2011年の東日本大震災やそれに伴う東京電力(株)福島第一原子力発電所事故では、人工物の安全性に対する考え方が根底から覆されました。設計想定外の事象が現実に発生し、それに対して人工物は強靭ではなく、また巨大なシステムが事故を起こすと被害は甚大なものとなることを、不幸にして体験することとなりました。このため、専門家や技術者には、市民が適切に“未来の選択”を行えるよう、市民の声に真摯に耳を傾けつつ、適切な情報を積極的に発信することが求められています。 本セミナーでは、ステークホルダーである企業、市民、専門家の方々から、その経験や蓄積された知見に基づいたご講演をいただき、原子力分野におけるリスクコミュニケーションの現状と取り組むべき課題について考える場としたいと思います。状況の複雑さ、課題の多様さと重大さを理解して適切な“未来の選択”に向け、専門家や技術者が成すべきことを考える共通基盤となることを期待しています。 [部会長 五福 明夫]
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記 |
■日 時: | 2014年8月7日(木)13:30 〜 8日(金)12:00 |
■場 所: |
筑波大学 筑波キャンパス 総合研究棟B 0110公開講義室(1階) http://www.tsukuba.ac.jp/access/gmap/gmap.php?i=106030 〒305-8577 茨城県つくば市天王台1-1-1 【交通アクセス】 総合研究棟B :http://www.risk.tsukuba.ac.jp/access.html(リスク工学専攻へのアクセス) 筑波キャンパス:http://www.tsukuba.ac.jp/access/tsukuba_access.html |
【一日目】 | 8月7日(木) |
13:00〜13:30 | 受付 |
13:30〜13:40 | 開会 (副部会長 瀧澤 洋二) |
13:40〜14:40 | 講演1:「原子力とリスクコミュニケーション」株式会社リテラシー 西澤 真理子 様
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2011年3月の原発事故から3年が過ぎた。福島原発の廃炉、原発の再稼働には事業者や技術者など、情報の提供側が分かりやすく、一般が理解できるような安全情報の提供をしていくことが鍵となる。リスクはどれくらいの大きさなのか。どのような側面が問題であり、将来に問題となりうるのか。ベネフィットはどこにあるのか。科学的リスク評価とリスク管理をリスクコミュニケーション(リスコミ)は伝えていく作業である。 しかし未だに社会における原発への不信感は高い。安定したエネルギーの確保、長期にわたる福島の廃炉の問題において、原子力に関わる事業者や技術者には、住民との合意形成への焦りも見られている感がある。だが合意形成の前に、まず、正確な安全情報を社会と共有する作業、リスコミが必要に思えてならない。放射線についての情報には多くの誤解や混乱が根強い。これは合意形成の前段階であるリスコミでさえ、まだ日本では普及していないのが現状であると考える。
【参考】 |
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14:50〜16:00 | 講演2:「リスクコミュニケーションの現場から 〜市民は何を見ているのか〜」NPO法人 HSE リスク・シーキューブ
服部 成雄 様、土屋 智子 様 |
2003年に公募で集まった住民が臨界事故の経験を踏まえて議論し、住民自らが原子力施設の安全対策を確認する「視察プログラム」をつくりあげてきた。最初に、活動事例紹介として、なぜこの活動が必要だったのか、視察プログラムの中で住民と事業者とのコミュニケーションはどう形成されているのか、住民・事業者双方にとってどのような意味があるのか、行政とはどのような関わり方をしてきたのかについて述べる。次に、実際に参加している住民自身から、活動の中で何を感じているのか、問題点は何かなどを示す。 【参考】NPO法人 HSE リスク・シーキューブ様:http://hse-risk-c3.or.jp/index.html |
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16:10〜17:10 | 講演3:「福島原子力事故の教訓を踏まえた東京電力における
