NDDニュースレター 2000年 第1号 (通巻第1号)

2000/4/19

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部会長挨拶

核データ部会の発足にあたって

核データ部会長 更田 豊治郎

核データの活動は端的に言えば、極めて幅広い原子力平和利用のそれぞれの 体系の構築と運用に必要なデータベースのうち原子力に特徴的でかつ最も基礎 的な部分を提供するものと思われます。新しい体系の開発あるいは体系の改良 が活発なほど、より精密で信頼度の高い核データの整備が要求されるものであ り、核データへの要請の強さは原子力開発利用の活性の指標ともなるものと思 っております。

原子力平和利用のうち特に、大量のエネルギー生産を目的とする体系の発展 が、公衆の理解と受容が十分には得られていないために伸び悩んでいます。そ の困難な状況が長く続いており、世界的傾向でもあるために、原子力を大量の エネルギー生産に利用することが地球環境保全上も最適の合理的選択だと主張 し続けることに、弱気になったり疑念を持ったりする人が原子力学会にもおら れるようですが、私には前述の主張を弱める理由が見出せません。その主張を 理解してもらう格段の努力が必要なことは言うまでもありません。もちろん、 学会の主流か否かにかかわらず、専門分野にかかわる理念についても議論が行 われることは学会の健全性を示すものだと思っております。

さて、高速炉の開発が現実に停滞していると、以前には世界的にも高速炉開 発からの要請に応えることを主目標に核データ活動が活性化していたといった ところが弱まっている面があり、また世界的に核データ整備が貧弱であった時 代に比べれば、ある程度整備の進んだ今日では、より高度な核データ整備への 緊迫感がうすれている面があるのも現実です。しかし、核燃料サイクル、高強 度加速器、加速器炉、核融合炉等のための要請に応えるためにも、既存の体系 の完備性のためにも、さらにより根源的に、新しい核データが新しい体系の発 想につながる可能性も含めて、核データの活動は粘り強く持続すべきものであ り、その背景として核物理研究のポテンシャルなどが望まれるものだと思って おります。

核データ部会の活性が原子力の健全な発展につながるとの気概を持って若手 ・中老年を問わず多くの学会員が当部会に加入されることを期待し歓迎申し上 げます。

会合の報告等

「核データ部会」設立総会

愛媛大学での日本原子力学会2000年春の年会の三日目、平成12年 3月30日 (木)の12時から、約60名の出席者をえて「核データ部会」設立総会が開催さ れた。

まず、日本原子力学会の竹田敏一理事により核データ部会設立の宣言がなさ れ、また設立に至る経緯が説明された。引き続き、設立趣意書、発起人名簿、 核データ部会規約が紹介されたのち、第1期運営委員が以下の通り選出された。

          部会長:  更田豊治郎(環境科学技術研究所)
          副部会長:吉田  正(武蔵工業大学)
          企画担当:真木紘一(日立)
                    石川  眞(核燃料サイクル開発機構)
                    山野直樹(住友原子力)
                    李  大遠(韓国  釜山大学校)
                    井口哲夫(名古屋大学)
          編集担当:馬場  護(東北大学)
                    中川庸雄(日本原子力研究所)
                    河野俊彦(九州大学)
                    親松和浩(愛知淑徳大学)
          会計担当:井頭政之(東京工業大学)
          会計監査:川合將義(高エネルギー加速器研究機構)

ここより更田部会長の司会のもと、まず規約に掲げられた事業を推進するこ とを目的に、部会員の企画立案に対する積極的な提案・意見を尊重し、公正に 企画立案を行うという企画方針(案)が、山野企画担当委員より説明され、承 認された。

引き続き、WWW部会ホームページと電子メールを主な媒体とするニュース 配信と情報伝達を中核とし、部会員の間の意見交換を促進する役割を担うとす る編集方針(案)が、馬場編集担当委員より説明され、承認された。

井頭会計担当委員より説明された平成12年度部会運営費予算(案)は、 180,000円の収入を想定したもので、支出の内訳は以下のとおりである。

            会議費              20,000円
            通信費              20,000円
            講師謝金・旅費      20,000円
            会員管理費          60,000円
            ホームページ        40,000円
            その他              20,000円

予算案は原案の通り承認され、「核データ部会」設立総会は12時40分に終了 した。

核データ部会設立総会を終えて

(東工大)井頭 政之

約60名の出席者を得て、核データ部会設立総会が無事終了し、ようやく肩の 荷が降りた気がした。

昨年の新潟工科大学での「秋の大会」(9月10〜12日)のおり、九州大学の 的場先生から、「シグマ活動を、部会設立も含めて検討した方が良くはありま せんか?」とご指摘頂いた。昨今のシグマを取り巻く環境、多様化している核 データ・ニーズに対する今後の活動、若手研究者の育成、等々、を考えると当 然のご指摘である。

