<パネル討論>

 

座長(原子力委員会)竹内 哲夫、司会進行(東電)天野 治

(エネルギー問題に発言する会)池亀 亮、(エネルギー問題に発言する会)澤井 定

(京大炉)山名 元、(YGN代表)植松 真理、(YGN)長沖 吉弘、(YGN)佐久間 正剛

 

 

(竹内)

前は火力をやっていまして、ある日突然、東電の原子力をやることになりまして。

これから再処理リサイクルは大きなテーマだと思います。そんなことも含めて今日は皆さんと意見交換をしたいと思います。

票に絡んでものが決められていて開発に計画にみんな20年単位でかかっている。20年というのは人間でいうと???を越えてしまっている。その時考えた理想の貢献度は、どんどん動きながらものを作っていく。20年経ったら同じものを見ても社会が変わってしまっている。これからリサイクルを開発する先程YGNの方が言われましたように30年後は今のYGNはシニアです。同じ道をたどるのではないかと思いますので、これからテーマかと思います。

 

(天野)

先程の予稿の所に書いてありましたように当初の目的の議論は、これだけ広範ですので5つ位に分けて考えましょうという事で。もう一度確認していきますとP8の中段にテーマ、議論の観点がございます。1番目がエネルギーのリスクに備える。パーセプションの中で部会長の方から春の講演を要約していただきました。これについては議論が終わっているかと。ただ、ミドルから意見がございましたように将来の夢に対して条件を常にアップ・デイトにするとの事がございました。2番目については炉でいうと炉がどれくらいの時間をかけて一人前にしてきたか。池亀顧問からご説明をいただきました。3番目の再処理については澤井さんからご説明いただきました。4番目にリスクに備えてきたシニアとリスクが顕在する若手の感じ方はどうかについて佐久間さんと長沖さんからご説明いただいたわけです。その中から、これが当初のねらいの論点でした。それに対して今回のキーノート、シニアの意見を受ける形で若手の方から幾つか重要な示唆がありましたのでそれに対して順次議論をしてはいかがかと思います。1つ目は先程のYGNの佐久間さんから2点ほど明確にディスカッションすべきといただいたのが「今、YGNとして最低限しておくべき事あるいは今のヤングができていない事」、2点目が「シニアが若い時代、30年前を振り返ってヤングジェネレーションの時の反省点と良好な点」を今のYGNにリコメンドいただけないかとの事でした。一つには危機意識をどのように説き起こしていけばよいのか。と30年前皆さんはどういうことをお考えだったでしょうかということです。今の2点について池亀さん、澤井さんに順に発言していただければと思います。

 

(池亀)

30年前とお話がありましたが私の場合は50年前だ。

シニアのシニアとして50年前に考えていたことでうまくいかなかった最大のものは何かというと、思ったより、うまく開発できなかったという事。これに尽きます。例えば高速炉というのはあの当時考えていたものは今になってどうなのかというと思ったほど簡単には開発できなかった。同じ事がリサイクルにも言える。リサイクル技術が発展して、もっと安くできていれば話の殆どは終わってしまう。高いという事があるから、問題になっている。テーマがもっと大きくて、我々が当時、もっと慎重に考えるべきだったのかも知れない。しかし、全体から見ると原子力の話というのは元々スケールが大きい。その位のタイム・スケールが必要かも知れない。この辺は人によって評価が違うと思います。

 

(澤井)

約40年前、原子力委員会が動力炉開発の基本方針を内定した時を思い出しています。

後発の原子炉(新型転換炉と高速増殖炉)が軽水炉を追いかけて開発を始めた時、大きな出力の軽水炉を目標にしなければなりませんでした。商業化の規模は、それほど、真剣に考えられていなかったと思います。

一方、軽水炉は商業炉として、順番に30万、60万、100万、135万kWeと大型化されていきました。後発の原子炉は、進んでいる軽水炉の大きな出力クラスの建設費(技術の信頼性を含め)と比較せざるを得ませんでした。

そうしたときに、後発の原子炉をどのように面倒を見ていくか或いは意義を認めていくか、そういう所を論理的につめて皆様の理解を得ないと、なかなか大変だと思っています。

先ほど山名先生がいわれた論理的にすることは、重要でなかなか大変です。

2番目に、新型転換炉の開発当初、再処理費は1000万円/トンと極めて安価で、これは日本が評価したのではなく、アメリカ、ヨーロッパの原子力先進国がそう評価していました。それがなぜ2〜3臆円/トンになったかが大きなポイントと考えます。

評価・条件・ポジションが変わったとき、どのように対応し、また解決し、さらに民間でできない所を、国がエネルギーセキュリテイを重要とするならば、さらに開発費を出して開発し、(後発の原子炉の)リスクを軽減することが必要ではなかったかと思っています。従って、(若手への提言は)その時々の条件に、その時に権限を与えられた人、或いは技術開発を主導しているプロジェクトマネジャーが、的確に評価対応することが重要と考えます。

 

(池亀)