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2013年3月に公表した「原子力安全改革プラン」のうち、6つの対策の柱のひとつである“リスク・コミュニケーション活動の充実”に関する取り組み状況を主にお伝えする。事故の反省を踏まえ、原子力に関する残余リスクを社会との対話活動を通じて共有する姿勢への転換を図っており、福島・新潟等における具体的な活動事例を紹介する。こうした当社固有のリスク・コミュニケーションに係る現実的な課題も含めてセミナー参加者と共有し、社会的感性を社員や組織に如何に浸透させていくか、安心感を醸成するための前提となる信頼関係をどう再構築していくべきか、などの論点について参加者の皆さまとの対話を通じて議論を深めたい。 |
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18:00〜20:00 | 懇親会(オークラフロンティアホテルつくば) ※会場から送迎バスがあります。 |
【二日目】 | 8月8日(金) |
9:30〜10:30 | 講演4:「過酷事故を繰り返さぬために確率論的リスク評価はどう役立ちうるか」東京都市大学 工学部 原子力安全工学科
村松 健 様 |
リスクコミュニケーションは、リスク評価結果の説明だけでは効果的なものとはなり難く、リスク管理の継続的な活動と一体のものとして進められなければならないのではないか。このような考え方から、本報告では、リスク管理のツールとしての確率論的リスク評価(PRA)の必要性と限界について説明した上で、福島事故を防ぐためにリスク評価が何故役立たなかったのか、今後どうすればより有効に寄与しうるのか、リスク評価に係わる技術者が心がけるべきことは何かについて、私見を述べさせていただきたい。会場の皆様からもリスク評価の果たしうる役割、リスク管理活動がより効果的に働くためのステークホルダーの係わり方などについて意見を伺い議論を深めたい。 |
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10:40〜11:40 | 講演5:「エネルギーシステムのリスク評価とリスクコミュニケーション」筑波大学大学院 システム情報工学研究科 リスク工学専攻
内山 洋司 様 |
エネルギー資源の生産から輸送、貯蔵、さらに変換された二次エネルギーを需要家に供給し利用していくエネルギーシステムには、それぞれの過程において様々なリスクが発生する。原子力は、他のエネルギー源に比べてそのシステムのリスクは最も厳しく評価されている。本報告では、各過程におけるリスク事象の特性を紹介するとともに、原子力を中心にしてリスクの認知問題とリスクコミュニケーションを進めていく上での課題について説明する。 |
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11:40〜11:55 | 閉会 (部会長 五福 明夫) |
日本原子力学会正会員、協賛学協会員: | 5,000円 |
一般非会員: | 10,000円 |
日本原子力学会学生会員、協賛学協会学生会員: | 2,000円 |
学生非会員: | 3,000円 |
*日本原子力学会正会員・学生会員の参加費については不課税、その他の 参加費は税込みとなります。 ○懇親会費:(税込)5,000円(任意参加) |
ホテル最上階の素晴らしい眺望の中で、料理を楽しみながら、テーマに関して語り合いましょう。
日時:2014年8月7日(木)18:00〜20:00
場所:プライベートダイニング 「コンチネンタル」 (オークラフロンティアホテルつくば11階)
〒305-0031 茨城県つくば市吾妻1丁目1364-1 (つくばエキスプレス「つくば駅」から徒歩2分)
TEL.029-852-1112(ホテル代表)
下記の申込書に必要事項をご記入の上、電子メールまたはFaxにて申込先へ提出下さい(電子メールの場合は、整理の都合上、タイトルに「HMS部会夏期セミナー参加申し込み」とだけご記入ください)。 | |
<申込先> |
〒305-8573 茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学 システム情報系 情報工学域 古川 宏 TEL:029-853-5347 FAX:029-853-5809 e-mail:hmsseminar2014@gmail.com |
事前申し込みは締め切りました。ご出席を希望される方は、当日、受付にてお申し込みください。 <参加費> 参加費は当日、窓口にてお支払いください。 |