NDDニュースレター 2009年 第1号 (通巻第101号)

2009/2/4

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会合の報告

FENDL-3.0の開発プロジェクトおよび会議参加

國枝賢 (JAEA)

IAEAが主催する国際協力研究プロジェクト「核融合炉のための核データライブ ラリー(Fusion Evaluated Nuclear Data Library) FENDL-3.0の開発」のキッ クオフミーティング(2008年12月2-5日@IAEA本部)に参加してきました。日、 米、欧、露、韓、IAEAから原子核反応理論、核データ評価、測定およびベンチ マーク解析の専門家18名の参加があり、日本からは私と九州大学の渡辺先生が 参加してきました。

FENDLは核融合関連サイドの方々が利用する世界標準の核データであり、原則 として核種毎に各国のライブラリーの中から最良のものが採択されています。 現在の最新版FENDL-2.1ではITER等の設計に必要な71核種の中性子反応断面積 データ(20 MeV以下)が格納されており、その中で我が国のJENDLからも25核種 採用されています。

今回のプロジェクト(3年間)では国際核融合材料照射施設IFMIFの設計およびそ の施設を利用した材料損傷研究等にも対応できるデータベースを構築すること を目的としており、高エネルギー領域へのデータの拡張、荷電粒子(陽子と重 陽子)入射データの新構築、広範囲の核種に対する放射化断面積の整備、新た な核種の追加、更には共分散データの拡充等も目指しています。詳細に関して 興味のある方はホームページ

http://www-nds.iaea.org/fendl3/index.html

会合ではまず各国(各機関)における最近の核融合絡みの核データ活動の紹介 が行われ、評価データ、測定、ベンチマーク解析、重陽子入射の核反応計算手 法等多岐にわたる内容でした。正直私には広すぎる内容でしたが、さながらア ピール合戦のように感じられる場面もあり各々がこのプロジェクトに貢献しよ うと意気込みが伝わりました。その中で我々日本側はJENDL高エネルギーファ イル、JENDL-4に向けた活動、および日本における最近の核データ測定、理論、 ベンチマーク解析活動に関する話題を提供してきました(資料作成の際は関係 者の方々に大変お世話になりました)。次に今後の方針、最後に各分担者の具 体的なタスク等を話し合いました。主な合意事項としてはJENDL高エネルギー ファイルやENDF/B-VIIを中心に各国の最新の評価値が初期データとして採用さ れ、そこから議論を進めようということになりました。その後ベンチマーク解 析等で再びデータの吟味・選択が行われます。

私個人としてはこの会合に参加して灯台下暗し、日本の核データ分野全体とし てのアクティビティの広さと質の高さを感じました。ただし日本の貢献度は政 治的な話も含めて我々が今後どう取り組むかに懸っています。なおこの国際プ ロジェクトおよび会議の詳細に関しては原子力学会春の年会の企画セッション で発表予定です (発表者は九大の渡辺先生)。

会合の案内

ISORD-5

The Ffith International Symposium on Radiation Safety and Detection Technology (ISORD-5)が,2008年7月15日から17日にかけて北九州市で開催さ れます.アブストラクトの締切は,2009年4月30日です.詳しいことは

http://meteor.nucl.kyushu-u.ac.jp/isord-5/

をご覧下さい。

核データ部会からのお知らせ

● 現在の部会員数:166名 (2008/05/28 現在)

●「部会員の最近の成果」に載せる情報を までお知らせ下さい.