座長:児嶋眞平( 福井大学長):これまで、「もんじゅ」安全性調査検討専門委員会において、「もんじゅ」は工学的に多重な安全性を確保していることを確認した。今日は先ほどの先生方のお話に基づいて、エネルギーの問題、研究開発拠点化、エネルギー教育などについて、議論したい。「もんじゅ」は福井県の財産と考えている。

 

パネリスト:

  石井吉徳

  竹内哲夫

  木原茂豪( 敦賀青年会議所理事長)

  天野寿美恵(敦賀女性ネットワーク会長)

  川岸礼佳(福井大学大学院博士前期過程2年)

 

1.      エネルギー問題について

木原:今年で45周年を迎える敦賀青年会議所では、住みやすい敦賀にするため、様々な取り組みを実施してきている。石油が身の回りに役立っていること、資源の確保を考えなくてはならないことを本日の講演で知った。「もんじゅ」の仕組みなど、まだまだ知られていないのが実情であり、理解を深めていくための活動を実施したい。

天野:本日の講演で石油資源が有限であること、エネルギーの将来への備えについて、いっそう考えていかなくちゃいけない。本日、学生が大勢参加していることが非常にうれしい。安心して生活していくためには、正確な知識を身につける必要がある。最高裁判決の朗報の後、「もんじゅ」を訪れ、生き生きとした職員を見て、新鮮に思った。女性職員から工事の説明を受け、今後も一緒に勉強を続けていこうと約束した。プルトニウムはエネルギーの安全保障に大変重要だと考える。しかし、安全・安心のため、社会からの信頼を得るためには時間がかかる。JNCには事故の対応の失敗を忘れず、速やかに情報を公開していってもらいたい。

川岸:現在、美浜町にある原子力システム研究所で修士課程の研究として、放射線照射による金属の劣化について、また、エネルギーの教育についての研究にも携わっている。原子力を専攻したのは放射線に対する関心と、JCO事故以降、原子力発電を疑問に思う気持ちが起こったことがきっかけであった。

石井:石油危機の後にはウランの危機が来る。資源論から「もんじゅ」は必要であり、様々な答えが存在する多種多様な議論をエネルギー問題では行っていくべきである。これからは地方分散型のエネルギーの形を模索していく必要がある。

竹内:原子力委員時代からJNCとの付き合いがあるが、高速炉と核融合とを比べると、高速炉はすでにウサギを捕まえている段階(すでに確立された技術と認識している例えとして)といえる。また、アメリカ・ロシアは核兵器解体後のプルトニウムを利用する路線として、日本と同じ方向を目指している。

 

2.      研究開発拠点について

木原:研究開発拠点化構想は福井県にとって明るいニュースである。これからどのようなことを行っていくのか、特に実験などのための施設が必要と考えられるが、このような設備を設けていくのか。

児嶋:照射後試験施設(ホットラボ)や、重粒子線の放射線治療のための装置(加速器)などが敦賀に必要である。

竹内:放射線の利用は大きなメリットがある。福井県は加工などの技術的素養があると考えており、大きな発展が期待できる。放射線治療などを見ると、日本人は嫌う部分と受け入れる部分が極端であるようで、治療における被爆量などは日本人が一番である。もっと放射線を正しく理解して受け入れることが大事である。

天野:拠点化についてはそれが実現すればすばらしいと思う。ただ、もっとその内容の説明をしていく必要があり、地元が元気になっていくことを希望する。

 

3.      エネルギー教育について

石井:教育の問題として、学問体系が個別な分野に分かれがちで、エネルギーの問題は社会的受容からも理工系、人文系が統合された問題である。敦賀の人々はこれらを理解する上でよい環境であるといえる。

川岸:原子力発電の必要性を説明する時に資源の枯渇や地球温暖化などの中から原子力しかない、といった八方塞がりの議論になっている。これは妥協した結果ととらえられがちだが、そうではなく、最善の選択として理解してもらうべきである。

木原:経済と環境を考えて、青年会議所における活動を続けていく。

児嶋:原子力学会が本日、この様に若い人たちの参加のもと、本セミナーを開催できたことが、今後のエネルギー教育において有意義な機会となればと思う。

 

以上