NDDニュースレター 2003年 第11号 (通巻第48号)

2003/11/28

Table of Contents

トピックス

運営委員選挙の通知 (再掲)

(部会長)小林 捷平, (運営委員選挙管理委員会委員長) 山野 直樹

核データ部会運営委員会内規に則って2004年度からの第3期運営委員(総数14名) を選出するため山野直樹(現副部会長)、河野俊彦(現運営委員)、岩本修(部会 員)の3名によって選挙管理委員会が発足しました。下記の方法と日程で選挙を 行いますので、皆様のご協力をお願い致します。

(1) 候補者の推薦

運営委員の候補者は、部会員2名以上の推薦する者となっております。2003年 12月25日(木)までにEメールアドレス NDDstc-ele@ndc.tokai.jaeri.go.jp宛に 推薦する候補者名をご指名下さい。なお、候補者は、連名で複数の候補を推薦 されることが望ましく、その場合の候補者数は6名までにして下さい。

(2) 投票

2004年1月16日に候補者リストを示します。2004年1月31日までに上記(1)のEメー ルアドレス宛に、候補者リストの中から不信任とする者を投票して下さい。不 信任投票の少ない候補者の順に当選者とします。

なお、選挙管理委員会の委員は、候補者になることはできません。運営委員会 の内規については 

http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/~ndd/naiki.html
をご覧下さい。

また、選挙についてのご質問は、候補者推薦の宛先と同じEメールアドレス NDDstc-ele@ndc.tokai.jaeri.go.jp にお寄せ下さい。

ND2004アブストラクト

(LANL) 河野 俊彦

次回核データ国際会議ND2004のアブストラクト締め切りは,12月15日です.ア ブストラクトは,以下のURLから投稿してください.

http://t16web.lanl.gov/nd2004/abstracts.php

会合の報告

NEA/High Priority Request List会合報告

(原研) 深堀 智生

NEA原子力科学委員会(Nuclear Science Committee, NSC)の「高優先度核デー タ要求リスト(High Priority Nuclear Data Request List, HPRL)」会合が、 10月9-10日,フランス・パリのOECD/NEA本部にて開催された。HPRLは国際的に 優先度の高い核データに関する要求リストであり、我が国の革新的原子炉や米 国の第4世代原子炉(Generation-IV)に代表されるような原子力開発に重要な核 データニーズを収集したものである。また、OECD/NEA/NSCでは、核データ整備 に関する国際的な問題を協力して解決するために、核データ評価国際協力ワー キングパーティー(Working Party on International Evaluation Cooperation, WPEC)を組織しており、HPRL整備を長期タスクとしてサブグルー プC(SG-C)に位置付け、国際的な核データニーズのタイムリーな提供を図って いる。本会合では、HPRL の改訂に係わる内容の見直し、格納方法及び配布形 式に関する検討を行った。

HPRLを改訂するに当たって、真のHPRLを選定するための方法を標準化する必要 があるため、以下の項目を検討した。

● 必要な全ての項目は要求者によって与えられなければならない。

● 例えば、感度解析等で、要求精度を満たすとどのような利益(設計裕度を削 減でき、コストが下げられる等のインパクト因子)があるか、具体的に数値で 示すように有益性に関して十分に考慮しなければならない。

● 要求の実現性に関しては、測定及び評価の専門家によって別々に検討され るべきである。例えば、要求を満たすような測定が可能か、評価に必要な測定 は十分な量と精度が確保されているか等の検討を行う。

● 要求に対してSG-Cは、既に要求精度を満たしている、または、測定が非常 に困難であるので評価に依存する等のレビューを行う。

● 新HPRLは、High Priority Request List(インパクト因子等を含む真に高優 先度のリスト)、Other List(従来のHPRLから改訂された核データ要求リスト) 及びSatisfied List(要求が満足されていると思われるものを保存するリスト) の個別のリストから構成される。積分データなど直接核データに対するもので ない要求は、別のところで議論するべきである。

● 要求を採用しないまたは削除するための基準として、既に要求が満足され ていると判断されるもの、要求者による取り下げ及びもはや計画が存在しない、 もしくは終了したため、高優先度の必要性が消失したものを検討する。

新HPRLに格納する項目として、以下のものを検討した。(*)の付いたものは、 要求者から提供されなければならない。

   Z*1000+A.通し番号から成るID番号
   同位体名 (*)
   反応名または過程(*)
   物理量(*)
       (断面積、角度分布、エネルギースペクトル等)
   要求するエネルギー範囲(*)
       (崩壊データに関しては必要ない)
   放出角度、2次エネルギー範囲(*)
       (角度分布、エネルギースペクトル等に関してのみ)
   要求精度及び共分散データの必要性(*)
   利用分野(*)
       (利用分野コードを定義する、例えば、核分裂炉=FIS等)
   要求もとのプロジェクト名(*)
       (例えば、J-PARC、HPRLのみに必要)
   SG-C判での判断のための資料となる文書(*)
       (インパクト因子のバックデータ)
   インパクト因子(*)
   要求者名(*)
       (代表連絡先、電子メールアドレス)
   要求国名(*)
   要求の日付(*)
   フィードバック・コメント
       (測定者、評価者等からのコメント)
   現状に関するコメント
       (測定専門家及び評価専門家からの現状精度及び実現性に関する
        コメント)
   SG-Cのレビュー結果

