NDDニュースレター 2006年 第2号 (通巻第73号)

2006/5/9

Table of Contents

会合の報告

International Workshop on Fast Neutron Detectors and Applications

(FNDA) 2006

(東北大)大石卓司

南アフリカ共和国ケープタウン大学において4/3~6にFast Neutron Detectors and Applicationsが開催され,私もポスター発表で参加してきましたので, 報告させていただきます.

会議の会場のケープタウン大学は少しダウンタウンから離れたところにあり, テーブルマウンテンと呼ばれる切り立った山のふもとで,きれいな大学である と言う印象を受けました.会議の参加人数はおよそ100名であり,発表はすべ て一つの会場で行われ,中性子の施設や検出方法など,高速中性子を中心とし て様々な発表がありました.また,各分野の第一人者の方々からのレビュー トークもあり勉強になりました.この会議では信号処理のセッションが設けら れており,私自身は特にこのセッションに興味があったので,レビュートーク のF. J. Hambsch氏の話は大変おもしろく聞かせてもらいました.しかし,こ のセッションの発表件数が他と比べて非常に少ないのが残念でした.その他に も中性子用検出器,二次軽荷電粒子の測定,マイナーアクチニドの核分裂断面 積測定,核融合炉における中性子測定など,我々の研究室でも取り組んでいる ような問題,研究が多く発表されていて,興味を持って聞くことができまし た.また,中性子計測の分野において,どういう問題に世界が目を向けている かと言うことを知ることができました.

この会議では多くのツアーが組まれており,頭も心も充実した会議となりまし た.3日に分けて,喜望峰,ワイナリー,iThemba Laboratoryに行ってきまし た.喜望峰では好天に恵まれ,予想以上にきれいなところで,とても気持ちよ く散策することができました.ワイナリーはアフリカンテイストあふれるレス トランで食事を取り,ワインも飲みましたが,ビール党の私にはあまり感動は ありませんでした.それよりも,アフリカンダンスのショーがすばらしかった です.iThemba Laboratoryは南アフリカを代表する加速器施設を持った研究所 ですが,サイクロトロンとヴァンデグラフ加速器があり放射線治療と物理実験 が行われています.この研究所ではなぜかシマウマや鹿を飼っていて,日本で は考えられないなぁとビックリしました.

南アフリカはおろかアジアから出ることも初めてでしたし,ガイドブックによ ると南アフリカは非常に治安が悪いと言うことでしたので,かなり用心してい きました.町中では黒人の方が多いような感じでしたが,大学では白人が多 く,やはり差別が残っているのかと思いました.特に肉体労働者は必ず黒人で あり,白人は皆無でした.黒人の中でも裕福な人はいるようでしたが,貧困層 の黒人が多く住んでいる居住区はスラムのようで,貧富の差を感じました.

治安は悪いと言うことでしたが,無事に帰って来られてよかったと思います. 最後に,この素晴らしい国際学会を経験する機会をくださった馬場先生に感謝 します.

部会員の最近の成果

A. Laptev, S. Nakamura, H. Harada (harada.hideo@jaea.go.jp)
   High-speed data acquisition system for neutron time-of-flight
   experiments
   Nucl. Instrum. Meth., A557, 621 - 630 (2006).

T. Maruyama, T. Tatsumi, D.N. Voskresensky, T. Tanigawa, T. Endo,
S. Chiba (chiba.satoshi@jaea.go.jp)
    Finite size effects on kaonic pasta structures
    Phys. Rev., C73, 035802 (10 pages) (2006).

T. Endo, T. Maruyama, S. Chiba (chiba.satoshi@jaea.go.jp),
T. Tatsumi
    Charge screening effect in the hadron-quark mixed phase
    Prog. Theor. Phys., 115, 337 - 353 (2006).

T. Endo, T. Maruyama, S. Chiba (chiba.satoshi@jaea.go.jp),
T. Tatsumi
    Charge screening effect on hadron-quark mixed phase in compact
    stars
    Proceedings of Science (JHW2005) 019 (15 pages), 29th Johns
    Hopkins Workshop on Current problems in Particle Theory :
    Strong Matter in the Heavens, 1-3 August, Budapest, Hungary
    (2006).

T. Maruyama, T. Tatsumi, D.N. Voskresensky, T. Endo, S. Chiba
(chiba.satoshi@jaea.go.jp)
    Coulomb and surface effects on the pasta structure in nuclear
    matter
    Proceedings of Science (JHW2005) 024 (10 pages), 29th Johns
    Hopkins Workshop on Current problems in Particle Theory :
    Strong Matter in the Heavens, 1-3 August, Budapest, Hungary
    (2006).

H. Utsunomiya (hiro@konan-u.ac.jp), S. Goko, H. Toyokawa,
H. Ohgaki, K. Soutome, H. Yonehara, S. Goriely, P. Mohr, Zs. Fulop
    Photonuclear reaction data and g-ray sources for astrophysics
    Eur. Phys. J., A27, s1.153 - s1.158 (2006).

これらの論文入手については,直接著者に連絡してください.

核データ部会からのお知らせ

LANL核データ研究夏期国際交流学生募集

昨年に引き続き,日本原子力学会核データ部会と米国ロスアラモス国立研究所 (LANL)理論部門原子核物理グループの間で,核データ評価応用のための夏期国 際交流を行うことにしました.詳しくは, http://wwwndc.tokai-sc.jaea.go.jp/~ndd/lanl_exchange.html をご覧下さい.締切は2006年6月2日(金)です.

核データ部会賞募集

核データ部会賞は,原子力平和利用における核データ分野の発展や進歩をうな がすことを目的として,学術上または技術上の優秀な成果ならびに優れた貢献 をなした個人またはグループを表彰するものです.詳しくは, http://wwwndc.tokai-sc.jaea.go.jp/~ndd/award.html をご覧下さい.締切は2006年5月31日(水)です.

● 現在の部会員数:154名 (2006/04/26 現在)

●「部会員の最近の成果」に載せる情報を までお知らせ下さい.