NDDニュースレター 2007年 第3号 (通巻第80号)

2007/4/3

Table of Contents

会合の報告

2007年春の年会セッション報告

(JAEA) 原田秀郎

核データ測定技術について,中性子捕獲断面積測定と高エネルギー中性子測定 に関する研究開発状況が発表された.熱中性子捕獲断面積測定に適用するた め,研究炉JRR-3Mを用いて,熱中性子照射場の特性試験や冷中性子ビームの高 輝度化が行われた.また,中性子捕獲からの即発γ線データを用いて,原子核 励起準位を構築する新たな手法が提案された他,複合型検出器をTOF実験に用 いた場合の不感時間の補正法が報告された.高エネルギー中性子測定では, TOF法を用いずに10-800 MeV領域の中性子エネルギーを測定可能な検出器が開 発された.

荷電粒子入射反応測定について,核融合応用のためのLi+d反応データのカップ ルド・チャンネル法による分析や,医療応用のための10MeV入射陽子による Be+p反応による放出中性子の測定結果が報告された.光核反応測定では,光核 吸収断面積の測定範囲を30MeVまで拡張する技術開発や,光核反応を利用した 難測定核種の非破壊分析への応用研究の実験成果が報告された.

中性子入射反応測定について,加速器施設の遮蔽設計等に資する30-65MeVの高 エネルギー中性子による放射化断面積測定や,これまでデータの欠乏している 100-200MeV中性子エネルギー領域での軽荷電粒子生成断面積測定の進捗状況が 報告された.また,ADS等の工学設計のためにFeに対する中性子入射中性子生 成二重微分断面積の測定結果が報告された.

核データ評価の理論的研究について,高エネルギー核反応モデルの改良のため に種々の有効相互作用ポテンシャルを導入した検討や,20MeV以下の中性子捕 獲断面積を広範囲の原子核に対して計算可能にするための直接及び半直接過程 を導入した計算結果がO-16等で示され直接過程等の寄与の重要性が議論され た.また,MA核種に対して中性子捕獲幅の系統性に関する検討結果が報告され た.

核データの評価とファイルについて,核断面積の一般的な計算手法を統合した 評価コードPODの開発状況が報告された.これは一般利用者が改定可能なコー ドとなることを目指しており完成が期待される.JENDL-4の進捗としてFP核種 であるNd同位体に関する評価結果の他,AcからFmまでの62核種を含むJENDLア クチニドファイルに関して評価の進捗状況が報告された.2007年版JENDL高エ ネルギーファイル及び光核反応データファイルについて,評価方法及び積分テ スト結果について報告が行われた.

2007年春の年会核データ部会総会議事録

第15回核データ部会総会 日時: 2007年3月28日(水) 12:00 - 13:00 場所: 名古屋大学IB電子情報館IB大講義室 (E会場)

部会等運営委員会担当の深堀委員より,プログラム編成委員の任期は原則3年 だが,部会の判断で2年で交代して良いことになったこと,学生連絡会ポス ターセッション表彰規定の承認,部会総会などでの弁当の調達は部会が独自で 行うようになったこと,年会・大会での発表取り下げや変更を少なくなる仕組 みの構築,2007年秋の大会に関するスケジュールが報告された.

核データ研究会担当の深堀委員より,2006年度の核データ研究会の実施報告が 行われた.参加者は前年度より7名減の84名であり,チュートリアルへの参加 者は前年度より13名増の54名であったこと,研究会当日に募った寄付金により 余剰金が生じたこと,報文集はISBN番号付きのCD-ROMとして主に発表者に配布 するとともに部会のwebsiteからも閲覧できるようにすること,2007年度は東 工大の井頭先生を実行委員長とするなどの計画概要が報告された.

シグマ委員会担当の奥村委員より,旧原研,旧サイクル機構統合後に発足した 新「シグマ委員会」の活動概要について報告があった.核データ専門部会の5 つのグループで行われている,JENDL/HE-2007とJENDL/PD-2007の作成,JENDL- 4に向けた評価,JENDLの品質保証,ENSDFの改訂作業,核データニュースの発 行ならびに炉定数専門委員会の5つのグループで行われている,リアクター積 分テスト,shielding積分テスト,崩壊熱や核種生成量の評価,炉物理実験の データ整理の状況について報告された.

学術交流担当の丸山副部会長より,2007年5月に韓国済州島で開催される韓国 原子力学会における炉物理・核データの日韓合同セッションでは,核データ部 会から2件の発表が行われる予定であるとの報告が行われた.次に,日韓合同 セッションに関する覚え書きの文書化について,2年ごとに韓国原子力学会(5 月)と日本原子力学会(3月)の中で開催される,発表者の登録料は開催地側が負 担することなどが決められた.核データ部会から参加者への補助を他部会と同 等としたいが,炉物理部会は若手に対して5万円であり,現在核データ部会で は年齢に関わらず2万円となっており,今後検討することとなった.なお,日 韓合同セッションは,過去に加速器部会を含めた開催という提案もあったが, 現在は炉物理・核データの2部会での開催であること,今後,セッション内で 加速器部会からの報告が必要となるケースが生じた場合には,改めて部会間で 調整を考えていることが説明された.また,東北大の馬場先生より,次回の日 韓サマースクールは2008年夏に日本で開催されることになっているが,開催地 などの詳細は未定であることが報告された.

Los Alamos国立研究所における夏期実習については,2007年度に実施できるか どうか未定であるとLANL側の担当である河野氏から報告された.これに関し て,対象を現行の学生・若手研究者だけではなく年配の研究者にも広げてはど うかという意見が出された.

測定検討小委員会担当の渡辺委員より,理研のRIビームファクトリー担当者が 核データ測定への協力に前向きであること,2007年度の早いうちにワーク ショップを開く方向であることが報告された.

編集担当の執行委員より,webの更新状況,ニュースレターの発行状況が報告 され,国際会議の報告や研究会の開催案内などの情報提供の依頼があった.

平成18年度の会計報告が深堀委員よりなされ,監査担当の片倉委員より報告に 誤りが無いことが確認された.次に,深堀委員より平成18年度と同程度の平成 19年度予算案が提案され,承認された.これに関して,繰越金が60万円を超え たので学生に対する参加費補助を増やしてはどうか,繰越金が100万円以下で あれば問題とならないなどのコメントが出された.

深堀委員より,学会編集委員からの報告として,論文審査システムが更新され 審査に要する時間の短縮が期待できることが報告された.

丸山副部会長より,2007年度核データ部会賞の募集について,4月中にML及び Web上で公告,5月に応募受付,6月に審査とのスケジュールであることが説明 された.

馬場先生より,2007年7月18日から20日にかけて韓国ソウル市で開催される International Symposium on Radiation Safety and Detection Technology (ISORD-4)の案内がなされた.

会合のお知らせ

ISORD-4

The Fourth International Symposium on Radiation Safety and Detection Technology (ISORD-4)が,2007年7月18日から20日にかけて韓国ソウル市で 開催されます.アブストラクトの締切は,2007年4月16日です.詳しいことは

http://www.isord-4.org/

を御覧下さい.

核データ部会からのお知らせ

● 現在の部会員数:154名 (2006/04/26 現在)

●「部会員の最近の成果」に載せる情報を までお知らせ下さい.