NDDニュースレター 2005年 第4号 (通巻第65号)

2005/5/31

Table of Contents

会合の報告

第17回核データ評価国際協力ワーキングパーティ(WPEC)

(原研)片倉純一

経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の「核データ評価国際協力ワーキングパー ティ(WPEC)」は,参加各国・国際機関の核データに関する問題点について議論するた めに設けられたものであり,本年で17回目の会合である.本年は,「GEN-IVシステム 研究のための核データニーズ」に関するワークショップが開催されたことに合わせ, ベルギー,アントワープにて4月8-9日の2日間開催された.WPECのメンバーについて は,米国のSmith氏がやめ,代わりにLANLのChadwick氏が参加することとなった.会 合では,実験の現状の報告の後,評価済ファイルとして米国のENDF,欧州のJEFF,日 本のJENDLの現状が報告された他,IAEAを通して参加したロシア及び中国の評価済 ファイルの現状が報告された.ENDFはENDF/B-VIIのベータバージョンを3月に出し, 検証を進めている.正式バージョンは,予定通り12月末に公開するつもりである. JEFFも改訂を進めており本年5月にJEFF-3.1を公開する予定としている.核データに 関する特定の問題を議論するために設けられているサブグループ(SG)については, SG7(標準核データ),SG19(放射化断面積),SG20(共分散評価および処理),SG21(FP核 種の断面積評価),SG22(低濃縮ウラン燃料の予測精度の向上)が,その目的をほぼ終 了し,報告書の作成の段階にある.SG23(FP核種のライブラリ)は,SG21のフォロー アップとして昨年結成されたもので,SG21の結果を基にFPのファイル化を進めてい る.常置サブグループとしてSGA(原子核模型の計算コード),SGB(評価済ファイルの フォーマットと処理),SGC(高優先度の核データリスト)が活動しているが,SGAは, よく使われる計算コードが,最近相次いで公開されたこともあり,初期の目的を達成 したので,一応終了することとなった.SGBについては,コーディネーターをやって いたIAEAのTrkov氏がIAEAをやめるので,今後どうするか議論となった.このグルー プを解散することになると米国以外からの評価済核データのフォーマットに対する要 求は,それぞれが個別に米国の核データセンターへ直接出すことになる.このことで 困ることがあるかどうか,一年様子を見てから決めることとなった.SGCについて は,コーディネーターをやっていたSmith氏がやめ,新たにPlompen氏が引き継ぐこと になった.このグループは,要求度の高い核データのリストを作るグループである が,昨年から要求を出すためには,その根拠となるバックデータも必要としたため, 現在のところ高優先度として登録されているものは無い.ただ,一般的な要求として は,以前から残っているリストがあり,その根拠をつめていくことが必要である.新 たなサブグループとしては,米国から共分散データについての提案があり,SG24とし て認められた.また,日本から吉田氏(武蔵工大)が,崩壊熱に関してFP核種の崩壊エ ネルギーについて検討するサブグループの立ち上げを提案し,SG25として認められ た.この崩壊熱については,イタリアのトリエステにあるICTP(International Center for Theoretical Physics)でワークショップを開いたらどうかとの提案があ り,合わせて検討することとなった.また,GEN-IVのワークショップでの議論を受 け,核データニーズの明確化をはかるためのグループを作ることとなった.

また,関連する会合の案内では,2007年の核データ国際会議の主催をフランスのCEA が行なうことが公式に決まり,2007年の4月あるいは5月に開くべく準備を進めている 旨,報告があった.日本から参加する場合,4月は時期が悪いので,出来れば避ける よう申し入れを行なった.

なお,次回の会合は,来年4月中旬にパリで,オランダのKoning氏の議長で開催される

Gene-4システム研究のための核データの必要性に関する国際ワークショップ

(JNC)原田秀郎,(武蔵工大)吉田正

Gene-4システム研究のための核データの必要性に関する国際ワークショップ "International Workshop on Nuclear Data Needs for Generation IV Nuclear Data Systems"が,European Commission Joint Research Centreの1つであるIRMM研 究所(Institute for Reference Materials and Measurements)を幹事機関として, US-DOE, European Commission, およびAECL/EACLの共催によりベルギーのアントワー プ(ヒルトンホテル)で開催され,平成17年4月5日より7日までの3日間,朝9時から夕 方6時まで活発な議論が行なわれた.