これらの作成に関するガイドラインも作成し、wwwに掲載する。

当面のアクションリスト(次期SG-Cが立ち上がるまでに行うこと)

● 新HPRLの有効利用を促進するための周知を目的としたND2004発表用のアブ ストラクトを作成する。

● 現リストを本会合で採択された新しいフォーマットに沿って改訂する。

● 新HPRL(HPRL、核データリクエストリスト、満足された要求リスト)を本会 合参加者のコメントを元にwww上に構築する。同じwww上に、新しい要求、新要 求レビューのためのガイドライン、レビュー結果、フィードバック等を投稿す るテンプレートを作成する。

● すべての核データファイル作成プロジェクト(JENDL, ENDF, JEFF等)に2名 ずつ(核データ作成者及び利用者)の新SG-Cメンバー候補の推薦を依頼する。

● 新HPRL用の要求リスト作成例を本会合でのガイドラインに沿った形で試作 する。

以上、HPRL改訂に関する会合の概要を報告した。今まで、日本がいくら提案し ても、「鳴かず、飛ばず」だったHPRLに関する議論が、少しだけでも進展した のは成果であろう。但し、上記の議論からわかるように、あるプロジェクトに 対する経費節減や波及効果を謳ったインパクト因子を今後要求することになる (HPRLに対してのみ。従来型の要求リストは、Other Fileに格納される。)ため、 特定のプロジェクトの予算獲得のみにHPRLが使われないよう注意する必要があ る。このためには、日本からも積極的に要求するべきである。

ICNC2003に参加して

(原研) 深堀 智生

臨界安全の国際会議(ICNC2003)が、10月20-24日東海村のサイクル機構技術コ ミュニティー館リコッティーで開催された。本会議では、総合講演4件、口頭 発表89件(パラレルセッション84件、スペシャルセッション5件)及びポスター 発表69件の162件が全体で行われた。トピックスは以下の通りである。

   1. Standard and Methodology for Criticality Safety
   2. Criticality and Subcriticality Experiments
   3. Criticality and Subcriticality Benchmark Evaluation
   4. Practice of Criticality Safety Design and Control
   5. Development of Computer Codes
   6. Evaluation of Nuclear Data
   7. Burnup Credit
   8. Assessment of Criticality Accident
   9. Emergency Response and Training
   10. Special Session: Post Irradiation Examination

この内、核データに関しては、口頭発表4件のみであった。本来であれば全体 のレビューを報告できればよいのだが、筆者は核データに関連するセッション にしか参加できなかったので、この部分の概要を報告することとしたい。詳細 は、既に報文集がJAERI-Conf 2003-019という形で出版されているので、そち らを参考にしていただきたい。

核データ評価のセッションでは、最初はオークリッジ国立研究所(ORNL)の L.C. LealがHarveyらの透過実験を主に用い、SAMMYによるU-238の共鳴パラメー タの最新の評価について講演した。今までの10 keVまでの評価を拡張し、20 keVまで分離共鳴としてパラメータを与えた。10 keV以下は、共鳴数は変わら ないが、再評価を行い、10-20 keVでは、s波共鳴457本及びp波共鳴1228本が追 加されている。平均断面積で見ると、ENDF/B-VIと比べて、10 keV以下は、捕 獲断面積が4%程、弾性散乱断面積が2%程増加している。10-20 keVでは、捕獲 断面積が0.7%程減少し、弾性散乱断面積が3%程増加している。次に、筆者が中 高エネルギーにおける中性子、陽子及び光子入射核分裂断面積の統一的な記述 について報告した。また、片倉が森山-大西の式による核分裂収率の新しいパ ラメータによる系統性を熱中性子領域から200-300 MeVまでの広いエネルギー 領域に亘り、陽子入射核分裂も考慮して報告した。再現性は良好である。最後 に、イギリスAWEのH. DiasがAm-241,242m, 243の臨界質量計算に付いて講演し た。MONK及びMCNPコードを用いた計算で、核データとしてUKNDL(MONKのみ), JENDL-3.2,ENDF/B-VI 及びJEF-2.2を使用している。MONKとMCNPの結果は比較 的一致している。Am-241に関しては、UKNDL及びENDFの結果がJENDL及びJEFよ り20%程小さい。Am-242mに関しては、ENDFの結果のみが他より25%程小さい。 Am-243に関しては、UKNDLが一番小さく、JENDLは他に比べて30%程大きい。実 験値があるわけではないが、差が大きく、臨界質量を大きめに計算している (安全側ではない)ので、検討が必要かも知れない。

部会員の最近の成果

A. Ichihara (ichihara@ndc.tokai.jaeri.go.jp), K. Shibata
   Evaluation of the ^210m^Bi/^210g^Bi Branching Ratio
   of the ^209^Bi(n, \Gamma)^210^Bi Cross Section
   in the Neutron Energy Range from 200 keV to 3.0 MeV
   J. Nucl. Sci. Technol., 40, 980 (2003).

これらの論文入手については、直接著者に連絡してください。

核データ部会からのお知らせ

● 現在の部会員数:144名

●「部会員の最近の成果」に載せる情報をNDDeditors@ndc.tokai.jaeri.go.jp までお知らせ下さい。