早速、山野(住友原子力)、吉田(武工大)、長谷川、中川、片倉(原研核 データセンター)の各氏と相談し、10月7日のシグマ運営委員会に「シグマ検 討小委員会」の設置を提案することとした。

運営委員会では種々のご意見を頂いたが、検討小委員会の設置が認められた。 10月29日の第1回小委員会では、今後の核データ活動に関して種々の角度から 分析・検討を行った。その結果、「核データ部会設立の可能性」を検討するこ ととした。具体的には、

  1.シグマ委員に、核データ部会設立を検討する背景を説明し、意見を求め
      る、
  2.シグマ委員の意見を集約するためにアンケートを実施する、
  3.部会設立の条件等を学会事務局に確認する、
  4.学会における核データ活動及びシグマ委員等に関する基礎データを調査
      する、

等を行うこととした。また、電子会議室を設け、メーリングリストで小委員会 内の議論を恒常的に行うこととした。尚、この会議室の開設期間中(5ヶ月)、 約200通の電子メールが発信された。

部会設立のためには100名以上の部会員が必要であるが、シグマ委員及び JNDCmail登録者に対して行ったアンケート結果(回答者数:58名、回答率: 約33%)は、

  * 発起人に加わっても良い:32名、現時点では答えられない:16名
  * 部会が設立されれば入会する:48名、現時点では答えられない:7名

であった。この結果と、アンケートに寄せられた「部会設立に関する意見」、 及び学会の完全部会制移行の動向、等を11月26日及び12月21日の検討小委員会 で分析・検討した結果、部会設立の機は熟し、3月の2000年春の年会が部会設 立総会開催の絶好の好機であると判断した。そして、「核データ部会」の設立 を1月21日のシグマ運営委員会に提案することとした。また、学会へ提出する 設立趣意書、部会規約、および発起人名簿の準備を行った。

運営委員会で承認を得た後、上記書類を学会へ提出し、3月8日の企画委員会 で検討・審議・承認、最終的に3月23日の理事会で追承認され、「核データ部 会」が正式に設立されることとなった。

学会での説明役は竹田理事(阪大)が引き受けて下さった。竹田先生のお手 をなるべく煩わせないように、検討小委員会委員で手分けし、直接あるいは人 を介して、会長、副会長、理事、企画委員の方々に事前説明をさせて頂いた。 また、学会事務局は全てについて前倒しに対応して頂いた。

以上のように、多くの方々のご意見、ご協力を得て「核データ部会」が設立 された。この方々に応えるためには、「核データ部会」活動を活発に行う必要 がある。「肩の荷が降りた」と言っている場合ではないと自戒している。

会合等のお知らせ

ND2001、「科学と技術のための核データ国際会議」

  International Conference on Nuclear Data for Science and
  Technology
  "Embaracing the Future at the beginning of the 21st Century"

  主  催:日本原子力研究所
  共  催:日本原子力学会、経済開発協力機構原子力機関
  会  期:2001年10月 7日(日)〜12日(金)
  会  場:つくば国際会議場エポカルつくば(茨城県つくば市)
  トピックス
     1. Evaluation of Nuclear Reaction Data and Evaluated Data
        Libraries
     2. Nuclear Structure and Decay Data
     3. Nuclear Data relevant to Astrophysics and Frontier Nuclear
        Physics
     4. Experimental Facilities and Measurements
     5. Basic Nuclear Theories relevant to Data Evaluation
     6. Processing, Testing and Verification & Validation of
        Evaluated Data
     7. Applications to Fission Technology
     8. Applications to Fusion Technology
     9. Applications to Accelerator Technology including
        Accelerator-Driven Systems
    10. Medical, Environmental, Industrial, Space Technology
        and Other Applications
    11. Standards and Dosimetry
    12. Nuclear Safety and Nuclear Data
    13. Data Dissemination and International Collaboration
  問合せ先:hasegawa@ndc.tokai.jaeri.go.jp (長谷川明)
WWW:http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/nd2001/

現在仮登録受付中です。二次案内の配布を希望する方は以下の情報を事務局 (hasegawa@ndc.tokai.jaeri.go.jp) 宛に送ってください。上記の WWW サイ トからも登録できます。

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  Fax number:
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  Attendance:[  ]Will certainly attend, [  ]Will probably attend,
        [  ]Will probably not attend
  Paper:[  ]Will present a paper (Topics No. [  ]),
        [  ]Will not present a paper, [  ]Not yet decided

核データ部会からのお知らせ

核データ部会の Home Page をオープンします。

核データ部会の Home Page の URL は

http://wwwndc.tokai.jaeri.go.jp/~ndd/

です。