日韓乾式ワークショップの概要報告

 2002年2月5〜6日の2日間にわたりキャンパスプラザ京都(京都駅前)において、第一回・日韓乾式再処理ワークショップを開催した。
 この国際ワークショップは、京大が中心となって進めている拠点大学方式交流プログラム(CUP)の活動の中で、乾式再処理に係わる両国間でのワークショップの開催のアイデアが提案されたものを受けて、京都大学原子炉実験所とソウル国立大学が中心となって調整を行い、再処理・リサイクル部会の後援を得て、初めて開催したものである。
 ワークショップには、KAERI, KAIST, Seoul National Univ. , Kyunghee Univ. 他の組織より、14名が参加した。国内からは、東大、京大、阪大、東北大、原研、JNC、電中研、メーカ、東京電力などから計34名の参加があった。
 研究発表のテーマは、基調講演および招待講義と、(1)乾式再処理研究開発、(2)使用済み酸化物燃料再処理、(3)溶融塩化学、(4)廃棄物処理、の4テーマである。日本から12件、韓国から11件の、合計23件の論文が発表された。
 日本側からは、電力中央研究所の井上 正博士による基調講演、京大の伊藤靖彦教授による招待講義をはじめとして、大学、原研、JNC、メーカ、東京電力から、基礎研究から工学研究開発にわたる豊富な研究成果が発表された。
 韓国側からは、KAISTのKun Jae Lee教授による基調講演をはじめとして、概念研究や基礎研究の成果が発表された。両国からの発表の内容は多岐にわたり、この分野でのテーマや課題のバラエティーの大きさが実感されたが、参加者による密度の濃い質疑および討論が行われた。
 第一日目の夜に懇親会が開かれ、参加者一同おおいに友好を深めた。韓国側が、乾式再処理技術に関して、将来型の原子力利用概念を構成する技術の一オプションとして強い興味を持っていることが分かった。我が国が、この分野で技術的に韓国よりもかなり先を進んでいる事は確かであるが、両国間の情報交換によって、国際的に開かれた姿勢を維持しアジアの隣国との技術的な関係や友好な関係を維持することは広い意味で有益であると考えられる。また、このようなワークショップを母体として、国内での乾式再処理研究開発自身の情報流通が円滑になるなどのメリットも感じられた。

 第二回のワークショップを、2003年春に韓国で開催される韓国原子力学会に併せて開催する案が検討され、参加者の概ねの了解得られた。