(武蔵工業大学)吉田 正
6月7日(水)に日本原子力学会第8回企画委員会が東京で開催されました.当 部会の運営に直接関係する項目を中心に審議事項の概要を報告します.
● 次期企画委員長
次期企画委員長に東京大学の岡芳明教授が推薦された.
● 「部会に係わる検討会」中間報告
JNC若林氏をリーダーに,部会の設立,活動,見直し,廃止,予算等の基準 を明確にするべく検討を行っている。(核データ部会員から意見が有れば意見 を検討会に反映することは可能です。吉田までお知らせ下さい)
● 「オンライン受付WG」中間報告
春と秋の学会における口頭発表申込みのオンライン化を試行することが提案 され了承された。200字程度の要旨を含む「口頭発表申込み」と「予稿集原稿」 を別にし,前者はオンライン方式(当分の間は郵送も可)とし,後者は現行の とおり郵送とする。
● 学術会合
「2001秋の大会」(9月19〜21日,北大)は口頭発表880件,特別講演4件,総 合報告4件,部会・連絡会企画セッション15件,14部会総会,などの予定が了 承された。部会・連絡会企画セッション15件中には,核データ・炉物理をテー マとする日韓原子力学会第2回ジョイントセッションが含まれる。なお,韓国 側参加者がこのジョイントセッションだけに参加する場合に限り参加費は徴収 しないことが確認された。
● 「春の年会」「秋の大会」開催地(案)が提示された.今後の予定は以下の とおり。
13年秋:9/19-21 北海道大学 14年春:3/27-29 神戸商船大学 14年秋:9/14-16 いわき明星大学 15年春:3/27-31のうちの3日間 佐世保 15年秋:中部地区(静岡県の予定) 16年春:中国・四国地区
(日本原子力研究所核データセンター)長谷川 明
核データ(EXFOR,CINDA,JEFF)、原子力コードの収集整備、熱力学データベー スの開発等を行っている国際機関である、経済協力開発機構原子力機関(OECD /NEA)データバンクの運営に関する委員会、NSC(原子力科学委員会)実行グ ループ会合がこの6月11日にパリのOECD本部で開催された。参加者は、加盟国 代表総数 12名、日本からは、筆者(実行グループ日本代表)、大杉俊隆氏( NEA/NSC日本代表)、片岡洋氏(OECD日本政府代表)が参加した。また、NEA事 務局には、須山賢也氏(OECD/NEA)が参加している。
今回の会合では、核データ、計算プログラムを中心とした2000年度のデータバ ンク事業の実施状況について詳しい報告が行われるとともに、計算プログラム の配布の規程についての議論及び2002年度の活動と予算の提案等がなされた。 以下概略をのべる。
● 計算プログラムサービス
計算機プログラム及び積分データの配布に関しては、2000年度には、これまで の最高記録(約2,250件)を達成した。 このうち、積分データの配布に関して は、前年度以下であったが、その理由は、大口データのSINBAT(遮蔽ベンチマ ーク用データベース)、IFPE(燃料挙動データベース)が年度の終わりに改訂 されたことによる。
OECD外へのNEAコードの配布も、IAEA地域で開発され、NEAに入ってくるコード の数とほぼ見合っており、問題はない。
計算コードの配布の規程についての議論では、これまでの明確、且つ厳格な規 程を変更する必要はない事が了承された。
任意幾何形状の自動メッシュ生成機能を持つ、2次元、3次元の決定論に基づく 原子炉計算コードの開発支援についての提案があり、了承された。ベンチマー クテストの簡易化、適用性評価作業の高度化のために必要となる。
古い計算コードを現行計算機に対応させるための、プログラムの変換作業(FO RTRAN-IV, V, 66, 77から90等への変換)については、人的資源の不足もあり、 現在テスト的に行っている範囲を広げない、制限した範囲で行うことが承認さ れた。
● 核データサービス
核データの利用に関しては、利用者からの需要は漸増傾向にあり、インターネ ットを通してのデータ取得が大幅に増えている。このことから、高速インター ネット回線の増強が行われると共に、利用環境の改善への要望が強く出された。
原研核データセンターからのCD-ROMデータのデータ提供については、大口利用 者の便を増すこととなり、事務局から大変感謝されている。
評価済核データ利用のための支援環境を提供するソフトウェアJEF-PC(有料配 布)の次期版であるJANISは当方からの強い意見により無料配布が実現する運 びとなった。
実験核データベース(EXFOR)、文献データベース(CINDA)、JEFFファイルの編集 状況等が報告された。EXFOR及びCINDAについては、当初のほぼ予想どおりのデ ータ(中性子反応70件、荷電粒子反応100件)が格納・編集され、他のデータ センターに送付すると共に、一般利用に供された。加盟国からその重要性が常 々指摘されている実験核データベースの入力作業については、バックログの解 消に力を入れるべしとの意見が強くでた。