本ワークショップでは,核データの誤差がどのように原子力システムの設計に貢献す るかに関する研究,核データファイルに誤差を組み込むための研究,および核データ を測定する研究という3つの研究について,これらの分野の専門家が一同に会し,情 報の交換を行った.出席者は,約70名で,内訳はフランス20名,米国14名,ベルギー 8名,ドイツ5名,日本,ロシア,オランダ 各3名,韓国,ローマニア,英国, IAEA,OECD/NEA各2名,イタリア,カナダ,フィンランド,チェコ,メキシコ各1名で あった.

また,4月8日には,本ワークショップ主催で,IRMM研究所およびベルギーの原子力研 究所(SCK CEN)にて,核データ測定施設,研究炉,及び深地層研究施設の施設見学会 が行なわれた.

超高温熱炉や3種類の高速炉システム概念などを含む第4世代の革新的な原子力システ ム開発に向けて,DOEとEuratomの合意が1年前に締結され欧州各国も本格的な取り組 みを開始しようとしている.革新的な原子力システムの開発に当たり,核データの ニーズが海外では認識されている.核データを測定するところから,実際の原子力シ ステムの設計者まで一同に会し議論できる場は,大変有意義であり今後,我が国にお いても基礎研究とプロジェクト研究の相互フィードバックの必要性がますます高まる であろうと感じた.

会合のお知らせ

The Third iTRS International Symposium on Radiation Safety and Detection

Technology (ISORD-3)

Announcementを以下に示します.Abstractの締め切りは5/31です.詳細は http://www.isord-3.com/ をご覧下さい.

On behalf of the Innovative Technology Center for Radiation Safety (iTRS),
it is our great pleasure to invite you to the Third iTRS International
Symposium On Radiation Safety and Detection Technology (ISORD-3). The
symposium is organized and sponsored by China Institute for Radiation
Protection, Cyclotron and Radioisotope Center (Tohoku University, Japan)
and the iTRS, the Korea’s first engineering research center(ERC) for
radiation safety, Which is supported by the Ministry of Science and
Technology (MOST) of the Korean government. Following the first and second
symposia (ISORD-1,2) held at Hanyang University in 2001 and Tohoku
University in 2003 respectively, ISORD-3 will continue to offer an ample
meeting place for world-wide distinguished scientists and researchers to
address the state-of-the-art technology on radiation safety and detection.

11th International Conference on Nuclear Reaction Mechanisms

Announcementを以下に示します.詳細は http://lxmi.mi.infn.it/~gadioli/Varenna2006/ をご覧下さい.

The 11th Varenna Conference on Nuclear Reaction Mechanisms will be held,
during the week of June 12 - 16, 2006, at Villa Monastero in Varenna on the
Como lake, Italy, and will be dedicated to David M. Brink in recognition
of his outstanding contributions to Nuclear Physics.

The Conference aims to survey the most recent advances in fundamental
research in nuclear dynamics (from superheavy elements to the structure and
dynamics of exotic, hot and dense elementary matter) and its
interdisciplinary and applicative use in services useful for mankind such
as astrophysics, space research, medicine, and civil security.

Each subject will be introduced by invited speakers and selected
contributions will be orally presented.

Attendance will be limited to about 100 participants, and a Conference Fee
of 300 euro will be requested, covering social events and the Conference
Proceedings.

A circular containing the preliminary program and information on
accomodation will be sent at the beginning of 2006 to those who will return
the  APPLICATION FORM or will manifest their interest in the Conference
sending an e-message to gadioli@mi.infn.it or mbchadwick@lanl.gov before
December 1st, 2005


Ettore Gadioli
Department of Physics
University of Milano, Milano, Italia

Mark B. Chadwick
Los Alamos National Laboratory
University of California, USA

部会員の最近の成果

F. Maekawa (fujio@cens.tokai.jaeri.go.jp), S. Meigo, Y. Kasugai, H. Takada,
T. Ino, S. Sato, E. Jerde, D. Glasgow, K. Niita, H. Nakashima, Y. Oyama,
Y. Ikeda, N. Watanabe, J. Hastings, The ASTE Collaboration
    Analysis of a Neutronic Experiment on a Simulated Mercury Spallation
    Neutron Target Assembly Bombarded by Giga-Electron-Volt Protons
    Nucl. Sci. Eng., 150 (1), 99 - 108 (2005).

