NDDニュースレター 2002年 第5号 (通巻第29号)

2002/5/10

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トピックス

JENDL-3.3公開

日本原子力研究所核データセンターとシグマ委員会は、革新的原子炉をはじめ とする研究開発や放射性廃棄物の処理処分のための加速器利用の研究開発に必 要・不可欠な核データの評価活動を進め、本日 (平成14年5月10日)、最新版の 評価済み核データライブラリーJENDL-3.3をインターネット上に公開した。

JENDL-3.3は中性子と原子核との反応確率などのデータを水素から超ウラン元 素であるフェルミウムまでの337核種について格納している。また、原子炉な どの開発で必要となるほぼ全ての入射中性子エネルギー範囲 (0.00001 eV - 20 MeV) をカバーしており、データは世界標準のENDF-6形式でまとめられてい る。

JENDL-3.3は、これまでのJENDL-3.2 (1994年完成) のデータを見直し、新たな 核種を追加するとともに、最新の測定データや理論計算をもとに改良したもの で、JENDL-3.2の大幅な改訂版となっており、原子炉の挙動等をより精度良く 予測できる。さらに、核データの誤差を表す共分散データが充実されており、 核データの持つ不確かさが設計に与える影響を明らかにすることができること から、原子炉の安全性、経済性の評価に大きく寄与できる。また、原子核反応 の基礎データとして、放射線医療での利用や宇宙初期における元素合成の研究 等、原子核に関係する分野に貢献できる。このライブラリーの信頼度の高さは 各種ベンチマークテストにより検証されている。核データセンターは、今後、 データを収納したCD-ROM、グラフ集を作成しユーザーに提供する。

JENDL-3.3 のための核データの評価研究は、原研、大学、関連研究機関、原子 力メーカーの専門家が参加したシグマ委員会の下で、共同作業により行われた。 原研核データセンターは、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構原子力機 関(OECD/NEA)等における国際核データネットワークの日本を代表するセンター となっている。現在、核変換技術の開発や医療、宇宙への利用を目指して3 GeVまでの高エネルギーファイルやアクチニドファイルを開発中で、今後これ らを取り込んだ、次世代JENDLに向けて活動を進める予定である。

以下に、核データセンターからの連絡を掲載する。

シグマ委員会委員及び核データ部会部会員 各位

皆様のご協力の下に整備して参りました評価済核データライブラリーJENDL-3.3 を、本日、5月10日付で、核データセンターのホームページより公開致しまし た。

JENDL関連URLは次の通りです。

JENDL-3.3:  http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/jendl/j33/J33_J.html
JENDL 全般: http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/jendl/Jendl_J.html

JENDL-3.3の総核種数は337で、ENDF-6フォーマットにより編集されています。 今後、JENDL-3.3のグラフ集、コメントデータ集、CD-ROMを作成し、利用者に 提供したいと考えております。

なお、JENDL-3.3の報告書は現在作成中ですが、当面、JENDL-3.3全体の引用は、 以下の通りにお願い致します。

   JAERI Nuclear Data Center:
   "Japanese Evaluated Nuclear Data Library
    Version 3 Revision 3 (JENDL-3.3)",
    Private communication (2002).

JENDL-3.3使用上の問題、或いは、データに関する質問・コメント等がありま したら、原研核データセンター迄、ご連絡ください。

                            日本原子力研究所 核データセンター  一同

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