今、澤井さんのお話がありましたが、ちょっと私の意見を追加させて頂きたいと思います。それは新型炉の話で今は第4世代の話ですが。こういうものをやるときによく言われるのは、小さいものをたくさん作れば安くなるといいます。しかし、そういう種類の話は成功した試しがない。つまり、たくさん作れば安くなるとしても第1回目はどうなるか。誰も手をつけないという事になる。小さいものを考えるときには小さいもので、きちんと競争できるのを証明しなければならない。第4世代の時も、それが重要なファクターであると思っている。もう一つ、再処理の話は全く澤井さんのおっしゃる通りだと思います。六ヶ所について、なぜ高くなったのかとよく聞かれます。Purexそのものの問題もあるんですが、あの当時、競争が行われていなかった。当時、日本のメーカーも総力をあげて作ろうとした。その結果、何が起こったかというとみんなバラバラに、この部分は日立、この部分は三菱という風な調子で分けた。その結果として競争によるコストダウンがはかれなくなったというのが1つ大きいと思います。また、値段が決まったのがバブルの最後の頃でして、今考える予算と大分違うと思う。最後にパーセプションのギャップの元にもなっていると思いますが六ヶ所再処理は私の考えでは、少なくとも実証プラント。実証プラントという意味は、炉で言えば実証炉に相当するという見方をしていた。。キャパシティも800トン/年では大きすぎるのではと、思っていましたし。今でもこれは実証プラントであると思っています。実証プラントであるという理由はメーカーも自分たちの経験しなかったことをやっている。導入技術に基づいて、まず実証レベルにいって、次の本物を作ろう計画でいるんだという意味で実証と思っている。その中にはその為の費用が加算されるのはやむを得ない。そういう意味で六ヶ所は高くなっていると思う。

 

(天野)

今の意見に対してYGの方から。

 

(植松)

若手としてはやはり将来、もちろん世の中には主流があるべきだと思います。私は今、再処理と、いわゆる日本が原子力をエネルギーとして持っている事が明らかで。核分裂したエネルギーを取り出して使っている。???については………

六ヶ所については例えば海外再処理に………

         将来の選択肢を残しておくことは必要。

         炉物理的には、高速炉の方がふさわしい。

         再処理は海外再処理等でまかなうことはできないか。

 

(長沖)

         若手の中にも開発が思ったほどうまくいかないという感覚があり、上に戦略を決めてもらいたいということが多い。

 

(佐久間)

         現実世界で生きていくための夢の共有化が必要。

         ただ、実現化に際してはコストに制約される。

 

 

(長沖)

         先ほど、池亀さんは下北を実証プラントとおっしゃったが、それはどのような意味ですか?


(竹内)

シニア側の方として発言。

原子力の計画は私にいわせると20年、30年のスパンでしかできないような巨大なお金と年月がかかる。私が原子力にいた若い頃、あまり変わっていない。最後は高速炉だと。これが約30年、40年、開発、手が届くのに少し時間がかかっている。原子力が高嶺の花になればなるほど時間がかかる。それが事実だった。日本の我々の若い世代、今日のテーマにもありますが終戦後の激しい、食料とエネルギーの全くない時代に我々はこれに頼るしかない感覚で。非常に早く持った人間が非常に長期的なプルトニウム、高速炉をそれ以外ないっていう感じだった。この理想は消えていないんです。消えていないけど実際には時間がかかっているだけで。シニアとしていう事は一つものができたときに、これ一つだけでも達成しないと。何も答えがでないのではないかと。今ここで止めて、10年くらい止めろといっても、これは実証済みは間違いないと思います。日本のエネルギーはわずか4%、原子力以外は。原子力の自国産エネルギーは20%。こんな国は世界に全くない。私はオイルショックの時に火力をやっておりまして。あの頃、1号がやっと始まったばかりでしたから原子力がまだか、まだかとさんざん言われた。2度目のオイルショックの時、燃料費が約4倍になりました。そのころはアメリカも連動して、かなり濃縮ウランの値段が上がりました。今、自由化でコストダウンで経営するために安くなければだめだと議論が先行して。民間は先行している。本当はエネルギー危機の時の値段の推移を使って計算している人は誰もいない。おそらく私は油を使った火力にいましたので、火力も我々は油が必要なくなったときには石油化学性の原料なんです。石油なのでもったいないんです。原子力がある場合には熱エネルギーを原子力からやるべきだというのが私の信念です。油は限られた資源で、後数年で英国がそうなると思います。先進国側の油のバランスが崩れたときにOPECの方が強くなる。これは2、3年したら、うんと変わってくると思う。変わったときに原子力まだか、まだかといわれても。原子力は開発にしても何にしても巨大です。もう間に合わないと思う。六ヶ所のように一旦止めると、今フランス当たりから数十人の人が支援に来ている。初めての事ですから。手取り足取りという面もあるんですが。フランスにも研修に行ってます。一旦止めてしまった後、立ち上げるのは、また2、30年かかると思う。じじつは継続だという事です。先の備えは常に持つべきです。我々はなけなしの夢を持ったんだと思うんです。夢のアカウンタビリティはその時代、時代に変えていかなければならないことは痛感しております。

