(武蔵工大) 吉田 正
● これまでの経緯
核データ部会と炉物理部会合同で「日韓ジョイントセッション」第1回が開催 されてから,この5月でちょうど1年になる。第1回は済州島(Cheju)での 韓国原子力学会春季学術発表会の枠内で,第2回は札幌での日本原子力学会秋 の大会の枠内で,それぞれ行われた。韓国側は核データと炉物理が分かれてお らず,Reactor Physics and Computation Science Division が両分野をカバー している。
● 光州
今回から,学術発表会は韓国原子力学会と大韓放射線防禦学会の共催となり, 南西部の都市,光州(Gwangju)の朝鮮大学校で,5月23〜24日に開催さ れた。光州は行政上は全羅南道の道庁所在地であり,われわれの世代には1980 年の光州事件の記憶が生々しい。また2年ごとに開催される現代芸術の祭典, 「光州ビエンナーレ」でも知られ,今年は開催年にあたっている。ワールドカッ プの開催地でもある。朝鮮大学校は,若い人が多く活気に満ちた市街地から東 に広がる丘陵の裾野にある。キャンパスは広く,緑が豊かである。
● 会議
ジョイントセッションは5月24日に開催され,午後いっぱいを取り,日本6 件,韓国5件の計11件の発表が行われた。うち4件が核データ,7件が炉物理 であった。核データの4件は,Tc-99の捕獲断面積測定(京大炉の李三烈氏が日 本側に立って発表),Mo-95,Tc-99,Ru-101,Rh-103の評価(KAERI),JENDL FP Decay Data File 2000の紹介(吉田),鉄56の二重微分断面積の評価(KAERI) である。韓国の評価活動は,網羅的でこそないが,Methodologyや使用コード が日本とは違っているので相補いあえる仕事であると言えよう。Abstractsだ けが製本され,論文そのものはCD-ROMで渡された。ハングルが(従って内容の はぼ99%が)文字化けするため,このCD,未だにうまく読めないのだが,今 後も解読に努力するので,韓国側の発表に興味のおありの方はご連絡頂きたい。
● おわりに
私は韓国は三回目なのだが,前2回は,この冬急逝された釜山大学校の李大遠 先生に丸ごとお世話になった。単独行は初めての経験であり,ハングルを読め ない私としては,少々心細い旅でもあった。もし,九大の工藤先生や東北大の 岩崎先生のグループに,前夜,ホテルでお会いできなかったら,ちゃんと会場 にたどり着けたかどうか。おおいに心許ない。この秋,韓国ではPHYSOR2002が あるので,秋の大会での合同セッションは予定されていない。従って,半年以 上の時間的余裕があるので,核データ部会として,今後このジョイントセッショ ンをどう位置づけ,継続して行くのか,一度落ち着いてご議論願いたい。
http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/nds/regist1_J.html
9月15日(日)13:00 - 15:00 「核データ・炉物理特別会合」 座長: 吉田 正 (武蔵工大) (1) 核燃料サイクルと核データ 1. 核燃料サイクル用核データ 原田 秀郎 (サイクル機構) 2. 各種核データライブラリーによるPIE解析 奥村 啓介 (原研) 3. JENDL FP Decay Data File 2000と日米の崩壊熱スタンダード 片倉 純一 (原研) (2) 半導体メモリのシングルイベントアップセットの研究 渡辺 幸信 (九大) 9月16日(月)9:00 - 11:25 「原子核物理、核データ、核反応工学」関連のセッション (9件) 9月16日(月)12:00 - 13:00 「核データ部会総会」 9月16日(月)13:00 - 15:45 「原子核物理、核データ、核反応工学」関連のセッション (10件)
Nuclear Energy Agency (NEA)の最新版のニュースレターが以下のURLにあります。
http://www.nea.fr/html/new.html
http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~medium02
http://sna-2003.cea.fr/
S. Ishimoto (isimoto@meteor.nucl.kyushu-u.ac.jp), K. Ishibashi, H. Tenzou, T. Sasa Neutronics Study on Accelerator Driven Subcritical Systems with Thorium-based Fuel for Comparison between Solid and Molten-salt Fuels Nucl. Technol., 138, 300 (2002). A. Kimura (kimuratsu@popsvr.tokai.jaeri.go.jp), E. Takada, Y. Hosono, M. Nakazawa, H. Takahashi, H. Hayami New Techniques to Apply Optical Fiber Image Guide to Nuclear Facilities J. Nucl. Sci. Technol., 39, 603 (2002). S. Ishimoto (isimoto@meteor.nucl.kyushu-u.ac.jp), T. Omori, H. Arima, K. Ishibashi Simple Calculation of Reactor Antineutrino Energy Spectrum by the Use of Nuclear Data Libraries J. Nucl. Sci. Technol., 39, 670 (2002).
これらの論文入手については、直接著者に連絡してください。
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http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/~ndd/index.html
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