平成18年1月
新企画Gr
第4回「他産業との保全交流会」の報告
1.参加者募集及び準備について
2005.09.07:JFEスチール鞄a,JFEメカニカル鞄aに交流会開催申し込み
2005.10.18:打合せ実施(開催日決定,実施概要調整)
2005.11.14:部会員へ参加募集のEメールを送信
2005.12.01:打合せ実施(事前質問・スケジュール調整)
2005.12.02:参加申込期限
2005.12.07:参加者に案内資料を送付
2.交流会の参加者について
交流会には、電力、メーカ及び研究機関から20名の参加があった。
関西電力:1名,原子燃料工業:2名,中部電力:1名,電源開発:1名,
東京電力:5名,東芝:2名,日本原子力研究開発機構:1名,日本原子力発電:2名,
日立製作所:3名,三菱重工業:1名,四電エンジニアリング:1名
3.交流会の実施内容について
(1)日時:2005年12月16日(金)13:30〜20:30
(2)場所:JFEスチール梶@東日本製鉄所 京浜地区
(3)内容
13:30〜13:40 JFEスチール葛桾l地区設備部 村本部長ご挨拶
13:40〜14:05 会社概要・工場見学概要説明
14:05〜15:45 工場見学(高炉,転炉,溶融亜鉛メッキライン)
15:45〜16:15 製鉄所の設備管理について(事前質問回答・質疑応答)
16:15〜16:45 設備診断技術・機器説明
16:45〜17:15 原子力発電所における保全最適化への取組み(原子力発電部会より説明)
17:15〜17:20 総括質疑
17:20〜17:30 小森原子力発電部会長よりお礼の挨拶
18:00〜20:30 懇親会(川崎グランドホテル)
4.工場見学について
製鉄所では、原料処理→製銑(高炉)→製鋼(転炉)→連続鋳造→厚板圧延・熱間圧延→冷間圧延→表面処理といった製造プロセス(CGL)で鉄鋼製品が作られており、原料受入れから出荷まで一直線に配備された合理的なレイアウトとなっている。今回は、製銑(高炉)、製鋼(転炉)及び表面処理設備(CGL)を見学させて頂いた。
製銑工程では、最新のコンピュータ技術が導入された最新鋭高炉で安定した品質の銑鉄が生産されていた。また、使用済みプラスチックを分別、破砕・造粒して、高炉の原料とするリサイクルシステムが世界で初めて導入されていた。
製鋼工程では、高炉から運ばれてきた銑鉄を転炉に入れ上から酸素を吹き込み、不純物を取り除き、目的に合せた成分の鋼を製造している。京浜地区では「ゼロスラグ製鋼法」という製造法を適用して、転炉での脱燐のためのスラグ発生量をゼロ化することにより、大幅な合理化および品質向上が実現されていた。
表面処理工程(CGL)では、熱延鋼板を酸で洗い表面の酸化物を取り除いてから、常温のまま圧延機でさらに薄く延ばした冷延鋼板の表面に、亜鉛鍍金を施した鋼板が製造されていた。
いずれの工程においても、最先端技術を取り入れた製鉄所でのダイナミックな製品製造の様子を間近で見学することができ、非常に興味深く感じられた。
5.製鉄所の設備保全、設備診断技術について
今回の交流会では、事前に設備保全や設備診断技術に関する質問事項をご連絡し、当日は事前質問の回答を中心にご説明戴くこととした。主な質疑応答事例は以下のとおり。
(1)保全を総合的に管理するためのシステム(CMMS:Computerized Maintenance Management Softwawe)を導入していますか? 導入している場合、その効果はどうですか?
→ 保全管理システムは導入済です。導入に当たって大きく4つの狙いがありました。
a.保全技術の標準化による保全レベル向上
b.システム化による業務処理の効率化
c.保全計画精度の向上
d.管理レベル向上による補修費の効率的運用、在庫削減
これらの狙いを現在の高生産下かつ少人数で実現しており、大きな効果を発揮しています。
(2)CBMに使われる診断技術にはどのようなものがありますか?
→ 振動診断(オンラインモニタリング)、固有振動解析(コンベアフレーム劣化診断,厚板ハースロール亀裂診断技術)、潤滑油脂診断(鉄分濃度,フェログフィー)等があります。
(3)MSD(停止保全:静点検)とOLM(運転中保全:動点検)の考え方は?
→ 静点検では、ホースの取り付け状態、まわりへの油飛散跡の有無、物の位置・ ギャップなどを、また、動点検では、物の動き、ポンプの圧力変動、異音、軸受振動・温度などを点検しています。
(4)現在実施している設備診断の種類とその対象範囲は?
→ 振動、応力、トルク、温度(熱電対,放射温度計,サーモグラフィー等)、変位(渦電流,超音波,レーザー等)、流量、電流、画像、AE、潤滑(鉄分濃度,フェログフィー等)、絶縁診断等があります。対象範囲は、回転機械や流体機械、構造物、潤滑摩耗系の診断等です。
(5)設備診断における判定基準(例えば振動診断場合の軸振動、軸受振動)の考え方は?
→ 基本的には、相対判定法(機器毎に正常時を基準とした注意値、限界値を設定)を採用していますが、正常時のデータがない場合はISO基準や自社判定基準などの絶対判定法や同仕様の設備と比較する相互判定法を使用しています。
6.おわりに
製鉄所の設備概要、設備保全への取り組み、設備診断技術等について、JFEスチール鞄a、JFEメカニカル鞄aに丁寧にご説明いただき、原子力発電所の設備保全活動に参考となる多くの情報を得ることができた。また、原子力発電部会からも原子力発電所における保全最適化への取り組み状況についてプレゼンテーションし、非常に有意義な交流会となった。
また、今回はじめての試みとして交流会終了後に懇親会を開催し、設備保全以外の話題についても情報交換し、親睦を深めることができた。
以 上