 

(天野)

時間が随分迫って来ておりまして、議論の観点の所にパネル討論について色々なコメントなり、全体のキーノート或いはディスカッションに関してフロアの方からご意見をいただきたいと思います。

 

(原産 松田)

国が原子力というかエネルギー基本法の中に今後、日本のエネルギーのあり方として2つの条件を提示しています。一つはエネルギー・セキュリティ。一つは環境。原子力のげの字もでていない。しかしながら、この2つを満足させるエネルギーとしては具体的には風力とか光とか現実には極めて少ないものですから。原子力ではないのか。将来、核融合というのは話が別だと思いますが。jそういう観点からいうと政治家というのは国民の代表なんだから、原子力もエネルギーのバランスの中で極めて明確。あのエネルギー情報を見る限り、はっきりしていると思う。国民の声を聞くことは極めて大事なのは明らかですが、国民の声を聞く方法は非常に難しい。マスコミが国民の代表で果たしてあるだろうか。そうではないと私は思っている。したがいまして私の意見は原子力委員会にしましても政治家のリーダーシップ、彼らのエネルギー政策にかかわる責任をきちんとさせて、そういう所で議論をしていく。国のエネルギー政策という観点から原子力の位置づけを先に決める事が必要ではないかと思います。今のヤングジェネレーションは経験がないですね。私はIJE?で12年仕事をしていますが、IJEを希望する若者は殆どいない。日本は20%、アメリカの25%に次いでお金を出しているのに、アメリカ人は120人、日本人は24人しかいない。第一応募者がいない。こういう情けない状態です。我々が若いときは自分が書いた論文をもってアメリカで研究をした人がたくさんいた。日本で仕事をして外国に行って外国でお金をもらって自分の力をつけていくという事に挑戦したんです。そういう心を若い人に是非持って欲しい。

 

(池亀)

町さんの意見に同感ですが、YGNのために少し足したいんだけれども。今日も色々な意見の集約ができたんですが外国のYGNは何を考えているのか。同じようなことを考えているのか。外国の人達の意見も参考にして今後、活動方針を考えた方がいいのではないか。僕らの老婆心で。

 

(竹内)

私は松田さんに全く同感です。国は何をやっているのかと。JCCを含めて。エネルギー基本法について自民党の方々は…。

我々のような原子力の一員は原子力以外に考えられない。ただ、原子力は困るという親衛隊がいるので。

原子炉が入っていないというのは将来怖いことです。これからも大分議論になると思いますが今回の東電事件を含めて、色々な問題があり、これからどうするかっていう事が議論するきっかけになっている。国って何だろう。国が原子力とエネルギー・セキュリティ、もう一つは地球環境問題も含めて。今、現実的な手だては原子力しかないんだと。0.5%の炭酸ガスの削減量になるものは他にはない。20基作ったらいいんです、本当のところはね。そういう力を持っている原子力をどうするのかという事を議論する時期にさしかかってきている。残念ながら起こった問題は原子力の国民の不安をあおりましたが、国が国策として推進する推進力という仕組みをもう一度洗い直す、その時期に来ていると思う。電力会社が原子力を運営しているのですから原子力のメリットの議論が先なんだと思う。国民に原子力は、やはり必要であるだろうと。それが自由化している電力会社の経営者が扱いやすいか、扱いにくいか。はっきり言いたい。国としてどういう支援策をするか。そういう議論をしていかなければならない。丁度、そういう時期に来ている。安全問題も含めて。皆、真っ向から行くのを逃げているがそれでは進まない。これがお答えになっているのか、どうか。

 

(天野)

ありがとうございました。もう時間になりましたので、山名先生の夢を見直して行かなければならないという。あるいはこれからどんどん活発に議論をしていかなければならない。これでリサイクル部会は10月10、11日に大阪でセミナーを行います。その中で民官学それぞれの立場で、今後の方向性に対する手法ですとか明確でないことに対しては、このセミナーの中で明確にしていく予定です。先程、山名先生が説明されたアメリシウムとかいったプルサーマルについての意義、そちらについては来年の3月25、26日に海外を含んで国際ワークショップの中であるべき姿を国際的に議論する予定です。その場で検討を深めていきたいと思います。最後に山名先生。

 

(山名)

色々な貴重な意見がありまして大変参考になりましたし、一つだけキーワードがあると思うんですが。技術者、人間本人だと思います。池亀さんは10数年前から各地で色々聞いていましたが、あまり顔を見たことがなかった。今日、お会いしてみると、やはり人間だなと。個人が率直に思った技術的な意見とか思いとか夢とか理念とかを率直に反映していけるようにしないと。インディビジュアリティをみんなで広めていけば、もっと良い開発ができるのではないかと思います。

 

(天野)

これを持ちましてセミナーを終了したいと思います。