NEA/HPRL(高優先度測定要求リスト)が、データベース化された。Oracleデータ ベース上にデータベース化され、任意の検索が可能となっている。このシステ ムに対する利用経験からのコメントが要求されている。次年度のNSCでの In- depth discussionの候補としても挙げられた。
インターネットも含めてオンラインによる核データ利用サービスは、年2万件、 Download 量も 8 GBとなっている。
● その他
その他、データバンク事業の2002年度予算についての議論があった。
核データ及び計算コードは我が国の原子力研究開発にとって必要不可欠な要素 であることから、大きく利用者層を伸ばしているこれらデータについて、積分 実験データの保存作業を含めたデータバンク事業に対する貢献を、今後とも可 能な限り果たしていくことが重要である。 データバンクに対する日本の貢献 は、極めて大きいものがあります。今後ともデータバンクを盛り立てて行くと ともに、日本の原子力の発展に少しでも寄与できるようにとの姿勢で対処して いきたいと考えています。
なお、引き続き開催されたNEA/NSC会合において、次回の核データ国際会議を 2004年にサンタフェ(米国)で開くことが承認された。
場 所:北海道大学 期 間:9月19日(水)〜21日(金) 19日(水)E会場 09:00〜12:00 「原子核物理、核データ、核反応工学」(12件) 12:00〜13:00 核データ部会総会 19日(水)H会場 13:00〜17:00 炉物理部会・核データ部会合同「日韓ジョイントセッション」 21日(金)D会場 10:00〜12:00 企画セッション「大強度加速器計画への取り組み」
「日韓ジョイントセッション」は、韓国原子力学会と日本原子力学会が合同で 開催するもので、第1回は、去る5月25日に韓国済州島で開かれました。今回 は、日韓の炉物理と核データの研究交流に資すること目的に、上記日程で第2 回目が開催されます。
企画セッション「大強度加速器計画への取り組み」は、放射線工学部会、加速 器ビーム科学部会、炉物理部会および核データ部会の参加のもとで開催されま す。
両セッションの詳細なプログラムは、次号以降でご案内します。
Nuclear Energy Agency (NEA) の最新のニュースレターが以下のURLにありま す。
NEA Online Bulettin (Jun. 2001) http://www.nea.fr/html/new.html
春日井好己、池田裕二郎(ikeda@fnshp.tokai.jaeri.go.jp)、宇野義智、山 本 洋、河出 清 Activation cross section measurement at neutron energy from 13.3 to 14.9 MeV using FNS facility JAERI-Research 2001-25 (Mar. 2001) 仁井田浩二、明午伸一郎(meigo@linac.tokai.jaeri.go.jp)、高田 弘、池 田裕二郎 High energy particle transport code NMTC/JAM JAERI-Data/Code 2001-007 (Mar. 2001) 明午伸一郎(meigo@linac.tokai.jaeri.go.jp)、中島 宏、高田 弘、春日 井好己、猪野 隆、前川藤夫、Hastings J.、渡辺 昇、大山幸夫、池田裕二 郎 Measurement of profile and intensity of proton beam by an integrated current transformer and a segmented parallel-plate ion chamber for the AGS-Spallation Target Experiment (ASTE) JAERI-Data/Code 2001-014 (Mar. 2001) 甲斐哲也(kai@shield4.tokai.jaeri.go.jp)、前川藤夫、小迫和明、春日井 好己、高田 弘、池田裕二郎 DCHAIN-SP 2001: 高エネルギー粒子誘導放射能計算コード JAERI-Data/Code 2001-016 (Mar. 2001) K. Tsujimoto(ktsuji@omega.tokai.jaeri.go.jp), T. Iwasaki, N. Hirakawa, T. Osugi, S. Okajima and M. Andoh Improvement of reactivity coefficients of metallic fuel LMFBR by adding moderating material, Ann. Nucl. Energy, 28, 831 (2001).
これらの論文入手については、直接著者に連絡してください。
● 現在の部会員数:135名(2001年6月4日現在)
●「部会員の最近の成果」に載せる情報をNDDeditors@ndc.tokai.jaeri.go.jp までお知らせ下さい。