NDDニュースレター 2003年 第5号 (通巻第42号)

2003/5/30

Table of Contents

トピックス

Generation IV Nuclear Data Workshop

(LANL) 河野 俊彦

"Nuclear Data Needs for Generation IV Nuclear Energy Systems"という workshopが4月24,25日にBNLで開催され,第4世代(Gen IV)の原子力システムと して提案されている種々の炉型に対して,どのような核データが必要かの議論 がなされた.全体のsessionは4つに分かれており,session 1はGen IVデザイ ンからの核データへの要求,session 2はdata processingや応用,session 3 は理論,そしてsession 4は測定と,内容は核データ全般にわたるものであっ た.

始めにGen IVとして計画されている高温ガス炉や,ヘリウムや超臨界水,鉛な どを冷却材に用いる種々の炉型の紹介を,ANL,INEELからの参加者が行った. 必要となる核データとしては,今までに要求されているものとさほど大きな違 いは無く,actinide(U, Pu, MA)の詳細なデータの他に,冷却材として使われ るPb, Bi等が挙げられている.なお,米国はNaを重要視していないようである. 意外だったのは,現行の核データライブラリでは誤差データが不十分であり, 共分散を付けて欲しいという声が大きかったことである.

続くsessionでは積分テストやdata adjustment等の話題,核データライブラリ 評価とデータ処理コードの現状が紹介された.理論に関しては,EMPIRE-IIの 紹介,共鳴パラメータの再評価,熱中性子散乱則の話題.実験のセッションで はORELAとLANSCEの紹介があったが,その他にINEELが進めているGEN-VIの為の 実験計画が興味深かった.total captureとpartial captureを混同するなど, 少々心許ないグループではあったが,actinideの新しい測定値を期待できるの は嬉しい限りである.

なお,Generation IVに関しては以下のURLを参照してください.

http://www.rae.anl.gov/research/ardt/genIV/
http://energy.inel.gov/gen-iv/

Nuclear Model Code Meeting, San Diego, 2003

(LANL) 河野 俊彦

WPECの前日,核反応モデルコード開発に関する会合が開かれた.一昨年の SantaFe,昨年のGeelに引続き第3回目の会合である.今年は,日本から(とい うか日本人として)は長谷川氏(原研)と私の2名が参加した.このmeetingは WPECのSubgroup Aに関する会合として開かれているもので,3回目ということ もあって会議の内容も大部絞られてきた感じである.

昨年の会合は,GNASH, TALYS, EMPIRE等の統計模型計算コードの紹介から始まっ て,そこで使われているコード(subroutine)の内,どれを共有できるかといっ た話題で終ったが,今回は具体的にどのmoduleが現状で利用可能か,今後何が 必要か,codingに関してどのようなことを意識するか,といったより具体的な 話題が中心であった.

始めにP.Talou氏による全体的な話があり,このcommunityの最終目標がModule のライブラリ(ModLib)にあることを再確認した.M.HermanはRIPL-2の公開,及 びRIPL-3の進捗について話した.RIPL-3はParameter Libraryからのデータ取 得といくつかの物理量の計算が含まれるが,これをModLibとどのようにバラン スを取るかは,今後RIPL-3が具体的に動き出してから考える必要がある.私は, 角運動量合成に関するmoduleを紹介し,変数名等の命名規約について述べたが, P.Talou氏は,それを更に発展させて一般的な数値計算moduleにすることを提 案している.前回の会合では出なかったが,LLNLでも統計模型コードMOARCを 開発しており,F.Dietrichがこのコードについての紹介を行った.

一般的な議論では,前回の会合でも懸念されていたとおり,copy rightの問題 が挙げられていた.一般に原子力関係の計算コードはNEAやRSICを通じて配布 されるが,ModLibの開発者たちはGPLを考えており,従来の手続きとは相容れ ない.また,各研究所はそれぞれ著作権に関する規則を持っている.会合では 結論は出なかったが,各開発者は所属する研究機関のルールを調べた上で議論 をすすめることとした.

なお,このプロジェクトは,GNASH / TALYS / EMPIRE に限ったものでは無く, 核データ評価に用いられる核反応模型計算コードを開発している人にオープン である.メーリングリスト等の情報は以下のリンクで得られる.

http://www.nndc.bnl.gov/nndcscr/model-codes/modlibs/

会合等のお知らせ

PHYSOR-2004

      日時  April 25-29, 2004
      場所  Hyatt Regency Chicago, Chicago, Illinois, USA

RIPL-2の公開

(核データセンター) 深堀 智生

Reference Input Parameter Library, RIPL, version 2が,先日公開されまし た.RIPL-2は核理論計算に必要な種々のパラメータをライブラリとしたもので, 原子核質量,変形パラメータ,離散準位,平均共鳴幅,光学ポテンシャル,準 位密度,巨大共鳴,γ線強度関数,核分裂障壁が含まれています.また,こら らのパラメータを計算に利用するためのツールもあります.数値およびドキュ メントは,以下のURLから入手可能です.

http://ndsli01.iaea.org/RIPL-2/

部会員の最近の成果

S. Lee, S. Yamamoto, K. Kobayashi, G. Kim, J. Chang
   Neutron Capture Cross-Section Measurement of Rhodium
   in the Energy Region from 0.003 eV to 80 keV
   by Linac Time-of-Flight Method
   Nucl. Sci. Eng., 144, 94 (2003).

これらの論文入手については、直接著者に連絡してください。

核データ部会からのお知らせ

● 現在の部会員数:140名

●「部会員の最近の成果」に載せる情報をNDDeditors@ndc.tokai.jaeri.go.jp までお知らせ下さい。