これらの論文入手については,直接著者に連絡してください.

核データ部会からのお知らせ

お知らせと御礼

部会長 馬場 護

ご承知のように,原田秀郎(JNC),中村詔司(JNC), 山名 元(京大炉)の方々が 「Measurement of Effective Capture Cross Section of Np-238 for Thermal Neutrons」 の論文の功績により,平成16年度日本原子力学会賞論文賞を受賞されましたが, 副賞(10万円)を学会と核データ部会にご寄付いただきました. ここに,お知らせするとともに御三方に深く感謝申し上げます. 国際交流活動などに有効に利用させて頂く所存です. なお,秋大会の部会総会において部会からの感謝状を送呈させて頂く予定です. また,御三方には改めてお祝いを申し上げるとともに,ますますのご活躍をお願 い申し上げます.また,核データ部会としても分野の活力をさらに高めるべく努 力したいと思います.

「日本原子力学会核データ部会賞」の応募案内

核データ部会では,日本原子力学会での部会賞設置が承認されたことを受け, 平成16年度より部会賞内規の検討を行い,このたび部会員に承認されました. 核データ部会賞は,原子力の平和利用を目的とし,核データ分野において学術・ 技術上の成果を表彰し,その発展に寄与することを目的としております.

今般,第一回部会賞(平成17年度)の候補者の公募を行いますので下記要領に 従い応募ください.なお,部会賞の詳細は添付の内規(注)をご参照ください.

募集要領:

1. 応募資格: 日本原子力学会核データ部会員

2. 募集方法: 核データ部会員による自薦および他薦

3. 受賞対象: 原子力平和利用に関する学術上・技術上の優れた成果

4. 賞の種類:

(1)学術賞:

本部会員により,推薦期限を起点とする過去3年間に,本会発行の 「英文論文誌」,「和文論文誌」,「学会誌」,本会発行の図書,または,本部 会が認める研究会または国際会議等の論文集ならびに国内外の本部会が認める論 文誌のいずれかに掲載された研究論文,技術報告および技術資料を対象とする.

(2)奨励賞:

当該年度末までに満40歳に達しない本部会員により,推薦期限を起 点とする過去1年間に,本会発行の「英文論文誌」,「和文論文誌」,「学会 誌」,本会発行の図書,または,本部会が認める研究会または国際会議等の論文 集ならびに国内外の本部会が認める論文誌のいずれかに掲載された研究論文,技 術報告および技術資料,あるいは,本会の春の年会・秋の大会,本部会が認める 研究会または国際会議等での優れた口頭発表,ポスター発表された成果を対象と する.なお,将来性に富む成果であれば,未完成のものでもよい.

5. 応募方法:

対象とする研究論文名,技術報告名,技術資料名または発表題名, 授与すべき部会賞の種類,推薦理由等を記載した推薦書1通を下記選考委員会 委員長へ電子メールまたは郵送にて送付する.

推薦書送付先: 選考委員長 田原義壽
住所: 220-8401 神奈川県横浜市みなとみらい三丁目3番1号
三菱重工横浜ビル22階
エンジニアリング開発株式会社
炉心技術部 主管

TEL: 045-224-9257
FAX: 045-224-9665
Email:tahara@edc.atom.hq.mhi.co.jp

6. 募集時期:平成17年6月1日より6月30日

(注) 内規,細則については,核データ部会のWebに, 部会賞内規 http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/%7Endd/award_naiki.html 内規細則 http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/%7Endd/award_naiki_saisoku.htm を掲載しましたので,詳細については,それらをご覧ください.

● 現在の部会員数:150名 (4/22 現在)

●「部会員の最近の成果」に載せる情報をNDDeditors@ndc.tokai.jaeri.go.jp までお知らせ下さい.