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* 放射線工学部会ニュースレター    2003−11号(230号)*
*                     2003年 7月 1日 *
*                       放射線工学部会発行 *
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<ニュース項目>

 1. 出版物のご案内
 2. JENDL-3.3処理用プログラムについてのお知らせ



1. 出版物のご案内

 日本学術会議・荒廃した生活環境の先端技術による回復研究連絡委員会が対
外報告として「放射性物質による環境汚染の予防と環境回復」を発表いたしま
した。執筆者は、小職と田中知(東大)、森澤真輔(京大)、古崎新太郎(崇
城大)、石川秀高(原安協)、大江俊明(東海大)、河田東海夫(サイクル機
構)、小佐古敏荘(東大)、小村和久(金沢大)、松鶴秀夫(原研)です。
 目次は、序言、放射性物質による環境の汚染とその修復事例、放射性物質に
よる環境汚染の可能性とその対策、放射性物質による環境汚染の防止・回復技
術、非放射性物質による環境汚染の防止・回復技術、放射性および非放射性物
質による環境汚染の防止・回復対策、取りまとめおよび提言、です。
 まだ,印刷ができていません。なお、近く日本原子力学会ホームページで見
られるようにする予定です。ご関心ある方はお知らせ下さい。

木村逸郎 
 日本学術会議会員、京都大学名誉教授
(株)原子力安全システム研究所 技術システム研究所長
 〒919-1205 福井県三方郡美浜町佐田64
 電話:0770−37−9100、Fax: 0770-37-2008



2. JENDL-3.3処理用プログラムについてのお知らせ

 JENDL-3.3利用者の皆様

 住友原子力の山野です。

 評価済核データファイルJENDL-3.3が原研より公開され約1年が経過しまし
たが、いまだに断面積処理コード(njoy)で処理できないとの照会が2003年7月1日
現在、原研核データセンターに寄せられています。
 ご承知のように、JENDL-3.3はENDF-6型式で核データが格納されており、njoy
はENDF-6型式の核データから断面積処理を行う計算コードですが、ENDF-6型式
の全てを処理できるわけではありません。基本的には米国のENDF/B-VIの処理
だけを保証しています。JENDL-3.3は無償で公開されていますが、核データを
処理する断面積処理コードや群定数については、無償で提供されるものではあ
りません。利用者の目的によって、核データの使用方法は様々ですから、利用
者の責任においてその使用目的に合致した処理を行う必要があります。ただし、
JENDL-3.3を処理できない利用者を考慮して、JENDL-3.3の普及を目的とした、
汎用的なmcnp4c, anisn, dort, tort, MVP, SRAC用ライブラリー及びJFSライ
ブラリー等が整備されており、これらの入手方法については原研核データセン
ターに照会して下さい。
 このように、核データを有効に利用するためには、格納されたデータの物理
的意味を正しく理解して取扱う高度な専門知識が不可欠です。原子力の基礎基
盤であるJENDL-3.3の断面積処理コードは米国産に安易に頼るべきではなく、
公的機関で構築し維持すべきです。しかしながら、核データの適切な処理方法
を熟知した研究者や技術者が近い将来いなくなり、自前でJENDLの群定数処理
すらできなくなる状況になることを非常に危惧しています。
 そのため、当社はJENDL-3.3をnjoyで処理して、mcnp4c型式やmatxs型式
(anisn,dort,tort用)の断面積ライブラリを作成した知見をpatchファイルとし
て無料公開することにしました。なお、patchファイルの公開は今回限りです。
無料公開ですので、精度や品質の保証は致しません。配布方法は原研核データ
センターのホームページで近々お知らせする予定です。

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ニュースレター担当:遠藤 章(原研)
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