力安全基盤構築の要素の検討
 ・技術開発要素−コード開発等
 ・人材育成と確保要素
 ・安全確保のための体制要素(規制側、事業者側)

 C. 粒子輸送解析が波及する分野の整理検討
 例)
 ・シビアアクシデント・・・CAMS(格納容器内雰囲気モニタ系)の応答評価、
              直達線による被曝評価
 ・廃炉対応・・・放射化量評価、作業員の被曝評価、最適作業計画の策定
 ・炉心解析・・・原子炉設計、安全性評価
 ・臨界安全解析・・・核燃料施設設計、安全性評価
 ・遮蔽解析・・・原子炉、核燃料施設、加速器施設、RI施設等の遮蔽評価
 ・インベントリー評価・・・原子炉、核燃料施設等の線源評価
 ・放射化計算・・・廃炉、クリアランス、等の評価
 ・材料損傷・・・原子炉の材料安全、高経年化、等
 ・放射線化学・・・原子炉材料の腐食、等
 ・核セキュリティ・・・核物質検知

 D. コード体系の構築の要件検討
 ・開発コードの項目の確認、優先順位
 ・包括的パッケージコード化の検討、各コードの適用事例の分類説明マニュ
  アル
 ・プログラム言語は、その将来性と人材確保の観点から適切なものを採用
 ・プログラムのコーディングにおける基本ルールの策定
  開発対象の例)
   簡易計算コード:QAD、G33の結合コード、基礎データの整備
   モンテカルロ:PHITS、MVP
   Snコード:使用に耐える国産コードはあるか?
   インベントリー計算コード:ORIGENを超えるもの(DCHAIN?)
   核データ処理コード:NJOYに代わるもの。
   QAD:斜め透過問題を気にせず使えること
   G33:体積線源を取扱えること(QADと同一入力データ使用)
 ・コードの現状整理
  既存コードの課題洗い出し、現状確認
 ・開発年次展開の明確化

 E. ユーザーインターフェイスの要件整理
 ・ユーザー支援機能
 ・QMSへの対応(QAレポート)
 ・核データ等入力データの保証
 ・CAD図の反映
 ・入力のエコーバック等確認方法の確立
 ・出力のビジュアル化 例:PHITS-ANGEL

 F. 開発体制の検討
 ・開発機関、管理(保守・ユーザーサービス)機関の検討
 ・人員構成
 ・必要な予算の算出と予算確保策の検討

6.検討スケジュール
 平成24年10月1日〜平成25年9月30日
 〜平成24年12月 開発が必要な解析コードの抽出と優先順位の検討
 〜平成25年 3月 優先順位の高い解析コードの機能要件検討
 〜平成25年 6月 その他のコードの機能要件検討
 〜平成25年 9月 開発及び保守体制の検討


以上


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ニュースレター担当:伊藤主税(原子力機構) ito.chikara@jaea.go.jp
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